著者
豊原 英子 猪谷 富雄
出版者
日本作物学会中国支部
雑誌
日本作物学会中国支部研究集録 (ISSN:09134670)
巻号頁・発行日
vol.43, pp.22-23, 2002-08-01 (Released:2018-01-30)

クズ(Pueraria lobata Ohwi)は万葉の昔から秋の七草の一つに数えられ、秋の風物として鑑賞されてきた。多くの歌にも詠まれていて、古人の見たクズの生態的特徴を良くとらえていて味わい深いものもある。又、図1に示すように、クズの利用価値も高く評価されていて、根から採られるでんぷんは病人の高級な食材、原料として古くから使われてきた。漢方薬としても利用されてきた。その他、葛布や高級襖紙、また紐代わりや工芸品素材としても使われ、人々の暮らしの中にクズ全体が根付いていた。ところが、戦後、農耕用肥料や牛馬の餌その他あらゆることに殆ど使われなくなり、現在ではクズが猛威を振るって林業関係者、農業従事者などには、最強の雑草として嫌われている。このようなクズを見直す為、昔から我々の祖先が生活の中で深く関わってきた自然界のクズを現代人はどんな捉え方をしているのかを探るためにアンケート調査をし、実態把握をした。1人でも多くの理解者を得て、クズを有効に利用したいと願っている。
著者
伊豆原 英子
出版者
愛知学院大学
雑誌
愛知学院大学教養部紀要 (ISSN:09162631)
巻号頁・発行日
vol.55, no.1, pp.1-16, 2007

添加の接続詞「そのうえ」「しかも」は類義語であり、その類似点の一つは、両者が用いられる談話中に「統括命題」があることである。「体によくて、かんたんで、しかもおしゃれな料理」「美味しい!簡単!そのうえ健康!」に見るように「しかも」「そのうえ」でつながれる前件、後件は「(すばらしい)料理」という統括命題を聞き手(読み手)に納得させるためにあげられている。次に相違点は「付け足し」もしくは「付け加え」の性格の違いにある。第1に「日本の、しかも地方都市郊外での出来事だ」「2年ぶりのサヨナラ勝ち。しかも球団史上初の代打サヨナラ満塁ホームラン!!」に見る前件が後件を限定し、後件が前件を詳細化する用法は「しかも」に特徴的で、「そのうえ」にはこのような用法はない。第2に「体によくて、かんたんで、しかもおしゃれな料理」「美味しい!簡単!そのうえ健康!」ではどちらも「料理」が「体によくて、かんたんで、おしゃれ」であること、「美味しくて簡単で、(それを食べれば)健康になる」ことが述べられている。しかし、両者は、「しかも」が意外性といった話し手の心的態度を表すものであるのに対し、「そのうえ」にはそのような要素はない点で異なる。
著者
豊原 英子 猪谷 富雄
出版者
日本作物学会
雑誌
日本作物学会中国支部研究集録
巻号頁・発行日
no.43, pp.22-23, 2002-08-01

クズ(Pueraria lobata Ohwi)は万葉の昔から秋の七草の一つに数えられ、秋の風物として鑑賞されてきた。多くの歌にも詠まれていて、古人の見たクズの生態的特徴を良くとらえていて味わい深いものもある。又、図1に示すように、クズの利用価値も高く評価されていて、根から採られるでんぷんは病人の高級な食材、原料として古くから使われてきた。漢方薬としても利用されてきた。その他、葛布や高級襖紙、また紐代わりや工芸品素材としても使われ、人々の暮らしの中にクズ全体が根付いていた。ところが、戦後、農耕用肥料や牛馬の餌その他あらゆることに殆ど使われなくなり、現在ではクズが猛威を振るって林業関係者、農業従事者などには、最強の雑草として嫌われている。このようなクズを見直す為、昔から我々の祖先が生活の中で深く関わってきた自然界のクズを現代人はどんな捉え方をしているのかを探るためにアンケート調査をし、実態把握をした。1人でも多くの理解者を得て、クズを有効に利用したいと願っている。
著者
森 和義 中村 敏明 小笠原 英子
出版者
防衛大学校
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2009

周囲雑音イメージングは自然海中周囲雑音を積極的に利用する革新的なアイディアである.筆者らは,周囲雑音イメージングのプロトタイプシステムの開発を目指し,開口径1 mの非球面レンズを設計・製作した.本レンズは,中心周波数120 kHzで方位解像度1度,視野角±7度を有することが実証された. 2010年11月に内浦湾において,海中周囲雑音のみで無音ターゲットを検出する実海域試験が実施された.多数の突発性雑音からターゲット散乱波を抽出する分類手法が提案された.ターゲット散乱波として分類された突発性雑音を解析したところ, 60 kHz以上の高周波数帯域において,ターゲット方位のパワースペクトル密度レベルは,ターゲット以外の方位のレベルに比べて大きくなることが実証された.この結果は,主にテッポウエビ音によって生成される自然海中周囲雑音によって,ターゲットが成功裏に検出されたことを示している.
著者
伊豆原 英子
出版者
愛知学院大学
雑誌
愛知学院大学教養部紀要 (ISSN:09162631)
巻号頁・発行日
vol.51, no.2, pp.1-15, 2003

終助詞「よ」「よね」「ね」のこれまでの研究は、三者を統一的に見たものは少なく、二者間の差異、または意味・機能を同じくする他の領域の語群との差異を明らかにするものが多かった。本稿は、終助詞「よ」「よね」「ね」三者の機能を統一的にとらえようとした点が従来の研究と異なる。本研究で明らかになったことは次の点である。「よ」「よね」「ね」はともに、話し手の認識の受け入れを聞き手に求める話し手の発話態度を表すものであるが、違いはその手続きにある。つまり、・「よ」は聞き手の認識に働きかけて何らかの変化を促したり、そのことによって何らかの行動を促そうとするものである。・「よね」は話し手の認識が聞き手の認識でもあるかを聞き手に確認するという過程をとることで、話し手の認識領域に聞き手を引き入れようとするものである。・「ね」は話し手の認識を聞き手が受け入れることを当然とみなし、聞き手の同意を求めるという過程をとることで、話し手の認識領域に聞き手を引き入れようとするものである。
著者
Wibowo Tansri 河本 恵介 山口 勇太 石田 裕 吉峰 由子 真鍋 侑資 原 侑紀 矢賀 元 中原 英子 比嘉 慎二 前田 恵治 緒方 篤
出版者
一般社団法人 日本臨床リウマチ学会
雑誌
臨床リウマチ (ISSN:09148760)
巻号頁・発行日
vol.29, no.2, pp.114-120, 2017-06-30 (Released:2017-09-06)
参考文献数
11

症例は75歳男性.血球減少・腎機能悪化・発熱・炎症反応高値に加え,抗好中球細胞質抗体(ANCA)陽性,抗二本鎖DNA(抗dsDNA)抗体陽性より膠原病が疑われたが心エコーにて僧帽弁に疣腫形成を認めたため,血液培養陰性であったが感染性心内膜炎(IE)として抗生剤を開始した.抗生剤に対する反応が十分ではなかったが,Bartonella属抗体の有意な上昇を認めたことが適切な抗生剤の選択につながった1例を経験したので報告する.
著者
春日 敦子 荻原 英子 青柳 康夫
出版者
一般社団法人 日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会誌 (ISSN:13411535)
巻号頁・発行日
vol.40, no.5, pp.329-336, 2007-10-20 (Released:2013-04-26)
参考文献数
22

低濃度の食塩水を用いた脱塩は“呼び塩”と言われ,多くの料理本では数の子の塩抜きに塩を用いることを薦めている。塩漬け数の子の脱塩中に,拡散による味成分の溶出のみが数の子の味に影響する要因であるのか,またどのような味成分が影響を及ぼされるかを明らかにするために,数の子を水と食塩水を用いて脱塩し,ナトリウム,カリウム,マグネシウム,遊離アミノ酸,5'-ヌクレオチドの分析を行った。ナトリウム,マグネシウムは,水よりも食塩水を用いた脱塩の方が溶出量は少なかったが,カリウムは食塩濃度とは関係がなかった。脱塩中に浸漬液中の遊離アミノ酸は時間と共に増加し,数の子中の遊離アミノ酸は減少した。水で15時間脱塩した時の,数の子と浸漬液中の総遊離アミノ酸含量の合計は,脱塩前の塩漬け数の子の総遊離アミノ酸含量より1.8 倍多かったが, 3% 食塩水を用いて脱塩した時は全く増加していなかった。さらに, 水で15 時間脱塩した時の数の子中の総遊離アミノ酸含量は, 3% 食塩水を用いて脱塩したときより2倍多かった。これらの遊離アミノ酸の中では, 味が苦いと言われる疎水性アミノ酸が70% 占めていた。これらの,結果は,遊離アミノ酸が水を用いた脱塩中にプロテアーゼによって生成されたことを示唆している。
著者
春日 敦子 荻原 英子 青柳 康夫
出版者
一般社団法人日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会誌 (ISSN:13411535)
巻号頁・発行日
vol.40, no.5, pp.329-336, 2007-10-20

低濃度の食塩水を用いた脱塩は"呼び塩"と言われ,多くの料理本では数の子の塩抜きに塩を用いることを薦めている。塩漬け数の子の脱塩中に,拡散による味成分の溶出のみが数の子の味に影響する要因であるのか,またどのような味成分が影響を及ぼされるかを明らかにするために,数の子を水と食塩水を用いて脱塩し,ナトリウム,カリウム,マグネシウム,遊離アミノ酸,5'-ヌクレオチドの分析を行った。ナトリウム,マグネシウムは,水よりも食塩水を用いた脱塩の方が溶出量は少なかったが,カリウムは食塩濃度とは関係がなかった。脱塩中に浸漬液中の遊離アミノ酸は時間と共に増加し,数の子中の遊離アミノ酸は減少した。水で15時間脱塩した時の,数の子と浸漬液中の総遊離アミノ酸含量の合計は,脱塩前の塩漬け数の子の総遊離アミノ酸含量より1.8倍多かったが,3%食塩水を用いて脱塩した時は全く増加していなかった。さらに,水で15時間脱塩した時の数の子中の総遊離アミノ酸含量は,3%食塩水を用いて脱塩したときより2倍多かった。これらの遊離アミノ酸の中では,味が苦いと言われる疎水性アミノ酸が70%占めていた。これらの結果は,遊離アミノ酸が水を用いた脱塩中にプロテアーゼによって生成されたことを示唆している。
著者
森田 真理 坂本 理恵 大城 絵理奈 嘉山 郁未 菊池 恵理華 河原 英子 筑田 理絵 住友 正和 木田 達也 坂下 博之 豊田 茂雄 太田 郁子 渡部 春奈 斎藤 真理
出版者
日本緩和医療学会
雑誌
Palliative Care Research (ISSN:18805302)
巻号頁・発行日
vol.17, no.4, pp.135-139, 2022 (Released:2022-10-06)
参考文献数
12

【緒言】メサドンを用いたがん疼痛緩和治療の経過中に全身麻酔下で手術を行った2症例を経験した.【症例1】57歳女性.多発骨転移を伴った右進行乳がんで疼痛治療にメサドンを導入し,化学療法の経過中に右乳房切除術を行った.創部痛で臨時の鎮痛薬を用いたがメサドン休薬によるがん疼痛の増悪はみられなかった.【症例2】76歳男性.肺腺がんの痛みにメサドンを導入した.化学療法経過中に腰椎転移で下肢麻痺切迫状態になり除圧固定術を施行した.術中の痛みの増悪にケタミンを用い,麻酔覚醒後の痛みの再増悪にはフェンタニル注の持続注射で対応した.【結語】メサドンは従来の強オピオイドで緩和困難な強いがん疼痛に用いるが,本邦では内服薬のみの認可で他のオピオイドとの換算比がないため,周術期等の休薬が必要な期間の痛みの管理には注意を要する.したがって,メサドンの処方医はメサドン内服中の患者の周術期の円滑な痛みのコントロールにも積極的に貢献することが望まれる.
著者
石原 英子
出版者
名古屋市立大学
雑誌
名古屋市立大学看護学部紀要 (ISSN:13464132)
巻号頁・発行日
vol.1, pp.105-106, 2001-03

平成12年度をもって定年退職をする筆者に,貴重な紙面での発言の機会を与えて下さいましたことを有難く思います。筆者は,平成12年10月28日に挙行された名古屋市立大学開学50周年記念式典・祝賀会・講演会の実行委員として,また,同年11月18日に開催した看護学部の市民公開講座に演者の一人として参加しました。そこでみた看護学部の活躍ぶりと市民公開講座開催までの経緯について記録しておきたいと思います。市民公開講座 : 公開講座企画委員会は大学全体の委員会の一つとして存在し,大学全体の公開講座の企画を調整する(平成12年度の看護学部選出委員は小玉学部長と研究紀要委員会委員の藤原奈佳子助教授)。その委員会が4月3日に開催され,今年は,開学50周年記念事業の統一テーマ「市民が育て,市民に発信する名古屋市立大学」に基づいて公開講座を企画することとなった。研究紀要委員会 : 学部内の研究紀要委員会は企画案を作成し,アンケートの結果を参考に,実演・実技を含めた講演を向う3年分を計画した。「第1回 : 看護と食」「第2回 : 五感と食」「第3回 : こころと食」である。今年,市民に配布された資料には,2000名古屋市立大学市民公開講座・第5講座看護学部テーマ「看護と食」,講師及び演題「看護と食-総論」「健康維持食から治療食まで」,実演「食品の塩分濃度を測定してみよう」と記されていた。障害のある方への対応と評価 : 市民向けパンフレットには「耳が不自由など,障害のある方は事前にお知らせ下さい。手話通訳等必要な対応をさせていただきます」とある。藤原委員の発案で字幕と手話通訳が実現した。歴史のある市民公開講座で,初めての予算措置であった。受講者のアンケートによると評判は上々であった。だが,もし車椅子使用の方が受講を希望したら,対応用トイレがこの川澄キャンパスには無い。このことも看護学部の13年度の予算要求(案)として取り上げられたが,復活要求では採用されなかった。「健康維持食から治療食まで」 : このテーマを依頼された理由を考えた。筆者が担当した科目に「生活・臨床栄養学」があり,それから由来していると想像した。この科目は本看護学部が設置申請した際,独自に立てた内容で教科書が無い。30時間の半分は健常人の家庭での栄養学に,半分を患者の臨床での栄養学にあて生化学的に解説している。健常人と患者に共通する栄養学上の警告に植物油(リノール酸を主成分とする)摂取過剰がある。以前の「脂肪に関する栄養指導」の誤りがはっきりしているのに,厚生省の対応が非常に遅いため,この警告を市民へ発信することにした。看護学部の活躍 : 本学は医学部,薬学部,経済学部,人文社会学部,芸術工学部,看護学部,自然科学研究教育センターからなる総合大学である。そのなかで,看護学部は何事につけ最も真剣に,最も着実に対応している。今回の市民公開講座の準備状況と当日の対応にも,それをみた。字幕業者との打ち合せを含めた綿密な準備と研究紀要委員会の方々および事務室の方々の心からの協力があり,以前には見られなかった団結力を感じた。看護学部は,名古屋市の中心地を通る地下鉄桜通線の改札口から一番近いところにある。地理的にも看護学部は市民・看護職者および関係職者との交流・提携・研修活動の拠点にふさわしい。車椅子対応用トイレの設置とその通路環境が早く確保されれば良いがと願う。看護学部から発案した字幕は「開学50周年記念講演会」で先に実施された。字幕に演者の発言がたちまちに打ち出されるのをはじめてみて感心した。この開学50周年記念式典・祝賀会・講演会に看護学部の教員はどの学部よりも多くの比率で参加した。式典の閉会のことばを担当したのは看護学部の筆者であった。在学期間も含めると,本学に46年間お世話になったことと重ね合わせ,感慨深いものだった。お別れに際して : 大勢の方々に支えられて,沢山の思い出を共有させていただきました。大豊作の秋のような感謝の気持ちで一杯です。有難うございました。
著者
東原 英子 トウハラ ヒデコ Hideko Touhara
雑誌
経営情報研究 : 摂南大学経営情報学部論集
巻号頁・発行日
vol.14, no.2, pp.21-35, 2007-02

連結会計情報開示制度の拡充により、2003年3月期決算以降わが国の会計制度は従来の個別決算あるいは親会社決算中心主義から連結決算中心主義へ移行した。このことは、会計制度自体の変化にとどまらず、企業経営自体の変化を意味していた。連結ベースでの企業評価が進展し、それを背景として従来の親会社中心の経営からグループ全体の経営効率を高めるグループ経営を必然とさせるからである。本稿では、グループ経営を評価するために、関西の私鉄3社を取り上げ個別情報からは得られない連結情報を用いた連結特有の分析の可能性を模索し、連結財務諸表およびセグメント情報の有用性を検証する。連結・個別情報に用いられる分析手法や計算自体には多くの共通点がある。しかし企業グループの分析において重視される視点、その分析結果が持つ経営的意味合いは、自ずと相違するはずであり、また、分析視点が異なれば、それ相応の分析アプローチも必要になる。私鉄3グループは、本来事業であり比較的安定している運輸業を中心に、流通業、レジャー・サービス業、不動産業等極めて類似した方向に事業展開している。分析の結果、3グループとも1990年代のバブル経済後の不良債権・資産の処理をすすめ事業の再編を推進し、2002年から2003年を境にひと頃の苦しい時期を脱して回復傾向にある状況が明らかになった。3グループは、不動産事業・レジャー・サービス事業を中心に事業の整理・再編を推進したが、グループ全体の中で各事業をどのように位置づけているのか、事業戦略の展開は各社異なっていることがセグメント情報から読み取ることができる。3グループは、構成比率が高い運輸事業の収益性改善に努める一方、事業の再編の結果、収益性が改善した不動事業のさらなる展開を図る等、個別情報では得られない各グループの事業戦略や今後の事業展開の方向性が明らかになり、連結情報とセグメント情報の有用性を確認した。さらにセグメント別の資本的支出や減価償却費のデータを用いた資源配分からの分析や株価を用いて、各グループの事業戦略やその結果である会計数値を市場がどのように評価しているのか等についても分析し、連結情報の分析の可能性とその有用性を検証することを今後の課題としたい。
著者
房間 美恵 中原 英子 金子 祐子 竹内 勤
出版者
一般社団法人 日本臨床リウマチ学会
雑誌
臨床リウマチ (ISSN:09148760)
巻号頁・発行日
vol.31, no.3, pp.181-187, 2019-09-30 (Released:2019-11-02)
参考文献数
19
被引用文献数
1

2010年にTreat to Target(T2T)(目標達成に向けた治療)リコメンデーションが提唱され,この概念は日本でも,全国的な普及活動によりリウマチ診療に従事する医療者に浸透してきた.この中のoverarching principles(基本的な考え方)で最初に述べられているのが医師と患者との「shared decision making(共同意思決定)」であるが,患者が自身の病気や治療を理解し,共同意思決定プロセスに参画するためには患者教育が必須である. 2015年にEULARから,2つの基本的な考え方と8つの推奨事項からなる炎症性関節炎患者に対する患者教育のリコメンデーションが提唱された.基本的な考え方の中では,患者教育は医療者と患者が双方向で行うべきであること,患者自身が病気と付き合いながら生活を自己管理できるように支援すること,そしてこれら実現のために医療者は患者と十分コミュニケーションを取りながら共同意思決定を行うことが必要不可欠であることが示されている.患者教育とT2T実践,共同意思決定は密接に関連しあう.患者教育をすべての炎症性関節炎患者の標準治療の一部として実施できるよう,その課題を評価し,より良い教育支援に向けて多職種協働で取り組むことが重要である.