著者
岡田 充弘 小山 泰弘 古川 仁
出版者
長野県林業総合センター
雑誌
長野県林業総合センター研究報告 (ISSN:1342775X)
巻号頁・発行日
no.16, pp.33-39, 2002-05

カラマツ根株心腐病被害は,土壌中の水分が停滞しやすい山腹平衡緩斜面あるいは石礫が多く風当たりが強い尾根下斜面の林分に多かった。被害は,幹の傷から腐朽するタイプと,根系から腐朽が始まるタイプに分けられた。30~40年生カラマツ林における本病被害木の平均的腐朽高は地際断面における腐朽直径の約10倍に達し,腐朽進展速度は3~5cm/年と推定された。胞子を伝染源として伝染・拡大する既知病原菌以外に,被害木から菌糸束を伸長させて伝染・拡大する未同定菌が確認された。
著者
丸山 加名 近藤 悠希 山門 慎一郎 加治屋 忠一 山本 健 古川 綾 石塚 洋一 岩元 正義 山本 美智子 入江 徹美
出版者
一般社団法人 日本医薬品情報学会
雑誌
医薬品情報学 (ISSN:13451464)
巻号頁・発行日
vol.23, no.2, pp.99-108, 2021-08-31 (Released:2021-09-25)
参考文献数
12

Objectives: It is important for patients to make correct use of drug information (DI) to promote the proper use of medicines. Many patients use the Internet to find DI, but awareness about the websites of public institutions that provide DI is low. This study aimed to identify the actual use of the Internet for DI and associated problems to inform development of a comprehensive DI website for patients.Method: Patients with diabetes were set as a model case for patients who take medicines and need DI. A questionnaire survey was conducted among patients with diabetes who visited community pharmacies in Kagoshima City from March 2019 to October 2019. The survey covered Internet use, DI needs, methods of sourcing DI, and problems obtaining DI via the Internet.Results: There were 349 valid respondents (median age 64 years), of which 52.1% used the Internet at least once a week. Around half of the Internet users searched for DI on the Internet. More than half of these respondents chose a DI acquisition site because it “appeared at the top of search results” and was “easy to understand.” However, around half of these respondents felt that “there is too much information on the internet and I don’t know what is correct.”Conclusion: This study suggests that older patients with a long history of diabetes use the Internet to obtain DI. However, patients face various problems accessing DI via the Internet. It may be necessary to construct a comprehensive website that is easy to use and enhance public health literacy to support the proper use of medicines by patients.
著者
秋谷 行宏 恩田 昌彦 古川 清憲 鈴木 英之
出版者
一般社団法人 日本消化器外科学会
雑誌
日本消化器外科学会雑誌 (ISSN:03869768)
巻号頁・発行日
vol.31, no.7, pp.1781-1787, 1998 (Released:2011-08-23)
参考文献数
24

血清総コレステロール値を用いて術後感染症の早期診断について検討した. 1995年7月から1997年6月までの胃・大腸切除症例111例を対象に術後10日目までの術後感染の有無により感染群 (13例) と非感染群 (98例) に分けた. 術後3日目の血液生化学検査項目を含む臨床データを両群間で単変量解析で比較したところ, 感染群のリンパ球数, 総コレステロール (TC), 総蛋白は有意に低く, 体温, 脈拍数, CRPは高かった. 多変量解析のロジスティック回帰分析では臓器別で, 胃手術例ではTCを含む8項目, 結腸手術例ではTCを含む3項目の組み合わせが良好であり, overallの正診率はそれぞれ95.1%, 95.4%, sensitivityはともに80.0%であった. なお, 直腸ではoverallの正診率は高かったがsensitivityは低かった. 以上より, 術後感染症は, 術後3日目の総コレステロールを含む臨床データを用いたロジスティック回帰分析から早期診断可能であった.
著者
鈴木 崇伸 堀 宗朗 古川 洋之
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
応用力学論文集 (ISSN:13459139)
巻号頁・発行日
no.10, pp.631-638, 2007
被引用文献数
3

This paper presents calculation method for displacement from acceleration record in easy way. Using recursive digital filter is good for easy calculation, so simple formula is proposed, which is combined of integration and low-cut filter. Shaking table test is carried out in order to investigate accuracy of calculated displacement The movement of the shaking table is measured by laser displacement meter, and two acceleration meters are installed on the table. Though data from laser meter include long period noise, calculated displacement is rather consistent with laser meter, after filtering noise. Proposed digital filter is useful for on-site health monitoring measurement.
著者
塩崎 恭久 古川 元久
出版者
日経BP社
雑誌
日経ビジネス (ISSN:00290491)
巻号頁・発行日
no.1464, pp.86-90, 2008-11-03

1998年の「金融国会」の時点でわれわれが考えていた資本注入などの金融再建策が、いわゆる「竹中プラン」で実現したのは2002年。竹中平蔵氏が金融担当大臣となって以降のことだ。金融機関の資本増強や再編など本源的な問題に切り込むまで、日本の対策はずっとツーリトル・ツーレイト(小さすぎ遅すぎ)と世界から批判された。
著者
橋本 奨 古川 憲治 南 純一
出版者
Japanese Society of Water Treatment Biology
雑誌
日本水処理生物学会誌 (ISSN:09106758)
巻号頁・発行日
vol.21, no.2, pp.19-24, 1985-08-07 (Released:2010-02-26)
参考文献数
7
被引用文献数
2

日本各地から入手した我が国の代表的な飲料水の分析成績をもとにこれらの飲料水の人工合成を行うとともに, その官能試験を順位法により行った。さらに, この官能試験結果をもとに, 水の味に関するミネラル成分バランスにつき検討を加え次の知見を得た。(1) 日本各地の飲料水の分析値に基づき人工ミネラルウォーターの合成を試み, 分析値に近い人工ミネラルウォーターが調製できる事が判かった。(2) 人工ミネラルウォーターの官能試験を順位法にて行った結果, 従来からおいしいとされてきた水前寺公園の湧水, 熊本の水, 奈良二月堂の井水と同等のミネラル組成をもつ人工ミネラルウォーターが, 試験した人工ミネラルウォーターの中でおいしいと判定された。(3) 官能試験で供試人工ミネラルウォーターに各パネリストがつけた順位点の合計値 (Tj値) と主要ミネラル成分との相関関係の検討から, Ca, K, SiO2が人工ミネラルウォーターの良い味に関係していることが判かった。(4) 飲料水のおいしさを表す指標 (OI) として, OI= (Ca+K+SiO2) / (Mg+SO4) を提案し, この指標によりおいしい水の判定がある程度可能であることを明らかにした。
著者
武田 裕吾 武田 はるか 渡邉 菜月 楊箸 隆哉 古川 勉寛
出版者
日本感性工学会
雑誌
日本感性工学会論文誌
巻号頁・発行日
vol.19, no.4, pp.369-373, 2020
被引用文献数
1

<p>While there are reports on the reliability of the universal goniometer (UG) and smartphone application goniometer (SG), there have been no reports on user impressions when using these devices. In this study, impressions of users of UG and SG that are used in clinical practice were clarified and reliability was compared. Questionnaires on user impressions were administered to 13 staff members who work in the clinical field. Measurements in the hip and knee joints of seven participants were taken by three testers, and intraclass correlation coefficients (ICC) were obtained to assess reliability. Results showed that SG was superior in terms of appearance, weight, texture, portability, usability, versatility and readout. SG was inferior in terms of setting up measurement axes. However, SG demonstrated high reliability even when compared to UG. The intra-and inter-rater ICC were 0.51 to 0.89 and 0.65 to 0.75, respectively.</p>
著者
古川 顕 Akira Furukawa
出版者
甲南大学経済学会
雑誌
甲南経済学論集 (ISSN:04524187)
巻号頁・発行日
vol.60, no.1, pp.45-82, 2019-09

19世紀前半のイギリスにおける通貨学派と銀行学派の論争, いわゆる「通貨論争」は, 貨幣・信用理論史における最大の論争の一つである。通貨学派(ないし通貨主義) は, 通貨の増加は, 他の事情が一定であれば, 物価の上昇をもたらし, その減少は物価の下落をもたらすという伝統的な貨幣数量説に立脚する。これに対して銀行学派(あるいは銀行主義) は, 通貨学派の見解とは逆に, 物価の騰貴あるいは下落が貨幣数量に影響を及ぼすとみなし,実証的な歴史研究に基づくものであると主張する。この銀行学派の主張を代表するのがトーマス・トゥーク(Thomas Tooke) である。トゥークによれば, 物価の騰落は, 銀行券の流通高の変化に先行し, 銀行券流通高は「物価の騰落」ないし「取引の必要」によって決定される。トゥークは, 母国イギリスを対象とする精緻な実証分析によってこの推論を裏付けるのである。
著者
森田 沙斗武 西 克治 古川 智之 一杉 正仁
出版者
一般社団法人 日本交通科学学会
雑誌
日本交通科学学会誌 (ISSN:21883874)
巻号頁・発行日
vol.15, no.3, pp.38-43, 2016

近年、わが国では高齢化が大きな社会問題となっており、65歳以上が人口の25.0%を占める。さらに、近年一人暮らし世帯の割合が著明に増加しており、一人暮らし高齢者は4,577,000人と高齢者人口の15.6%を占める。孤立死についての確固たる定義はないが、内閣府の高齢社会白書には「誰にも看取られることなく息を引き取り、その後、相当期間放置されるような悲惨な孤立死(孤独死)」と表現されている。これまでの報告では「独居の在宅死」を孤立死として取り扱っていることが多いが、孤独死の本質的な問題点は社会からの孤立である。我々は社会からの孤立の程度は、死後から発見までの時間を指標にできると考えた。すなわち、これまでの報告が「誰にも看取られることなく息を引き取る」ことに注目していたのに対し、我々は「相当期間放置される」ことに注目し高齢者の孤立死に対する調査を行った。2010年4月から2012年3月の3年間に大阪府監察医事務所で行われた死体検案例のうち、筆者らが実務を遂行した症例から自殺症例を除外した65歳以上の高齢者448例について、死後発見時間にフォーカスを当て、性別、同居・独居の別、年齢、死亡から発見までの時間、最終通院から死亡までの時間、発見に至った経緯、死因に関して検討を行った。また、その中で通院歴が明らかとなった242例について最終通院から死亡までの時間を抽出し、評価を行った。その結果、高齢者は若年者に比べて必ずしも孤立死が増加しているのではないことが明らかとなった。孤立死の危険因子としては、男性、無職、独居が挙げられ、また、医療機関を頻回に受診すると死後発見時間が短くなる傾向が判明した。現代において高齢者の一人暮らし世帯の増加は不可避であり、我々は孤立死を減少させる取り組みの本質は死後発見時間の短縮であると考える。その上で、高齢者に就労の場、かかりつけ医制度の充実、ヘルパーの積極的な訪問などの対策を提唱する。
著者
山本 勇樹 森元 慶三 北村 諭思 米谷 智樹 古川 壮彦
出版者
一般社団法人日本医療薬学会
雑誌
医療薬学 (ISSN:1346342X)
巻号頁・発行日
vol.37, no.10, pp.567-571, 2011 (Released:2012-10-11)
参考文献数
12

The hepatitis B virus (HBV) is a serious concern for people at high risk of exposure to blood in their work because it is very infectious. While infection can be prevented by acquiring antibodies from hepatitis B vaccine, there are low responders and non-responders to the vaccine.We examined 2 possible methods of overcoming this problem: performing an additional vaccination with a different type of vaccine and carrying out 2 additional vaccinations at monthly intervals. Regarding the former method, an additional vaccination with a different vaccine type was carried out for a subject who could acquire no antibodies after undergoing 2 series of 6 vaccinations and who had not had any antibodies to hepatitis B for about 10 years. One month later, the passive hemagglutination test (PHA test) showed that the subject had obtained a 512-fold increase in the number of antibodies. As for the latter method, 3 of 5 non-responders acquired antibodies. Also, 5 of 6 subjects who were less responsive to the vaccine acquired antibodies and maintained them for at least 3 years.We intend to improve immunization coverage by using the methods examined in this study.
著者
松尾 達彦 新田 收 信太 奈美 古川 順光
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2016, 2017

<p>【はじめに,目的】</p><p></p><p>心拍数調節は,交感神経と副交感神経の二重支配を受け,運動強度に比例して増加する。しかし,心臓への交感神経支配に障害のある頸髄損傷患者は心拍数の上限が低いことが知られている。そこで,激しい運動量が求められる車椅子スポーツにおいて,脊髄の損傷レベルによる心拍数変化の違いを明らかにすることを目的とした。</p><p></p><p>【方法】</p><p></p><p>1.対象</p><p></p><p>対象は,車椅子ラグビー選手9名(頸髄損傷,以下頸髄群),車椅子バスケットボール選手14名(胸腰髄損傷,以下胸腰髄群)とした。男性のみで,頸髄群の平均年齢(SD)[歳]は26.3(3.8)歳,胸腰髄群は26.4(4.0)歳だった。</p><p></p><p>2.方法</p><p></p><p>心拍センサーPolar Team Pro(ポラール・エレクトロ・ジャパン株式会社)を装着させ,体育館内で平均約4時間,試合形式の練習をさせ,1秒毎の心拍数(SD)[回/分]を測定した。安静時1分間の心拍数の平均値を安静時心拍数,練習中で最も高い心拍数を最大心拍数とした。</p><p></p><p>統計解析は,最大心拍数を従属変数,頸髄群・胸腰髄群の2群を対応の無い要因,安静時・練習中を対応のある要因とし,二元配置分散分析およびBonferroni法による単純主効果の検定を行った。解析はIBMSPSSver22を用いた。有意水準を5%とした。</p><p></p><p>【結果】</p><p></p><p>I.分散分析結果</p><p></p><p>群間比較では,安静時心拍数と最大心拍数は,どちらも頸髄群が有意に低値を示した。前後比較では,頸髄群と胸腰髄群は,どちらも練習中に有意に高値を示した。さらに交互作用が有意であり,練習による心拍数変化が,頸髄群,胸腰髄群で有意に異なることが示された。</p><p></p><p>II.単純主効果の検定</p><p></p><p>単純主効果においては,安静時・練習中,および頸髄群・胸腰髄群の全ての組み合わせにおいて有意差が示された。頸髄群の安静時心拍数の平均値は78.78(10.23)回/分,胸腰髄群は89.43(6.82)回/分であった。頸髄群の最大心拍数の平均値は141.00(19.22)回/分,胸腰髄群は181.36(7.15)回/分であった。</p><p></p><p>【結論】</p><p></p><p>最大心拍数は,頸髄群が有意に低値を示した。心拍数は,Th1-Th4の高さにある交感神経の興奮によって増加するが,頸髄群は中枢から心臓への神経が頸髄で障害されている。しかし,副交感神経による抑制を解くことで,心拍数が120回/分前後まで増加することが報告されている。そのため,頸髄群は胸腰髄群より低値だが,競技中に心拍数を増加させることができたと考えた。</p><p></p><p>一方,安静時心拍数も頸髄群が低値を示した。これは,残存している筋の差により頸髄群の方が必要なエネルギーが少なくて済むのではないかと考えた。また,神経性調節による心拍数コントロールに限界がある頸髄群は,液性調節による心拍数コントロールを優先している可能性があると考えた。</p>
著者
古川 貢
出版者
分子科学研究所
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2004

現在までに,ミクロンスケールの人工周期構造を有する強磁性パーマロイ(Fe_<20>Ni_<80>)の人工格子薄膜のX-band強磁性共鳴スペクトル測定により,2つの新しいモードが生じることを明らかにしてきた.このモードは,ミクロスコピックとマクロスコピックの中間領域であるセミマクロスコピックな量子機能と捉えることができ,このモードの詳細を解明することが目的である.そこで本研究ではESRイメージングという方法で,セミマクロスコピックスケールの新規量子磁気モードを可視化することを試みた.より大きな磁場勾配を作ることが,イメージングの分解能に直結する.高分解能ESRイメージングに必要な,大きな磁場勾配を作成するために,磁場勾配用コイルを検討した.単純なアンチヘルムホルツコイルでは勾配磁場の均一領域を稼ぐことができないことが明らかになった.つまり限られた空間のみを使用するためにイメージングを行うのに解像度が低くなるために不利である.そこで,MRIで開発された方法であるターゲットフィールド法を用いて最適な磁場勾配用コイルの形状を求めた.この方法を使用することで勾配磁場の均一な空間を大きく確保することに成功した.しかし,(1)ESR線幅が数百ガウス程度あること,(2)反磁場の影響でシグナルが大きく低磁場へシフトしてしまうという2点から,十分な分解能が得られない.これを回避するためには,高磁場ESRと高磁場勾配を組み合わせる高分解能ESRイメージングシステムの開発,もしくは,適当な物質を開拓する必要がある.そこで,高分解能ESRイメージングを目指して,Q-band ESRを使用した磁場勾配用コイルを開発へと発展させる予定である.
著者
内山 光 古川 浩二郎 福田 倫史 平田 雄一郎 恩塚 龍士 田山 栄基 森田 茂樹
出版者
特定非営利活動法人 日本心臓血管外科学会
雑誌
日本心臓血管外科学会雑誌 (ISSN:02851474)
巻号頁・発行日
vol.50, no.4, pp.235-239, 2021

<p>冠動脈大動脈起始異常症は比較的稀な先天性冠動脈異常である.心筋虚血や心室性不整脈が問題となるが,初発症状が心停止である例が約半数との報告もある.しかし,かかる病態に対する手術適応や手術術式に関して不明な点も多い.今回,右冠動脈大動脈起始異常症に対して外科治療を行い良好な結果を得たので報告する.繰り返す胸部圧迫感を主訴とする47歳男性に精査を行ったところ,右冠動脈が左バルサルバ洞より分岐する右冠動脈大動脈起始異常症であった.血液検査,心電図,心臓カテーテル検査を含め客観的な心筋虚血所見を認めなかったものの,右冠動脈の比較的急峻な大動脈からの起始角度,両大血管間に挟まれた走行形態が胸部症状に関与している可能性と,突然死の可能性が否定できなかったため,手術の方針とした.手術は右冠動脈移植術を施行した.画像上良好な結果が得られ,術後一年の現在,胸部症状の再燃なく外来経過観察中である.</p>