著者
吉本 隆哉 杉田 早登 竹内 郁策
出版者
日本スポーツパフォーマンス学会
雑誌
スポーツパフォーマンス研究 (ISSN:21871787)
巻号頁・発行日
vol.14, pp.39-44, 2022 (Released:2022-03-25)
参考文献数
15

本研究では,ハンマー投げを模したスイングトレーニングが,外側腹筋群の形態とスイング速度に与える影響を明らかにすることを目的とした.被検者は,大学硬式野球部に所属する野手17名(年齢19.5 ± 1.5歳,身長169.8 ± 4.0 cm,体重66.9 ± 6.4 kg)とし,トレーニング群8名とコントロール群9名に分けた.スイング速度の測定は,慣性センサユニット,アタッチメントおよびスマートフォンのアプリケーションから構成されるバットスイング解析システムを用いて測定した.加えて,踏み出し脚側の外側腹筋群(外腹斜筋,内腹斜筋および腹横筋)の筋厚を測定した.トレーニングは,5 kgメディシンボールとネットを組み合わせたものを用い,ハンマー投げのトレーニングを模した上肢および体幹を回旋させながら歩行するスイング歩行を実施した.その結果,スイング速度は両群間で有意な交互作用が認められ,トレーニング群のみ有意な増大がみられた.以上のことから,ハンマー投げを模した体幹回旋トレーニングは,野球のバッティングにおけるスイング速度の向上に有効となることが明らかとなった.
著者
山下 晃徳 吉本 賢隆 岩瀬 拓士 渡辺 進 霞 富士雄
出版者
Japan Surgical Association
雑誌
日本臨床外科医学会雑誌 (ISSN:03869776)
巻号頁・発行日
vol.55, no.11, pp.2726-2731, 1994-11-25 (Released:2009-01-22)
参考文献数
18
被引用文献数
5 4

われわれは嚢胞内乳癌の臨床病理学的特徴をあきらかにする目的で,嚢胞内乳癌と嚢胞内乳頭腫の鑑別診断の可能性,嚢胞内乳癌の嚢胞周囲の乳管内進展を含めた病理組織学的特徴について検討した. 嚢胞内乳癌と嚢胞内乳頭腫との鑑別の可能性は,嚢胞内乳癌31例,嚢胞内乳頭腫23例を年齢,腫瘍径,超音波像などについて比較してみた.嚢胞内乳癌の乳管内進展については, 5mm幅の全割病理組織切片を作成して,癌の広がりをマッピングした. 嚢胞内乳癌は嚢胞内乳頭腫に比べ高齢者に多く, 60歳以上の嚢胞内腫瘍は癌である場合が多かった.また超音波像での両者の鑑別には,嚢胞内の腫瘤の辺縁の形状が大切で,辺縁の不整なものは癌に多いことが分かった. また嚢胞内乳癌は非浸潤癌が多く,腋窩リンパ節への転移も少ないが,乳管内の進展についてみると,約4割の症例が嚢胞壁より2cm以上乳管内を進展していた.
著者
酒井 翠 中野 高志 丸野 由希 岡田 剛 高村 真広 岡本 泰昌 山脇 成人 吉本 潤一郎
雑誌
2018年度 情報処理学会関西支部 支部大会 講演論文集 (ISSN:1884197X)
巻号頁・発行日
vol.2018, 2018-09-21

うつ病に関連する脳の構造的異常についてこれまで様々な報告がなされてきたが、治療効果や環境的要因の影響も大きく、バイオマーカになり得るだけの決定的な結論には未だ至っていない。本研究では、治療効果の影響が少ないと考えられる抑うつエピソード発症早期のうつ病患者群と健常対照群の脳の構造的な差異についてvoxel-based morphometry (VBM)法を用いて解析し、先行研究の再現性を検証した。
著者
二宮 嘉行 栁原 宏和 吉本 敦
出版者
FORMATH研究学会
雑誌
FORMATH (ISSN:21885729)
巻号頁・発行日
vol.6, pp.43-56, 2007 (Released:2020-06-05)
参考文献数
15

林分内の間伐効果・競合効果・成長パターンの異質性などを検知する問題では, 非正則モデルに基づく分析が必要となるが, それらの分析手法には通常の統計理論を適用することはできない. 状況や検証したい仮説により使用する非正則モデルは異なり, 今までの非正則モデルに基づく分析では, それらのモデルごとに性質が議論されてきた. しかしながら, 近年それらを統一的に扱う理論が発展されつつある. 本論文では, 非正則モデルの主である局所錘モデルにおける検定問題に注目し,通常の検定とどう異なるかを説明し, 林分成長分析におけるその必要性について検討する.
著者
吉本 康子
出版者
Institute for Cultural Interaction Studies, Kansai University
雑誌
文化交渉による変容の諸相
巻号頁・発行日
pp.223-247, 2010-03-31

This study aims to consider the process of the negotiation among various relations over a religion or religious practices through a case of Islam in southern part of Vietnam. About 67,000 muslims in Vietnam are composed of various ethnicities such as the Cham and the immigrants from India etc. This study examine how negotiations have been performed over Islamness and ethnic elements through the case of the Cham Muslim who are the majority group of people among Muslims in Vietnam. In this case, I will focus on three kinds of relations; relation among the Cham, relation between the Cham Muslim and the other Muslim, and relation between Nation state and religious group or ethnic group. The first focus is applied to the religious practice of Cham Bani, who is one type of “Muslim” in Vietnam. Then, I will examine a Islamic movement among Cham Bani occurred from 1960’s — when the Cham based Islam organization established in Saigon (present Ho Chi Minh City) — until now. And then, I will examine how the Cham or Muslim have been located under the state policy on religion. Finally, how “Islamness” in Vietnam today formed through those relations and negotiations will be discussed.
著者
安積 典子 秋吉 博之 吉本 直弘 生田 享介 川上 雅弘 深澤 優子 萩原 憲二 種田 将嗣
出版者
大阪教育大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2020-04-01

小学校教員を志望する学生の大半はいわゆる文系型に属し,理科や科学の非専門家であるにも関わらず,教師就職後は理科の授業・実験を行わなければならない。そのために教員養成課程の理科教員は,理科に関する知識や関心が低い学生に対して,限られた時間で理科授業のための職能教育を行わねばならない。本研究では教員養成系大学に特有のこの課題を,科学の専門家と非専門家の間のコミュニケーションの視点から分析する。その結果を踏まえ,課題解決の手段として,小学校理科教員を目指す理科専攻以外の学生の文脈に沿った教科書コンテンツを作成する。
著者
吉本 多栄子 Taeko YOSHIMOTO
雑誌
神戸女学院大学論集 = KOBE COLLEGE STUDIES
巻号頁・発行日
vol.49, no.1, pp.113-123, 2002-07-20

This paper examines the Japanese Supreme Court decision: Kadokichi Co., v. Hiroshima, 29-4 MINSHU 572, (Sup. Ct., April 30, 1975) regarding restricting locations of phamacies. The case the court decision was made based on the dichotomy of positive purpose and passive purpose theories. This paper discussed about the government regulations on the right to choose one's own occupation and the right to own property. These are two of the most fundamental human rights. The logics and reasoning of restrictions on economic freedom is also reviewed in this paper.
著者
吉本 弥生
出版者
独立行政法人 石川工業高等専門学校
雑誌
石川工業高等専門学校紀要 (ISSN:02866110)
巻号頁・発行日
vol.51, pp.25-30, 2019 (Released:2020-01-17)
参考文献数
13

本稿では、三島由紀夫『近代能楽集』より戯曲「卒塔婆小町」を取り上げ、同時代及び、謡曲「卒塔婆小町」との比較から、三島由紀夫の作品世界を考察した。特に、原曲の百夜通いを遂げることのできなかった深草少将の無念が小町に憑依する場面について、これと戯曲における「老婆」の小町像を比較 し、分析した。 他に、三島の作中に登場する「百年」に注目したところ、夏目漱石の「夢十夜」とモチーフが重なったことから、これについても触れ、三島由紀夫が夏目漱石から受けた影響を検討した。その結果、「卒塔婆小町」には、謡曲との関連同様、漱石の作品とのつながりも見ることができたのである。
著者
池田 秀敏 吉本 高志
出版者
東北大学
雑誌
萌芽的研究
巻号頁・発行日
2000

民族進化の歴史と家族性モヤモヤ病の地誌的分布とに共通項があるか否がを明らかにすることを研究目的とした。民族の進化の跡を追跡する手段として、ミトコンドリアDNAの塩基変化を比較検討を行なった。これは、ミトコンドリアDNAが、主に母系遺伝をするがために、母系のルーツを探ることができるためである。また、Y染色体の染色体多型を用いて、父系系譜よりルーツを探った。家族性モヤモヤ病患者58名(男性16名、女性42名)と、モヤモヤ病がないと判断された健康人60名を対象とした。Y染色体の解析は、DYS287(YAP)locusと、DYS19locusとを行った。この解析結果から、父系には、大きく2つのルーツからの流れがあることが判明し、コントール集団と比べ、集積性があることが判明した。また、ミトコンドリアD-ループ領域のhypervariable region IIの(MT3)の検討を行った。ヌクレオチドは、Cambridge Reference Sequence(CRS)の93-110番及び、326-307番に相応している。家族性モヤモヤ病患者群では、MT3の塩基配列の違いがら見て10個のハプロタイプが存在したのみであったが、コントロール群では、30個のハプロタイプが見られた。また、平均塩基置換数を見ると、家族性モヤモヤ病群とコントロール群とでは、有意差が見られた(P<0.0001)。以上から、家族性モヤモヤ病には、ルーツがあり、モンゴロイドの移動進化とともに地球上に分布したと考えれた。
著者
濱地 正嵩 吉本 則子 山本 修一
出版者
一般社団法人 日本食品工学会
雑誌
日本食品工学会誌 (ISSN:13457942)
巻号頁・発行日
vol.18, no.4, pp.187-191, 2017-12-15 (Released:2017-12-29)
参考文献数
17

拡散係数(分子拡散係数あるいは相互拡散係数)Dmは,クロマトグラフィーや乾燥などさまざまな分離操作・装置の設計に必要な重要な物性値である.また,物質の大きさを知るための重要な情報でもある.拡散係数の測定のために,さまざまな方法が開発され使用されているが,とくに分子量の大きいタンパク質やDNA,さらにはバイオナノ粒子のDmは,ほとんど報告されていない.本研究では,タンパク質および修飾タンパク質(PEG化タンパク質)のDmを比較的簡単な測定操作と装置が簡便である細管内層流速度分布を利用したTaylor法と動的光散乱法で測定した.どちらの方法でもほぼ同じDm値を得ることができた.ただし,それぞれの方法には特徴と問題点があるので,よく理解して相補的な方法として使用することが望ましい.
著者
増田 啓子 古寺 浩 東 珠実 柿野 成美 鈴木 真由子 田崎 裕美 吉本 敏子 村尾 勇之
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.55, pp.63, 2003

【目的】学校教育法の一部改正に伴い、大学が文部科学相の認証を受けた認証評価機関による第三者評価を定期的に受けることが制度化された。実際の施行は平成16年度からで、当初は対象となる専門分野がある特定の分野に限られるものの、今後、様々な専門分野の教育・研究の質を個々にどのような認証評価機関が、どのような手続きにより、どのような基準によって評価するのか大変注目されるところである。本報告では、わが国における大学評価の全般的な現状をふまえながら、報告者らの研究グル-プがこれまでに明らかにしてきたアメリカ家政学会による認定活動に関する研究成果と、わが国においてすでに実施されている特定専門分野における認定活動における評価基準および、認定組織・手続きを比較・分析することにより、わが国で大学に対する専門分野別第三者評価が現実のものとなった場合の家政学分野における諸課題を見出すことを研究の目的とする。【方法】学校教育法の改正内容と特にその経緯を中教審などの公表資料(議事録など)から明らかにするとともに、アメリカ家政学会が発行している専門分野別基準認定手引書、日本技術者教育認定機構(JABEE)の同様な手引き・申請書式などから認定評価基準・認定組織・申請から認定取得に至る手続きを明らかにし、両者のそれを比較・分析する。【結果】比較した日米両組織が設定する認定評価基準は、教育プログラムの構造をはじめ細部にわたるもので、中教審の議論にもみられたように大学による自由な教育権との関係を明確にする必要がある。改名・改組という流れの中で、わが国の家政系学部・学科構成は多様化しており、特定専門職者育成に関わる分野に比して基準策定・適用が困難である。
著者
吉本 弘満
出版者
岡山医学会
雑誌
岡山医学会雑誌 (ISSN:00301558)
巻号頁・発行日
vol.72, no.1, pp.359-380, 1960

The author performed quantitative analyses of the amount of urine excreted, the urine density, pH's, microprotine content, urine protein content, the amount of Donaggio reaction-positive substance, urine creatinine, uric acid, urine lactic acid, urine phosphoric acid, and the urine calcium content in the urine before and after work, selected from various groups of persons such as a group of marathon runners, a group of soldiers marching, and a group of ammunition carriers; and obtained the following results.<br>1. In the group of marathon runners whose work is thought to be relatively intense and of a comparatively short duration there can be recognized a rapid decrease in the urine content, an increase in the amount of urine microprotein and in urine protein-positive cases, an increase in the hourly excretion of Donaggio reaction-positive substance, a rapid increase in the density and hourly excretion of lactic acid, a slight decrease in the density and the hourly excretion of creatinine, an increase in the density and hourly excretion of phosphoric acid, and a decrease in the density and hourly excretion of calcium.<br>Judging these estimated values stoistically, it has become possible to obtain significant values in the Donaggio reaction and in the lactive acid with an error of less than one per cent in the hourly excretion contents and similarly significant values in the mucoprotein and phosphoric acid contents under 5 per cent deviation.<br>2. In the marching which is relatively of an intermediate degree of fatigue and of a longer duration, there can be observed a decrease in the quantity of urine, an incrase in the urine density, acidification of the pH, increase in the protein-positive cases, a transient increase and decrease in the excreation of creatinine and the hourly excretion amount, stability of the density and houly excretion of uric acid, a transient increase in the early stage uric acid, and a transient increase in the density and excretion of phosphoric acid. Namely, the substance estimated in this group tend to iucrease at an early stage of the marching but in the terminal stage they tend to return to the normal values.<br>3. In the group of munition carriers whose work is successive from day to day and is of a high degree, there can be recognized a tendency of relatively little change in the urine pH's, an increase in the donaggio value, a transient increase in the density and hourly excretion of creatinine, and also an transient increase in the quantity and hourly excretion of uric acid, revealing a tendency to become orientated to the daily successive labor.
著者
吉本 弘満
出版者
岡山医学会
雑誌
岡山医学会雑誌 (ISSN:00301558)
巻号頁・発行日
vol.72, no.1, pp.359-380, 1959-12-30

The author performed quantitative analyses of the amount of urine excreted, the urine density, pH's, microprotine content, urine protein content, the amount of Donaggio reaction-positive substance, urine creatinine, uric acid, urine lactic acid, urine phosphoric acid, and the urine calcium content in the urine before and after work, selected from various groups of persons such as a group of marathon runners, a group of soldiers marching, and a group of ammunition carriers; and obtained the following results. 1. In the group of marathon runners whose work is thought to be relatively intense and of a comparatively short duration there can be recognized a rapid decrease in the urine content, an increase in the amount of urine microprotein and in urine protein-positive cases, an increase in the hourly excretion of Donaggio reaction-positive substance, a rapid increase in the density and hourly excretion of lactic acid, a slight decrease in the density and the hourly excretion of creatinine, an increase in the density and hourly excretion of phosphoric acid, and a decrease in the density and hourly excretion of calcium. Judging these estimated values stoistically, it has become possible to obtain significant values in the Donaggio reaction and in the lactive acid with an error of less than one per cent in the hourly excretion contents and similarly significant values in the mucoprotein and phosphoric acid contents under 5 per cent deviation. 2. In the marching which is relatively of an intermediate degree of fatigue and of a longer duration, there can be observed a decrease in the quantity of urine, an incrase in the urine density, acidification of the pH, increase in the protein-positive cases; a transient increase and decrease in the excreation of creatinine and the hourly excretion amount, stability of the density and houly excretion of uric acid, a transient increase in the early stage uric acid, and a transient increase in the density and excretion of phosphoric acid. Namely, the substance estimated in this group tend to iucrease at an early stage of the marching but in the terminal stage they tend to return to the normal values. 3. In the group of munition carriers whose work is successive from day to day and is of a high degree, there can be recognized a tendency of relatively little change in the urine pH's, an increase in the donaggio value, a transient increase in the density and hourly excretion of creatinine, and also an transient increase in the quantity and hourly excretion of uric acid, revealing a tendency to become orientated to the daily successive labor.
著者
吉本 たいまつ
出版者
青土社
雑誌
ユリイカ (ISSN:13425641)
巻号頁・発行日
vol.39, no.7, pp.106-112, 2007-06
著者
飛田 篤子 吉本 照子
出版者
千葉看護学会
雑誌
千葉看護学会会誌 (ISSN:13448846)
巻号頁・発行日
vol.26, no.1, pp.87-96, 2020-08

[要旨] 在宅終末期がん療養者(療養者)が他者との関係性の中で主体性を発揮していく過程を支える訪問看護モデル(モデル)の有用性・実用可能性の検証を目的とした。二つの研究で構成し,研究1では熟練訪問看護師10名の語りからモデル原案を作成し,終末期ケアに関する実践・研究実績を有する訪問看護師,研究教育者5名による専門家会議で精錬した。モデルは,療養者の主体性発揮の状況として「療養者の主体性発揮の変容過程」7局面,各局面の下位29項目,看護支援の手がかりとして「各局面での看護支援」の看護支援の目標(大項目)7項目,看護支援の下位目標(中項目)22項目,下位目標を達成するための思考と行動の例示(小項目)53項目で構成した。研究2ではモデルを試用して訪問看護師(看護師)が療養者を支援し,有用性と実用可能性を検証した。3つの訪問看護ステーションにおける自立して訪問看護を提供しうる看護師8名が,療養者4名を支援した。看護師は医療者の判断と異なる療養者の意思等に対し,療養者の言動から能動的に主体性発揮の状況を捉えるように変化し,療養者の主体性発揮を支持し,全療養者から協働者と認められた。全療養者の主体性発揮の局面の進展がみられ,治療や生活に対する意思を表出した。看護師はチーム内でのケア方針の統一,療養者とのコミュニケーションの促進等へのモデル活用の意思を示した。以上より,有用性,実用可能性があると判断した。