著者
小林昭夫吉田昌弘
出版者
安全工学会
雑誌
安全工学 (ISSN:05704480)
巻号頁・発行日
vol.14, no.6, pp.421-428, 1975-12-15 (Released:2018-06-30)

高度成長の影に種々の弊害が残り,河川の汚濁もその1つである,具体的な対策として工場廃水規制,下水道の整備などがとられているが,都市近辺の河川を昔に戻すには,今後一層の努力が必要である.河川の自浄作用には酸化などの溶存酸素が要因となるものと,沈澱などのそれ以外のものに分類できる.汚濁物が河川の自浄能力以上になると溶存酸素量が少くなり,魚の生息どころか悪臭さえ発散するよう になる.それらの浄化対策としては,沈澱した底泥はしゅんせつによって取り除き,化学的・土木的・機械的な方法で,再曝気をはかる必要がある.その実施例として,和歌川のしゅんせつ,山谷堀川築地川の悪臭防止をとり上げ,酸素による河川浄化法について説明する.
著者
石浦 良平 飯田 拓也 柿木 章伸 安藤 瑞生 吉田 昌史 齊藤 祐毅 山岨 達也 光嶋 勲
出版者
日本頭頸部癌学会
雑誌
頭頸部癌 (ISSN:13495747)
巻号頁・発行日
vol.43, no.1, pp.76-78, 2017-04-25 (Released:2017-06-16)
参考文献数
7

外耳道癌は稀かつ予後不良な疾患である。その危険因子として過剰な耳かきが臨床上推測されているが,統計学的に検討した報告は少ない。今回,我々は当科で加療を行った外耳道癌患者14例を対象とし年齢,性別,耳かき頻度,耳かきに使用する道具の材質,罹患側,病理組織について検討した。また,本研究に同意を得た健常人69名を対象とし,年齢,性別,耳かき頻度,耳かきに使用する道具の材質について調査し患者群と比較検討した。その結果,50歳未満の若年群における患者群と健常人群間において,有意に耳かき頻度,および硬質素材を用いる率が高かった。今回の結果から,過剰な刺激の耳かきが外耳道癌発生を誘発する可能性が示唆された。
著者
吉田 昌義
出版者
信州短期大学
雑誌
信州短期大学研究紀要 (ISSN:09182780)
巻号頁・発行日
vol.13, pp.7-12, 2001-12-25

米国における同時多発テロ事件の発生が世界を震憾させた。ブッシュ米大統領は本件を「新たな戦争」(New War)と定義し、テロリズムヘの徹底抗戦を宣言した。同大統領が今回のテロ事件を「新たな戦争」と決めつけた意義は、一定のルールに則った20世紀的な国と国との戦争の概念を越えた21世紀的な戦争が始まったというところにある。「一国に対する攻撃は全世界に対する攻撃」であると断じ、直ちに戦闘態勢を整えた。日本も「遅ればせながら」(at the eleventh hour)対応策を講じようとしている。"An attack on one is an attack on all" というブッシュ大統領の演説のフレーズから即興的に借りて彼の演説中に取り入れたという小泉総理の国会答弁を聞くに及び、余りにも不用意な発言に限りない落胆の念を禁じ得なかった筆者である。総理のワシントンでの演説は、従来の憲法解釈を根底から覆す意味内容を包含しており、憲法で禁止しているといわれる「集団的自衛権の行使」を容認するものである。今回の同時多発テロ事件をめぐり日本の国際貢献活動を拘束してきた日本国憲法と国連憲章の矛盾を指摘し、国連加盟国日本の取るべき道は国際法優位の立場を踏まえながら、日本が超憲法的な対応策を採るべき時にきていることを強調した。「時は日本を待ってくれない」、それが日本を取り巻く今日の国際情勢である。
著者
吉田 昌平
出版者
The Linguistic Society of Japan
雑誌
言語研究 (ISSN:00243914)
巻号頁・発行日
vol.1990, no.97, pp.95-123, 1990-03-25 (Released:2010-11-26)
参考文献数
26

The purpose of this paper is two-fold. First, I will discuss how the possible configurations of syllable constituents are made up, and how these constituents are stitched together to form possible words. Second, I will discuss certain aspects of Japanese phonology in an attempt to show that various phonological events may be successfully explained on the basis of ‘principles and parameters’. This paper is couched in the framework of the government phonology, which has no rule component but sees government as the motor which drives phonological phenomena.
著者
伊藤 栄作 大平 寛典 斉藤 庸博 柳 舜仁 筒井 信浩 吉田 昌 柳澤 暁 山内 栄五郎 鈴木 裕
出版者
一般社団法人 日本消化器外科学会
雑誌
日本消化器外科学会雑誌 (ISSN:03869768)
巻号頁・発行日
vol.49, no.9, pp.850-856, 2016-09-01 (Released:2016-09-22)
参考文献数
19
被引用文献数
1 3

症例は53歳の女性で,胃癌に対して腹腔鏡補助下胃全摘術を施行した.再建は機能的端々吻合によるRoux-en Y再建を行った.術後,食道空腸吻合部の屈曲による通過障害を発症し,内視鏡的な処置を繰り返し行ったが改善を認めず,術後1年の時点で磁石圧迫吻合術(山内法)を施行した.術後経過は良好で食事摂取可能となった.自験例での通過障害の原因としては,吻合部が縦隔内へ引き込まれたこと,盲端のステープルが挙上空腸へ癒着したこと,術後に食道が短縮したことなどが考えられた.山内法は磁石を用い管腔臓器を吸着し,挟まれた組織の壊死をじゃっ起し瘻孔を形成する治療法である.自験例は食道空腸吻合部が縦隔内に近い位置に存在するため再吻合術は困難が予想された.屈曲部に対する吻合を行う場合は吻合すべき腸管同士は近接しており,山内法による空腸-空腸吻合術は良い適応と考えられた.
著者
吉田 昌郎
出版者
一般社団法人日本機械学会
雑誌
年次大会講演資料集
巻号頁・発行日
vol.2008, no.9, pp.155-156, 2008-08-02

昨年7月16日に起こった新潟県中越沖地震において東京電力(株)柏崎刈羽原子力発電所(7基、合計電気出力821.2万kw、1号基運転開始1985年9月)では当初の設計時に想定した値を上回る加速度が観察された。運転中の原子炉は瞬時に停止し、以来安全な状態に保たれ、復旧への努力が地道に続けられている。「止める、冷やす、閉じ込める」の視点からの安全性の確保及び発電所敷地内設備への影響について地震後の点検結果等も含めて具体的に紹介する。また、今後の復旧に向けた取り組みについての現状を説明する。
著者
大塚 二郎 吉田 昌史 野崎 考志 十朱 寧
出版者
公益社団法人 精密工学会
雑誌
精密工学会学術講演会講演論文集 2013年度精密工学会春季大会
巻号頁・発行日
pp.827-828, 2013-02-27 (Released:2013-08-27)

昔から同種金属同士の摺動は避けるべきとして「ともがね」と言われた。しかし、この現象を知らずに、機械を設計・製作し、失敗する例が見受けられる。ここでは、ボールねじ、リニアガイド、締結用ねじなどのともがねについて述べ、その対策を示す。
著者
吉田 真 吉田 昌弘 横山 茜理
出版者
北翔大学
雑誌
北翔大学生涯スポーツ学部研究紀要 (ISSN:18849563)
巻号頁・発行日
no.9, pp.111-120, 2018

背景と目的:多くの競技者は膝前十字靭帯再建術(ACLR)後9〜12ヶ月で競技復帰する。受傷前と同じレベルで競技復帰が成功する者もいる一方で,競技復帰後に不幸にも再受傷する者もいる。本症例報告の目的は,反対側のACLRに続いて2回目のACLRを経験した女子バスケットボール選手における競技復帰までのアスレティックリハビリテーションの過程を再考することである。症例情報:20歳女子バスケットボール選手は2年前,18歳の時,ハムストリングスの自家腱を採取した右ACLRを経験した。今回の受傷は2回目のACL損傷であり,2on2の練習中ステップ動作で急激にストップ動作をしようと左足を接地した瞬間に発生した。2回目のACLRもまた同側の半腱様筋と薄筋の自家腱を用いたSTG法で施術された。症例の目標は,膝を気にせず全日本大学バスケットボール選手権に出場することであった。術後3ヶ月の時点で,ランニングが許可され,ジャンプ,ステップ,アジリティ,プライオメトリクスエクササイズのようなアスレティックリハビリテーションは,難易度,反復回数,強度に関して徐々に展開された。選手はACLR 後9ヶ月でバスケットボール競技に完全復帰した。アウトカム:等速性筋力測定がACLR後の競技復帰における客観的指標の一つとして行われた。これらのデータでは,ハムストリングスの筋力低下やHQ比が0.6未満であったことが示された。考察:2回目のACL断裂の原因は不明である。機能的なパフォーマンスや等速性膝筋力測定の結果から,3回目のACL断裂の可能性を否定できない。そこで,再受傷予防のために,両側のハムストリングスの筋力強化,大腿四頭筋とハムストリングスの急速な筋収縮能力の向上,そして神経筋制御能力の改善が必要である。
著者
秋山 由美 齋藤 悦子 榎本 美貴 辻 英髙 近平 雅嗣 吉田 昌史
出版者
一般社団法人 日本感染症学会
雑誌
感染症学雑誌 (ISSN:03875911)
巻号頁・発行日
vol.87, no.6, pp.721-725, 2013-11-20 (Released:2015-02-18)
参考文献数
13

3種のBordetella 属菌(B. pertussis,B. parapertussis,B. holmesii)の同時検出をコンベンショナルPCR 法で試みた.4 種の挿入配列遺伝子(IS481,IS1001,IS1002 およびhIS1001)を増幅ターゲットとする 4 組のプライマーを混合したマルチプレックス法で,選択的な検出が可能となった.検出限界は 3 種の Bordetella 属菌の各 DNA 濃度として 5fg/μL であった.なお,低濃度のB. pertussis とB. holmesii の確認には,LAMP 法も併用した. 本法を 2012 年度に感染症発生動向調査の定点医療機関から百日咳疑いで搬入された病原体検査の 42 検体(咽頭ぬぐい液 23 件,鼻腔ぬぐい液 19 件)に適用し,12 検体から B. pertussis を検出した.このうち 8 検体は,保育所を中心とする集団発生事例のものである.病原体サーベイランスにおいて,本法は 3 種の Bordetella 属菌の検査を同時にかつ低コストで行うことができた.
著者
吉田 昌弘 遠藤 章 佐藤 滋朗 大畑 勉 渡辺 正敏 大山 柳太郎 古屋 廣高
出版者
一般社団法人 日本原子力学会
雑誌
日本原子力学会和文論文誌 (ISSN:13472879)
巻号頁・発行日
vol.4, no.3, pp.213-218, 2005-09-25 (Released:2009-04-21)
参考文献数
16
被引用文献数
1 1

A number of consumer's goods which contain natural uranium and thorium are circulated in the familiar living environment. Based on various kinds of information sources, 20 kinds of these consumer's goods were collected and their radioactive concentrations were measured by using ICP-MS and Ge semiconductor detector. As this result, it was found that the concentrations of uranium and thorium in the consumer's goods used at home and industries were below 34Bq/g and below 270Bq/g, respectively. Next, the concentrations of daughter nuclides were not so different from the ones of uranium or thorium, which showed that the secular radioactive equilibrium held between both concentrations.In addition, the radiation exposures for public consumer were evaluated when four kinds of typical consumer's goods frequently used in daily life are utilized. The results computed by MCNP-4C code were below 250μSv/y.
著者
東浦 晶子 西村 貴士 吉田 昌弘 西村 純子 橋本 眞里子 柴田 陽子 藤原 葵 由利 幸久 高嶋 智之 會澤 信弘 池田 直人 榎本 平之 今村 美智子 三好 康雄 廣田 誠一 飯島 尋子
出版者
一般社団法人 日本肝臓学会
雑誌
肝臓 (ISSN:04514203)
巻号頁・発行日
vol.62, no.10, pp.647-655, 2021-10-01 (Released:2021-10-06)
参考文献数
41

症例は70歳代女性.近医で多発骨転移を伴う乳癌と診断され当院紹介受診となった.パクリタキセル(PTX)による化学療法中にAST 201 U/L,ALT 35 U/LとAST優位のトランスアミラーゼ上昇を認めた.腹部超音波検査,腹部造影CT検査では異常所見は認めなかったため,PTXによる薬剤性肝障害を疑い薬剤の変更,中止をしたが肝機能障害は改善しなかった.超音波エラストグラフィによる肝硬度検査を施行したところ,TE(Transient elastography)39.1 kPa,VTQ(Virtual touch quantification)2.73 m/s,SWE(Shear wave elastography)2.54 m/sと著明な上昇を認め,肝生検を施行し,特殊型乳癌の1つである浸潤性小葉癌の肝転移と診断された.肝硬度が高値になる稀な原因として微小転移性肝癌があげられた.
著者
吉田 昌弘 菅原 一博 吉田 真 谷口 圭吾 片寄 正樹
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.25, no.4, pp.499-503, 2010 (Released:2010-09-25)
参考文献数
11
被引用文献数
1

〔目的〕超音波画像診断装置を用いて安静時と足関節前方引き出しテスト(ADT)時における前距腓靱帯(ATFL)の伸張距離の計測を行い,検者内および検者間の再現性を調べること。〔対象〕過去1年以内に足関節捻挫の既往がある大学生8名10足。〔方法〕8 MHzのリニアプローブを足関節前外側部にあて,安静時およびADT時における超音波画像撮影を行った。PC上にて距骨-外果の骨間距離をATFL伸張距離として計測し,検者内および検者間の再現性について級内相関係数(ICC)を用いて調べた。また,安静時およびADT時の距骨-外果距離を対応のあるt検定で比較した。〔結果〕安静時,ADT時ともに検者内および検者間において高い再現性が得られた。安静時の外果-距骨間距離は16.5±3.9 mm,ADT時では20.0±4.9 mmであり,両者に有意な差を認めた。〔結語〕安全性および高い再現性から,足関節捻挫群に対するADTに超音波画像を併用する定量評価の有用性が確認された。
著者
吉田 昌志
雑誌
學苑 = GAKUEN (ISSN:13480103)
巻号頁・発行日
vol.845, pp.53-64, 2011-03-01
著者
吉田 昌弘
出版者
多文化関係学会
雑誌
多文化関係学 (ISSN:13495178)
巻号頁・発行日
vol.4, pp.47-67, 2007

本研究の目的は、批判的談話分析という言語学的手法により、1918年の建国以来、多民族が共存してきた旧ユーゴスラヴィア連邦共和国の、1990年代における紛争の激化と民族浄化にまでいたった要因を解明し、将来的に類似の紛争防止に貢献することである。批判的談話分析とは、社会コンテクストや談話を分析して、その社会の共通認識やイデオロギーを考察するものである。本研究では、旧ユーゴスラヴィアの社会コンテクストを、クロアチア民族とセルビア民族の関係を歴史的に概観し、各民族指導者の他民族に対する言及を含んだ談話と紛争直前期のメディア報道の検証をおこなった。その結果、歴史的考察からは(1)第2次世界大戦以前までは、大規模な民族間の衝突は存在しなかったこと。(2)第2次世界大戦期には、旧ユーゴ紛争と類似の対立構造が存在し、同様に陰惨な民族浄化が行なわれたことが明らかとなった。また、第2次大戦期と旧ユーゴ紛争期の民族指導者の談話分析から、(1)他民族排斥イデオロギー(2)地政学的イデオロギー(3)優生学的人種イデオロギーを共有していたことが浮かび上がった。さらに、第2次世界大戦期の民族対立を利用したレトリックが、旧ユーゴ紛争に第2次世界大戦期の恐怖心を付与し、民族という枠組みで旧ユーゴ社会を「内集団・外集団」化してしまったことを検証した。以上の分析結果を総合し、(1)第2次世界大戦期からユーゴ紛争までの指導者層のイデオロギーと民族対立の構造が時間的連続性をもってこの地域に継続されていたこと。(2)連邦がひとたび崩壊すると、このイデオロギーや歴史的民族対立の記憶が表面化したこと。(3)レトリックにより生成された民族浄化国家のプロトタイプが、拡大再生産され、第3帝国と結合・巨大化し、そのプロトタイプこそが、紛争当事者に和平交渉の拒絶、他民族への憎悪の助長と排斥、徹底抗戦を促したのではないかと結論づけた。
著者
吉田 昌央 中島 公平 石河 開
出版者
公益社団法人 日本設計工学会
雑誌
設計工学 (ISSN:09192948)
巻号頁・発行日
pp.2016.2679, (Released:2016-06-09)
参考文献数
8

For an air-cooled engine, designers must choose the number of fins required for cooling, then arrange them along the cylinder at a suitable fin pitch. Most motorbikes mount their air-cooled engines at a slant, with their cylinder centralaxis not perpendicular to the air flow. This study investigated the cooling characteristics of air-cooled experimental cylinders, with various fin pitches and number of fins, mounted at tilt angles between 0°(vertical) and 90°(horizontal),in a wind tunnel at air velocities of 20km/h (5.6m/s) and 60km/h (16.7m/s). Heat release from the cylinder was measured, air flow between fins was observed using the smoke wire method, and air flow over fin surfaces wasobserved using the oil film method. Results indicated that, except at 20km/h (5.6m/s) and a pitch of 7.5mm, cylinder cooling increased as tilt angle increased from 0° to 40°, then decreased when the cylinder tilt angle exceeded 40°. Only at 20km/h (5.6m/s) and a pitch of 7.5mm, cylinder cooling increased as tilt angle increased from 0° to 30°, then decreased when the cylinder tilt angle exceeded 30°. Cylinder cooling was maximized with 7 fins pitched at 10mm.
著者
吉田 昌志
出版者
昭和女子大学近代文化研究所
雑誌
学苑 = Gakuen (ISSN:13480103)
巻号頁・発行日
no.917, pp.1-23, 2017-03-01