著者
西内 偉格 甲斐 包子 吉田 真里子 高岸 靖 山田 秀雄 永井 修吾 刈谷 巽 佐々木 緊
出版者
The Japanese Society for the Study of Xenobiotics
雑誌
薬物動態 (ISSN:09161139)
巻号頁・発行日
vol.5, no.2, pp.165-177, 1990 (Released:2007-03-29)
参考文献数
14
被引用文献数
5

The absorption, distribution, excretion and metabolism of recombinant human interleukin-2 (S-6820) were studied following intravenous or subcutaneous injection at a dose of 5×105U/kg to rats. Concentrations of S-6820 in serum, tissues and other body fluids were measured by a bioassay and an enzyme immunoassay. 1. After intravenous injection of S-6820 to rats, serum levels of S-6820 decreased biphasically and the half-lives of the α phase and β phase were 2. 4 min and 16min, respectively. 2. Absorption ratio after subcutaneous injection of S-6820 was about 37%.3. After repeated intravenous injection of S-6820 once a day for 5 days, the levels of S-6820 in serum and tissues reached the same levels as after single administration. No accumulation was observed.4. After intravenous injection of S-6820, especially high level was observed in the kidney, however, it decreased rapidly (t1/2=11min). The levels of S-6820 in the other organs (spleen, lung, heart and liver) were lower than the serum level.5. After intravenous injection of S-6820 to 20-th day pregnant rat, S-6820 in the amniotic fluid and fetus was not detected.6. After intravenous injection to lactating rats, the transfer of S-6820 from blood to milk was minimal.7. A little of S-6820 was found in the bile by EIA. S-6820 was not detected in the urine by EIA method.8. The disappearance rates of S-6820 in rats changed from t1/2(β)=0.41hr in sham operated rats to t1/2(β)=1.57hr in rats with renal excision. The kidney appeared to be the main metabolic site.
著者
古賀 彩音 本間 由香里 伊吾田 宏正 吉田 剛司 赤坂 猛 金子 正美 松浦 友紀子
出版者
日本霊長類学会
雑誌
霊長類研究 Supplement
巻号頁・発行日
vol.29, 2013

&nbsp;北海道西部でも個体数が増加しているエゾシカ(<i>Cervus nippon yesoensis</i>)は,近年札幌都市部にも出没し,自動車事故や列車との衝突事故などその被害は年々拡大している.しかし,都市部に出没したエゾシカは銃器を用いた対策などが難しく,未だ管理の有効な手立ては見つかっていない.更に,都市部に生息するエゾシカの生態に関する先行研究も極めて少なく,対策を講じるための基礎情報が不足しているのが現状である.<br>&nbsp;本研究では,都市部に出没するエゾシカの季節移動パターンと生息地利用を把握する為,札幌市に隣接する北広島市及び江別市においてテレメトリー調査とライトセンサス調査を行った.テレメトリー調査は,2012年 1月~ 2013年 3月にかけて北広島市の国有林内で生体捕獲を実施し 4頭(雄 2頭,雌 2頭)を捕獲した.捕獲した雄には VHF発信機を,雌 1頭には VHF発信機及び GPS首輪を,もう 1頭の雌には VHF発信機及び GPS首輪と膣挿入型電波発信機を装着した.放獣後,VHF発信機は三角法を用いて週 2回の頻度で位置を特定した.GPS首輪は 3~ 6時間毎に測位するよう設定し,月1回の頻度で位置データの遠隔回収を行った.ライトセンサス調査は,2008年 5月~ 2012年 12月の期間で北広島市(23.4km)と江別市(26.5km)において実施した.<br>&nbsp;結果,テレメトリー調査では 4頭全てに季節移動がみられ,そのうちの 3頭が JR千歳線と国道 274号線を横断した.また 1頭の雌は昨年利用した越冬地には戻らず,夏に利用した道立野幌自然公園内で越冬し,その後約 7km離れた札幌市厚別区に一時的に移動した.また,ライトセンサス調査では,目撃個体数は両市で増加傾向が見られ特に農地での観察割合が最も高くなった.<br>&nbsp;以上から,捕獲個体が江別市や札幌市に移動している事と,両市でエゾシカの増加傾向が示唆された事から,今後も都市部でのエゾシカによる様々な軋轢の多発が懸念される為,市の垣根を越えた「広域管理」が必要とされる.
著者
吉田 俊和
出版者
公益社団法人 日本心理学会
雑誌
心理学研究 (ISSN:00215236)
巻号頁・発行日
vol.45, no.4, pp.189-197, 1974-10-10 (Released:2010-07-16)
参考文献数
19

The purpose of the present investigation was to examine the energizing effect of cognitive dissonance. The hypothesis tested, derived from the Hull-Spence drive theory, stated: On a simple task, performance of Ss in the dissonant situation will be superior to that of Ss in the consonant situation. On a complex task, on the other hand, the reverse will be the case. Ss used were 80 7th-graders. Dissonance was manipulated by exposing each S to discrepancy between his self-image and his image held by his friends. The predicted Dissonance × Task interaction effect was nearly significant. Considering the factor of Ss' self-esteem affecting the effect of dissonance manipulated, the results obtained tend to support the hypothesis.
著者
渡邉 光男 長谷川 敏 島垣 満 橋本 知之 中村 憲明 永浦 克司 吉田 義樹
出版者
宇宙航空研究開発機構
雑誌
宇宙航空研究開発機構研究開発報告 (ISSN:13491113)
巻号頁・発行日
vol.6, pp.1-7, 2007-02

LE-7 液体酸素ターボポンプ開発の初期段階において、軸の回転速度よりもわずかに速い(軸の回転速度の約1.1〜1.3倍)回転非同期の軸振動が現れたが、インデューサ入口部のケーシング形状を変更することによりほぼ完全に抑制することができた。液体水素ターボポンプでも旋回キャビテーションによりインデューサが疲労破壊を起こしたことが、H-IIロケット8 号機のLE-7 エンジントラブルの原因のひとつとされた。インデューサに発生するキャビテーションに起因する不安定現象の解明に資するため、インデューサ入口流れを高速度ビデオ、PIVにより可視化しその検証を行った。
著者
仁平 尊明 コジマ アナ 吉田 圭一郎
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
日本地理学会発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.2007, pp.32, 2007

<BR> 熱帯湿原特有の豊かな動植物相を有することで知られるブラジル・パンタナールでは,1990年代からエコツーリズムが盛んになり,とくに欧米から多くの観光客が訪れるようになった.エコツーリズムのブームにともなって,ファゼンダの観光化や大規模なホテルの建設が進行し,生態系へのインパクトや住民生活の変化などの地域問題が顕在化した.本研究では,南パンタナールのエストラーダパルケ(パンタナール公園道路)を対象として,宿泊施設の立地展開に注目することから,パンタナールにおけるエコツーリズム発展の課題を考察する.調査を実施した時期は,2003年8月,2004年8月,2005年3月,2005年8月,2006年8月であり,調査の内容は,宿泊施設の経営者や管理者への聞き取りである.<BR> <b>研究対象地域</b> 南パンタナール(マトグロッソドスル州)のエストラーダパルケは,北パンタナール(マトグロッソ州)のトランスパンタネイラと並んで,ブラジル・パンタナールにおいて観光開発が最も進んでいる地域の一つである.エストラーダパルケは,ボリビアとの国境にある大都市・コルンバの南から湿原に入る未舗装の道路である(Fig.1).パラグアイ川の渡河点であるポルトダマンガからクルバドレイキまでは東西に走り,クルバドレイキから連邦道路262号線沿いのブラーコダスピラーニャスまでは南北に走る.総延長は120kmであり,ミランダ川,アボーブラル川,ネグロ川などの主要河川とその支流の上には87の木橋が架かる.<BR> <b>宿泊施設の分布</b> トランスパンタネイラ沿いとその近隣には,19の宿泊施設が立地する(Fig. 1).そのうち,スポーツフィッシング客を主な対象とする釣り宿は6軒(サンタカタリーナ,パッソドロントラ,タダシ,パルティクラ,カバーナドロントラ,ソネトゥール),エコツアーを提供する設備が整った大規模なホテルと民宿が3軒(パルケホテル,パンタナールパークホテル,クルピーラ),既存のファゼンダが観光化したエコロッジが5軒(ベーラビスタ,アララアズール,サンタクララ,シャランエス,リオベルメーリョ),キャンプ場または素泊まりの安い部屋を提供する民宿が3軒(エキスペディションズ,ボアソルテ,ナトゥレーザ),そのほかに,ホテルに付随した観光ファゼンダ(サンジョアオン)と大学の研修所(UFMS)がある.<BR> <b>宿泊施設の開業年</b> 1960年代と1980年代に開業した宿泊施設は,5軒が釣り宿であり,そのほか,民宿,研修所,キャンプ場が1軒づつある.1990年代に開業した宿泊施設は,ホテルが2軒,釣り宿が1軒,エコロッジが1軒である.2000年以降に開業した宿泊施設は,ファゼンダが4軒,キャンプ場などが2軒,ホテルの付随施設が1軒である.このように,エストラーダパルケの宿泊施設は,1980年代以前には大河川沿いの釣り宿,1990年代には大河川沿いの大規模なホテル,2000年以降には河川から離れたファゼンダとキャンプ場の開業に特色がある.<BR> <b>エコツーリズム発展の課題</b> 世界遺産にも登録されたパンタナールは,観光地として有名になり,観光によるバブル経済を引き起こしている.1990年代後半に宿泊施設を開業した経営者は,1haあたりの土地を230~300レアルで購入した.2001年に開業した宿泊施設の土地購入価格は,350~400レアル/haであり,2003年になると730レアル/haまで上昇した.近年では,東部海岸の大都市や外国出身の地主が増加している.また,観光客が家族から個人の若者になったことも問題である.彼らの多くは,ボリビア,ブラジル西部,パラグアイ,アルゼンチンと移動するムッシレイロ(バックパッカー)である.<BR>[本研究は,平成16・17・18年度科学研究費補助金「ブラジル・パンタナールにおける熱帯湿原の包括的環境保全戦略」(基盤研究B(2) 課題番号16401023 代表: 丸山浩明)の補助を受けた.]
著者
松村 剛志 山田 順志 吉田 英雄 楯 人士
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2012, pp.48101744, 2013

【はじめに、目的】 近年、高齢者の世帯構造は大きく変化しており、夫婦のみ世帯、単独世帯が増加している。夫婦のみ世帯で要介護者が生じた場合、「今後も二人の生活を継続したい」との希望から、配偶者が介護者になることが多いと報告されている。通所リハビリテーション(通所リハ)利用者においても、夫婦間介護形態は多く認められ、リハ・サービスの提供だけでなく、介護負担軽減も期待されている。しかし、リハ機能に特化している1時間以上2時間未満(短時間)の通所リハの場合、要介護者と介護者が物理的に離れている時間が短く、介護負担の軽減効果は小さいことが想定される。そこで今回、夫婦間介護における介護者から見た短時間通所リハ利用の意味付けの変化を明らかにし、短時間通所リハ・サービスが要介護者の生活機能を介してどのように夫婦間介護生活の安定に寄与できるのかを検討した。【方法】 対象は、夫婦間介護における要介護者がA短時間通所リハ事業所(定員20名/日)を6カ月以上利用しており、かつ2度の対面調査(平成23年9~10月と平成24年8月)が可能であった10名の介護者(うち女性6名、平均年齢73.8歳)である。利用者本人の要介護度は「3」が5名、「2」が2名、他の要介護度は1名ずつであった。 対面調査においては、録音の許可を取った後に半構成的インタビューを20~60分実施した。インタビュー終了後に、録音内容の逐語録を作成した。逐語録の中から短時間通所リハ利用に関係する語りを抽出し、修正版グラウンデッド・セオリー・アプローチ(M-GTA)を参考に質的分析を試みた。M-GTAは、逐語録の注目箇所を抽出した分析ワークシートを用いて概念生成およびカテゴリー生成を行い、得られた概念やカテゴリーから事象の説明モデルを構築する分析手法である。研究内容の質の確保には信頼性や妥当性という概念を適用できないため、複数の地域リハ従事者に分析結果を開示し、信用可能性の確保に努めた。【倫理的配慮、説明と同意】 本研究は浜松大学研究倫理委員会の承認を得た上で、対象者に対して研究者が書面での説明を行い、同意書への署名を得た。【結果】 分析の結果、16個の概念が生成され、それを9個のカテゴリーにまとめることが出来た。これらのカテゴリー名(「 」内)を用いて構築された説明モデルは以下の通りである。 夫婦間介護における介護者からみた短時間通所リハの意味付けには、「短時間通所リハ限定の利用希望」から「サービス効果の認識」を経て、「不安の相対的増加」、そして「悪くならないように個別リハを続けたい」と考えるようになるプロセスが認められた。同時に、介護者は短時間通所リハを利用することによる生活全般の肯定的変化を認識出来ているものの、家庭と施設の間におけるパフォーマンスギャップといった「要介護者の心身状況に対する不満」や「介護者自身の健康問題」の影響で、「不安の相対的増加」が生じ、個別リハの利用継続を希望するようになる様子が明確化された。サービス利用の継続は、要介護者の「状態は変わらない」という認知や「新たな身体的トラブルの発生」を招く。要介護者の「状態は変わらない」状況にあっても、「介護者の健康問題」から「不安の相対的増加」が生じる。一方、新たなトラブルの発生は直接的に「不安の相対的増加」を招くが、通所介護の追加や生活環境調整の実施等による「リハ・サービス以外の対処法を追加」することで、ニーズを個別リハの継続に留めておくことを可能にしている。【考察】 今回、短時間通所リハを利用している夫婦間介護の介護者という範囲に限定される結果ではあるが、介護者が個別リハの提供という短時間通所リハの特徴を理解した上で、将来に対する不安へ対処するために個別リハの利用継続を希望している様子が明確となった。同時に、アクシデントが発生し、個別リハで対応しきれないニーズが生じた場合、リハ・サービス以外の対処法を追加するという現実的対応を行っている様子も明らかとなった。一方で介護者がサービスの効果を認識しても、介護者自身の健康問題や要介護者への不満によって将来への不安は増加していた。このことは、要介護者のADL能力向上を働きかけるだけでは、夫婦間介護の安定は難しいことを示している。今回明らかとなった説明モデルに基づけば、要介護者のパフォーマンスギャップを埋める働き掛けや安定的な個別リハの提供に努めることが、介護者の不安感の軽減に役立つものと想定された。【理学療法学研究としての意義】 本研究は、夫婦間介護における介護者が短時間通所リハに個別リハの継続を求めている様子を明らかとした。さらに、他のサービスとの連携によって介護者の抱く不安感を軽減し得るという説明モデルを提示することが出来た。
著者
吉田 衣里 森川 優子 仲野 道代
出版者
日本小児血液・がん学会
雑誌
日本小児血液・がん学会雑誌 (ISSN:2187011X)
巻号頁・発行日
vol.55, no.3, pp.235-238, 2018 (Released:2018-10-27)
参考文献数
18

小児の悪性腫瘍の代表的な疾患である白血病あるいは固形腫瘍である横紋筋肉腫や髄芽種のうち,重度でステージが高く重症な症例においては放射線治療や大量化学療法に続き,その後に生じる造血機能不全を補うために造血幹細胞移植を行うケースが多い.造血幹細胞移植の際には,化学療法,免疫抑制剤,放射線治療を行うために,好中球がほとんど存在しない状態となり,口腔内には口腔粘膜障害が発症するリスクが最も高い.口腔粘膜障害の症状としては,発赤,出血,口内炎,潰瘍,および口角炎などがみられ,重度なものでは開口障害を生じる.口腔粘膜障害の治療としては対症療法が主となるが,周術期において早期に歯科的介入を行うことにより,症状を軽減させることが可能である.そのため,患者および保護者に口腔ケアの重要性を理解してもらうことが重要である.口腔ケアとしては,ブラッシング,含嗽,および保湿が挙げられる.さらに口腔粘膜障害は一旦消失しても慢性的に口腔内粘膜に拘縮が生じ,刷掃困難や唾液の減少による口腔内乾燥等が生じることが多くみられ,重度齲蝕や歯周病の発症がみられることもある.そのため小児においては,周術期の口腔ケアのみならず,長期にわたるフォローアップが重要である.

1 0 0 0 現代評論集

著者
吉田精一 著
出版者
旺文社
巻号頁・発行日
1960
著者
姫野 修司 小松 隆宏 藤田 昌一 富田 俊弘 鈴木 憲次 中山 邦雄 吉田 修一
出版者
公益社団法人 化学工学会
雑誌
化学工学論文集 (ISSN:0386216X)
巻号頁・発行日
vol.33, no.2, pp.122-129, 2007-03-20
参考文献数
22
被引用文献数
1 3

本研究では,二酸化炭素(CO<sub>2</sub>)/メタン(CH<sub>4</sub>)分離膜として最近開発されたDDR型ゼオライト膜を用いて様々な単成分ガスの透過やCO<sub>2</sub>/CH<sub>4</sub>混合ガスの透過を測定し,各気体の透過機構や分離機構の解明を行い,他の分離膜との性能比較を行った.<br>まず,He, H<sub>2</sub>, CO<sub>2</sub>, O<sub>2</sub>, N<sub>2</sub>, CH<sub>4</sub>の単成分ガスの透過流束を測定し,CO<sub>2</sub>は主に吸着に起因し,CH<sub>4</sub>はDDRゼオライト細孔による分子ふるいに起因する透過機構であることを明らかにした.また,加圧透過試験およびスウィープ試験による298 Kでの単成分ガスのCO<sub>2</sub>/CH<sub>4</sub>理想分離係数は供給圧力0.2 MPa,透過圧力0.1 MPaのとき最大でそれぞれ336, 170となった.<br>次に,スウィープ試験で測定したCO<sub>2</sub>/CH<sub>4</sub>混合ガス(50 : 50)と単成分ガスの透過流束および分離係数を比較した結果,すべての圧力範囲においてCO<sub>2</sub>の透過流束は混合ガスより単成分ガスの方が高く,CH<sub>4</sub>の透過流束は混合ガスと単成分ガスとで変化はなかった.さらに,混合ガスを用いた加圧透過試験では供給圧力0.6 MPaで分離係数が極大値を示し,そのときの値は106であり,スウィープ試験では供給圧力が大気圧のとき分離係数が最大値200を示し,圧力の増加に伴い分離係数は減少した.<br>本膜を近年報告されている他のCO<sub>2</sub>/CH<sub>4</sub>分離膜と性能比較した結果,CO<sub>2</sub>/CH<sub>4</sub>分離性能およびCO<sub>2</sub>透過性能ともに高いゼオライト膜であることを明らかにした.
著者
栗田 健 高木 峰子 木元 貴之 小野 元揮 吉田 典史 中西 理沙子 山﨑 哲也
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.40 Suppl. No.2 (第48回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.48101721, 2013 (Released:2013-06-20)

【はじめに、目的】われわれは過去に投球障害肘患者(以下肘群)と投球障害肩患者(以下肩群)において手内筋である母指・小指対立筋(以下対立筋群)の機能不全について検討をしたところ,肘群が肩群より有意に機能不全を認めた.さらに対立筋群機能不全を多く認めた肘群において, 非投球側に対立筋群の機能不全がある場合,投球側にも機能不全を認めた.また,この対立筋群の機能不全は,筋や骨などの成長が関与している可能性が考えられた.そのため,今回は年齢により対立筋群に機能不全の差が認められるのかどうかを検討したので報告する.【方法】対象は投球障害で当院を受診した45名の投球側45手とし,他関節の障害の合併や既往,神経障害および手術歴を有する症例は除外した.性別は全例男性で,年齢によりA群10歳~12歳,B群13歳~15歳,C群16歳~18歳の3群に分けた.評価項目は,投球時のボールリリースの肢位を想定した対立筋群テストとし,座位にて肩関節屈曲90°位にて肘伸展位・手関節背屈位を保持して指腹同士が接するか否かを観察した.徒手筋力検査法の3を基準とし,指腹同士が接すれば可,IP関節屈曲するなど代償動作の出現や指の側面での接触は機能不全とした.なお統計学的解析には多重比較検定を用い,3群間に対し各々カイ二乗検定を行い,Bonferroniの不等式を用いて有意水準5%未満として有意差を求めた.【倫理的配慮、説明と同意】対象者に対し本研究の目的を説明し同意の得られた方のデータを対象とし,当院倫理規定に基づき個人が特定されないよう匿名化にてデータを使用した.【結果】各群の人数は,A群9名,B群17名,C群19名であった.また,機能不全の発生率はA群33.3%,B群52.9%,C群47.3%であり,各群間のカイ二乗検定では,A群×B群(p=0.34)A群×C群(p=0.48)B群×C群(p=0.738)となり,すべての群間において有意差は認められなかった.【考察】一般的なボールの把持は,ボール上部を支えるために示指・中指を使い,下部を支えるために母指・環指・小指を使用している.手内筋である母指・小指対立筋は,ボールを下部より効率よく支持するために必要である.ボールの把持を手外筋群によって行うと,手関節の動きの制限や筋の起始部である上腕骨内側上顆に負担がかかることが示唆される.過去の報告から投球障害における母指・小指対立筋機能不全は投球障害肘群に多く認めることが分かっている.しかし手指の対立動作は骨の成長による影響や運動発達による影響など,年齢による影響がある可能性もあり,機能不全発生の機序までは断定できなかった.本研究の結果から,対立筋群の機能不全は年齢間差が無いことから,年齢を重ねることで機能不全が改善する可能性は否定的な結果であった.また同様に年齢を重ねることで対立筋群の機能不全が増えるわけでもなく,どの年代においても一定の割合で発生している事がわかった。この事から対立筋群の機能不全は骨の成長による影響や運動発達など成長による影響ではなく,癖や元々の巧緻性の低下などその他の要素によって発生していることが示唆された.以上により手内筋による正しい対立機能を用いたボールの把持できなければ投球動作を繰り返す中で肘の障害が発生する可能性が示唆された.その為、投球障害肘の症例に対してリハビリテーションを行う場合には,従来から言われている投球フォームの改善のみではなく遠位からの影響を考慮して,母指・小指対立筋機能不全の確認と機能改善が重要と考えられた.また障害予防の点においても,投球動作を覚える段階で手指対立機能の獲得とボールの持ち方などの指導が必要であることも示唆される.【理学療法学研究としての意義】本研究では対立筋群の機能不全は年齢による影響はないと示唆された.また過去の研究より投球障害肘の身体機能の中で手内筋である母指・小指対立筋に機能不全を多く有することが分かっている.投球障害を治療する際には、対立筋群の機能に着目することが重要と考える.また今回設定した評価方法は簡便であり,障害予防の観点からも競技の指導者や本人により試みることで早期にリスクを発見できる可能性も示唆された.
著者
吉田 稔
出版者
日本文学協会
雑誌
日本文学 (ISSN:03869903)
巻号頁・発行日
vol.38, no.12, pp.55-67, 1989-12-10

生徒が書いた詩を教室で読み合うことは、生徒相互の対話を活性化するばかりでなく、詩のもつすぐれた<表現>に眼を向けさせることで、「もう一人の自己」との対話を成立させる契機になり得る。生徒に詩の「批評」とその「感想文」や「作者の言葉」を書かせて読み合うことは、そのような対話を成立させるための有効な手段である。なお、生徒作品であるがゆえにもつ詩教材としての限界性を考慮して、須貝氏の言う通時的発見につらなるような教材を発掘することが今後の私の課題となろう。