著者
熊田 恵介 村上 啓雄 吉田 実 豊田 泉 小倉 真治 福田 充宏
出版者
一般社団法人 日本臨床救急医学会
雑誌
日本臨床救急医学会雑誌 (ISSN:13450581)
巻号頁・発行日
vol.20, no.1, pp.18-22, 2017-02-28 (Released:2017-02-28)
参考文献数
18

対象と方法:平成22年1月から平成26年12月末まで5年間の下呂市消防署管轄における入浴関連救急搬送事例と基幹病院へ搬送となった重症事例を対象に,重症度別,月別,時間帯別,要請元・発生場所別ならびに画像を含めた所見を回顧的に検討した。結果:全死亡例のうち入浴関連の割合は35.2%であったこと,月別では冬季に,時間帯別では夜間帯に重症例の発生件数が多かったこと,ホテル・旅館等と自宅等からの要請が多いこと,浴槽内での死亡例が多かったことが明らかとなった。また,重症例では血管系の内因性疾患が多く予後不良で,死後画像診断の実施率は80%で確定診断に至ったものは25.7%であった。考察:地方では温泉地など地域特性を明確化したうえで,関連諸機関が一体となった有効かつ効果的な救急医療支援策を講じておく必要がある。
著者
宇田 篤史 吉田 都 原口 珠実 櫨川 舞 水本 篤志 山本 和宏 平野 剛 内田 享弘 平井 みどり
出版者
日本病院薬剤師会
雑誌
日本病院薬剤師会雑誌 (ISSN:13418815)
巻号頁・発行日
vol.52, no.5, pp.529-532, 2016-05

現代の日本人における不眠症の有病率は、成人で約20%と言われている。睡眠治療にはベンゾジアゼピン系睡眠薬が主に使用されているが、より依存性が低い非ベンゾジアゼピン系睡眠薬として、ゾピクロン錠やエスゾピクロン錠が広く使用されている。両剤はともに味覚異常を示すことで知られているが、エスゾピクロン錠は、ラセミ体であるゾピクロンから、活性を有するS体のみを精製して開発されており、明確な違いは明らかではない。そこで本研究では、両剤の苦味を比較することを目的に検討を行った。その結果、苦味特異的な物質に反応を示す味覚センサ試験で、ゾピクロン錠がより強い苦味を示した。さらに健康成人を対象としたヒト官能試験でも、ゾピクロン錠でより強い苦味を示すことが認められた。本検討は薬剤の苦味強度を示すものであるが、エスゾピクロン錠に比べてゾピクロン錠がより強い苦味強度を有する可能性が示唆された。
著者
吉田 友彦 リム ボン
出版者
公益社団法人 都市住宅学会
雑誌
都市住宅学 (ISSN:13418157)
巻号頁・発行日
vol.2005, no.51, pp.65-70, 2005-10-31 (Released:2012-08-01)
参考文献数
7

In a decade, stores along “Shokuan-dori” street managed by Korean residents who recently came to Japan in Shinjuku-ku are rapidly increasing and it comes to be called “Korean Town in Tokyo”. This study aims to clarify the characteristics of Korean stores along the “Shokuan-dori” street through an analysis of data of real estate registration for buildings.Findings are as follows. Through an observation from roads in the district, 78 stores are identified as Korean stores and the number of buildings is 48. Korean stores are mainly found in condominium units and the number of stores amounts to over 60 percent. Korean residents and organizations purchase 10 buildings and 5 of them are owned by one company in the district. Most of buildings owned by Korean are located in eastern part of the district. From the viewpoint of sustainability of the commercial use as Korean Town in the street, location of buildings owned by Koreans and type of the store building are important in order to consider a future direction of the district.
著者
河本 大地 吉田 寛 中谷 佳子 河原 和之
出版者
奈良教育大学次世代教員養成センター
雑誌
次世代教員養成センター研究紀要 = Bulletin of Teacher Education Center for the Future Generation (ISSN:21893039)
巻号頁・発行日
vol.7, pp.177-188, 2021-03-31

本稿では、COVID-19 (新型コロナウイルス感染症) の世界的・全国的拡大による学校教育への影響をふまえた、地域学習 (郷土学習) の在り方を検討する。2020年7月19日に、「新型コロナウイルス感染症 (COVID-19) とESD地域学習―『Withコロナ』の経験を共有し『Postコロナ』に活かそう―」をテーマに、Zoomを用いたオンラインシンポジウムを企画実施した。本稿ではまず、このシンポジウムの開催経緯と内容、実践報告を示す。そのうえで、シンポジウム内でおこなわれた議論および開催後の参加者アンケートをもとに、COVID-19の流行の経験をふまえた今後の地域学習の在り方を検討する。結果は3つに大別できる。第一に、地域をめぐるフィールドワークは、地域のリアルな状況を把握するうえで重要であり、関係者の理解を得たうえで積極的に実施する必要がある。第二に、オンライン環境の活用可能性が増していることは地域学習にとって好機になる。第三に、学びの対象としてのコロナ禍が加わった。ローカルな地域の様々な要素とグローバルな要素がリンクしていること、社会構造や政治が私たちの行く末を大きく左右することが実感できる。以上を組み合わせることで、地域学習を通じて、学習者は持続可能な社会の構築を自分事にできる可能性がある。
著者
吉田 悠太 川端 二功 西村 正太郎 田畑 正志
出版者
公益社団法人 日本畜産学会
雑誌
日本畜産学会報 (ISSN:1346907X)
巻号頁・発行日
vol.92, no.1, pp.17-23, 2021-02-25 (Released:2021-04-03)
参考文献数
54

味覚は,動物の摂食行動を制御する重要な化学感覚である.産業動物の味覚受容機構を明らかにすることで,産業動物の味覚嗜好性に基づいた飼料設計が可能になると考えられる.これまでに我々は,重要な産業動物であるニワトリの味覚受容機構に関する研究を実施してきた.本稿では,これまでのニワトリの味覚研究について概説した後,ニワトリのうま味受容に関する最近の知見をまとめた.一連の研究において,ニワトリがうま味成分に対して味覚感受性を有していること,ならびにニワトリの味蕾においてうま味受容体が発現していることが明らかとなってきている.これらの研究から,ニワトリ飼料の設計においてうま味が重要である可能性が味覚受容の観点から示されている.
著者
吉田 啓一
出版者
慶應義塾大学
雑誌
三田商学研究 (ISSN:0544571X)
巻号頁・発行日
vol.1, no.5, pp.29-43, 1958-12-31

This paper is discussed on the process of the nationalization of the Bank of France and the four big deposit banks and also on the method of credit control. It was in 1936 under the government of "Front populaire" that the Bank of France started its first step to the nationalization. Since then, some attempt of reorganization was made during the World War II, but towards the end of 1945 after the "liberation", the radical reconstruction was carried out to the effect that the Bank of France was completely nationalization with other four big banks. The nationalization of the Bank of France is not entirely caused by the economic reason, but seems to be due to the social and political reason. This is clearly understood from the process of it. In this point we can say the nature of the nationalization is a little different from that of the Bank of England. The fundamental idea was to get rid of dominion upon the Bank of France by a few people and also upon the French politics and economy itself by the minority. In other words we might call it the socialization based on the socialism. Therefore the system of the control of the financial policy came to be adjusted and strengthened with the realization of the nationalization of the Bank of France. The aim of this treatise is to make clear the manifold situations which stimulated the nationalization of the Bank of France, especially its social and political back-ground, investigating the process of it.
著者
吉田 寛
出版者
千葉商科大学
雑誌
千葉商大論叢 (ISSN:03854558)
巻号頁・発行日
vol.45, no.2, pp.73-95, 2007-09

市場は自発的な交換の場として発達する。市場が効率的なのは,取引に参加する当事者双方の効用が増加する点にある。一方,政府は強制を加えて税を徴収する。税収を超えた政府支出がおこなわれた状態は,税負担を承諾していない者に税の負担を強制している状態であり,略奪がおこなわれている。アメリカ合衆国第30代大統領カルビン・クーリッジの指摘した「必要以上の税を集めるのは合法的強盗である」という状態である。市場での取引と納税者からの承諾の得られない課税が存在する経済では税率は,50%を超えてはならない。生産・交換・課税から生じる効用はマイナスとなる。生産者にとって生産は苦痛となり,生産を放棄する。税率が50%から25%の間であれば,税率を下げる減税は効用を増加する効果がある。税率40%のとき税率を1%下げると,その効用は4%増加する。税率30%のとき税率を1%下げると,効用は1.5%増加する。税率25%のとき税率を1%下げると,効用が1.0%増加する。平成19年度の国民負担率は39.7%,将来の税金を増やさないために財政赤字分も含める潜在的な国民負担率となると43.7%。減税することで経済は活性化する。国民は富み,そして税収は増加する。税を扱う能力のない行政責任者は,税を無駄に使うだけでなく社会の経済活動を阻害する。主権者は,能力のない行政責任者を止めさせることで政府の略奪を止めることができる。選挙で選ぶ行政責任者の財政運営能力を「将来の税金」という会計情報として提供することで,主権者は合理的な決定が可能となる。
著者
吉田 学誉
出版者
日本磁気共鳴医学会
雑誌
日本磁気共鳴医学会雑誌 (ISSN:09149457)
巻号頁・発行日
vol.40, no.2, pp.48-54, 2020-05-15 (Released:2020-06-15)
参考文献数
12

Contrast-enhanced magnetic resonance imaging (CE-MRI) has overcome the drawback of non-CE-MRI of incomplete image information. However, the use of contrast agents requires consideration of the side effects and accident risks during injection, and the ability to respond promptly requires knowledge of treatment and management for the same. Side effects of contrast agents and accidents during contrast injections occur with a fixed probability. Attached documents and manuals describing side effects of contrast agents are provided by pharmaceutical companies, and many hospitals prepare manuals based on such information. However, little is known about puncture accidents during contrast agent injection, and the knowledge of treatment in case of accidents is often obtained from experience. Preventive measures for accidents during contrast media injections are necessary. Here, we elaborate our ideas on these safety measures.
著者
伊藤 大輔 笈田 桂治 小林 吾一 水野 幸治 吉田 良一
出版者
公益社団法人 自動車技術会
雑誌
自動車技術会論文集 (ISSN:02878321)
巻号頁・発行日
vol.46, no.2, pp.455-460, 2015 (Released:2018-01-25)
参考文献数
13
被引用文献数
3

歩行者頭部インパクト試験と有限要素解析により,A ピラーへの頭部衝突に対するヘルメットの頭部保護効果を検討した.頭部インパクタ試験を実施した結果,HIC はヘルメット着用で減少したが,3000 を超えていた.ヘルメットを装着した人体頭部モデルによる解析では頭蓋骨の骨折は発生しなかったが脳のひずみが大きな値となった.
著者
吉政 甫 池 順子 作野 幸孝 吉田 恭治
出版者
日本獣医皮膚科学会
雑誌
獣医臨床皮膚科 (ISSN:13476416)
巻号頁・発行日
vol.27, no.1, pp.21-26, 2020 (Released:2021-03-30)
参考文献数
9

7歳齢,未去勢雄の雑種犬。他院より難治性の皮膚炎として当院を紹介受診。紹介される1年ほど前より包皮周囲の皮膚炎の治療を受けていた。医原性クッシング及びステロイド皮膚症と診断,経口のプレドニゾロンを漸減し,ステロイド含有の外用薬の塗布を中止したところ,5ヶ月程でほぼ略治したが,その約1ヶ月後に包皮の先端にマス様病変が認められ,病変部位の組織生検より皮膚上皮向性T細胞性リンパ腫と診断した。外科切除を実施後およそ10ヶ月間,完全寛解の状態を維持している。
著者
吉田哉著
出版者
日本蜘蛛学会
巻号頁・発行日
2003
著者
吉田 博則
出版者
東京大学
雑誌
戦略的な研究開発の推進 戦略的創造研究推進事業 ACT-I
巻号頁・発行日
2017

本提案では廃材のような不定形な材料の有効活用を促進するような仕組みを構築し、試験的に枝材を用いた建築要素の設計、製作に取り組みます。実際の枝の3次元モデルを用いる点、枝のような端材の適材適所、ユーザ参加型のプロセスが特徴です。CNC加工機によって壊れやすい枝にも精密に加工し、狙った形状を実現することで、今まで廃材として捨てられていた素材に付加価値を与えることを目標としています。
著者
吉田 幸一
出版者
札幌医科大学医療人育成センター
雑誌
札幌医科大学医療人育成センター紀要 = Journal of center for medical education Sapporo Medical University = Journal of center for medical education Sapporo Medical University
巻号頁・発行日
vol.9, pp.1-3, 2018-03-31

大学の授業と言えば、大きな教室に大勢の学生をあつめて教師が話しをする講義が思い浮かぶ。講義の長所は、一度に多くの学生に対して包括的に知識を伝えることができる点である。しかし、講義形式の授業にはいくつかの問題が指摘されている。学生にとって、講義は教師の話を聴いてノートをとるという受け身の授業である。もし、その授業に興味がない、学ぶ意欲がないならば、授業は成り立たない。一方向性の教授法であるため、学生の集中力が続かなくなり、おしゃべりや授業に関係ないことをはじめる。教室後方の座席に、授業を聴くことに積極的でない学生が集まる。これでは、授業の効果がなかなかあがらないだろう。本学の教養科目の授業の多くは、大きな教室に100 名ほどの学生を集めて講義形式で行われる。ここでは、医学部1年生を対象にした生物学の講義をとりあげ、学生が着席する教室内の座席位置と成績の関係について述べる。教室内の座席を教壇からみて前方群、中央群、後方群に分けたとき、学生は毎回の授業においてほぼ同じ群内の座席に着席する。成績は、授業がすべて終わった後でおこなう定期試験で評価した。後方群の座席にすわる人は前方群や中央群の座席にすわる人に比べて、得点が有意に低い。クラス全体の1/4 からなる成績下位層は、その6 割が後方群の座席の人である。また、2 年次の成績を追跡すると、1 年次後方座席の人は2 年次も成績が振るわないことが多い。座席が教室後方に固定すると、成績不振におちいる恐れがある。後方座席のリスクを、暗黙あるいは無意識ではあるが多くの学生や教員が知っている。この問題が身近で起きることを改めて認識し、どのように向き合うかを考える。
著者
駒村 光弥 鶴田 一男 吉田 賢
出版者
一般社団法人 日本音響学会
雑誌
日本音響学会誌 (ISSN:03694232)
巻号頁・発行日
vol.33, no.3, pp.103-115, 1977-03-01 (Released:2017-06-02)
被引用文献数
1

Many objective characteristics of loudspeakers are measured in factories and laboratories, but there is little knowledge about how they affect sound quality. It is necessary to reveal the relation between objective characteristics and sound quality in order to improve sound quality of loudspeakers. In this paper, the relation between subjective evaluation of sound quality and objective data to reveal the characteristics which influence sound quality to a great extent is investigated. In the subjective listening tests, preference judgments which were subjected to factor analysis, similarity judgments which were subjected to multidimensional scaling and verbal descriptions of sound quality were carried out. The factor analysis of preference data yielded a preference space of three factors (Fig. 5). The first of them is the "consensus preference" factor and the remaining two are the "individual difference" factors. As a result of multidimensional scaling, similarity data are summed up in three psychological dimensions (Fig. 7). Interpretation of these dimensions indicates that they represent "volume and extent", "brightness" and "beauty" respectively (Fig. 7). The relation between objective data and subjective data was analyzed in two respects. Firstly, measured data sixteen objective characteristics were rated from the view point of high fidelity reproduction (Table 3). These characteristics were fitted into the preference space as vectors (Fig. 14). Rating scores of sound pressure responses measured in a listening room and an anechoic room have a high correlation with the "consensus preference" factor. Secondly, similarity of response patterns among loudspeakers was calculated for each objective characteristic and it was subjected to multidimensional scaling. The configurations of loudspeakers based on objective similarity were compared with the ones based on subjective similarity (Fig. 16). Similarity of sound pressure response in the listening room has a close coincidence with subjective similarity. These results imply the necessity of measurements not only in an anechoic room but also in a listening room.