著者
吉田 正
出版者
一般社団法人 日本原子力学会
雑誌
日本原子力学会誌ATOMOΣ (ISSN:18822606)
巻号頁・発行日
vol.61, no.10, pp.711-715, 2019 (Released:2020-04-02)
参考文献数
6

ニュートリノは基本粒子の中で最も捉えどころのない粒子である。その存在は比較的早く1930年代初頭にはほぼ受け入れられたが,存在が確証されるまでは四半世紀を要した。ニュートリノが質量を持つか否かと言う基本の基本が確定したのは更に40年後。その一方でこの謎の多い粒子は,素粒子論や天体核物理学のあらゆる局面に顔を出し,その発展の狂言回しの役割を演じて存在感を増し続けてきた。ニュートリノを遮るには鉛板にして数光年の厚さが必要だが,この物質との関わり(相互作用)が超絶的に弱いという性質が逆に原子炉運転遠隔監視への応用の道も開く。現在も謎の多いこの粒子を追って十指に余る大型実験が進行中であるが,それぞれ奇抜とも言えるユニークなアイデアが光る。
著者
吉田 晋 植野 慎介
出版者
農業情報学会
雑誌
農業情報研究 (ISSN:09169482)
巻号頁・発行日
vol.26, no.4, pp.65-76, 2017 (Released:2017-12-28)
参考文献数
16

農業分野におけるICT活用の研究が進められているが,環境センサネットワークシステムのコスト高や,圃場での電源確保の課題により,まだ広く普及していない.農業ICTの活用事例を増やし広く普及させるためには,環境センサネットワークの低価格化だけでなく,それと組み合わせる独立電源の低価格化が必要である.近年,太陽電池価格は急激に低下してきたが,独立電源システムの選定方法が明らかでない.本研究では,低価格環境センサ用独立電源について,低電圧直流負荷装置の電流に対する太陽電池および蓄電池の選択手法について検討し,その選定手順を明らかにした.センサ部用と,データ収集の為のゲートウェイ用の低価格独立電源を設計した.また,センサ部の負荷電流の低減検討と発電用太陽電池を日射計と兼ねることで環境センサ部全体のコスト低減を行った.製作した独立電源を用いた環境センサの実証実験を行った結果から安定した電源確保が確認できた.
著者
田村 幸雄 松井 正宏 吉田 昭仁
出版者
東京工芸大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2009

外装仕上材からそれらを支える2次部材に変動風圧力が伝達され,最終的に構造骨組を通じて地盤へ伝達されるプロセスを詳細に追い,従来の耐風設計で行われている構造骨組用風荷重と外装材用風荷重の妥当性を検討した。特に,外装材と構造骨組の区別が付かないモノコック構造体や,大スパン屋根の外装材を支持する部材と構造フレームなどにおける構造物全体の挙動と局所的な風圧力が荷重効果に与える影響について検討し,両者を別々に評価する手法を提案し,耐風設計への応用を示した。
著者
田村 幸雄 松井 正宏 吉田 昭仁 小林 文明
出版者
東京工芸大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2012-04-01

日本の原子力発電施設やLNGタンクなどは全て海岸線に沿って建設されており,米国中部の竜巻常襲地域の竜巻発生確率などと較べても,これら我が国の高危険度施設の竜巻遭遇確率は遥に高い。本研究では,従来から設計では採り上げられていなかった竜巻等のシビア・ローカルストームの,原子力発電施設,大規模液化天然ガス貯蔵施設,使用済核燃料再処理施設,有害産業廃棄物処理施設など,被害が発生した際に周辺地域,住民に甚大な悪影響を与える重要施設に対する影響と対策,設計・施工に対するガイドラインを検討した。
著者
吉田 道雄 佐藤 静一
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学雑誌 (ISSN:03855236)
巻号頁・発行日
vol.15, no.2, pp.93-99, 1991-09-20
被引用文献数
4

教育実習の時期および性別の要因が教育実習生の「子ども」というものに対する認知に与える影響を分析した.具体的には,教育実習生に対する予備調査で得られたデータを分析し,「子どもの態度や行動・属性」に関して,六つの因子を見いだした.このうち,「自己中心性の因子」「創造性・積極性の因子」「反抗的・現実的態度の因子」は共通して,実習前に相対的に子どもをポジティブに(楽観的)評価し,実習2週間後には,ネガティブな(悲観的で厳しい)評価に変化し,最終的には再びポジティブな(再評価,再認識)評価をするという一貫した傾向が認められた.実習を通じてさまざまな心理的な「揺れ」を体験することが実習にとっては欠くことのできないポイントであることが指摘された.また,「公平さの要求」「事実を見通す力」の二つの因子については,性別による違いが認められた.いずれも男子の方が,子どもたちは,「不平等やえこひいきに敏感で」「ごまかしがきかない」と認知する傾向が見られた.実習生の性別によって子ども自身が反応の仕方を変えているのではないかと思われる.実習生の性別と子どもたちの関係のあり方についても,さらに分析を進めていくことの必要性が指摘された.
著者
根本 彰 影浦 峡 青柳 英治 海野 敏 小田 光宏 河西 由美子 岸田 和明 倉田 敬子 古賀 崇 鈴木 崇史 竹内 比呂也 谷口 祥一 研谷 紀夫 中村 百合子 野末 俊比古 松本 直樹 三浦 太郎 三輪 眞木子 芳鐘 冬樹 吉田 右子 今井 福司 河村 俊太郎 浅石 卓真 常川 真央 南 亮一
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2010-04-01

5年間にわたる本プロジェクト(通称LIPER3)では、過去2回のLIPER研究で抽出した図書館情報学教育の問題構造に変化を与えるために次の実践研究を行った。第一に、図書館情報学教育の教育内容を見直すために、新しい標準的な教科書シリーズを執筆し刊行した。第二に、この標準的な教育内容に沿って各教育機関がどのような教育成果を上げているかを自己評価できるように、図書館情報学検定試験を4年間にわたり実施した。第三に、外国の図書館情報学教育の状況を把握し関係者と交流するために、アメリカの標準的教科書を翻訳・刊行し、国際学会で日本の図書館情報学教育について発表し、欧米の教育機関での聞き取り調査を実施した。
著者
岩科 智彩 吉田 光男 伊藤 貴之
雑誌
第81回全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2019, no.1, pp.225-226, 2019-02-28

情報発信ツールとして利用されているSNS(Social Networking Service) は,現在でも団体や個人による情報拡散を目的とした利用例が増加している.SNSの中でも特にTwitterは気軽に拡散(リツイート)できることで知られ,その日本国内での利用は著しい.本研究では,Twitter上で影響力のあるユーザ(キーパーソン)のリツイートユーザ(リツイーター)に焦点を絞り,時間データを使用して情報拡散におけるリツイーターの行動パターンを可視化する.また,その可視化画像から観察されるキーパーソンごとの情報拡散の性質について,ツイート内容とリツイーターの側面から考察する.
著者
吉田 啓志 近藤 駿 増田 裕里 嶋尾 悟 浜岡 克伺 成冨 博章
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.33, no.2, pp.323-326, 2018 (Released:2018-04-27)
参考文献数
16
被引用文献数
2

〔目的〕本研究は,リハビリ後自宅退院した脳卒中患者の活動範囲を屋内群と屋外群に分類し,屋外活動の可否を最も予測可能な退院時身体的因子のカットオフ値を明らかにすることとした.〔対象と方法〕自立歩行可能で自宅退院した脳卒中患者31名を対象とした.退院3ヵ月後の活動範囲をLife Space Assessment(LSA)を用いて調査した.退院時評価項目のうちLSA合計点と有意に相関する指標を抽出し,屋外活動判別に最も適したカットオフ値を求めた.〔結果〕6分間歩行距離(6MD)のカットオフ値が最も高い判別能を示し,その値は358.5 mであった.〔結語〕脳卒中患者の自宅退院後の屋外活動を維持・向上させるためには入院中の6MDにおいて350 m以上を目指す必要があることが示唆された.
著者
竹岡 篤永 根本 淳子 吉田 明恵 高橋 暁子
雑誌
研究報告教育学習支援情報システム(CLE) (ISSN:21888620)
巻号頁・発行日
vol.2016-CLE-20, no.5, pp.1-4, 2016-11-11

大学連携による e ラーニングの質保証ガイドラインに基づいたチェックシートを試作した.チェックシートとガイドラインとを一体化させ,対象コンテンツの情報をチェックシートに記載することによってガイドラインの内容を保証させるようにした.また,チェックシートをガイドラインに準拠させる中で,ガイドラインの見直しにも取り組んだ.この一連の経緯を報告する.
著者
吉田 裕
出版者
成城大学
雑誌
Azur = Azur
巻号頁・発行日
no.15, pp.61-78, 2014
著者
米澤 美希 吉田 雄一 滝川 康裕
出版者
Iwate Medical Association
雑誌
岩手医学雑誌 (ISSN:00213284)
巻号頁・発行日
vol.72, no.2, pp.59-67, 2020 (Released:2020-09-09)
参考文献数
22

B型肝炎ウイルス持続感染者における肝発癌の早期診断・発癌予測は困難である.そこで,マイクロアレイを用い,B型肝炎関連肝癌の早期診断に有用なバイオマーカーの候補となる末梢血中のmicroRNAを探索した.B型肝炎のため通院中に肝発癌を来した患者10人(発癌群)の肝発癌時の血清とマッチングさせた非発癌患者10人(対照群)の血清からmicroRNAを抽出し,2群間で有意な差異を認めた5種類のmicroRNA(miR-548aおよびmiR-1281, miR-4634,miR-4646-3p,miR-4659a)を早期診断のバイオマーカー候補として見出した.