著者
吉田 正尚
出版者
公益社団法人 日本セラミックス協会
雑誌
日本セラミックス協会 年会・秋季シンポジウム 講演予稿集
巻号頁・発行日
vol.2009, pp.103, 2009

ポリエチレン(PE)等のポリオレフィン(PO)類は一般にその化学構造から表面不活性であり、後加工による着色等の表面修飾が困難な材料である。しかし、シラン系結合剤と微粒子を含んだ液相中でPO基材を浸漬し微粒子を固定する手法によりPO基材を傷めること無くタングステン(W)微粒子を強固に固定することができる。その表面修飾の機構を考察するためにPO基材の表面状態とシラン系結合剤の分子構造が微粒子固定に与える影響を調べた。基材表面のSPM分析を行うとW微粒子が固定可能であるPO基材表面には板状結晶やラメラ構造が観察された。一方、一度熱処理したり顔料等を含んでいるとPO基材表面には高分子の整列は観察されなかった。この事からPE高分子が整列していないと固定される足場が無いためW微粒子が固定困難になると思われた。また結合剤分子の末端が基材組成と同じCH基を有する結合剤分子がW微粒子を多く固定できた。しかしW微粒子が固定可能なPO基材でも表面にスパッタ装置でAuコートを施すとW微粒子は全く固定出来なくなった。この結果から結合剤分子の末端基とPO基材とのCH基の疎水基相互作用によりW微粒子が固定されることが示唆された。
著者
吉田 司 芝 修一 前川 行幸 阿部 真比古 鈴木 輝明 高倍 昭洋
出版者
日本水産工学会
雑誌
水産工学 (ISSN:09167617)
巻号頁・発行日
vol.42, no.3, pp.239-244, 2006-02-20
被引用文献数
1

Zostera marina L. form dense populations on shallow sandy and muddy bottoms in inner bay areas, and play important roles from ecological and fisheries points of view. In this study, photosynthesis characteristics of Z. marina were examined under several light intensity and the water temperature conditions, and the daily net production was estimated. Samples were collected from Miya in Mikawa Bay, Aichi Prefecture, Japan. Photosynthesis and dark respiration rates were measured under various light intensity and in situ temperature condition using a product meter and oxygen electrode system. Z. marina showed high light-saturated net photosynthetic rates(1.5〜7.6mgO_2 gd.w.^<-1> h^<-1>). Dark respiratory rate of Z. marina was between 0.4 and S.SmgO_2 gd.w.^<-1> h^<-1>, I_k values and compensation points ranged from 88 to 129μmol m^<-2> s^<-1> and from 13 to 111 μmol m^<-2> s^<-1>, respectively. Daily net production of Z. marina was estimated from the model equation of photosynthesis-light curve and the data on light intensity sampled in Zostera bed. High dark respiratory rate and low light intensity in the population lead to low net production, and result in withering and loss during the early summer season.
著者
安部 高太朗 吉田 直哉 鈴木 康弘
出版者
学校法人 敬心学園 職業教育研究開発センター
雑誌
敬心・研究ジャーナル (ISSN:24326240)
巻号頁・発行日
vol.3, no.1, pp.9-19, 2019 (Released:2019-07-16)
参考文献数
9

本稿の目的は、九州地方に所在する全国神社保育団体連合会加盟園の保育・教育理念の特色を明らかにするものである。神道に関連する文言を理念に掲げ、神道行事等を行っている22園分の理念をテキストファイル化し、KHコーダーを用いて保育・教育理念の特徴を析出した。 神道系園の保育・教育理念では、目指されるべき子ども像として「浄く・正しく・明るい」子どもが掲げられる。「浄く」とは、精神の明澄さを表す。「正しく」とは、実直なさまを表す。「明るい」とは、精神的なエネルギーが充溢した自己の内面を開示して、他者と交流するさまを示す。保育環境として重視されている、神社と一体化した鎮守の森は、神の顕現としての自然の豊かさを湛えることで子どもの心を揺さぶる。自然としての神の脅威に触れ、その恵みに感謝することが、神道園における情操教育の基盤なのである。自然に宿る神は、保護者と共に子どもの成長を見守る水平的・共存的存在である。
著者
吉田 敦彦 永田 佳之 今井 重孝 西村 拓生 西平 直 森岡 次郎 藤根 雅之
出版者
大阪府立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2016-04-01

日本のオルタナティブ学校に関する事例研究と原理的考察を通して、公教育とオルタナティブ教育とが連携する意義と可能性を明らかにした。1)多義的な「オルタナティブ」概念および「多様性と公共性」をめぐる議論を分析したうえで、学校教育法と並立するオルタナティブな教育機会確保法の意義を明らかにした。2)オルタナティブ教育実践の質を保証する先行事例として、相互認証、教員研修、公民連携等の役割を担う中間支援組織の試み、および台湾の「実験教育三法」の動向を検証した。3)公教育学校とオルタナティブ学校が連携したサステイナブルスクール・プロジェクトに参画し、ホールスクールアプローチによる実践・評価モデルを開発した。
著者
吉田 昌弘 遠藤 章 佐藤 滋朗 大畑 勉 渡辺 正敏 大山 柳太郎 古屋 廣高
出版者
一般社団法人 日本原子力学会
雑誌
日本原子力学会和文論文誌 (ISSN:13472879)
巻号頁・発行日
vol.4, no.3, pp.213-218, 2005-09-25 (Released:2009-04-21)
参考文献数
16
被引用文献数
1 1

A number of consumer's goods which contain natural uranium and thorium are circulated in the familiar living environment. Based on various kinds of information sources, 20 kinds of these consumer's goods were collected and their radioactive concentrations were measured by using ICP-MS and Ge semiconductor detector. As this result, it was found that the concentrations of uranium and thorium in the consumer's goods used at home and industries were below 34Bq/g and below 270Bq/g, respectively. Next, the concentrations of daughter nuclides were not so different from the ones of uranium or thorium, which showed that the secular radioactive equilibrium held between both concentrations.In addition, the radiation exposures for public consumer were evaluated when four kinds of typical consumer's goods frequently used in daily life are utilized. The results computed by MCNP-4C code were below 250μSv/y.
著者
中村 愛美 吉田 智 西郊 靖子 林 静子 鈴木 靖志
出版者
特定非営利活動法人 日本栄養改善学会
雑誌
栄養学雑誌 (ISSN:00215147)
巻号頁・発行日
vol.70, no.1, pp.59-70, 2012 (Released:2012-02-27)
参考文献数
22
被引用文献数
8 8

【目的】デンプン系,グアーガム系,キサンタンガム系およびその他の各種市販とろみ調整食品が緑茶,牛乳,オレンジジュースおよび味噌汁に与える影響を物性面から解析し,性能に基づくとろみ調整食品の分類を行うことを目的とした。【方法】15種類のとろみ調整食品を4種類の食材に溶解して調製した各種とろみ液の粘度およびテクスチャーを測定し,とろみ調整食品の機能性を反映する指標として,粘度力価,添加時および安定時粘度ばらつき,初期粘度発現率および付着性を算出した。さらにこれら5つの指標を用いて主成分分析およびクラスター分析を行った。【結果】粘度力価は4種の食材すべてについてグアーガム系が大きかった。添加時および安定時の粘度のばらつきはとろみ調整食品の種類と食材の組合せによって傾向が異なった。初期粘度発現率は食材によって特徴があり,緑茶ではキサンタンガム系が,オレンジジュースではデンプン系が高い値を示した。付着性は4種の食材すべてについてデンプン系が大きかった。5つの指標を用いて食材別に主成分分析を行なうと,とろみ成分による分類とは異なる分布を示した。一方,全食材の5つの指標を説明変数にとり,クラスター分析を行った結果,とろみ成分に応じたクラスターが形成された。【結論】市販とろみ調整食品が食材の物性に及ぼす影響をもとに分類を行なうと,各とろみ剤の特徴が食材の種類によって異なることが明らかとなった。したがって,とろみを付与する食材や目的に応じて適切な製品を選択することが重要である。
著者
沖田 一彦 田端 幸枝 越智 淳子 吉田 彰
出版者
県立広島大学
雑誌
広島県立保健福祉大学誌人間と科学 (ISSN:13463217)
巻号頁・発行日
vol.4, no.1, pp.87-95, 2004-03

学生が, 専門科目に関してレポートや卒業論文を作成するときには, さまざまな学術資料を検索する。その場合, 和雑誌に掲載された論文の検索には医学中央雑誌 Web のデータベース利用が主となっているが, 本学ではその利用頻度の高さと契約口数の少なさから, 利用が集中した場合には検索が行えないこともある。また, 卒後の教育を考えたとき, 医学中央雑誌 Web のデータベース利用は限られた施設でのみ可能である。これらのことから, 学生の在学時および卒後の学習や研究を支えるため, 試験的に理学療法及び作業療法に関わる文献検索システムの構築を試みた。本領域の学術・商業雑誌計6誌の書誌情報をデータベース化し, 学内LANから Web ブラウザにより, サーバ上のデータベースにアクセスして文献検索ができるようにした。検索条件には学術論文の場合はキーワード, 見出し, 表題, 著者, 発行年, 巻, 号を用いた。本システムは, 現在は学内LANからのアクセスに限られているが学外からの利用もできるよう構築されているため, 今後は公開利用の可能性を模索したい。
著者
林 陵平 苅山 靖 吉田 拓矢 図子 浩二
出版者
一般社団法人 日本体育・スポーツ・健康学会
雑誌
体育学研究 (ISSN:04846710)
巻号頁・発行日
vol.61, no.2, pp.575-587, 2016 (Released:2016-12-14)
参考文献数
26
被引用文献数
3

The purpose of this study was to identify the ground reaction force and joint kinetics in the lower extremity during the catch phase of the clean exercise through comparison with the pull phase. Eleven male track and field athletes performed the power clean from the floor with loads of 30%, 60%, and 90% of 1RM (One Repetition Maximum). Kinetic data were collected from data recorded using a Vicon motion system (250 Hz) and force platforms (1,000 Hz). The results of the analyses were as follows:  1) In the catch phase, force development was similar to that of the pull phase because the peak ground reaction force was not significant during the 2 phases.  2) The joint kinetics in the ankle and knee joints were larger during the catch phase than during the pull phase.  3) During the power clean, force development was achieved mainly by concentric muscle contraction during the pull phase and by eccentric muscle contraction during the catch phase.  4) The ground reaction force and joint kinetics were significantly different during the catch phase.  These results show the differences in load characteristics in the lower extremity between the pull and catch phases during clean exercise. Therefore, not only the pull phase but also the catch phase should be considered when performing the clean exercise in weight training.
著者
青戸 泰子 吉田 優香 田邊 資章
出版者
関東学院大学人間環境学会
雑誌
関東学院大学人間環境学会紀要 (ISSN:13489070)
巻号頁・発行日
no.35, pp.3-11,

The purpose of this study is to examine the effect of a sense of fulfillment in college life on career maturity. In this study, a survey was conducted on 133 college students in the Kanto region. As a result, it became clear that independence, self-confidence, trust, and timeline perspective have a positive influence on career maturity.
著者
柳瀬 裕輝 西 正博 新 浩一 吉田 彰顕
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 B (ISSN:13444697)
巻号頁・発行日
vol.J94-B, no.2, pp.176-184, 2011-02-01

現在筆者らは,UHF帯テレビ放送波に着目し,全国4箇所にてその伝搬損変動特性を昼夜連続観測している.本論文では,瀬戸内地域において海上伝搬したテレビ放送波の伝搬特性について述べ,その伝搬損を推定する新たな方法を提案する.瀬戸内地域では,直接波と海面反射波の2波の伝搬が支配的であり,大気屈折率と潮位の変化を考慮することで2波モデルにより任意の周波数の伝搬特性を推定できる可能性がある.大気屈折率の指標として等価地球半径係数Kが一般に用いられるが,従来Kを推定するにはラジオゾンデで上空の気象データを取得する必要があった.しかし,ラジオゾンデを有する気象観測点は限られており,特に瀬戸内地域においてはその観測点が存在せず,これまでKを推定することは困難であった.そこで本研究では,UHF帯電波の伝搬特性を推定する新たな試みとして,2波モデルに基づき伝搬損の実測値からKを推定する方法を考案した.1年間の実測値からKを推定した結果,Kの累積確率50 %値は冬季に1.4~1.5,夏季に1.6~1.7となり,その変動幅は夏季に増加する傾向を確認した.また推定したKから異なる周波数の伝搬損を推定し実測値と比較した結果,累積確率の1 %値において6 dB以内の精度で伝搬損を推定できた.
著者
吉田 徹
出版者
日本腰痛学会
雑誌
日本腰痛学会雑誌 (ISSN:13459074)
巻号頁・発行日
vol.9, no.1, pp.15-22, 2003 (Released:2008-06-30)
参考文献数
11
被引用文献数
1
著者
東浦 晶子 西村 貴士 吉田 昌弘 西村 純子 橋本 眞里子 柴田 陽子 藤原 葵 由利 幸久 高嶋 智之 會澤 信弘 池田 直人 榎本 平之 今村 美智子 三好 康雄 廣田 誠一 飯島 尋子
出版者
一般社団法人 日本肝臓学会
雑誌
肝臓 (ISSN:04514203)
巻号頁・発行日
vol.62, no.10, pp.647-655, 2021-10-01 (Released:2021-10-06)
参考文献数
41

症例は70歳代女性.近医で多発骨転移を伴う乳癌と診断され当院紹介受診となった.パクリタキセル(PTX)による化学療法中にAST 201 U/L,ALT 35 U/LとAST優位のトランスアミラーゼ上昇を認めた.腹部超音波検査,腹部造影CT検査では異常所見は認めなかったため,PTXによる薬剤性肝障害を疑い薬剤の変更,中止をしたが肝機能障害は改善しなかった.超音波エラストグラフィによる肝硬度検査を施行したところ,TE(Transient elastography)39.1 kPa,VTQ(Virtual touch quantification)2.73 m/s,SWE(Shear wave elastography)2.54 m/sと著明な上昇を認め,肝生検を施行し,特殊型乳癌の1つである浸潤性小葉癌の肝転移と診断された.肝硬度が高値になる稀な原因として微小転移性肝癌があげられた.
著者
遠藤 薫 吹角 隆之 足立 準 小嶋 益子 青木 敏之 吉田 政弘 森田 和矢 成 隆光 辻野 守典
出版者
一般社団法人 日本アレルギー学会
雑誌
アレルギー (ISSN:00214884)
巻号頁・発行日
vol.46, no.10, pp.1013-1024, 1997
被引用文献数
3

1. 3〜12歳のアトピー性皮膚炎患者30名を無作為に2群に分け, 1年間にわたって患者の部屋及び寝具を掃除することによって, ダニ数が減少し, 患者の症状と検査値の改善に寄与するかを, 二重盲検試験で検討した。2. 前後のダニ数は, モニター群とコントロール群の両群とも, 患者の部屋の床で有意に低下していた。終了時, モニター群の寝具でより大きいダニ数の低下の傾向が認められ, 特に掛け布団において有意なダニ数の差異が認められた。3. 終了時, 症状スコアはモニター群で有意に改善していたが, コントロール群ではそうではなかった。両群間で症状スコアの変動率を分析すると, モニター群においてより軽快傾向が見られたものの有意差は認められなかった。4. 血清IgE値は掃除前後で両群とも有意差はなかった。Dermatophagoides farinae (Df), D. pteronyssinus (Dp) に対するRAST値は, 有意差はなかったが, モニター群でより大きい低下がみられた。5. ダニ数の低下は, 臨床症状の改善とダニRAST値の低下に寄与する可能性が示唆された。