著者
坂元 章 桂 瑠以 木村 文香 田島 祥 松尾 由美
出版者
お茶の水女子大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2013-04-01

シャイネスの高さと初対面での行動の関係を調査した結果、顕在的にシャイな人は初対面でのスキルが不足していたり、あがったり落ち着かなくなったりするなどの反応がみられ、それにより質問をしたり会話を広げたりするような能動的な行動がみられないというプロセスがあることが示された。これを踏まえ、初対面場面での円滑なコミュニケーションを促進するスキルとしてSNS上での事前情報収集に着目し、その効果を実験によって検討した。分析の結果、対面前に相手の作成したブログを閲覧し、対面時の会話をシミュレーションしてみることで、初対面場面における緊張や過敏さ、自信のなさといったシャイネスの側面が改善されることが示された。
著者
坂元 昴 大西 文行 大橋 功 小田桐 忍 カレイラ松崎 順子 岸本 肇 光野 公司郎 近藤 俊明 末藤 美津子 出口 保行 藤後 悦子 馬場 伊美子 伴 浩美 福崎 淳子 益井 洋子 坂元 章 堀田 博史 松田 稔樹 磯 友輝子 岩崎 智史 高田 隆 高梨 珪子 坪井 寿子 鈴木 光男 田中 真奈美 竹内 貞一 山村 雅宏 齋藤 長行
出版者
東京未来大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2008

本研究では、21世紀に生き、開拓する21世紀型能力を中核に、幼児・児童における未来型能力、幼児・児童における未来型能力の育成、未来型能力を指導できる指導者の育成の3段階にわたる研究を、既存研究の検討整理、独自の調査、研究を踏まえて、社会貢献する成果としてまとめた。初年度から2年度にかけて21世紀型の幼児像を様々な能力領域で明らかにし、2年度から3年度にかけて、各領域で、これらの能力を育成するシステムを設計試行評価し、さらに、能力育成を指導する指導者の教育システムを検討、整理、設計、試行実施した。
著者
坂元 章
出版者
NPO法人 日本シミュレーション&ゲーミング学会
雑誌
シミュレーション&ゲーミング (ISSN:13451499)
巻号頁・発行日
vol.13, no.1, pp.56-67, 2003-06-25 (Released:2020-11-02)
参考文献数
43
被引用文献数
1

本論文では,日本において見られてきた,暴力性に関するテレビゲーム悪影響論と,それに対する社会心理学的研究の内容と経緯が解説された.テレビゲームの悪影響論は,5年程度のサイクルで盛んになっており,これは,テレビゲーム業界,司法,行政に対して大きな社会的影響力を持ってきたことか紹介された.また,悪影響論の中でも,暴力に関するものはもっとも盛んに出されてきたが,それについての研究は1997年までは少なく,それ以降になって急増したことが指摘された.そうした研究では,暴力的テレビゲーム使用が人々の暴力性を高めるとする結果がしばしば得られており,現在では,テレビゲームの悪影響を支持する方向に研究者の意見が傾いているとされた.また,最近になって,影響がよく検出される傾向があり,これは,ゲームソフトの現実性が高まったために,テレビゲーム使用の影響力が強まっていることを反映しているのではないかと述べられた.本論文ではまた,将来における悪影響論や研究の状況や課題についても論じられた.今後は,研究が量的にも質的にも充実し,テレビゲームと暴力の問題に関する多くの問いに答えられることが必要であること,そのためには,異なる分野を含む,研究者や実務者などの間の連携が重要であることが指摘された.最後に,こうした研究において日本が一定の役割を果たすべきであることが強調された.
著者
田島 祥 近江 玲 坂元 章 一色 伸夫 服部 弘
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.29, pp.13-16, 2006
参考文献数
5

本研究の目的は,教育番組を分類する際にまず利用されるべき基本的次元を提示することであった.2004年1月の1週間に放送された番組のうち,民放連の取り組みに基づいて首都圏5局が「青少年に見てもらいたい番組」に指定した番組と,NHKが放送する教育番組計96番組を対象とし,各番組のもつイメージを,1番組あたり3名のコーダーに近江ら(2004)の尺度を用いて評定させた.評定データの因子分析の結果,「親近性」「力動性」「創造性」「具体性」の4つの次元が抽出された.これらの次元と番組放送時間との関係を検討したところ,午後に放送されている教育番組は,午前や夜の番組とは異なる性質をもっていることが明らかになった.
著者
堀内 由樹子 田島 祥 鈴木 佳苗 渋谷 明子 坂元 章
出版者
日本デジタルゲーム学会
雑誌
デジタルゲーム学研究 (ISSN:18820913)
巻号頁・発行日
vol.9, no.1, pp.13-24, 2016

本研究では、中学生を対象とした 2 時点の縦断調査を実施し、レーティング区分ごとのゲーム ソフト利用による攻撃性および暴力に対する規範意識への影響を検討した。調査は、2008年度末と2009 年度末に実施し、東京、千葉、埼玉の公立中学校12校、1218名の中学生が分析対象となった。分析の結 果、男子学生では、C区分の暴力的ゲームソフト利用によって、1 年後の暴力に対する規範意識が低下 することが示された。B区分の暴力的ゲームソフトや非暴力的ゲームソフト利用ではこのような影響は 見られず、レーティング区分によって影響が異なることが一部で示唆された。
著者
松尾 由美 田島 祥 野原 聖子 坂元 章
出版者
日本デジタルゲーム学会
雑誌
デジタルゲーム学研究 (ISSN:18820913)
巻号頁・発行日
vol.2, no.1, pp.23-33, 2008 (Released:2021-07-01)

本研究では、コンシューマゲームの中に社会性を高める特徴や工夫が含まれているのか、また、どのような社会性の特性を高めうるのかを明らかにすることを目的に、ゲームプレイヤーに対してWEB調査を行った。その結果、プレイヤーの認識では 1) コンシューマゲームによってどの社会性も育成される可能性はある、 2) 社会性を高める手法は「リハーサル」に基づく学習原理が多く用いられている、 3) 実際にゲームの中で社会性を身につけた行動を「練習・経験」することで社会性を身につけたいと思う動機が高まる可能性があることが示唆された。今後の研究では、実証的な調査によって、コンシューマゲームの社会性育成効果を確認する必要があるだろう。
著者
坂元 章 渋谷 明子 笠原 章子 松尾 由美 田島 祥 佐々木 輝美 渋谷 明子 笠原 章子 (七海陽) 田島 祥 佐々木 輝美 堀内 由樹子 松尾 由美 寺本 水羽 鄭 姝 倉津 美紗子 Anderson Craig A. Gentile Douglas A.
出版者
お茶の水女子大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2016-04-01

3歳児クラスから高校生までの子どものゲーム利用による攻撃性、社会的適応の影響を検討した。ゲーム利用時間やゲーム上の交流経験が攻撃的傾向や社会的適応に影響することが示された。また、保護者の介入行動は子どもの学齢が低い場合には介入の効果は高いこと、子どもの学齢や介入する問題の種類で介入行動の効果が異なることが示され、子どもの発達段階や問題にあわせて介入方法を調整する必要性が示唆された。レーティングについては、家庭での認知度が低いこと、レーティング区分毎の攻撃的傾向に対する影響について一貫した結果が見られなかったことから、効果的な介入の手段とするために工夫や検討が必要であることが示された。
著者
田島 祥 坂元 章
出版者
日本教育情報学会
雑誌
教育情報研究 (ISSN:09126732)
巻号頁・発行日
vol.28, no.3, pp.3-13, 2013

本研究では,教育番組の中で推奨される価値観の特徴を探ることを目的に,親や教員に対する調査(研究1)と教育番組の内容分析(研究2)を行った.価値尺度として,The Rokeach Value Survey(Rokeach,1973)の手段価値を用いた.研究1より,親や教員は,正直さ・責任感の強さ・礼儀正しさ等の価値観が子どもにとって必要だと考えていることが明らかになった.また教員は,自己制御していることも重視していた.研究2において69の教育番組を分析した結果,全体的にみると,知的なことや陽気なことが多く推奨されていた.また,番組の対象年齢が異なると推奨される価値観も異なるという特徴が見いだされた.さらに,研究1で親や教員が重視していた価値観は,いずれの年齢向けの番組においてもほとんど推奨されていないことも明らかになった.
著者
田島 祥 松尾 由美 瓜生 恭子 坂元 章
出版者
日本デジタルゲーム学会
雑誌
デジタルゲーム学研究 (ISSN:18820913)
巻号頁・発行日
vol.3, no.2, pp.159-170, 2009

本研究では、MMORPG(多人数同時参加型オンラインRPG)の使用がプレイヤーの対人ネット ワークのサイズに及ぼす影響を実験によって検討した。学生69名(平均年齢19.95歳)を対象に、プレイ開始から 2 週間後、4 週間後、6 週間後の対人ネットワークのサイズを比較した。その結果、実験群 と対照群の間に有意差はみられなかった。また、実験群を対象に、MMORPGでの集団行動が及ぼす影響について構造方程式モデルを用いて検討したところ、MMORPGでの集団行動が対人ネットワークのサイズに及ぼす影響はほとんどみられず、対人ネットワークのサイズが大きいほどMMORPGでの集団行動が促進されるという逆方向の因果関係が確認された。
著者
赤坂 瑠以 坂元 章
出版者
日本パーソナリティ心理学会
雑誌
パーソナリティ研究 (ISSN:13488406)
巻号頁・発行日
vol.16, no.3, pp.363-377, 2008-04-01 (Released:2008-07-15)
参考文献数
24
被引用文献数
6 2

本研究では,小学生から高校生までの450名を対象に2時点でのパネル調査を行い,携帯電話の使用が友人関係の深さと密着性に及ぼす影響について検討した。分析の結果,携帯電話の使用が友人関係の深さに及ぼす影響では,有意な効果が見られず,密着性に及ぼす影響では,いくつかの変数で有意な効果が見られたことから,携帯電話の使用が友人関係の深さに及ぼす影響は大きなものとは言えないが,密着性に及ぼす影響はある程度認められることが示唆された。校種別に見ると,高校生では,虚構の心理的一体感,情緒的依存が高いほど,密着性が増加すること,中学生では,インターネット量,真実の心理的一体感,情報伝達,情緒的依存が高いほど,密着性が低下することが示され,小学生では有意な結果は見られなかった。さらに,友人関係が携帯電話の使用に影響するという逆方向の関係を示す結果もいくつか得られ,密着性と虚構の心理的一体感や情緒的依存との間に,互いを高め合う循環的な関係があることが示唆された。
著者
渋谷 明子 坂元 章 井堀 宣子 湯川 進太郎
出版者
NPO法人 日本シミュレーション&ゲーミング学会
雑誌
シミュレーション&ゲーミング (ISSN:13451499)
巻号頁・発行日
vol.20, no.2, pp.47-57, 2010-12-25 (Released:2020-07-10)
参考文献数
27

441名の小学校高学年児童とその保護者を対象にパネル研究を実施し,保護者が家庭でテレビゲーム接触の時間を厳しく制限していると,1年後の児童の攻撃性が低くなる傾向が男子でみられた.テレビゲームについては,他の指導万法の効果はみられなかったが,テレビ接触については,保護者がテレビ接触の時間だけでなく,テレビ番組の内容(暴力シーンを含んだ番組など)を厳しく制限していると,1年後の攻撃性が低くなる効果がみられた.
著者
鈴木 佳苗 坂元 章 小林 久美子 安藤 玲子 橿淵 めぐみ 木村 文香
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学雑誌 (ISSN:03855236)
巻号頁・発行日
vol.27, no.suppl, pp.117-120, 2004-03-05 (Released:2017-10-20)
参考文献数
8

本研究では,インターネットの各種アプリケーション(電子メール,ウェブページ作成,ウェブページ閲覧,チャット,ページャー,フォーラム,掲示板,ネットワークゲーム)の使用がソーシャルスキル(会話スキル,問題解決スキル,仕事・勉強スキル)に及ぼす影響を検討した.情報系専門学校の男子学生を対象に,約3ヵ月の間隔で2時点のパネル調査を行い,得られたデータに対して構造方程式モデルを用いて因果関係を分析した.その結果,電子メール,ネットワークゲームの使用がソーシャルスキル全体を高めること,ネットワークゲームの使用が問題解決スキルを高めることが示された.インターネット使用がソーシャルスキルを低めるという悪影響は見られなかった.
著者
坂元 章
出版者
日本グループ・ダイナミックス学会
雑誌
実験社会心理学研究 (ISSN:03877973)
巻号頁・発行日
vol.35, no.1, pp.35-48, 1995
被引用文献数
2

本研究の目的は, 被験者が, 1人の刺激人物 (多くの特徴を持つ) が, ある血液型ステレオタイプにあてはまるかどうかを判断するときに, そのステレオタイプに一致する特徴を選択的に使用するであろう, という仮説を検討することであった。実験1では, 86名の女子大学生の被験者を2つの群 (A型群とB型群) に無作為に分けた。実験者は, まず, A型群の被験者に, 刺激人物がA型のステレオタイプにあてはまっているかどうかを判断させ, B型群の被験者には, B型のステレオタイプがあてはまっているかどうかを判断させた。そして, 両群の被験者に, その判断の中で, 刺激人物のどの特徴に着目したか (着目得点), また, 刺激人物に対してどのような印象を形成したか (印象得点) を答えさせた。結果は, 着目得点に関しては仮説を支持しなかったが, 印象得点に関しては仮説を支持するものであった。実験2では, 146名の女子の大学生の被験者を4つの群 (A型群, B型群, O型群, AB型群) に分けて, 同様の実験を行った。結果は, 着目得点と印象得点のどちらに関しても仮説を支持するものであった。
著者
坂元 章 木藤 由美子
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学雑誌 (ISSN:03855236)
巻号頁・発行日
vol.24, pp.217-220, 2000
参考文献数
5

本研究は, 京都大学の合格者を対象として, 大学入試の得点が後年の社会的成功を予測するかどうかを検討した坂元ら(1999)の知見を追試するために, 昭和24年度の九州大学経済学部合格者147名に対して紳士録調査と質問紙調査を行ったものである.その際, 社会的成功の指標として50年後の生存を加え, また, 受験当時の生活についても検討し, 坂元ら(1999)の方法を拡張した.本研究の結果は, 進学適性検査得点の予測力は低く, 大学学力検査得点の予測力に優らないとする坂元ら(1999)の知見に一貫し, それがより広い対象者にあてはまる, より一般性の高いものであることを示した.