著者
堀部 直人
出版者
東京大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2008

昨年度までのニューラルネットワークを用いたコンピューターシミュレーションならびにキイロショウジョウバエを用いた研究に引き続き、運動における記憶の効果、ならびに多様な運動の生成機構を解析するため、自律運動を行う油滴の運動について解析を行った。この油滴は無水オレイン酸とニトロベンゼンを混合したものであり、pHを調整した微量の界面活性剤を含む溶液中で不規則な運動を行う。これは、単純な履歴情報を用いて運動するシンプルな系であり、運動における記憶の効果を調べるのに適したものである。キイロショウジョウバエと同様の解析を行った結果、油滴からもLevy walkを見いだすことで、効率の良いとされる運動の生成にさほど記憶情報を参照する必要がないことを示した。さらに、油滴の運動軌跡を自己組織化マップを用いて分析し、運動要素を特定、油滴の形と対流との相互作用で多様な運動要素が生成されることを示した。複雑な運動が、さほど記憶情報を用いることなしに生成されていることを示すとともに、油滴の形といったなんらかのパラメーターを変化させるだけで多様な運動が生成されうることを示している。小数のパラメーターを調整することで、記憶情報に頼らずに複雑で多様な運動を次々と生成していくことは、生物の適応的な行動にとっても重要と考えられる。本研究は、この機構がシミュレーション上ではなく、実際に存在する物理系で起こることを発見したという点で、新奇で意義深いものである。
著者
堀 智英 上本 伸二 加藤 琢磨
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

従来よりUV照射による抗原特異的な制御性T細胞が誘導できることが報告されていますが、これらの報告ではUV照射後に抗原に感作を行っており(前照射・後感作)、そのメカニズムについてはC4+T細胞を介してTh1からTh2へ偏向することにより説明されています。我々は申請時のプロトコールどおりに各レシピエントマウスから精製したCD4+T細胞と、ドナーの脾細胞とのmixed lymphocyte cultureを行い、培養上清におけるサイトカイン産生について解析し、従来のUVに関する報告と異なりIL-4の有意な産生は全く認めませんでした。そこで、前感作・後照射による感作抗原特異的な免疫抑制のメカニズムが従来のTh2へ偏向ではないことを証明するために、IL-4,IL-10,IL-5,IL-13,IFN-γ,IL-2について解析を行い、これまでの報告と異なり、Th2へ偏向ではなくIL-10のみを感作抗原特異的に高濃度に産生することを証明しました。さらに、抗原特異的な免疫寛容作用を有するCD4+T細胞について、その誘導および機能に関してのIL-10依存性を解析するために、UV照射の前後1日に抗IL-10抗体で処置したマウスおよびCD4+T細胞をナイーブレシピエントに移入する際に抗IL-10抗体を同時に投与し、その場合には免疫抑制効果は失われました。我々の抗原感作後にUV照射を行う系(前感作・後照射)では、感作抗原に一致してドナー抗原特異的なグラフトの生着の延長及びproliferation assayでの抗原特異的な免疫抑制が得られました。今回、感作した抗原に特異的なTr1様の免疫抑制性T細胞をUV照射により誘導でき、従来の報告と大きく異なりTh2偏向のメカニズムではなくIL-10のみに依存性にCD4+T細胞を介して免疫抑制効果を得ている点を証明でき、以下の論文に発表しました。
著者
堀川 浩洋
出版者
日経BP社
雑誌
日経ビジネス (ISSN:00290491)
巻号頁・発行日
no.1488, pp.116-118, 2009-04-27

政府の経済対策の一環で、高速道路がどこまで走っても1000円だなんて、もうかないません。 瀬戸大橋の通行料が今年3月以降、大幅に安くなり、その影響で私たちのカーフェリーを利用して瀬戸内海を渡るお客さんが激減してしまいました。 私たちは、瀬戸内海を挟んで四国の高松港(香川県)と本州の宇野港(岡山県)を1時間で結ぶカーフェリーを1日往復で40便、運航しています。
著者
山崎 孝 伊藤 直之 石田 登貴代 三谷 孝之 菅野 智也 中川 哲朗 松井 文昭 増田 真代 加畑 昌弘 大谷 尚之 堀 秀昭 山門 浩太郎
出版者
公益社団法人日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
vol.34, no.2, 2007-04-20

【目的】甲子園大会でのメディカルサポートを皮切りに、高校野球地方大会において各県士会でのメディカルサポートの取り組みが報告されている。しかし、中学生を対象としたサポート報告は少ない。今回福井県理学療法士会は、中学ボーイズリーグの大会期間中に選手のメディカルチェックを実施し、スポーツ障害予防の啓蒙活動を試みたので報告する。<BR>【方法】大会は日本少年野球連盟公認の福井大会で北陸・東海・関西地区から28チーム、906名の選手が参加した。平成18年7月22日~24日に行われ、試合会場は初日が10会場、2日目は4会場であった。サポートは初日と2日目の土・日曜日に、1会場で実施した。その会場で試合があるのは初日が6チーム、2日目が4チームで、メディカルチェックは当日に希望があったチームに試合の合間を利用して実施した。今回サポートに参加したPT は福井県アスレチックリハビリテーション研究会に参加しているPTで、初日9名、2日目13名であった。メディカルチェックの実施項目について、握力測定はOG技研社製デジタル握力計にて行い、肩関節外旋・内旋筋力は2nd肢位にてアニマ社製ミュータスF-1を用いて測定した。ROMは肩関節2nd内旋・外旋、肘関節屈曲・伸展、前腕回内・回外、SLR、股関節内旋の可動域とし、ゴニオメーターを用いて5°単位で両側測定した。FFD、上体おこしは1cm単位で測定し、腸腰筋と大腿四頭筋のタイトネスの有無と、しゃがみ込み動作の可否を調査した。実施方法は筋力・上肢ROM・下肢ROMの3セッションにPTを配置し、所要時間の短縮を図った。選手には測定中に値を伝え、投球側に機能低下がみられた場合は投球障害との関連性について説明し、測定後に集団でストレッチ指導を行った。また、大会参加全チームにストレッチ方法を記載した冊子とオーバーユースによる投球障害ついて説明したリーフレットを開会式の日に配布した。<BR>【結果】1.メディカルチェックを実施できたチーム数は初日4チーム、2日目が2チームで、両日での選手数は76名であった。2.メディカルチェックの結果では肩関節内旋(投球側38°、非投球側56°)、肘関節屈曲(投球側144°、非投球側148°)、肘関節伸展(投球側0°、非投球側4°)、前腕回内(投球側81°、非投球側88°)の可動域が非投球側に比べ、投球側が有意に低下していた。また、投球側の肘関節に-5°以上の伸展制限のある選手が26%にみられ、その半数は投手であった。<BR>【考察】選手・指導者・父兄が多く集まる大会期間中を利用してスポーツ障害予防の啓蒙を行った。甲子園出場を目指して中学から硬式野球をしている選手の4人に1人の割合で投球側の肘関節拘縮がみられていた。これは少年期からのオーバーユースが原因と考えられるため、少年期からの投球障害予防の啓蒙が求められる。今後はスタッフ数を増員し、より多くのチームに啓蒙していくことが課題である。<BR><BR><BR><BR>
著者
長田 年弘 篠塚 千恵子 中村 るい 河瀬 侑 小堀 馨子 坂田 道生 高橋 翔 田中 咲子 中村 友代 福本 薫 山本 悠貴
出版者
筑波大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2012-04-01

古代ギリシア・ローマ美術史における、広義の「祈り」(「嘆願」、「崇拝」、「オランス」)図像について、作例を検証した。特にギリシア時代の「嘆願」と、ローマ時代の「オランス」に、女性を「祈り」の主体とする作例数が多いことに着目し、社会的弱者の「祈り」と、道徳等の社会規範との関わりに目を向けた。小堀馨子(古代宗教史)は専門的見地から参加し、「命乞い」などのネガティブな価値判断を与えられた「嘆願」図像が、「敬虔さ」を表すポジティブな「崇拝」および「オランス」図像に転用された現象について検討を行った。期間中に5回の研究例会を開催し、最終的な研究成果に関して報告書を編集、刊行、専門研究者に配布した。
著者
日比野 誠恵 堀 進悟
出版者
一般社団法人 日本救急医学会
雑誌
日本救急医学会雑誌 (ISSN:0915924X)
巻号頁・発行日
vol.21, no.12, pp.925-934, 2010-12-15 (Released:2011-02-09)
参考文献数
23
被引用文献数
1

米国救急医学の歴史的背景,現状(法整備,統計指標,診療体制,他職種の関与,ワークライフバランスと女性参加,病院経営との関係),更に問題点をまとめ,本邦に導入されつつあるER型救急医療と比較した。米国救急医学は1960年代に誕生し,組織化され,専門医資格,研修制度を獲得し,現在では約4万人の救急医が全米で働き,社会のセーフテイネットとして機能している。米国救急医学が発展した理由は,医療需要に合致する救急医療モデルであったこと,そして完全シフト制と待遇に配慮して救急医を多数獲得し,組織化により診療以外にも教育,研究体制を整備したことによる。本邦のER型救急医療は1990年代に誕生し,大都市を中心に普及しつつあるが,未だ黎明期にあるため救急医の数も少なく,業務も入院診療を担当し,したがって完全シフト制ではない場合があり,米国救急医学と同一の内容ではない。一方,本邦のER型救急医療と同様に,欧州でも同様に米国救急医学を導入する潮流があり,都市型救急医療需要への対応は先進国に共通した現象と考えられる。米国救急医学の歴史を振り返ると,ER型救急医療を発展させるためには,救急医の質の標準化,ワークライフバランスを考慮した人的資源の獲得が重要と考えられる。
著者
村田 康乃 篠田 日菜子 大平 雅之 松本 尚子 宮武 滝太 堀野 良和 小田 晃規 黒田 重靖
出版者
基礎有機化学会(基礎有機化学連合討論会)
雑誌
基礎有機化学討論会要旨集(基礎有機化学連合討論会予稿集)
巻号頁・発行日
vol.2011, pp.248-248, 2011

1,6-メタノ-2,3-シクロペンタジエノ[10]アヌレンとジクロロケテンとの反応により付加体を得た。ついで,これを加水分解すると1,6-メタノ-2,3-トロポロノ[10]アヌレンの異性体 (1)、(2) が得られた。また現在更に3,4-ジホルミルフランを原料として新規な合成経路により1,6-メタノ-2,3-シクロペンタジエノ[10]アヌレンの合成を行った。これから、3,4-異性体 (3),(4) の合成を行っている。
著者
宝蔵寺 裕之 堀江 修 尾形 正次 沼田 俊一 金城 徳幸
出版者
公益社団法人 高分子学会
雑誌
高分子論文集 (ISSN:03862186)
巻号頁・発行日
vol.47, no.6, pp.483-490, 1990-06-25 (Released:2010-03-15)
参考文献数
13
被引用文献数
16 19

エポキシ樹脂に充填剤として球形のシリカを用いた成形品の機械強度, 樹脂と充填剤の界面の接着性に及ぼすカップリング剤の種類, 添加方法, 添加量の影響について検討した. インテグラルブレンド法でカップリング剤を添加した場合カップリング剤の種類や添加量を変えても樹脂と充填剤の接着性はあまり改良されず成形品の機械強度もほとんど向上しない. あらかじめ充填剤表面をアミノシラン系カップリング剤で処理した場合には, 樹脂と充填剤の界面の接着性が改良され, 成形品の機械強度が大幅に向上した. 成形品の機械強度は, 充填剤表面にカップリング剤の単分子層が形成された場合に最も高い値を示す.
著者
堀 史郎
出版者
早稲田大学大学院 社会科学研究科
雑誌
社学研論集 (ISSN:13480790)
巻号頁・発行日
vol.9, pp.184-197, 2007-03-25

論文