著者
真喜屋 清 塚本 増久 堀尾 政博 黒田 嘉紀
出版者
学校法人 産業医科大学
雑誌
産業医大誌 (ISSN:0387821X)
巻号頁・発行日
vol.10, no.2, pp.203-209, 1988
被引用文献数
1 7

福岡県遠賀郡岡垣町に在住の男性(55才)が, 鼻内異物感を伴う鼻出血と著しい鼻汁の分泌に悩まされた後, 昭和62年7月に右側鼻内から1匹のヒル(蛭)を取り出した. 病院受診時には鼻内所見で鼻中隔弯曲が見られた他は, 左右鼻腔内に潰瘍・糜爛や出血がなく, 耳内・口腔内にも異常は認められなかった. ホルマリン固定された虫体は, 黒褐色で体表には特定の模様がなく, 体長3.5cm, 最大体幅が1.2cmであった. また, 1)耳状突起がない, 2)5対の眼点は第3と第4眼点が1環節によって隔てられる, 3)額板には歯が認められない, などの特徴によって, ハナビル<i>Dinobdella ferox</i>と同定された. このヒルは東南アジアに広く分布し, わが国でも人体寄生が知られているが, 九州では南九州からだけである. この患者は九州北部の温泉地で渓流水から感染したものと推察されるので, 温泉・秘湯ブームなどで渓谷にわけ入る風潮の盛んな昨今, 注意を払う必要がある.
著者
近喰 ふじ子 塚本 尚子 安藤 哲也 吾郷 晋浩
出版者
一般社団法人日本心身医学会
雑誌
心身医学 (ISSN:03850307)
巻号頁・発行日
vol.50, no.12, pp.1171-1185, 2010-12-01
被引用文献数
1

筆者は,ここ数年,子どもが身体症状を訴えて母親とともに小児科外来を受診した際,子どもの症状を心配するよりも夫婦関係を重視した情報を聞かされ,家族関係が変化したことを母親の言葉から間接的に知らされた.すなわち,夫婦関係の親密性が想定された.そこで,今回,「夫婦親密度尺度」を作成した.本尺度は4因子の構造からなり,親関係項目からは「依存型夫婦」「安定型夫婦」「不満型夫婦」「尊重型夫婦」の31項目が,子ども関係項目からは「子ども重視型夫婦」「子ども干渉型夫婦」「子ども否定型夫婦」「子ども不信型夫婦」の25項目が抽出され,信頼性と妥当性が確認された.すなわち,従来使用されていた「家族機能測定尺度」との相関関係から,従来の家族機能とは異なる新しい家族機能へと変化し,子どもの混乱が生じやすいことが推察された.
著者
塚本 昌彦
雑誌
情報処理
巻号頁・発行日
vol.57, no.9, pp.824-825, 2016-08-15

2016年7月に米国等で位置情報を扱うスマホゲーム「ポケモンGO」が公開された.公開から数日で膨大な数のダウンロードがあり,数多くのユーザがアウトドアでゲームをするという異様な風景が見られたと同時に,数多くの社会問題が発生し,メディア等で大きな騒ぎとなった.本稿ではこれらの状況について簡単な分析を行うと同時に,位置情報ゲームとしてのポケモンGOの特徴について述べる.さらに,今後のウェアラブルビジネスをはじめとするさまざまな業界への影響や展開の可能性について予想する.

12 0 0 0 OA 国訳密教 : 経軌

著者
塚本賢暁 編
出版者
国訳密教刊行会
巻号頁・発行日
vol.第5, 1923
著者
塚本 浩司
出版者
日本物理教育学会
雑誌
物理教育 (ISSN:03856992)
巻号頁・発行日
vol.56, no.1, pp.2-9, 2008-03-10 (Released:2017-02-10)
参考文献数
29

今日の科学史研究の成果によれば,運動方程式ma=Fを発見したのはニュートンではないし,古典力学を完成させたのもニュートンではない。いわゆる"ニュートンカ学"の体系とは,『プリンキピア』以降,200年ほどの科学研究と科学教育の営みの中で形成されてきたものである。本論文では,"ニュートンカ学"的な教科書の古典とされるトムソン=テイト『自然哲学論』(1867)以前の英語圈の教科書における古典力学の記述を追い,『自然哲学論』以前に先駆的な役割を果たした教科書の存在を明らかにする。
著者
塚本 まゆみ
出版者
田園調布学園大学
雑誌
人間文化研究 (ISSN:13477781)
巻号頁・発行日
vol.1, pp.103-114, 2003-03-20

ハリウツド映画に登場した新しいタイプの行動的なヒロイン像の分析を通じて,性別役割分担論や女性の社会的地位に関する現実と理念の変容を読む。そこに現われた女性の自己決定への強い意志は,他方では身体を通じて表象されてきた「女性らしさ/男性らしさ」というジェンダー規範そのものの変容として表現されようとしており,そのような規範に対する根本的な疑問の出発点ともなり得るだろう。
著者
倉橋 真也 村尾 和哉 寺田 努 塚本 昌彦
出版者
情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.58, no.1, pp.237-248, 2017-01-15

トイレの便器にセンサを組み込むことで,ユーザの生体情報を日常的に取得し,健康管理などに応用できるようになった.トイレは多くの場合,複数人が共用するため採取した生体情報をユーザごとに分類する必要があるが,カメラや音声,体重計による個人識別はプライバシの観点から適切ではない.タッチパネルなどの機器を設置して操作することでの個人識別も可能であるが,本来不要な操作であるため操作を忘れることもある.そこで本論文では,トイレで自然に行われる動作であるトイレットペーパの巻き取りの個人差に着目し,芯に角速度センサを設置したトイレットペーパの回転特性から個人を識別する手法を提案する.評価実験により提案システムの有効性を確認したところ,識別精度は実験室環境において5人から1人を識別する場合に83.9%,実環境において5人から1人を識別する場合に69.2%となった.さらに,提案手法を用いて,体調管理を推進するライフログアプリケーションと,トイレットペーパの使いすぎを抑止するアプリケーションを実装した.
著者
塚本 學
出版者
国立歴史民俗博物館
雑誌
国立歴史民俗博物館研究報告 = Bulletin of the National Museum of Japanese History (ISSN:02867400)
巻号頁・発行日
vol.35, pp.273-295, 1991-11-11

文化財ということばは,文化財保護法の制定(1950)以前にもあったが,その普及は,法の制定後であった。はじめその内容は,芸術的価値を中心に理解され,狭義の文化史への歴史研究者の関心の低さも一因となって,歴史研究者の文化財への関心は,一般的には弱かった。だが,考古・民俗資料を中心に,芸術的価値を離れて,過去の人生の痕跡を保存すべき財とみなす感覚が成長し,一方では,経済成長の過程での開発の進行によって失われるものの大きさに対して,その保存を求める運動も伸びてきた。また,文化を,学問・芸術等の狭義の領域のものとだけみるのではなく,生業や衣食住等をふくめた概念として理解する機運も高まった。このなかで,文献以外の史料への重視の姿勢を強めた歴史学の分野でも,民衆の日常生活の歴史への関心とあいまって,文化財保存運動に大きな努力を傾けるうごきが出ている。文化財保護法での文化財定義も,芸術的価値からだけでなく,こうした広義の文化遺産の方向に動いていっている。文化財の概念と,歴史・考古・民俗等の諸学での研究のための素材,すなわち史料の概念とは次第に接近し,そのことが諸学の共同の場を考える上でも役割を演ずるかにみえる。だが,文化財を,継承さるべき文化の産物とだけみなすなら,反省の学としての歴史学とは両立できない。過去の人生は,現代に,よいものだけを残したわけではない。たとえば戦争の痕跡のように,私たちが継承すべきではないが,忘れるべきでないものは少なくない。すぐれた芸術品と理解される作品のなかにも,ある時代の屈辱の歴史が秘められていたり,新しい芸術創造の試みを抑圧する役割を担った例があること等を思いあわせて,継承さるべきでない文化の所産もまた文化財であるというみかたが必要である。歴史博物館の展示でも,この点が考えられねばならない。
著者
江口 克之 塚本 将 Ballarin Francesco 沓掛 丈 薄田 真由
出版者
日本衛生動物学会
雑誌
衛生動物 (ISSN:04247086)
巻号頁・発行日
vol.73, no.2, pp.59-61, 2022-06-20 (Released:2022-06-20)
参考文献数
17
被引用文献数
1

Several adults of the alien millipede Chamberlinius hualienensis Wang, 1956, a pest introduced from Taiwan, were discovered on October 16, 2021 at the Tama Zoological Park, Tama Area, Tokyo, Japan. This is the first known record of C. hualienensis from mainland Tokyo. Species identification was primarily conducted by examining morphological diagnostic characters of the species within the genus Chamberlinius and subsequently confirmed by DNA barcode based on standard COI gene fragment.
著者
中山 遼 寺田 努 塚本 昌彦
雑誌
エンタテインメントコンピューティングシンポジウム2017論文集
巻号頁・発行日
vol.2017, pp.123-130, 2017-09-09

着ぐるみの動作練習において,事前に装着して練習できる環境は少ないため,演者は着ぐるみを装着せずに練習をすることが一般的である. しかし,着ぐるみの構造は人間と異なっており,装着経験の少ない演者にとって,着ぐるみの動作練習をすることは難しい. そこで本研究では,ユーザが効果的な着ぐるみの動作練習ができるように,ユーザのポーズに応じて,着ぐるみ装着時のポーズを視覚提示するシステムを提案し,システムの有用性を検証する評価実験を行った.
著者
佐藤 宏樹 大西 鮎美 寺田 努 塚本 昌彦
雑誌
研究報告ヒューマンコンピュータインタラクション(HCI) (ISSN:21888760)
巻号頁・発行日
vol.2022-HCI-200, no.34, pp.1-7, 2022-11-01

人間の目は明るさの変化に対応して感度を調整し,その明るさに順応することで視覚機能を維持する.周囲が明るくなるときの順応を明順応,暗くなるときの順応を暗順応と呼ぶ.しかし,トンネルや建物への出入りのような急激に明るさが変化する場面では,明るさの変化に目の順応が追い付かず視力が低下し事故につながる恐れがある.そこで本研究では,明るさの急激な変化に対応するため,LED と遮光フィルムを用いて目に入る光の量を制御し,明順応と暗順応を支援するウェアラブルデバイスを提案する.提案デバイスは明順応を支援するために,周囲が明るくなる直前に LED の光を目に照射して明るさに目を慣れさせる機能と,明るくなると同時に遮光フィルムを用いて明るさの変化を緩やかにする機能をもつ.また,暗順応を支援するために,暗くなる直前に遮光フィルムで目を覆い暗さに目を慣れさせる機能をもつ.各機能による視力の低下を抑制する効果を評価した結果,LED を用いた明順応の支援では視力の低下を抑制できる可能性が示唆されたが,遮光フィルムを用いた明順応の支援については視力の低下を抑制する効果は確認できなかった.また,遮光フィルムを用いた暗順応の支援は LED を用いた明順応の支援と比べて視力の低下を抑制する効果が低いことがわかった.
著者
岡崎 辰彦 寺田 努 塚本 昌彦
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. MVE, マルチメディア・仮想環境基礎 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.111, no.38, pp.93-98, 2011-05-06
参考文献数
4

現在,着ぐるみは様々なイベントで数多く利用されている.しかし,多くの着ぐるみは体の大きさや形が人間と異なっており,着ぐるみ装着者が自分の姿勢を認識することが難しい.また,着ぐるみ装着者の視界は制限されており,周囲の人々の存在を感知しづらく,人々とスムーズにコミュニケーションを行うことが難しい.そのため,着ぐるみ装着者がそのキャラクタらしく振る舞うためには高度な技術や十分な修練が必要となる.そこで本研究では,着ぐるみ装着者がそのキャラクタらしく振る舞うための支援を行う着ぐるみ装着者支援システムを提案する.評価実験の結果から,提案システムを用いることでスムーズなコミュニケーションが行えることを確認した.
著者
塚本 直幸 ペリー 史子 吉川 耕司 南 聡一郎
出版者
大阪産業大学
雑誌
大阪産業大学人間環境論集 (ISSN:13472135)
巻号頁・発行日
vol.15, pp.101-137, 2016-03

本論は,筆者らが継続的に行ってきたLRT(Light Rail Transit)整備に関わる各国の財源制度と個々の都市特性との関連で,整備手法や整備効果がどのように異なっているかについての体系的な現地調査の一連の流れの中にある。すなわち,LRT整備財源制度の把握を行い,都市特性に特徴があると考えられるスペイン3都市,フランス3都市の現地調査と交通政策担当者に対するヒアリングに基づいて,各都市の特性に応じたLRT整備計画の狙い,社会的合意形成プロセス,整備効果,LRT関連施設のデザイン決定プロセス等に関する情報収集を目的として実施したものである。
著者
塚本 昌彦 松坂敬太郎
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告高度交通システム(ITS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2006, no.120, pp.111-118, 2006-11-16

コンピュータが小型化,高性能化し,コンピュータを実空間のなかのさまざまなものに埋め込んで使うユビキタスコンピューティングが現実的になってきた.ユビキタスコンピュータの次のステップは「飛ぶコンピュータ」である.センサやカメラ,マイクやスピーカ,LED,ディスプレイなどをそなえた小型のコンピュータが空中を自由に動き回れるようになれば,災害救助,気象観察,設備点検,安全巡視,その他あらゆる実世界での人々の活動において有効に活用できる.本稿では,超小型ヘリと超小型コンピュータを融合した「飛ぶコンピュータ」の構想と,それに向けての筆者らのグループによる取り組みについて述べる.As computers became smaller, ubiquitous computing where they are embedded in many objects and are used in the real world becomes realistic. We consider the the next step of ubiquitous computers is "flying computers." If a small computer equipping with sensors, camera, microphones, speakers, LEDs, or displays, can fly in the air at will, it can support variety kinds of human activities such as rescue, observation, inspection, and patrol. In this paper, we introduce the notion of "flying computers" which combines very small helicopters and very small computers, and show the activities of our group toward realizing it.

8 0 0 0 OA 蒙求

著者
塚本哲三 編
出版者
有朋堂書店
巻号頁・発行日
1919