著者
塚本 良則
出版者
公益社団法人 砂防学会
雑誌
砂防学会誌 (ISSN:02868385)
巻号頁・発行日
vol.54, no.5, pp.66-77, 2002-01-15 (Released:2010-04-30)
参考文献数
40
被引用文献数
4

A conceptual process model is presented to analyse the whole process of devastation, denudation and recovery of forests and soils on low relief mountains. The model is composed of the four zones which represent a respective erosion type. The four zones are as follows : The mature forest zone where deep landslides ocurring as natural phenomena are predominant ; The preparatory zone of the active erosion front where shallow landslides are accerelated by forest deterioation and cutting ; The active erosion front zone where most sivere surface erosion and soil slides occur simultainiously ; The bareland zone where the surface soil is denudeted. The model clearif ed the spatial and the temporal process of devastation of forests and denudation of soils, and the importance of accerelation of soil slides by forest cuting in sediment disasters during the past half century.
著者
塚本 良則
出版者
一般社団法人 日本治山治水協会
雑誌
水利科学 (ISSN:00394858)
巻号頁・発行日
vol.46, no.5, pp.1-25, 2002-12-01 (Released:2018-03-14)
参考文献数
20
被引用文献数
1
著者
中村 拓人 徳田 裕 菱田 実 塚本 彰 丸箸 兆延 鳥畠 康充 糸川 秀人
出版者
東海北陸理学療法学術大会
雑誌
東海北陸理学療法学術大会誌 第26回東海北陸理学療法学術大会
巻号頁・発行日
pp.17, 2010 (Released:2010-11-02)

【背景】日本整形外科学会の静脈血栓塞栓症予防ガイドラインでは,長時間の車椅子座位保持は,静脈血流の低下から下肢深部静脈血栓症(以下,DVT)の可能性があり,予防として定期的に歩行,立ち上がり等を行う必要があるとしている.しかし血流低下の明確な根拠と何分,何時間ごとに予防運動を行うべきかについては明確な記載はない.【目的】車椅子座位保持が,下肢深部静脈血流速度(以下,血流速度)を低下させるか検証し,保持時間が血流速度に及ぼす影響ついて明らかにすることとした.【対象】内科的,運動器的に機能障害のない健常成人12名(性別:男性9名,女性3名).年齢21.8±2.8歳,身長168.5±9.6cm,体重67.8±16.9kg.【方法】対象血管は左側ヒラメ静脈とし,15分間安静にした腹臥位時の血流速度,車椅子移乗5,10,15,20分後の血流速度を,それぞれ超音波診断装置使用し,パルスドップラーモードにて測定した.血管径に変化が生じないよう,ゲル層を厚くし皮膚に直接プローブが接触しないように配慮した.統計処理は腹臥位との比較に多重比較検定を用い,危険率5%未満を有意水準とした.【結果】腹臥位時血流速度3.9±1.1m/secに比べて,5分後3.1±0.9m/secでは有意差を認めず,10分後2.5±0.6m/sec,15分後2.1±0.7m/sec,20分後1.7±1.6m/secで有意差を認めた(P<0.01).【考察】臥位時に比べて車椅子座位保持は,血流速度が低下することが示され,DVT発症リスクがあることが示唆された.また約10分間以上の保持で血流速度が有意に低下することが示され,最低限10分間ごとにはDVT予防のため対応が必要であると考えられた.このDVT予防方法に関して,カフパンピングや立ち上がり等の運動種別,運動回数,運動速度など,今後更に検討していく必要があると考える.
著者
塚本 由紀 真島 久和 犬飼 幸子
出版者
日本小児放射線学会
雑誌
日本小児放射線学会雑誌 (ISSN:09188487)
巻号頁・発行日
vol.37, no.1, pp.113-118, 2021 (Released:2021-03-27)
参考文献数
18

1歳10か月女児.発熱2日目(第2病日)に痙攣し,単純型熱性痙攣と診断された.第3病日,川崎病主要症状全てを認め川崎病の診断で当院に入院し,免疫グロブリン療法(IVIG)を開始した.同日夜に痙攣を2回認めた.第4病日,発熱が続きJapan Coma Scale 30の進行性の意識障害があり,脳MRIを施行したところ拡散強調画像において,脳梁膨大部,および前頭葉から半卵円中心に対称性の高信号域を認め,拡散係数は低下し,mild encephalitis/encephalopathy with a reversible splenial lesion(MERS)2型の画像所見に合致した.進行性の意識障害を認めたためIVIG追加とステロイドパルス療法を行ったところ,意識障害は改善し,後遺症なく経過した.本症例のように熱性痙攣と考えられた場合でも,脳炎・脳症の可能性があるので慎重な経過観察が必要である.
著者
塚本 満朗 髙木 朗義
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
日本都市計画学会中部支部研究発表会論文集 (ISSN:24357316)
巻号頁・発行日
vol.33, pp.63-64, 2022 (Released:2022-10-03)
参考文献数
3

近年の豪雨災害時における人的被害の状況に対して災害の危険性認知が十分でないことが指摘されている.このような現状の改善に向け様々な視点や方法により分析をする必要がある.本研究では,先に塚本・髙木が統計分析に代わる手法として構築した6,7種類の避難場所を予測する住民避難選択行動モデルを従来の住民避難行動分析に倣って改変し,避難と非避難の2分類を予測するモデルを用いた.そのうえで,平成30年から令和3年に発生した豪雨災害時の避難行動に対するアンケート調査データを対象に,XAIという技術を用いて住民避難行動において避難の決定に影響をもたらす要因を抽出した.結果から,災害による被害を身近に経験していることや避難の経験があること,災害の危険性に対する意識が既に高いことが避難行動に影響を与えている一般的な要因の中でも影響が強いこと,本研究の結果と同じデータを用いた統計分析の結果が概ね一致することが明らかとなった.
著者
柴田 清 葛生 伸 黒田 光太郎 小林 志好 小林 信一 塚本 公秀 英 崇夫 原田 昭治
出版者
公益社団法人 日本工学教育協会
雑誌
工学教育 (ISSN:13412167)
巻号頁・発行日
vol.69, no.6, pp.6_48-6_53, 2021 (Released:2021-12-05)
参考文献数
29

Liberal arts education is attracting great interest in term of source of innovation to comprehend social needs and acceptance of technologies. However, the engineering has not been sufficiently included in the conventional liberal arts education, despite of its significance in modern society. To incorporate engineering in the liberal arts education, the following approaches are discussed. Engineers should learn social science and humanities to understand social needs and to enhance communication skills, and acquire generic engineering principle which is common in all engineering field. General public should develop technological literacy to ascertain the possibilities and limits of technology. Public, including engineers, should know nature of engineering to communicate each other, and obtain ability to identify the risk and benefit of technology.
著者
堀田 浩貴 熊本 悦明 青木 正治 山口 康宏 佐藤 嘉一 鈴木 伸和 和田 英樹 伊藤 直樹 塚本 泰司
出版者
一般社団法人 日本泌尿器科学会
雑誌
日本泌尿器科学会雑誌 (ISSN:00215287)
巻号頁・発行日
vol.82, no.12, pp.1939-1946, 1991-12-20 (Released:2010-07-23)
参考文献数
18
被引用文献数
1

夜間睡眠時勃起現象 (NPT) は, ほとんどすべての健康男子に見られる生理現象であるが, 小児での検討は少ない. そこで今回我々は, 3歳から18歳までの小児30例で, NPT測定を行い, 身体的発育と性的成熟度との関連について検討した.1. NPTの回数は各年齢でバラつきが大きいが, 10歳過ぎ頃より増加傾向を認め, 13, 14歳の2例で14回と最高値を示した.2. 陰茎周増加値 (一晩のNPTのエピソード中, 最大の陰茎周変化の値) は10歳まではすべて10mm以下であったが, 12歳過ぎ頃に急激な増加が見られた.3. NPT時間 (一晩のNPT時間の合計), %NPT時間 (睡眠時間に占めるNPT時間の割合) は, ともに12歳頃より急激な増加が認められた. %NPT時間は, 血清LH値とほぼ正の相関を示していた. また思春期発来の指標と考えられている夜間睡眠時のLH pulseが認められた例では, 認められなかった例に比し, %NPT時間は明らかに高値であった.4. 以上から, 小児におけるNPTの測定は, 他の内分泌学的指標とともに思春期発来を知る上での生理学的指標となり得る可能性が示唆された.
著者
Cong Liu 坂地 泰紀 和泉 潔 早川 正亮 塚本 和哉 加藤 大輔
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会第二種研究会資料 (ISSN:24365556)
巻号頁・発行日
vol.2022, no.FIN-029, pp.28-31, 2022-10-08 (Released:2022-10-01)

近年、中国経済の躍進に伴い、中国の各国経済に与える影響が高まっている。そのため、米国経済を中心に把握するだけではなく、中国経済の動向を把握することがより重要になっている。しかしながら、中国経済に言及した英語記事は中国語媒体よりも少なく、また、中国語で記載された中国経済に関する膨大な記事から選別してトピックを抽出することは現状難しい。そこで本研究では、中国語記事と英語記事の両方からセンチメントを獲得し、これらを合わせて利用することで、中国市場インデックスを予測する新たなモデルを提案する。
著者
安江 健 河上 花琳 塚本 純子
出版者
動物の行動と管理学会
雑誌
動物の行動と管理学会誌 (ISSN:24350397)
巻号頁・発行日
vol.58, no.4, pp.204-211, 2022-12-25 (Released:2023-01-27)
参考文献数
18

地域ネコの適正な飼育管理技術に資するため、緑地空間を多く含む農業系大学キャンパス(約12 ha)で屋外飼育される、2匹の子ネコを含む10匹の地域ネコ個体群の生息地利用を個体ごとに比較した。2020年6月1日~12月31日までの期間中、キャンパス内に設定してある給餌場への訪問の有無を毎日記録したとともに、給餌場付近にキャリアボックスを積んで作成した雨風除けの避難小屋の利用を、小屋前に設置した赤外線センサーカメラを用いて9~12月の期間中毎月10日間程度、24時間連続で観察した。9~10月の期間中には、首輪に取り付けたGPSロガーを捕獲可能な個体に装着して1分間隔で位置データを収集し、24時間の行動圏を測定した。避難小屋は2匹の子ネコにはほぼ毎日利用され、成ネコにも雨天日(平均±SD:352.5±172.2分)にはそれ以外の日(110.8±66.3分)よりも長く利用された(P<0.05)ものの、利用は特定の2匹に限られた。給餌場への訪問では、最長で1週間近く訪問しない成ネコが4匹存在したもののこれらは調査開始直後の1ヵ月間に限られ、全期間を通して給餌場を訪問した日数割合は84~100%と、避難小屋を利用しない個体であっても訪問頻度は高かった。連続24時間の位置データが得られた5匹の行動圏の範囲とその大きさからは、調査開始時に去勢した雄個体では24時間行動圏面積が12.4~16.3 haと大きく、給餌場以外にもキャンパス外にコアエリアを複数有していたが、それ以外の個体は雌雄ならびに避難小屋の利用の有無にかかわらず0.8~5.5 haと、その行動圏はほぼキャンパス内に収まっていた。
著者
塚本 直也
出版者
名古屋大学農学国際教育研究センター
雑誌
農学国際協力 (ISSN:13475096)
巻号頁・発行日
vol.16, pp.2-8, 2018 (Released:2021-04-28)
参考文献数
7

環境問題は、公害に始まり、資源・エネルギーの大量消費による地球全体の環境問題、更には、将来世代の権利に及ぶ問題へと空間軸・時間軸ともに拡張された。並行して持続可能な開発の課題も、環境と経済の両立から、環境が経済活性化の駆動力となるグリーン経済の実現、そして得られた富が公平に配分される社会の実現へと進化した。その集大成として国連総会で決定されたSDGsの意義としては、1)民主的なプロセスで作成された目標を基に各国が実施計画を策定したこと、2)多様な発展レベルの国々からなる現実世界にマッチした目標であること、3)目標の相互関係の理解が進んだこと、 4)地域コミュニティでのローカライゼーションが行われること、及び5)環境保全が開発の配慮事項ではなく、環境保全を推進することで持続可能な経済・社会の構築に繋がることが明確化されたことが挙げられる。
著者
岩本 宗大 大西 鮎美 寺田 努 塚本 昌彦
出版者
情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.63, no.10, pp.1574-1582, 2022-10-15

フィールドホッケーは,スティックと硬球を使って行う世界的に人気のあるスポーツである.フィールドホッケーの動作の中で,チームメイトへのパスとして最も基本的で一般的に使われる動作のうちの1つにプッシュという動作がある.プッシュ動作中,スティックにボールが接触してからリリースされるまでスティックがボールと接触している距離が長いと強くて速いプッシュを打てる.しかし,初心者が自分でスティックの接触点を知覚することは難しい.本研究では,プッシュの技術向上のためにスティックにボールが接触する位置の移動経路をリアルタイムに聴覚フィードバックするシステムを提案する.提案システムは,圧力センサの接触位置に応じてピッチの異なるフィードバック音を圧電スピーカによりリアルタイムで発生させる.2カ月間行った評価実験の結果,スティック上のボールの移動経路の平均距離は,聴覚フィードバックを行ったほうが,行わなかった場合よりも有意に長くなった.これにより,提案システムによる聴覚フィードバックの有効性を確認した.
著者
塚本 和正 町田 和彦 稲 恭宏 栗山 孝雄 鈴木 克彦 村山 留美子 西城 千夏
出版者
日本衛生学会
雑誌
日本衛生学雑誌 (ISSN:00215082)
巻号頁・発行日
vol.49, no.4, pp.827-836, 1994-10-15 (Released:2009-02-17)
参考文献数
28
被引用文献数
6 9

動物の過密飼育(crowding)は,心理社会的なストレッサーとされているが,従来の方法は飼育面積を一定にし,個体数のみを変化させているため,個体数の増加と1匹あたりの占有スペースの狭少化という2つの要因が複合されたものであるといえる。そこで本研究ではケージ内の個体数とケージのサイズの両方を変化させるという方法をとり,免疫能に及ぼす影響を追求した。またケージ内の動物の構成メンバーの変化が及ぼす影響についても検討を加えた。実験1ではマウスをまずケージあたり4匹ずつに分けて14日間馴化飼育し,その後ケージあたり4匹(Control群),小スペースあたり4匹(Crowding-I群),ケージあたり16匹(Crowding-II群)の計3群に無作為に分け7日間飼育を行った。結果は以下の通りであった。(1) 体重に群間で有意差は認められなかった。(2) 総白血球数に有意差は認められなかったが,Crowding-II群にリンパ球百分率の有意な低値,そして好中球百分率および絶対数の有意な高値が認められ,ストレッサーの継続負荷による白血球構成比の変動が示唆された。(3) 好中球NBT還元能ではCrowding-II群に低値を示す傾向が観察され,細菌貪食能ではCrowding-II群に有意な低値が認められた。一方Crowding-I群では,NBT還元能,貪食能ともにCrowding-II群ほどの低下は認められなかったが,いずれもControl群とCrowding-II群の中間の値を示す傾向がみられた。これらの結果から,個体数の増加によるマウス相互間の心理社会的要因の複雑化がストレッサーとして重要な意味をもつことが示唆された。実験2ではマウスをまずケージあたり5匹ずつに分けて14日間馴化飼育し,その後ケージあたり5匹(Control群),小スペースあたり5匹(Crowding-(1)群),ケージあたり20匹(Crowding-(2)群)の3群に分けたが,Control群とCrowding-(1)群はケージ内のマウスの数と構成メンバーは馴化飼育と同一にし,ケージへの移動のみを行った。群分け後2日目に抗原としてSRBCを腹腔投与し,7日間飼育を行った。結果は以下の通りであった。(1) 体重にはいずれの時期も有意差は認められなかった。(2) 特異免疫反応として測定したPFCおよび抗SRBC抗体価は,群間に有意差は認められなかった。なおマウスの産生した抗体はIgMであると考えられた。(3) 血漿中のIgM濃度に有意差は認められなかったが,Crowding-(1)群が高値を示した。またIgG濃度では,Crowding-(1)群に有意な高値が認められた。(4) 好中球NBT還元能は,エンドトキシン刺激時では有意差は認められなかったがCrowding-(2)群が低値を示し,細菌刺激時ではCrowding-(2)群に有意な低値が認められた。また好中球の細菌貪食能においてもCrowding-(2)群に有意な低値が認められた。一方Crowding-(1)群はControl群に比べて,有意差は認められなかったがいずれも高値を示した。このように,マウスの構成メンバーを変えず飼育面積の狭少化のみを施して過密にした場合は,同様にマウスの構成メンバーを変えなかった対照群に比べ,免疫能が亢進する傾向が観察された。一方ケージ内の個体数を増やして過密にした場合は,条件設定は実験1とは異なるが,好中球機能の顕著な低下が認められた。本研究は7日間という短期間のストレス負荷の結果であり,今後より綿密な実験デザインを設定し長期間の検討を行いたいと考えている。
著者
佐藤 賢一郎 水内 英充 塚本 健一 藤田 美悧
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.100-105, 2004-01-10

近年,卵巣チョコレート嚢腫の癌化が広く知られるようになったが,子宮腺筋症の癌化は稀な病態と思われており,報告例も散見されるのみである.今回,子宮腺筋症の癌化と考えられた腺扁平上皮癌(腺癌部分は低分化型類内膜腺癌)の稀な1例を経験した.症例は50歳,3経妊,2経産で,下腹部痛,腹部膨満,体重減少を主訴に,2002年(平成14年)8月7日に初診した.同年8月27日に診断的開腹術を施行したのち,TJ療法を行ったところ著効したため,2003年(平成15年)3月14日に二次的腫瘍減量術を施行した.開腹所見,病理組織所見より子宮腺筋症の癌化と考えられた. 一般的に,本疾患は術前診断が困難な場合があること,術後の病理組織診においても内膜より発生した体癌との鑑別診断が問題となる場合があること,予後についても同様に考えてよいのかなどの臨床的に重要ないくつかの問題点が存在するため,さらなる症例の積み重ねと知見の集積が望まれる.
著者
植田 直見 山口 繁生 川本 耕三 塚本 敏夫 山田 卓司 渡辺 智恵美 田中 由理 大橋 有佳 米村 祥央
出版者
公益財団法人元興寺文化財研究所
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2020-04-01

約30年前に保存処理された出土青銅製品に含浸された樹脂を分析した結果、分子構造が変化している可能性が推測された。さらに、出土金属製品の保存処理で最も使用頻度の高いパラロイドNAD10がすでに製造中止となり、今後在庫がなくなれば使用できなくなる。本研究では全国各地の様々な条件で保管されている出土金属製品の現状を調査し、含浸された樹脂を採取・分析・評価する。並行して未使用の樹脂の劣化促進実験を進め、その変化を追跡し、化学変化と機能の低下との関係を見極め、樹脂の寿命を予測し、新しい樹脂の使用時期を判断する指標を確立する。加えて今後出土金属製文化財に使用する新規の樹脂の開発に向けた指針を構築する。
著者
中川 遼 大西 鮎美 吉田 さちね 寺田 努 塚本 昌彦
雑誌
マルチメディア,分散協調とモバイルシンポジウム2018論文集
巻号頁・発行日
vol.2018, pp.330-337, 2018-06-27

授乳中にスマートフォンを操作する母親がいるが,授乳中のスマートフォン操作により乳児がぐずりだしたという声もある.しかし,実際に授乳中のスマートフォン操作が乳児のぐずりを引き起こしているのかは現在調査されていない.授乳中のスマートフォン操作が乳児のぐずりを引き起こしていた場合,原因を明らかにし,その原因を取り払うことで,乳児のぐずりを引き起こすことなくスマートフォンを操作できる可能性がある.また,原因がスマートフォン操作でない場合,母親は罪悪感を感じることなく授乳中にスマートフォン操作をすることが可能となる.本論文では,実際に授乳中のスマートフォン操作により乳児のぐずりが引き起こされているのか,またその場合,乳児のぐずりの原因は何であるのかを明らかにすることを目的とし,ビデオカメラや加速度センサ等を用いて授乳のみ時とスマートフォン操作時の母親の体勢や授乳中の乳児の視線や動作の変化を比較した.
著者
生田目 光 猪原 あゆみ 浅野 良輔 五十嵐 祐 塚本 早織 沢宮 容子
出版者
公益社団法人 日本心理学会
雑誌
心理学研究 (ISSN:00215236)
巻号頁・発行日
vol.92, no.1, pp.31-39, 2021 (Released:2021-04-25)
参考文献数
41
被引用文献数
1

This study investigated the reliability and validity of the Japanese versions of the Fear of Happiness Scale and the Fragility of Happiness Scale. The scales were administered to 341 Japanese undergraduates. Confirmatory factor analysis showed that, like the original versions, the Japanese Fear of Happiness Scale and the Fragility of Happiness Scale each had a one-factor structure. The two scales also each had good internal consistency, test-retest reliability, and construct validity. Furthermore, the scales showed incremental validity by predicting psychological elements (life satisfaction, depression, anxiety, stress) better than the behavioral inhibition system (BIS) and the behavioral activation system (BAS). The results of the present study revealed that the Fear of Happiness Scale and the Fragility of Happiness Scale had an adequate reliability and validity in this Japanese group.