著者
塚本 紀子 小嶋 秀幹
雑誌
福岡県立大学心理臨床研究 : 福岡県立大学大学院心理教育相談室紀要 (ISSN:18838375)
巻号頁・発行日
vol.6, pp.85-91, 2014-03-31

福祉事務所で働く新人ケースワーカー(以下、CW)11名に対し、職務ストレスとその対処プロセスを半構造化面接法により調査した。結果は、質的に分析し、以下の仮説を生成した。CWは、配属直後から敬遠される職務であるという不安を抱く。実務により、訪問・対応の困難さや事務の煩雑さ、生活保護法や他法がわからないといったストレスを感じ、上司や家族の支援が十分でないと感じる。若い自分を意識し、自分だけではうまくいかないと感じ、仕事の悩みを一人で抱える。このような職務ストレスに対して、経験と共に対処スキルを向上させていくが、背景には、上司や同僚の支援、CW同士で辛さを共感できる職場環境がある。職務を継続するうち、徐々に自己内面が変化し、余裕ができ、価値観の違いを理解し受け止め、突き放した関心といった自己の変化も体験する。しかし、その過程で、プレ・バーンアウト状態に陥る者もいる。自己スタンスを確立できた者は、さらに自己バランスを構築しながら職務を継続する。
著者
奥埜 博之 西島 勇 塚本 哲朗 河島 則天
出版者
日本理学療法士学会
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
vol.43, no.3, pp.241-246, 2016 (Released:2016-06-20)
参考文献数
11

【目的】すくみ足(以下,FOG)はパーキンソン病の主要な運動障害のひとつである。FOG の適切な評価はきわめて重要であるが, その程度を客観的に示し得る有効な評価方法が存在しない。本研究ではFOG を簡便かつ定量的に評価できる方法を考案することを目的とした。【方法】16 名のパーキンソン病患者に対し,間口を自身の快適歩行速度で通り抜ける歩行課題を実施した。間口幅は40 cm から10 cm 刻みで100 cm までの7段階で設定し,間口通過の所要時間とステップ数を計測した。【結果】間口幅の減少に伴ってステップ数が増加,所要時間が遅延する傾向が認められ,その関係性は一次直線回帰によって近似可能であった。また,UPDRS スコアのPart Ⅲとの関連は,所要時間との間に有意な相関(r = 0.56, p < 0.05)がみられた。【結論】今回提案した方法は,歩行時間とステップ数という簡便な計測変数であり,歩行評価に即時活用できるものと考えられる。
著者
矢野 桂司 磯田 弦 中谷 友樹 河角 龍典 松岡 恵悟 高瀬 裕 河原 大 河原 典史 井上 学 塚本 章宏 桐村 喬
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
E-journal GEO (ISSN:18808107)
巻号頁・発行日
vol.1, pp.12-21, 2006 (Released:2010-06-02)
参考文献数
30
被引用文献数
10

本研究では,地理情報システム(GIS)とバーチャル・リアリティ(VR)技術を駆使して,仮想的に時・空間上での移動を可能とする,歴史都市京都の4D-GIS「京都バーチャル時・空間」を構築する.この京都バーチャル時・空間は,京都特有の高度で繊細な芸術・文化表現を世界に向けて公開・発信するための基盤として,京都をめぐるデジタル・アーカイブ化された多様なコンテンツを時間・空間的に位置づけるものである.京都の景観要素を構成する様々な事物をデータベース化し,それらの位置を2D-GIS上で精確に特定した上で,3D-GIS/VRによって景観要素の3次元的モデル化および視覚化を行う.複数の時間断面ごとのGISデータベース作成を通して,最終的に4D-GISとしての「京都バーチャル時・空間」が形作られる.さらにその成果は,3Dモデルを扱う新しいWebGISの技術を用いて,インターネットを介し公開される.
著者
矢野 桂司 中谷 友樹 磯田 弦 高瀬 裕 河角 龍典 松岡 恵悟 瀬戸 寿一 河原 大 塚本 章宏 井上 学 桐村 喬
出版者
Tokyo Geographical Society
雑誌
地學雜誌 (ISSN:0022135X)
巻号頁・発行日
vol.117, no.2, pp.464-478, 2008-04-25
被引用文献数
2 19

バーチャル京都は,歴史都市京都の過去,現在,未来を探求することを目的に,コンピュータ上に構築されたバーチャル時・空間である。本研究では,最先端のGISとVR技術を用いて,複数の時間スライスの3次元GISからなる4次元GISとしてのバーチャル京都を構築する。本研究は,まず,現在の京都の都市景観を構築し,過去にさかのぼる形で,昭和期,明治・大正期,江戸期,そして,京都に都ができた平安期までの都市景観を復原する。<br> バーチャル京都を構築するためには以下のようなプロジェクトが行われた。a)京都にかかわる,現在のデジタル地図,旧版地形図,地籍図,空中写真,絵図,景観写真,絵画,考古学資料,歴史資料など位置参照可能な史・資料のGIS データの作成,b)京町家,近代建築,文化遺産を含む社寺など,現存するすべての建築物のデータベースおよびGISデータの作成,c)上記建築物の3次元VRモデルの構築,d)上記GISデータを用いた対象期間を通しての土地利用や都市景観の復原やシミュレーション。<br> バーチャル京都は,京都に関連する様々なデジタル・アーカイブされたデータを配置したり,京都の繊細で洗練された文化・芸術を世界に発信したりするためのインフラストラクチャーである。そして,Webでのバーチャル京都は,歴史的な景観をもつ京都の地理学的文脈の中で,文化・芸術の歴史的データを探求するためのインターフェイスを提供する。さらに,バーチャル京都は,京都の景観計画を支援し,インターネットを介して世界に向けての京都の豊富な情報を配信するといった重要な役割を担うことになる。

3 0 0 0 OA 先哲叢談

著者
塚本哲三 編
出版者
有朋堂書店
巻号頁・発行日
1923
著者
塚本 康浩
出版者
京都府立大学
雑誌
萌芽研究
巻号頁・発行日
2006

マウスやウサギの蛋白質はヒトとの類似性が高いために、ヒト由来抗原に対する抗体が作製困難となる場合が多くある。また、哺乳類を用いた抗体作製はコストが高いために、抗体の工業的使用には不適とされている。本研究では哺乳類とかけ離れている大型鳥類“ダチョウ"に焦点を当て、哺乳類(マウスやウサギ)では作製することが出来ない有用抗体を、高精度でかつ低コスト・大量に作製する方法を見出し、これにより、ロット間差の少ない優れた医療用抗体(獣医畜産および医学領域における診断用・治療用)の供給へと実用化をはかることを目的とした。特に、癌治療用抗体、感染症・食中毒病原体検出用抗体の大量作製法の開発を試みた。本年度は、肺癌細胞に強発現する細胞接着分子SC1に対するダチョウ抗体を作製し、動物実験による癌治療効果を検証した。その結果、ダチョウ抗体の投与により肺癌細胞の転移が抑制されることを見出した。今後、治療薬としての有用性を詳細に検討する必要がある。特に、ダチョウ抗体分子を酵素により切断し低分子化することで個体投与における安全性をあげる必要性がある。さらに、ノロウイルスの組み替え蛋白をバキュロウイルスベクターを用いた実験系により作製し、それを抗原としてダチョウに免疫することで産卵されたダチョウ卵の卵黄よりノロウイルス特異抗体を大量に回収することに成功した。今後、ノロウイルス診断および予防用薬品としての応用化を図っていく予定である。
著者
塚本 路子 村上 正人 松野 俊夫 塚本 克彦 縄田 昌子 瀬戸 恵理 山縣 然太朗
出版者
一般社団法人 日本心身医学会
雑誌
心身医学 (ISSN:03850307)
巻号頁・発行日
vol.58, no.2, pp.183-189, 2018 (Released:2018-03-01)
参考文献数
22

片頭痛は遺伝的因子が関与する可能性が高く女性に多い疾患である. 女性片頭痛患者の60%は月経周期に関連して片頭痛が生じており, 月経前に起こるエストロゲン離脱が片頭痛発作と深く関係しているといわれている. そこで, 海外から片頭痛との関連が報告されたエストロゲン受容体の遺伝子多型 (ESR1 397T>C, 325C>G, 594G>A) と涼冷刺激受容体TRPM8の遺伝子多型 (rs10166942) を, 当院を受診した月経に関連する片頭痛患者41例と対照群41例について調べた. その結果, 日本人においてもESR1 397およびESR1 325は, 月経に関連する片頭痛に関連があることが示唆された. 問診による調査では, 患者群の80.5%に家族歴があり, 片頭痛の出現は82.9%の患者において月経に伴いエストロゲンが変動するようになる初経年齢以降だった. また, 片頭痛患者がしばしば訴える 「冷えによる痛み」 と 「車酔い」 が患者群に有意に多く認められた.
著者
塚本 路子 村上 正人 松野 俊夫 塚本 克彦 縄田 昌子
出版者
一般社団法人 日本心身医学会
雑誌
心身医学 (ISSN:03850307)
巻号頁・発行日
vol.58, no.4, pp.347-351, 2018 (Released:2018-05-01)
参考文献数
13

女性患者が日常生活に支障をきたしていても羞恥心のために医療機関を受診しづらい症状の一つに外陰部痛がある. 外陰部痛の中でも特に器質的疾患が認められないvulvodyniaは治療に難渋することが多い. 今回われわれは, 漢方薬内服と心理療法が有効であったvulvodyniaの症例を経験した. そこでvulvodyniaの病態と治療について, 漢方医学および西洋医学の視点から心身医学的に考察した. 本症例は, 漢方医学的には腎虚と瘀血の所見がみられ, 八味地黄丸と桂枝茯苓丸が有効であった. Vulvodyniaは西洋医学的には外陰部の血流障害や筋肉の攣縮としてとらえられ, 治療薬として抗うつ薬や抗けいれん薬などが用いられる. またvulvodyniaには今回の症例のように心理療法を含む心身医学的なアプローチも大切である.
著者
塚本 康浩
出版者
京都府立大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2015-04-01

本研究では、ダチョウ抗体作製技術で抗HPV中和抗体の作製を試みた。HPVはヒトの子宮頸がんの発症に関与するパピローマウイルスである。HPVのウイルス様粒子(virus-like particle: VLP)を作製し産卵ダチョウに免疫することにより卵黄よりIgYを精製した。得られたIgYはVLPに特異的に高感度で反応することが判明した。また培養細胞での感染実験で中和活性を有することが判明した。子宮頸粘膜上皮細胞へ感染する際にウイルス表面にダチョウIgYが結合し細胞への吸着・感染を抑制出来ると考えられ、ローション等への適応によりHPV感染予防、結果として子宮頸がんの予防に貢献できると期待された。
著者
塚本 治夫
出版者
JAPAN TECHNICAL ASSOCIATION OF THE PULP AND PAPER INDUSTRY
雑誌
紙パ技協誌 (ISSN:0022815X)
巻号頁・発行日
vol.48, no.2, pp.298-304, 1994-02-01 (Released:2009-11-19)
参考文献数
28
被引用文献数
2 1

3 0 0 0 OA 有朋堂文庫

著者
塚本哲三 等編
出版者
有朋堂書店
巻号頁・発行日
vol.〔第116〕, 1917
著者
塚本 貴志 加藤 幸一郎 加藤 昭史 中野 達也 望月 祐志 福澤 薫
出版者
日本コンピュータ化学会
雑誌
Journal of Computer Chemistry, Japan (ISSN:13471767)
巻号頁・発行日
pp.2014-0039, (Released:2015-01-30)
参考文献数
23
被引用文献数
13 40

フラグメント分子軌道(Fragment Molecular Orbital; FMO)法はタンパク質などの巨大分子の電子状態計算を可能にする方法であり,FMO計算によって得られるフラグメント間相互作用エネルギー(Inter Fragment Interaction Energy; IFIE)がタンパク質-リガンド間相互作用などを理解する上で有用であるため創薬研究などに用いられている.本研究ではFMO計算プログラムABINIT-MP及びそのプリポストBioStation Viewerに,IFIEを静電相互作用エネルギー(ES),交換反発エネルギー(EX),電荷移動相互作用エネルギー(CT+mix),分散エネルギー(DI)の4つのエネルギー成分に分割・解析できる機能PIEDA (Pair Interaction Energy Decomposition Analysis)を実装し,複数のタンパク質-リガンド系で実証計算を行った.その結果,ノイラミニダーゼ-オセルタミビル,EGFRチロシンキナーゼ-エルロチニブ,エストロゲン受容体-リガンド複合体の3つの系がそれぞれ異なる特徴的なタンパク質-リガンド間相互作用を持っていることが示され,IFIEを各エネルギー成分に分割して評価できるPIEDAの有用性が示された.
著者
浅野 良輔 五十嵐 祐 塚本 早織
出版者
公益社団法人 日本心理学会
雑誌
心理学研究 (ISSN:00215236)
巻号頁・発行日
vol.85, no.1, pp.69-79, 2014-04-25 (Released:2014-04-15)
参考文献数
41
被引用文献数
3 16

Hedonia (seeking pleasure and relaxation) and eudaimonia (seeking to improve oneself in congruence with one’s values) uniquely contribute to well-being. The authors developed and tested the construct validity of a Japanese version of the Hedonic and Eudaimonic Motives for Activities (HEMA) scale that had been originally developed in North America. Drawing on the theoretical and empirical evidence from research on emotion, we proposed that people would pursue well-being in three different directions: pleasure, relaxation, and eudaimonia. In Study 1, we used the original HEMA scale to examine the Japanese attainment of well-being. The results supported the hypothesized three-factor model. Study 2 revealed that the Japanese version of the HEMA scale measured pleasure, relaxation, and eudaimonia. Each of these subscales showed statistically sufficient internal consistency. There was no gender difference in any of these measures. Scores on the scale systematically corresponded with external criterion variables, such as life satisfaction, affect, Ryff’s psychological well-being, social support, and lifestyle. Implications for psychological research and public policies that cover the topic of the pursuit of well-being are discussed.
著者
塚本 勝巳
出版者
日本比較生理生化学会
雑誌
比較生理生化学 (ISSN:09163786)
巻号頁・発行日
vol.10, no.4, pp.249-262, 1993-12-31 (Released:2011-03-14)
参考文献数
23
被引用文献数
3 2
著者
川杉 桂太 竹村 和久 岩滿 優美 菅原 ひとみ 西澤 さくら 塚本 康之 延藤 麻子 小平 明子 轟 純一 轟 慶子
出版者
公益社団法人 日本心理学会
雑誌
心理学研究 (ISSN:00215236)
巻号頁・発行日
pp.90.18219, (Released:2019-06-20)
参考文献数
24

In this study, we proposed three image analysis methods (wavelet transform, singular value decomposition, and Fourier transform) to evaluate drawings of the tree test quantitatively, and demonstrated the analyses to three images of the tree test drawn by schizophrenic patients. Wavelet analysis suggested that information about the position of drawn trees (direction, depth and width of drawn lines) can be captured. Fourier analysis suggested that information about the direction and depth of drawn lines can be captured. Singular value decomposition suggested that information about the position and direction of drawn lines can be captured. Further research is needed to consider the features of mathematical image analysis in detail, and apply them to analysis of the tree test.

3 0 0 0 OA 脚本集

著者
塚本哲三 編
出版者
有朋堂書店
巻号頁・発行日
vol.下, 1922