著者
高柳 明夫 小林 皇 橋本 浩平 加藤 隆一 舛森 直哉 伊藤 直樹 塚本 泰司
出版者
一般社団法人 日本泌尿器科学会
雑誌
日本泌尿器科学会雑誌 (ISSN:00215287)
巻号頁・発行日
vol.99, no.7, pp.729-732, 2008-11-20 (Released:2011-01-04)
参考文献数
11
被引用文献数
1 1

症例は32歳, 男性. 両側精巣萎縮と性欲減退を主訴に2006年2月9日に当科を初診した. 問診より1999年からのアナボリックステロイド (AAS) の濫用が判明した. 身体所見では両側精巣容積が13mlと萎縮していた. 内分泌的検査では黄体化ホルモン, 卵胞刺激ホルモン, 総テストステロンは低値であり, 遊離型テストステロン (Free T) は高値だった. また, 後日判明した sex hornomne binding globulin (SHBG) も低値であり, 算出された calculated Bioavailable testosterone (cBAT) も低値だった. 以上の所見からからAASの濫用による低ゴナドトロピン性性腺機能低下症と診断した. AASの中止のみで経過観察を行ったが改善を認めなかったため, 5月18日より週1回のヒト絨毛性ゴナドトロピン (hCG) 3,000単位筋肉注射を開始した. その後6月22日に内分泌学的検査を施行したが自覚症状, 内分泌検査所見ともに改善は認めていない. AASの濫用により低ゴナドトロピン性性腺機能低下症となることが知られており, 一部の患者ではAAS中止後も性腺機能低下症が改善しないことが報告されている. 本症例においてはhCG注射を早期に開始したことが早期に精巣機能を改善するかどうかについて今後の注意深い観察が必要である. また, 本症例の病状を把握する上では free T よりもcBATを用いることが有用だったと考えられた. AASには多くの重篤な副作用があり安易な使用は控えるべきである. またAASの副作用に関しての広い啓発により濫用を防ぐことが必要と考えられた.
著者
矢吹 信喜 塚本 祥太 中山 一希 福田 知弘 道川 隆士
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集F3(土木情報学) (ISSN:21856591)
巻号頁・発行日
vol.70, no.2, pp.I_26-I_33, 2014 (Released:2015-04-08)
参考文献数
15
被引用文献数
2 2

近年,ビルや家庭に大量のセンサが環境中に設置されるようになりつつある.大量のセンサにより得られたデータを有効活用する手段としてデータマイニングがある.センサデータを用いたデータマイニングにおいては,センサデータ単体からのデータマイニングでは有用な知識の発見は難しく,センサの周辺情報などのコンテクスト情報を加味したデータマイニング手法が有効である.本研究では,コンテクストを活用し大量のデータから有用な知識を発見するためにコンテクストを用いたデータマイニング手法を開発し,さらにビルの省エネルギーに関する知識モデルを開発し,コンテクストを表現するオブジェクトモデルと知識を表現する知識モデルをそれぞれセンサデータモデルと統合した.さらに,統合化したモデルを用いてプロダクションシステムを作成し,建物の省エネルギーに関する知識データを作成した.さらに大阪大学において検証実験を行った.観測データ及び知識データは統合データモデルに従って保存し,データを用いて開発したシステムの検証を行った結果,データの知的処理を実行し,適切な知識が発見できることを確認した.
著者
岡村 明浩 山田 祥朗 堀江 則行 三河 直美 宇藤 朋子 田中 悟 塚本 勝巳
出版者
公益社団法人 日本水産学会
雑誌
日本水産学会誌 (ISSN:00215392)
巻号頁・発行日
vol.75, no.5, pp.786-792, 2009 (Released:2010-01-17)
参考文献数
37
被引用文献数
2 2

ウナギ卵の孵化と仔魚の生残,成長に及ぼす銀イオンの影響を調べた。硝酸銀の濃度 0.1 mg/L 以上で孵化率は低下したが,仔魚の生残率は 1 mg/L でも 24 時間は 0 mg/L の対照区と変わらなかった。抗菌作用は 1 mg/L 以上で認められた。最大 1 mg/L の硝酸銀を水に 1 日 4 回添加し仔魚を飼育すると,飼育槽壁面の生菌数は銀添加区で有意に低かった。しかし,飼育水中の生菌数は銀添加区も対照区も差がなかった。長期飼育では,60 日齢まで添加区の生残率は対照区より有意に高く,銀添加の効果が認められた。

1 0 0 0 通解徒然草

著者
吉田兼好著 塚本哲三註釈
出版者
有朋堂
巻号頁・発行日
1942
著者
竹島 卓 野呂 正行 須永 知之 塚本 有子 井深 克憲
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.第39回, no.情報理論及び基礎技術, pp.118, 1989-10-16

このたび第五世代コンピュータの逐次型推論機械PSI IIで動作する数式処理システムを開発したので報告する。本システムSAMは、論理型言語による本格的な数式処理システムとしては、世界で初めてのシステムである。
著者
双見 京介 寺田 努 塚本 昌彦
雑誌
マルチメディア,分散協調とモバイルシンポジウム2017論文集
巻号頁・発行日
vol.2017, pp.467-478, 2017-06-21

近年,コンピューティング技術を用いたモチベーション制御手法として競争を利用したものがヘルスケアなど様々な分野で開発されている.しかしながら,既存手法には競争による心理的影響を考慮しきれていないという問題がある.そこで,本研究では心理的影響を考慮した競争情報を用いたモチベーション制御手法を提案する.本稿では,まず日常の運動モチベーション向上を対象とし,競争においてモチベーションに影響する要因である,努力量に対する競争結果,競争相手との成績差,競争参加人数の3点による心理的影響への配慮をシステム設計に内包させた競争システムを開発する.提案システムでは活動量計から得た歩数を基にして,モチベーションに良い効果を与えるように補正された競争結果がフィードバックされる.プロトタイプシステムを用いた評価実験では,合計82 名の6 週間にわたる3 種類の実験を通して提示情報による歩数への効果を測定し,提案手法の有効性を確認した.
著者
塚本 満朗 高木 朗義
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集D3(土木計画学) (ISSN:21856540)
巻号頁・発行日
vol.77, no.5, pp.I_181-I_191, 2022 (Released:2022-05-18)
参考文献数
21

近年頻発する豪雨災害では様々な要因により人的被害が発生しており,住民避難の促進に関する課題に対して依然として取り組む必要がある.本研究では,機械学習モデルを用いて住民避難選択行動モデルを構築し,eXplainable AI (XAI)という技術を用いて住民避難選択行動の要因を分析した.具体的には,平成30年7月豪雨時の岐阜県と西日本の調査データ,令和元年台風 19 号の東日本の調査データに対して XAI の PI 分析および PD 分析により,避難/非避難および避難場所選択に影響をもたらす要因を明らかにした.
著者
塚本 洋三 鶴見 みや古
出版者
公益財団法人 山階鳥類研究所
雑誌
山階鳥類学雑誌 (ISSN:13485032)
巻号頁・発行日
vol.44, no.2, pp.107-112, 2013-03-30 (Released:2015-03-30)
参考文献数
15

The Yamashina Institute of Ornithology owns the 11,982 photograph collection of Kenji Shimomura (1903–1967), the pioneer of wildlife photography in Japan. One of the prints in the collection (ID no.: AVSK_PM_1198, Fig.1a) depicts the stomach contents of Crested Ibis Nipponia nippon. When the computer database of the Shimomura collection was made, the photographer of this print was plausibly thought to be Shimomura, but was uncertain. Later we discovered in some publication that this photo was taken by Jicho Ishizawa (1899–1967), an insect and bird researcher at the then Wildlife Research Laboratory of the Ministry of Agriculture. Because the photo showing stomach contents of the endangered wild Crested Ibis is rarely publicized, we are of the opinion that the accurate identification of the photographer is academically important. Based on the memorandum on the backside of the print, handwriting analysis was made by Shimomura's and Ishizawa's relatives. The implications of the rubber stamps on the backside were also considered. These investigations concluded that the photo in question was almost certainly taken by Ishizawa, who also identified the stomach contents. We hope that this example will alert researchers to the possibility of incorrect citation of the photographer in earlier publications already published, and that, when detected, these be corrected in subsequent citations. Comments on related subjects that arose through the process of identifying the photographer are also given.
著者
土屋 剛史 八木 貴博 塚本 充雄 福島 慶久 島田 竜 岡本 耕一 藤井 正一 野澤 慶次郎 松田 圭二 石田 剛 斉藤 光次 橋口 陽二郎
出版者
日本大腸肛門病学会
雑誌
日本大腸肛門病学会雑誌 (ISSN:00471801)
巻号頁・発行日
vol.69, no.7, pp.374-378, 2016 (Released:2016-06-24)
参考文献数
18
被引用文献数
1 1

症例は50歳,女性.検診で上部消化管造影検査施行後7日目に,急激な腹痛が出現した.前医に緊急入院となったが,排便なく,貧血の進行も認めたため,当院へ転院となった.腹部CT検査で,S状結腸周囲に腹腔内遊離ガス像と,腸管外へのバリウムの漏出を認めた.また,骨盤底には強いアーチファクトを引く巨大なバリウム陰影を認めた.下部消化管穿孔疑いにて,同日緊急手術を施行した.術中所見では,S状結腸の腸間膜側へ穿孔を起こしており,同部では壊死性の変化を伴っていた.また,直腸内には鶏卵大の硬い異物を触知した.ハルトマン手術,腹腔ドレナージを施行した.直腸内異物を用手的に肛門から排出させると,バリウム塊であった.標本上は,34mm大の穿孔部を認めた以外,憩室や腫瘍性病変は指摘できなかった.バリウムによる上部消化管造影検査後の大腸穿孔はまれであるが,重篤な転帰をとる場合もあるため,若干の文献的考察を加えて報告する.
著者
外木 守雄 有坂 岳大 塚本 裕介 佐藤 一道 山根 源之 大櫛 哲史 中島 庸也
出版者
特定非営利活動法人 日本顎変形症学会
雑誌
日本顎変形症学会雑誌 (ISSN:09167048)
巻号頁・発行日
vol.17, no.1, pp.9-15, 2007-04-15 (Released:2011-02-09)
参考文献数
16
被引用文献数
10 7

This study investigated risk factors for obstructive sleep apnea hypopnea syndrome (OSAHS) induced by orthognathic surgery for malocclusion, by analysis of preoperative and postoperative examination findings. In this first report, we discuss the relationship between the findings from the polysomnographic record and the direction of jaw movement during orthognathic surgery. The postoperative Apnea Hypopnea Index was significantly decreased in the group that underwent maxillaryadvancement with or without mandibular movement; however, there was no significant difference between the groups that underwent mandibular movement with and without maxillary movement. Mandibular morphology is frequently considered when evaluating the relationship between the maxillofacial structure and sleep-disordered breathing; our findings also indicated that maxillary morphology is an important factor. Hence, we advocate orthognathic surgery to treat malocclusion when necessary and to take sleep-disordered breathing into consideration. Additionally, we considered that the findings of this study provide important evaluation criteria for determining the indications for orthognathic surgery to treat OSAHS.
著者
藤田 裕嗣 吉田 剛 高橋 清吾 鈴木 康之 宇根 寛 牛垣 雄矢 安藤 哲郎 深瀬 浩三 宮里 修 上島 智史 堀 健彦 仁木 宏 山元 貴継 塚本 章宏
出版者
神戸大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2020-04-01

歴史地理学研究で取り上げられた地図・絵図資料の中には地震・水害など、災害に関わる古地図も多数含まれるが、現在の地図情報には反映されておらず、実際の対策に活かされてきたとは言い難い。そこで本研究課題は、地域中心として機能し続けた城下町に特に注目し、全国各地に残る過去の古地図情報をGISデータ化し、それらをデジタル地図情報に反映させて、防災・災害復興に向けた歴史災害情報をデータベース化し、情報発信することで各地の防災・災害復興への寄与を目指す。2022年度の高校教育「地理総合」必修化も念頭に置き、中等教育に貢献できる歴史災害GISコンテンツの提供も視野に入れる。
著者
塚本 和子
出版者
文化女子大学
雑誌
文化女子大学紀要. 服装学・造形学研究 (ISSN:13461869)
巻号頁・発行日
no.36, pp.9-23, 2005-01

19世紀の婦人服,クリノリン・ドレスのパターン・縫製法について調査研究を行った。卒業論文で時代衣装の複製をする学生に充実した指導をするため,資料作成をすることを目的とした。調査した資料は1860年代のワンピースドレスで,デイドレスとして着用された資料3点である。当時のドレスはデザインを決定する際には身頃は3面構成,袖は2枚袖,スカートはプリーツを入れ,トレーンを曳いているなどを条件としていた。素材は3点とも布幅は60cm前後で,使用量は約10mであった。ドレスの裏側に用いる裏打ち布は3点ともに身頃にはつけられていたが,スカート2点にはっけられていなかった。身頃のみに裏打ち布を使用したのは,汗などの影響や動作することにより縫い目に力がかかるためであると思われる。縫製はすべて手縫いであった。身頃の各縫い目は細かい返し縫いで,しっかり縫合されていた。スカートは布地に負担がかからない程度のやや粗めの並み縫いであった。実物資料を調査することにより,充実した資料を作成することが出来た。
著者
榮 慶丈 西川 直宏 塚本 修一朗 鈴木 孝禎 岡本 祐幸
出版者
公益社団法人 日本薬学会
雑誌
YAKUGAKU ZASSHI (ISSN:00316903)
巻号頁・発行日
vol.136, no.1, pp.113-120, 2016-01-01 (Released:2016-01-01)
参考文献数
27

Molecular simulations have been widely used in biomolecular systems such as proteins, DNA, etc. The search for stable conformations of proteins by molecular simulations is important to understand the function and stability of proteins. However, finding the stable state by conformational search is difficult, because the energy landscape of the system is characterized by many local minima separated by high energy barriers. In order to overcome this difficulty, various sampling and optimization methods for the conformation of proteins have been proposed. In this study, we propose a new conformational search method for proteins based on a genetic algorithm. We applied this method to an α-helical protein. We found that the conformations obtained from our simulations are in good agreement with the experimental results.