著者
澤井 里枝 塚本 昌彦 寺田 努 LOH Yin-Huei 西尾 章治郎
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-I, 情報・システム, I-情報処理 (ISSN:09151915)
巻号頁・発行日
vol.85, no.10, pp.939-950, 2002-10-01
被引用文献数
14

近年,衛星放送やデータ放送の普及により,放送されるコンテンツの種類や量が加速度的に増加している.大量のデータが受信される環境では,ユーザが必要とするデータを探し出すことは非常に困難であるため,自動的に必要なデータのみを抽出するフィルタリング技術に対する要求が高まっている.このような要求に対し,これまで多数のフィルタリング手法が提案されている.しかし,それらの手法を定性的に表現する数学的基盤がいまだ確立されていないため,各手法の定性的な評価や最適化,フィルタリングのための宣言的言語の設計などができなかった.そこで本論文では,フィルタリングを関数として定義し,様々なフィルタリング手法の性質を関数が満たす条件として表現することで,情報フィルタリングの数学的基盤を確立する.また,各性質を表現する制約条件の包含関係を示すことで,フィルタリングがもつ性質間の関係を明らかにする.本論文で論じる数学的基盤をもとに,実際のフィルタリングを分類し,性質に応じた処理方法を選択することで,より効率的なフィルタリングを実現できる.
著者
増田 明美 塚本 康子
出版者
日本母性衛生学会
雑誌
母性衛生 (ISSN:03881512)
巻号頁・発行日
vol.47, no.4, pp.607-615, 2007-01
被引用文献数
2

本研究は,中学校の思春期(12〜15歳)に不登校を経験した者と経験のない者のセルフエスティームについて,思春期(15〜18歳),青年期(19〜22歳),成人前期(23〜30歳)の発達段階別に検証することを目的とした。調査方法としてRosenbergのSelf-esteem尺度の日本語版を使用し,通信制高校生15〜30歳の未婚者703人(男339人,女364人)を解析対象とした。不登校経験者317人(男133人,女184人),不登校経験のない者386人(男206人,女180人)のセルフエスティームを検証した結果,以下のことが明らかになった。1)女子は男子に比べると,セルフエスティームが有意に低かった。2)不登校経験者と非不登校経験者のセルフエスティームを比べると女子の不登校経験者のほうが有意に低かった。男子では差がなかった。3)不登校経験者と非不登校経験者のセルフエスティームを発達段階別にみると,思春期の女子には差はなかったが,青年期,成人前期の女子では不登校経験者のほうが有意に低かった。男子では差がなかった。
著者
山本 米雄 柏原 昭博 川岸 圭介 塚本 信宏
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.30, no.6, pp.734-742, 1989-06-15
被引用文献数
11

個人用データベース構築ツールTRIASを論じる.個人用データベースは 個人的作業環境が重視される現在のコンピュータ利用形態では重要である.本システムの目的は 個人用データベースを構築するツールを開発することである.TRIAS は パーソナルコンピュータなど低機能なコンピュータを対象として データアクセスの多機能性 高速性と ユーザ・システム間の対話性を実現する.データアクセスに関しては データ構造に多分岐平衡木を用いて高速性を実現する.また データを連想三重組の形で管理することで 種々のアクセス法を可能にする.三重組でデータを表現するのは 最も単純でありながら多様の事象を表現でき しかもデータを高速にアクセスするためである.開発したシステムで実験を行った結果 TRIAS は個人用データベース実現に必要な要素を備えている構築用ツールであることが確認できた.
著者
寺田 努 塚本 昌彦 柳沢 豊 須山 敬之 宮前 泰恵
出版者
神戸大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2008

ウェアラブルコンピューティングを手術時や災害時などに実践的に利用するためにはハングアップなどの不慮のトラブル時にも情報提示を継続することが必要である.そのため,システムダウン時に周辺デバイスが動的に結合し,PC 本体無しでも提示を継続する仕組みを実現した.提案手法では状況認識技術を用いて,システムダウン時に現在の入出力デバイスの組合せから人間の認知特性を考慮した最適な組合せを決定する機構をもつ.
著者
マリアンヌ・シモン=及川 中地 義和 鈴木 雅生 畑 浩一郎 月村 辰雄 塚本 昌則 野崎 歓 塩川 徹也
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

『イーリアス』第18歌でアキレスの盾を描写したホメロス以来、芸術作品、特に絵画をめぐる文章を著してきた文学者は枚挙にいとまがない。西欧文学では、絵画の描写はひとつの伝統として捉えられてきた。フランスにおいて文学者の絵画に対する関心がとりわけ顕著になるのは19世紀であり、絵画をめぐるテクストの質も多様化するが、本研究は、19-20世紀のさまざまジャンルのテクストを選択し、絵の様相と意味とを多元的に考察しながら、これまであまり研究の対象になっていなかった作品について検討し、文学と絵画の関係という分野において新しい成果を出した。
著者
颯々野 学 塚本 浩司
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NLC, 言語理解とコミュニケーション (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.99, no.227, pp.1-8, 1999-07-22

本論文では、Eric Brillが提案した変換に基づく誤り駆動型学習を日本語の固有表現抽出に適用する方法について述べる。形態素解析と学習で獲得した有限状態変換器(FST)を遣って固有表現の抽出を行うシステムを作成し、IREX (Information Retrieval and Extraction Exercise)の named entity task のformal run (総合ドメイン)に対して実験を行った。約10,000文のCRL固有表現データから1428個のFSTを学習し、F-measure 71.28を得た。人手作成のFSTの性能には及ばないものの、IREX NEに参加するシステムの半数よりもいい結果である。また、過学習が起きないことも確認した。

1 0 0 0 OA 7.補体

著者
堀内 孝彦 塚本 浩
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.87, no.12, pp.2427-2433, 1998-12-10 (Released:2008-06-12)
参考文献数
5

補体の分野における最新の知見は,補体活性化経路として古典経路,第二経路のほかに新たにレクチン経路の存在が見いだされたことである.さらにこの経路の機能不全と慢性関節リウマチ,全身性エリテマトーデスとの関連の可能性が示唆されている.従来の補体検査は,膠原病の診断,活動性の判定に大きく寄与してきたが,これらの新しい知見を発展させることにより,さらに詳細な病態把握が可能となることが期待される.
著者
大井 淳 塚本 晃輔 種子田 浩志 三木 翔太
出版者
一般社団法人エレクトロニクス実装学会
雑誌
エレクトロニクス実装学術講演大会講演論文集 第34回エレクトロニクス実装学術講演大会
巻号頁・発行日
pp.5C2-04, 2020 (Released:2021-11-29)

ハイパフォーマンスコンピューティング(HPC)向けの半導体パッケージとして、2.5D構造のパッケージが注目され一部で実用化されている。今後、搭載されるチップの大型化や個数増加によってパッケージ基板の大型化と多層化が進んでいく。そこで、当社はそれらの課題に有利な有機インターポーザをビルドアップ基板に積層した構造のパッケージの開発を進めてきた。本講演では、パッケージのコンセプト、構造と特徴、プロセスのほか、インターポーザとビルドアップ基板の接続に関しての要素技術や信頼性、有機インターポーザの電気特性の特徴などについて発表する。

1 0 0 0 OA 平均次元入門

著者
塚本 真輝
出版者
一般社団法人 日本数学会
雑誌
数学 (ISSN:0039470X)
巻号頁・発行日
vol.73, no.4, pp.337-359, 2021-10-22 (Released:2023-10-23)
参考文献数
31
著者
矢部 広樹 塚本 美月 竹内 詩保美 伊藤 沙夜香 大見 関 塩﨑 みどり
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.33, no.4, pp.605-609, 2018 (Released:2018-08-21)
参考文献数
19
被引用文献数
3

〔目的〕大腸がん患者の周術期における体重減少に影響する要因を検討した.〔対象と方法〕大腸がん患者57例を対象に,手術前と術後10日目の体重,Short Physical Performance Battery(SPPB),6分間歩行距離,握力,骨格筋指数,体脂肪率を,手術後の離床経過として端座位獲得日,病棟歩行開始日を,栄養摂取状況として術後10日間における食事開始日,総エネルギー摂取量,エネルギー充足率を測定し,体重減少率との相関関係を検討した.〔結果〕体重減少率は骨格筋指数(r=-0.62)と体脂肪率(r=0.33)の変化量と有意な相関関係を認めた.その他の項目とは有意な相関関係を認めなかった.〔結語〕大腸がん患者において,体重減少の防止には骨格筋の維持と脂肪の燃焼が関連する可能性が示された.
著者
森川 みき 金光 祥臣 塚本 宏樹 森川 昭正 富岡 佳久
出版者
一般社団法人 日本アレルギー学会
雑誌
アレルギー (ISSN:00214884)
巻号頁・発行日
vol.65, no.3, pp.200-205, 2016 (Released:2016-05-19)
参考文献数
8
被引用文献数
1

症例は,牛乳アレルギーおよび気管支喘息既往歴を有する6歳女児.インフルエンザB型に罹患し,ラニナミビルオクタン酸エステル水和物吸入粉末剤(イナビル®)を使用後にアナフィラキシーを起こした.プリックテスト並びに薬剤刺激好塩基球活性化試験を実施したところ,イナビル®と添加剤の乳糖水和物に陽性を示し,ラニナミビルオクタン酸エステル水和物は陰性を示した.本症例では,添加剤の乳糖に夾雑する乳タンパク質がアレルゲンとなった可能性が考えられ,その同定を試みた.ウェスタンブロット(WB)により,添加剤の乳糖水和物中からβ-ラクトグロブリン(β-LG)が検出され,その分子量およびin vitro実験の結果から糖鎖付加体であると推定した.さらに患者血清を用いたWBの結果から,本症例のアレルゲンが,糖鎖付加されたβ-LGである可能性が高いと判断した.本研究は,吸入粉末製剤の添加剤乳糖が乳アレルギーを起こす危険性を示す結果となった.本症例のようなインフルエンザ患者は,気道過敏性が亢進しているため特に注意が必要である.