著者
松下 哲朗 宿輸 昌宏 大村 浩之 原口 増穂 浅井 貞宏 波多 史朗 山佐 稔彦 宮原 嘉之
出版者
公益財団法人 日本心臓財団
雑誌
心臓 (ISSN:05864488)
巻号頁・発行日
vol.28, no.2, pp.163-168, 1996-02-15 (Released:2013-05-24)
参考文献数
14

再燃寛解型の潰瘍性大腸炎に急性肺動脈血栓塞栓症を合併し, t - P A による血栓溶解療法が有効でった1例を経験した.症例は66歳,女性.再燃寛解型の潰瘍性大腸炎で,プレドニゾロン15mg/日の維持投与中,労作時の息切れと失神を主訴に受診した.動脈血ガス分析で,PaO2,45torr,PaCO2 25torrと低酸素血症を認めた.心エコー検査では,著明な右室の拡大と左室の変形がみられた.右心カテーテル検査にて肺動脈圧は65/30(41)mmHg,DSAによる肺動脈造影(以下DS-PAG)では肺葉動脈に多発性血栓を認めたため,急性肺動脈血栓塞栓症と診断した.診断後,肺動脈から選択的にt-PA600万単位を30分かけて注入した.その後,貧血の進行や便潜血反応,肺動脈圧,心エコー所見を参考にしてt-PA600万単位を肺動脈から3日間注入し,DS-PAGを施行した.DS-PAGで,両下肺動脈に血栓の残存はあったが血流は保たれていたため,ヘパリンによる抗凝固療法を行った.1カ月後,DS-PAGでは両下肺動脈の再閉塞を認めたが,肺動脈圧は23/8(13)mmHgまで改善していた.結論:潰瘍性大腸炎でも重症度分類で中等度以下の症例であれば,貧血の進行や便潜血反応の増悪を確認しながら少量のt-PAによる血栓溶解療法を施行することにより,急性広汎性肺動脈血栓塞栓症でも有効な治療効果が得られると考えられた.
著者
大村 浩久 高田 正 石田 英雄
出版者
九州大学
雑誌
九州大學農學部學藝雜誌 (ISSN:03686264)
巻号頁・発行日
vol.31, no.2, pp.69-75, 1976-12

Three kinds of fish jelly products, "Kamaboko"(fish cake), "Chikuwa"(rolled fish cake) and "Satsuma-age"(fried fish cake) were then examined. The following range of constituents were estimated by chemical analysis. "Kamaboko": moisture 74.5~80.3(77.3±0.3)%; protein 7.0~13.0(10.3±0.7)%; fat trace~0.3(0.2)%; ash 2.1~3.2(2.7±0.1)%; sugar 2.9~9.8(6.3±0.9)%; starch 1.3~5.5(3.3±0.6)%; calorie 71~91(81±3)Cal.; saccharin and AF-2 not detected; sorbic acid 0~1.2(0.8±0.1)g/kg. "Chikuwa": moisture 62~73(68±2)%; protein 11.6~15.6(12.8±0.7)%; fat trace~0.3(0.2)%; ash 3.3~3.6(3.4±0.1)%; sugar 6.4~19.3(12.5±2.1)%; starch 1.7~5.6(3.4±0.8)%; calorie 94~139(116±8)Cal.; saccharin and AF-2 not detected; sorbic acid 0.3~1.4(0.8±0.2)g/kg. "Satsuma -age": moisture 64.9~70.0(68.7±1.0)%; protein 9.2~11.5(10.4±0.5)%; fat 2.8~4.1(3.6±0.2)%; ash 2.3~3.0(2.7±0.1)%; sugar 7.0~10.4(8.3±0.6)%; starch 5.2~6.9(6.2±0.3)%; calorie 125~148(132±4)Cal.; saccharin not detected; sorbic acid 0~1.45(0.82±0.21)g/kg; peroxide value 45.7~163.5(109.9±20.9)meq/kg. In several samples of "Kamaboko" and "Chikuwa", saccharin was not detected, while its use had been indicated on their label. Artificial colors, red No. 106 or/and yellow No. 5 were detected in some samples of "Kamaboko," too. Sensory tests suggested that expensive "Kamaboko" contained much protein and was evaluated better, whereas economical one of poor protein content contained much starch and had lower evaluation. Concerning "Chikuwa," too, evaluation seemed to have some relation with price and especially with starch content, while not towards protein content. However, there was no relationship of evaluation with price, constituents or peroxide value.常法に従い,カマボコ,チクワおよびサツマ揚げの調査を行なった.カマボコの平均成分は,水分77.3%,蛋白質10.3%,脂質0.2%,灰分2.7%,糖分6.3%,澱粉3.3%,熱量81カロリーであって,昭和47年度調査したものにくらべ,蛋白質および脂質含量ならびに熱量が若干低く,また対照よりは蛋白質および脂質が少なく炭水化物が多かった.サッカリンおよびAF-2は検出されなかったが,ソルビン酸は1業者を除いて使用され,その量は0.2~1.2g/kg,平均0.8g/kgであって昭和47年度調査したものよりも低かった.赤色に着色したものは,食用赤色106号単独またはそれと食用黄色5号とが併用されていた.一方チクワは,同一業者ではあるが,水分68.0%,蛋白質12.8%,脂質0.2%,灰分3.4%,糖分12.5%,澱粉3.4%,熱量116カロリーであって,カマボコよりも水分が少なく,蛋白質,糖分および熱量が高かった.昭和47年度調査したものにくらべて水分,蛋白質および脂質含量は低いが糖分および澱粉が多く,対照よりは水分含量は低いがとくに炭水化物含量が高く,したがって熱量も若干高かった.サッカリン,AF-2は検出されなかったが,ソルビン酸はいずれも使用され0.3~1.4g/kg,平均0.8g/kgであった.これに対してサツマ揚げは,水分68.7%,蛋白質10.4%,脂質3.6%,灰分2.7%,糖分8.3%,澱粉6.2%,熱量132カロリーであって,対照よりは,水分,蛋白質ならびに脂質含量は低いが炭水化物含量は高く,熱量はほぼ同等であった.サッカリンは検出されなかったが,ソルビン酸は0.6~1.45g/kg,平均0.82g/kg,過酸化物価は最低45.7から最高163.5と試料により広く変動した.官能テストの結果,カマボコでは一応蛋白質が多い高価なものが比較的高い評価を受け,一方廉価な試料は蛋白質は少くて澱粉が多く,その評価は低かった.チクワにおいても高価なものの評価は高いようであるが,蛋白質含量にはほとんど影響なく,むしろ澱粉の多いものの評価が低かった.サツマ揚げの評価と価格ないし成分あるいは過酸化物価との相関は認められなかった.
著者
田村 誠朗 北野 将康 東 幸太 壷井 和幸 安部 武生 荻田 千愛 横山 雄一 古川 哲也 吉川 卓宏 斎藤 篤史 西岡 亜紀 関口 昌弘 東 直人 角田 慎一郎 細野 祐司 中嶋 蘭 大村 浩一郎 松井 聖 三森 経世 佐野 統
出版者
日本臨床免疫学会
雑誌
日本臨床免疫学会会誌 (ISSN:09114300)
巻号頁・発行日
vol.40, no.6, pp.450-455, 2017 (Released:2018-01-25)
参考文献数
19
被引用文献数
2 2

症例は65歳女性.X-17年に間質性肺炎合併多発性筋炎と診断されステロイド薬が開始.X-8年に関節リウマチを合併しタクロリムス(Tac)が併用となっていた.X年2月上旬から全身倦怠感と高血圧が出現,さらに血液検査で,血小板減少,溶血性貧血,破砕赤血球,LDH高値,高クレアチニン血症を認めたことから,血栓性微小血管障害症(TMA)と診断.TMAの原因としてcalcineurin inhibitor(CNI)腎症を疑い,Tacを中止し血漿交換を開始した.以降,破砕赤血球は消失し,血小板減少,溶血性貧血は改善したが,高血圧,腎機能低下が遷延したため腎生検を施行.その結果はTMAの病理組織像であった.ただしCNI腎症としてはTacの血中濃度は既存の報告と比較し低く,また薬剤中止後も腎機能低下が遷延していた点が非定型的であった.後に抗PL-7抗体が陽性であることが判明.本症例は強皮症の診断基準は満たさなかったが,同抗体陽性例では強皮症を合併したとする報告がある.すなわち潜在的な強皮症素因を背景にCNI腎症が重篤化した可能性が示唆された.抗PL-7抗体陽性の患者にTacを投与する際はTMAの発症に十分留意する必要がある.
著者
大村 浩之 三目 直登 浅井 光輝 磯部 大吾郎
出版者
一般社団法人 日本計算工学会
雑誌
日本計算工学会論文集 (ISSN:13478826)
巻号頁・発行日
vol.2021, pp.20210011, 2021-07-15 (Released:2021-07-15)
参考文献数
26

本稿では,壁領域の角を考慮し,Incompressible Smoothed Particle Hydrodynamics (ISPH) 法のような半陰解法の粒子法に適したポリゴン壁境界モデルを開発した.基本的な理論はExplicitly Represented Polygon (ERP) 壁境界モデルを踏襲しつつ,オリジナルのERPモデルで定義されている平面ポリゴンに対する壁面寄与計算を角に対しても拡張した.そのうえで,角に対して表現された壁領域の体積を角の平面角度および立体角度に基づく近似式で補正することで,計算効率を維持しながら精度の向上を図った.開発したモデルを改良ERP壁境界モデルとし,ISPH法へ導入した.開発したモデルの妥当性を検証するため,3次元の静水圧問題およびダムブレイク問題を解いた.計算結果から,改良ERPモデルを用いた場合,従来のERPモデルと比べて理論値もしくは実験値に近く,かつ滑らかな圧力分布が得られることが確認された.
著者
篠原 和毅 曽 耀崑 大村 浩久
出版者
九州大學農學部
雑誌
九州大学農学部学芸雑誌 (ISSN:03686264)
巻号頁・発行日
vol.29, no.1, pp.23-30, 1974-09

TRとアミノ酸との反応における褐変におよぼすCu^2+の影響について検討した結果,Cu^2+共存下においては,特にGly,Asp,Try,Arg,Pheとの1:2反応で,Cu^2+無添加の場合よりも著しい褐変が観察された.他のアミノ酸との反応系ではCu^2+を加えない時とほぼ同程度か,あるいはそれ以下であつた.他方,Cu^2+共存下でも褐変は1:1反応よりも1:2反応において顕著であつた.続いて,Cu^2+存在下でのTRとアミノ酸との反応における吸収スペクトル,およびその吸光度の変動を求めた.その結果,反応時間とともにTRに特徴的な吸収の減少がみられた,その低下の度合は各反応系ともほぼ同程度であつた.さらに,特に1:2反応において縮合物の生成を示す225nm,および310nm付近を中心とした吸光度の増加が認められた.また各反応液についてペーパークロマトグラフィーを行なつた結果,すべての反応系に縮合物と思われるスポットが検出された.
著者
大村 浩次 吉尾 春樹
出版者
日本スポーツ産業学会
雑誌
スポーツ産業学研究 (ISSN:13430688)
巻号頁・発行日
vol.30, no.3, pp.3_331, 2020 (Released:2020-07-24)

『スポーツ産業学研究』第29巻第4号の223ページに誤りがありましたので, 下記のように訂正いたします.(正)アビスパ福岡の経営危機とその克服の経緯†大村浩次*,** 吉尾春樹***,****A Case of Management Crisis and Overcome in Avispa Fukuoka†Koji OMURA*,** and Haruki YOSHIO***,****(正) *APAMAN株式会社 〒100-0004 東京都千代田区大手町2-6-1 **アビスパ・グローバル・アソシエイツ 〒813-0018 福岡県福岡市東区香椎浜ふ頭1-2-17 ***株式会社システムソフト 〒100-0004 東京都千代田区大手町2-6-1****アビスパ福岡株式会社 〒813-0018 福岡県福岡市東区香椎浜ふ頭1-2-17 *Apaman Co., Ltd., 2-6-1, Otemachi, Chiyoda-ku, Tokyo, Japan (100-0004) **Avispa Global Associates, 1-2-17, Kashiihama-futou, Higashi-ku, Fukuoka, Fukuoka, Japan (813-0018) ***Systemsoft corporation, 2-6-1, Otemachi, Chiyoda-ku, Tokyo, Japan (100-0004)****AVISPA FUKUOKA CO., LTD., 1-2-17, Kashiihama-futou, Higashi-ku, Fukuoka, Fukuoka, Japan (813-0018)
著者
柳川 洋一 柳田 茂樹 石川 浩史 大村 浩之 岡田 芳明
出版者
Japanese Association for Acute Medicine
雑誌
日本救急医学会雑誌 (ISSN:0915924X)
巻号頁・発行日
vol.7, no.10, pp.669-672, 1996-10-15 (Released:2009-03-27)
参考文献数
16
被引用文献数
1

A 7-year-old boy accidentally swallowed a round fishing sinker (φ15mm). The sinker lead content was 99% or more. We could not introduce the sinker into his duodenum. The sinker was removed endoscopically 6 hours after the ingestion. The blood concentration of lead increased to 38.0μg/dl. This is the first report in which only 6hr retention of solid lead in the stomach elevated the blood lead concentration. Therefore, lead is a harmful metal even with only short term exposure. We recommend early evacuation or induction into the small intestine.
著者
大村 浩 田中 和世
出版者
一般社団法人 日本音響学会
雑誌
日本音響学会誌 (ISSN:03694232)
巻号頁・発行日
vol.53, no.6, pp.427-434, 1997-06-01 (Released:2017-06-02)
被引用文献数
1

音声の自然性, 個人性に深く関与する声帯振動は声道特性にも非線形な影響を与えていることが推定される。我々は, 音声分析合成系で扱える複雑さを考慮して, 声帯の比較的滑らかな運動を含む音声生成系を想定し, その非線形効果を, 音声分析合成の枠組みにおいて検討した。初めに, 線形システムの声門開口断面積とホルマントのエネルギー減衰の関係を考察し, 実音声における各ホルマントに対応する成分波形のエネルギー時間パターンを抽出し, その非線形性を示す。この観測結果に基づき, 音声合成方式としてホルマント波形の時間窓関数である非線形エネルギー減衰モデルを提案し, 合成音声聴取による評価実験によってモデルの有効性を示す。
著者
大村 浩一郎 澤崎 達也
出版者
京都大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2012-04-01

抗環状シトルリン化ペプチド抗体(抗CCP抗体)は関節リウマチ(RA)の特異的自己抗体であるが、早期RAの約半数は抗CCP抗体陰性であり、診断がしばしば困難であるため抗CCP抗体陰性RAの特異的な診断マーカーが求められている。今回我々はAlphaScreen法と呼ばれる自己抗体の網羅的スクリーニング法を用いて抗CCP抗体陰性RA血清中にみられる未知のシトルリン化蛋白抗体のスクリーニングを行った。2000種類あまりのシトルリン化蛋白のうち、14個の未知のシトルリン化蛋白に対する反応がみられ、そのうち2個が頻度は少ないながら新規自己抗体であることが明らかになった。
著者
大村 浩 中島 隆之
出版者
一般社団法人 日本音響学会
雑誌
日本音響学会誌 (ISSN:03694232)
巻号頁・発行日
vol.46, no.1, pp.18-27, 1989-12-25 (Released:2017-06-02)

本論文では、一般に周波数特性を持つ反射係数と伝搬定数が声道パラメータとして与えられたときの声道伝達関数の計算法を、幾つかの子音調音に対応して示す。これにより、各種インピーダンス付加、分岐管接続、音源位置等が声道伝達特性、極零特性に及ぼす影響を計算することができる。また、声道パラメータ推定の立場から一般的声道伝達関数に若干の音響的条件を仮定し、反射係数、損失係数、音源位置をパラメータとする拘束付きARMAモデルを提案する。これによる子音声道形推定への応用についても簡単に述べる。
著者
大村 浩久 岡田 秀臣 坂井 美鈴 松井 三郎
出版者
九州大学
雑誌
九州大學農學部學藝雜誌 (ISSN:03686264)
巻号頁・発行日
vol.30, no.1, pp.21-28, 1975

"Manju (a steam bean-jum bun)" is one of the popular confectioneries pervading all over Japan. It is commonly produced by appropriate steaming a dough of wheat-flour wrapping "an (bean-jum)." On the other hand, "Umegae-mochi" is the special product in Fukuoka. It is produced by baking a dough of glutinous rice flour wrapping "an" in a mold of shape of plum-flower. Regarding respective 5 brands, sensory test and chemical analysis were carried out in order to give some useful guidances for consumers' daily life. Well-known 5 brands of "Manju" in Fukuoka is divided into 2 types of "Dorayaki" and "Kasutera-manju." The former has the following constituents: moisture 27.9~34.0; protein 5.4~5.8; fat 1.0~2.2; starch 58.0~62.9; fiber 0.9~1.0; ash 0.4~0.6; calorie 267~298 Cal. The latter is composed of moisture 21.6~23.5; protein 6.4~6.7; fat 1.3~2.9; starch 66.2~68.7; fiber 0.6~1.2; ash 0.5; calorie 313~318 Cal. On the other hand, chemical analysis of 5 brands of "Umegae-mochi" indicates the following composition: moisture 31.8~39.5; protein 5.1~5.8; fat 0.1; starch 27.0~34.3; sugar 22.0~33.7; fiber 0.6~0.9; ash 0.4; calorie 241~272 Cal. No artificial sweetnesses and preservatives were detected at all. However, artificial pigment, yellow No. 4, was qualitatively detected in 1 brand of "Manju" and that, red No. 2, in 2 brands of "Umegae-mochi." Since standard deviation over F005 was estimated among panels of 7 common house-wives and 3 skillful clerks in the department stores, reliable results of sensory test could obtained for neither "Manju" nor "Umegae-mochi."福岡県内産の代表的銘柄のマンジュウおよび梅ヶ枝餅それぞれ5銘柄を任意に購入L,官能テストおよび理化学テストを行なつた.マンジュウはドラ焼キとカステラマンジュウとの両タイプに分けられたが,その一般成分は前者において,水分31.0%,蛋白質5.6%,脂質1.6%,澱粉60.5%,繊維0.95%,灰分0.5%,熱量285カロリー,後者において,水分22.7%,蛋白質6.5%,脂質1.9%,澱粉67.6%,繊維0.9%,灰分0.5%,熱量315カロリーであつて,いずれも対照(成分表)にくらべ水分含量は低く炭水化物およびカロリー値は高い傾向がある.人工甘味料および保存料は検出されなかつたが,着色料は黄色4号が1銘柄に使用されていた.一方梅ヶ枝餅の成分は水分35.2%,蛋白質5.5%,脂質0.1%,澱粉29.6%,糖分28.5%,繊維0.8%,灰分0.4%,熱量258カロリーであつた.これにも人工甘味料および保存料は検:出されなかつたが,赤色2号の使用が2銘柄に認められた.マンジュウ,梅ヶ枝餅ともに官能テストのすべての項目においてパネル間に有意差があり,正確な嗜好の傾向は求められなかつた.
著者
大村 浩久 高田 正 石田 英雄 松本 正隆
出版者
九州大学
雑誌
九州大學農學部學藝雜誌 (ISSN:03686264)
巻号頁・発行日
vol.33, no.1, pp.69-77, 1978-09

Two types of fish jelly products, "Chikuwa" (rolled fish cake) and "Sumaki-Kamaboko" (fish cake rolled with straw) manufactured in Fukuoka prefecture were examined on respective 10 brands in January of 1975. The following ranges of constituents were indicated by chemical analysis. "Chikuwa" : Water 63. 1~73. 6 (69. 4± 1. 1) % ; protein 11. 7~16. 7 ( 13. 8±0. 5) % ; lipid 0. 3~0.9 (0.6±0.07) %; ash 2.4~4.4 (3.3±0.2) %; starch 2.0~40.2 (6. 1 ±0. 9) %, sugar 8. 3~18. 2 (13. 0±0. 9) %, energy 97~132 (112 ±3. 8) kcal ; sorbic acid, 0. 64~1. 68 (1. 28±0. 13) g/kg except one brand; saccharin sodium 0 in 7 brands and 0. 03, 0. 47 or 0. 16 g/kg in 3 respectively; A F_2 and hydrogen peroxide were not detected, while positive intestinal flora in one brand. "Sumaki -Kamaboko": Water 71.0~77. 3 (73. 5±0.7) %; protein 10. 1-15.8 (11.4±0. 5) %; lipid 0. 3~1. 0 (0. 5±0. 07) %; ash 2. 3~3. 6 (3. 0±0. 1) %; starch 0~7. 4 (5. 0±0. 7) %; sugar 7. 5~14. 7 (11. 5 ± 0. 7) %, energy 54~104 (83 ± 6 ) kcal ; sorbic acid 0. 18~1. 58 (0. 78±0. 2) g/kg in 7 brands and 0 in 3 brands ; saccharin sodium 0 in 7 brands and 0.01, 0.06 or 0.06 g/kg in 3 respectively ; AF_2 and hydrogen peroxide were not detected, while pseudo - positive intestinal flora in 2 brands. Red No. 106 was employed in 7 brands and No. 104 in one brand, but not in others. A strict relationship between evaluation by sensory test and constituent was not estimated. However, it was shown with some exception that the evaluation was generally dependent on higher protein and lower starch content through certain physical properties such as sense of touch. A rough correlation of evaluation to price was also observed. Although t h e distinct feature was not estimated for products in Fukuoka prefecture, they seemed to contain much starch.昭和49年度においても,それぞれ福岡県内10ヵ所の生産者から試料を購入し,官能テストならびに成分分析により,チクワについては3年連続して調査を行なつた.またスマキについてもあわせて調査した.チクワの成分は,水分63.1~73.6(69.4±1.1)%,蛋白質ll.7~16.7(13.8±0.5)%,脂質0.3~0.9(0.6±0.07)%,灰分2.4~4.4(3.3±0.2)%,澱粉2.0~10.2(6.1±0.9)%,糖分8.3~18.2(13.0±0.9)%,エネルギー97~132(112±3.8)キロカロリーであつて,過去2回の調査によるものとほとんど差はなく,対照にくらべて水分含量がやや低く炭水化物含量が高い傾向が認められた.ソルビン酸は1試料を除いて0.64~1.68(1.28±0.13)9/kgの範囲に検出され,一方人工甘味料はサッカリンナトリウムが3試料に認められた.またAF2,過酸化水素のような殺菌料はすべての試料に検出されなかつたが,大腸菌群は1試料にのみ陽性であつた.スマキでは,水分71.0~77.3(73.5±0.7)%,蛋白質10.1~15.8(11.4±0.5)%,脂質0.3~1.0(0.5±00.07)%,灰分2.3~3.6(3.0±0.1)%,澱粉0~7.4(5.0±0.7)%,糖分7.5~i4.7(11.5±0.7)%,エネルギー54~104(83±6)キロカロリーであつて,チクワにくらべて水分含量がやや高いが蛋白質ならびに炭水化物含旦が低く,また含量の範囲も狭かつた.澱粉無添加試料の蛋白質含量は最も高く,これを除くと10~12%の範囲にあつて,対照にくらべてほとんど差はなく,一般に炭水化物含量が高く脂質含量は低かつた.ソルビン酸は7試料に0.18~1.58(0.78±0.2)9/kg,サッカリンナトリウムは3試料に0.Olあるいは0.069/kg検出された.AF2および過酸化水素はすべての試料で陰性,大腸菌群は2試料に凝陽性であつたが,人工着色料は,赤色106号が7試料,赤色104号が1試料に使用されていた.これらチクワやスマキなどの成分あるいは価格と官能テストによる評価との間に厳密な相関関係を見出すことはむつかしかつた.しかし,例外的に一部逆の場合もあるが,こしや触感のような物性を介して蛋白質および澱粉含量が影響する傾向も認められた。
著者
大村 浩久 岡田 秀臣 坂井 美鈴 松井 三郎
出版者
九州大学
雑誌
九州大學農學部學藝雜誌 (ISSN:03686264)
巻号頁・発行日
vol.30, no.1, pp.35-39, 1975

Chemical analysis of 5 brands of "Kamaboko (fish paste)" and "Chikuwa (rolled fish cake)" indicated the following constituent. "Kamaboko": moisture 75.2~79.1%; protein 11.5~15.0%; fat 0.7~0.8%; starch 2.3~3.1%; sugar 5.0~7.3%; ash 2.6~3.1%; calorie 87~102 Cal. "Chikuwa": moisture 70.1~73.8%; protein 14.3~16.0%; fat 1.1~1.5%; starch 1.2~3.6%; sugar 5.2~6.7%; ash 2.7~3.5%; calorie 101~109 Cal. In "Kamaboko," saccharin sodium and hydrogen peroxide were not detected, while sorbic acid was observed in 3 brands. On the other hand, both saccharin sodium and sorbic acid were detected in all samples of "Chikuwa," whereas hydrogen peroxide not. Intimate relationship of the evaluation of the sensory test to price, chemical constituent or maker was not observed, as those for processed foods examined before. However, it was only suggested that samples of lower protein content were inexpensive and evaluated with lower degree.板カマボコおよびチクワをそれぞれ県内5カ所の生産者から購入し官能テストと成分の分析を行なつた.板カマボコの平均成分は水分77%,蛋白質13.4%,脂質(0.74%,澱粉2.7%,糖分6.3%,灰分2.9%,熱量960カロリ一であつて,炭水化物およびカロリーが僅かに多いほかは対照(成分表)とほとんど差はなかつた.人工甘味料ならびに漂白ないし殺菌剤である過酸化水素はいずれも検出されなかつたが,保存料ソルビン酸は3銘柄に使用されていた.一方,チクワでは水分71.8%,蛋白質15%,脂質1.3%,澱粉2.3%,糖分6.2%,灰分3.2%,熱量106カロリーであつて,対照(成分表)よりは水分含量はかなり低いが,他の成分はいずれも若干高かつた.サッカリンおよびソルビン酸はすべての試料に検出されたが,過酸化水素は認められなかつた.他の加工食品の場合と同様に,価格ないし生産者の知名度と成分あるいは官能テスト間には必ずしも相関関係は認められなかつた.しかし,一応蛋白質含量の低いものは価格も安く評価も低い傾向が認められた.
著者
大村 浩一郎 山本 奈つき 寺尾 知可史 中嶋 蘭 井村 嘉孝 吉藤 元 湯川 尚一郎 橋本 求 藤井 隆夫 松田 文彦 三森 経世
出版者
The Japan Society for Clinical Immunology
雑誌
日本臨床免疫学会会誌 (ISSN:09114300)
巻号頁・発行日
vol.35, no.4, pp.310a-310a, 2012

Myelin basic protein(MBP)は神経ミエリン鞘を形成する主要なタンパクであるが,関節リウマチ(RA)において,myelin basic proteinに対する自己抗体が高率に認められることを我々は以前報告した(PLoS One 2011; 6: e20457).ヒト脳由来抽出タンパクを抗原として用いた場合,抗MBP抗体はRAの約65%に認められ,特異度は膠原病患者を対照として83%であり,またその対応抗原は主にMBPタンパク自身ではなく,シトルリン化MBPに対する抗体であることも明らかにした.一方,MBPは神経系に発現するclassic MBPと神経系のみならず血球系にも発現するGolli-MBPのアイソフォームがあり,それぞれにまたいくつかのアイソフォームが存在する.RAで認められる抗MBP抗体の対応抗原がclassic MBPなのかGolli-MBPなのかは不明であったことから,classic MBPおよびGolli-MBPのrecombinantタンパクを作成しin vitroでシトルリン化し,ELISAで抗MBP抗体を検出したところ,その感度,特異度に差は認められなかった.現在Golli-MBPのアミノ酸配列(304アミノ酸)を15種類の25アミノ酸ペプチドでカバーし,それぞれのペプチドをシトルリン化して抗原とし,12人の抗MBP抗体陽性RA患者血清を用いてELISAにてエピトープマッピングを行っている.<br>
著者
大村 浩王 遠峰 菊郎 細川 尚
出版者
社団法人日本気象学会
雑誌
天気 (ISSN:05460921)
巻号頁・発行日
vol.46, no.6, pp.365-375, 1999-06-30
被引用文献数
2

1997年8月4日および8月9日の2日間,群馬県の榛名山山麓においてオメガゾンデによる高層気象観測を行い,状態曲線の日変化と雷雲の発生・発達との関係を調べた.その結果,雷雲が観測された8月4日には,朝から日中にかけて,接地混合層の上端高度は上昇し,自由対流高度(LFC)は下降した.その結果,雷雲が発生した時刻にはCIN (convective inhibition)の値も小さくなり,対流が発生しやすい状態であった.さらに,LFCから大気上層の間には顕著な安定層が見られず,背が高い対流が発達可能な状態にあったことが示された. これに対し,雷雲が発達しなかった8月9日には,日中は接地混合層の上端高度は上昇した.しかし大気中層への暖気移流により顕著な安定層が形成され,上空の気温が高かったためにLFCは存在していなかった.このため,対流雲は存在していたが,背は低いままで発達しなかった.また,雷雲発生の有無にかかわらず,2日間とも日中から夕方にかけて大気安定度は同程度減少する日変化が認められた.
著者
川俣 眞人 山本 幹雄 板橋 秀一 大村 浩 田中 和世
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SP, 音声 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.100, no.392, pp.9-14, 2000-10-19

ホルマント型音声合成方式において、ホルマント振幅の項に声帯振動の影響による効果を表すための非線形項を導入することによって音質が改善されることは既に報告した。非線形項は音質改善の他に音声の自然性や個人性にも影響を与えることが予想される。今回はその非線形関数を10話者、5母音別に新たな関数モデルを導入していくつかのパタンとして類型化することを試みた。その結果このモデルの妥当性を確認することができた