著者
齊藤 拓馬 原田 広史 横川 忠晴 大澤 真人 川岸 京子 鈴木 進補
出版者
公益社団法人 日本金属学会
雑誌
日本金属学会誌 (ISSN:00214876)
巻号頁・発行日
vol.86, no.9, pp.157-171, 2022-09-01 (Released:2022-08-25)
参考文献数
80

Series of Ni-base single-crystal superalloys with superior thermal durability have been developed to improve thermal efficiency of gas turbine systems. Microstructural transition during creep so called “raft structure” formation enhances creep properties at lower stress and higher temperature condition. Furthermore, larger perfection degree of the raft structure contributes to better creep properties under the same creep condition. To control the perfection degree of the raft structure, magnitude of a lattice misfit and an elastic misfit between γ and γ′ phases should be controlled. In the current situation, the lattice misfit can be controlled by using alloy design program NIMS has developed. In this review, we focused on the role of the raft structure in alloy design. Observation results and predicted mechanisms about strengthening by the microstructural transition, in addition to the mechanism about microstructural transition itself during creep, were summarized and explained. Finally, under these recognitions mentioned above, our effort to establish a new alloy design approach to control the perfection degree of the raft structure by modifying the elastic misfit was introduced.
著者
中村 郁美 Nakamura Ikumi 田村 文子 Tamura Fumiko 大澤 真奈美 Osawa Manami
出版者
群馬県立県民健康科学大学
雑誌
群馬県立県民健康科学大学紀要 (ISSN:18810691)
巻号頁・発行日
vol.12, pp.45-56, 2017-03

目的:統合失調症患者が地域生活において対処できない問題とその対処に向けた訪問看護師の支援を明らかにする.方法:A県内の精神科病院および訪問看護ステーションにおいて統合失調症患者を支援している訪問看護師を対象として面接調査を行い,Berelson,B.の内容分析を参考にして分析した.結果:訪問看護師が語った統合失調症患者が地域生活において対処できない問題は,【服薬自己管理ができないため薬を正しく飲めない】【入浴・洗髪・行為をできないため清潔が保てない】など11コアカテゴリが抽出された.統合失調症患者が地域生活において対処できない問題の対処に向けた訪問看護師の支援は,《服薬自己管理ができるように服薬確認や声かけを行う》など17コアカテゴリであった.結論:訪問看護師は,患者が地域生活において対処できない服薬,清潔,金銭管理,熱中症予防などの問題に対して,患者の状態に合わせて段階的に継続的な支援を行っていた.
著者
大澤 真生
出版者
日本倫理学会
雑誌
倫理学年報 (ISSN:24344699)
巻号頁・発行日
vol.71, pp.145-158, 2022 (Released:2022-07-11)

The aim of this study is to clarify the essence and meaning of the duality of human existence that Karl Löwith often refers to in his book The Individual in the Role of Fellow Man(1928). Löwith regards the structure of human existence as the equal and fundamental unity of “personality” and “naturality.” First, this dual structure of human existence is superimposed on the duality of rational beings(person as a selfpurpose and thing as a means to an end)in Kant’s practical philosophy; then Löwith attempts to reinterpret Kant’s practical philosophy based on the principle of being-with-others. However, in his theory of being-with-others, Löwith recognizes the positive meaning of human naturality, which does not limit character to a thing of a person in Kant’s practical philosophy. This positive meaning is a potential basis for mutual understanding in dialogue with others. Involuntary communication based on human naturality brings more of human nature into expression than voluntary communication through words. It also builds appropriate dialogical relationships. By defining human personality not merely as self-purposiveness, but also as responsiveness to others, the construction of personality based on dialogical relations becomes essential for human beings. This inevitably leads to the evaluation of human naturality, which is the basis of mutual understanding ─having positive value. In addition, Löwith mentions that the fact that we have a dual structure of existence in itself makes human life possible. In other words, human beings are, by their very nature, conflicted beings with a dual structure; this makes it possible for them to question their own life. Löwith’s theory of being-with-others, which emphasizes the meaning of human naturality in dialogue, is significant as an attempt to overcome modern Western philosophy, which places value only on personality(autonomous ability).
著者
柿沼 直美 飯田 苗恵 大澤 真奈美 原 美弥子 齋藤 基
出版者
公益社団法人 日本看護科学学会
雑誌
日本看護科学会誌 (ISSN:02875330)
巻号頁・発行日
vol.35, pp.1-9, 2015-04-27 (Released:2015-06-02)
参考文献数
26
被引用文献数
1 1

目的:訪問看護ステーションにおける安定的な経営管理のために,管理者が活用可能な自己評価尺度を開発する.方法:尺度の開発は,①概念枠組みの明確化,②尺度の原案は先行研究および研究者の経験に基づき作成,③専門家会議およびパイロットスタディによる内容的妥当性の検討,④全国の管理者を対象とした本調査の実施およびデータの項目分析,尺度の信頼性・妥当性の検討とした.結果:検討の結果,7下位尺度25項目からなる尺度が完成した.尺度のクロンバックα係数は,0.897であり,内的整合性を確保していた.因子分析により抽出された7因子は,【第1因子:意思疎通がよく,働きやすい職場環境の形成】【第2因子:資金の管理】【第3因子:サービスの拡充】【第4因子:収支のモニタリング】【第5因子:生産性の向上】【第6因子:看護の質保証】【第7因子:市場調査】であった.結論:本尺度は,管理者の経営管理に対する自己評価を促し,安定的な経営管理のために活用可能である.
著者
松本 伊智朗 湯澤 直美 関 あゆみ 蓑輪 明子 永野 咲 加藤 弘通 長瀬 正子 丸山 里美 大谷 和大 岩田 美香 大澤 亜里 鳥山 まどか 佐々木 宏 杉田 真衣 山野 良一 田中 智子 上山 浩次郎 藤原 千沙 吉中 季子 福間 麻紀 大澤 真平 藤原 里佐 川田 学 谷口 由希子 中澤 香織 伊部 恭子 山内 太郎 新藤 こずえ 小西 祐馬 加藤 佳代
出版者
北海道大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2016-04-01

本研究の目的は、子どもの貧困の現代的特質を明らかにすると同時に、政策的介入と支援のあり方を検討することである。そのために、大規模な子ども・家族を対象とした生活調査(3万人対象)を北海道で行った。あわせて、女性の貧困に関する理論的検討、社会的養護経験者に対する調査を行った。それらを通して、経済的問題、時間の確保、追加的ケアへの対応、ジェンダー平等の重要性、子どもの活動と経験、社会的ケアと社会保障制度の問題について検討を行った。
著者
中川 泰代 大澤 真由美 早川 美幸 山口 直彦
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.59, pp.299, 2007

目的 植物にはポリフェノール化合物が広く存在しているが、この化合物は酵素的酸化で、褐色色素へと変化すると共に、その抗酸化性は大きな影響を受ける。この酸化酵素は熱によって容易に失活することはよく知られている。抗酸化性の評価を、DPPH還元力測定の他に、リノール酸に対する抗酸化性をも測定したので報告する。方法 _丸1_試料はリンゴ、ごぼうなど7種類を使用。みじん切りしたものを2本の100ml三角フラスコに5gづつ精秤した後、1本は電子レンジで1分間処理し加熱区(H)、他の1本はそのまま1時間常温放置し、生区(L)とした。これらに40%エタノールを加え抽出液を得た。抽出液の_丸2_DPPH還元力測定、_丸3_過酸化物価はロダン鉄法にて測定し、その値が3.0に達するに要する日数を誘導期間とした。_丸4_リノール酸に対する抗酸化性は含水系(pH7.0)で測定し、50℃の恒温器中にて保存実験を行った。結果 _丸1_紅玉など4種のリンゴ(皮)のH区の全フェノール量は286~226mg/100gの範囲内であったが、L区のそれは204~118mg/100gと少なかった。一方、抗酸化性をみると紅玉のH区の効力は著しく強いが、他の3種のH区の抗酸化性は大変弱い。さらに、L区の効力がH区に比較して大きく減少するのは紅玉のみであった。_丸2_産地の異なるごぼう3種のH区の全フェノール量は宮崎:402mg、北海道:250mg、及び中国:134mg/100gであった。一方、L区のそれは186mg、126mg、及び96mg/100gへと減少した。H区とL区の抗酸化性を比較すると、宮崎産と北海道産はその誘導期間が減少したが、中国産は殆ど変化しなかった。
著者
大澤 真幸
出版者
日本文学協会
雑誌
日本文学 (ISSN:03869903)
巻号頁・発行日
vol.56, no.3, pp.20-32, 2007

かつてジャック・デリダは、形而上学における「音声言語中心主義」を批判した。だが、この批判は、日本語による思考には直接にはあてはまらない。日本語の思考は、文字(エクリチュール)に深く規定されているからである。このことは、日本語が、独特の書字体系、つまり「漢字かな混じり文」をもっていることと深く関連している。デリダは、彼が「脱構築」と名づけた強靱な思索を通じて、音声言語に対する文字の優越を何とか回復しようとしたのだが、日本語においては、こうした条件は、最初から整っていたのだ。この発表では、こうした特徴を有する日本語に基づく思考の「強さ」と「弱さ」について論ずる。また、この特徴が、日本社会の歴史的構造と相関していることを示す。さらに、議論は、この特徴が、明治以降の西洋文化の導入にどのように反響したかという問いへと移るだろう。この問いへの探究は、日本の思想、とりわけ日本の近代思想において、文学が中心的な影響力をもったのはなぜなのかということを解き明かすことにもなる。「近代文学(小説)の終焉」は、日本語にとって流行の盛衰以上のものだ。それは、日本語に基づく思考そのものの危機かもしれないからだ。
著者
菊地 克久 川崎 拓 奥村 法昭 笠原 俊幸 小泉 祐介 大澤 真 杉本 俊郎 藤本 徳殻 宮原 健一朗 今井 晋二 猿橋 康雄 松末 吉隆
出版者
一般社団法人 日本臨床リウマチ学会
雑誌
臨床リウマチ (ISSN:09148760)
巻号頁・発行日
vol.23, no.2, pp.119-125, 2011-06-30 (Released:2016-01-30)
参考文献数
17

Remitting seronegative symmetrical synovitis with pitting edema(RS3PE)症候群に両側胸水を伴った症例を報告する.症例は83歳女性.炎症反応が高値で,好中球優位の滲出性胸水と手の蜂窩織炎様症状を認めた為,感染との鑑別診断に難渋した.ステロイドの増量で,手背と足背に圧痕を伴う浮腫(pitting edema)及び多発関節痛と高熱は急激に改善し,同時に胸水も劇的に改善を認めた.稀ではあるが,胸膜炎を伴うRS3PE症候群があるので注意を要する.
著者
中川 泰代 山口 直彦 大澤 真由美
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.56, pp.37, 2004

[目的]近年の健康志向から緑黄色野菜を主原料としたデザート類が多く市場に出回っている。しかし、これらの食品に含まれるカロチノイド系色素は光に弱く、退色に伴う返品がしばしば発生、問題となっている。本実験では包装技術による光と酸素とを制御することによって、その商品寿命の延長を図る目的で行った。〈BR〉[方法]_丸1_野菜入りゼリー菓子、トマトを含有する乾燥モデル食品及びβーカロテンを吸着させたろ紙を調整し、光透過度(T%)及び酸素透過度の異なるフィルムで包装し、明暗所常温保存試験を行った。_丸2_着色度は日本電色工業(株)製 COLOR DIFFERENCE METER MODEL 1001DPで測定し、ハンター表示値で示した。また、劣化度は保存0日のa値に対する保存野菜ゼリーのa値の割合を求めa値の残存率として示した。〈BR〉[結果]_丸1_T%の異なるAl-蒸着フィルムで野菜入りゼリー菓子を包装し、明所常温保存の結果、2_から_5のT%であっても35日目にはa値の残存率は50%以下となり商品価値を失った。しかし、T%:0のAl -蒸着フィルムのそれは107日間の保存によっても50%以上の残存率を示した。_丸2_酸素バリア性の異なる3種の無印刷プラスチック(酸素透過度:2_から_3cc、8_から_10cc及び30_から_50cc/_m2_/24hr)を用い脱酸素剤封入包装されたゼリー菓子の袋内の酸素濃度は1日目には0%台となり、その保存期間中も0%台で推移し、55日間の明所常温保存によっても、a値の変化は殆ど認められなかった。_丸3_乾燥モデル食品に抗酸化物質を添加し明所常温保存の結果、その効果はトコフェロール>ビタミンC>カテキンの順であった。
著者
平澤 恭子 篁 倫子 竹下 暁子 吉川 陽子 大澤 真木子
出版者
東京女子医科大学
雑誌
東京女子医科大学雑誌 (ISSN:00409022)
巻号頁・発行日
vol.83, no.1, pp.E137-E143, 2013-01-31

新生児医療はめざましい進歩を遂げ障害児の発生も減少傾向にある一方で軽度発達障害などの患児が多いのではないかとされている。,そこで我々は当院出生の極低出生体重児の6歳時の発達について詳細な検討を行い、どのような支援が適切なのかについて検討した。対象は2002 年4月から2006年3月までに東京女子医科大学母子総合センターNICUにて出生した6歳児であり、健診の方法は ハイリスク児フォローアップ研究会のプロトコールに基づき神経学的診察,Wechsler Intelligence Scale for Children-Third Edition(WISCIII)を使った知能検査を行い、それらについて検討した。,Soft neurological sign を認める児が多く、またWISCIIIによる知能指数(IQ)は出生時在胎週数や体重と正の相関を示し、超早産児や超低出生体重児では注意深い観察が必要であると思われた。またIQの軽度低下や言語性知能指数(VIQ)/動作性知能指数(PIQ)のアンバランスや群指数間のばらつきなどを認め、これらの児では行動面の問題も抱える傾向を認めた。視覚的な情報の処理が苦手である傾向もあり、このような児への指導にはこの点に留意する必要が示唆された。 またこの6歳時点ですでに注意欠陥多動性障害(ADHD)や学習障害(LD)の特性を示している児もおり、治療介入の必要性も考慮された。極低出生体重児のフォローアップでは軽度発達障害を念頭に置きより長期に詳細に経過をみるとともにそれらの児への支援が必要である。
著者
大澤 真平 松本 伊智朗
出版者
医学書院
雑誌
公衆衛生 (ISSN:03685187)
巻号頁・発行日
vol.80, no.7, pp.462-469, 2016-07-15

本稿では,子どもの相対的貧困率の概要,子どもの貧困に関するいくつかの構造的背景,そして貧困の世代的再生産について述べることで,わが国の子どもの貧困の現状についての基本的な理解を示したい. 貧困のなかに生まれ育つ子どもの存在は,当然,子育て家族の貧困と切り離すことはできない.子どもの貧困という特別な貧困があるわけではなく,子どもの貧困もまた広く貧困に対する対応のなかに位置づけて議論されなくてはならない.
著者
赤堀 八重子 飯田 苗恵 大澤 真奈美 原 美弥子 齋藤 基
出版者
公益社団法人 日本看護科学学会
雑誌
日本看護科学会誌 (ISSN:02875330)
巻号頁・発行日
vol.34, no.1, pp.27-35, 2014-03-20 (Released:2014-03-12)
参考文献数
19

目的:特定保健指導における未利用の理由の構造を明らかにすることである.方法:A町の特定保健指導の未利用者10人を対象とし,未利用の理由に関連する3点を質問項目として半構造化面接を行い,KJ法を用いて質的に分析した.結果:特定保健指導における未利用の理由の構造は,【“私という領域”がある】【私には“良好な健康”より大切な生きがいがある】【私に限定せずに必要な人への活動を望む】という3つの要素から構成されていた.各要素の関係性として,【“私という領域”がある】は健康観に基づく自己決定の権利を示し,他の要素の基盤となり支持していた.さらに,各要素には,現在の身体状態を健康と捉える健康観が根底にあり,相互に影響することで未利用の理由が強化される関係にあることが示された.結論:未利用の解決には,未利用者の健康観を考慮した支援を行うことの重要性が示唆された.