著者
小山 宗孝
出版者
日本分析化学会
雑誌
分析化学 (ISSN:05251931)
巻号頁・発行日
vol.63, no.9, pp.707-713, 2014

金ナノ粒子を導電体基板表面に修飾すると,通常,導電体基板単独の場合とは異なる電気化学特性が発現する.特に,金をナノ化することで発現するバルクとは異なる電気化学特性や触媒特性を有効に利用すると,新しいタイプの修飾電極の構築が可能になり,電気化学分析の進展にも寄与できる.著者らのグループでは,2001年頃から,金ナノ粒子を修飾した酸化インジウムスズ電極の構築と応用を中心に,これまで検討を進めてきた.本総合論文では,著者らの2010年以降の金ナノ粒子修飾電極に関する研究の展開について,電気化学以外の共同研究成果や白金ナノ粒子に関する検討結果なども含めて概要をまとめる.特に,新たな研究の展開としては,金ナノ粒子とパラジウム基板電極の複合化や,キムワイプ片などの非導電性保持材料を用いた金ナノ粒子または白金ナノ粒子の電極界面の三次元的修飾などについて述べる.
著者
秋山 慎太郎 今村 綱男 田村 哲男 小泉 優子 小山 里香子 竹内 和男 渡邊 五朗
出版者
一般社団法人 日本消化器内視鏡学会 関東支部
雑誌
Progress of Digestive Endoscopy (ISSN:13489844)
巻号頁・発行日
vol.82, no.1, pp.208-209, 2013-06-14 (Released:2013-07-05)
参考文献数
4
被引用文献数
2

A 63year-old female complained of recurrent common bile duct stones. In her previous medical history, laparoscopic cholecystectomy was performed for cholecystolithiasis in 2001. Choledochoduodenostomy was also performed for recurrent biliary stones in 2009. However, the patient was admitted to the hospital repeatedly due to recurrent cholangitis associated with biliary stones. Although the biliary stones were completely retrieved by endoscopic interventions, cholangitis recurred a few months later. She was referred to our hospital where magnetic resonance cholangiopancreatography (MRCP) revealed a massive common bile duct stone with a diameter of 4 cm. Initially endoscopic retrograde cholangiopancreatography (ERCP) was undertaken to retrieve the stone and detected that the massive stone was compacted in the common bile duct. The result of stone component analysis showed that it was mostly composed of ursodeoxycholic acid (UDCA). UDCA administration was thought to be associated with her recurrent stone events and this therapy was thus ceased. During the two-year period since this time, there have been no recurrent episodes of cholangitis due to biliary stones.
著者
李 志炯 崔 庭瑞 小山 慎一 日比野 治雄
出版者
日本デザイン学会
雑誌
デザイン学研究 (ISSN:09108173)
巻号頁・発行日
vol.63, no.5, pp.5_101-5_108, 2017

文字の太さは人間の感情や態度などと関係がある。たとえば,文字を読む際に太さが変化しても文字の意味が伝わるのは同様であるが,受ける印象には差が生じる。そのため,正確なコミュニケーションの実現のためには文字の太さと印象の関係について検討する必要がある。そこで,本研究では明朝体,ゴシック体の2書体それぞれのひらがなとカタカナを対象に文字の太さ(レギュラー,セミ・ボールド,エクストラ・ボールド)による印象の変化についての検討を加えた。その結果,明朝体のひらがなの場合,レギュラーでは柔和性・高級感・女性的な印象などが,他の太さでは柔和性・重厚性・男性的な印象などが抽出された。一方,明朝体のカタカナ・ゴシック体のひらがなおよびカタカナの場合,レギュラーでは先鋭性・高級感・女性的な印象などが,他の太さでは先鋭性・重厚性・男性的な印象などが抽出された。これらの結果により,文字の太さごとの印象の特徴および文字の太さによる印象の変化が明らかになった。
著者
小山 真人
出版者
特定非営利活動法人 日本火山学会
雑誌
火山 (ISSN:04534360)
巻号頁・発行日
vol.43, no.5, pp.323-347, 1998-10-30 (Released:2017-03-20)
参考文献数
74
被引用文献数
5

All available historical documents, which reeord abnormal phenomena relating (or possibly relating) to the activity of Fuji Volcano, Japan, were re-examined and classified aceording to the reliability of each document. Comparisons of the reliable descriptions with geologic evidence were executed and several new correlations between historical records and eruptive deposits are proposed. Volcanic activity of Fuji Volcano was in high-level from the 9th to I Ith century; in this period at least 7 reliable and 5 possible eruptions occurred. Although only 2 reliable and 1 possible eruption records exist from the 12th to the early 17th century, this low-level activity may be apparent because of lack of enough historical records. After the middle 17th century, enough historical records suggest that the activity is generally low except for the 1707 eruption, which is one of the most voluminous and explosive eruptions in the history of Fuji Volcano. At least thirteen large earthquakes (M 8 and possible M 8 class) have occurred near Fuji Volcano (in east Nankai and Sagami Troughs) since the 9th century. Eleven of these 13 earthquakes were accompanied with volcanic events (eruption, rumbling, or change in geothermal activity) of Fuji Volcano before and/or after each earthquake (in ±25 years).
著者
小山 耕太郎
出版者
特定非営利活動法人 日本小児循環器学会
雑誌
日本小児循環器学会雑誌 (ISSN:09111794)
巻号頁・発行日
vol.28, no.2, pp.73-80, 2012 (Released:2012-11-15)
参考文献数
32

本症は心房-心室関係と心室-大血管関係の両方が正常の逆を示す疾患である. 2段階の不一致によって血液循環は生理学的に修正されるが, 約90%の例に合併病変がみられる. 症状の出現時期は合併病変の種類と程度によって胎児期から高齢者までさまざまであるが, 加齢とともに体心室としての右室の機能低下や三尖弁閉鎖不全, 不整脈が認められるようになることから, 早期の評価と治療介入が求められる. 特有の解剖学的所見として, 心房中隔と流入部心室中隔が整列しない, 左室流出路が僧帽弁と三尖弁の間に深く嵌り込む, 心房位が正位の場合, 大動脈が肺動脈の左前方に位置する, 刺激伝導系が異常である等がある. これらの解剖学的特徴と合併病変とを理解したうえで, 診察と胸部X線, 心電図, 心エコー図, MRI, MDCT等の検査を組み合わせて診断する. 特に心エコー図は区分診断法によって基本形態を明らかにするとともに合併病変の評価が可能であることから本症の診断に最も大きな役割を担っている. 心エコー図による右室機能の定量評価が今後の課題である.

2 0 0 0 OA 松屋筆記

著者
小山田与清
出版者
巻号頁・発行日
vol.巻99-100,
著者
尾原 伸作 内本 和晃 小山 文一 中川 正 中村 信治 植田 剛 錦織 直人 藤井 久男 堤 雅弘 中島 祥介
出版者
一般社団法人 日本消化器外科学会
雑誌
日本消化器外科学会雑誌 (ISSN:03869768)
巻号頁・発行日
vol.47, no.2, pp.156-162, 2014-02-01 (Released:2014-02-11)
参考文献数
20

非神経線維腫症I型の患者において,骨盤神経叢由来と考えられた悪性末梢神経鞘腫(malignant peripheral nerve sheath tumor;以下,MPNSTと略記)の1例を経験したので報告する.MPNSTの好発部位は四肢近位部,体幹,頸部とされている.また,MPNSTの約半数は神経線維腫症I型に合併するといわれる.症例は58歳の女性で,当院初診5か月前より肛門痛,左下肢の疼痛が出現した.各種画像検査の結果,骨盤内の直腸左壁に約10 cm大の腫瘍を認めた.骨盤内原発の神経原性腫瘍を疑い,腫瘍摘出術を施行した.腫瘍は骨盤底の後腹膜腔で直腸左側にあり,左骨盤神経叢と固着していた.病理組織学的検査所見では,紡錐形の腫瘍細胞の束状増殖があり,多核な腫瘍細胞もみられた.各種免疫組織染色検査でneurofilamentのみ陽性であった.核分裂像が400倍で1視野当たり7 cells認められ,左骨盤神経叢由来のMPNSTと診断した.術後約6年3か月経過した現在も無再発生存中である.
著者
小山 秀紀 鈴木 一弥 茂木 伸之 斉藤 進 酒井 一博
出版者
公益財団法人大原記念労働科学研究所
雑誌
労働科学 (ISSN:0022443X)
巻号頁・発行日
vol.95, no.2, pp.56-67, 2019

<p>本研究では昼寝を想定した椅子での短時間仮眠が睡眠の質,パフォーマンス,眠気に及ぼす影響を調べた。仮眠は昼食後の20分間とし,ベッドでの仮眠を比較対照とした。測定項目は睡眠ポリグラフ,パフォーマンス(選択反応課題,論理課題),精神的作業負担とした。分析対象は夜間睡眠統制に成功した6名(20.8 ± 1.6歳)であった。ベッド条件に比べ,椅子条件では中途覚醒数が有意に多く(p < 0.05),徐波睡眠が少ない傾向にあった。両条件で仮眠後に眠気スコアは有意に低下した(p < 0.001)。パフォーマンスは条件間で有意差はなかった。昼寝椅子における短時間仮眠は睡眠が深くなりにくく,ベッドとほぼ同様の眠気の軽減効果が得られることが示された。(図5,表8)</p>
著者
小山 一成
出版者
立正大学
雑誌
立正大学人文科学研究所年報 (ISSN:03899535)
巻号頁・発行日
vol.31, pp.17_a-10_a, 1994-03-20
著者
小山 雄大 福原 知宏 山田 剛一 阿倍 博信 増田 英孝
雑誌
第81回全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2019, no.1, pp.203-204, 2019-02-28

イラスト投稿系のSNSでは予めユーザが付与したタグを使って投稿されたイラストを検索することができる.しかし,アニメやマンガのキャラクタイラストにおいてキャラクタ名・作品名等の具体的な情報のタグ付けは行われるが,髪型・服装等の抽象的な属性についてのタグ付けが行われていないため,「黒髪」のようなキャラクタの属性でイラストを絞り込むことが難しい.また,従来のタグ付け手法ではタグが付いているか付いていないかという情報でしか属性を表現できないため不十分である.そこで,本研究では「黒髪」「セーラー服」「眼鏡」等のキャラクタの一般的な属性をラベルとするイラストのデータセットを作成し,各属性におけるキャラクタの特徴を抽出するCNNを構築する.このCNNを用いてキャラクタ属性に基づくイラストのベクトル表現を生成し,イラスト検索における有用性を確認した結果について報告する.
著者
下川 哲徳 下川 学 高橋 宗良 小山 泰文 松本 高明 山本 外憲 中治 洋一 井之上 正信 野田 亘 窪田 辰政 徳田 眞三
出版者
日本武道学会
雑誌
武道学研究 (ISSN:02879700)
巻号頁・発行日
vol.33, no.1, pp.1-10, 2000

本研究は,大学柔道部員,その指導者,および警察柔道選手を合わせた220名を対象に,肩鎖関節損傷についてアンケート調査を行った。その目的は,柔道選手における肩鎖関節損傷の発生率と受傷後の影響,そして,その回復を目指した処置としてのリハビリテーションの効果について明らかにするためである。その結果,以下の点が明らかとなった。<br>1)今回調査対象とした220名に起きた全外傷数は,487例であった。全外傷数487例のうち,肩鎖関節損傷は99例あり,それは全体の20.3%であった。<br>2)肩鎖関節損傷を負った99人中の9人の柔道の技は,その後変わった。彼らの得意技は,主に背負い投げから一本背負いへと変わった。また,他のスポーツへの影響については,6人が野球の投球動作に支障をきたした。<br>3)肩鎖関節損傷の損傷程度は,Weaver式診断法を活用し,以下の方法に基づいて3タイプに分類した。それらは,99人に対する整形外科医による肩鎖関節損傷についての過去の外傷ないしは症状の直接質問,およびX線による肩鎖関節損傷部分の正面画像の撮影,さらに肩鎖関節損傷部分に変形がみられる場合は,X線による5kg負荷のストレス撮影である。その結果,type Iが45人,type IIが35人,type IIIが19人であった。<br>4)本研究では,リハビリテーション・プログラムを受けた者はtype IIないしはtype IIIから合計11人であったが,彼らは全員,機能的評価判定について「優」を示した。そして,彼らの回復期間は,リハビリテーション・プログラムを受けなかった者と比べて,短縮した。これらの結果は,肩鎖関節損傷が起きた場合は,可動域や筋力は,適切な診断,ICES処置の徹底,身体面と精神面の両方を考慮して作られたリハビリテーション・プログラムを実行することにより,効果的に回復することを示唆している。リハビリテーション治療の効果は,損傷の程度により差はあるものの,本研究で試みたリハビリテーション・プログラムは,柔道選手が径我をした際,肩鎖関節損傷部分の機能を回復させるための有効な手段の一つになると思われる。
著者
小山 順一郎
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.50, no.3, pp.144-154, 2007
被引用文献数
1

学術雑誌を中心に,表紙にISSN番号が表示された逐次刊行物が増えてきている。本稿では,このISSN(国際標準逐次刊行物番号)の一層の普及に資することを目的として,逐次刊行物の刊行形態と書誌データへの影響,識別のための固有のコード番号の必要性,ISSNのデータを登録・維持する国際組織であるISDS(現ISSNネットワーク)の設立経緯,その活動内容と最近の動き,ISSN日本センターの発足と歩み,国内のISSN付与状況と課題,JIS X 0306: 1999に規定されているISSN規格の内容,日本センターでの付与作業の実際と登録申請時のFAQについて述べ,最後に国内のISSN付与に関する最近の話題を報告する。
著者
小山 誠次
出版者
社団法人日本東洋医学会
雑誌
日本東洋醫學雜誌 (ISSN:02874857)
巻号頁・発行日
vol.48, no.1, pp.49-52, 1997-07-20

『日本東洋医学雑誌』第47巻第1号に筆者の論文「〓苡仁の治疣処方」が掲載された。今回, その論文の内容を追補しうる文献を見出したので報告する。山脇東洋著『養寿院山脇先生方函』には, 「肬ヲ理スル方 〓苡仁五銭 右一味, 水三合ヲ以テ煮テ一合ヲ取り, 或ハ服シ, 或ハ洗フ。(原文漢文)」とあり, 山脇東洋が〓苡仁を民間薬的に茯の治療として使用していたことが明白である。本書の成立年は全く不明であるが, 治療年代は山脇東洋の没年(宝暦十二年)より以前であることは論を俟たない。この記事は『大和本草』中の〓苡仁の治茯記事より遥かに確実である。また, 〓苡仁の治茯処方を最初に記載した『名家方選』は, 山田元倫が10歳代後半から秘かに諸家の諸名方を盗掠し, 纂集した書であり, 山田元倫の名は諸文献によれば惟亨となっているが, 『名家方選』自叙には維亨とあり, 『黴瘡約言』には惟亨とあるので, 始めは維亨だったかもしれない。
著者
小山 誠次
出版者
社団法人日本東洋医学会
雑誌
日本東洋醫學雜誌 (ISSN:02874857)
巻号頁・発行日
vol.45, no.2, pp.371-376, 1994-10-20

下部直腸sm癌に低位前方切除術を施行した。入院中から退院後仕事再開までは特に下着汚染等の訴えは全くなかったが,鈑金業に復職後から粘液による下着汚染をみるようになった。手術はEEA器械吻合によるS状結腸直腸端々吻合術であったが,その際ドーナツリングに一部不確実な箇所があり,そのため手縫いによる全層縫合を3針迫加し,横行結腸に一時的人工肛門を造設した。術後2週間IVH管理としたため特に明瞭な縫合不全等は認めなかったが,粘液による下着汚染は吻合部に何らかの炎症が遷延していると考え,漢方的には大腸湿熱と診断し,黄連解毒湯で清熱化湿を図った。結果的には黄連解毒湯がよく奏効した。しかし下着汚染が激減しても,なお肛門括約筋は緊張低下のままだったので,補中益気湯で升提して括約筋緊張の回復を図った。文献上,低位前方切除術後の粘液による下着汚染に漢方薬治療した症例は見出し得ないので,今回報告した。