著者
鈴木 敏彦 澤田 純明 百々 幸雄 小山 卓臣
出版者
日本人類学会
雑誌
Anthropological Science (Japanese Series) (ISSN:13443992)
巻号頁・発行日
vol.112, no.1, pp.27-35, 2004 (Released:2004-07-14)
参考文献数
27
被引用文献数
1 3

青森県下北半島浜尻屋貝塚の2002年の発掘調査において,中世に属する1体の小児人骨が出土した。本研究では,歯冠の計測値および非計測的形質について日本列島の各時代の集団との比較分析を行うことで,浜尻屋人骨の帰属集団を探った。歯冠サイズに関しては,浜尻屋人骨はアイヌと中世本土日本人の双方にオーバーラップしており,そのどちらに近いかを明らかにすることは難しかった。一方,非計測的形質に関しては,上顎前歯部の弱いシャベル形質や,下顎第二乳臼歯に見られたmiddle trigonid crestは,より縄文人的すなわちアイヌ的な形質特性を意味するものと思われた。以上を踏まえると,浜尻屋人骨は少なくとも渡来的形質を持った本土日本人ではなく,アイヌ,もしくは縄文・アイヌ的形質を備えた本土日本人のどちらかに属する可能性が高いと考えられた。
著者
大塚 美智子 森 由紀 持丸 正明 渡邊 敬子 小山 京子 石垣 理子 雙田 珠己 田中 早苗 中村 邦子 土肥 麻佐子 原田 妙子 小柴 朋子 滝澤 愛 布施谷 節子 鳴海 多恵子 高部 啓子 河内 真紀子 増田 智恵 川端 博子 薩本 弥生 猪又 美栄子 川上 梅 渡部 旬子 倉 みゆき 丸田 直美 十一 玲子 伊藤 海織 角田 千枝 森下 あおい 上西 朋子 武本 歩未
出版者
日本女子大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2013-04-01

2014~2016年に関東、関西、中部、中国、九州地区で3200名、約50項目の日本人成人男女の人体計測を行い、マルチン計測による3200名と三次元計測による2000名のデータベースを構築した。これにより、アパレル市場の活性化と国際化が期待でき、JIS改訂の根拠データが得られた。人体計測データの分析の結果、現代日本人は20年前に比べ身長が高く、四肢が長いことが明らかになった。また、若年男子のヒップの減少と中高年成人女子におけるBMIの減少が顕著であった。
著者
小山 晶子 小山 智史 伊東 美緒 紫村 明弘 福嶋 若菜 山﨑 恒夫 内田 陽子
出版者
公益社団法人 日本看護科学学会
雑誌
日本看護科学会誌 (ISSN:02875330)
巻号頁・発行日
vol.42, pp.176-185, 2022 (Released:2022-10-15)
参考文献数
23

目的:地域在住高齢者の服薬支援の在り方を検討するために,服薬アドヒアランス良群・不良群別に対象者の属性を検討し,2群の服薬管理の工夫の特徴を示した.方法:地域在住高齢者55名を対象に,属性と服薬アドヒアランスに関する質問紙調査と,服薬管理の工夫に関する聞き取りおよび観察を行った.結果:服薬アドヒアランス良群は19名(34.5%),不良群は36名(65.5%)であり,全対象者が何らかの服薬管理の工夫を行っていた.【服薬指示理解と服薬の段取り】は〈服薬指示を記憶する〉など13の工夫,【薬の保管】は〈1週間分程の薬を手元に置く〉など10の工夫,【薬の飲み忘れ対策】は〈食事から服薬までを一連の流れで行う〉など9の工夫がされていた.結論:服薬管理の工夫は,個人の生活に合わせて調整されていた.したがって,看護師は対象者の生活と服薬管理の工夫を把握した上で,服薬支援を行うことが必要である.
著者
小山 浩司 古島 弘三 菅野 好規 新津 あずさ 小太刀 友夏 新納 宗輔 上野 真由美 高橋 英司 足立 和隆
出版者
一般社団法人日本体力医学会
雑誌
体力科学 (ISSN:0039906X)
巻号頁・発行日
vol.71, no.5, pp.443-453, 2022-10-01 (Released:2022-09-13)
参考文献数
31

Previous studies have reported that poor posture can induce various musculoskeletal disorders. Recently, poor posture in children has become a problem. This study aimed to determine the characteristics of sagittal spinal alignment in standing and sitting positions in elementary school students and how spinal alignment changes from standing to sitting position. Moreover, it clarifies how poor posture (hyperkyphosis) in the standing position affects sitting posture. This study was conducted among 83 elementary school students. The Spinal-Mouse® System was used to measure the thoracic kyphosis angle (TKA), upper thoracic angle (UTA), lower thoracic angle (LTA), lumbar lordosis angle (LLA), and sacral anteversion angle (SAA) in the standing and sitting positions. Hyperkyphosis was defined as a thoracic kyphosis angle of >40°. Participants were assigned to two groups: hyperkyphosis and non-hyperkyphosis. Significant differences were noted in all spinal alignment characteristics in both the positions. When spinal alignment was changed from standing to sitting, ΔUTA and ΔLTA correlated with ΔLLA and ΔSAA, respectively. A strong negative correlation was noted between ΔLLA and ΔSAA. In the sitting position, TKA, UTA, and LLA were significantly higher in the hyperkyphosis group than in the non-hyperkyphosis group. ΔUTA was significantly higher in the hyperkyphosis group than in the non-hyperkyphosis group when spinal alignment was changed from standing to sitting. The characteristics of sagittal spinal alignment in the sitting position were significantly different from those in the standing position. The study findings suggest that poor posture (hyperkyphosis) in the standing position affects the sitting posture.
著者
景山 秀二 三重野 孝太郎 小山 隆之 小林 茂俊
出版者
一般社団法人日本小児アレルギー学会
雑誌
日本小児アレルギー学会誌 (ISSN:09142649)
巻号頁・発行日
vol.34, no.5, pp.579-583, 2020-12-20 (Released:2020-12-20)
参考文献数
9

小児の食物アレルギー患者は現在も増加しつつあり,治療として食物除去を行っている場合は患者のquality of life(QOL)が低下するため,社会問題ともなっている.中でも牛乳は食物アレルギーの主なアレルゲンで食物アレルギー全体の2割程度を占め,特に乳児期に多く発生する.今回我々は,牛乳タンパクを練りこんだレーヨン繊維を使用した肌着の着用後に接触蕁麻疹を呈した4か月の牛乳アレルギーの男児例を経験した.本症例では数日前よりミルク摂取にて皮膚の即時型症状が出現していたが,当該肌着の着用直後に肌着の接触する体幹部を中心とした発赤,紅斑,膨疹が出現した.牛乳,カゼイン特異IgE抗体は陽性で,当該肌着のパッチテストにて発赤,膨疹が観察されたため,診断が確定した.最近,アレルゲンとなりうる食物タンパク由来の物質が食品だけでなく,衣類,化粧品などに添加されることが増えているが,安易な添加はアレルギー症状の発症を誘発する可能性もあり注意を要する.
著者
小山 千登世
出版者
日本文学協会
雑誌
日本文学 (ISSN:03869903)
巻号頁・発行日
vol.64, no.8, pp.42-52, 2015-08-10 (Released:2020-08-29)

客体とは主体にとらえられたものであるならば、主体の変化は世界の変化をもたらす。故に〈語り〉を顕在化させ、作品と主体との格闘と、主体の倒壊こそ「読むこと」であるとする「第三項理論」は読み手の世界観認識を転換させる。「第三項理論」による『夢十夜』「第一夜」の読解から見えてくる〈語り手〉を通して、「読むこと」が世界観認識の転換をもたらす文学教育を目指し、混迷する日本社会の「読み手」「担い手」を育てたい。

2 0 0 0 OA 勇魚取絵詞

著者
小山田与清
出版者
巻号頁・発行日
vol.[3],

2 0 0 0 OA 勇魚取絵詞

著者
小山田与清
出版者
巻号頁・発行日
vol.[3],
著者
大阿久 達郎 山田 展久 池田 佳奈美 山根 慧己 竹村 圭祐 堀田 祐馬 世古口 悟 磯崎 豊 長尾 泰孝 小山田 裕一
出版者
一般財団法人 日本消化器病学会
雑誌
日本消化器病学会雑誌 (ISSN:04466586)
巻号頁・発行日
vol.117, no.1, pp.72-77, 2020-01-10 (Released:2020-01-15)
参考文献数
15

症例は76歳男性.粘血便を主訴に受診し,下部消化管内視鏡検査および便汁鏡検でアメーバ性大腸炎と診断した.メトロニダゾール静注開始24時間後より手袋靴下型の感覚低下が出現し,投与開始2日後からは足部の疼痛が出現した.同薬中止により徐々に症状は改善し3カ月後には消失した.長期間投与で発症するとされてきたメトロニダゾールによる末梢神経障害が投与開始後早期に発症したまれな症例であり,報告する.
著者
小山 義徳
出版者
一般社団法人 日本教育心理学会
雑誌
教育心理学年報 (ISSN:04529650)
巻号頁・発行日
vol.59, pp.28-42, 2020-03-30 (Released:2020-11-03)
参考文献数
59
被引用文献数
1

本稿は,この数年の間に発表された,日本教育心理学会における教授・学習・認知領域における研究を概観し,この分野における成果を紹介した。本稿の対象としたのは2018年7月から2019年6月末までに『教育心理学研究』に掲載された論文及び,2019年9月に日本大学で開催された日本教育心理学会第61回総会で発表された内容である。本稿では,『教育心理学研究』に掲載された研究と,総会で発表された研究を分けて紹介し,学会誌におけるトレンドと学会発表のトレンドが明らかになるように構成した。また,「探究的な学習」に関する理論やエビデンスとしてどのような研究があるかを検討した。その結果,「探究的な学習」に関する研究があまり多く行われていないことが明らかになった。そのため,最終節では,特に「疑問生成」にフォーカスして,教育心理学の「探究的な学習」への展開可能性について述べた。
著者
小山田 恭子 野崎 真奈美 中原 るり子
出版者
一般社団法人 日本看護学教育学会
雑誌
日本看護学教育学会誌 (ISSN:09167536)
巻号頁・発行日
vol.32, no.2-2, pp.137-150, 2022 (Released:2022-10-31)
参考文献数
30

〔目的〕研究目的は看護系大学の新任助教の能力開発支援に特化したツールを作成し、メンタリングによる対話を基盤とした活用方法と共にその妥当性を検討することである。〔方法〕先行研究をもとにキャリア開発ラダーに基づくツール原案を作成し、学会で意見収集し修正した。その成果物の評価について7名の大学教員への面接を行い、データは質的に分析、統合した。本研究は所属大学の倫理審査委員会の承認を受け実施した。〔結果〕ツール原案に対して「能力開発支援が目的なら、ラダーよりもルーブリックが適している」等の意見が得られ、ツール原案は7カテゴリ38項目3段階の基準を持つ能力開発支援ルーブリックに修正された。内容と活用方法への賛同は得られたが、メンタリング導入には困難が予想された。〔結語〕作成した能力開発支援ツールは、新任助教の学習支援や役割移行に効果的であると考えるが、実装研究による検証と洗練が必要である。
著者
小山 洋司
出版者
ロシア・東欧学会
雑誌
ロシア・東欧研究 (ISSN:13486497)
巻号頁・発行日
vol.2013, no.42, pp.88-102, 2013 (Released:2015-05-28)
参考文献数
26
被引用文献数
1

Slovenia is the richest country in Central and Eastern Europe. The country joined the European Union in May 2004. Having satisfied the Maastricht criteria earlier than any other new EU member states, the country joined the Euro-zone in January 2007 and then served as the EU Presidency successfully in the first half of 2008. In that sense, Slovenia was the best performer among the post-socialist countries. During the period 2005–2008 the country accomplished a high economic growth. Since the capital market in this country had only a short history, companies depended mainly on debt financing. Many banks were competing with each other for market share. Slovenian banks borrowed a huge amount of funds on international wholesale financial markets and provided companies with cheap loans. In addition to core business activities, companies actively invested in non-core business activities, creating a real estate boom. Due to the Lehman shock, international financial markets suddenly became tight. Slovenian banks became unable to borrow funds from the wholesale markets. Domestic banks, in turn, were obliged to decrease credits to companies and households. Moreover, in the early 2009 external demands, especially demands on the EU markets decreased remarkably, and correspondingly exports decreased. Consequently, the domestic productions decreased. The GDP growth rate recorded –7.8 percent in 2009. Thanks to some increase in exports to the Euro-zone, the economy picked up only in the second quarter of 2010. In 2011, however, affected by the credit uncertainty in the Euro-zone, the Slovenian economy fell into a double-dip depression and further a serious crisis. Many companies went bankrupt, and the banking sector came to have a huge amount of non-performing loans. The type of the Slovenian crisis is different from that of Greece or Cyprus. First, Slovenia had a relatively sound budget until 2008. The country has not aimed to be a tourism country like Greece and Cyprus. Instead, the country had competitive manufacturing industries and her trade and current account deficits were small until recently. Second, the second wave of privatization started in 2006 mainly based on the MBO method, and Slovenian banks financed the MBO. Unfortunately, this move coincided with the Lehman shock. Third, the proportion of foreign-owned banks in the banking sector was small. Domestic capitals account for about 60 percent of the banking sector, but the state has control over major banks. In other Central and East European countries foreign-owned banks have been predominant, and therefore their parent banks have managed to support subsidiaries. In the case of Slovenia, in contrast, the government had to inject capitals to the banks repeatedly to protect the banking system, having negative influence on the state budget. In 2013 the credit uncertainty over Cyprus gave rise to concerns about Slovenia. Outside specialists think that there is no way other than asking the Troika (the EU, the European Central Bank and the IMF) for help, but the government is struggling hard to overcome the crisis by itself without relying on rescue by the Troika. This paper examines why this country fell into such a serious economic crisis.
著者
加藤 三四郎 小山 恵美 川北 眞史
出版者
日本時間学会
雑誌
時間学研究 (ISSN:18820093)
巻号頁・発行日
vol.8, pp.45-62, 2017 (Released:2018-08-01)

インターネット掲示板などの自己発信が可能なメディアの普及に伴い,企業がいわゆる「炎上」の被害を受けるリスクも増加している。本研究では,「炎上」の被害を最小限に留めるため,インターネットの掲示板を対象に「炎上」を定量的に評価する手法を提案する。具体的には,投稿数が日内変動することを考慮して求めた「炎上値」という新たな評価尺度を導入して「炎上」の状況を指数化し,時間に伴う変動をその波形により把握することを試みた。しかし,インターネット掲示板の特性上,物理的時間を時間の単位とすると「炎上値」の波形が実態を反映しない場合がしばしばみられた。そこで,インターネット掲示板での一定数の投稿のかたまりを表す「スレッド」を時間の単位として「炎上値」を新たに算出した。炎上値の波形は,時間の単位に「スレッド」を用いた場合,物理的時間を用いた場合に比べ,より平滑化された。これにより,「炎上」しているかどうかの判別も容易になると考えられる。また,「炎上」を定量化したデータを用いて,「炎上」の予見などに関する研究を行う際にも「スレッド」を時間の単位としたほうが有効である可能性も示された。一例として,この時間単位を用いて炎上値と特定の単語・記号の投稿数との時差相関分析を行うことで,投稿者同士のコミュニケーションの減少は「炎上」の予兆となる可能性が示唆された。今後の課題として,本研究の成果をもとに,炎上値の波形及び投稿内容から定量的に炎上の始まりと終わりを判定するアルゴリズムを作成する必要があると考える。
著者
田中 凜 澤井 浩子 小山 恵美
出版者
日本時間学会
雑誌
時間学研究 (ISSN:18820093)
巻号頁・発行日
vol.6, pp.59-67, 2015 (Released:2017-02-24)

コミュニケーション手段として、小休止時に多くの人が電子機器を使用する可能性が容易に推察される。本研究では、作業中小休止時間の過ごし方がパフォーマンスおよび精神生理状態に及ぼす影響を明らかにすることを目的とし、小休止行動として、スマートフォンを用いたテキストでの会話と、従来から行われてきた口頭での会話を比較した。健常若年成人男女26名を対象とした。課題と小休止行動(15分間)を実施し、主観評価、脳波、心電図、課題成績を計測、評価した。小休止行動2条件を比較した結果、口頭での会話中においては、テキストでの会話中よりも、心拍数、心拍変動の小休止15分間平均値が有意に大きい値を示した。また、口頭での会話後には、テキストでの会話後よりも、小休止の気分転換度、休息感、充実感でスコアが有意に高く、これから実施するパフォーマンス評価課題に対するやる気、集中度でスコアが有意に高かった。課題成績において、2条件間に有意な差はみられなかった。作業中小休止時間における会話という行為でも、口頭での会話の方がテキストでの会話よりも、生理的に活性方向の影響を与え、精神的にリフレッシュする効果が大きいことが導かれた。今後、パフォーマンス評価課題を見直すことで、小休止行動がパフォーマンスに及ぼす影響についても明らかになることが期待される。
著者
上野 敬介 澤井 浩子 石井 康晴 宮井 早希 小山 惠美
出版者
日本時間学会
雑誌
時間学研究 (ISSN:18820093)
巻号頁・発行日
vol.3, pp.21-34, 2013 (Released:2017-02-28)

現代のオフィスでは,VDT作業に代表される精神疲労を伴う知的作業が主流となっている.精神疲労を伴う作業が長時間に及ぶと,覚醒度低下,疲労増大,パフォーマンス低下などを引き起こす恐れがあるが,リフレッシュ行動(RF行動)によって,これらを軽減する可能性が示唆されている.本研究では,より効果的なRF行動の実施を目指すため,オフィスでの実態を反映した数分以内の短時間のRF行動における「自発性」に着目し,知的作業時に生じる座位でのRF行動に伴って心身の状態変化がどのような時系列的特徴を示すのか明らかにすることを目的とした. 結果として,自発的RF行動ではRF行動後に行動前よりも心拍数が減少する時間帯が数分間みられた.また自発的RF行動後では強制的RF行動後よりも,副交感神経活動の指標とされる心電R波間隔時間変動HF成分がより大きい時間帯が数分間みられた.このように,短時間の自発的RF行動に伴って,心拍数および心拍変動HF成分の特徴的な時系列(RF行動後に一時的に活性/緊張と反対方向に変化した後,元の水準まで回復する)変動が有意にみとめられた.よって,知的作業が主流となるオフィス業務では,短時間のRF行動が自発的に生じる環境要件を整えることで,これらの特徴的な時系列変動の振幅がより大きくなり,一時的な作業負荷軽減の効果がより増大する可能性が示唆された.