著者
小川 雅
出版者
一般社団法人 日本機械学会
雑誌
日本機械学会論文集 (ISSN:21879761)
巻号頁・発行日
vol.83, no.852, pp.16-00066-16-00066, 2017 (Released:2017-08-25)
参考文献数
47

Statistical predictions of crack propagation are requested to evaluate remaining lifetime of operating welded structures. Today, crack growth rate for each observed crack cannot be evaluated accurately without neutron diffraction and synchrotron X-ray diffraction due to the difficulty of nondestructive measurements of welding residual stresses in the thickness direction. However, it is difficult to apply those nondestructive diffraction methods as on-site measurement techniques because the higher energy diffraction methods are available only in special irradiation facilities. To make things worse, measured results by diffraction methods cannot be directly applied to the FEM (finite element method) model for crack propagation prediction. From this view point, the methods based on the eigenstrain methodology have been proposed. In the bead flush method, for example, three-dimensional welding residual stresses are calculated by an elastic FEM analysis from eigenstrains which can be estimated by the inverse analysis from released strains during the removal of the weld reinforcement. Here, the removal of the excess metal is nondestructive treatment essentially because it is effective to eliminate stress concentration zone. In this study, numerical simulations for a welded pipe under SCC (stress corrosion cracking) were carried out to evaluate crack propagation statistically. As well, estimation accuracies of crack propagation using residual stresses estimated by the bead flush method were compared with the accuracy using residual stresses assumed to be measured by diffraction methods. Prediction accuracies of crack propagation estimated by this method were higher than that by diffraction methods. It is because estimated results base on the eigenstrain methodology satisfy the self-equilibrium condition of residual stress.
著者
小川 康一 吉浦 紀晃
雑誌
研究報告インターネットと運用技術(IOT) (ISSN:21888787)
巻号頁・発行日
vol.2017-IOT-39, no.1, pp.1-8, 2017-09-22

我々は,大学ネットワーク管理者が利用者のネットワーク機器の状態を把握するため,小型コンピュータと Web カメラを利用して監視装置を開発し,監視した情報を移動ロボットの遠隔操作によって収集する手法を提案している.しかし,移動ロボットの遠隔操作にはあらかじめ監視装置のある部屋の周辺環境についての前提知識が必要である.また,移動ロボットと操作端末間のネットワーク遅延を考慮することや,移動ロボットの操作経験などが要求され,操作を修得するまでに一定の時間を要する.そこで本稿では,移動ロボットに深度センサーやレーザ測距センサーを搭載し,あらかじめ環境地図を作成することによって,管理者が移動ロボットを直接操作せずに監視情報を半自動的に収集する手法を提案する.本手法を実装し,大学内にて遠隔操作による手法との比較実験により提案手法の有効性を確認した.
著者
五島 史行 堤 知子 新井 基洋 小川 郁
出版者
一般社団法人 日本耳鼻咽喉科学会
雑誌
日本耳鼻咽喉科学会会報 (ISSN:00306622)
巻号頁・発行日
vol.113, no.9, pp.742-750, 2010 (Released:2011-05-28)
参考文献数
17
被引用文献数
7 9

めまい患者の身体症状とストレスに着目し調べることを目的とした. めまいの治療のため集団リハビリテーション治療を目的として入院した患者145例を対象とした. 今回作成した問診票を用いて調査した. 質問項目の内容は現在有している身体症状としてめまい, 頭痛, 不眠, 下痢, 便秘, 腹痛, 胸痛, 心臓がドキドキする, 息が切れやすい, 疲れやすいの項目, さらに現在感じているストレスの内容として仕事 (学業), 家庭内の問題, 社会に対して, 金銭面, 自分の健康, 生活環境, 近所づきあいの項目について数値評価尺度 (Numerical Rating Scale: NRS) によって回答するものである. また不安, 抑うつの程度, めまいによる障害度をHADS (hospital anxiety and depression scale), DHI (dizziness handicap inventory) にて評価を行った. 身体症状として疲れやすい, 不眠, 頭痛を多く認めた. これらの症状は抑うつや不安にしばしば認められる症状である. NRSにて数値化しためまいと頭痛症状の間には相関関係が認められた (R=0.48, P<0.0001). 今回の結果, めまい患者はめまい以外にもさまざまな身体愁訴を有していることが明らかになった. めまい患者の治療においてはめまい以外の身体症状に焦点をあて, 適切に症状聴取を行い対応していくことが必要である.
著者
高橋 リエ 小川 晴子 佐藤 英子 森 文平
出版者
特定非営利活動法人 日本栄養改善学会
雑誌
栄養学雑誌 (ISSN:00215147)
巻号頁・発行日
vol.47, no.4, pp.189-197, 1989 (Released:2010-04-30)
参考文献数
13
被引用文献数
1

日常使用されている15種類の野菜について, 生および加熱後の食物繊維 (DF) 含量, ならびにその変化を, 不溶性DF, 可溶性DFとに分けて, Aspらの酵素・重量法を用いて測定した。実験区は, 生, 水との通常加熱 (2~6.5分), および過剰加熱 (3.5~22.5分) とした。その結果は次のとおりであった。1) 生野菜100g中のDF含量は1.1~6.29で, 不溶性DFと可溶性DFの割合は, 90:10から58:42を示し, 種類による違いが認められた。2) 通常加熱野菜100g中のDF含量は1.4~5.6gで, 不溶性DFと可溶性DFの割合は, 86:14から57:43であった。3) 通常加熱によるDF含量の変化は, 水分を含む試料中で比較すると, 15種類中, ごぼう, さやえんどう, しゅんぎく, 大根, なす, 白菜, ほうれん草, ピーマンの8種類で6~17%の増減が認められた。かぶ, カリフラワー, キャベツ, ねぎ, にら, にんじん, ブロッコリーの7種類では, ほとんど変化が認められなかった。また, 不溶性DFと可溶性DFの含量変化は, 各野菜により違いが認められた。4) 過剰加熱において, 通常加熱よりさらにDF含量に変化が認められたのは, かぶ, カリフラワー, ごぼう, 大根, なす, にんじん, 白菜, ピーマンの8種類で, DF含量は減少した。キャベツ, さやえんどう, しゅんぎく, ねぎ, ほうれん草, にら, ブロッコリーの7種類では, ほとんど変化が認められなかった。この場合の, 不溶性DFと可溶性DF含量の変化は, 通常加熱での変化とほぼ同傾向を示すものが多かった。
著者
前田 浩 宮本 洋一 澤 智裕 赤池 孝章 小川 道雄
出版者
熊本大学
雑誌
特定領域研究(C)
巻号頁・発行日
2000

固型癌のうち、胃癌、肝癌、子宮癌などの原因が細菌やウイルスによることが次第に明らかになってきた。さらに、胆管や胆のう癌、食道癌も何らかの感染症に起因する容疑が濃くなってきた。これらの感染症と発癌に共通の事象として、それが長期にわたる慢性炎症を伴うこと、また活性酸素(スーパーオキサイドやH_2O_2、あるいはHOCl)や一酸化窒素(NO)などのフリーラジカル関連分子種が宿主の炎症反応に伴い、感染局所で過剰に生成していることである。さらに重要なことは、これらのラジカル分子種はDNAを容易に障害することである。そこで本研究では、微生物感染・炎症にともない生成するフリーラジカルと核酸成分との反応を特に遺伝子変異との関係から解析した。また、センダイウイルス肺炎モデルを作製し、in vivoでの遺伝子変異におけるフリーラジカルの役割を検討した。その結果、過酸化脂質がミオグロビン等のヘム鉄存在下に生じる過酸化脂質ラジカルが、2本鎖DNAに対して変異原性のある脱塩基部位の形成をもたらした。また、上記ウイルス感染においては、スーパーオキサイドラジカル(O_2^-)と一酸化窒素(NO)の過剰生成がおこることを明らかにしたが、この両者はすみやかに反応してより反応性の強いパーオキシナイトライト(ONOO^-)となる。ONOO^-とDNAやRNAとの反応では、グアニン残基のニトロ化が効率良くおこり、さらに生じたニトログアノシンがチトクロム還元酵素の作用によりO_2^-を生じることが分かった。このONOO^-がin vivo,in vitroいずれにおいてもウイルス遺伝子に対して強力な遺伝子変異をもたらすことを、NO合成酵素(NOS)ノックアウトマウスやNOS強制発現細胞を用いて明らかにし、上記の知見が正しいことを確認した。
著者
岩田 隆浩 南野 浩之 佐々木 健 小川 美奈 並木 則行 花田 英夫 野田 寛大 松本 晃治 今村 剛 石原 吉明 鶴田 誠逸 浅利 一善 劉 慶会 菊池 冬彦 Goossens Sander 石川 利昭 河野 宣之 高野 忠
出版者
日本測地学会
雑誌
測地学会誌 (ISSN:00380830)
巻号頁・発行日
vol.55, no.2, pp.135-150, 2009 (Released:2012-03-28)
参考文献数
16

SELENE Main Orbiter (KAGUYA) has separated two small sub-satellites; (1) the Relay Satellite “OKINA (Rstar)”, and (2) the VLBI Radio Satellite “OUNA (Vstar)”. These sub-satellites started to perform 4-way Doppler measurements using Relay Satellite Transponder (RSAT) and multi-frequency phase-delay differential VLBI using VLBI Radio Sources (VRAD) for lunar gravity mapping. We have developed the frequency conversion system, multi frequency S/X-band vertical dipole antenna, and light weighted S-band patch antenna to perform these missions. Simple structured release mechanism has also been developed and confirmed its performance by ground test and orbital demonstration using micro-Lab Sat. Initial check out were executed and properties of satellite bus equipments, onboard mission instruments, and observation systems including ground stations were evaluated. Electric power and thermal control subsystems have shown that they conduct as designed and inspected in the ground tests. The release mechanisms have given the spin which can maintain the stability of the satellite attitudes. Communication functions of mission instruments conform to the link budgets. These results suggest that OKINA and OUNA have enough performances to produce efficient data by RSAT/VRAD gravity observations.
著者
齋藤 義文 小嶋 浩嗣 小川 泰信 SS520-3 観測ロケット実験PI チーム Saito Yoshifumi Kojima Hirotsugu Ogawa Yasunobu SS520-3 PI Team
出版者
宇宙航空研究開発機構宇宙科学研究所(JAXA)(ISAS)
雑誌
第17回宇宙科学シンポジウム 講演集=Proceedings of the 17th Space Science Symposium
巻号頁・発行日
2017-01 (Released:2017-01-00)

会議情報: 第17回宇宙科学シンポジウム (2017年1月5日-6日. 宇宙航空研究開発機構宇宙科学研究所(JAXA)(ISAS)相模原キャンパス), 相模原市, 神奈川県 Meeting Information: 17th Space Science Symposium (January 5-6, 2017. Institute of Space and Astronautical Science, Japan Aerospace Exploration Agency(JAXA)(ISAS)Sagamihara Campus), Sagamihara, Kanagawa Japan
著者
山内 智彦 横山 秀二 小川 洋
出版者
耳鼻咽喉科展望会
雑誌
耳鼻咽喉科展望
巻号頁・発行日
vol.59, no.4, pp.194-201, 2016

<p> PR3-ANCA が陽性であった結核性中耳炎の1例を経験した。 症例は65歳男性。 当科初診の6ヵ月前より左難聴, 耳鳴あり, 他院でも中耳炎と診断された。 プレドニゾロン, ミノサイクリン, レボフロキサシンと投与されるも改善を認めず, 当科受診し, 左鼓膜穿孔および耳漏が認められた。 当初は PR3-ANCA 陽性, 尿蛋白陽性から ANCA 関連血管炎性中耳炎 (Otitis Media with ANCA Associated Vasculitis: OMAAV) を最も疑った。 最終的には胸部レントゲン上, 左肺野に空洞性病変を認めることと, 喀痰・耳漏ともに抗酸菌染色, 結核菌 PCR, 抗酸菌培養すべて陽性であることから, 肺結核を伴う結核性中耳炎と診断した。 リファンピシン, イソニアジド, ピラゾナミド, エタンブトールで加療し軽快に至った。<br> ANCA は ANCA 関連血管炎以外に, 結核や関節リウマチでも陽性を示すことがある。 OMAAV と診断する際には結核性中耳炎の否定が重要である。</p>
著者
小川 哲夫
出版者
東京家政学院大学
雑誌
東京家政学院大学紀要 (ISSN:02866277)
巻号頁・発行日
vol.27, pp.181-186, 1987-07-31

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著者
小川菊松 編
出版者
誠文堂新光社
巻号頁・発行日
1941
著者
安達 明久 山本 公敏 小川 浩
出版者
常葉大学経営学部
雑誌
常葉大学経営学部紀要 = Bulletin of Faculty of Business Administration Tokoha University (ISSN:21883718)
巻号頁・発行日
vol.2, no.2, pp.1-14, 2015-02

本論文1)は、我国の自治体等が運営する下水道事業2)を事例として採り上げ、公共インフラ整備事業の現状と継続性を判定する経営分析手法を提示するとともに、その有効性を検証することを目的としている。主な結論は、次の2点であり、2013 年度に我々が取組んだ学内共同研究「公共インフラ整備事業に対する経営分析的アプローチの試み」全体の基盤をなすものとなっている。 ①全国3,625 の下水道事業の経営財務データを見ると、法適用事業、法非適用事業間での会計基準の相違など、統一的な観点から分析を行う上で種々の問題点が存在する。本研究では、これら問題点に対処するため独自に工夫したデータの組替え再編を行い、新たに「統合データベース」を構築した。これによって、これまで適用会計制度の相違など、下水道事業全体について統一的な分析を行う上で問題となっていた様々な制約が解消し、一貫した経営分析手法に基づいて下水道事業全体の定量分析を行うことが可能となった。 ②さらには、「新たな経営分析手法」(分析のフレームワークと分析指標)を提示し、その有効性の検証を行った。特に、新たに提示した「修正後損益」「EBITDA」「償還能力」「修正後総汚水処理原価」「財政支援額」「企業債地方債借換え額」の6 指標は、「自治体による財政支援前」の実力ベースでの経営実態3)の把握を意図したものである。これら6 指標は、既存の経営指標と比較した場合、事業規模の大小による経営実態の格差や自治体による財政支援の全体像を明確に示すことができること、下水道事業の健全性総合ランキング4)との相関が高いことなどから、下水道事業の経営分析を行う上で有益な指標であると判断された。
著者
和久 大介 佐々木 剛 米澤 隆弘 甲能 直樹 佐々木 浩 安藤 元一 小川 博
出版者
日本霊長類学会
雑誌
霊長類研究 Supplement
巻号頁・発行日
vol.29, 2013

&nbsp;ニホンカワウソは環境省発行の第 4次レッドリスト(2012)で絶滅が宣言された.しかし,本種の分類学的位置づけは混乱したままである.本種は,大陸に現存するユーラシアカワウソ <i>Lutra lutra</i>と近縁種であることは複数の先行研究で認められているが,日本固有種 <i>Lutra nippon</i>かユーラシアカワウソの亜種なのか意見が分かれている.そのため,環境省のレッドリストで本州以南の個体群について <i>Lutra lutra nippon</i>と記載しているが科学的根拠があるわけではない.そこで我々研究グループは,神奈川県城ヶ島産のニホンカワウソ標本に残存していた筋組織から DNAを抽出し,ミトコンドリアDNAに基づいてカワウソ亜科と系統解析を試みた.標本サンプルから抽出した DNAは,薬品や長期保存による DNAの断片化とその量の減少が予想された.そこで,Multiplex PCR法により約 350-500塩基の断片を増幅し,ダイレクトシーケンシング法で配列を決定した.この方法でニホンカワウソの配列を 7,325塩基決定した.また,同じ方法でサハリン産ユーラシアカワウソと中国・重慶由来の飼育下繁殖ユーラシアカワウソのミトコンドリア DNA全長配列を決定した.決定したニホンカワウソ配列を,サハリン /中国 /韓国の 3地域のユーラシアカワウソの配列と ClastalW2.1でアライメントしたところ,ニホンカワウソに特徴的な塩基サイトがND1,co2,co3の 3つのアミノ酸コード領域で7塩基認められた.これらのニホンカワウソに特徴的な塩基サイトを含む配列データを系統樹推定に用いた.推定は RAxML ver.7.2.8プログラム上において進化モデル GTR+I+Gを用いておこない,ニホンカワウソとサハリン /中国 /韓国のユーラシアカワウソの系統類縁関係を評価した.