著者
小島 美世 小川 佳子 中川 圭子 草野 亮子 関 芳美 波田野 智穂 磯部 澄枝 栃倉 恵理 石田 絵美 山﨑 理 堀井 淳一 井上 陽子 鈴木 一恵 田邊 直仁 村山 伸子
出版者
特定非営利活動法人 日本栄養改善学会
雑誌
栄養学雑誌 (ISSN:00215147)
巻号頁・発行日
vol.78, no.5, pp.232-242, 2020-10-01 (Released:2020-11-09)
参考文献数
15

【目的】新潟県では,1965年代から脳血管疾患対策として様々な減塩運動を展開してきた。しかし,脳血管疾患年齢調整死亡率は全国平均より高く,食塩摂取量も全国平均を上回る結果だった。そこで2009年度から新たな減塩運動「にいがた減塩ルネサンス運動」に10年間取り組んだ。その取組をとおし栄養・食生活分野におけるPDCAサイクルに基づく成果の見える栄養施策の展開を試みた。【方法】実態把握から優先順位の高い健康課題の抽出と,その背景となる栄養・食生活の要因を分析し,その要因が改善されるよう施策を整理し目標達成を目指した。また,各々の施策の事業効果が目標達成にどう影響を及ぼしているかが見える化できるよう評価枠組を整理した。評価枠組は各施策の事業効果が質的,量的にどう影響を及ぼすかが明確になるよう結果評価,影響評価,経過評価に分け,目標達成に影響を及ぼす施策とその成果が分かるよう施策を展開した。【結果】経過評価に位置付けた,市町村や関係機関での取組が増加した。影響評価に位置づけた,県民の高食塩摂取量に関連する食行動が有意に改善した。結果評価に位置づけた食塩摂取量や収縮期血圧値や脳血管疾患死亡数及び虚血性心疾患死亡数が減少した。【結論】PDCAサイクルに基づく展開と,目標達成につながる評価枠組を整理し枠組順に客観的に評価したことで,施策が目標達成にどのように影響を及ぼしたのかその関連性を見える化することができた。
著者
小川 裕 藤井 一省 玉井 好史
出版者
耳鼻咽喉科臨床学会
雑誌
耳鼻咽喉科臨床 (ISSN:00326313)
巻号頁・発行日
vol.88, no.2, pp.237-249, 1995-02-01 (Released:2011-11-04)
参考文献数
19

We evaluated the anti-tumor effect of the herbal medicine, Sheng-Jin-Jie-Du-Yin, on a human maxillary cancer cell line transplanted into nude mice.This herb consists of 16 crude drugs developed in China. We found it to be effective in inhibiting the cancer transplanted into animals. The two crude drugs, solanum lyratum herb and oldenlandia herb, in Sheng-Jin-Jie-Du-Yin accounted for the anti-tumor effect.The anti-tumor effect of solanum lyratum herb was noted when it was combined with radiotherapy, while oldenlandia herb was effective in the inhibition of tumor growth when given alone or in combination with radiotherapy.We measured the NK activities in nude mouse spleen cells and concluded that the anti-tumor effect of oldenlandia herb is related to an immune mechanism.
著者
小川 芳範
出版者
日本科学哲学会
雑誌
科学哲学 (ISSN:02893428)
巻号頁・発行日
vol.35, no.1, pp.1-13, 2002-05-25 (Released:2009-05-29)
参考文献数
24

In this paper, I consider a philosophical interpretation of Hilbert's program put forward by Paul Bernays. The paper consists, roughly, of two parts. In the first part, I briefly describe Bernays's polemic against "immanence philosophy" over the question concerning the epistemological status of theoretical sciences and its relation to the foundational controversy in mathematics in the 1920s. In the second part, I briefly discuss the theory of cognition contained in the transcendental philosophy of Jakob Friedrich Fries and his twentieth century evangelist, LeonardNelson, and consider Bernays's view against the background of this intellectual tradition. I conclude the paper by arguing for the importance of attending to Friesian influence in order to achieve a deeper understanding of Bernays's (and Hilbert's) philosophy of mathematics.
著者
小川 鼎三
出版者
順天堂医学会
雑誌
順天堂医学 (ISSN:00226769)
巻号頁・発行日
vol.15, no.1, pp.29-33, 1969 (Released:2014-11-22)
著者
小川 俊子 西尾 淳子
出版者
一般社団法人 日本老年歯科医学会
雑誌
老年歯科医学 (ISSN:09143866)
巻号頁・発行日
vol.32, no.3, pp.386-398, 2017-12-31 (Released:2018-01-25)
参考文献数
30

嚥下障害があり,口腔健康管理を自分で行うことができない要介護高齢者に適切な口腔清掃を継続して実施することは困難である。本研究の目的は,口腔清掃の一手法として,安価で,入手しやすい物品である食用ゴマ油を用いた口腔を清拭する方法の効果を評価することである。 研究デザインは多施設一群事前事後テストデザインを用いた。対象は非経口摂取で口腔健康管理に全介助を要する高齢者13名とした。介入として,研究者らがすでに作成した方法によって食用ゴマ油を用いた口腔の清拭を2週間実施した。口腔清掃の効果の評価は,舌背の細菌数・カンジダ属真菌数およびPseudomonas属細菌数,頰粘膜および舌の水分量,口腔内アセスメントスコアガイドを用いたアセスメント,口腔粘膜細胞診によって実施した。 2週間の本法の実施によって,舌背の細菌数は介入後に-0.56±0.63 log10 CFU/swab(n=12)と減少(p=0.010)し,カンジダ属真菌数は介入後に-1.55±2.19 log10 CFU/swab(n=9)と減少する傾向にあった(p=0.066)。アセスメントでは「舌」「口臭」について6名が改善,「口唇」が3名,「唾液」「粘膜」「歯肉」について2名が改善した。口腔粘膜細胞診による口腔粘膜の状態は11名が改善した。 食用ゴマ油を用いた口腔の清拭は,非経口摂取で口腔健康管理に全介助を要する高齢者の口腔内微生物を減少させ,口腔粘膜の状態を改善させる点で有効であると考えられた。 今後,より多くの対象者に長期的に実施したときの効果について明らかにしていく必要がある。
著者
小川 郁
出版者
一般社団法人 日本聴覚医学会
雑誌
AUDIOLOGY JAPAN (ISSN:03038106)
巻号頁・発行日
vol.61, no.1, pp.50-56, 2018-02-28 (Released:2018-04-20)
参考文献数
22
被引用文献数
2

要旨: 耳鳴の発生機序がまったく推測の域を出ていないことや耳鳴の他覚的検査法が確立されていないことなどから, 耳鳴診療に関してはいまだ大きな課題が残されている。 本稿では最近普及してきた耳鳴に対する新しい治療戦略である補聴器による音響療法について概説した。 近年, サウンド・ジェネレータを用いた tinnitus retraining therapy (TRT) に比べて補聴器による音響療法で耳鳴による苦痛度がより軽減するとされている。 しかし, 補聴器による音響療法の有効性についてのエビデンスはまだ多くはない。 国内外での補聴器による音響療法についての報告をまとめ, 今後の展望について述べた。
著者
小川 朋子 林 智子 井村 香積
出版者
一般社団法人 日本看護研究学会
雑誌
日本看護研究学会雑誌 (ISSN:21883599)
巻号頁・発行日
vol.39, no.5, pp.5_65-5_74, 2016-12-20 (Released:2017-05-18)
参考文献数
25

本研究は,指導看護師が「成長が遅れている」ととらえた看護師の特徴と,行われている教育・支援を明らかにすることを目的として,指導看護師10名に対して半構造化インタビューを行った。その結果から,教育に携わる看護師は【A.学習の積み上げが困難】【B.看護実践に必要なスキルの不足】【C.安全性の欠如】【D.患者・職員との関係形成困難】【E.精神的脆弱さ】【F.看護職員としての自覚と責任ある行動の不足】がみられることを,「成長の遅れ」ととらえていることが明らかとなった。これらの特徴に対し指導看護師は,【①実践での指導】【②学習支援】【③対象理解と対象に合わせた指導】【④社会性の促進】【⑤主体性の促進】を「成長が遅れている看護師」本人に対して行うとともに,【⑥安全性の確保】【⑦環境の改善・調整】という支援で,勤務体制や職場の従来のやり方,自分たちの考え方などを変える取り組みも行っていた。
著者
小川 豊武
出版者
関東社会学会
雑誌
年報社会学論集 (ISSN:09194363)
巻号頁・発行日
vol.2014, no.27, pp.37-48, 2014

The purpose of this paper is to clarify the manner in which the psychological concept of “moratorium” is used within the Japanese discourse on youth. In recent years, the general discourse in Japan on youth has been criticized for being non-empirical. However, even though this discourse is not based on empirical data, it still contains a certain authenticity and it is accepted as authentic by the general public. I present a conceptual analysis of the psychological concept of “moratorium” in order to describe the nature of this authenticity.
著者
髙見 陽一郎 松岡 哲史 岡﨑 大祐 小川 壮寛 佐藤 展子 森 翔馬 酒井 将弘 中川 碧 島田 憲一 江川 孝
出版者
一般社団法人日本医療薬学会
雑誌
医療薬学 (ISSN:1346342X)
巻号頁・発行日
vol.42, no.7, pp.536-542, 2016-07-10 (Released:2017-07-10)
参考文献数
7

We previously reported that various amounts of hazardous drugs, cyclophosphamide and fluorouracil had contaminated both the inside and outside of their blister packs. However, contamination from the non-antineoplastic drug, dutasteride, which primarily has adverse reproductive effects on female healthcare workers in the clinical setting, pregnant women and their families, has not been elucidated. Here we show that dutasteride was detected on both the inside and outside of blister packs of Avolve® Capsules. The amount of dutasteride extracted from blister packs and softcapsules was measured by LC-MS/MS. In addition, dutasteride was also detected on the surface of the softcapsules. Dutasteride attached to the surface of a capsule can become attached to others by physical contact. Our data suggest that pregnant women and their families can be exposed to dutasteride attached to blister packs and the surface of capsules, and female healthcare workers in contact with Avolve® Capsules can also be exposed to dutasteride. It is necessary to take measures to prevent unintended exposure to females.
著者
田島 悠史 小川 克彦
出版者
環境芸術学会
雑誌
環境芸術 (ISSN:21854483)
巻号頁・発行日
vol.11, pp.57-64, 2012

環境芸術学の分野で取り上げられるテーマとして、美術館外で展開されるアートプロジェクトがある。近年では、地域活性化などの動きと連動するものが急増している。アートプロジェクトは開催地、主催者、予算、作家のタイプ、規模など、さまざまな要素によって、その立ち位置は全く異なる。そのため、アートプロジェクトが地域活性化において、どの役割を担っているかを整理して、効果的な作品や企画の条件を明らかにすることが急務である。そこで、本研究ではアートプロジェクトで展開される芸術作品の役割として、地域メディアを提案する。さらに、地域メディアの役割を果たす芸術作品や芸術家の条件を明らかにする。本稿では、現在増えている「ボトムアップ地方型アートプロジェクト」に着目する。その上で、研究に際してはアートプロジェクトの現場に長期間滞在し、観察、鑑賞者や芸術家、関係者との発話の収集、アンケート調査を行った。その結果、地域メディアの条件として、人を参画させる点にあると結論付けた。具体的には、1)住民参加、2)人を含めた「環境」の芸術化、3)社会的アクティビティに対する実効性、4)地域メディアとしての芸術家、の四つを抽出した。