著者
渡部 明彦 森井 章裕 小川 良平
出版者
富山大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

血管内皮細胞に超音波照射することによってヘムオキシゲナーゼ-1(HO-1)が発現増強することを見出した。プロモーターアッセイおよびマイクロアレイ解析により、酸化ストレスによるNrf/StREシグナル経路が関与していると考えられた。またラット陰茎に照射した場合においてもHO-1発現が確認できた。HO-1は抗炎症作用、抗酸化作用、血管拡張作用、血管修復作用など様々な作用を有しており、HO-1を発現誘導する超音波照射は勃起不全治療への臨床応用が期待できるものと考える。
著者
玉置 勝司 石垣 尚一 小川 匠 尾口 仁志 加藤 隆史 菅沼 岳史 島田 淳 貞森 紳丞 築山 能大 西川 洋二 鱒見 進一 山口 泰彦 會田 英紀 小野 高裕 近藤 尚知 塚崎 弘明 笛木 賢治 藤澤 政紀 松香 芳三 馬場 一美 古谷野 潔
出版者
公益社団法人 日本補綴歯科学会
雑誌
日本補綴歯科学会誌 (ISSN:18834426)
巻号頁・発行日
vol.5, no.4, pp.369-386, 2013 (Released:2013-11-14)
参考文献数
22
被引用文献数
4 3

難症例の1つに咬み合わせ異常感や違和感があり,その訴えに対応する客観的所見が確認できない症例に遭遇することがある.通常,咬合紙,ワックス,シリコーンなどを用いて確認はするものの,咬合接触状態に特に異常は見つからない.さらに,患者の咬合に関する執拗な訴えに対して歯科医師が患者に問題の部位を確認してもらい,患者の指示により咬合調整を行ってしまうといった患者の感覚主導型治療に陥ってしまうことがある.その結果,患者の訴えは改善しないばかりか,逆に悪化することもさえもある.そして,患者と歯科医師の信頼関係が壊れ,思わぬ方向に陥ってしまうことも珍しくない. このような患者が訴える咬合に関する違和感に対して,社団法人日本補綴歯科学会,診療ガイドライン委員会において,平成23年度「咬合感覚異常(症)」に関する診療ガイドラインの策定が検討された.診療ガイドラインの策定に際し,委員会の作成パネルによるガイドライン策定を試みたが,咬合感覚異常(症)に関する十分に質の高い論文は少なく,診療ガイドラインの作成には至らなかった.そこで,本委員会のパネルで協議した結果,「咬合感覚異常(症)」に対する日本補綴歯科学会としてのコンセンサス・ミーティングを開催して本疾患の適切な呼称の検討を行った.また事前のアンケート調査結果から,このような病態を「咬合違和感症候群(occlusal discomfort syndrome)」とした. 今回のポジションペーパーは,今後の診療ガイドラインの作成とそれに対する研究活動の方向性を示す目的で,過去の文献と咬合違和感症候群患者のこれまでの歯科治療の経過や現在の状況について実施した多施設による患者の調査結果をもとに作成された.
著者
小川 さつき
出版者
一般社団法人 日本内分泌学会
雑誌
日本内分泌学会雑誌 (ISSN:00290661)
巻号頁・発行日
vol.56, no.9, pp.1182-1199, 1980-09-20 (Released:2012-09-24)
参考文献数
21
被引用文献数
4 5

In order to elucidate the diurnal and circadian rhythms of oxytocin secretion, and the relation of estrogen, progesterone, testosterone and LH-RH to oxytocin secretion, plasma oxytocin levels were determined before and after the administration of these hormones in normal and hypogonadal subjects. The results were as follows.(1) In females with normal menstrual cycle, plasma oxytocin levels in the morning after overnight fasting were significantly higher (4.5 ± 2.6 pg/ml (mean ± SE)) in the follicular phase than they were (2.1 ± 1.3 pg/ml) in the luteal phase (p<0.01). Plasma oxytocin levels were higher in the follicular and ovulatory phases than they were in the luteal phase. In the luteal phase, the mean oxytocin concentration was higher during sleeping than during waking; however, in the follicular phase a variation of plasma oxytocin level was higher during waking than during sleeping.(2) In healthy males, plasma oxytocin level in the morning after overnight fasting was 3.5 ± 1.7 pg/ml, which was higher during sleeping than during waking. But the variation of plasma oxytocin levels during waking was larger than that during sleeping. Plasma oxytocin levels did not show cyclic changes in a year, but they were higher in summer than in winter.(3) Plasma oxytocin levels rose significantly after estradiol administration in normal females and males and did not change significantly after progesterone, and estradiol and progesterone administrations. A significant positive correlation was observed between plasma oxytocin level and the ratio of estradiol to progesterone concentrations in plasma in females and males.Plasma oxytocin levels rose significantly after testosterone administration in normal males. A significant positive correlation was observed between oxytocin and testosterone levels in plasma after the administration of testosterone.In the male subjects with hypogonadism, plasma oxytocin levels were elevated markedly 15 minutes after LH-RH administration.From these findings, it is suspected that in females with normal menstrual cycle, estrogen or LH-RH stimulates oxytocin secretion which is inhibited by progesterone, and that testosterone or LH-RH stimulates oxytocin secretion in normal males. On the other hand, a transient elevation of oxytocin secretion during waking in both females and males may be attributed to stimuli other than the sex hormones.The results also suggest that oxytocin secretion is affected by mechanism related to the hypothalamus-pituitary-gonadal system, and by mechanisms other than the system.
著者
藤沼 邦彦 小川 忠博
出版者
弘前大学人文学部附属亀ヶ岡文化センター
雑誌
弘前大学人文学部日本考古学研究室研究報告
巻号頁・発行日
no.3, pp.1-139, 2006-03-31

p.2の写真は個人写真のため未掲載, p.24:白ページ, p.134-138:個人写真のため未掲載
著者
高中 健一郎 安藤 元一 小川 博 土屋 公幸 吉行 瑞子 天野 卓
出版者
日本哺乳類学会
雑誌
哺乳類科学 (ISSN:0385437X)
巻号頁・発行日
vol.48, no.1, pp.1-9, 2008 (Released:2008-07-16)
参考文献数
37
被引用文献数
1

小型哺乳類の側溝への落下状況を明らかにすることを目的とし,静岡県富士宮市にある水が常時流れている約1.5 kmの側溝(深さ45 cm × 幅45 cm,水深10~25 cm,流速約1.3~1.6 m/s)において,2001年6月から2004年9月の間に落下個体調査を131日行った.その結果,食虫目6種,齧歯目7種,合計2目3科13種152個体の落下・死亡個体が確認でき,側溝への落下は1日あたり平均1.16個体の頻度で起きていることが明らかになった.落下していた種は周辺に生息する小型哺乳類種の種数81%に及び,その中にはミズラモグラ(Euroscaptor mizura)などの準絶滅危惧種も含まれていた.また,ハタネズミ(Microtus montebelli)の落下が植林地より牧草地において顕著に多くみられ,落下する種は側溝周辺の小型哺乳類相を反映していると思われた.側溝への落下には季節性がみられ,それぞれの種の繁殖期と関連している可能性が示唆された.以上のことから,このような側溝を開放状態のまま放置しておくのは小動物にとって危険であり,側溝への落下防止策および脱出対策を講じる必要があると考える.
著者
小川 正行 永田 稔 辻 達彦
出版者
The Japanese Society of Health and Human Ecology
雑誌
民族衛生 (ISSN:03689395)
巻号頁・発行日
vol.45, no.4, pp.153-161, 1979 (Released:2011-02-25)
参考文献数
31
被引用文献数
1 1

A device for underwater weighing by utilizing a swimming pool was tentatively made, and with it, the weights in water of 111 male students were measured. And from the thus obtained weights in water, the body density was calculated to be compared, for its justification, with those already reported by other workers in the literature. This study aimed at the examination of the body composition of boys in the developing stage. And the points to pay attention in this case were discussed. The principal findings were as follows: 1) The body density obtained by this method from the above mentioned subjects was 1.0724 ± 0.0092 (mean ± standard deviation). This approximately agrees with 1.07, the normal (general) value for the Japanese adolescent males, estimated from the reports in the literature. 2) The residual volume (RV), an important factor determining the body density needs to be measured exactly. The maximal expiratory level which affects RV, is relatively easy to determine in case of the underwater weighing thanks to water pressure. When elementary school children are the subjects of weighing, however, sufficient attention must be paid to avoid danger, because breething needs to be arrested during a time from the attainment of the maximal expiratory level until the end of the weighing. 3) The underwater weighing can be made within 5 seconds after the attainment of the maximal expiratory level of the subject. The body weights in water of the subjects of the present study averaged 3.03±0.578kg (range, 4.25 to 1.60kg.).
著者
小川 眞里子
出版者
科学技術社会論学会
雑誌
科学技術社会論研究 (ISSN:13475843)
巻号頁・発行日
vol.19, pp.43-52, 2021-05-20 (Released:2022-05-21)
参考文献数
17

筆者自身のテーマについては,特集に先立って2020年3月に短い報告を『GRL Studies』に発表しているので,関係図表はそちらに譲り,本稿では出来るだけ重複を避け新しい情報を盛り込むよう努めた.戦前に女性博士は100名以上誕生し,その8割以上は医学博士であった.彼女たちに正規の大学教育は開かれておらず,医学部や工学部が女性に門戸を開くのは戦後のことである.戦前において科学を学び研究を志す女性を救ったのは,1917年創立の理化学研究所であった.戦後,新制大学が開かれ建前上女性はどの学問を志すこともできるようになった.しかし,日本初の女性工学博士の誕生は1957年であり,STEMM分野への女性の進出は依然として少ない状況であった.女性の専攻分野に多様性が出てきたのは,1986年の男女雇用機会均等法が施行されてからである.今日,日本のみならず,世界的にSTEMM分野の人材の多様性が求められ,女性の参入が期待されてはいるが,他の先進国に比べ日本は大きく後れを取っている.九州大学をはじめ女性枠採用教員の活躍は,ダイバーシティ推進に向けた大きな一歩と言えよう.
著者
大江 朋子 高田 剛志 小川 充洋 古徳 純一
出版者
帝京大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2022-04-01

人は自らの身体と環境の状態を監視し,その時々で処理した情報を瞬時に統合させている。この情報統合において身体や環境の温度が社会的反応を導く可能性や,それに体温調節システムが関与している可能性はすでに論じられてきたものの,体温調節システムが社会的反応に影響するかは直接検討されないままであった。本研究では,身体の深部温や皮膚表面温の測定によりこれを可能にするとともに,温度情報が統合される過程で情報処理モード(攻撃と親和)の切り替えが生じるとするモデルを提案し,唾液中ホルモン(テストステロン,オキシトシン)などの生理的反応の測定とVR(virtual reality)技術を用いた実験を通してモデルの実証を試みる。
著者
小川 輝繁
出版者
一般社団法人日本機械学会
雑誌
日本機械学会関東支部ブロック合同講演会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2005, pp.189-190, 2005-08-25
被引用文献数
1

日本における煙火事故の年間件数は、製造中が0-3件、消費中が約20件であり、消費中の事故発生件数が製造中に比べてはるかに多い。しかし、製造中に極めて重大な事故が発生している。1992年に茨城県の製造工場で発生した事故では従業員3人が死亡、周辺住民を含む58人が負傷した。また、2003年には鹿児島県の工場で爆発事故が発生し、従業員10人が死亡、周辺住民を含む4名が負傷した。日本の煙火産業の保安について考察した。日本の煙火業者のほとんどは中小企業である。そのため、煙火産業の保安について次のような問題点がある。(1)煙火技術における科学的基礎に基づいた取り組みの不足煙火は業者が代々受け継いできた経験に基づいた技術で製造されている。(2)煙火は手作りで製造されている。煙火職人は爆発危険性物質を手で取り扱っている。(3)ほとんどの煙火業者は経済基盤が弱く、海外から安い製品や半製品が輸入されることが経営を圧迫している。煙火業者の保安のために推進すべき課題は、科学的基礎に基づいた煙火の技術開発と業者の経済基盤の強化である。
著者
小川 博司
出版者
関西大学社会学部
雑誌
関西大学社会学部紀要 (ISSN:02876817)
巻号頁・発行日
vol.47, no.2, pp.1-18, 2016-03-31

Ever since Theodor W. Adorno radically attacked popular music, popular music researchers have criticized Adorno and attempted to express their own positions. However, just because Adorno attacked popular music, it does not mean he was unable to observe popular music phenomena. Additionally, his observation of popular music phenomena is not necessarily out of date. In this paper, I regard Adorno as an Anti-Nori (Groove) theorist. By discussing Adornoʼs theory of popular music, I would like to derive academic points on Nori (Groove) in contemporary society. This paper is part of a critical review of prior research on “Nori (Groove) and Social Change”.
著者
小川 秀司 CHALISE Mukesh K. MALAIVIJITNOND Suchinda KOIRALA Sabina 濱田 穣
出版者
日本霊長類学会
雑誌
霊長類研究 Supplement 第33回日本霊長類学会大会
巻号頁・発行日
pp.66-67, 2017-07-01 (Released:2017-10-12)

マカク属における社会行動の進化を考察するために,アッサムモンキー(Macaca assamensis)とチベットモンキー(Macaca thibetana)のブリッジング行動や他の親和的社会行動の種類や頻度を比較した。アッサムモンキーは(1)タイのチェンライにあるTham Pla寺院(北緯20°20′,東経99°51′,高度843m)で2009~2012年にと,(2)ネパールのカトマンドゥー近郊のShivapuri-Nagarjun国立公園西部のNagarjun地域(北緯27°44′,東経85°17′,高度1300~2100m)で2014~2015年に,チベットモンキーは中国安徽省の黄山(北緯30°29′′,東経118°11′,高度700~800m)で1991~1992年に,餌づけされた複雄複雌郡内の数頭のオトナオスとオトナメスを交尾季と出産季にそれぞれ各10時間個体追跡した。ブリッジング行動は,チベットモンキーと(1)タイのアッサムモンキーにおいて観察されたが,(2)ネパールのアッサムモンキーにおいては観察されなかった。(ブリッジング行動とは,2頭のオトナが一緒にコドモを抱き上げる行動であり,その際オトナは抱き上げたコドモの性器をしばしば舐めたり触ったりする。コドモを抱いているオトナに別のオトナが近づいていって行われる場合と,あるオトナが抱いたコドモを別のオトナに運んでいって行われる場合がある。)また,オトナオス間のペニスサッキング行動は,チベットモンキーにおいて観察されたが,(1)と(2)両国のアッサムモンキーにおいては観察されなかった。アッサムモンキーとチベットモンキーが含まれるマカク属のシニカ種群においては,まずアッサムモンキーのうちの東の分布域に生息する個体群においてブリッジング行動が生じ,そこから分岐していったチベットモンキーにおいてはさらにオトナオス間のペニスサッキング行動が加わったと考えることが可能であろう。
著者
馬場 慎介 柳瀬 和也 今井 藍子 中井 泉 小川 康和 越田 賢一郎 中村 和之
出版者
独立行政法人国立高等専門学校機構 函館工業高等専門学校
雑誌
函館工業高等専門学校紀要 (ISSN:02865491)
巻号頁・発行日
vol.51, pp.48-67, 2017 (Released:2017-01-31)
参考文献数
21
被引用文献数
1

Glass beads, possibly belonging to Ainu Culture, were analyzed by XRF technique to understand the origin of these glass. The samples were excavated from Hokkaido belonging to the periods from the mid 14th to the 19th century AD. The analytical results showed that the beads can be classified into two types, lead-potash silicate glass and potash lime silica glass, based on the major components. The proportion of the potash lime silica glass in total glass analyzed is significantly higher than that usually found in beads excavated in Honshu area indicating an apparent difference in the source of the glass. A compositional similarity was observed in green potash lead silica glass between present samples and Ichijyodani Asakura Clan Ruins(15,16th century AD). Potash lime silica glass beads were classified into two groups based on trace heavy elements compositions, indicating the presence of two origins.
著者
福田 雅子 中森 正博 今村 栄次 小川 加菜美 西野 真佐美 平田 明子 若林 伸一
出版者
一般社団法人 日本臨床衛生検査技師会
雑誌
医学検査 (ISSN:09158669)
巻号頁・発行日
vol.69, no.4, pp.527-533, 2020-10-25 (Released:2020-10-29)
参考文献数
19

認知症診療において臨床検査技師も積極的に神経心理学的検査を行うようになっている。その中に,軽度認知障害(mild cognitive impairment; MCI)の評価スケールとして開発された日本語版Montoreal Cognitive Assessment(MoCA-J)がある。今回,MoCA-Jの特性を検証するため,当院外来でMoCA-Jを施行した患者75名を対象とし,リスク因子との関連を頭部MRI所見を含めて後方視的に解析した。また認知症疾患ごとにMoCA-Jサブスコアでの検討を行った。平均年齢74.6 ± 9.1歳,MoCA-J中央値21(最小値8,最大値30)であった。認知機能正常者においてMoCA-Jと関連する因子の多変量解析を行ったところ,脳室周囲高信号域(periventricular hyperintensity; PVH)は有意に独立した相関因子であった。疾患毎のMoCA-Jサブスコアの比較を行ったところ,血管性認知症では注意・遂行において正答率の低値が認められた。また,記憶の正答率は認知機能正常者も含めてすべての群で低かったが,認知機能正常者,MCI,認知症の順で 顕著に低下していた。MoCA-Jは特に前頭葉機能を反映する注意・遂行の配点が高いことが特徴である。その点を踏まえて脳画像所見との比較や認知機能低下の鑑別に活用する意義は大きいと考えられた。
著者
小関 俊祐 伊藤 大輔 小野 はるか 木下 奈緒子 栁井 優子 小川 祐子 鈴木 伸一
出版者
一般社団法人 日本認知・行動療法学会
雑誌
認知行動療法研究 (ISSN:24339075)
巻号頁・発行日
vol.44, no.1, pp.15-28, 2018-01-31 (Released:2018-06-18)
参考文献数
10
被引用文献数
3

本研究の目的は、日本の認知行動療法の実践家を育成するために不可欠と考えられる教育研修内容を明らかにすることであった。まず、国内外の認知行動療法家4名によって、英国認知行動療法学会が認証した大学の35の研究科を対象に、教育内容項目が網羅的に収集された。次に、国内外の認知行動療法家7名によって、英国におけるガイドラインにおける教育カテゴリーと日本での教育制度の状況を参照しながら、収集された580項目の教育内容について、分類・整理が行われた。その結果、最終的に、3カテゴリー、62項目が得られ、日本の認知行動療法の教育内容リストが作成された。今後、本研究を基盤として、教育研修内容を構成することが求められる。
著者
小川 功
出版者
跡見学園女子大学
雑誌
跡見学園女子大学マネジメント学部紀要 = JOURNAL OF ATOMI UNIVERSITY FACULTY OF MANAGEMENT (ISSN:13481118)
巻号頁・発行日
no.27, pp.1-29, 2019-01

鉄道網が拡大する明治20年代から明治30年代までの私鉄勃興時代に、特定の企業や信仰を背景とせず、旅館業者同士の緩やかな結合による共済組織で「定宿帳」(同盟旅館の名簿類)を発刊した「一新講社」と「大日本旅館改良組」の形成過程を分析した。さらに同種の「日本同盟大旅館会本部」が刊行した時刻表『旅行独案内』と「全国漫遊の独案内とも云つべき有益雑誌」の『大旅館雑誌 旅客之楽園』の内容をごく少数の残存号を発掘して紹介した。明治31年10月発行した創刊号は一ヵ月前同一団体で創刊した時刻表の姉妹編ないし別冊特集といった性格を有する。鉄道に関する特異なまでの詳述傾向は『大旅館雑誌』発行所主事・赤井直道「漫遊者大中居士の実地視察感悟に因て起稿」した個人的嗜好によるものと判断した。最後に『大旅館雑誌』に掲載された「大旅館」がどのような旅館であったのかを数量的に検証し、京都・奈良・金沢の古都等での掲載旅館群のその後の栄枯盛衰の軌跡を探索した。
著者
清 佳浩 滝内 石夫 渡辺 晋一 本田 光芳 伊東 文行 西川 武二 小川 秀興 原田 敬之 西山 千秋 加藤 卓朗
出版者
The Japanese Society for Medical Mycology
雑誌
日本医真菌学会雑誌 (ISSN:09164804)
巻号頁・発行日
vol.38, no.1, pp.87-97, 1997-02-28 (Released:2009-12-18)
参考文献数
20
被引用文献数
1 4

フケ症を対象に,0.75%硝酸ミコナゾールシャンプー(MZS)の有用性を,シャンプー基剤(BSS)を対照として8施設による二重盲検比較試験により検討を行った.また,フケおよびかゆみに対する症状の改善とMalassezia furfurの菌数の減少,すなわち真菌学的効果との関係についても併せて検討した.その結果,総症例数134例中,安全性解析対象症例は130例,有効性および有用性解析対象症例は108例であった.有用率はMZS群58例中34例(58.6%),BSS群50例中19例(38.0%)であり,MZS群がBSS群に比し有意に優れる成績であった(p=0.020).フケの改善率では,MZS群58例中42例(72.4%),BSS群50例中26例(52.0%)であり,MZS群がBSS群に比し有意に優れる成績であった(p=0.017).M.furfurに対する真菌学的効果とフケに対する有効性に関して,効果の発現がみられた症例においては,菌数の有意な減少が認められた(p=0.0001).これに対し,無効の症例では試験開始前と終了後の菌数の変化に有意差を認めなかった.また,試験開始時の菌数による有効性の層別解析では,菌数が比較的多い症例において,MZS群がBSS群に比し有意に優れていた(p=0.038).副作用は130例全例において全く認められなかった.以上より,MZSはフケ症に対して有効であり,フケの改善とM.furfur菌数の減少とも比較的一致する極めて有用なシャンプー剤であると考えられた.
著者
春日 範樹 小川 祐二 本多 靖 谷口 礼央 酒井 英嗣 今城 健人 日比谷 孝志 米田 正人 桐越 博之 大橋 健一 中島 淳 斉藤 聡
出版者
一般社団法人 日本肝臓学会
雑誌
肝臓 (ISSN:04514203)
巻号頁・発行日
vol.61, no.10, pp.504-512, 2020-10-01 (Released:2020-10-08)
参考文献数
16

症例は45歳女性.急性骨髄性白血病に対して同種骨髄移植が行われ,移植後はタクロリムス,ステロイドによる免疫抑制療法を18カ月継続した.移植前はHBV既往感染の状態であったが,移植から38カ月後に肝機能障害,HBs抗原陽転化,HBV-DNA量上昇を認め,HBV再活性化と診断した.同種骨髄移植前後に赤血球濃厚液の頻回の輸血によりヘモクロマトーシスを合併していた影響もあり,血清フェリチン値は著明高値であった.肝生検では過剰な鉄沈着と急性肝炎の所見を認めた.ラミブジンにより治療を開始し,その後テノホビルアラフェナミドへ切り替えた.HBV再活性化とヘモクロマトーシスの関連性は不明であったが,HBV治療と鉄キレート剤により血清フェリチン値も漸減した.HBV既往感染状態での同種骨髄移植では,長期間にわたりHBV再活性化への注意が必要である.
著者
小川 令 黄 晨昱 赤石 諭史 佐野 仁美 百束 比古
出版者
一般社団法人 日本創傷外科学会
雑誌
創傷 (ISSN:1884880X)
巻号頁・発行日
vol.5, no.3, pp.102-107, 2014 (Released:2014-07-01)
参考文献数
33

地球上の生命は重力を常に感受し,三次元形態を保っており,皮膚および軟部組織には自然の状態で張力が生じている。これら物理的刺激が,創傷治癒に大きな役割を担っていることが最近分かってきた。メカノバイオロジーは,物理的刺激が,細胞や組織,臓器にどのような影響を与えるかを研究する学問である。皮膚や軟部組織は体内と体外それぞれから常に物理的刺激を受けている組織であり,創傷治癒や組織再建,再生医療を実践する創傷外科医・形成外科医はメカノバイオロジーを理解しておく必要がある。物理的刺激は,細胞のメカノセンサーによって感受され,機械刺激シグナル伝達系路を通じて核内に情報が伝達される。その結果,細胞がタンパク質を産生し,種々の機能が発現される。これら物理的刺激をコントロールする医療をメカノセラピーと定義し,今後創傷外科領域において発展させるべきと考えられた。