著者
佐藤 琢紀 木村 昭夫 佐藤 守仁 糟谷 周吾 佐々木 亮 小林 憲太郎 吉野 理
出版者
一般社団法人 日本救急医学会
雑誌
日本救急医学会雑誌 (ISSN:0915924X)
巻号頁・発行日
vol.18, no.10, pp.687-693, 2007

<b>背景</b> : 2004年に敗血症診療の初のガイドラインであるSurviving Sepsis Campaign Guidelines for Management of Severe Sepsis and Septic Shock (SSCG) が発表され, 全世界的に敗血症の治療法が標準化されつつあり, 初期輸液療法の重要性が提唱されている。<b>目的</b> : 本研究では, 初期輸液療法の重要性の再確認と具体的な輸液量の検討を行った。<b>対象と方法</b> : 2001年1月1日から2006年8月31日までに当センター救急部に救急搬送されたsevere sepsisあるいはseptic shock 64症例について検討した。治療開始後72時間と28日でそれぞれ死亡群・生存群に分け, 各群間で来院時の重症度スコアやSSCGで推奨されている治療法について比較した。<b>結果</b> : 初期輸液療法に関して, 72時間後・28日後ともに生存群の方が死亡群に比して有意に輸液量が多かった。来院時の重症度スコアや抗菌薬, 昇圧剤投与等の初期輸液療法以外の治療法の施行割合では, 各群間で有意差を認めなかった。来院後1時間輸液量が1,700ml以上であれば100%の生存が得られた。1時間輸液量が1,700ml未満であっても, 24時間輸液量が3,200ml以上であり, 24時間尿量が550ml以上確保できたときは, 93%の生存率が得られたが, 24時間尿量が550ml確保できなかったときは, 38%の生存率であった。1時間輸液量が1,700ml未満, 24時間輸液量が3,200ml未満であっても, 24時尿量が550ml以上確保できたときは, 82%の生存率が得られたが, 24時間尿量550ml確保できなかったときは, 36%の生存率であった。<b>結語</b> : severe sepsisの初期治療法では, 臓器灌流量を維持するための適切な初期輸液が, 重要であることが再確認され, 従来から言われている輸液量の指標は妥当であることも確認された。
著者
小林 憲夫 KOBAYASHI Norio
巻号頁・発行日
vol.21, pp.73-88, 2014-12-25
著者
小林 憲弘 鈴木 俊也 小杉 有希 菱木 麻佑 加登 優樹 金田 智 植田 紘行 河相 暢幸 北本 靖子 土屋 かおり 木村 慎一 古川 浩司 岩間 紀知 中村 弘揮 粕谷 智浩 堀池 秀樹 京野 完 髙原 玲華 馬場 紀幸 佐藤 信武 久保田 領志 五十嵐 良明
出版者
公益社団法人 日本水環境学会
雑誌
水環境学会誌 (ISSN:09168958)
巻号頁・発行日
vol.39, no.6, pp.211-224, 2016 (Released:2016-11-10)
参考文献数
23
被引用文献数
7

水道水中のホルムアルデヒドおよびアセトアルデヒドを迅速・簡便に分析するために, DNPHで誘導体化した試料をLC/UVあるいはLC/MS/MSにより測定する方法を検討した。検討の結果, 水道水に塩化アンモニウムを加えて残留塩素を除去した後, リン酸とDNPHを加えて誘導体化した試料を測定した。いずれの測定機器を用いた場合も両誘導体のピークは短時間で良好に分離し, ホルムアルデヒドの基準値の1/10の濃度 (0.008 mg L-1) まで高精度に分析できた。さらに, 本研究で確立した分析法が全国の水道水質検査に適用できるかどうかを検証するために, 15機関において水道水を用いた添加回収試験を行った結果, いずれの測定機器を用いた場合も両物質について「水道水質検査方法の妥当性評価ガイドライン」の真度, 併行精度および室内精度の目標を満たした。以上のことから, 本分析法は水道水の標準検査法として利用可能と考えられる。
著者
緒方 雄一朗 薮田 ひかる 中嶋 悟 奥平 恭子 森脇 太郎 池本 夕佳 長谷川 直 田端 誠 横堀 伸一 今井 栄一 橋本 博文 三田 肇 小林 憲正 矢野 創 山下 雅道 山岸 明彦 たんぽぽ ワーキンググループ
出版者
日本地球化学会
雑誌
日本地球化学会年会要旨集
巻号頁・発行日
vol.58, pp.175-175, 2011

始原小天体有機物は、太陽系および生命原材料物質の起源と進化を理解するための重要な情報を記録している。「たんぽぽ計画」では、大気圏突入時の熱変成や地上での汚染を受けていない宇宙塵を、国際宇宙ステーション上に超低密度シリカエアロゲルを設置して回収を試みる予定である。しかし、この方法では、宇宙塵のエアロゲルへの衝突により変成する可能性を考慮する必要がある。そこで本研究では、宇宙科学研究所・スペースプラズマ実験施設の二段式高速ガス銃を用いて、隕石微粒子の高速衝突模擬実験を行い、マーチソン隕石微粒子をシリカエアロゲルに撃ち込んだものを取り出し、2枚のアルミ板にはさみハンドプレスして圧着された隕石微粒子を、片方のアルミ板に載せた状態で、赤外顕微分光装置と顕微ラマン分光装置で測定を行った。また、SPring-8, BL43IRの高輝度赤外顕微分光装置IFS120HRでイメージング測定を行い、衝突前後の隕石有機物の分子構造の変化を見出すことを目的とした。
著者
金子 竹男 小林 憲正 矢守 章
出版者
日本惑星科学会
雑誌
日本惑星科学会秋季講演会予稿集
巻号頁・発行日
vol.2003, pp.69-69, 2003

炭素質隕石からアミノ酸、核酸塩基を含む生体有機化合物が検出されていることから原始地球への有機物質の多くが地球圏外起源であったとする可能性が示唆されている。しかし、地球外有機物の地球への持ち込み時の安定性が問題である。これまで彗星や隕石による有機物の地球への持ち込み時の反応を調べる為に衝突実験(_から_2km/s)、アミノ酸の加熱分解実験およびシリカを共存させたアミノ酸の昇華実験が行なわれてきた。しかし、より速い速度での衝突実験は余り行なわれていない。我々は世界最速である宇宙研の電磁加速装置「レールガン」を用い高速衝突実験を行なっている。今回はグリシン水溶液および彗星を模擬したメタノール、アンモニア、水の混合物に高速衝突させた生成物について検討した。<BR>10mM グリシン溶液はステンレス製ホルダーに、また彗星を模擬したアンモニア、メタノール、水の混合物は金メッキしたステンレス製ホルダーに封入し、ドライアイスで冷却後、液体窒素で冷却しながらこれにポリカーボネート製の飛翔体を衝突させた。衝突速度は2.5_-_6.4 km/sであった。生成物の一部を6 M HCl, 110℃で24時間加水分解し、陽イオン交換樹脂で脱塩後、アミノ酸をN-アセチル-L-システインとo-フタルアルデヒドでポストカラム誘導体化する島津LC-6Aアミノ酸分析計で同定・定量した。またアミノ酸の重合物は加水分解前の試料を0.45μmのメンブランフィルターでろ過後、イオンペアクロマトグフィーおよびMALDI_-_TOF MSにより分析した。<BR>グリシンを用いた実験では、加水分解前にはグリシン重合物のピークは観測されなかったが、ジケトピペラジンの生成が示唆された。衝突速度の違いによる生成物の差は見られなかった。海底熱水系を模擬したフローリアクター実験から、グリシンの重合物およびジケトピペラジンの生成が報告されている。イオンペアHPLCの結果から、衝突による高温・高圧状態では、フローリアクター実験で報告されている通常の重合物と異なる物が生成していると考えられる。MALDI-TOF MSの結果からは、2環アミジンの生成が示唆された。これは耐熱性があり、衝突でも残存し、加水分解することでアミノ酸になることが分かった。<SUP>1)</SUP><BR>メタノール、アンモニア、水の混合物を用いた衝突実験では、生成物を加水分解することにより、セリン、グリシンなど多種のアミノ酸が生成することが分かった。<BR>高速衝突でグリシンから海底熱水系模擬実験や昇華実験とは異なる2環状アミジンの生成が示唆され、アミノ酸の一部は重合物を生成することにより衝突による分解を免れることが示唆された。彗星を模擬したメタノール、アンモニア、水の混合物から種々のアミノ酸が生成したことから、彗星の高速衝突によりアミノ酸前駆体が生成する可能性も示された。今後、模擬星間物質を用いた衝突実験を行ない、原始地球への地球圏外起源有機物質の持ち込みについて考察していく予定である。<BR>1)金子竹男、小林憲正、矢守章、スペース・プラズマ研究会平成14年度、79-82 (2003).
著者
大村 朋彦 小林 憲司
出版者
公益社団法人 腐食防食学会
雑誌
Zairyo-to-Kankyo (ISSN:09170480)
巻号頁・発行日
vol.60, no.4, pp.190-195, 2011-04-15 (Released:2011-10-08)
参考文献数
63
被引用文献数
1 4

高強度低合金油井管ならびにラインパイプの水素脆化現象および近年の開発状況を概説した.油井環境では硫化物応力割れ(Sulfide Stress Cracking, SSC)が硫化水素含有(サワー)環境からの水素吸収と引張負荷応力の元で発生し,このSSCが高強度油井管にとっては主要な問題となる.高強度油井管の耐SSC性の改善のため,様々な冶金的改善が取り組まれてきた.1990年代には110 ksi(降伏強さ758 MPa) 級の耐サワー油井管が結晶粒微細化とP, S, Mnなどの偏析元素の低減により開発されている.2000年代には,介在物の微細化,転位密度の低減,炭化物の形態制御により125 ksi(降伏強さ862 MPa)級の高強度耐サワー油井管も開発されている.水素誘起割れ(Hydrogen Induced Cracking, HIC)は低強度鋼と高強度鋼いずれにも負荷応力無しで起こり,ラインパイプにとって主要な問題となる.HICは伸延されたMnSなどの硫化物や板厚中央部の偏析硬化帯に沿って発生・進展する.65 ksi(降伏強さ448 MPa) 級の耐サワーラインパイプが介在物球状化ならびに加工熱処理(Thermo-Mechanical Controlled Process, TMCP)により広く商用化されている.さらに近年ではこれらの技術の進展により70 ksi(降伏強さ483 MPa)級の耐サワーラインパイプが開発されている.
著者
大谷 栄治 倉本 圭 今村 剛 寺田 直樹 渡部 重十 荒川 政彦 伊藤 孝士 圦本 尚義 渡部 潤一 木村 淳 高橋 幸弘 中島 健介 中本 泰史 三好 由純 小林 憲正 山岸 明彦 並木 則行 小林 直樹 出村 裕英 大槻 圭史
出版者
日本惑星科学会
雑誌
遊・星・人 : 日本惑星科学会誌 (ISSN:0918273X)
巻号頁・発行日
vol.20, no.4, pp.349-365, 2011-12-25
被引用文献数
1

「月惑星探査の来たる10年」検討では第一段階で5つのパネルの各分野に於ける第一級の科学について議論した.そのとりまとめを報告する.地球型惑星固体探査パネルでは,月惑星内部構造の解明,年代学・物質科学の展開による月惑星進化の解明,固体部分と結合した表層環境の変動性の解明,が挙げられた.地球型惑星大気・磁気圏探査パネルは複数学会に跨がる学際性を考慮して,提案内容に学会間で齟齬が生じないように現在も摺り合わせを進めている.本稿では主たる対象天体を火星にしぼって第一級の科学を論じる.小天体パネルでは始原的・より未分化な天体への段階的な探査と,発見段階から理解段階へ進むための同一小天体の再探査が提案された.木星型惑星・氷衛星・系外惑星パネルは広範な科学テーマの中から,木星の大気と磁気圏探査,氷衛星でのハビタブル環境の探査,系外惑星でも生命存在可能環境と生命兆候の発見について具体的な議論を行った.アストロバイオロジーパネルでは現実的な近未来の目標として火星生命探査を,長期的な目標として氷衛星・小天体生命探査を目指した観測装置開発が検討された.これらのまとめを元に「月惑星探査の来たる10年」検討は2011年7月より第二段階に移行し,ミッション提案・観測機器提案の応募を受け付けた.
著者
谷内 俊範 小林 憲正
出版者
日本エアロゾル学会
雑誌
エアロゾル研究 = Journal of aerosol research (ISSN:09122834)
巻号頁・発行日
vol.22, no.2, pp.113-118, 2007-06-20
被引用文献数
1

Titan is the largest satellite of Saturn, and has dense (ca. 1,500 hPa) atmosphere mainly composed of nitrogen and methane. In addition to various organic compounds, aerosol is found in the atmosphere. It is suggested that the aerosol was made of complex organic compounds, which was formed from Titan atmosphere by such energies as ultraviolet light, high-energy electrons (discharges) and cosmic rays. Voyager and Cassini missions partly revealed the nature of the aerosol. A wide variety of laboratory simulation experiments have been conducted by using a gas mixture of nitrogen and methane, and the resulting solid products are often referred as "Titan tholins". The present paper reviews these observations and simulation experiments on the Titan aerosol, and discusses its relevance to origins of life.
著者
小林 憲正 DEMARCLLUS Pierre
出版者
横浜国立大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2012

分子雲中の星間塵アイスマントル中での有機物生成の検証のため,高エネ研で新規開発中のデジタル加速器を用い,模擬アイスマントルへの重粒子線照射実験を計画し,その準備を行った。星間塵アイスマントルでの有機物生成を調べる場合に問題となるのが,極低温環境で組成の既知のアイスを作製した後に,これに照射することと,その反応過程の追跡法である。アイスマントルを構成する分子としてH_20,CO,CH_3OH,NH_3などが主と考えられるため,種々の混合比のアイスを作るためのクライオスタットとガス混合機のデザインを行った。ガス混合機に関しては,この装置に用いる高精度のバルブや圧力計を選定し,購入,組み立てまでを行った。クライオスタットチャンバーに関しても,高エネ研において改造中である。アイスへの照射実験の予備実験として,東京工業大学のタンデム加速器を用い,想定される出発材料(一酸化炭素,アンモニア,水)の混合気体に3MeV陽子線を照射した時のアミノ酸生成について定量的に調べた。照射後,生成物を酸加水分解した後,陽イオン交換HPLC法によりアミノ酸の定量を行った。気相での陽子線照射実験においては,一酸化炭素・アンモニア・水蒸気および一酸化炭素・アンモニアの混合気体のいずれも,照射開始後すぐに霞の生成が見られた。このことは,高エネルギー粒子線の作用により高分子態の有機物が気相中で直接生成することを示唆するものである。各照射生成物の加水分解物中に、多種類のアミノ酸が検出された。アミノ酸の生成量は照射量に比例した。このことからも,混合気体からのアミノ酸の生成は,従来想定されていたようなストレッカー反応のような多次的反応ではなく、照射により直接気相中で固体のアミノ酸前駆体が生成したと考えられる。この結果は,アイスへの照射実験においても照射により直接,高分子態の有機物が生成する可能性があることを示唆する。
著者
矢神 真奈美 加藤 大也 林 安津美 脇阪 涼子 小林 憲司 鷲野 香織 山本 絢子 立石 早祐美 澤井 喜邦 稲垣 一道 金山 均 片田 直幸 伊藤 光泰
出版者
一般社団法人 日本糖尿病学会
雑誌
糖尿病 (ISSN:0021437X)
巻号頁・発行日
vol.54, no.6, pp.430-435, 2011 (Released:2011-07-15)
参考文献数
18

2型糖尿病患者(60名)に対して食品交換表にて指導を24週間介入後,さらにカーボカウント基礎編を上乗せする指導(カーボカウント上乗せ群;30名:男性/女性=14/16)と,食品交換表による指導(食品交換表継続群;30名:男性/女性=16/14)に無作為に振り分け24週間介入し,各群介入前後で糖代謝,脂質代謝,BMI及びメンタル面の比較検討を行った.介入後両群共にHbA1c及びLDL-Cは有意な改善が認められた,さらにカーボカウント上乗せ群では,HDL-C,BMIの有意な改善が認められた.両群間の変化率の比較では,カーボカウント上乗せ群は食品交換表継続群に比べてHbA1c(-13.0±12.8vs-3.8±15.5%;p=0.014)及びHDL-C(12.7±19.5vs 3.0±15.1%;p=0.038)の有意な改善が認められた.メンタル面の評価では,カーボカウント上乗せ群では有意に食事の満足度が高く,食事療法継続の苦痛感が少ないことが認められた.故にカーボカウント上乗せ群では食品交換表継続群に比べてより糖代謝を改善し,さらに患者QOLを高める可能性が示唆された.
著者
小林 和人 小林 憲太 甲斐 信行 八十島 安伸
出版者
福島県立医科大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2007

本研究課題では、イムノトキシン細胞標的法を利用して、弁別学習の発現における2種類の線条体投射経路の行動生理学的な役割を解析した。線条体-黒質路を除去したマウスの解析から、線条体-黒質路は、主に、弁別学習の反応速度の促進に関与し、反応の正答率には顕著な影響を及ぼさないことが示唆された。また、線条体―淡蒼球路を除去したラットの解析から、線条体-淡蒼球路は、弁別学習の正答率の向上に主要な役割を持ち、反応速度には顕著な影響を及ぼさないことが示唆された。
著者
小林 憲正 奈良岡 浩 三田 肇 橋本 博文 金子 竹男 高野 淑識 VLADIMIR A. Tsarev
出版者
横浜国立大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2005

模擬星間物質に重粒子線などを照射して合成した「模擬星間有機物」と、炭素質コンドライト中の有機物を分析し、両者と生命起源の関連について考察した。模擬星間環境実験では分子量数千の複雑態アミノ酸前駆体が生成する。これが星間や隕石母天体中での放射線・紫外線・熱などでの変性により隕石有機物となったことが示唆された。原始地球へは宇宙塵の形で有機物が供給された可能性が高く、その分析が必要である。宇宙ステーション上で宇宙塵を捕集する条件を検討中である。
著者
八十島 安伸 小林 憲太
出版者
福島県立医科大学
雑誌
特定領域研究(C)
巻号頁・発行日
2001

運動制御における大脳基底核神経回路の間接路の役割を探るために、中継核の一つである視床下核(subthalamic nucleus,STN)に着目した。イムノトキシン細胞標的法を適用できるように、ヒトインターロイキン2受容体αサブユニット(IL-2Rα)タンパクをSTN細胞に発現する遺伝子変異マウス(NPIGマウス)を作製し、導入IL-2Rαを抗原として特異的に認識するanti-Tac-(Fv)PE38抗体(イムノトキシン、IT)をNPIGマウスの片側STNに微量注入したところ、STN細胞の特異的な脱落・破壊が認められた。NPIGマウス片側STNへのIT注入処理後、新奇環境に呈示すると、IT処理を受けた大脳半球の反対方向(破壊反対側方向)への自発的な回転運動が生じた。野生型マウスにIT処理を行っても、回転運動は生起しなかった。同一NPIGマウス群にドーパミン非選択的作動薬であるアポモルフィン(APO,2mg/kg)を皮下投与すると、回転方向が破壊同側方向(ipsiversive)へ逆転した回転運動を示した。片側STNにIT処理を行った同一NPIGマウス群を飼育室・ホームケージ環境で回復させ、IT注入操作の28日後以降に自発的な破壊反対側方向への回転量とAPO誘導性の破壊同側方向への回転量を測定すると、両者は有意に減弱することを認めた。また、自発的な定位運動・APO誘導性の定位運動も減少した。ドーパミンD1もしくはD2受容体の各選択的作動薬の単独投与では、APO投与時に認められた回転方向の逆転現象は認められなかった。STN選択破壊によるSTN機能不全は、ドーパミン刺激による運動亢進作用に対して障害が認められたことから、本研究は運動制御における大脳基底核の間接経路の独自機能の解明について示唆を与えると期待できる。
著者
山岸 明彦 矢野 創 奥平 恭子 小林 憲正 横堀 伸一 田端 誠 河合 秀幸
出版者
日本宇宙生物科学会
雑誌
Biological Sciences in Space (ISSN:09149201)
巻号頁・発行日
vol.21, no.3, pp.67-75, 2007 (Released:2007-12-26)
参考文献数
21
被引用文献数
15 13 2

TANPOPO, dandelion, is the name of a grass whose seeds with floss are spread by the wind. We propose the analyses of interplanetary migration of microbes, organic compounds and meteoroids on ISS-JEM. Ultra low density aerogel will be used to capture micrometeoroid and debris. Particles captured by aerogel will be used for several analyses after the initial inspection of the gel and tracks. Careful analysis of the tracks in the aerogel will provide the size and velocity dependence of debris flux. The particles will be analyzed for mineralogical, organic and microbiological characteristics. To test the survival of microbes in space environment, microbial cells will be exposed. Organic compounds are also exposed to evaluate the possible denaturation under the conditions. Aerogels are ready for production in Japan. Aerogels and trays are space proven. All the analytical techniques are ready.