著者
山中 正樹 Masaki YAMANAKA
出版者
創価大学日本語日本文学会
雑誌
日本語日本文学 (ISSN:09171762)
巻号頁・発行日
no.25, pp.1-12, 2015-03-20

近代の日本文学研究においては、伝記研究の成果をもと\nに作家の思想信条を明らかにし、作品はその表現だと位置\nづける〈作家論〉が主流であった。その後、三好行雄の〈作\n品論〉が登場し、近代文学研究の中心的位置を占める。\n この三好〈作品論〉を打ち砕いたのが、R・バルトの理\n論であり、そこから生まれた〈テクスト論〉である。しか\nし日本における〈テクスト論〉は、バルトの理論の中核で\nあった〈還元不可能な複数性〉の意味を正しく理解せず、\nバルトが退けた〈容認可能な複数性〉の範疇に留まるもの\nであった。そのため、多数の〈読み(解釈)〉がすべて容\n認されるという、アナーキーな状況が生まれた。\n それに加え、21世紀を迎える前後に巻き起こった「国文\n学者の自己点検/反省」は、日本の近代文学研究の息の根\nを止めることとなる。ここにいたって「〈文学〉を研究す\nることも教えることも不毛/不可能である」という考えが\n蔓延し、研究の主流は〈文化研究〉に移行した。\n こうした状況の中で、〈文学(研究)〉の復権を目指すと\nともに、〈「読むこと」自体を問い直す〉原理論の構築を標\n榜して提出されたのが、田中実氏の第三項論である。第三\n項論とは〈主体〉と〈客体〉の二項に加え、〈客体そのもの〉\nという第三項を立てる「世界観認識」である。〈客体その\nもの〉とは私たちの認識の源泉ではあるが、決して私たち\nの感覚や言語では直接的には捉えられないものである。し\nかしその第三項を措定することで〈還元不可能な複数性〉\nを潜り抜け、世界を私たちの手に取り戻すことが可能になる。それは私たちの世界〈認識〉の在り様を根本から問い\n直すものであり、新たなる文学研究の領域を切り拓いたも\nのであるといえよう。
著者
山中 英夫
出版者
公益社団法人 計測自動制御学会
雑誌
計測と制御 (ISSN:04534662)
巻号頁・発行日
vol.10, no.12, pp.868-879, 1971-12-10 (Released:2009-11-26)
参考文献数
38
著者
桑野 靖子 河原 ゆう子 佐宗 洋子 小林 由実 山中 なつみ 小川 宣子
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集 平成23年度日本調理科学会大会
巻号頁・発行日
pp.2, 2011 (Released:2011-08-30)

【目的】加水量,加熱方法,加熱工程の異なる炊飯方法で調理された飯について,甘みと香りの官能評価に対する理化学的な測定値に相関性があるか否かを検討した。 【方法】圧力IH炊飯器,IH炊飯器,ガス炊飯器の3機種で調理された飯とガス炊飯器の飯と同じ硬さとなるよう加水量を調整した飯の4種類を対象に,甘みの評価値として,糊化度と唾液アミラーゼによる人工消化後の還元糖生成量を測定した。香りの評価値として,主要な臭気成分量を定量化し,閾希釈倍数を算出した。官能評価は40歳代女性36名を対象に,各理化学的評価に対応した指標による評価と好みを炊きたてと炊飯後常温で4時間放置した飯(以下冷や)に対して行った。 【結果】「甘み」評価において,糊化度では飯間に差はなかった。人工消化による還元糖生成量ではガス炊飯器の飯とIH炊飯器の飯が有意に多かったが,官能評価ではガス炊飯器の飯と加水量を調整した飯の甘みが強いと評価され,IH炊飯器の飯は最も甘くないと評価された。ごはんの甘み評価には,ごはんの表層部と内部の水分量の違いが関与していると考えられる。「香り」評価手法については,炊きたてと冷やの違いは確認できたが,機種間の違いまでは確認できなかった。
著者
岩内 謙一 伊藤 寛 山中 篤 フォルカーツ ヴィープ
出版者
一般社団法人映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会技術報告 (ISSN:13426893)
巻号頁・発行日
vol.26, no.58, pp.25-28, 2002-09-18
被引用文献数
2

色再現範囲の広い液晶ディスプレイを実現するためRGB-LEDを用いたバックライトシステムの開発を行った.RGB-LEDに特有の課題である発光効率の変化による輝度変化や色の変化を制御するフィードバック制御技術の開発を行った.複数のセンサーを用いることによるばらつきを最小限に抑えるため,1つのセンサーによるRGB-LEDのフィードバック制御を検討し,有効性を確認した.またこれを用いたLCDディスプレイの色再現範囲はNTSC比でほぼ100%と広い色再現範囲を有することを確認した.
著者
船津 麻美 田原 義朗 山中 桜子 後藤 雅宏
出版者
THE MEMBRANE SOCIETY OF JAPAN
雑誌
(ISSN:03851036)
巻号頁・発行日
vol.36, no.2, pp.57-62, 2011-03-01
参考文献数
20
被引用文献数
2

In this article, we report a novel oil gel sheet, which is contained ascorbic acid and hyaluronic acid as an ingredient of cosmetics. An efficient permeation method of the ingredients into a deep skin would be a key technology to develop novel functional cosmetics. The outer surface of the skin that is stratum corneum has a strong barrier to avoid the invasion of hazardous materials into our body. The barrier function causes the difficulty in the transport of effective ingredients into a deep region of our skin. To overcome this problem, solid-in-oil (S/O) nano dispersion technique has been developed by coating the ingredients with hydrophobic surfactant molecules. The coated hyaluronic acid was well dispersed in an oil phase and its permeation rate into the skin was significantly enhanced by the formation of the complex. An oil gel sheet was created by utilizing the S/O techniques for ascorbic acid and hyaluronic acid. The oil gel sheet could improve the moisture condition of faces by using at least 30 minutes.
著者
山中 英生 原澤 拓也 西本 拓弥
出版者
一般社団法人 交通工学研究会
雑誌
交通工学論文集
巻号頁・発行日
vol.3, no.4, pp.A_15-A_21, 2017

国・警察による「安全で快適な自転車利用環境創出ガイドライン」では,自転車専用通行帯や車道混在を中心とした自転車ネットワーク形成方針を示している.一方,自転車利用者の多くは車道通行に不安を感じており,車道部の自転車通行空間の普及には &ldquo;安全感&rdquo; 確保のための街路交通条件を明らかにすることが肝要と言える.本研究は、自転車の車道走行時の安全感に影響を与える要因を明らかにすることを目的としている.そのため,東京都内の街路交通特性の異なる街路 </tt>22 <tt>区間についてビデオクリップ・アンケートを用いて、サイクリストの安全感とその要因への意識を調査し、安全感に影響を与える要因及び街路交通特性との関係を分析した.その結果,「追い越され」の要因が高く,レーン設置,通行帯幅確保が安全感向上に寄与することが明らかになった.
著者
菊地 正幸 山中 佳子 纐纈 一起
出版者
学術雑誌目次速報データベース由来
雑誌
地學雜誌 (ISSN:0022135X)
巻号頁・発行日
vol.110, no.2, pp.204-216, 2001
参考文献数
12
被引用文献数
1 21

A sudden collapse of the summit of Miyake-jima occurred on July 8, 2000, together with intermittent eruptions. This collapse generated long-period seismic waves with a dominant period of about 10s. Following this event, very long-period seismic pulses (VLP pulses) with a duration of about 50s were observed a few times a day until they ceased at the largest summit eruption on August 18. We analyzed these seismic pulses using waveform data recorded at several domestic stations for broadband seismographs and strong motion seismometers on Miyake-jima. The July 8 event is well characterized by a single-force directed initially upward and later downward during 12 sec. The single-force is interpreted as an abrupt collapse of massive rock. The total mass is estimated to be about 5 × 10<SUP>10</SUP> kg with fall of about 300 m. On the other hand, VLP pulses are modeled by moment-tensors with an isotropic component. They are located about 1 km southwest from the summit and 2 to 3 km deep. All three principal values are positive. The largest one is horizontal and the smallest one is near vertical. The total volume change due to 39 VLP pulses is 2.6× 10<SUP>8</SUP>m<SUP>3</SUP>, amounting to nearly one half of the total volume of the summit collapse. Based on theresults, we propose a buried geyser model. A large reservoir of hot water was formed just after the summit collapse on July 8. The ground water poured into the reservoir, being rapidly heated by hot rock underneath, and evaporated to form a highly pressurized steam, which pushed a lower conduit piston into the magma reservoir to generate VLP pulses. Non-isotropic expansion of the VLP pulses may be ascribed to the shape of the magma reservoir.
著者
山中 玲子
出版者
明治書院
雑誌
国語と国文学 (ISSN:03873110)
巻号頁・発行日
vol.93, no.3, pp.3-16, 2016-03
著者
上月 康則 山中 亮一 松重 摩耶 齋藤 梓 石田 達憲 大谷 壮介
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集B2(海岸工学) (ISSN:18842399)
巻号頁・発行日
vol.68, no.2, pp.I_971-I_975, 2012 (Released:2012-11-15)
参考文献数
15

Various laboratory experiments were performed to examine the effects of H2S (Hydrogen Sulfide) on R. philippinarum in this study. These results were as follows. 1) Most of clam closed its shell, in case was placed in the anoxic water. However, the number of clam that opened its shell increased with time. 20 hours later, the dying clam appeared after the clam extended the siphon and pelecypod. 2) H2S exposure had an insignificant effect on the clam, they closed shells. However, the clam was significantly affected by H2S exposure when they opened its shell and extended siphon and pelecypod. 3) When the water was hypoxic or anoxic before Blue tide occurrence (Aoshio), the clam would directly suffer severe effects of H2S because the extended soft tissue from the inside of shell was exposed.
著者
山中 敬一
出版者
中央大学
雑誌
法學新報 (ISSN:00096296)
巻号頁・発行日
vol.121, no.11, pp.397-437, 2015-03

詐欺罪成立要件につき、「財物」または「財産上不法の利益」の移転につき、「財産的損害」を必要とするかどうかについては争いがあるが、通説は、一項、二項ともに「財産的損害」を既遂の要件とする。判例においては、近時、重大な錯誤があり、財物や財産的利益の移転があれば既遂を認め、財産的損害が発生したかを問わないように見えるものが多くなっている。本稿では、実質的個別財産説を採りつつ、その実質の内容とその判断基準を明らかにしようと試みた。 本稿では、詐欺罪を近代の取引社会の所産と見て、取引の中で、詐欺罪は、たんに給付と反対給付という狭義の取引関係から生じるものではなく、寄付金詐欺、補助金詐欺のような片務的な行為も、これも取引関係に含めることができるとする。片務的行為の場合、財産的損害が発生したかどうかは、「社会的目的」が「不達成」に終わったかを基準とするという理論が唱えられているが、寄付行為者の「満足感」などといった「社会的」目的の達成は、財産犯における基準ではありえない。本稿では、それを経済的な取引目的の不達成の場合に財産的損害が発生するとする構想(取引目的不達成理論)を展開し、その理論を判例において実証する。
著者
山中 あずみ 関口 麻衣子 紺野 克彦 桃井 康行 岩崎 利郎
出版者
日本獣医皮膚科学会
雑誌
獣医臨床皮膚科 (ISSN:13476416)
巻号頁・発行日
vol.8, no.3, pp.42-47, 2002 (Released:2007-02-15)
参考文献数
2
被引用文献数
1

犬の鼻部には様々な疾患が発症するが,それら疾患の臨床所見は類似していることが多く,臨床所見あるいは病歴からのみでは確定診断が困難な事がある。しかし,疾患により治療法,予後が大きく異なるために,正確な診断が求められる。本研究では,鼻部に発症した皮膚疾患5例について生検を行い,病理組織学的に1)好酸球性毛包炎,2)日光性皮膚炎,3)落葉状天疱瘡,4)尋常性天疱瘡,5)DLE(円板状エリテマトーデス),と診断した。