著者
渡辺 和人 木村 敏行 宇佐見 則行 山本 郁男
雑誌
北陸大学紀要 = Bulletin of Hokuriku University (ISSN:21863989)
巻号頁・発行日
no.38, pp.37-49, 2014-12-31

There are many novels that deal with marijuana as drug novels. Among them, the novel entitled "Kaigo-nyumon" written by Mr. Norio Mob was to win the Akutagawa Award in 2004. A marijuana user appears in the novel. We thought that a part of the novel was written by the author under the influence of marijuana. This review critically analyzes the contents of the novel from a scientific point of view.
著者
山本 隆広 渡邉 聖樹 三浦 彰子 平原 智雄 平野 照之 内野 誠
出版者
日本神経学会
雑誌
臨床神経学 (ISSN:0009918X)
巻号頁・発行日
vol.50, no.10, pp.718-724, 2010 (Released:2010-11-04)
参考文献数
26
被引用文献数
4 6

症例は51歳の男性である.2カ月前より頭痛,活動性の低下,見当識障害が徐々に進行し当科入院した.頭部MRI T2強調画像にて両側視床に高信号域をみとめ,左傍中脳に静脈の拡張と思われるflow voidをみとめた.脳血管造影にて,左上錐体静脈洞部に硬膜動静脈瘻をみとめた.流入動脈は内頸動脈が中心であり,流出静脈は深部静脈系へ逆流していた.このため両側視床の灌流障害をきたしていると考えられた.主な流入血管に対し経動脈的塞栓術を施行したところ見当識障害と視床病変の改善がえられた.硬膜動静脈瘻は両側視床病変の原因となることもあり,治療介入で改善が期待できるため,早期診断が望ましい疾患である.
著者
大嶺 卓也 粟澤 剛 山口 さやか 粟澤 遼子 山本 雄一 高橋 健造
出版者
日本皮膚科学会西部支部
雑誌
西日本皮膚科 (ISSN:03869784)
巻号頁・発行日
vol.81, no.3, pp.187-191, 2019

<p>68 歳,男性。初診の 10 年前に徐々に拡大する後頭部の皮下腫瘤を自覚していた。部分生検の結果,隆起性皮膚線維肉腫(dematofibrosarcoma protuberans:DFSP)の疑いで当科を紹介され受診した。当科初診時,後頭部皮下に 4.5×1.5 cm の皮下腫瘤を触知した。可動性は不良で,表面皮膚の色調変化や萎縮はなかった。頭部造影 MRI で腫瘍は後頭部皮下に境界明瞭に描出され,STIR 像で高信号を示した。病理組織学的には,紡錘形の腫瘍細胞が皮下組織において比較的均一に増殖し,花むしろ構造を呈しており,腫瘍細胞は核異型に乏しく,核分裂像はほとんど存在しなかった。免疫組織化学的には腫瘍細胞はCD34 がびまん性に陽性であった。腫瘍の凍結組織から抽出した RNA を用いて RT-PCR を行い,<i>COL1A1-PDGFB</i> の融合遺伝子を検出した。以上より皮下型 DFSP と診断した。皮下型 DFSP の報告は稀であるが,<i>COL1A1-PDGFB</i> 融合遺伝子を検出したことから,皮膚に発生した DFSP と腫瘍発生学的に同じ発癌機序によることが示唆された。</p>
著者
荒木 裕子 山本 直子 上浦 沙友里 江本 彩乃 丸井 正樹
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.67, 2015

<br><br>【目的】ネームはタイ北部で生産される伝統的な発酵ソーセージである。その製法は、新鮮な豚肉に食塩、にんにく、唐辛子、糯米飯を入れ常温で数日間発酵させて製造する。ネームは乳酸発酵により、pHが低下し、微生物の増殖が抑制され、完成したネームは適度に酸味があり、生食する人もいる。近年、日本でも製造され、市販品も見られるが、我が国ではネームに関する研究が少なく、安全性の検討もされていない。本研究ではネームを作製し、細菌叢の変化やpHの変化を経時的に調査した。<br>【方法】試験試料として1)ネームパウダー添加区2)ネームパウダー無添加区 3)ネームパウダー、にんにく、唐辛子無添加区の3種のネームを調製した。調製開始から完成までの4日間、24時間毎に採取して実験試料とした。細菌の測定では、一般生菌数、大腸菌群の測定、乳酸菌の測定をおこない、pHの測定も実施した。<br>【結果】ネームパウダー添加区では、ネームパウダーの主成分である無水グルコン酸により、調製後即時にpHの低下が見られ、細菌の増殖も抑制されていた。2)、3)の製法では、発酵1日目では大腸菌群が確認された。しかし、発酵の進行に伴い乳酸菌数が増加し、pHも低下した。それに伴い大腸菌群数が極めて減少した。ネームは製造手法により、発酵中の細菌叢や細菌数に差が見られたが、発酵完了時では全試料でpH低下がみられた。発酵により、ネーム本来の酸味と旨みが生じ、安全性も付加されることが示唆された。
著者
山本 希美子 安藤 譲二
出版者
公益社団法人 日本薬理学会
雑誌
日本薬理学雑誌 (ISSN:00155691)
巻号頁・発行日
vol.124, no.5, pp.319-328, 2004 (Released:2004-10-22)
参考文献数
24
被引用文献数
1 1

血管内面を一層に覆う内皮細胞は血流と直接接していることから,機械力である流れずり応力に曝されている.内皮細胞は流れずり応力の変化を認識し,その情報を細胞内に伝達して,形態や機能や遺伝子発現の変化につながる細胞応答を起こす.流れずり応力に対する内皮細胞の応答は生体で生じる血流依存性の現象である血管新生や血管リモデリング,粥状動脈硬化症の発生に重要な役割を果たすと考えられている. 近年,流れずり応力の情報伝達に関する多くの研究により流れずり応力がGタンパク,アデニル酸シクラーゼ,イオンチャネル,タンパクキナーゼ,接着分子など多彩な情報伝達因子を活性化することが示された.この事実は流れずり応力の情報伝達に複数の経路が関わっていることを示唆している.現在のところ,これらの経路のうち,どれが一次的で,どれが二次的であるかは分かっていない.同時に複数の経路を活性化するのが,流れずり応力の情報伝達の特徴かもしれない. 内皮細胞にずり応力を作用させると,細胞内情報伝達系でセカンドメッセンジャーとして働くカルシウムの濃度が即座に上がることから,カルシウムシグナリングを介した感知機構がある.内皮細胞にずり応力が作用すると細胞内カルシウム濃度が上昇する反応が起こる.そこで本報告では,ヒト肺動脈内皮細胞において,ずり応力の強さに依存して細胞外カルシウムの細胞内への流入が起こることを観察した.このカルシウム流入反応には主にATP作動性カチオンチャネルであるP2XプリノセプターのサブタイプであるP2X4を介していた.また,血管内皮細胞は流れずり応力に反応して,多種類の血管作動性物質を合成,貯蔵,放出することが知られている.この点に関して,我々は流れずり応力を受けた内皮細胞から応力依存的にATPが放出されることを確認した.以上の結果から,この流れずり応力により放出される内因性のATPがP2X4レセプターを活性化することで,内皮細胞のカルシウム反応を修飾する機序が示唆される.
著者
山本 晃輔
出版者
大阪産業大学学会
雑誌
大阪産業大学論集 人文・社会科学編 = JOURNAL OF OSAKA SANGYO UNIVERSITY Humanities & Social Sciences (ISSN:18825966)
巻号頁・発行日
vol.36, pp.43-50, 2019-06-28

The present study examined influences of aging on olfactory imagery ability and Subjective Well-being. In the survey, two hundred young adults and two hundred elderly adults completed the Vividness Odor Imagery Questionnaire (VOIQ) and Subjective Well-being Scale. The results showed that the young adults rated higher than the elderly adults on total score of VOIQ. Additionally, the young adults rated lower than the elderly adults on total score of Subjective Well-being Scale. Significant correlations were shown between total score of VOIQ and total score of Subjective Well-being Scale in young and elderly adults. These findings suggest that olfactory imagery ability plays a significant role in Subjective Well-being.
著者
大西 広倫 美崎 定也 川崎 卓也 末永 達也 山本 尚史 木原 由希恵
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.35 Suppl. No.2 (第43回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.A1552, 2008 (Released:2008-05-13)

【目的】 人は加齢により著しく平衡機能の低下が見られる。また,外乱刺激に対する反応の低下により高齢者は転倒しやすい傾向にある。臨床で腹腔内圧(腹圧)を高める事で,しばしばバランスの向上が見られる事がある。腹圧の維持・向上は体幹・腰部の安定性のみならず,四肢の運動機能に重要である。今回,高齢者を対象に簡便な方法として,腹圧へのアプローチが身体制御,平衡機能においてどのように影響を及ぼすのか,検討する事を目的とした。【方法】 対象は本研究に同意した当院関連施設デイサービスを利用している高齢者26名(年齢69.7±6.8歳)とした。今回,介護度としては要支援1から要介護2の方々を対象に男性19名,女性7名で脳血管障害20名,下肢整形外科疾患2名,その他4名であった。除外基準としては立位が著しく不安定、また10m以上の歩行が困難な者とした。検討項目としてはFunctional reach test(FRT),Timed up and go test(TUG)を用い,同一対象者で腹部ベルト装着あり・なしの条件下で測定しその差を検討した。腹部ベルト装着あり・なしの条件下で,Functional reach test(FRT),Timed up and go test(TUG)を測定しその差を検討した。FRTは,Duncanらの方法をもとに施行した。またTUGは,Podsiadloらの方法をもとに施行した。ベルトの装着位置においては,関らの方法を一部改定し,Jacob線直上の水平面上で,立位にて測定し,腹囲より5cm短い長さでベルトを装着した。ベルトは市販の4cm幅の物で,1cm間隔で目盛りを付けた。なお,測定はそれぞれ一回づつ,ランダムにて行った。統計解析はWilcoxonの符号付き順位検定を用い,有意水準5%とした。【結果】 両検査の測定値をベルト装着あり・なしの二条件間で比較した結果,FRTにおいては,ベルト装着ありで中央値(四分位範囲)22.1(17.3~30),装着なしで21.5(14~24.8)でありベルト装着の方が有意に大きかった(P<0.05)。TUGにおいては,ベルト装着ありで14.6(12.2~21.4),装着なしで16.3(12.1~25.7)であり,ベルト装着ありの方が,装着なしに比べ,有意に短かった(P<0.05)。【考察とまとめ】 今回,高齢者の腹部にベルトを装着する事で静的・動的バランス機能の向上が認められた。ベルトを使用する事で腹圧を高める,腹圧の上昇が腰椎を安定化させる事,また下部体幹の固定性が増す事が言われている。今回,静的・動的バランス機能の向上においては,腹腔内圧の上昇により,四肢の運動機能が高まった事が考えられる。腹圧を高め,バランス機能の向上を図る事は,ベルトを使う事で簡便にできる有用な手段の一つである。
著者
山本 真嗣 長谷川 恭子 仲田 晋 田中 覚
雑誌
じんもんこん2011論文集
巻号頁・発行日
vol.2011, no.8, pp.243-248, 2011-12-03

本研究は,祇園祭の山鉾の一つである船鉾を対象に3次元モデルの構築を行い,そのモデルの利用と可能性に関して検討を行う.船鉾は,普段は部材に分解されて船鉾収納蔵などに保存されており,毎年の祇園祭の際に組み立てられる.部材の組み合わせ方やその工程は一つの文化であり,それをデジタルアーカイブとして残すことには大きな意味がある.したがって,本3 次元モデルは,各部材ごとに内部まで精密にモデリングし,そのモデルを利用して,制作工程や内部構造をデジタル化することを目的とおいている.また,船鉾のような複雑な形状の文化財は,死角となる部分も多く,祇園祭の際でしか完成形の姿にならないため,各視野から観測できる3 次元モデルはとても有益と言える.
著者
山本 英博
出版者
Japan Society for Laser Surgery and Medicine
雑誌
日本レーザー医学会誌 (ISSN:02886200)
巻号頁・発行日
vol.35, no.2, pp.180-186, 2014-08-30 (Released:2015-10-23)
参考文献数
2
被引用文献数
1

交感神経は,細小動脈の血管平滑筋に対して緊張を与える作用(vaso-motor action)を有している.これは,血圧調節に関与し,自律的に生命維持に大きな役割を担っている.しかしながら,それぞれの交感神経がどの領域のvaso-motor action を司っているのかなど詳細は不明である.今回は,局所多汗症の患者の胸部交感神経節切除術にLASER Speckle Flow Meter(以下LSFG と略す)を応用し,顔面・頚部・前胸部の皮膚血流量の変化を観察したので,若干の考察を加え報告する.
著者
船坂 陽子 松中 浩 榊 幸子 山村 達郎 山本 麻由 錦織 千佳子
出版者
日本皮膚科学会大阪地方会・日本皮膚科学会京滋地方会
雑誌
皮膚の科学 (ISSN:13471813)
巻号頁・発行日
vol.4, no.3, pp.299-308, 2005

イオントフォレーシスによるビタミンC誘導体の日光性黒子や雀卵斑などの色素斑に対する効果を確認するために,2種類のイオントフォレーシス装置を用いた臨床試験を実施した。<BR>5%リン酸L-アスコルビルナトリウムを,院内用のイオントフォレーシス装置にて医師が週1回3ヵ月,家庭用のイオントフォレーシス装置にて被験者自身が1日1回4ヵ月,それぞれ片顔にイオントフォレーシスを施行し,もう一方は対照側として無塗布および単純塗布のhalf face法とした。<BR>皮膚所見ならびに画像解析の結果,イオントフォレーシス側において,それぞれ32例中31例,37例中37例に有効性を認め,対照側よりも高い改善効果を得た。<BR>また,分光測色計を用いた皮膚色の測定によって皮膚が明るくなることが,さらにレプリカを用いた皮膚表面の形態観察によって皮溝と皮丘から形成される頬部のきめが均一になることがわかった。<BR>以上のことから,イオントフォレーシスは,ビタミンC誘導体の色素斑に対する効果を高めるとともに,皮膚色やきめをも改善することが明らかとなった。
著者
須崎 紳一郎 小井土 雄一 冨岡 譲二 大泉 旭 布施 明 黒川 顕 山本 保博
出版者
Japanese Association for Acute Medicine
雑誌
日本救急医学会雑誌 (ISSN:0915924X)
巻号頁・発行日
vol.5, no.1, pp.42-50, 1994-02-15 (Released:2009-03-27)
参考文献数
13
被引用文献数
1

International repatriation(国際患者搬送帰還)を担当実施した自験例19例(邦人帰還12例,外国人送還7例)を報告し,その実態と問題点を検討した。相手地はアジア,南北米,欧州からなど4大陸13ヵ国で,総搬送距離は133,643km,搬送飛行時間は171時間35分に及び,平均搬送距離は7,034km,平均飛行所要時間も9時間2分を要した。最長はLimaからのLos Angels経由15,511kmの搬送で,飛行時間だけでも21時間を超えた。随行医師は当施設から1名ないし2名を派遣した。原疾患は多岐にわたり,19例のうち意識障害例は4例,移送経過中人工呼吸を必要としたものは2例あった。最近の10例は国際アシスタンス会社からの依頼を受けた。航空機は全例民間定期便を利用した。移送経費は平均で300万円程度を要した。搬送途上の医療面では呼吸管理が最も重要であったが,一般の大型定期旅客機を利用する範囲では騒音,離着陸加速度,振動などは患者の循環動態には大きな影響を認めなかった。国際患者搬送帰還は,相手先病院,航空会社,保険会社,空港当局はじめ諸方面の協力と綿密な準備連絡があれば医療上は必ずしも困難ではないが,目下のところ本邦は欧米に比べ,これまでこのような医療需要に対する受け入れや派遣の実績,経験が乏しく,支援体制の整備,組織化が遅れているのが最大の問題点である。