著者
野沢 健人 中岡 義貴 山本 修平 佐藤 哲司
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. DE, データ工学 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.114, no.204, pp.41-46, 2014-09-03

近年,レシピ投稿検索サイトに大量の料理レシピが投稿されている.これらのレシピの中には,一部の食材を入れ替えた類似レシピが数多くある.本研究では,大量のレシピデータの中から,特定の食材に対する代替可能な食材を発見する手法を提案する.調理手順中に記述された食材と調理法を特徴に,ニューラルネットワークに基づく言語モデルとして知られるword2vecを用いて,特定の食材に対して他の食材の類似度を算出することにより,代替可能な食材を発見する.数十万件のレシピデータを用いて評価した結果,提案法の有効性を確認したので報告する.
著者
高野 芳彰 佐野 健太郎 千葉 諒太郎 山本 悟
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. AI, 人工知能と知識処理
巻号頁・発行日
vol.112, no.70, pp.55-60, 2012-05-22

本論文では,密結合FPGAクラスタ上に構築する格子ボルツマン法(LBM)専用アクセラレータの性能モデルを示す.一般に,強スケーリングにおいては,ノード数が増えるにつれて各ノードが担当する計算サイズが減少し,通信遅延によるスケーラビリティの低下が顕著に現れる.提案する密結合FPGAクラスタは,小さな通信オーバーヘッドを実現する1次元リングのアクセラレータドメインネットワーク(ADN)を持つ.本研究では,ADNを効率良く用いるための,LBM専用計算機アーキテクチャを提案する.アクセラレータの実効性能モデルを構築することにより,アクセラレータの性能が,FPGA上の演算リソース量,オンチップメモリサイズ,ネットワーク帯域のいずれかにより制約されることを明らかにする.また,性能を左右する要因として,メモリ帯域よりもむしろFPGA間ネットワークの帯域が特に重要であることを明らかにする.ネットワーク帯域が広ければ,より多くのFPGAに対して性能が向上可能となる.以上の結果は密結合FPGAクラスタにおけるADNの重要性を示す.
著者
下村 孝 山本 祐子
出版者
日本緑化工学会
雑誌
日本緑化工学会誌 = Journal of the Japanese Society of Revegetation Technology (ISSN:09167439)
巻号頁・発行日
vol.34, no.1, pp.109-114, 2008-08-31
参考文献数
12
被引用文献数
1 1 1

キンモクセイに2度の開花ピークが見られるとの伝聞にもとづき,その実態を科学的に解明するために,京都北区の住宅地域内に植栽されているキンモクセイを対象に形成花芽数と開花花芽数,開花小花数を経時的に計測した。その結果,キンモクセイは,2007年10月11日の開花ピークの後,10月23日に2度目の開花ピークを迎え,二度咲き現象が見られることが明らかになった。2度目のピークでは,開花小花数が1度目に比べると極端に少なく,全体の香りも弱いため,一部の人々にしか認知されていなかったともの理解された。当年生枝と前年生枝の花芽の種類と数,および開花小花数の測定から,キンモクセイでは,当年生枝と前年生枝の葉腋に形成される定芽以外に不定芽にも花芽が形成され,それらが開花することが分かった。さらに2度目の開花ピークには,当年生枝の花芽より前年生枝の花芽が,定芽より不定芽が大きく寄与することも明らかになった。前年生枝が当年生枝より不定芽を形成しやすく,キンモクセイ二度咲き現象には,前年生枝不定芽の関与が大きいと考えられる。
著者
山本 淳一
出版者
一般社団法人 日本特殊教育学会
雑誌
特殊教育学研究 (ISSN:03873374)
巻号頁・発行日
vol.35, no.1, pp.11-22, 1997
被引用文献数
1 3

2名の自閉症児について、機能的な報告言語行動が成立するための条件を検討した。対象児は、静止画、動画、実際の動作が提示される場所まで歩いてゆき、その刺激を見てから聞き手のところで、「〜が〜を〜している」という文章を用いて報告する報告言語行動連鎖が形成された。実験Iでは、そのような行動連鎖が確立し、他者動作の訓練のみによって、自己動作が用いられた場合においても適切な主語と助詞を含む文が成立し、それらが共通の刺激クラスとしてまとまることが示された。実験IIでは、報告言語行動に伝達の機能をもたせるため、行動連鎖の中に、聞き手の名前を「呼びかける」言語反応を組み込んだ。その結果、未知の聞き手に対しても自発的呼びかけが成立した。すなわち、聞き手の注意を向けてから言語報告を行う行動が確立した。実験IIIでは、実際の教室場面において、獲得された行動連鎖の般化が評定された。その結果、聞き手を特定する手がかり刺激を与える手続きを付加することで、適切な呼びかけ反応ならびに適切な報告言語行動が生起した。これらの結果は、叙述的機能をもつ報告言語行動の機能化と般化のためのプログラム構成という点から考察された。
著者
トイボネン トゥーッカ 山本 耕平
出版者
関西社会学会
雑誌
フォーラム現代社会学 (ISSN:13474057)
巻号頁・発行日
no.13, pp.102-110, 2014-05-31

社会起業および社会イノベーションという概念は、この20年間で、新たな実践と研究の領域を切り開いてきた。しかし、社会起業家の社会イノベーションの事例などについては研究が蓄積されてきた一方で、起業家の恊働については十分な研究がなされていない。そこで本稿では、この側面をより体系的に探究するための、柔軟な枠組みを構築することを目指す。社会起業という領域における恊働は、いわゆる社会イノベーション・コミュニティー-恊働を可能にする物理的環境およびインターネット環境に加えて、社会起業の文化によって動かされる混合体-という文脈で展開されるようになっている。いまやこうしたコミュニティーは世界中で生まれているが、これはさらに、当初の恊働関係を超えてより広範な社会イノベーションの「回路をつなぎ換える」ような、恊働体(collaborative community)と見なせるだろう。社会イノベーション・コミュニティーは、多様な参与者を取り込み、学習と創造能力の向上を促進することで、創意にあふれ、かつ持続可能な経済への転換を触発するようになっている。こうしたコミュニティーや、それがもたらすイノベーションのプロセスおよび影響にかんするさらなる研究においては、社会ネットワーク分析、社会関係資本の理論、エスノグラフィーといった多様なアプローチが実り多い成果を生むと思われる。

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著者
菅原 裕文 西間木 真 坂田 奈々絵 久米 順子 高橋 英海 岩波 敦子 山本 芳久 久木田 直江 高津 秀之
出版者
早稲田大学ヨーロッパ中世・ルネサンス研究所
雑誌
エクフラシス : ヨーロッパ文化研究 (ISSN:2186005X)
巻号頁・発行日
vol.4, pp.149-157, 2014-03-20

後期ビザンティン聖堂 (13~15c) におけるプラティテラ型聖母子像 / 写本学 (codicologie) とリヴァイヴァル / 12世紀のサンドニ修道院における擬ディオニシオス文書の伝統 / キリスト教美術とイスラーム美術が交差するところ -中世スペインの場合- / ギリシア語からシリア語、アラビア語への翻訳 -誰が何をなぜ翻訳したのか- / 地中海からピレネーを越えて -中世ヨーロッパの自然科学 知の受容と伝播- / トマス・アクィナス 『対異教徒大全』 の意図と構造 / The Book of Ghostly Grace -ハッケボーンのメヒティルドの霊性と中世医学- / 「宗教改革百周年」 の挿絵入りビラ - 「図像から読み取る歴史」 から 「図像がつむぐ歴史」へ-
著者
山本 悠二 増山 繁
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告自然言語処理(NL) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2007, no.113, pp.15-22, 2007-11-19
被引用文献数
1 2

本稿では,係り先候補の相対的な距離を反映した統計的日本語係り受け解析手法を提案する.統計的係り受け解析手法は,文節間の係りやすさを訓練データから推定する.その際,従来手法では,文節間の距離はいくつかのカテゴリに分けられ,推定に用いられる素性として明示的に与えられる.しかし,複数の文節間候補が同一の距離カテゴリに属する場合,距離による弁別ができないため,最尤の係り先を決定することが困難である場合が多い.そこで提案モデルでは,文節候補集合中の二つの文節候補を逐次的に取り出し,どちらが係り元に近いかを明示させて係りやすさの推定を行う.京都大学コーパスを用いて実験を行った結果,係り受け正解率 91.60 %,文正解率 56.33 % となり,ベースライン手法と比べて有意に改善していることが確認された.We propose a novel method for statistical Japanese dependency analysis, which reflects relative distances among modifee candidates. Statistical Japanese dependency analizers estimate a dependency likelihood between a pair of bunsetsu chunks from training dataset. In conventional approaches, distances between pairs of bunsetsu chunks are divided into some feature categories, and the categories are embedded into training feature set explicitly. However, modifee candidates that belong to the same distance category, are possibly hard to be selected the most likely one, since they can not be distinguished by their distance categories. The proposed method selects two modifee candidates from all candidates sequentially. Each of the two modifee candidates and its modifier estimate the dependency likelihood after the modifee candidate appends extra information whether it is nearer from its modifier. The experimental results using Kyoto University Corpus achieved a dependency accuracy of 91.60% and a sentence accuracy of 56.33% respectively. We confirmed that the proposed method improved both dependency and sentence accuracy significantly, compared with the base-line method.
著者
山本 一登 相馬 充 谷川 清隆
出版者
国立天文台
雑誌
萌芽研究
巻号頁・発行日
2007

本研究は神田茂氏の「日本天文史料」をXMLでマークアップ化を行い、XMLデータベースを用いて実装し、Webアプリケーションとして公開することおよび、マークアップの仕様を公開することが目的である。平成20年度は、「日本天文史料」の文献のデータモデルの策定とデータ校正作業の完了を目指し、作業を進めた。データ校正作業は中西華氏に従事していただき、校正作業に関してはほぼ完了することができた。データモデルの策定は山本と中西華氏と共同で議論しながら策定を進めた。YAML形式でデータを作成することで、入力作業の簡易化を目指して策定を進めたが、文献構造の形態が予想以上にさまざまあり、細かい部分のモデルの策定作業が残ってしまった。データ入力作業は継続して続けていき完成を目指す予定である。日食帯の描画ツールについては実装も完了し、公開に向けてサーバの準備中である。この描画ツールの最大の特徴は地球自転変動パラメータΔTだけでなく潮汐補正値もパラメータとして変化させて日食帯を描画させることができることである。7月7〜11日にオーストラリアで開催された第6回東洋天文学史国際会議にて谷川が「春秋時代の日出・日入帯食」について、相馬が「7世紀の日本の天文学」についてそれぞれ発表を行った。また、12月19、20日に同志社大学・今出川校地にて第2回天文学史研究会および談天の会第41回例会を開催した。関西方面のみならず、遠方からの参加者も多くあり、とても有意義な研究会となった。この研究会の記録は集録として発行した。
著者
山本 彩
出版者
北海道大学大学院教育学研究院
雑誌
北海道大学大学院教育学研究院紀要 (ISSN:18821669)
巻号頁・発行日
no.119, pp.197-218, 2013

近年,自閉症スペクトラム障害(以下ASD)をもつ人への支援方法は急速に発展してきたが,その多くは本人への直接支援を前提としているものであり,本人への支援が必要と考えられるが本人は支援を拒否するという場合については,介入方法は未整理であった。支援を拒否する本人の支援への動機づけを高めるためには,物質依存者とその家族を包括的に介入するCommunity Reinforcement and Family Training(以下CRAFT)が参考になると考えられるが,CRAFT は本人が深刻な家庭内暴力や犯罪行為をもつ場合にはプログラム適用から除外するという課題が残る。筆者は,本人がASD 特性を背景にもち支援を拒否している,家庭内暴力や違法行為などの行動の問題に対して,CRAFT,危機介入,ASD 支援の先行研究を組み合わせたプログラムを作成し用いている。本稿ではそのプログラムの理論的背景と具体的内容を紹介し,最後に考察を加える。 Support programs for individuals with autism spectrum disorder (ASD) have grown rapidlyin recent years, and many such initiatives are designed to provide direct support. No interventionprograms have been established for ASD patients who are reluctant to receive support despite theapparent need. Against such a background, the Community Reinforcement and Family Training(CRAFT) program is regarded as a useful resource for motivating reluctant ASD patients toaccept support. CRAFT is intended to provide comprehensive help to individuals requiring assistance for substance abuse and to individuals' families. However, CRAFT is not available topeople who commit acts of serious domestic violence or perpetrate crimes. The study developsa program that integrates CRAFT, crisis intervention, and other approaches covered in previousstudies on support for individuals with ASD. Highlighting the program's theoretical background and details, this study discusses a number of additional consid erations.
著者
山本 茂 中森 正代 酒井 徹 武田 憲明 吉池 信男 酒井 徹 武田 憲昭 吉池 信男
出版者
お茶の水女子大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2006

本研究は、亜鉛の栄養状態が子どもの成長や、予防接種(麻疹)による免疫の獲得を含めた感染症の罹患に与える影響について検討することを目的とした。ベトナム北西部Bac Giang省YenThe地区を代表する4村において、6ヶ月齢~2歳の乳幼児とその母親を対象とし、乳幼児の亜鉛の栄養状態、母乳および離乳食からの亜鉛摂取状況、成長発達、予防接種後の麻疹抗体価および感染症の発症について調査を実施し、栄養介入を今後実施するために有益な知見を得た。
著者
前田 青広 福永 雅喜 中越 明日香 山本 洋紀 山本 謙一郎 田中 忠蔵 恵飛須 俊彦 梅田 雅宏 江島 義道
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. HIP, ヒューマン情報処理 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.103, no.39, pp.13-18, 2003-05-02

Kanizsa型輪郭錯視では、パックマン型誘導刺激のエッジ間を補完するように主観的輪郭線が形成される.本研究では、Kanizsa型輪郭錯視図形を観察している被験者の脳活動をfMRIを用いて測定した。実験は、パックマン開口部の同期を制御し、局所的な輝度変調のないブロックデザインで行った。主観的輪郭線に対する脳活動は、実輪郭線に対する脳活動と高い類似性を示した。また、脳活動は従来示されてきた線条外皮質だけでなく、線条皮質においてもロバストに観察された。さらに、錯視輪郭を形成しない誘導図形を用いた場合でも、同様の傾向が見られた。上記の結果を、レチノトピー、輪郭形成過程、形態形成過程の観点から考察した。
著者
村田 悠也 山本 学 寺野 隆雄
出版者
人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 (ISSN:13479881)
巻号頁・発行日
vol.28, 2014

大規模エージェントシステムのベンチマークとして適切なものは知られていない.本研究では,移動目標探索を拡張し障害物が動的に変化する環境での実時間探索問題をエージェントシステム上に実現し,ベンチマークとして有用であるか考察する.移動目標探索では,探索側の速度が大きく,問題空間が有限で,目標までの経路が存在すれば,必ず目標に到達する.しかし,動的環境ではある時間において到達経路が存在するとは限らない.
著者
山本 篤 山口 和紀
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.44, no.7, pp.1756-1765, 2003-07-15
参考文献数
14

正規表現は,パターンマッチングを行うためのツールとして広く利用されている.しかし,さまざまな応用で拡張されてきたのにともない,次のような問題が出てきている.1)標準的に使われている正則集合による意味づけでは,後方参照がうまく定義できていない,2)オートマトンを用いたパターンマッチングの実装において,状態数やバックトラックの回数が爆発することがある,3)正規表現の積や差を直接的に利用できない.本研究では,このような問題を解決するために,正規表現関数と呼ぶ関数を導入する.正規表現関数は,記号列集合を入出力とする関数であり,マッチする記号列を消費して出力するものである.たとえば,正規表現 a* が a の繰返しにマッチすることは,その正規表現関数が,a*({ab aa b}) = {ab b aa a ε} という入出力関係を持つことで表される.これを拡張し,変数を扱えるようにすることで,後方参照も含めた正規表現を定義することができる.また,正規表現関数を用いたパターンマッチングの実装が可能であり,後方参照のない場合には計算量の爆発を避けることができ,比較実験でも優位なケースを確認した.さらに,正規表現の積と差を導入し,これらが正規表現関数によって簡単に実装できることを示す.最後に,正規表現の積や差を用いる応用例としてHTMLなどへのパターンマッチングをあげる.Regular expressions have been used widely for pattern matching.However the following problems are getting serious in some applications.1) The definition of regular expressions cannot be extended to back reference,which is a popular extension of regular expressions.2) The implementations of pattern matching in automata suffer from the explosion of time or space complexity for some regular expression patterns.3) In the conventional regular expressions,we cannot use intersection and difference operators, which are useful in some applications.In this paper, we introduce a ``regular expression function'' from a set of strings to a set of strings.This function eliminates matching prefixes with given regular expressions from the input strings and outputs the remaining postfixes.For example, a({ab,aa,b})={ab,b,aa,a,ε}.This function can be extended to give a semantics to regular expressions with back references.Then,we show that we can perform pattern matching by interpreting the regular expression function directly without the explosion of time and/or space complexity,which is confirmed by our preliminary implementation.We also introduce intersection and difference operators and show that the regular expression function can be extended to handle these operators easily.Finally, we briefly show some possible applications of the operators.