著者
山本 利一 田嶋 基史
出版者
日本教育情報学会
雑誌
年会論文集
巻号頁・発行日
no.16, pp.100-103, 2000-11-11

福井県立福井商業高等学校は,文部省の「光ファイバー網による学校ネットワーク活用方法の研究開発事業」により,1.5Mbpsの高速回線の利用が可能となった.しかし,その環境を有効に活用するための,校内設備やスキルを持ち合わせていなかった.そのため,NetDayにる校内LANの構築を地域ボランティアの協力のもとに行い,校内LANの環境を整えた.
著者
山本 昌樹 林 省吾 鈴木 雅人 木全 健太郎 浅本 憲 中野 隆
出版者
日本理学療法士協会(現 一般社団法人日本理学療法学会連合)
雑誌
理学療法学Supplement Vol.40 Suppl. No.2 (第48回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.48100444, 2013 (Released:2013-06-20)

【はじめに】上腕筋は,上腕骨前面下半部に単一の筋頭を有するとされるが,Gray’s Anatomy(2005)においては「2 〜3 部からなる変異が見られる」と記載されている.一方,Leonello et al.(2007)は,「上腕筋は,全例において浅頭と深頭の2 頭を有する」と報告している.我々は,第16 回臨床解剖研究会(2012)において,上腕筋が3 頭から構成されることを明らかにするとともに,肘関節屈曲拘縮との関連について報告した.今回,これら3 頭の形態的特徴と機能について考察する.【対象および方法】愛知医科大学医学部において,研究用に供された解剖実習体15 体24 肢を対象とした.上肢を剥皮後,上腕二頭筋,腕橈骨筋,長・短橈側手根伸筋を展開した.上腕筋を起始部より分離して筋頭を同定し,筋頭の走行や配列を詳細に観察した.【倫理的配慮,説明と同意】本研究は,死体解剖保存法に基づいて実施し,生前に本人の同意により篤志献体団体に入会し研究・教育に供された解剖実習体を使用した.観察は,愛知医科大学医学部解剖学講座教授の指導の下に行った.【結果】全肢において,上腕筋は,三角筋後部線維から連続する筋頭(以下,外側頭),三角筋の前方の集合腱から連続する筋頭(以下,中間頭),上腕骨前面から起始する筋頭(以下,内側頭)に区分することができた.外側頭は,上腕骨の近位外側から遠位中央に向かって斜めに,かつ,浅層を走行して腱になり,尺骨粗面の遠位部に停止していた.中間頭は,最も薄く細い筋束であり,内側頭の浅層を外側頭と平行して走行し,遠位部は内側頭に合流していた.内側頭は,最も深層を走行し,停止部付近においても幅広く厚い筋腹から成り,短い腱を介して尺骨粗面の近位内側部に停止していた.これら3 頭は,上腕中央部においては,外側から内側へ順に配列していた.しかし肘関節部においては,外側頭と中間頭は浅層に,内側頭は深層に配列していた.また,内側頭の縦断面を観察すると,一部の線維が肘関節包前面に付着する例が存在した.これらの例において肘関節を他動的に屈曲させると,内側頭とともに関節包の前面が浮き上がる様子が観察された.【考察】上腕筋を構成する3 頭は,内側から外側へ配列しているだけではなく,各頭が特徴的な走行や形態を呈するため,それぞれ異なる機能を有することが推測される.上腕筋外側頭は上腕骨の近位外側から遠位中央へ,一方の上腕二頭筋は近位内側から遠位中央へ斜走する.そのため肘関節屈曲時,上腕筋外側頭は前腕近位部を外上方へ,一方の上腕二頭筋は内上方へ牽引すると考えられる.すなわち肘関節屈曲時,外側頭と上腕二頭筋は共同で,前腕軸の調整を行うと考えられる.また外側頭は,3 頭の中で最も遠位に停止し,肘関節屈曲における最大のレバーアームを有するため,肘関節屈曲における最大の力源になることが示唆される.さらに,外側頭は三角筋後部線維から連続するため,三角筋の収縮によって,作用効率が変化する可能性がある.換言すれば,外側頭の作用効率を高めるためには,三角筋後部線維を収縮させた上で肘関節屈曲を行うことが有効であると思われる.内側頭は,肘関節部において深層を走行し,幅広く厚い筋腹を有する.したがって,肘関節屈曲時に収縮して筋の厚みが増すことによって,外側頭のレバーアームを維持または延長し,その作用効率を高める機能を有すると考えられる.また,肩関節の腱板が上腕骨頭を肩甲骨へ引き寄せる作用と同様に,内側頭は,尺骨滑車切痕を上腕骨滑車に引き寄せ,肘関節の安定性向上に寄与すると考えられる.さらに,内側頭が関節包前面に付着する例があることから,肘関節運動に伴う関節包の緊張度を調節する機能が示唆される.換言すれば,内側頭の機能不全によって,関節包前面のインピンジメントや肘関節屈曲拘縮が惹起される可能性が推測される.中間頭は,最も薄く細いため,その機能的意義は小さいと思われる.しかし,上腕中央部においては外側頭と並走し,遠位部においては内側頭に合流することから,外側頭と内側頭の機能を連携する,文字通り‘中間的な’役割を担うと考えられる.上腕筋は,3頭を有することによって,肘関節屈曲における前腕軸の調整,作用効率の向上,肘関節包の緊張度の調節など複合的な機能を担うと考えられる.また,肘関節屈曲に関しては,主として外側頭が機能することが示唆される.【理学療法学研究としての意義】根拠に基づく理学療法を行うためには,とくに筋骨格系に関する機能解剖学的かつ病態生理学的な研究が不可欠である.本研究は,上腕筋の筋頭構成を詳細に観察し,肘関節運動に対する関与について考察を加えたものであり,肘関節拘縮の病態理解や治療の発展にも寄与すると考える.
著者
近藤 厚生 師田 信人 岡井 いくよ 山本 憲朗 近藤 厚哉 渡邉 智之
出版者
公益社団法人 日本ビタミン学会
雑誌
ビタミン (ISSN:0006386X)
巻号頁・発行日
vol.92, no.1, pp.1-17, 2018 (Released:2019-01-31)

The Medical Research Council vitamin study has unequivocally demonstrated in 1991 that 72 percent of recurrence of neural tube defects (meningomyelocele and anencephaly) were successfully prevented by taking 4 mg of folic acid periconceptionally. Of 87 countries whose major staples were forti¿ed with folic acid, micronutrients, or minerals, 81 have implemented food forti¿cation with folic acid and observed a significant decline of neural tube defect prevalence following the fortification program. The Ministry of Health and Welfare in Japan recommended in 2000 that women planning to conceive should take folic acid supplements of 400 μg daily. During the past 16 years, however, prevalence of meningomyelocele has not decreased but remains rather stable, from 5 to 6 per 10,000 births (live births and stillbirths). A total of 542 newborns, i.e., 502 with meningomyelocele and 40 with anencephaly, were estimated to be born in the year of 2015. Furthermore, if fetuses terminated during pregnancy were counted, the real number of them would probably climb up to 2169 and would be 4 times as many as the number of¿cially reported. Since longstanding recommendations alone have not worked properly, we would like to urge the government to implement mandatory food forti¿cation with folic acid, which will certainly decrease the number of afÀicted patients and lead to economic bene¿ts and signi¿cant reduction in the cost burden on the healthcare system and healthcare payers.
著者
髙岡 昂太 坂本 次郎 橋本 笑穂 北條 大樹 古川 結唯 菊池 愛美 佐藤 瑛洋 先光 毅士 山本 直美 鈴木 聡
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第34回 (2020) (ISSN:27587347)
巻号頁・発行日
pp.1D4GS1305, 2020 (Released:2020-06-19)

日本では推計で毎年500人の子どもが虐待で死亡している。親が嘘をつく場合や、子どもが加害者から脅され話せないなど、正確な情報収集が難しい課題がある。ベテラン職員であっても判断を誤ることがあるため、虐待対応には判断の質の向上が喫緊に求められる。さらに、増加する虐待通告件数に対応する施策も満足に打てていないことが問題である。申請者らは現場職員の判断を支援し、かつ虐待件数増加に対応する施策決定に向けたAI実証実験を2019年7月より始めた。現場と達成目標をすり合わせた上で、一時保護すべきケースの見過ごしを無くすため、予測精度の高い勾配ブースティングを実装した。また、将来的な再発率や重篤度の算出には、現場の説明責任を担保するため、因果推論を行う確率モデリングを採用した。試行の進捗として①現場の業務フローの差異の把握、②データ収集の調整、③パラメーターチューニング、④UI/UXの改修を含むアジャイル開発、⑤ICTが得意または苦手なユーザーへの研修の配慮など、社会課題解決に向けた社会実装で得た知見について発表を行う。
著者
田中 惣治 山本 澄子
出版者
バイオメカニズム学会
雑誌
バイオメカニズム (ISSN:13487116)
巻号頁・発行日
vol.23, pp.107-117, 2016 (Released:2017-08-01)
参考文献数
9
被引用文献数
9 2

麻痺側立脚期の膝関節の動きにより片麻痺者の歩行パターンを分類し, 歩行パターンの違いにより歩行時の下肢筋活動と運動力学的特徴が異なるか, 三次元動作分析装置と表面筋電計を用いて分析した. 回復期片麻痺者35名を対象とし, 歩行時の膝関節と下腿傾斜角度から, 健常者の膝の動きと近い健常膝群 (15名), 荷重応答期と単脚支持期にそれぞれ膝関節が伸展する初期膝伸展群 (5名) と中期膝伸展群 (15名) に分類した. 結果, 健常膝群は荷重応答期で腓腹筋の筋活動を抑えながら前脛骨筋が働くため十分な背屈モーメントを発揮し, 踵ロッカーが機能した. 中期膝伸展群は荷重応答期で腓腹筋の筋活動が大きいため背屈モーメントが十分に発揮されず, 踵ロッカー機能が低下しており, 初期膝伸展群は荷重応答期で前脛骨筋の筋活動が小さく背屈モーメントが発揮されないことから, 踵ロッカーが機能しないことが明らかになった.
著者
山本 剛史 山吉 麻子
出版者
日本DDS学会
雑誌
Drug Delivery System (ISSN:09135006)
巻号頁・発行日
vol.37, no.2, pp.131-141, 2022-03-25 (Released:2022-06-25)
参考文献数
55

近年、新たな創薬モダリティとして「核酸医薬」に大きな注目が集まっている。人工核酸技術により、1)標的親和性・選択性、2)生体内安定性、3)免疫応答などの副作用などの課題が次々と克服され、適応疾患の拡大が精力的に進められている。一方で、高度に最適化された核酸医薬においても未だ副作用が認められ、広い普及には至っていない。本稿の目的は、核酸医薬と生体との物理化学的相互作用を分類・整理することで、より有効で安全な核酸医薬を開発する(核酸医薬と物質共生する)ための糸口を見つけることである。
著者
山本 寛 Vo Nguyen Trung 貝田 佐知子 山口 剛 村田 聡 谷 眞至
出版者
日本外科代謝栄養学会
雑誌
外科と代謝・栄養 (ISSN:03895564)
巻号頁・発行日
vol.50, no.4, pp.199-204, 2016 (Released:2017-01-17)
参考文献数
18

高度肥満症に対する減量手術は,2型糖尿病(T2DM)をはじめとするメタボリックシンドロームを改善する効果があり,肥満T2DMのみならず,非肥満糖尿病患者に対してもT2DMを手術で治す,いわゆるメタボリックサージェリーが注目されている.しかし,手術によりT2DMが改善するメカニズムは明らかにされていない.基礎的・臨床的検討から,手術により過剰分泌するインクレチンをはじめとする消化管ホルモンがT2DM改善のキープレーヤーであることが考えられている.特に,消化管の部位により分泌される消化管ホルモンが異なることが重要であると考えられる.【方法】今回われわれは,ラットの胃・十二指腸・空腸・回腸の異なる4カ所の消化管に栄養チューブを留置したモデルを作成した(各n=10).チューブ留置1週間後に,意識下ラットに栄養チューブより50%ブドウ糖をゆっくりと注入し,ブドウ糖負荷後0,10,30,60,120,180分に大腿静脈カテーテルから採血し,血糖・インスリン・GLP-1を測定した.インスリン感受性はMatsuda indexを用いて評価した.【成績】回腸からのブドウ糖注入では,他の部位に比較し,ブドウ糖負荷後の血糖は低値を示した.ブドウ糖負荷後の血中インスリン・GLP-1は,胃・回腸からの注入に比べ十二指腸・空腸からの注入で高値を示した.インスリン感受性は,十二指腸・空腸からの注入に比べ回腸からの注入で高値を示した.【結論】ブドウ糖負荷後の血糖・インスリン・GLP-1値は,ブドウ糖を注入する消化管の部位により異なった反応を示した.十二指腸・空腸をバイパスし,回腸に直接ブドウ糖を負荷することにより,インスリン感受性が高まり血糖上昇は抑えられた.
著者
山本 直樹
出版者
公益社団法人 計測自動制御学会
雑誌
計測と制御 (ISSN:04534662)
巻号頁・発行日
vol.50, no.11, pp.937-943, 2011-11-10 (Released:2021-12-08)
参考文献数
5
被引用文献数
2
著者
森田 千晶 山本 澄子
出版者
日本義肢装具学会
雑誌
日本義肢装具学会誌 (ISSN:09104720)
巻号頁・発行日
vol.23, no.1, pp.75-82, 2007-01-01 (Released:2010-02-25)
参考文献数
9
被引用文献数
5

片側上肢切断が姿勢にどのような影響を及ぼすのかについて, 安静立位姿勢に着目して運動学的分析を行った. 片側上肢切断者10名 (前腕切断5名, 上腕切断3名, 肩離断2名) と健常者10名 (20代男性) を被験者とし, 安静立位姿勢を3次元動作解析装置VICONにて測定した. 前額面での体幹の傾き (側屈) と左右への偏り, 水平面での回旋, また前額面での重心について分析を行った. 前額面での偏りのみ健常者と有意差が認められた. 水平面での回旋も有意差は認められなかったが, 上肢切断者が大きかった. 重心は両者とも大きな偏りはなかった. 上肢の物理的欠損による体重心の移動は前額面での姿勢に影響するが, 水平面での回旋も含めて義手使用や残存上肢の使い方も姿勢に影響することが示唆された.
著者
山本 泰大 渡邊 紘章 櫻井 愛菜 近藤 綾子 浅井 泰行 木原 里香 小田切 拓也
出版者
日本緩和医療学会
雑誌
Palliative Care Research (ISSN:18805302)
巻号頁・発行日
vol.16, no.1, pp.55-58, 2020 (Released:2021-02-16)
参考文献数
11

【緒言】終末期がん患者に対して,痙攣発作の治療を目的とした抗痙攣薬の使用は臨床現場において稀でなく,経口および静脈投与不可能な症例への治療選択が求められることは少なくない.われわれは終末期がん患者で末梢血管の確保ができない症例に対してレベチラセタム(LEV)注を皮下注射した症例を3例経験したため報告する.【症例】3症例の年齢は83,75,82歳で,LEV皮下注射の投与時期は予後1カ月程度であった.3例ともLEVを点滴静脈から皮下へ投与経路変更した事例である.LEV皮下注射の実施後,痙攣の増悪や注射部位反応,その他の有害事象は確認できなかった.【考察】末梢血管確保の不可能な終末期がん患者においてLEVの皮下注射は痙攣発作の治療の選択肢の一つとなり得ると考える.
著者
杉原 辰哉 山陸 孝之 山本 美幸 藤田 和絵 門永 陽子 芦田 泰之
出版者
一般社団法人 日本臨床衛生検査技師会
雑誌
医学検査 (ISSN:09158669)
巻号頁・発行日
vol.72, no.3, pp.349-357, 2023-07-25 (Released:2023-07-25)
参考文献数
9

心電図について講義を行った救急救命士および救急隊員に対しアンケート調査を実施し,救急現場における疑問点や需要を明らかにした。対象は島根県内の消防本部に所属する救急救命士62名,救急隊員20名。病院前12誘導心電図(PH-ECG)の現状と重要性,モニターおよび12誘導心電図の装着方法とコツ,頻出する心電図の判読,急性心筋梗塞の心電図判読,頻脈性不整脈の心電図判読について講義を実施した。アンケート内容については,上記講義内容の理解度についての回答とST変化の評価,脚ブロックとの鑑別,鏡面現象の理解について回答を設定した。職種別の認知度と理解度の違いは,全ての質問項目において救急隊員に比べ救急救命士が有意に高値であった。項目別の認知度の違いは,ST変化の評価に比べ,脚ブロックとの鑑別は有意に低値であった。救急救命士と救急隊員は共通してST変化の評価は理解できているが,脚ブロックとの鑑別における知識は不十分な傾向にあり,救急現場で誤った判読をしてしまう可能性もある。理解度が低かった項目に重点を置いて講義内容を作成し,理解を深め,救急救命士および救急隊員と病院間における報告や連携の質の向上に繋げていく。
著者
山本 理絵 斉藤 剛 青木 弘道 飯塚 進一 秋枝 一基 猪口 貞樹
出版者
一般社団法人 日本救急医学会
雑誌
日本救急医学会雑誌 (ISSN:0915924X)
巻号頁・発行日
vol.25, no.12, pp.865-873, 2014-12-15 (Released:2015-03-12)
参考文献数
20
被引用文献数
2 2

急性薬物中毒は救急医療において重要な分野の一つであり,起因物質の特定は治療を行う上で極めて重要である。厚労省により薬毒物分析機器の配置が行われてきたが,機器による分析は難しく,簡便かつ迅速な検査法として尿中薬物簡易スクリーニングキットが多くの医療機関で使用されている。しかし,尿中薬物簡易スクリーニングキットは分析対象が限定され検出不能な薬物があること,体内動態や交差反応による陽性や感度不足による陰性があることから,薬物の特定には定量分析が必要となる。本研究では,ガスクロマトグラフ質量分析装置(gas chromatograph mass spectrometer: GC/MS)や液体クロマトグラフ質量分析装置(liquid chromatography-tandem mass spectrometer: LC-MS/MS)による血中薬物の定量分析結果をgolden standardとして,当院で使用している尿中薬物簡易スクリーニングキットTriage DOA® の臨床的有用性について検討した。2009年4月~2013年3月までに当施設を受診し入院となり,Triage DOA® と定量分析の双方を施行した急性薬物中毒822例を研究対象とした。ベンゾジアゼピン系睡眠薬およびベンゾジアゼピン系抗不安薬(BZO),バルビツール酸系睡眠薬(BAR),三環系抗うつ薬(TCA),アンフェタミン系覚醒剤(AMP)に対するTriage DOA® の感度,特異度,陽性的中率,陰性的中率,偽陽性率,偽陰性率について検討した。検討の結果,Triage DOA® にはいくつかの問題はあるが,救急初期治療の一次スクリーニング検査としては有用であった。しかし,TCA,AMPの陽性的中率は低く,BZOは陰性的中率が低いことから,救急現場ではTriage DOA® の解釈には十分な注意が必要である。また,近年本邦では尿中薬物簡易スクリーニングキットでは検出できない抗精神病薬やselective serotonin reuptake inhibitor,serotonin and norepinephrine reuptake inhibitorなどの抗うつ薬が数多く使われている。尿中薬物簡易スクリーニングキットで陰性でもこれらの薬物を服用している可能性を念頭に置いて初期治療を行う必要がある。
著者
山藤 勝彦 山本 建 澤田 賢治
出版者
一般社団法人 日本機械学会
雑誌
日本機械学会論文集 (ISSN:21879761)
巻号頁・発行日
vol.83, no.852, pp.16-00553-16-00553, 2017 (Released:2017-08-25)
参考文献数
11
被引用文献数
1

This paper describes self-excited oscillation caused by coulomb friction of electromagnetic proportional valve. Especially, this research focuses on a hydraulic system in which electromagnetic proportional and pressure proportional valves are located tandem. In the system, the coulomb frictional force effects on the displacement direction of the spool of the former valve and the piston is established in the downstream region of the latter valve. Each valve is stable, but, the connection of them causes instability. This paper analyzes the mechanism of this unstable vibration and then investigates an anti-vibration design method. In analysis, this paper clarifies that the vibration is caused by an elastic deformation delay of the oil in the piston. This delay increases the phase delay of the spool due to the coulomb frictional force. After replacing the coulomb frictional force with hysteresis, the proposed method uses the describing function method to express phase delay phenomenon due to the coulomb frictional force. The describing function is the complex function which expresses an amplitude ratio and phase difference with the input and output of nonlinear element. The delay of a vibration factor is linearized by converting coulomb friction into hysteresis. The effectiveness of the proposed method is demonstrated via practical experiment and non-linear simulation results.
著者
大谷 圭 山本(矢田) 恵麗奈 卯津羅 雅彦 武田 聡
出版者
日本救急医学会関東地方会
雑誌
日本救急医学会関東地方会雑誌 (ISSN:0287301X)
巻号頁・発行日
vol.42, no.4, pp.95-99, 2021-12-28 (Released:2021-12-28)
参考文献数
5

2型糖尿病でipragliflozinなどを経口内服治療中の51歳の男性。受診の7日前から嘔吐と下痢が始まり, 症状が改善せずに救急受診となった。初診時は高血糖やケトーシスを認めず急性胃腸炎と診断され帰宅となったが, すぐに症状が再燃し, 嘔吐に加え脱力の症状も出現したため翌日に再度救急受診となった。このときに患者が過度の食事制限を行い, 3週間で17kgと著明な体重減少をきたしていたことが判明した。検査所見と上記情報から本症例は正常血糖ケトアシドーシスと診断し, 緊急入院で輸液・カリウム補充・インスリン投与を行い, 第15病日に軽快退院した。Sodium glucose co-transporter (SGLT) 2阻害薬内服患者が体調不良などで救急診療をする際には正常血糖ケトアシドーシスを発症している可能性もあるが, 本症例のように初診で急性胃腸炎や脱水症などと診断される恐れもあり, 救急医にとってこの疾患を想起することは重要であると考えられた。