著者
森谷 武男 茂木 透 高田 真秀 山本 勲
出版者
北海道大学大学院理学研究院自然史科学部門(地球物理学) = Department of Natural History Sciences (Geophysics), Graduate School of Science, Hokkaido University
雑誌
北海道大学地球物理学研究報告 (ISSN:04393503)
巻号頁・発行日
vol.72, pp.269-285, 2009-03-15

A new observation system established in Hokkaido, northern Japan to confirm a suspected relationship between anomalous radio-wave propagation and impending earthquakes has been documenting anomalous VHF-band radiowave propagation beyond the line of sight prior to earthquakes since December, 2002. During such events, radio waves transmitted from an FM radio station were scattered, such that they could be received by an observation station beyond the transmitting station's line of sight. A linear relationship was established between the logarithm of the total duration time of the anomalous transmissions (Te) and the magnitude (M) or maximum seismic intensity (I) of the impending earthquake for M4- to M5-class earthquakes that occurred at depths of about 50 km beneath the Hidaka Mountains in Hokkaido, Japan in June 2004 and March 2008 as reported in the previous paper (Moriya et al., 2005). Similar linear relationships are also valid for earthquakes that occurred at other depths. Te is longer for shallower earthquakes and shorter for deeper ones. Numerous parameters seem to affect Te, including hypocenter depths and epicentral surface conditions (i.e., sea versus land). This relationship is important because it means that pre-seismic, anomalous transmission of VHF-band waves may be useful in predicting the size of an impending earthquake. To avoid misidentification of FM stations that have identical frequencies, three 64 MHz band transmitters were established, each with a unique frequency. Earthquakes that occurred in and around eastern Hokkaido scattered waves from FM-band and 64 MHz-band stations and provided quantitative relationships between Te and M, and between Te and I. Using the interferometer at the TES observation site, the incident azimuth of the scattering waves from the Hiroo station was measured. Prior to two earthquakes that occurred beneath almost the same part of the Tokachi region at depths of 86 km and magnitudes of M 4.9 and 4.0, the interferometer yielded incident azimuths of S18W and S34W. The true azimuths from TES to the hypocenters of the two earthquakes were S35W and S38W, respectively. These two measurements, therefore, suggest that anomalous transmission of VHF waves is caused by scattering at the epicenters of impending earthquakes.
著者
山本 宏樹 Hiroki YAMAMOTO 一橋大学大学院 Graduate School Hitotsubashi University
出版者
日本教育社会学会
雑誌
教育社会学研究 = The journal of educational sociology (ISSN:03873145)
巻号頁・発行日
vol.83, pp.129-148, 2008-12-15

Researchers seem to agree unanimously on the unreliability of official statistics on futoko children (school refusers), making it difficult to uncover the social factors behind the phenomenon. Though many researchers have questioned whether the official statistics can explain the reality of futoko, there has been no verification of the reliability and validity of the statistics. The aim of this study is to examine this issue and formulate an alternative plan for statistics. To achieve this aim, the author used the "School Basic Survey" from 1966 to 2006 and examined futoko rates within the "Long absentee" data from 47 prefectures, which is divided into subclasses by the following reasons: "Illness," "Economic reason," "Futoko" and "Others." The actual differences between areas were then analyzed using a five-number summary. As a result, the two following facts were clarified. Firstly, it is impossible to compare the data on "Futoko," "Illness" and "Others" between prefectures because of differences in the investigation methods. From the beginning, the classification standards differ from prefecture to prefecture, and this leads to local differences. Secondly, the method for sorting data was changed in 1998, comparisons across time periods invalid. In conclusion, the author recommends using data on "Long absentees" as a measure for the futoko phenomenon because the official statistics on futoko have already lost validity. Statistics on long absentees are much better than those on futoko to show the reality of the phenomenon. Finally, the author discusses both the advantages and disadvantages of using data on "Long absentees," confirms the existence of differences among regions at the prefectural level for long absentees, and considers future prospects and tasks.
著者
青柳 にし紀 山本 もと子
出版者
信州大学留学生センター紀要
雑誌
信州大学留学生センター紀要 (ISSN:13467433)
巻号頁・発行日
no.7, pp.45-62, 2006-03
被引用文献数
1

信州大学留学生センター研修コース、第12期授業「教室外活動」の実際を報告する。本授業はプロジェクトワークの活動を中心に組み立て、学習者の主体性を重視しながら実社会の日本人や生の日本語に触れることを目的とした授業である。第12期(2005年前期)「教室外活動」(水曜日午後)では試験的に授業前アンケートを実施し、学習者が日本文化の体験を多く望んでいたことから、日本文化の体験を中心に授業を組み立ててみた。さらに、学習者自身が授業の企画に携わり、教師の指導を受けながらも自律的に見学場所を決定し、実際に見学先の日本人と実行上の交渉に当たるなどの活動を取り入れた。その結果、学習者にやりがいを与えることができた反面、時間的、経済的負担が大きいなどの問題も生じた。授業前アンケートの結果を重視しすぎたとの反省から、今後は教師から提示する活動と学習者の希望を取り入れる活動とを分け、両者に検討を加えて授業を組み立てるべきだと考える。
著者
林 勲男 杉本 良男 高桑 史子 田中 聡 牧 紀男 柄谷 友香 山本 直彦 金谷 美和 齋藤 千恵 鈴木 佑記
出版者
国立民族学博物館
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2008-04-08

大規模災害被災地への人道支援や復興支援は、災害規模が大きくなるほど、地域を越え、国を越えたものとなる。そうした支援が被災地の従来の社会関係資本を正しく評価し、それを復旧・復興に活用し、さらにはその機能と価値を高めることによって、将来の更なる災害に対する脆弱性を克服することに繋がる。しかし、地域や国を越えての異なる文化や社会構造の理解は容易ではなく、多分野の専門家や住民との協働が求められる。それは、開発途上国の被災地への支援だけでなく、先進国で発生した災害の被災地支援についても同様であることが、2011年3月発生の東日本大震災で示された。平穏時から、対話と協働に基づく活動と研究が重要である。
著者
山口 作太郎 浜辺 誠 山本 勇 ファマキンワ トーシン 飯吉 厚夫
出版者
中部大学
雑誌
中部大学工学部紀要 (ISSN:09108629)
巻号頁・発行日
vol.43, pp.45-52, 2007-12

One of the superconducting (SC) applications is the electric power transmission line, and the alternate current (AC) power transmission lines are developed in many countries as the national projects. On the other hand, direct current (DC) power transmission line has many technical merits to in SC technologies. For example, short circuit current is low, we can neglect the AC loss of the SC power cables and the SC cable cost is low. Therefore, we started to construct an experimental device of the DC SC power transmission line in Chubu University from 2005 by using the high temperature superconductor. In this paper, we describe the experimental device, the first results of the experiment and its future vision of the technology and the relation with the renewable energy sources, such as solar panel and wind firms.
著者
内村 直尚 森田 喜一郎 橋爪 祐二 土生川 光成 小鳥居 望 山本 克康
出版者
久留米大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

昼休みに15分間午睡をすることによってそれ以後の眠気が減少し、午後の授業だけでなく、帰宅後の学習にも集中できた。また、週3回以上実施した者は昼夜のメリハリのある規則正しい生活リズムが確立し、夜の睡眠も深くなった。午睡導入前の3年間と導入後の3年間の大学入試センターの試験成績を比較すると明らかに導入後の試験成績は上昇していた。保健室利用者および1人当たりの平均利用回数を午睡導入前後の3年間で比較すると導入後の3年間で減少していた。
著者
山本 文彦
出版者
北海道大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2006

本研究は、近世ドイツにおける帝国郵便と領邦郵便の制度的発展およびその両者の協力関係を明らかにするとともに、郵便がこの当時の最も重要なコミュニケーションツールであり、郵便の発展は、舗装道路を始め、郵便路線図や郵便時刻表の普及をもたらしたことを明らかにした。また郵便の発展は、時間意識と空間意識の変化に大きく貢献し、中世的な時間・空間意識から近代的な時間・空間意識へと変化をもたらす重要なきっかけとなった。
著者
境田 英昭 小久保 秀之 山本 幹男 平澤 雅彦 河野 貴美子 町 好雄
出版者
国際生命情報科学会
雑誌
Journal of International Society of Life Information Science (ISSN:13419226)
巻号頁・発行日
vol.18, no.1, pp.276-282, 2000-03-01

気功は、中国の心身鍛練方法の一種と言われている。その気功練習者の身体からある周期に変調された放射赤外線が検出されたという報告がある。さらに、その周期は呼吸周期と一致するという報告もある。著者らは、放射赤外線を検出する装置を自作し実験を行った。この放射赤外線検出装置においても放射赤外線に呼吸周期と一致する周期が測定された。また、放射赤外線は皮膚表面温度と深く関係しているので、皮膚に直接温度センサを付けた実験も行われた。このセンサにおいても呼吸周期と一致する周期が測定された。また、他の分野で、皮膚表面温度から呼吸数を推定する研究報告がある。本研究によって、気功時における放射赤外線の変調は、呼吸の変化が皮膚表面温度の変化として表れたことに起因すると示唆された。
著者
山本 秀男 吉川 厚
出版者
一般社団法人国際P2M学会
雑誌
国際プロジェクト・プログラムマネジメント学会誌
巻号頁・発行日
vol.3, no.1, pp.73-81, 2008-12-26

ナラティブアプローチとマンガ技法を組み合わせた教材を用いて、実務家(本学会会員)を対象に研修を行ったところ、高い満足度が得られた。参与観察により、研修のフェーズによってグループ討論の牽引者が異なることがわかった。また、課題解決の判断材料が主に背景情報と登場人物の表情であること、判断基準は受講者の過去の体験に依存することが定性的に確認できた。受講者の想像力を引き出し、研修効果を高めるためには、複数のシナリオが矛盾なく存在する物語の設計と現実感のある描画技法が重要である。
著者
河島 淳子 高橋 知恵子 山本 康子
出版者
北海道教育大学
雑誌
情緒障害教育研究紀要 (ISSN:0287914X)
巻号頁・発行日
vol.17, pp.1-22, 1998-02-10

トモニ療育センターでは,会員に対し月1回の自閉症児個人セッションと,月3回の母親学習会,年2回の父親懇談会,随時の電話相談家庭療育指導を行っている。本論では,強いパニック行動をもった自閉症幼児R子に,資料「自閉症児とともに」にのべたような指導を行った結果,顕著な改善を示したので報告する。第1部は母親の記録,第2部はトモニ療育センターの記録である。
著者
奥田 裕規 井上 真 安村 直樹 立花 敏 山本 伸幸 久保山 裕史
出版者
林業経済学会
雑誌
林業経済研究 (ISSN:02851598)
巻号頁・発行日
vol.44, no.2, pp.37-42, 1998-10-01
被引用文献数
2

高度経済成長期以降,全国の山村において4割もの人口が若年層を中心に流出した。しかしながら,東北地方の人口減少は他の地方と比べ,比較的緩やかであった。これは,家の跡取りとして財産を引き継ぐ替わりに親の世話をするという「使命」を負わされ,その「使命」を果たすため,農業や出稼ぎをしたり,「国有林材生産協同組合」(以下,「国生協」という)等に勤務することにより山村に残り,または通勤圏内に仕事を見つけ,都市部からUターンしてきた人たちが35歳以上世代に多くいたからである。ところが,1990年以降,人口減少の程度が激しくなっている。この理由として,都市部に出た34歳以下の子供たちが,故郷に帰って財産を引き継がねばならないという「使命」から解き放たれ,故郷に帰ってきていないことがあげられる。山村が今後も維持されていくか否かは,この子供たちが山村に戻ってくるか否かにかかっている。アンケート調査によると,女性の子供たちに,故郷で親の世話をするべきだと考え,将来,故郷に帰るか否か迷っている傾向がみられる。このような子供たちが自ら望んで故郷に帰って来るために,どのような環境を整えればよいのか,今後,更に研究を進めていく必要がある。
著者
山本 眞一
出版者
筑波大学大学研究センター
雑誌
大学研究 (ISSN:09160264)
巻号頁・発行日
no.32, pp.89-97, 2005-03

皆さんこんばんは、お忙しいところ沢山の方に集まっていただきまして、ありがとうございます。私は当センター長の山本でございます。これでこの短期集中公開研究会も第8回ということになりました。西暦2000年度から続けております ...
著者
小海宏之 前田明子 山本愛 加藤佑佳 岡村香織 園田薫 安藤悦子 岸川雄介
出版者
花園大学
雑誌
花園大学社会福祉学部研究紀要 (ISSN:09192042)
巻号頁・発行日
vol.18, pp.91-96, 2010-03

本研究は、小海ら(2000 ,2004,2008)による日本語版 Mini-Mental State Examination(MMSE)の検出力と特異性を明らかにした。この MMSEの cut-off値を 24/25点とした場合、感度 0.837、特異度 0.957となり、臨床群( amnestic Mild Cognitive Impairment; MCIと probable Alzheimer's Disease; ADを含む)と健常群を判別するためのスクリーニングテストとして、十分な検出力と特異性を有することが示唆された。しかし、同様に 26/27点を cut-off値とした場合、感度 0.889、特異度 0.739となり、amnestic MCI群と健常群を判別するためのスクリーニングテストとして、十分な検出力と特異性を有するとは言い難く、他の認知機能検査による精査を行う必要性があることが示唆された。
著者
大喜多 祥子 石村 哲代 大島 英子 片寄 眞木子 阪上 愛子 殿畑 操子 中山 伊紗子 中山 玲子 樋上 純子 福本 タミ子 細見 和子 安田 直子 山本 悦子 米田 泰子
出版者
一般社団法人日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会誌 (ISSN:13411535)
巻号頁・発行日
vol.37, no.2, pp.224-233, 2004-05-20
被引用文献数
3

O157食中毒予防の観点から,ハンバーグ焼成方法の実態および問題点を把握するために,一般家庭の調理担当者を対象としたアンケート調査を行った。また,料理書などの文献の記載について調査した。その結果,1)一般家庭におけるハンバーグは,手作りする者が圧倒的に多く,肉は牛掻き肉が用いられる機会が多かった。2)加熱器具はフライパンを用いる者が圧倒的に多かった。しかし,蓋無しや加熱時間10分など,明らかに加熱不充分と推測される焼成を行っている者が相当数存在した。オーブンを用いる者は少ないが,設定温度や時間から見て,加熱不充分と推測される者が少なくなかった。3)焼き終わりの判断の指標は,「透明な肉汁」とする者が最も多かった。しかし,濁った肉汁や赤い肉汁を指標とする者,切り口の状態,加熱時間や押した感じなど,明らかに安全性に問題のある判断方法に頼っている者がかなり存在した。4)「O157による食中毒の発生以来食品の扱いや調理方法に注意している」と回答した者は約79%あったが,O157に対して75℃以上1分間の加熱が必要であることの認識は低かった。実際の調理においてはO157への関心の強さが安全性の高い調理操作に反映していることが確かめられた。5)ハンバーグの焼き方を学校の調理実習で教わったものが,必ずしも安全性の高い調理操作を行っているとはいえなかった。6)上記の調査結果(1999年)に対し3年後の2002年に実施した追跡調査においては,澄んだ肉汁を焼き終わりの指標とする者は増加傾向にあった。しかし,依然として不適切な方法をとる者が多い。フライパンで焼成する場合の蓋使用についても普及していない状況が確かめられた。7)文献調査の結果,焼成方法については記載が曖昧であり,特に焼き終わりの判断方法については触れていない文献がほとんどであった。以上,今回実施したハンバーグの調理方法の実態調査結果,および現在出回っている数多くの料理書などの記述などから見て,一般家庭で調理されているハンバーグは食品衛生上問題がないとは言い切れない実情が明らかとなった。O157による食中毒は大発生をみた1996年以降も例年発生し死者も見られている(厚生労働省2003)。そこで筆者ら焼く分科会としては,現在までに得られた一連の実験結果から,以下の点を全体的なまとめとして,一般の注意を促したいと考える。1.ハンバーグの焼成にあたっては,食品衛生上,内部温度が75℃以上,1分間加熱されることが不可欠であることを認識する必要がある。焼く分科会による実験結果によれば,これをクリアできる焼成条件は,1OOg大の場合ガスオーブンでは230℃で15分以上である。なお,フライパンについての詳細は次報に報告する。2.ハンバーグの焼き終わりを透明な肉汁で判定する方法は,内部温度が75℃に到達していることを確認するうえで有効な方法と言える。焼き色,弾力性,加熱時間,断面などで判定する方法は,内部温度との関連性から見て,必ずしも安全性の指標とは成り得ないことに留意する必要がある。3.現行の学校教育で用いられている教科書や,市販の料理書の記述においては,従来,おいしさの追求が主体であり,食品衛生上の安全性に言及したものはほとんど見当たらない。これらの内容が一般の調理担当者に及ぼす影響の大きさを考えた時,今後は,安全性を視野に入れた焼成方法や焼き終わりの判定方法についての正しい記載が徹底されることが望まれる。