著者
武 寛 伴場 主一 大原 美奈子 林田 晃寛 廣瀬 英軌 廣畑 敦 山本 桂三 吉田 清 大江 透
出版者
公益財団法人 日本心臓財団
雑誌
心臓 (ISSN:05864488)
巻号頁・発行日
vol.47, no.SUPPL.1, pp.S1_105, 2015 (Released:2016-12-14)

軽度の漏斗胸を認める16歳男性. 高校入学時よりボクシング部に入部. 練習で初めて胸部にパンチを受けた際に失神. AEDで心室細動を認め, 電気的除細動を施行. 神経学的後遺症なく回復し, 精査のため当院紹介. 12誘導心電図では, 高位助間で不完全右脚ブロックを認めるも, サンリズム負荷は陰性, 加算平均心電図も陰性であった. 心エコーでは, 左室収縮能は良好で, 冠動脈CTでも異常は認めなかった. 心臓MRIでは器質的心疾患はなく, 遅延造影も陰性であった. 電気生理学的検査で, 右室心尖部, 右室流出路からの3連期外刺激を行うも心室細動は誘発されず. 漏斗胸のためCT上, 胸骨後面は右室前面に接しており, 胸部へのパンチが心臓振盪を引き起こしたと考えられた. 心臓振盪を再現するために, 心室単回期外刺激をR on Tとなるタイミングで行ったが, 最大3連発の心室期外収縮を認めるのみであった. ボクシングの練習中に心臓振盪を起こした漏斗胸の1例を経験したので報告する.
著者
北澤 京子 佐藤 正惠 渡邊 清高 山本 美智子
出版者
一般社団法人 日本医薬品情報学会
雑誌
医薬品情報学 (ISSN:13451464)
巻号頁・発行日
vol.21, no.3, pp.109-115, 2019-11-30 (Released:2019-12-25)
参考文献数
12
被引用文献数
2

Objective: The objective of this study was to examine information quality by quantitatively evaluating newspaper stories on drug therapy using the “Media Doctor” instrument.Methods: A database search was conducted to extract newspaper stories on drug therapy published between July 1, 2017 and December 31, 2017. Two evaluators independently evaluated each story using the “Media Doctor” instrument. Each of the 10 evaluation criteria were rated as “satisfactory” or “not satisfactory.” When the content of the story was not suitable for the evaluation criteria, it was regarded as “not applicable”.Results: Fifty-nine news stories (Asahi: 13, Mainichi: 8, Nikkei: 8, Sankei: 14, Yomiuri: 16) were included. The median number of evaluation criteria that the two evaluators judged as “satisfactory” was 5. The proportions of stories that the two evaluators judged as satisfactory were “1. availability,” 73%; “2. novelty,” 66%; “3. alternatives,” 39%; “4. disease mongering,” 58%; “5. evidence,” 32%; “6. quantification of benefits,” 31%; “7. harm,” 41%; “8. cost,” 22%; “9. sources of information/conflict of interest,” 12%; and “10. headline,” 66%. Conversely, the proportions of stories judged as “not satisfactory” were “1. availability,” 0%; “2. novelty,” 5%; “3. alternatives,” 12%; “4. disease mongering,” 8%; “5. evidence,” 24%; “6. quantification of benefits,” 29%; “7. harm,” 41%; “8. cost,”44%; “9. sources of information/conflict of interest,” 32%; and “10. headline,” 12%.Conclusion: These results suggest that the quality of newspaper stories are insufficient as drug information in terms of the validity of its scientific evidence.
著者
村上 哲明 綿野 泰行 角川 洋子 山本 薫 堀 清鷹 森 恵里菜 松本 めぐみ
出版者
首都大学東京
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2013-04-01

無配生殖(無性生殖の一型)を行うシダ植物の種は近縁な有性生殖種と容易に交雑すること、それらの間の雑種個体からは高頻度で減数した子孫が生じることを我々は明らかにしていた。 そこで本研究では、3倍体無配生殖種のオニヤブソテツ(オシダ科)と、それに非常に近縁な2倍体有性生殖型のヒメオニヤブソテツあるいはムニンオニヤブソテツの間に生じた4倍体雑種個体に生じた胞子を寒天培地上で培養し、F2世代の子孫における無配生殖型と有性生殖型の分離比を調べた。その結果、両生殖型がほぼ1:1で生じ、無配生殖型がただ一つの遺伝的領域(無配生殖遺伝子)によって支配されていることが強く示唆された。
著者
山本 貴史
出版者
公益社団法人 日本薬学会
雑誌
ファルマシア (ISSN:00148601)
巻号頁・発行日
vol.52, no.3, pp.205-209, 2016 (Released:2016-03-01)
被引用文献数
1

国立大学が法人化されて11年が経過した.近年の科学技術政策では,度々基礎研究の重点化に加え,イノベーションの実現が大きなテーマとして取り上げられる.では,イノベーションとは何か? イノベーションの定義には,シュンペーターの創造的破壊,技術革新,経済協力開発機構(Organisation for Economic Co-operation and Development:OECD)による定義など様々な見解があるが,マサチューセッツ工科大学のWilliam Aulet教授は,シンプルにイノベーション=インベンション(発明)ではなく,イノベーション=インベンション×コマーシャライゼーションであると定義しており,つまりイノベーションは「価値」であると言及している.このように考えると,とてもシンプルである.つまり,イノベーション立国を実現するには,質の高いインベンション(発明)を数多く生み出し,これを事業化できる環境を整備すれば良いということである.我が国における産学連携活動は,1998年の技術移転機関(Technology Licensing Organization:TLO)法案,2003年知財本部整備事業,2004年の国立大学法人化と様々な施策が講じられ活発化しつつあるが,今回は,発明が生まれて事業化されるまでの一連の流れを示し,我が国がイノベーション立国になるために求められる様々な施策について言及したい.
著者
夏目 淳 大野 敦子 山本 啓之 城所 博之 沼口 敦
出版者
一般社団法人 日本神経救急学会
雑誌
Journal of Japan Society of Neurological Emergencies & Critical Care (ISSN:24330485)
巻号頁・発行日
vol.31, no.2, pp.22-26, 2019-08-23 (Released:2019-08-24)
参考文献数
5

救急・ICU管理において脳波モニタリングが有用な疾患として,感染などを契機に発症する急性脳症がある。「二相性発作と遅発性拡散能低下を示す急性脳症(AESD)」と呼ばれる急性脳症は,発症時は熱性けいれん重積と鑑別が困難で,数日後に二相目の発作群発が起こるとともに高度の大脳白質の浮腫が出現する。発症時のMRIでは異常がみられないため,早期の熱性けいれんとの鑑別のために脳波が重要である。またICUで鎮静下に治療を行うため臨床観察のみでは発作の診断が困難で,脳波モニタリングが治療の指標になる。近年は急性脳症に対して低体温療法を試みることが増えており,低体温療法中の脳波所見も知っておく必要がある。これらのICU脳波モニタリングにはamplitude-integrated EEGやdense spectral arrayなどのトレンドグラムが有用である。
著者
石林 健一 崎村 祐介 俵 広樹 林 憲吾 加藤 嘉一郎 辻 敏克 山本 大輔 北村 祥貴 角谷 慎一 伴登 宏行
出版者
一般社団法人 日本消化器外科学会
雑誌
日本消化器外科学会雑誌 (ISSN:03869768)
巻号頁・発行日
vol.55, no.3, pp.217-224, 2022-03-01 (Released:2022-03-31)
参考文献数
25

症例は45歳の女性で,20年前にくも膜下出血による水頭症に対して脳室腹腔シャント(ventriculoperitoneal shunt;以下,VPSと略記)挿入術が施行された.意識障害があり当院を受診し頭部CTで脳室拡大を認め,脳室ドレナージが施行された.VPSの閉塞が疑われ施行した全身CTでVPSチューブが上行結腸を穿通しており,治療目的に当科紹介となった.開腹するとチューブ状の繊維性被膜が上行結腸に付着しており,繊維性被膜を全周性に剥離するとVPSチューブが同定できた.VPSチューブを結紮,離断し,腸管に穿通しているカテーテルは抵抗なく抜去できた.腸管の瘻孔は縫合閉鎖した.VPSチューブ腹側端は髄液漏出を確認し,繊維性被膜内から出さずに閉腹した.術後第9病日に脳室ドレーン感染からの髄膜炎を来し,VPSチューブの全抜去を施行した.まれなVPSの消化管穿通の1例を経験したので報告する.
著者
沖永 友輝 山本 隆彦 越地 耕二
出版者
The Japan Society of Applied Electromagnetics and Mechanics
雑誌
日本AEM学会誌 (ISSN:09194452)
巻号頁・発行日
vol.29, no.1, pp.105-110, 2021 (Released:2021-05-12)
参考文献数
13

In recent years, wireless power transmission technology has attracted a lot of attention. By using wireless power transmission, it is possible to easily supply power to tablets and smartphones without connecting to a cable. However, the impedance of spiral coils is difficult to derive from the external form and it is difficult to assume the impedance at the design stage. In this study, the impedance is derived based on the equation of electromagnetism with the addition of a geometric approach. As a result, we have derived a formula that makes the computational process more theoretical and easier than the conventional one.
著者
森下 啓明 坂本 英里子 保浦 晃徳 石崎 誠二 月山 克史 近藤 国和 玉井 宏史 山本 昌弘
出版者
一般社団法人 日本農村医学会
雑誌
日本農村医学会学術総会抄録集 第55回日本農村医学会学術総会 (ISSN:18801749)
巻号頁・発行日
pp.120, 2006 (Released:2006-11-06)

<症例> 61歳男性、既往歴に脳梗塞がある。アレルギー歴なし。 平成17年10月29日昼頃、自宅近くの山林で採取した白色のキノコ約20本を調理して摂取した。同日20時頃より腹痛、嘔気、嘔吐、下痢等の消化器症状が出現したが自宅で経過観察していた。10月31日には経口摂取不能となったため、当院救急外来を受診。受診時は意識清明、バイタルサインに大きな異常はなく、神経学的異常所見も認めなかった。しかし、血液検査に於いて肝機能障害、腎機能障害を認めたことからキノコ中毒を疑い緊急入院となった。 患者の持参したキノコの特徴および、経過(消化器症状に続発する肝機能障害)よりドクツルタケ(アマニタトキシン)中毒を疑い、日本中毒センターに問い合わせを行った上で治療を開始した。補液、活性炭投与(25g/回、6回/日、2日間)、血液還流療法(2日間)、ペニシリンG大量投与(1800万単位/日、2日間)を施行し、肝機能障害は改善傾向、第26病日には正常化した。また、第7病日より急性膵炎を発症したが、メシル酸ガベキサート投与などを行い第28病日には改善したため、平成17年12月26日退院となった。 入院時に採取した血液、尿および持参したキノコは日本中毒センターに送付し、分析を依頼している。<考察> ドクツルタケ、タマゴテングタケなどに含まれるアマニタトキシンは、ヒトにおいては約0.1mg/kgが致死量とされており、日本におけるキノコ中毒の中で最も致死率の高いものである。急性胃腸症状とそれに続発する肝機能障害が典型的な経過であり、肝不全が死因となる。本例は典型的な臨床経過よりアマニタトキシン中毒と診断したが、ドクツルタケでは1から2本で致死量となることから、今回摂取したキノコは比較的アマニタトキシン含有量の少ない種類であったものと推測された。治療法としては腸肝循環するアマニタトキシンを活性炭により除去すること及び対症療法が中心となり、解毒薬として確立されたものはない。血液還流療法が有効とする報告もあるが、未だに確固たる証拠はない。ペニシリンG大量投与によってアマニタトキシンの肝細胞への取り込みが阻害されることが動物実験によって確認されているが、臨床における有効性は確立されていない。その他、シリマリン、シメチジン、アスコルビン酸、N-アセチルシステイン等が使用されることもあるが、いずれの有効性も未確立である。 本例では活性炭投与、血液還流療法、ペニシリンG大量投与を行い、肝機能障害を残すことなく生存退院に至った
著者
山本 章
出版者
公益社団法人 日本農芸化学会
雑誌
化学と生物 (ISSN:0453073X)
巻号頁・発行日
vol.56, no.3, pp.152-155, 2018-02-20 (Released:2019-02-20)
参考文献数
5

遠藤 章先生によって発見された世界最初の本格的抗コレステロール薬(コンパクチン,ML-236B)を,世界で初めて難治性重症高コレステロール血症の患者さんに使わせていただく光栄に浴したものとして,先生のガードナー国際賞受賞を心からお祝い申し上げます.現在,高脂血症治療の第一選択薬として広く使われている数種のスタチンは,すべてML-236Bを雛型として開発されたものであり,先生のML-236B開発にかけたひたむきな努力と,苦難と挫折を何度か乗り越えてこられた忍耐の賜物であります.私と先生の付き合いはすべてこのスタチンとともにあり,ここでは当初の臨床開発の軌跡をたどることによって治療にかけた情熱を皆様と分かち合いたいと思います.
著者
福本 学 大野 剛 山本 直樹 鈴木 正敏
出版者
国立研究開発法人理化学研究所
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2020-04-01

有害獣として被災地域で殺処分された野生ニホンザル(被災サル)の解剖を行い、内部被ばく・外部被ばく両方の線量評価を伴った臓器アーカイブを構築し、他研究者へも提供する。アーカイブを用いて被災サルの全身臓器の形態・分子変化を検索し、被ばく線量・線量率との関係を明らかにする。特に甲状腺、水晶体と造血系の変化に留意する。内部被ばく線量率に応じて被災ウシで酸化ストレスが増加しているなど、今までに報告した結果を被災サルで検証し、長期持続被ばくの普遍的な放射線影響を知る。霊長類である被災サルの病理学的解析からヒト放射線防護への直接的な貢献を目指す。
著者
山本 征孝 藤本 康浩 森 義統 椿野 稔
出版者
日本義肢装具学会
雑誌
日本義肢装具学会誌 (ISSN:09104720)
巻号頁・発行日
vol.33, no.1, pp.64-66, 2017-01-01 (Released:2018-01-15)
参考文献数
9

慢性期脳卒中片麻痺患者1名を対象に,短下肢装具と腓腹筋への機能的電気刺激を併用した歩行練習の治療効果を検討した.シングルケースデザインのABA’B’デザインを使用し,短下肢装具を使用した歩行練習のみを行うA·A’期と短下肢装具と腓腹筋への機能的電気刺激を併用した歩行練習を行うB·B’期で治療効果の比較検討を行った.その結果,最大歩行速度,歩幅がB·B’期に増加する傾向を認めた.歩行率に関しては,いずれの時期においても変化は認められなかった.本症例において,短下肢装具と腓腹筋への機能的電気刺激を併用した歩行練習は,歩行能力の改善に有効であった.
著者
山本 めゆ
出版者
関西社会学会
雑誌
フォーラム現代社会学 (ISSN:13474057)
巻号頁・発行日
vol.13, pp.5-17, 2014-05-31 (Released:2017-09-22)

本研究では、黄禍論の広がりととともにアジア人への排斥が進んだ20世紀初頭、南アフリカに移入した日本人の地位とその変遷に注目する。当国の移民政策に対して日本側はいかなる交渉、適応、抵抗を見せ、それは人種の境界をいかに動揺させたのか。反アジア主義的な移民法をめぐる研究史のなかにこれらの関心を位置づけながら、人種主義研究の観点から検討することを目指す。南アフリカでは19世紀後半よりインド人、20世に入って華人労働者が導入されたことによりアジア人排斥の動きが広がり、1913年にアジア人移民の規制強化を目的とする移民規制法が制定された。日本人がアジア人として規制の対象となったことに強い危機感を抱いた日本政府や領事館は、南アフリカ当局に対し粘り強い交渉を続けた。その結果、1930年に両国間で合意が交わされ、いくらかの制約を含みながらも、日本人の商人、観光客、研究者が禁止移民から除外されることとなる。その背景には日本側が渡航者の身分を商人や駐在員に限定し労働移民を排除するという方針を提示したことや、前年からの大恐慌で南アフリカが羊毛の市場開拓を迫られていたという事情もあった。本稿は、当時の日本人移民の地位について、バレットとローディガー(1997)によって提示された「中間性」概念を重視しながら粗描し、南アフリカの人種政策に対する日本側の批判とその限界について再検討を加える。
著者
永野 幸生 山本 雅史 古藤田 信博
出版者
佐賀大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2014-04-01

最先端分析機器「次世代シーケンサー」を用いてDNAを分析することで、様々なカンキツの類縁関係を調べた。その結果、既知の知見をより厳密に再確認し、さらに、新規な発見をした。中でも特筆すべき発見は、新たに命名したヒマラヤンライムの発見である。ブータンで見つけたヒマラヤンライムは、世界中で知られているメキシカンライムと形態的に似ているが、DNAを調べるとメキシカンライムとは異なるものであった。