著者
山田 輝之
出版者
千葉大学教育学部授業実践開発研究室
雑誌
授業実践開発研究 (ISSN:18848818)
巻号頁・発行日
vol.4, pp.55-63, 2011-03

バングラデシュでは、非識字の問題が深刻である。バングラデシュ政府やNGOによる識字教育事業は、「事業の継続性」に課題がある。それらの事業体のみに依存し、解決を求めることは難しい。そこで「事業の継続性」の課題を解決する新しい事業体の構築のため、グラミン銀行の事業モデル「ソーシャル・ビジネス」を参考に検討を行う。グラミン銀行のグループ会社「グラミン・コミュニケーションズ」との協同による調査活動から、従来の政府やNGO の識字教育事業は、村人の識字能力獲得が目的となっており、事業終了後の雇用などの能力活用の仕組みがないことが明らかになった。ソーシャル・ビジネスによる事業体で、識字能力獲得と同時に、雇用創出など、村人にとってのインセンティブを生み出す必要性があることが判明した。今後の課題として、継続した市場調査によるデータ収集、識字教育、継続教育(生涯教育)の専門家との連携、多国籍企業等との事業提携、事業内容の充実と改善が必要である。
著者
渡邊 伸行 鈴木 竜太 山田 寛
出版者
日本認知心理学会
雑誌
認知心理学研究 (ISSN:13487264)
巻号頁・発行日
vol.3, no.2, pp.167-179, 2006-03-31 (Released:2010-10-13)
参考文献数
48
被引用文献数
3 3

本研究では,表情認知に関わる顔の構造変数について検討を行った.従来の線画表情図形を用いた研究では,顔の構造変数として,“傾斜性”,“湾曲性・開示性”といった眉・目・口の相関的変位構造を示す二つの変数が見出されてきた.しかしその後の実際の表情画像および線画を用いた検討から,構造変数は上述の2変数ではなく,三つの変数である可能性が示された.この問題について検証するため,本研究ではYamada,Matsuda,Watari,& Suenaga (1993) の実画像研究に基づいて新たに生成した,実際の表情と同じ可変性を持つ102枚の線画を用いて,基本6表情(喜び,驚き,恐れ,悲しみ,怒り,嫌悪)のカテゴリー判断実験を実施した.線画の眉・目・口の特徴点変位を示すパラメータ値を説明変数,実験参加者のカテゴリー判断の一致率を反応変数とする正準判別分析を実施したところ,“眉・目の傾斜性”,“口部傾斜性”,“湾曲性・開示性”と命名できるような,実画像研究 (Yamada et al.,1993) とほぼ同様の三つの構造変数が見出された.この3変数で構成される視覚情報空間におけるカテゴリー判断の中心傾向を示す点を比較したところ,線画と実画像で基本6表情の相対的な位置関係が類似していることが示された.以上の結果から,表情認知に関わる構造変数は三つであり,線画と実画像で共通してこれらの変数に基づいて表情の判断が行われていることが示された.
著者
粟屋 敏雄 大滝 康一 石原 昌司 小野 尚志 千葉 薫 板垣 祐一 山田 武宏 須野 学 早勢 伸正 田崎 嘉一 松原 和夫
出版者
日本医療薬学会
雑誌
医療薬学 (ISSN:1346342X)
巻号頁・発行日
vol.31, no.6, pp.425-434, 2005-06-10
参考文献数
11
被引用文献数
1 5

出版社版新規システム導入後のオーダシステム内の記録から,処方が試みられた併用禁忌の組み合わせなどを解析した.相互作用チェックは,その処方の投与期間内に重複しているすべての薬品を自処方内および他処方内の薬歴データファイルから抽出し,チェック対象薬剤が重複した場合,チェックメッセージを表示した.システム運用開始以降,13ヵ月間における処方せんおよび注射指示せんの枚数はそれぞれ290956枚,299017枚の計589973枚であった.調査期間内にチェックのかかった回数は299件であった.警告としたものを除く173件中,96件は処方が中止された.時間外の併用禁忌の処方の危険率は時間内に比べ実に4倍近くにも上った.オーダ別にみると,実に80%近くの併用禁忌の組み合わせは注射薬が関与するものであった.最もチェックのかかった頻度が高かった薬剤の組み合わせはトランサミン注とトロンビン細粒の組み合わせであった
著者
太田 美智男 山田 景子 岡本 陽
出版者
名古屋大学
雑誌
萌芽研究
巻号頁・発行日
2007

1.黄色ブドウ球菌biofilm形成は菌株によって発現が異なる。Biofilm高度産性株において、ica遺伝子ノックアウト、プロテアーゼ処理、DNase処理のいずれでもbiofilm産生は大幅に低下した。したがってbiofilm高度産生にはica産物であるPIAならびに蛋白、DNAが関与していた。icaノックアウト株ではプロテアーゼ処理、DNase処理の影響はほとんど見られなかった。したがってノックアウト株が形成する少量biofilm形成はc-di-GMPの影響を受けるが、蛋白、DNAが関与せず、恐らく他の多糖体のみによって形成される。このことはc-di-GMPが主に多糖体合成調節に関与することを示唆する。2.A群連鎖球菌はc-di-GMP生合成を行うGGDEFモチーフを持つ蛋白をゲノム配列から見いだすことができない。これは他の連鎖球菌においても同様である。しかし我々はA群連鎖球菌の細胞内にc-di-GMPを検出することに成功した。ゲノム配列を再検索したところ、GGDQVモチーフを持つ蛋白が一種類見いだされた。この蛋白はPAS,DHHドメインを有し、c-di-GMP生合成に関与することが予想された。この蛋白の遺伝子をノックアウトすると、biofilm形成が促進された。またc-di-GMPの産生が失われた。したがってこの蛋白はc-di-GMPの合成を行うことが証明された。GGDQV蛋白はGGDEF蛋白を持たない多くのグラム陽性菌などにおいて広く見いだされた。したがってc-di-GMPは細菌におけるbiofilm合成に関与する普遍的なシグナル分子であることが明らかとなった。
著者
鈴木 祥之 小松 幸平 下川 雄一 中尾 方人 北守 顕久 秦 正徳 中治 弘行 森 拓郎 須田 達 松本 慎也 向坊 恭介 向井 洋一 山田 耕司 後藤 正美 斎藤 幸雄 斎藤 幸雄 棚橋 秀光
出版者
立命館大学
雑誌
基盤研究(S)
巻号頁・発行日
2007

伝統構法木造建築物では、仕口・接合部や耐力壁など構造ディテールの性能評価を含めた総合的かつ合理的な構造設計法は、いまだ確立されていない。本研究では、木材のめり込みなどによる仕口・接合部の耐力発現のメカニズムおよび土塗り壁や木造軸組の力学特性や破壊性状を実験的かつ解析的に解明するとともに、構造ディテールに基づく伝統木造建築物の設計法に適用するための評価手法を開発した。
著者
山田 仁史
出版者
東北大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2009

本研究では、大きく以下の四つの成果が得られた。第一に、狩猟・漁猟民の世界観の核心をなす<動物の主> 観念について、先行研究の蓄積を踏まえつつ、根本的な考察を加えたこと。第二に、アイヌにおける<動物の主> 観念を神話伝承から再検討し、北米およびシベリア諸民族の類例との比較を行なったこと。第三に、広くヒトと自然のかかわりについての神話として、天体、洪水などの災害、および焼畑をめぐる諸伝承・諸観念を明らかにしたこと。第四として、神話理論・神話研究方法論の見直しをこれら三点と並行して推進し、成果を公表してきたことである。
著者
島田 竜也 河口 尚広 加賀 健太 山田 博三 森 晃徳
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-II, 情報・システム, II-パターン処理 (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.88, no.10, pp.2054-2068, 2005-10-01
参考文献数
11
被引用文献数
27

近年犯罪の著しい増加に伴い, 侵入者検知の研究・開発の必要性が叫ばれている. 本論文は, 安価で高機能な侵入者検知システム開発のための一つのシーズを提案するものである. 本論文で解決した機能は, (1)光源の移動を含め滑らかな照明の変化に対処できること(2)ゆっくり移動する侵入者の存在領域の明りょうな検出(3)途中で静止する侵入者の存在領域の明りょうな検出の三つの機能である. 機能(1)と(2)は, 互いに矛盾しているように見えるものである. 具体的手法は, 「侵入者を含まない現在の背景画像と現在の入力画像の差分画像から侵入者の存在領域を検出するもの」である. 現在の背景画像をいかに簡単かつ正確に更新するかが最も重要な点であり, 上記三つの機能を同時に実現する手法はなかった. 我々は, 「侵入者検出領域及びその境界では, 加重平均処理を背景画像に施さない」という手法で上記機能を実現した.
著者
岡田 和隆 柏崎 晴彦 古名 丈人 松下 貴惠 山田 弘子 兼平 孝 更田 恵理子 中澤 誠多朗 村田 あゆみ 井上 農夫男
出版者
一般社団法人 日本老年歯科医学会
雑誌
老年歯科医学 (ISSN:09143866)
巻号頁・発行日
vol.27, no.2, pp.61-68, 2012-10-15 (Released:2012-10-19)
参考文献数
31
被引用文献数
2

サルコペニア(筋肉減少症)は 80 歳以上の高齢者の約半数にみられる加齢変化であり,顎口腔領域にも現れるといわれている。本研究ではサルコペニア予防プログラムに参加した自立高齢者を対象とし,介入前調査として栄養状態と口腔内状態および口腔機能との関連を明らかにすることを目的とした。自立高齢者 62 名(69〜92 歳,男性 27 名,女性 35 名)を対象者とした。口腔内状況と口腔機能に関する聞き取り調査は事前に質問票を配布して行い,口腔内診査と口腔機能評価は歯科医師が行った。聞き取り調査質問項目,口腔内診査項目,口腔機能評価項目と血清アルブミン値(Alb)との関連を検討した。Alb は 4.3±0.3 g/dl であり,対象者の栄養状態は良好であった。口腔機能に関する2つの質問項目,主観的口腔健康観,下顎義歯使用の有無において Alb に有意差が認められた。残根を除く現在歯数,現在歯による咬合支持数およびオーラルディアドコキネシス(ODK)の/ka/の音節交互反復運動において,Alb と有意な関連が認められたが弱い相関関係であった。義歯満足度,口腔清掃状態,上顎義歯使用の有無,口唇閉鎖力,RSST,ODK の/pa/および/ta/,口腔粘膜保湿度,唾液湿潤度では関連は認められなかった。自立高齢者では現在歯数,咬合支持,義歯の使用の有無,口腔の健康や機能に対する自己評価が良好な栄養状態と関連する可能性が示唆された。
著者
山田 昭広
出版者
明星大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1997

本課題の第2目的である本文批評については特記すべき事項はない。第1目的である古版本に見える書き込みの収集と整理が第2年目の研究の中核となった。その研究実績を以下に報告する。(1) 学会発表(a)平成10年8月に英国ストラットフォードで開催の第28回InternationalShakespeare Conferenceにおいて、“A Seventeenth-century Reader of King Lear,with SpecialReference to the Marginalia in a First Folio at Meisei University"を発表、英・米・加・伊・日・西などの研究者約30名からなる分科会で討議。討議内容は下に述べる図書の刊行に役立った。(b)日本シェイクスピア協会の依頼で、会報Shakespeare News(38巻2号、平成11年3月発行予定)のために「1630年頃のシェイクスピアの読者」を執筆、寄稿した。(c)名古屋大学英文学会第38回大会(平成11年4月24日)で「17世紀のシェイクスピア読者-1623年の戯曲集の欄外メモを中心にして」と題して講演の予定。(2) 図書刊行 平成10年12月、明星大学図書館所蔵のシェイクスピア本の書き込みについての研究The First Folio of Shakespeare:A Transcrjpt of Contemporary Marginalia in a Copy of theKodama Memorial Library of Meisei Universityを公刊した。お詫びと謝辞 本年度限りで明星大学を退職するので、本課題はここで打ち切らざるを得ない。申し訳ない。顧みれば、課題16件、延べ33年度分の科研費を受けて今日まで研究。心から感謝したい。
著者
高橋 正道 山田 敏弘 長谷川 卓 安藤 寿男
出版者
新潟大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2009

これまでに、2009~2011年の間、5回にわたるモンゴルの白亜紀についての野外調査を行った。主な調査地は、バガヌール、フレンドホ、テブシンゴビ、ツグルグ、シーブオーボ、シネフダク、バヤン、エルヘートなどのウランバートルの東南のゴビ地域である。この調査に参加した人数は、モンゴル古生物学研究所、エール大学、シカゴ植物園、金沢大学、新潟大学のメンバーである。これらの調査によってモンゴルの白亜紀の地層から初めて、3次元的構造を残している小型炭化化石を発見し、被子植物の初期進化と地球環境の変遷解明に有効な手掛かりを得ることができた。分担者の長谷川は,フレンドホ地域のフフテグ層において地質柱状図を作成し,植物化石試料採集露頭周辺についての地質学的な記載を行った。また、シネフダク地域のシネフダク層に関して柱状図を作成の上、採集した試料について有機炭素の同位体比を測定した.その結果,7‰程度の変動があることが明らかになった.この結果は,湖堆積物への植物プランクトン類と高等植物の相対的な含有率の変動を示していると考えられ,湖の成層状態や河川による高等植物遺体の流入量など,気候に関連する要因の変動読み取れることが判ってきた。また、マレー大学のLee教授と筑波大学の久田教授の協力を得て、モンゴルと対比可能なマレーシアで、熱帯地域での白亜紀の地層からの小型炭化化石の探索の可能性を探った。
著者
菅野 了次 園山 範之 米村 雅雄 田村 和久 山田 淳夫 鳥飼 直也 小林 弘典 山田 淳夫 小林 弘典 鳥飼 直也
出版者
東京工業大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2006

本研究課題では,新規なイオニクスデバイスの開発を目的として,新規材料開発と新規反応開拓を目指した.全くのブラックボックスである電気化学界面での反応挙動の解明のためにモデル電極を開発し,電気化学界面での反応の詳細が明らかにできるようにしたことが,本研究の大きな成果である.また,最高のイオン導電特性を示す固体電解質材料にたいする純理学的な知見は,今後の材料開発の指針を示すものである.
著者
大井 徹 大西 尚樹 山田 文雄 北原 英治
出版者
The Mammal Society of Japan
雑誌
哺乳類科学 (ISSN:0385437X)
巻号頁・発行日
vol.48, no.1, pp.17-24, 2008-06-30
参考文献数
23
被引用文献数
1

京都府のツキノワグマは,由良川(福知山市より下流部)の東側に分布する丹波個体群と西側に分布する丹後個体群に分かれるが,丹波個体群では,丹後個体群より若齢のオスがより多く有害捕獲される傾向が認められた.その原因を明らかにするために捕獲方法,捕獲理由,捕獲月,捕獲場所の景観,メスの分布と捕獲されたオスの年齢の関係を検討した.捕獲地点の分布を検討したところ,性成熟したオスは,交尾期になると,性成熟したメスが生息する可能性の高い地域に集まる傾向が示唆されたが,そのようなメスの生息地域の内と外で捕獲されたオスの年齢を比較しても差異は認められなかった.検討した要因の中では,唯一捕獲場所の景観の影響が認められ,森林で捕獲されるオスは若齢のものが多い傾向があることがわかった.丹波個体群ではクマハギ防除のために7~10月に森林中で多くの有害捕獲が行われる一方,丹後個体群では8~11月に農業被害や人身被害防止のため集落・農地近くでの有害捕獲が多く行われており,このことが背景となって丹後個体群と丹波個体群の捕獲個体構成の差異が生み出されていると示唆された.一方,この差異は野生個体群の構成の違いを反映している可能性もあり,留意する必要がある.<br>
著者
片山 敦司 坪田 敏男 山田 文雄 喜多 功 千葉 敏郎
出版者
日本野生動物医学会
雑誌
Japanese journal of zoo and wildlife medicine (ISSN:13426133)
巻号頁・発行日
vol.1, no.1, pp.26-32, 1996-02
参考文献数
24
被引用文献数
8

1991年3月から1993年8月までの間に, 岐阜県および京都府で捕殺された雌ニホンツキノワグマ(Selenarctos thibetanus japonicus)19頭の生殖器の肉眼的および組織学的観察により, 性成熟年齢, 排卵数, 着床数, 一腹産子数および繁殖歴などを推定した。卵巣の重量および大きさは加齢に伴って増加の傾向を示した。その傾向は未成熟個体で顕著であり, 性成熟個体で緩やかであった。黄体および黄体退縮物の存在を性成熟の基準とした場合, 4歳以上の全ての個体は性成熟に達していると判定された。しかし, 4歳未満でも性成熟に達する例も存在することが示唆され, 性成熟に達する年齢には個体差があることがうかがわれた。黄体, 黄体退縮物および胎盤痕の観察と連れ子の数から平均排卵数は1.89, 平均着床数は2.00, および平均連れ子頭数は, 1.86と算定された。さらに, 黄体退縮物の組織学的観察により, 捕殺時点における過去の総排卵数の推定を試みた。その結果, 黄体および黄体退縮物の数と交尾期経過回数には正の相関が認められた。しかし, 黄体およびその退縮物の数にはばらつきがあり, 交尾期経過回数との間に大きな差が認められる例もあった。
著者
高橋 啓一 添田 雄二 出穂 雅実 青木 かおり 山田 悟郎 赤松 守雄
出版者
Japan Association for Quaternary Research
雑誌
第四紀研究 (ISSN:04182642)
巻号頁・発行日
vol.43, no.3, pp.169-180, 2004-06-01
被引用文献数
1 8

1998年8月に北海道網走支庁湧別町の林道脇の沢から発見されたナウマンゾウ右上顎第2大臼歯化石の記載と,気候変化に伴ってマンモスゾウとナウマンゾウの棲み分けが北海道で入れ替わった可能性を報告した.臼歯化石の年代測定結果は30,480±220yrs BP(未補正<sup>14</sup>C年代値)であった.臼歯が発見された沢には,臼歯化石の年代とほぼ同じ時代に噴出した大雪御鉢平テフラ(Ds-Oh)を含む地層が分布していることから,この臼歯はこの沢に堆積する地層から洗いだされた可能性が高いと推定した.<br>今回の標本も含め,これまで北海道で発見されているナウマンゾウとマンモスゾウの産出年代およびその当時の植生を考えると,地球規模の気候変動とそれに伴う植生の変化に合わせて,2種類の長鼻類が時期を変えて棲み分けていたことが推定された.同時に,約3万年前のナウマンゾウ化石の発見は,MIS3の頃の北海道にナウマンゾウが津軽海峡を渡って来ることができたか,どうかという議論の一材料を提供することとなった.
著者
中村 伸也 西川 一 山田 秀夫 原 文宏 神保 正暢 平野 宜一
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
海岸工学論文集 (ISSN:09167897)
巻号頁・発行日
vol.55, pp.176-180, 2008-10-10 (Released:2010-06-04)
参考文献数
2

Historically, many disasters at Shimoniikawa Coast has occurred by high waves called Yorimawarinami from east. The direction of longshore sand transport of the Shimoniikawa Coast is eastward. In Nyuuzen-machi and Asahi-machi located in the east from the Kurobe River mouth which becomes the source of supply of the sand, many houses moved because of beach erosion. In such circumstances, intense high waves by the low pressure hit these areas on February 24, 2008, so that coastal protection facilities in Kurobe-shi, Nyuuzen-machi and Asahi-cho got damaged and, furthermore houses were flooded and destroyed by overtopping waves.In this paper, various observation data in Shimoniikawa Coast of Yorimawarinami was analyzed by and the cause of the disaster was considered.