著者
岡本 賢吾
出版者
日本科学哲学会
雑誌
科学哲学 (ISSN:02893428)
巻号頁・発行日
vol.34, no.1, pp.7-19, 2001

Frege's well-known thesis that arithmetic is reducible to logic leaves unexplained what is the gain of the reduction and what he means by logic in principle. First, the author contends that the real interest of the reduction consists in a form of conceptual reduction: it frees us from the ordinary naive conception of numbers as forming extremely peculiar genus and replaces it with a very general and basic conception of them. Second, it is pointed out that Frege's concept of logic involves two elements. One is based on the iteratability of the operation of abstraction and naturally leads him to accept a sort of denumerably higher order logical language. The other is based on the so-called comprehension principle. Each of the two elements could be said to be logical in some sense but they are inconsistent with each other. Still, we can learn much from his attempt to search for as extensive and global a conception of logic as possible.
著者
坂井 進一郎 高山 広光 岡本 敏彦
出版者
公益社団法人日本薬学会
雑誌
藥學雜誌 (ISSN:00316903)
巻号頁・発行日
vol.99, no.6, pp.647-656, 1979-06-25

Reinvestigation of the alkaloidal constituents of Aconitum japonicum THUNB. of Mt. Takao (Tokyo) was made. In addition to the reported constituents, i.e. isohypognavine, delcosine and dehydrodelcosine, two known compounds, isotalatizidine and condelphine, were isolated. Furthermore, five new bases, i.e. 11-acetylisohypognavine, diacetylisohypognavine, 14-acetyltalatizamine, takaosamine and takaonine, were isolated and their structures were elucidated. Takaosamine was proved to be 18-O-demethyldelcosine from the spectroscopic study on the parent material and the acetyl derivatives, and from the chemical correlation with known diterpene alkaloids, gigactonine and delsoline. The structure of takaonine was deduced to be 2,3-dehydro-14-dehydrodelcosine on the basis of ^<13>C-nuclear magnetic resonance spectral evidence and the derivation to the known diterpene alkaloid, delcosine, by catalytic hydrogenation.
著者
近藤 成一 海老澤 衷 稲葉 伸道 本多 博之 柳原 敏昭 遠藤 基郎 渡邉 正男 鴨川 達夫 金子 拓 西田 友広 遠藤 珠紀 山田 太造 神野 潔 野村 朋弘 岡本 隆明 アドルフソン ミカエル
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2009

1600年以前の日本の古文書に関する諸情報を共有し、文書名の付与や年代比定などの基礎作業を共同で行う「古文書バーチャルラボ」を構築した。「古文書バーチャルラボ」の運用により、史料編纂所歴史情報システム上の古文書に関するデータを修正・追加することを試行し、また古文書学上の研究成果については公開研究会において発表した。また『鎌倉遺文』未収録の文書数について検討した。以上の内容を報告書にまとめ、「東京大学史料編纂所研究成果報告2012-4」として刊行した。
著者
岡本 裕子
出版者
公益社団法人 日本薬理学会
雑誌
日本薬理学雑誌 (ISSN:00155691)
巻号頁・発行日
vol.125, no.6, pp.350-357, 2005

化学物質の安全性評価には動物実験が不可欠であり,その膨大な動物実験データを基に現在の化学物質のリスク評価は成立している.一方,1960年代にイギリスで発生した動物愛護の考え方は,その後,環境問題と連動し,社会問題のひとつとして大きくとりあげられ,EUでは,化粧品に対する動物実験の禁止が施行されるに至っている.またOECDでも化学物質の評価へのin vitro試験法ガイドラインの受け入れがなされている.これらは,経済,貿易に関する国際ハーモナイゼーションの観点から社会科学的に重要な課題である.このような社会的背景から,ここ10数年の間,日本でも動物実験代替法の開発が開始され,産官学の協力で厚生労働科学研究を中心に代替法の開発評価研究に取り組んでいる.安全性評価に対する代替法は,Russellらが定義した3Rの原則(Replacement:置換,Reduction:削減,Refinement:試験法の洗練)の考え方をもとに評価されている.特に,動物実験代替法は,それを用いてヒトへの安全性を評価する試験法であることから,通常の生体機能評価に用いられているin vitro試験法とは異なり,試験法としての有用性の確認に加えて,バリデーションによる試験法の再現性確認や倫理性,経済性,国際性,技術的一般性についても考慮して開発される必要がある.現在,完全に置き換えられると認証された代替試験法は存在していない.毒性試験の代替法の困難さは,invitro 試験法は毒性の有無の識別は可能であっても,動物において評価可能な用量.反応関係の確認が期待できない点にある.したがって,毒性の有無の識別を利用したスクリーニング法としての利用にとどまることが多い.しかし,ヨーロッパでの動物実験禁止という現実問題をクリアするため,社会科学的な観点から,実際的な取り組みとして代替法を組み込んだ安全性評価試験体系を構築していくことが必要と考えている.ここでは,現在代替法開発が進んでいる局所刺激性試験法である眼刺激性試験法および光毒性試験法について,その開発と応用について述べる.<br>
著者
岡本 弘道
出版者
関西大学文化交渉学教育研究拠点(ICIS)
雑誌
周縁の文化交渉学シリーズ6 『周縁と中心の概念で読み解く東アジアの「越・韓・琉」―歴史学・考古学研究からの視座―』
巻号頁・発行日
pp.89-98, 2012-03-01

1609年の琉球侵略から1879年の琉球処分に至るまでの「近世琉球」期は、明清両朝への朝貢・冊封関係、そして島津氏およびその上位の徳川幕府に対する従属関係が琉球王国を規定した時期である。そのため、明清両朝の華夷秩序と近世日本の日本型華夷観念との衝突やその中で生じる矛盾を琉球は抱え込まなければならなかった。17世紀末頃までにその枠組みを確立した琉球の外交は、島津氏と幕府に対する対日外交、そして朝貢使節の派遣と冊封使節の迎接に代表される対清外交に大別される。両者は琉球の「二重朝貢」として並列されることもあるが、その位相は全く異なるものであり、琉球の外交に制約を課すとともにその国内体制とも密接に絡み合い、逆に琉球の存在意義を保障する役割を果たしていた。 近世琉球期の外交については、既に重厚な研究蓄積が存在するが、本報告ではそれらの成果に依拠しつつ、その国際的位置づけと外交の枠組みに関するいくつかの問題について検討を加え、その中に見いだせる「主体性」もしくは「自律性」について考えてみたい。
著者
岡本一平 著・画
出版者
磯部甲陽堂
巻号頁・発行日
1916
著者
岡本 健
巻号頁・発行日
2012-03-23

講演資料. 2012年3月23日(金). 有限会社エアーダイブ, 北海道.
著者
金子 哲 牧田 満知子 岡本 洋之 湯瀬 昌文
出版者
兵庫大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

平民が強い土地所有権を有し、定住志向を持つ日本社会は、東アジアの中で特異だ。平安時代の「良き死を支え合う仲間」からこの社会が始まったが、肉親の付き合いが弱くなった。グローバル経済のため、人間関係が弱くなった日本社会では、孤独死の不安が強まっている。インターネットを活用し、「看取り仲間」を増やすことで、死を積極的に受け入れられる社会となり、生の充実と無駄な医療費の削減が可能となる。
著者
岡本 勝
出版者
同志社大学
雑誌
同志社アメリカ研究 (ISSN:04200918)
巻号頁・発行日
vol.29, pp.47-61, 1993-03-25

研究ノート, Note
著者
後藤 正司 岡本 卓 中野 淳 中島 尊 桝屋 大輝 劉 大革 亀山 耕太郎 石川 真也 山本 恭通 黄 政龍 横見瀬 裕保
出版者
特定非営利活動法人日本呼吸器外科学会
雑誌
日本呼吸器外科学会雑誌 (ISSN:09190945)
巻号頁・発行日
vol.18, no.2, pp.132-135, 2004-03-15
被引用文献数
4 3

左側は66歳,女性.64歳時に右乳癌にて右胸筋温存乳房切除術を受けた.病理病期はstage II で,術後DMpC療法(5'-DFUR : 800mg,MPA : 800mg,CPA : 100mg)を施行中であった.2003年1月16日,胸部CTで左S^8にspicula, notchを伴う小結節陰影の出現を認めた.結節陰影の増大を認め,またFDG-PETで,左S^8の結節陰影に一致して集積を認め,精査目的で,2003年3月24日当科へ入院した.CT下肺生検では確定診断に至らず,2003年4月23日,胸腔鏡補助下肺生検を施行し肺クリプトコッカス症と診断された.腫瘤陰影を呈する肺クリプトコッカス症のCT所見は肺癌と類似し,PETでも陽性を示すことがあるため画像上の鑑別は困難である.
著者
黒田 久寅 熊野 明美 岡本 幸子
出版者
公益社団法人日本薬学会
雑誌
衛生化学 (ISSN:0013273X)
巻号頁・発行日
vol.10, no.3, pp.165-168, 1964-09-30

The present work was undertaken to clarify the physiological mechanism of germination of conidio spore of Cochliobolus miyabeanus. With the spore obtained by wet method, rate of germinaton and regression coefficient of germination curve decreased and the synchronism of spore lowered during storage. But, with the spore obtained by dry method, this phenomena could not be recognized even after 12 weeks'storage. Neither α-picolinic acid nor its analogues were found in the spore. This spore showed a great resistance to such respiration poison as potassium cyanide and sodium azide, therefore, under the condition completely inhibiting the oxygen-uptake (concentration of KCN or NaN_3 was 10^<-3>M/L) or without oxygen the formation of germ tube was observed. Thus, it was supposed that this spore had a metabolic pathway producing energy necessary for germination under an anaerobic condition. The respiration of spore rapidly increased instantly after the beginning of cultivation and the faculty to oxidize external substrate had a tendency to increase after the formation of germ tube.
著者
岡本 峰雄
出版者
東京海洋大学
雑誌
萌芽研究
巻号頁・発行日
2005

1.藻類増殖具の改良新型増殖具(鉄鋼スラグが原料のセラミック)は強度が高い微細多孔質構造という特徴を有していた。18年11月、東京湾内2ケ所(江奈漁港、竹岡海岸)のアラメ藻場に設置し、19年5,6月に回収した。また19年10-11月、館山実験場と茨城水試でアラメ着生実験を行った。2.海域実験18年に設置した増殖具は実験室で詳細な計測を行った。江奈の0m層の増殖具にはアオサ、0.2mはツノマタ、竹岡の2mはツノマタとテングサ)が生育していた。藻類はさまざまな生長段階のものが密生し(株数計測不能)、着生位は光を受ける上面から側面に限られていた。3.水槽実験館山では漂着したアラメ、茨城では当日採取したアラメを用い、遊走子を抽出した。増殖具は遊走子液に浸漬して水槽で育成した。茨城では増殖具を配置した水槽に母藻を投入する方法も追加した。増殖具表面は1-2週間で珪藻が厚く覆ったため、適時表面をブラシで軽く清掃した。20年2月段階で一部の増殖具に数ミリから10mmのアラメ幼体(胞子体)が確認され、以後は成長を速めた。増殖具に数個から数十個の幼体が密生していた。母藻を投入して放置し、適時表面をブラシで清掃したものが着生に成功した。遊走子の着生から幼体が確認できるまでの成長段階は観察することはできなかった。増殖具の微細孔に珪藻は入れないが遊走子は入れることが理由と考えるが未解明である。
著者
岡本 仁
出版者
独立行政法人理化学研究所
雑誌
新学術領域研究(研究領域提案型)
巻号頁・発行日
2009

我々は、ゼブラフィッシュの背側手綱核が、更に外側と内側の亜核に分かれており、外側亜核は脚間核の背側半分に、内側亜核は脚間核の腹側半分に選択的に投射すること、左側の手綱核では外側亜核が内側亜核よりも有意に大きく、右側の手綱核ではその反対であることを発見した(Aizawa et al., Current Biology,2005 ; Devel.Cell,2007)。平成21年度には、マウスの外側手綱核が、縫線核に投射する事に基づき、ゼブラフィッシュ脳の縫線核に色素を注入し、逆行性に細胞体を染める事によって、手綱核の腹側の部分の神経細胞が染色されたことから、ゼブラフィッシュの腹側手綱核が、マウスの外側手綱核に相当する事を確認した(Amo et al., J.Neurosci.2010)。平成22年度には、腹側手綱核特異的に、神経活動の操作を行うために、手綱核特異的遺伝子のスクリーニングを行い、2つの遺伝子が、腹側手綱核特異的に発現する事を発見した。このうちのdiamine oxydase(dao)については、この遺伝子を含むBACクローンを単離し、大腸菌内での遺伝子組換えを使って、コーディング領域を、Cre recombinaseと交換した組換え体を作成し、これを用いて、トランスジェニック系統を作成した。本系統と、vglut2-loxP-dsRed-loxP-GFPを持つ別系統とをかけ合わせることによって、腹側手綱核のみで、GFPを活性化できることを明らかにした。今後、GFPの代りに破傷風毒素や、Channelrhodopsin等を、腹側特異的に発現させる事によって、腹側手綱核の神経細胞からの、神経伝達の活性を人為的に調整し、ゼブラフィッシュの行動が、どのように影響されるかを観察する予定である。
著者
関口 豊三 丸野内 様 吉田 廸弘 山岸 秀夫 岡本 尚 岩倉 洋一郎
出版者
(財)河野臨床医学研究所
雑誌
がん特別研究
巻号頁・発行日
1988

1)、発癌遺伝子の可能性が疑われているヒト成人性T細胞白血病ウイルスHTL-1 tax-1遺伝子を正常骨髄細胞に移入して、これを放射線照射を受けたマウスに注入してキメラマウスを作成し、或いはこのtax-1遺伝子をマウス受精卵に移入を行ってトランスジェニックマウスを作成し、個体レベルにおけるtax-1遺伝子の作用を分析した。サーザン解析によってtax-1遺伝子が検出されたキメラマウスの胸腺、脾では未熟なリンパ球がビマン性に浸潤し、髄質の構造が失われ、T細胞の分化、成熟の抑制が認められた。又、トランスジェニックマウスでは胸腺の萎縮が著明で、発育低下、早死にするものが多く、生長したものでは「悪性リンパ腫の他「肺ガン」,皮膚の「線維肉腫」,末梢神経の「シュワノーム」等の種々のがん発生がみられ、且つこれ等がん組織でtax-1の遺伝子の発現が認められたので、tax-1そのものが発癌遺伝子であることが示された。又、ヒト免疫不全病ウイルス(AIDS,HIV)tatIII遺伝子がTNFの共存下で、HIV遺伝子発現を著明に増強することが見出され、TNFはHIV-LTRの「エンハンサー」を介して作用すること明らかとなった。2)、胸腺の染色体外環状DNAの分析から、これらがT細胞受容体α鎖及ζ鎖遺伝子の再配列の結果、切り出されたものである事が初めて明らかにされた。又、ヒト胃癌由来の発癌遺伝子HST1をヒト第11染色体の長腕(q13-3)に位置付けした。又、これら胃癌で別の発癌遺伝子INT2が同時に増幅していることが見出された。3)、ヒト白血病細胞U937に発癌遺伝子v-mosを移入するとマクロファージに分化することが見出された。又、ヒト小細胞肺癌細胞をビタミンA欠乏状態で培養することによって悪性度の低い腺癌様細胞に分化することが見出された。今后はHIV-tatIII遺伝子移入トランスジェニックマウスの作出を行いAIDSの分析を行う予定である。
著者
竹内 繁樹 栗村 直 岡本 亮
出版者
北海道大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2008

本研究では、独立した光子源間で良質な量子干渉をもつ単一光子源の実現と、光量子回路への応用を目指した。その結果、95.8%と世界最高レベルの2光子干渉性を実現した。また、入力された2光子の特定の偏光相関成分を抜き出す「量子もつれフィルター」、および2001年にKnillらの提案した線形光学量子計算の基本となる、「制御ノット光量子回路」の実現に成功した。また、擬似位相整合結晶における群速度分散の制御を目ざし、デバイスの作成ならびに評価を行った。