著者
岸本 千佳司
出版者
特定非営利活動法人 グローバルビジネスリサーチセンター
雑誌
赤門マネジメント・レビュー (ISSN:13485504)
巻号頁・発行日
vol.20, no.1-2, pp.1-42, 2021-04-25 (Released:2021-04-25)
参考文献数
53

スタートアップ支援の仕組みとしてのアクセラレータは、米国で2005年に創設されたY Combinatorに始まり世界中に広まった。本研究で取り上げる「AppWorks (之初創投)」は、2009年設立で台湾最初期の民間アクセラレータであり、卒業生起業家等によって構成されるコミュニティの規模ではアジア最大級とされる。AppWorksの特徴は、明確な戦略性にある。ビジネス領域ではインターネット産業 (広義にはデジタルエコノミー)、目指すべき市場としては大東南アジア圏 (ASEAN+台湾、香港) にフォーカスする。また、独自のベンチャーキャピタル・ファンドの運営も行い、アクセラレータ卒業生および他の有望なスタートアップに投資している。これを通して、相互扶助と「恩送り」のカルチャーを持つスタートアップ・コミュニティの構築を進め、台湾の電子ハードウェア産業に偏った経済成長モデルの転換を促そうと志してきた。本研究の目的は、アクセラレータも企業と同様、戦略的な経営を行うことで優れたパフォーマンスとユニークな存在感を示すことが出来ることを、AppWorksの事例分析を通して示すことである。AppWorksの「戦略ストーリー」を描くことで、戦略としての一貫性や独自性を検討する。
著者
岸本 充生
出版者
関東学院大学経済経営学会
雑誌
経済系 = Kanto Gakuin journal of economics and management : 関東学院大学経済経営学会研究論集 (ISSN:02870924)
巻号頁・発行日
vol.275, pp.26-44, 2018-11

安全や環境を保護するための社会的規制の必要性は誰もが認めるところであるが,個別の案件になると賛否が分かれる場合が多い。そのような場合に,RIAを活用して,事前に影響を可視化したうえで,合意に至りやすくするとともに,効率性,透明性,アカウンタビリティを確保するための工夫が前世紀から諸外国で続けられ,OECDからもたびたび報告書や勧告が出されてきた。本稿では,英国,EU,オーストラリア,米国をとりあげ,RIAが定着していく歴史的経緯,現在の規制策定プロセス,そして近年盛んである既存の規制への取り組みの3 点から整理した。日本ではRIA制度の開始が遅れただけでなく,いまだRIAが規制策定プロセスに統合されておらず,その潜在的な力がまったく発揮できていない。法律のそもそもの建て付けによるところも大きいが,諸外国の動向を参考に,EBPMとしてRIAシステムを再構築するにはどうすればよいか考察する。
著者
礒田 正美 銀島 文 小原 豊 松嵜 昭雄 岸本 忠之 溝口 達也
出版者
筑波大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2019-04-01

本研究の目的は、日本型教科教育を国際共有する契機として、算数教育の場合においてそのターミノロジー(学術用語体系)を英語で著す教員(研究者を含む)研修書を開発し、そのターミノロジーの採用によって、いかに教材を語る教授学的内容知識が深化するかを示すとともに、その成果をふまえ個別算数教育用語の語用マップを作成し、そのターミノロジーをユニバーサルに通用する内容に更新することにある。
著者
及川 輝樹 中野 俊 荒井 健一 中村 圭裕 藤田 浩司 成毛 志乃 岸本 博志 千葉 達朗 南里 翔平
雑誌
日本地球惑星科学連合2018年大会
巻号頁・発行日
2018-03-14

飛騨山脈南部の岐阜県・長野県県境に位置する乗鞍火山の最近約1万年間の噴火史を,テフラ層序とAMS 14C年代測定を基に明らかにした.なお本報告は,乗鞍岳火山防災協議会が行った調査を基にして,その後検討を加えたものである.かつて乗鞍火山における最近1万年間の活動中心は,火口縁に最高峰の剣ヶ峰(3026m)がある権現池火口の他,恵比須岳火口にもあるとされていた.しかし,恵比須岳火口起源のテフラとされていた噴出物は,年代や記載岩石学的特徴から,その火口起源のものではないことが明らかとなった.そのため,最近1万年間の活動中心は権現池火口周辺に限られる.最近1万年間における乗鞍火山の噴火活動は,テフラ層序に基づくと,少なくともマグマ噴火を2回,水蒸気噴火を10回行っている.マグマ噴火は,いずれも水蒸気噴火に始まるが,その後火山灰を放出する噴火とスコリアを放出する噴火がそれぞれ発生した.スコリアを放出する噴火は,その初期に小規模な火砕流も発生した.総テフラ噴出量は数100~1000万/m3オーダである.なお,権現池火口周辺から流れ出た溶岩のうち,保存のよい微地形が残存する溶岩も3ユニットあることから,溶岩を流す噴火も完新世に3回発生した可能性がある.また,個々の水蒸気噴火の総噴出量は,数10~数100万m3オーダとなる.最新の噴火は,約500年前に発生した水蒸気噴火である.およそ7300年前に降下した鬼界アカホヤ火山灰より上位のテフラユニットの数から算出した噴火頻度は,800年に一回となる.近隣の焼岳火山(100~300年/回)と比べると噴火頻度は少ないが,桁違いに少ないわけではない.
著者
岸本 宜久
出版者
北海道大学
巻号頁・発行日
2019

文学研究科(言語文学専攻)
著者
岸本 美緒
出版者
東洋文庫
雑誌
東洋学報 = The Toyo Gakuho (ISSN:03869067)
巻号頁・発行日
vol.101, no.2, pp.33-34, 2019-09
著者
岸本 美緒
出版者
岩波書店
雑誌
思想 (ISSN:03862755)
巻号頁・発行日
no.1106, pp.2-6, 2016-06
著者
木下 政人 豊田 敦 家戸 敬太郎 吉浦 康寿 岸本 謙太 村上 悠 片山 貴士 鷲尾 洋平
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2014-04-01

養殖魚の育種はほとんど行われていないのが現状である。伝統的な選抜育種法による育種は、長期間を要するという欠点があった。そこで、ゲノム編集法の一つであるCRISPR/Cas9を用いて、マダイとトラフグにおいてミオスタチン遺伝子を破壊することで筋肉増量品種作製を試みた。ミオスタチン遺伝子のエキソン1内の配列をターゲットを設定し、single guideRNAおよび Cas9 RNA を人工授精した1細胞期の受精卵にマイクロインジェクション法により導入した。その結果、いずれの魚種においても高効率でミオスタチン遺伝子破壊に成功し、筋肉量を増加した個体の作製に成功した。
著者
岸本 麻子 金 義慶 南 豊彦 中川 のぶ子 多田 直樹 井野 千代徳
出版者
耳鼻と臨床会
雑誌
耳鼻と臨床 (ISSN:04477227)
巻号頁・発行日
vol.52, no.2, pp.97-103, 2006-03-20 (Released:2013-05-10)
参考文献数
10

真性唾液過多症の1例を報告した。患者は24歳の女性で15歳頃より唾液過多を自覚していた。今日まで心因性のものとして加療されてきたが効果なく当科を紹介受診した。安静時唾液量は5分間で9-10mlと非常に多く、RI検査では両側の顎下腺で集積が低下していた。これは分泌に集積が追い付かない現象と理解した。唾液腺造影ではワルトン氏管の拡張が認められた。これは恒常的に多量な唾液が分泌されての現象ととらえた。顎下神経節をブロックして唾液量が著しく低下したことより顎下腺が責任腺と考えた。治療として抗ヒスタミン剤、マイナートランキライザー、H1受容体ブロッカー、カルバマゼピンを選択し投与した。結果、カルバマゼピンにてやや有効と判定された。最終的に左顎下腺摘出術を行ったが、結果は予想以上に良好で手術後49日目の安静時唾液量は1.5mlで、自覚的にも有効と判定された。
著者
岸本 美緒
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2002

本研究では、身分制度の諸側面を通底する「身分感覚」に焦点をあて、社会的意識という視点から、中国身分制度の全体像を長期的な視野で再構成することを目指した。具体的には、明初から清代中期に至る時期の良賤身分の問題を取り上げて、多様な史料を用いて実証的な研究を行い、以下の諸点を明らかにした。(1)明清時代を通じて「賤」観念の核心は、他者に対する服役性・従属性という点に存在した。(2)明代初期には、法律上の「賎民」を特定の限定された集団に限り、民間で形成される従属関係を法律上の「賤」と切り離す政策が取られた。(3)明代後期には、社会的流動性の増大に伴って服役的な産業が発展し、従来の政策が破綻すると同時に「賤」をめぐる議論が活発化した。(4)清朝に入り、18世紀前半の雍正帝の時代には、被差別集団の戸籍の廃止や契約による奴婢化の容認など、身分をめぐる幾つかの改革が同時になされたが、それらはいずれも、社会的流動性の増大を肯定するとともに、そこに生ずる上下格差を新たな身分制度のもとに秩序化しようとするものであった。(5)清朝のこのような政策は、社会的身分をめぐる激しい競争の一因となり、賎民の身分上昇を抑えようとする既存の紳士階層によってしばしば冒捐冒考紛争(科挙資格や官職の保有を禁じられた賎民が身分を偽って科挙資格・官職の保有をはかったという理由で告発され、訴訟などに至る紛争をいう)が起こった。(6)清代後期に良・賤の判定基準をめぐり煩瑣な法令が制定されたのは、こうした紛争の頻発を背景としている。以上、同時期の日本の身分制度とは大きく異なる明・清時代の身分制度の特色と展開につき、大筋の枠組を明らかにすることができた。