著者
三島 拓馬 上村 凌平 岸本 誠也 大貫 進一郎
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 C (ISSN:13452827)
巻号頁・発行日
vol.J105-C, no.10, pp.270-277, 2022-10-01

円柱状微小共振器の円周上を周回するWhispering Gallery Mode(WGM)を利用したレーザの放射指向性は特有の回転対称となる.本文では,共振器の形状変化を伴わない放射指向性の可変制御を検討し,ビームステアリングデバイスやスイッチング素子等への応用に向けた基本原理を確立する.WGMレーザの放射指向性は,電磁界解析に広く用いられるADE-FDTD法によりシミュレーション検証し,共振器に励起するWGM,複数レーザ間の位相差,レーザに与えるポンピング等の観点から,指向性の制御を明らかにする.
著者
岸本 智典
出版者
日本ホワイトヘッド・プロセス学会
雑誌
プロセス思想 (ISSN:21853207)
巻号頁・発行日
vol.19, pp.144-158, 2019 (Released:2020-12-28)

After the turn of the century from the late 19th century to the twentieth century, so-called progressive education had already become mainstream in the US educational circles in the 1930s. At that time, progressive education was criticized from various standpoints such as Essentialism represented by William C. Bagley and Perennialism represented by Robert M. Hutchins and Mortimer J. Adler. Among the criticisms, there was one from a position that agreed with the theory of philosophical new realism. In this paper, I will take Frederick S. Breed as a representative of such a position. He interpreted the new realist arguments including that of Ralph B. Perry, and reconstructed them in a way that conformed to his view of education. By focusing on his argument, particularly on how to defend the subject-matter curriculum against the project-type curriculum that is characteristic of progressive education, this paper will consider and estimate the extent that new realism functioned in the educational thought.
著者
岸本 正司
出版者
関西法政治学研究会
雑誌
憲法論叢 (ISSN:24330795)
巻号頁・発行日
vol.12, pp.95-122, 2005-12-17 (Released:2018-01-10)

In this paper, I discuss grounds for the necessity of establishing a new guideline for teaching the Japanese Constitution to Japanese high-school students, and then, present my teaching plan based on the guideline. The aim of the teaching plan is to let students understand the process to enactment of the Japanese Constitution from truly objective and fair perspective which is different from the viewpoint of traditionally used textbooks.
著者
岸本 正司
出版者
関西法政治学研究会
雑誌
憲法論叢 (ISSN:24330795)
巻号頁・発行日
vol.10, pp.73-92, 2003-12-20 (Released:2018-01-10)

This paper first discussed the necessity and propriety of establishing a new guideline for teaching the Japanese Constitution to Japanese high-school students, and then presented a teaching plan based on the guideline. The aim of the teaching plan was twofold : (1) To remind students of the great achievements of their ancestors through learning about two constitutions wrote in this country : Juhichijou Kenpou (the 17-article Constitution, 7C. AD) and the Imperial Constitution (19C. AD), thus leading students to take pride in their country's culture and tradition. (2) To let students think about the right direction in revising the Japanese Constitution based on the perspective developed in the above process.
著者
岸本 正司
出版者
関西法政治学研究会
雑誌
憲法論叢 (ISSN:24330795)
巻号頁・発行日
vol.5, pp.1-26, 1998-12-19 (Released:2018-01-10)

In this paper, I will mostly study various theories about the interpretations on Articles 26 and 23 of the Constitution. Through this process, I will state my opinion about three main points : (1) Who has the right to be educated? (2) Who has the right to educate? (3) Who has the right to decide the educational contents?
著者
林元 みづき 庭田 祐一郎 伊藤 哲史 植木 進 内田 雄吾 関 洋平 西川 智章 岸本 早江子 神山 和彦 高杉 和弘 近藤 充弘
出版者
科学技術社会論学会
雑誌
科学技術社会論研究 (ISSN:13475843)
巻号頁・発行日
vol.18, pp.119-127, 2020-04-30 (Released:2021-04-30)
参考文献数
4
被引用文献数
1

Patient Centricityとは「患者中心」を意味する概念であり,患者・市民参画(Patient and Public Involvement:PPI),Patient Involvement,Patient Engagementといった言葉と同義語である.近年,製薬企業が患者の意見や要望を直接入手し,患者の実体験を医薬品開発に活かすことの重要性が認識されつつあり,製薬企業での医薬品開発におけるPatient Centricityに基づく活動(本活動)が開始されている.本活動により,患者には「より参加しやすい治験が計画される」,「自分の意見が活かされた医薬品が開発される可能性がある」といったことが期待される.また,製薬企業には医薬品開発に新たな視点と価値が加わり,「より価値の高い医薬品の開発につながること」が期待される.本稿では,日本の製薬企業で実施されている本活動の事例の一部を紹介する.今後,日本の各製薬企業が本活動を推進することに期待したい.
著者
八代 嘉美 標葉 隆馬 井上 悠輔 一家 綱邦 岸本 充生 東島 仁
出版者
科学技術社会論学会
雑誌
科学技術社会論研究 (ISSN:13475843)
巻号頁・発行日
vol.18, pp.137-146, 2020-04-30 (Released:2021-04-30)
参考文献数
16
被引用文献数
1

再生医療は社会から高い注目を集めており,その成果は社会のあり方自体に大きなインパクトを与える可能性がある.そのため本格的な普及が始まる以前の段階から,研究者や医療従事者と社会の広い層がその有用性とリスクの理解を共有し,患者が研究や治療への参画を判断する基盤を整えることが重要である.研究機関や企業の広報では,研究成果を発信する際にある程度の宣伝の色彩はやむを得ない部分があるが,学会という非営利セクターが主体となる場合は,客観的かつ冷静な情報発信による知識基盤の整備へとつなげられる可能性がある.本稿では日本再生医療学会が実施してきた事業を紹介し,エマージングテクノロジーに関するコミュニケーション,あるいはそうした活動に関する患者・市民参画のモデルを構築する一助としたい.
著者
吉松 誠芳 大西 弘恵 岸本 曜 大森 孝一
出版者
一般社団法人 日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会
雑誌
日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会会報 (ISSN:24365793)
巻号頁・発行日
vol.125, no.8, pp.1281-1287, 2022-08-20 (Released:2022-09-01)
参考文献数
43

気管喉頭は硝子軟骨により枠組みを保持されており, 呼吸, 発声, 嚥下機能を担う重要な臓器である. しかし, 外傷や炎症性疾患・悪性腫瘍に対する手術などで軟骨が欠損した場合, 枠組みが維持できなくなり, その機能は大きく損なわれる. 硝子軟骨はそれ自体に再生能が乏しいため, 気管喉頭軟骨欠損に対して, これまで組織工学を応用したさまざまな軟骨再生方法の開発, 研究が行われてきた. 足場としては非吸収性足場素材や脱細胞組織が臨床応用されたが, 前者は枠組みの安定性は得られるものの, 大きさが不変であるため小児への適応が困難であり, 後者はドナーの確保や長期的な内腔保持困難が課題であった. 一方, 細胞移植 (+足場素材) による軟骨組織再生では, 軟骨細胞や間葉系幹細胞 (MSC) を用いた移植法が, 治験の段階ではあるが, 一部で臨床応用されている. しかし, 初代培養の軟骨細胞や MSC では培養時に生じる細胞の脱分化や増殖能の低下が課題として残っている. また, 近年, 無限増殖能・多分化能を有する iPS 細胞から軟骨細胞や MSC への分化誘導法が開発され, 特に膝関節領域においては臨床研究も実施されている. しかし, 気管喉頭領域における iPS 細胞由来細胞を用いた軟骨再生研究はいまだ少なく, 確立された方法はない. 今後, 細胞移植が確立されるためには, 必要な細胞を効率よく誘導したり, 必要な数だけ確保したりする, 細胞の動態をコントロールする技術が必要となる. 医工学分野の新しい技術を適切に応用し, 気管喉頭の安全かつ確実な軟骨再生方法が確立されることが期待される.
著者
和田 桂子 岸本 直之 宗宮 功 佐藤 寿彦 津野 洋
出版者
公益社団法人 日本水環境学会
雑誌
水環境学会誌 (ISSN:09168958)
巻号頁・発行日
vol.37, no.2, pp.55-62, 2014 (Released:2014-03-10)
参考文献数
32
被引用文献数
1 2

富栄養化の原因となるリン除去を目的に,赤玉土を土壌浸透浄化法へ適用するため,カラム法を用いてリン除去性能を把握する短期通水試験と共に,赤玉土のリン吸着寿命評価のため約7年間に渡る長期連続通水のリン吸着試験を実施した。その結果,土壌カラムのリン除去性能向上は,土壌との接触時間の維持確保,および,土壌層の厚み確保の双方が重要であることが明かとなった。リン吸着試験から,流出水リン濃度の急激な上昇が観測されるまでの累積リン吸着量はおよそ0.5~1.5 gP•kg-1の範囲と推察された。また,リン酸吸収係数の10%が土壌の浄化容量に相当し,施設設計のリン吸着寿命を推定する上で有効な指標となり得る。水質モニタリングから求めた累積リン除去量と累積リン吸着量はある程度一致し,本実験条件では,週2回程度の水質モニタリングにより吸着量を推定することができ,これによって実際の施設運用年数を推定することもできた。
著者
都筑 俊介 三木 淳 森武 潤 木村 章嗣 下村 達也 木村 高弘 岸本 幸一 頴川 晋
出版者
一般社団法人 日本泌尿器科学会
雑誌
日本泌尿器科学会雑誌 (ISSN:00215287)
巻号頁・発行日
vol.106, no.2, pp.71-78, 2015-04-20 (Released:2016-04-23)
参考文献数
24
被引用文献数
1 1

(目的) 東京慈恵会医科大学附属病院および柏病院におけるT1 high grade膀胱癌の臨床的特徴を検討した. (対象と方法) 2006年1月から2012年12月までにT1 high grade膀胱癌と診断された134例を対象とした.治療経過,再発・進展,再発・進展予測因子,生存率について解析を行った. (結果) 観察期間中央値は31.5カ月.2nd TURは,57例に施行し,2nd TURでの残存は33例,upstagingは4例に認められた.再発率は41.5%,再発に寄与する因子は,初回TURで筋層を含まない,非2nd TURおよび非BCG注入療法の3因子であった.進展率は10.5%,進展に関しては,有意な因子を認めなかった.経過中に膀胱全摘を施行した症例は31例(21.8%)であり,全摘病理T stage別の癌特異生存曲線で非upstaging群(pT2未満)とupstaging群(pT2以上)を比較すると,非upstaging群で有意に生存率が高かった(p=0.0027). (結論) T1 high grade膀胱癌の再発に関して,初回TURで筋層なし,非2nd TUR,非BCG注入療法が重要な予後因子であった.多岐にわたる臨床経過を示すT1 high grade膀胱癌の治療成績向上のためには,再発,進展の予防,適切な膀胱全摘の選択など,今後さらなる検討が必要である.
著者
岸本 艶
出版者
日本遺伝学会
雑誌
遺伝学雑誌 (ISSN:0021504X)
巻号頁・発行日
vol.17, no.6, pp.310-321, 1941-12-31 (Released:2011-03-14)
著者
岸本 朗 井上 雄一 松永 慎次郎 中村 準一
出版者
鳥取大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1995

現在、精神科臨床においては、複数の抗うつ薬に抵抗してうつ状態が持続するいわゆる難治性うつ病者の存在が問題となっている。難治性うつ病者にみられる臨床的特徴は急性期にみられるような高コルチゾール(COR)血症がしばしば観察されるところにある。そこで本研究は平成7-8年にかけて、難治性うつ病者に対して、COR合成阻害薬であるmetyraponeを投与するとともに、corticotropin-releasing hormone(CRH)を健常者や通常(非難治性)のうつ病者を対照として、難治性うつ病者に対して負荷し、それに対するadrenocorticotropic hormone(ACTH)やcortisol(COR)の反応を観察したものである。その結果、計9名の難治性うつ病者に対して1日量2,000mgまでのmetyraponeを、計16回にわたって使用したところ、双極性障害のみにおいて寛解が観察されたが、大うつ病では寛解が観察されなかった。また高COR血症が消失してもうつ状態の持続をみるものがあった。次に合計68名の対象について、100μgのCRHを静脈内に注射投与して得られたACTHやCOR反応を健常者や各うつ病者群と比較すると、難治性うつ病者においてはCRHに対するACTH反応,COR反応が服薬治療を受けている非難治性うつ病者、あるいは未治療者などにおけるそれらより有意に不良となっていた。以上の研究結果から、難治性うつ病者にみられる高COR血症は状態依存性ではあるが、必ずしもうつ病の原因とはなりえないこと、CRHに対するACTH,COR反応の不良性は長期間続く高COR血症のために下垂体や副腎皮質の反応性が不良となったものと考えられた。またCRH負荷試験は真の難治性うつ病から、不十分な抗うつ薬療法が行われているために、臨床効果が得られないうつ病者(すなわち偽難治性うつ病者)を区別する極めて有用な指標となるものと考えられた。
著者
出田 和泉 種村 純 岸本 寿男
出版者
一般社団法人 日本高次脳機能障害学会
雑誌
高次脳機能研究 (旧 失語症研究) (ISSN:13484818)
巻号頁・発行日
vol.28, no.4, pp.404-415, 2008-12-31 (Released:2010-01-05)
参考文献数
11

アマチュア尺八奏者でピアノの訓練経験もあったKM は,五線譜および尺八譜の読み書きが可能な二楽譜使用者であった。くも膜下出血後尺八譜の読み書き障害は軽度だったが,五線譜の読み書き能力は顕著に障害され,既知のメロディーを聴いて書譜する課題や音読課題では,五線譜と尺八譜の成績が乖離した。楽曲を正確に記譜する五線譜に対し,尺八譜は楽器の操作法を仮名文字で表記する奏法譜である。西洋音楽と異なり邦楽には,演奏する前にリズムを付けて音名を唱える「唱譜」という口伝の習得様式が存在するため,楽譜は唱譜によって暗記した演奏法を記憶から再生するための補助手段として用いられる。既知のメロディーの書譜,音読課題で尺八譜が五線譜よりも成績が良かったのは,唱譜で覚えた記憶から正答を引きだした可能性が考えられた。このような尺八譜の特異性が楽譜の読み書き課題において成績の乖離に関与したと考えられた。
著者
浜田 梨沙 武田 征士 岸本 章宏 徐 祥瀚 中野 大樹
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第36回 (2022)
巻号頁・発行日
pp.3N4GS1005, 2022 (Released:2022-07-11)

ケモインフォマティクスにおいて,分子記述子は化合物の構造的な特徴を表現し、物性との関連を評価するQSPR(定量的構造物性相関)において広く利用されている.これまで種々の分子記述子が開発されてきたが,特定の原子や構造を数え上げるという分子の局所的な情報のものが主流である.一方で,化合物の物性は部分構造同士の位置関係に依存する分子内の相互作用に大きく影響を受けることが知られている.そこで本研究では,分子内相互作用を考慮した分子記述子を提案する.本発表では,提案した分子記述子のアルゴリズムと有効性の検証結果について紹介する.