著者
岡 佳子 岡村 喜史 岸本 香織 西口 順子 杣田 善雄
出版者
大手前大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2009

本研究は、日本の宗教とジェンダーを考えるうえで重要な尼門跡文書の分析を通じて、近世社会における尼僧と尼寺の役割を明らかにすることを目的に、(1)慈受院門跡所蔵の「総持院触留」の研究、(2)尼僧を中心とした女性ネットワークの研究(3)比丘尼御所、霊鑑寺門跡の工芸品の調査、以上の3点から研究活動を行った。4ヶ年の期間内に33回の尼寺研究会を開催し、元禄11年~享保21年までの「総持院触留」28冊を講読し、6回の霊鑑寺工芸品調査を実施して人形約170件・染織品約70件・陶磁器約100件の調査データを得ることができた。その成果を纏め、2013年3月に、研究論文6、「総持院触留史料集」を収載した研究報告書を刊行した。本研究によって尼寺を背負う立場にある尼僧たちが積極的に社会に関わっていく姿が明確になった。
著者
河野 孝幸 内山 幹男 岸本 俊夫 河田 正興 仲本 博 太田 茂
出版者
川崎医療福祉大学
雑誌
川崎医療福祉学会誌 (ISSN:09174605)
巻号頁・発行日
vol.19, no.1, pp.79-84, 2009

本研究の目的は,触知覚モールスを盲聾者の新たなコミュニケーション手段として利用することの有用性を検証することである.耳介に密着させた振動子と触知覚信号発生装置を用いて12人の健常者を対象に実験した.モールス符号は,短点と長点の組み合わせで構成されている.触知覚モールスも同様に振動時間に長短の差がある2種類の振動信号(短点,長点)のいずれかを出力することを1〜4回繰り返し,一つの文字を表現する.各点の長さや点相互の間隔は短点提示時間の整数倍に設定している.基本となる短点提示時間を200msに設定して英字26文字を提示し,触知覚モールスと前回の実験で検証した触知覚点字との比較,また,文字間の間隔をモールス通信の基準値(短点提示時間の\3倍の600ms)の2倍,3倍と長くした場合との比較実験を行った.その結果,正解率は触知覚モールス:32.1±6.9%,触知覚点字:100%で,触知覚点字の方が有意に高かった(P<0.01).また,文字間の間隔を基準値の2倍にした場合は97.1±3.7%,3倍にした場合は100%となり,長く間隔を空けた方が有意に高かった(P<0.01).結論として,触覚が正常なら振動でモールス情報が伝達できること,また,モールス符号の初心者については,文字間の間隔を長くすることにより正確さの向上が期待できることがわかった.この結果は,触知覚モールスが盲聾者の新たな通信手段となり得る可能性を示唆している.実験で得た知見を携帯電話に応用すれば,盲聾者が単独で使用できる携帯電話が実現でき,新たなコミュニケーション手段になることが期待できる.
著者
坂元 昴 大西 文行 大橋 功 小田桐 忍 カレイラ松崎 順子 岸本 肇 光野 公司郎 近藤 俊明 末藤 美津子 出口 保行 藤後 悦子 馬場 伊美子 伴 浩美 福崎 淳子 益井 洋子 坂元 章 堀田 博史 松田 稔樹 磯 友輝子 岩崎 智史 高田 隆 高梨 珪子 坪井 寿子 鈴木 光男 田中 真奈美 竹内 貞一 山村 雅宏 齋藤 長行
出版者
東京未来大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2008

本研究では、21世紀に生き、開拓する21世紀型能力を中核に、幼児・児童における未来型能力、幼児・児童における未来型能力の育成、未来型能力を指導できる指導者の育成の3段階にわたる研究を、既存研究の検討整理、独自の調査、研究を踏まえて、社会貢献する成果としてまとめた。初年度から2年度にかけて21世紀型の幼児像を様々な能力領域で明らかにし、2年度から3年度にかけて、各領域で、これらの能力を育成するシステムを設計試行評価し、さらに、能力育成を指導する指導者の教育システムを検討、整理、設計、試行実施した。
著者
阪本 英男 加藤 敏春 岸本 和一郎 多田 幸生 村上 明
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.29, no.12, pp.1151-1157, 1988-12-15
被引用文献数
1

靴はそのデザインに多様な形状が要求される.近年においては デザインに対する仕様の変化する期間が短くなっているため このような需要動向に即応できることが望まれる靴の製造工程においても靴CADシステムが導入されているが 三次元でのデザインを作成するための機能については不十分である.筆者らは 靴用CADシステムにおいて靴のデザイナによるデザインの作成作業を支援するための三次元カーソル機能の開発を行い 三次元のグラフィックディスプレイ上で実現した.本報告では 作業の対象であるラストの曲面形状をその三次元形状測定点から創成する過程 三次元カーソルの動きをモデリング曲面上のみに拘束するための処理手順 システムのハードウェア構成について述べるまた 実際に三次元カーソルを用いてデザイン曲線を作成した例を挙げる.
著者
岸本 恵実
出版者
大阪外国語大学
雑誌
大阪外国語大学論集 (ISSN:09166637)
巻号頁・発行日
vol.26, pp.97-109, 2002-03-22

Joao Rodriguez S. J. (1561?-1633?) is famous as the author of two Japanese grammar books. One is "Arte da Lingoa de Iapam"(so-called "Arte Grande") published in 1604-1608 and the other the rearranged and revised "Arte Breve da Lingoa Iapoa" ("Arte Breve") edited in 1620. It is already known that "Arte Breve" is not only the summary of "Arte Grande" and one of the points newly introduced in "Arte Breve" is the term Canadzucai, which can be seen in a few places. Rodriguez uses Canadzucai for eight times in "Arte Breve". The most extensive description of the term can be seen in the pages 8v.-9r, where it is said as follows : ln order to master the conjugation of Japanese verbs, it is very important to know about Goyn and Canadzucai. This Canadzucai means how to write in Kana, how to compound syllables and letters for making words, and how to write each tense and mood in Kana. Other examples of Canadzucai coincide with this explanation, and most examples are seen in relation with verb conjugation. In the world of Japanese Tanka and Renga poetry of the epoch, Canadzucai usually meant how to use the correct Kana in some cases when there are several choices of Kana for one syllable. However, in that epoch there can be discovered some books with concern to the rules of writing Kana (Kanazukai-sho), which contain charts of the Japanese syllabary (Gojuon-zu) and explain about verb conjugation as one of the fundamental rules of distinction. We can come to the conclusion that Rodriguez thought useful that foreign learners of Japanese had knowledge of Goyn and Canadzucai in order to master the conjugation of Japanese, and introduced the idea in his "Arte Breve".
著者
遠藤 操 左 士イ 岸本 一男
出版者
一般社団法人 日本応用数理学会
雑誌
日本応用数理学会論文誌 (ISSN:24240982)
巻号頁・発行日
vol.16, no.3, pp.305-316, 2006-09-25 (Released:2017-04-08)
参考文献数
20
被引用文献数
1

This paper develops a new model describing intraday price changes in the Tokyo Stock Exchange and the Osaka Securities Exchange. The price changes are specified by the repetition of one tick price moves, each of which is caused by the termination of a continuous double auction system described by the classic queuing theory. This model predicts that the one tick price move follows the first order Markov process. We test the null hypothesis of this Markov property for the tick-by-tick data of Nikkei225 Futures on the Osaka Securities Exchange, to find the null hypothesis is not rejected.
著者
大佛 俊泰 沖 拓弥 岸本 まき
出版者
東京工業大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2017-04-01

災害発生後の混乱や群集事故等の二次的被害を低減するためには,まず,「どのような人(年齢・性別・職業)が,いつ(季節・曜日・時刻),どこで(場所・施設),何を(滞留・移動目的)しているのか」という,都市内滞留者・移動者の精緻な人口動態を推計し,これを用いた群集の誘導や制御を行うことが必要である。本研究課題では,複数の人口動態データを組み合わせることで,詳細な属性情報を備えた精緻な都市内滞留者・移動者に関するデータベースを生成する方法を構築し,大地震発生後の流動人口を予測するシミュレーションモデルを開発することで,被害・混乱の抑制方策を支援するための技術を開発した。
著者
香月 祥 田中 宏和 中村 啓信 岸本 泰士郎 狩野 芳伸
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第37回 (2023) (ISSN:27587347)
巻号頁・発行日
pp.4Xin150, 2023 (Released:2023-07-10)

我々はこれまで、診断や疾患評価、音声とその文字起こしや音声・言語学的アノテーションが付与されたUNDERPIN大規模精神疾患会話コーパスを構築してきた。このコーパスを用いて、うつ病患者の分類実験を行った。分類の際は、健常者・軽症患者・中等度以上の患者・うつ病と診断されたことがあるがテストの評価値で症状のない患者の4分類を設定し、4分類のすべてのペア6つそれぞれで2値分類を行った。結果、軽症・中等度以上の重症度に応じた分類ができること、また現在の症状にかかわらずうつ病になった性質で分類可能であることを確認した。分類に貢献した特徴量の分析では、重症度ごとに異なる特徴量や共通している特徴量を確認できた。今後は、新しい特徴量を追加しての学習や、特徴のもととなった人手のアノテーションを自動付与するシステムを構築したい。
著者
大久保 彰洋 岸本 達也
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.58, no.3, pp.531-538, 2023-10-25 (Released:2023-10-25)
参考文献数
21

鉄道ネットワークの分析は,グラフ理論を用いた研究がいくつか行われている。しかし,空間ネットワークの構築に急行や快速などの列車種別は考慮されておらず,列車種別が多様化した複雑な交通ネットワークを解析することは困難であった。本研究では,東京都市圏の各路線において列車種別の停車駅および運転本数を考慮した鉄道ネットワークモデルを構築し,2018年の首都圏の PT調査の駅間トリップのODデータからより現実の移動に即した旅客流動および移動時間を再現した。そして鉄道ネットワークの解析から駅のアクセシビリティ評価に用いるための11の指標を提案した。さらに主成分分析とクラスター分析によって駅を5つのクラスターに分類し,各駅の特徴を定量的に評価した。これらの分類によって,駅ごとのアクセシビリティやコンパクト性が可視化され,列車の在り方が多様化した日本の複雑な鉄道ネットワークから都市構造を把握することができた。
著者
岸本 健治
出版者
日本混相流学会
雑誌
混相流 (ISSN:09142843)
巻号頁・発行日
vol.11, no.1, pp.7-10, 1997-03-15 (Released:2011-02-22)

Liquid propellant rocket engine is introduced, and discussed about the technology status. As a relation with Multiphase technology, a new rocket engine development approach is introduced.
著者
田中 圭 大塚 将之 清水 宏明 吉留 博之 加藤 厚 古川 勝規 吉富 秀幸 岸本 充 中谷 行雄 宮崎 勝
出版者
一般社団法人 日本消化器外科学会
雑誌
日本消化器外科学会雑誌 (ISSN:03869768)
巻号頁・発行日
vol.47, no.1, pp.11-17, 2014-01-01 (Released:2014-01-21)
参考文献数
9
被引用文献数
2 1

症例は61歳の女性で,嘔気を主訴に近医を受診した.上部消化管内視鏡で十二指腸第2部に潰瘍性病変を認め,生検で低分化腺癌と診断された.CTで門脈前後区域枝分岐部に接する造影効果の乏しい腫瘤を認め,十二指腸癌,肝転移の診断で全身化学療法が提案された.本人・家族がセカンドオピニオンを希望され,2病院を受診したのち症状出現から4か月後に当院紹介となった.精査で十二指腸癌,および肝炎症性偽腫瘍などを含めた肝腫瘤の診断にて膵頭十二指腸切除術,拡大肝後区域切除術を施行した.病理組織学的検査で十二指腸および肝臓ともに癌は認めず,壊死巣を伴う肉芽腫を認めた.壊死巣では術前に十二指腸生検で見られた癌細胞に類似する壊死細胞が認められ,免疫組織学的に壊死細胞はcytokeratin陽性であった.以上から,十二指腸癌および肝転移が自然消失したものと考えられた.十二指腸癌の自然消失の報告はなく,文献的考察を加えて報告する.
著者
佐藤 知樹 藤本 司 大滝 博和 佐藤 隆一 岸本 浩次
出版者
一般社団法人 日本脳卒中学会
雑誌
脳卒中 (ISSN:09120726)
巻号頁・発行日
vol.24, no.3, pp.287-294, 2002-09-25 (Released:2009-06-05)
参考文献数
22

両側頸動脈永久結紮ラットを用い,黄連解毒湯,当帰芍薬散の脳虚血性障害出現への影響を検討した.虚血手術の14日前から薬物を連日直接胃に注入し,術後も30日間同様に投与した.途中で死亡した場合はその時点で脳を摘出し,生存例は30日後に動脈採血後脳を摘出した.脳はHE染色,トルイジンブルー染色,組織化学染色(VEGF, bFGF, ER, PgR)を行ない,エストローゲン(E1,E2,E3)の血中濃度を測定した.黄連解毒湯,当帰芍薬散,蒸留水投与群の急性期の死亡率は3/13(23%),5/12(42%),5/12(42%)であり,生存例中脳梗塞巣を認めたのは0/7(0%),1/7(14%),5/7(71%)であった,VEGF,bFGF陽性細胞はともに梗塞巣周辺部(penumbra)で増加していたが,程度や分布は群間で差を認めなかった.血中エストローゲン濃度,ER,PgR陽性細胞出現頻度,分布にも群間に有意な変化を認めなかった.黄連解毒湯,当帰芍薬散の脳虚血障害への防御効果が示唆された.
著者
四井 美月 Liang Kuo-ching 廣原 茉耶 北沢 桃子 吉村 道孝 江口 洋子 藤田 卓仙 岸本 泰士郎 榊原 康文
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第32回 (2018) (ISSN:27587347)
巻号頁・発行日
pp.4C2OS27b02, 2018 (Released:2018-07-30)

精神疾患の診断は現在,問診に基づく医師の主観的判断によって行われている.このような現在の診断方法は医師の経験に強く依存するため,正確な診断を行うための客観的な診断方法を開発する必要があると言われている.したがって我々の目標は,デバイスによって記録されたデータからうつ病患者の重症度を客観的に計算する深層学習手法を構築することである. 本研究では,うつ病患者と健常者を音声データで分類する深層学習プログラムを開発する.
著者
茂里 一紘 土井 康明 伊藤 昌広 岸本 由豆流
出版者
The Japan Society of Naval Architects and Ocean Engineers
雑誌
日本造船学会論文集 (ISSN:05148499)
巻号頁・発行日
vol.1991, no.169, pp.143-149, 1991 (Released:2009-09-04)
参考文献数
4

A semi-submersible displacement-type high-speed ship with wings is studied on its stability control by flaps.The vehicle, called HSV (High-speed Semi-submersible Vehicle with wings) here, is consisting of a main hull, main and tail wings with flaps, and a strut to support the super-structure. The HSV floats at a certain draft like a conventional ship while it is still, and it submerges when it moves forward due to a downward lift force induced by the main wings. HSV cannot have enough upright moment as conventional ships because of its small waterplane area. HSV is expected to be stable by an active control of flaps.Experiments are carried out to study about the possibility of the stability control by the flaps of the main and tail wings. An automatic control system is developed under which HSV is towed with the heaving, rolling, pitching and yawing motions free. The angles of attack of flaps are controlled after the measured ship motion in order to stabilize the motion.It is concluded that, although the control is not perfect due to the mechanical limitation of the used system, HSV can run stably by the active control of the flaps. The experiments among regular waves made clear that waves could not be a serious factor for the stability of HSV.