著者
長尾 慶子 横川 知子 畑江 敬子 島田 淳子
出版者
一般社団法人 日本調理科学会
雑誌
調理科学 (ISSN:09105360)
巻号頁・発行日
vol.27, no.1, pp.25-30, 1994-02-20 (Released:2013-04-26)
参考文献数
8
被引用文献数
4

Crack is often observed during deep-frying at the inside, outside and/or upside of hard doughnuts and sometimes impairs the appearance. Experiments were carried out to know the effect of the proportion of ingredients and the preparation condition on the appearance of the doughnuts.Multiple regression analysis showed that the increasing rate of the weight and volume of fried doughnuts were affected by sugar and butter content. The recipe without butter resulted in the doughnuts without outside crack. The more the sugar content was, the smaller the outside crack was. When the sugar and butter content was high, the upside crack was large. To leave the dough sample at 4°C before frying made the volume and the weight of the doughnut large and the upside crack small.Panel members judged the doughnuts to be most preferable when the small crack at the upside was observed. We divided the sample doughnuts into two groups in terms of the ratings of the overall appearance, namely, preferable group and not preferable group. Then we ran a discriminant analysis. The recipes of the preferable group contained more sugar and egg and less butter than those of the other group.
著者
石井 克枝 土田 美登世 西村 敏英 沖谷 明紘 中川 敦子 畑江 敬子 島田 淳子
出版者
日本家政学会
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.46, no.3, pp.229-234, 1995
参考文献数
25
被引用文献数
7

本研究は牛肉の低温加熱による呈味物質と呈味性の変化についてみたものである.牛肉を薄切りにし,真空パックしたものを40,60,80℃で,10分,1,3,6時間加熱した.遊離アミノ酸は40℃,6時間加熱したときにもっとも多く生成し,酸可溶性ペプチドは60℃,6時間加熱したときにもっとも多く生成した.60℃,6時間加熱した牛肉エキスと,60℃,10分加熱した牛肉エキスの呈味を官能検査により比較すると,60℃,6時間加熱した牛肉エキスの方がまろやかだった.二つの牛肉エキス中の遊離アミノ酸,5'-IMPはほとんど同量であったので,まろやかさは加熱によって増加したペプチドによるものではないかと考えられた.
著者
畑江 敬子 大沼 葉子 島田 淳子
出版者
Japanese Society for Food Science and Technology
雑誌
日本食品工業学会誌 (ISSN:00290394)
巻号頁・発行日
vol.37, no.7, pp.505-510, 1990
被引用文献数
9 5

サケ鼻軟骨を薄切りにし, 4%酢酸水溶液に168時間まで浸漬し,物理的,化学的変化を調べ,以下の結果を得た.<BR>(1) サケ鼻軟骨は酢酸処理により,生臭さがなくなり,軟らかくもろくなり,食品として好ましいテクスチャーとなるが,浸漬時間は24時間程度が適当であった.<BR>(2) 軟化はテクスチュロメータによる硬さ,圧縮に要するエネルギーおよび保水性の測定によっても確かめられ,浸漬初期に変化が大きかった.<BR>(3) 軟骨のpHは比較的短時間のうちに浸漬液のpHに近づき, 168時間後には軟骨のpHは浸漬液のpH(pH3.10)に等しくなった.<BR>(4) 水分,粗タンパク質はほとんど変化せず,糖質と灰分の減少が著しかった.<BR>(5) 糖質と灰分の主成分であるムコ多糖とカルシウムは著しく減少し, 168時間後には未処理の1/2以下となった.
著者
浜田 陽子 綾部 園子 畑江 敬子 島田 淳子
出版者
一般社団法人日本調理科学会
雑誌
調理科学 (ISSN:09105360)
巻号頁・発行日
vol.25, no.4, pp.306-313, 1992-11-20
被引用文献数
1

温度および湿度を調整したフードストッカーおよび対照として室内暗所に14種の乾物を12か月間保存し,その品質を評価した。結果は以下の通りである。1.フードストッカーに保存した乾物は,全般的に対照に比べて低水分に保持されていた。2.フードストッカーに保存した乾物の晶質は,対照に比べて有意に劣化の少ないことが官能検査によって認められた。特に米,千ぴょう,切り干大根,かつおげずり節およびのりなどは効果的であった。3.客観的測定においても,乾物のもどし時間,軟化に要する加熱時間,小麦粉のグルテン採取量およびのりのパリパリした感じたとは,保存環境による有意差が認められた。4.12か月後にはフードストッカーに保存しても晶質は低下し,煮干し,乾椎茸およびローリエの感覚的評価における対照との差は小さくなった。又,加熱時の豆の軟化に要する時間や高野豆腐のもとし時間は遅延した。5.乾麺およびこしょうは保存条件による影響をほとんど受けなかった。
著者
畑江 敬子 松本 美鈴 島田 淳子 山中 英明 渡部 終五 橋本 周久
出版者
日本水産學會
雑誌
日本水産学会誌 (ISSN:00215392)
巻号頁・発行日
vol.56, no.9, pp.1521-1525, 1990
被引用文献数
5 3

The dorsal muscle of a carp was sliced into pieces 3mm thick, and six kinds of "arai" were prepared by washing the slices in water of regulated temperature for a specific time: 3 or 5 min in 0°C water, 70 s or 3 min in 18°C water, and 20 s or 70 s in 49°C water.<br> The physical property of "arai" was determined by 7 types of measurement. Factor analysis showed that physical properties, of all kinds of "arai" differed significantly from those of untreated fish slices and that "arai" at 0°C and 18°C treatments resembled each other. Treatment at 49°C yielded different results from the others. Sensory panel members could not discriminate the texture of 0°C and 18°C treatment, though they could discriminate 49°C treatment from the others. All of these samples at 0, 18, and 49°C treatment, were judged to be satisfactory.<br> After "arai" treatment, ATP content in the fish slices decreased; the higher the tem-perature of treatment, the more the ATP content decreased.<br> Scanning electron micrography, showed fewer lipid droplets on the surface of the "arai" slices than on that of untreated fish slices. "Arai" at 49°C treatment was smooth, so we presumed that there was thermal denaturation on the surface. Slight gaps between muscle fibers were found, which were not found in the case of untreated fish slices.
著者
島田 晶子 畑江 敬子 島田 淳子
出版者
社団法人日本家政学会
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.41, no.2, pp.137-142, 1990-02-05
被引用文献数
3

固形食品の甘味の知覚は, ショ糖がさまざまな割合で固形食品に含まれているにもかかわらず, あまり研究されていない. 味の知覚はテクスチャーや材料などにより影響されるが, 固形食品の甘味の知覚についての総合的な研究はない. 本研究は, まず固形食品の甘味の知覚についての一般的な傾向を明らかにし, 次に知覚に影響する要因を知ることを目的とした. テクスチャー, 材料などを考慮して, キャンディー, メレンゲ, ようかん, チョコレート, クッキーを試料として選んだ. 官能検査で知覚されたこれらの試料の甘味度は, ショ糖溶液の濃度で表して6.7〜25.7%であり, 試料中のショ糖含量(7.8〜80%)にくらべて非常に小さかった. すなわち同濃度のショ糖溶液の甘味より低く感じられた. 食するさいに阻しゃくを必要としない試料の甘味にはショ糖含量が, それ以外の試料にはかたさも影響した. また表面積の増加程度, 唾液量, 吸水量などの影響が示唆された.
著者
佐藤 秀美 畑江 恵子 島田 淳子
出版者
社団法人 日本食品科学工学会
雑誌
日本食品科学工学会誌 (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
vol.43, no.8, pp.904-909, 1996-08-15 (Released:2009-05-26)
参考文献数
6
被引用文献数
1

食パンを赤外線ヒータで加熱した時の内部の水分分布が経時的にどのように変化するかを,特にクラムに着目し,調べるとともに,この水分分布の変化に及ぼすヒータの放射波長特性の違いの影響を検討した.その結果,以下のことが明らかになった.(1) 上下2層に分けて測定したクラムの水分含量はともに,加熱直後に一旦低下し最低値をとった後,加熱前の水分含量よりも高くなった.この加熱過程において,上層の方が下層よりも水分含量は早く,しかも大きく変化した.(2) ヒータの放射波長特性は食パン内部の水分分布に影響を及ぼした.長波長領域の赤外線を放射するヒータで加熱した場合ほど,食パンの部位により,水分含量は大きく異なった.
著者
佐藤 秀美 畑江 恵子 島田 淳子
出版者
Japanese Society for Food Science and Technology
雑誌
日本食品科学工学会誌 : Nippon shokuhin kagaku kogaku kaishi = Journal of the Japanese Society for Food Science and Technology (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
vol.43, no.8, pp.904-909, 1996-08-15
被引用文献数
2

食パンを赤外線ヒータで加熱した時の内部の水分分布が経時的にどのように変化するかを,特にクラムに着目し,調べるとともに,この水分分布の変化に及ぼすヒータの放射波長特性の違いの影響を検討した.その結果,以下のことが明らかになった.<BR>(1) 上下2層に分けて測定したクラムの水分含量はともに,加熱直後に一旦低下し最低値をとった後,加熱前の水分含量よりも高くなった.この加熱過程において,上層の方が下層よりも水分含量は早く,しかも大きく変化した.<BR>(2) ヒータの放射波長特性は食パン内部の水分分布に影響を及ぼした.長波長領域の赤外線を放射するヒータで加熱した場合ほど,食パンの部位により,水分含量は大きく異なった.
著者
長尾 慶子 畑江 敬子 島田 淳子
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.40, no.5, pp.373-377, 1989

衣を厚くしたコロッケの揚げ加熱中の破裂の機構に関して以下の結論を得た.<BR>1) 衣を2, 3, 4mmと厚くすると薄衣の1mm試料の場合にみられた表層部破裂は起こらず, コロッケ全体に縦 (長軸方向) に亀裂が入る全体破裂となった.<BR>2) 外皮の引張強さは, 経時的に増加した.2mm試料のほうが, 3および4mmの試料に比べて短時間で強度が大となった.破裂時の外皮の強度から推定した内部圧は, 2mm試料のほうがより厚い皮の試料に比べて有意に低かった.<BR>3) 厚衣の全体破裂は, コロッケ内容物体積が揚げ加熱中に温度上昇に伴い6.5~6.9%膨張することで, 約2~3N/cm2高まった内部圧を皮が抑えきれずに亀裂が起きて, 破裂するものであることが示唆された.
著者
田辺 洋子 飯島 真喜子 島田 淳子 吉松 藤子
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
家政学雑誌 (ISSN:04499069)
巻号頁・発行日
vol.37, no.5, pp.357-362, 1986

さとう, ゼラチン, 水というもっとも基本的な材料を用いたマシュマロを試料とし, マシュマロの調製可能な配合を決定し, さとうおよびゼラチン濃度の影響について比重, オーバーラン, テクスチャー特性を測定, 顕微鏡により気泡を観察し, あわせて官能検査を行い, その独得なテクスチャーについて検討した.<BR>1) 調製可能な配合はさとう濃度をの (30~60%), ゼラチン濃度を<I>y</I> (2~12%) とすると, 上限濃度<I>y</I>=-0.23<I>x</I>+17.6, 下限濃度<I>y</I>=-0.13<I>x</I>+11.6の2本の直線にはさまれる範囲にあり, さとう濃度の大きいほど, 調製に適当なゼラチンの必要濃度範囲がせまくなった.<BR>2) 抱気後比重およびオーバーランとさとう濃度およびゼラチン濃度との間には一定の傾向はみられなかった.<BR>3) さとうおよびゼラチン濃度が増加するにつれ, 平均気泡個数は増加し, よって平均気泡体積は減少した。これは気泡が小さく密になることを示している.またそれに伴い白度が増し, 硬さ, 凝集性, ガム性は増大した.<BR>4) さとう濃度を増加するとふわふわ感は減少し, 弾力が増しかみ切りにくくなった.テクスチャーの好ましさには差はみられなかった.ゼラチン濃度を増加するとふわふわ感およびかみ切りやすさは減少した.<BR>5) ふわふわ感は平均気泡体積と正の相関を有し, 気泡の平均体積が大きくなることがふわふわ感を与える要因となることが示唆された.
著者
冨永 典子 島田 淳子
出版者
お茶の水女子大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1991

仙草は台湾に自生するシソ科の一年生草本で、乾燥品を加熱抽出した液にデンプンを加えて冷却すると独特の風味とテクスチャ-を持つゼリ-となる。台湾では夏期のデザ-トとしてシロップをかけて食され、夏バテ、睡眠不足や腎臓疾患に有効であると民間で云われている。しかし、その調製法は口伝えによっており、調製条件とゲル化特性との関連は明確にはとらえられていない。そこで、ゲル化の条件を検討し、ゼリ-の粘弾性的特徴を明かにすることを目的とした。仙草は乾燥品を台湾から直接入手し、20℃と60%RHで貯蔵し、ゲル化能力がほとんどみられなかった茎を取り除き、一般成分(水分,粗蛋白質粗脂肪、粗灰分,炭水化物)を測定した。葉1,5,10%,K_2CO_30.1,0.3,0.5,0.7%、抽出時間3,6,9時間の条件で加熱 溶出固形分量を経時的に求め検討し、また葉1.5%、K_2CO_30.1,0.5%、3時間抽出液に1.5%サツマイモデンプン,トウモロコシデンプン,バレイショデンプンを添加し、4℃24時間放置後のゲルの状態を観察した。ゼリ-の物性(離水量,クリ-プ測定、みかけの弾性率)を測定、組織構造を走査型電子顕微鏡により観察、以下の結果を得た。(1)一般成分は水分7.9%,粗蛋白質15.7%,粗脂肪1.1%,粗灰分10.0%炭水化物65.3%であった。(2)仙草抽出物がゲル化するには、0.3%以上の抽出固形分と1%以上のデンプンが必要であり、抽出固形分が0.7%以上になると1%デンプンで凝固するためにはpHを9.0以上にする必要があった。(3)仙草抽出物のゼリ-はフック体歪が大きく、ニュ-トン粘性が小さいという特徴を有した。(4)仙草抽出物のゼリ-は網状構造をしており、抽出固形分濃度、デンプン濃度を高めると、骨格が太くなると同時に網状構造が密であった。
著者
浜田 陽子 ガルシア パウラ 綾部 園子 畑江 敬子 島田 淳子
出版者
一般社団法人日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会誌 (ISSN:13411535)
巻号頁・発行日
vol.33, no.1, pp.66-71, 2000-02-20
被引用文献数
4

ホウレンソウ,コマツナおよびカイワレダ大根を家庭用電気冷蔵庫に保存する際,置き方が品質に影響を及ぼすか検討した。4℃,95%RHの密封容器内に,横,立て,逆さ,に設置した状態で14日間保存し,重量,水分,色および総ビタミンC量と茄で加熱後の食味を測定,評価した。結果は以下の通りである。1.ホウレンソウ,コマツナの重量は保存期間の延長に伴って減少したが,置き方による有意の差は認められなかった。カイワレ大根の水分含量は僅かに増加したが,置き方による有意差はなかった。2.ホウレンソウおよびカイワレ大根の色は保存期間中ほとんど変化しなかった。コマツナは保存期間とともに黄化が進んだが,置き方による有意差はなかった。3.総ビタミンC量はいずれも保存期間の延長に伴い減少したが,置き方による有意差はなかった。4.官能検査の結果,茄でたホウレンソウ,コマツナの緑の濃さ,におい,甘味,渋味,食べたときの香り,硬さ,筋っぽさ,総合的な好ましさには置き方による有意の差はなかった。5.以上の結果より本実験では,ホウレンソウ,コマツナおよびカイワレ大根の冷蔵庫に保存する際,特に置き方がビタミンCの保持や食味に有意に影響を与えるとはいえなかった。
著者
古野 小百合 村田 忠彦 坂口 りつ子 藤井 淑子 竹久 文之 浜田 陽子 島田 淳子
出版者
一般社団法人日本調理科学会
雑誌
調理科学 (ISSN:09105360)
巻号頁・発行日
vol.24, no.4, pp.306-309, 1991-11-20
被引用文献数
2

1.日頃よく食べ慣れているフルーツ21品目について,5段階による評定法で得られたデータを主成分分析することによってフレッシュ軸とカジュアル軸とで構成されるフルーツのイメージマップを作成できた。2.このマップ上では,フルーツを6つの群に分類することができ,それぞれ庶民的フルーツ群,季節フルーツ群,イメージ先行フルーツ群,柑橘系フルーツ群,ジュースレスフルーツ群,ハイクラスフルーツ群と名付けることができた。3.東北,関東,関西,九州の4地域別にこのイメ一ジマップを比較したところ,地域による差は大きくはなかった。4.生産地であることがそのフルーツのイメージに若干の影響を与えている傾向がみられた。即ち,南下するにしたがい身近度が高くたるものはびわ,巨峰,パイナップルであり,又小さい動きであるがさくらんぼ,りんご,桃,メロンについてはさかやか度がアップした。
著者
島田 淳子 関本 美貴
出版者
一般社団法人日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会誌 (ISSN:13411535)
巻号頁・発行日
vol.43, no.2, pp.113-119, 2010-04-05

明治時代初期からの日本の法律を,食文化との関連で解析した。明治時代から平成時代までに制定された全法律数は,日本で民主主義が確立された昭和20年(1945年)以降に激増した。食に関するキーワードを含む法律数も同様の傾向を示した。これらの法律を食文化との関連性の有無で解析した。「食文化」という表現は平成17年(2005年)に公布された食育基本法に初めて登場した。次にそれ以前に公布された法律について食文化との関連について調査したところ,食文化に関する表現は昭和29年(1954年)に公布された学校給食法に認められた。
著者
香西 みどり 山本 文子 畑江 敬子 島田 淳子
出版者
社団法人日本家政学会
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.49, no.3, pp.283-287, 1998-03-15
被引用文献数
1

ダイコンの硬化現象に及ぼす圧力および温度効果を比較検討した.1cm角のダイコンに室温で400MPa, 2hの高圧処理あるいは60℃, 2hの加熱処理を行った.加熱処理の方が破断荷重, 破断距離のいずれも変化が大きかった.処理後の加熱による軟化の99.5℃における速度定数は加圧処理では未処理の約52%, 加熱処理では約24%に低下した.ペクチンのエステル化度の低下はいずれの処理においてもほぼ同程度であった.いずれの前処理によっても水溶性ペクチンおよび水溶性カルシウムイオンは減少し, ヘキサメタリン酸可溶性ペクチンは増加した.食塩可溶性カルシウムイオンは加圧処理によってわずかに増加しただけであったが, 加熱処理では有意に増加がみられた.
著者
島田 淳子 中津川 研一 大橋 きょう子 小田 きく子
出版者
昭和女子大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2000

ジアシルグリセロール(DAG)の調理上の特徴を把握するために、脇方酸組成、トコフェロール含量等を可能な限り揃えたDAGとトリアシルグリセロール(TAG)を調製し、試料とした。試料油と脱イオン水を、(1)油相体積分率を変えて、(2)水相として各種塩類溶液を用いて、(3)HLB3から14までのポリグリセリン脂肪酸エステルを用いて、混合撹伴し、乳化の型および保存による安定性を評価した。その結果、DAGは乳化剤無添加でかなり安定なW/O型エマルションを形成すること、抱水性が大きいこと、および一般にO/Wエマルションになる条件でW/Oエマルションとなる条件あることが見出された。塩類はいずれもDAGの乳化安定性を高めた。次にマヨネーズを模した組成の濃厚エマルションを調整した。DAGから調製したエマルションの平均粒子径はTAGのそれより小さく、粘度は高かった。しかも平均粒子径をほぼ同じにしてもDAGエマルションの粘度はTAGのそれより高く、これよりDAGと卵黄成分の間に何らかの相互作用のある事が示唆された。食塩はDAGの粘度に大きく影響した。最後にDAGの自動酸化および熱酸化に対する安定性および揚げ加熱に対する安定性を検討した。試料油を紫外線照射有り・無しで、40℃で自動酸化および180℃で熱酸化させた。また、モデル揚げ材料として、アルブミン及びα-コーンスターチを用いて一定条件下で揚げ加熱を行い検討した。その結果,DAGの酸化安定性および家庭レベルにおける揚げ加熱に対する安定性はTAGとほぼ同等とみなせた。しかし強制フライ条件においては、AVの上昇および色差計による明度の低下が、DAGにおいてTAGより顕著であった揚げ加熱中にDAGの中に溶出した水分がTAGのそれより高かったことがその原因と考えられた。以上より、DAG調理上の特性は通常の食用油脂とほぼ同等と考えられる。
著者
武田 珠美 青野 寛子 福田 靖子 畑江 敬子 島田 淳子
出版者
社団法人日本家政学会
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.51, no.12, pp.1115-1125, 2000-12-15
参考文献数
27
被引用文献数
4

ゴマ種子を170℃, 200℃および230℃で5〜40分間焙煎し, 外観, 微細構造, テクスチヤー, 糖およびリグナン類への影響を検討した. 170℃で20分まで焙煎したゴマは表皮の着色や亀裂が少なく, 外観上優れていたが, 歯ざわりの評価が低かった. 230℃で5〜15分焙煎したゴマはいずれもよくふくらみ, 残存胚乳組織と子葉間に空間が観察され, 官能検査ではもろく, プチッと破断する感触が強く, 好ましい歯ざわりと評価された. しかし, 焙煎5分ですでに表皮の着色が濃く, 亀裂が目立った. セサモールは著しく生成した. 200℃で焙煎したゴマは, 230℃焙煎のゴマに類似していた. 遊離糖には, グルコース, フラクトース, スクロース, プランテオースおよびスタキオースが含まれ, スタキオースは比較的安定であったが, 他の糖は高温の焙煎ほど減少が速くみられ, これらの総量と表面色(L値)には高い相関がみられた.
著者
今井 悦子 早川 文代 畑江 敬子 島田 淳子 相内 雅冶
出版者
社団法人日本家政学会
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.45, no.8, pp.697-708, 1994-08-15
被引用文献数
2

5種類の目皿(細孔の直径2.4,3.4,4.8,6.8および9.6mm)を通した挽き肉(牛,豚および鶏の3種類)を用いてハンバーグ様試料を調製し,試料の官能的識別および物性に及ぼす粒度の影響を検討した.生肉粒,加熱後の肉粒の粒度を測定した結果,加熱による肉粒の収縮率は牛肉>豚肉>鶏肉であった.さらに粒度測定から,牛肉は,目皿の直径が異なる試料間の粒度の識別がもっともしやすく,また鶏肉は結着性がもっとも高いことが示唆された.試料中の水分の保ちやすさは,解凍試料では目皿の直径が大きい試料の方,加熱試料では小さい試料の方であり,さらに鶏肉>豚肉>牛肉という肉種による差があった.剪断破断歪みおよび凝集性は,目皿の直径が大きい試料ほど有意に大きく,また牛肉は他の肉種より,目皿の直径が異なる試料間での変化率が大きかった.これより,牛肉の物性は,目皿の直径が異なる試料間で識別しやすいことが示唆された.官能検査の結果,目皿の直径が異なる試料間で,切り口の粗さ,硬さ,弾力性および肉粒感は3種の肉ともにある程度識別できたが,識別のしやすさには肉種により差があり,牛肉≧豚肉≧鶏肉であることが分かった.この結果より,肉粒の粒度測定および物性測定による示唆が裏づけられた.肉の粒度を官能的に捉える指標の1つである肉粒感は,肉汁の流出率および解凍試料の保水力の2つの物性値で98%予測できることが分かった.また,2つの肉粒の体積の比が1.2〜1.5以上になると粒度の識別ができると考えられた.
著者
長尾 慶子 杉山 智美 畑江 敬子 島田 淳子
出版者
社団法人日本家政学会
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.42, no.12, pp.1059-1064, 1991-12-15
被引用文献数
4

The mechanism of the rupture in the crust of frozen croquettes during frying is investigated. (1) The crust becomes fragile and weak after freezing. Water holding capacity of the con-tents decreases after freezing and thawing, so that thawed water is isolated just under the crust during frying. (2) The frozen crust shrinks during frying and is subjected to tensile stress because of the expanded frozen contents, so that it becomes easy to rupture. The croquette with 2 mm thick crust becomes very hot during frying locally at the thinnest part of the crust, and the vapor pressure of the thawed water rapidly increases just under the crust, which causes explosion with pinholes. (3) In the croquette with 3 mm thick crust, vapor pressure does not increase enough to make pinholes because the crust is so thick that the temperature does not become very high. Because of the fragility of crust, however, even the slightest expansion of the contents cracks the weakest part of crust, which causes the whole rupture of the croquette. (Received June 1, 1991)
著者
早川 文代 岩政 由布子 畑江 敬子 島田 淳子
出版者
社団法人日本家政学会
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.50, no.5, pp.481-490, 1999-05-15
被引用文献数
11

The use of onomatopoeic terms for describing food properties was studied. Fify-three onomatopoeic terms were selected to describe food properties by round-table discussion and questionnaires from 192 terms that had been collected from literature and free-answer questionnaires. A panel of 830 persons was asked whether the selected terms correctly expressed the properties of foods. Of the 648 returned questionnaires, 595 were considered valid and thus used for further analysis. More than 40% of the panel (with a confidence level of 95%) answered "yes" for almost all of the terms. A further analysis showed that the use of such terms as "mattari" and "boso-boso" differed according to the sex, age and/or degree of interest in food of the panelists.