著者
鵜崎 智史 坂口 顕 川口 浩太郎 塚越 累 日高 正巳 藤岡 宏幸
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.30, no.6, pp.945-949, 2015 (Released:2016-01-09)
参考文献数
19

〔目的〕筋損傷後の筋収縮力回復に対する微弱電流刺激(MES)の効果を明らかにするため,筋損傷モデルラットを用いた介入実験をおこなった.〔対象〕対象は10週齢Wistar系雌ラットとした.〔方法〕すべてのラットの左腓腹筋に筋挫傷を作成したのち,非介入群とMESを実施する群に分けた.MESは受傷翌日より毎日30分間実施した.評価項目を左足関節底屈の筋収縮力とし,受傷4日目より毎日測定し,非介入群とMES群で比較した.〔結果〕受傷6日目のMES群の筋収縮力が非介入群より有意に高くなった.〔結語〕筋損傷後にMESを実施することで,筋収縮力の回復を早める効果があることが示唆された.
著者
飯島 暢 川口 浩一 松生 光正
出版者
関西大学法学会
雑誌
關西大學法學論集 (ISSN:0437648X)
巻号頁・発行日
vol.71, no.2, pp.432-470, 2021-07-21

原著者:トーマス・マイヤー「20世紀における刑法上のヘーゲリアーナー」翻訳:松生光正編訳:飯島暢・川口浩一
著者
藤高 道子 河野 一輝 上田 晴雄 川口 浩史 佐倉 伸夫 上田 一博
出版者
一般社団法人日本小児アレルギー学会
雑誌
日本小児アレルギー学会誌 (ISSN:09142649)
巻号頁・発行日
vol.16, no.1, pp.99-102, 2002-03-01 (Released:2010-08-05)
参考文献数
16

症例は12歳5ヶ月の喘息女児. 従来より梅雨時期に発作が増悪する傾向がありプロピオン酸ベクロメタゾンを吸入していたが, 発作が軽減したため平成11年2月に中止した. 平成11年6月, ヒマラヤ杉とカモガヤ等のイネ科植物が群生する地域の伐採現場を通った約15分後より, 上眼瞼と口唇を中心とした顔面の浮腫, 全身チアノーゼ, 喘鳴を伴う呼吸困難が出現し当院へ緊急受診した. 受診時の意識レベルはJCS III-300で血圧も触知不能であったが, 直ちにエピネフリン, メチルプレドニゾロン等の救急処置を施行し, 当院到着から1時間後に意識は清明, 顔面の浮腫と全身のチアノーゼは消失, 呼吸状態も改善した. 発症の状況と CAP-RAST の結果から, イネ科植物花粉の大量吸入によるアナフィラキシーショックが考えられた. 花粉によるアナフィラキシーショックの報告は稀であるが花粉の大量吸入は重篤なアレルギー症状を起こす可能性が示唆され, 花粉の飛散時期を考慮に入れた注意深い治療管理が必要と思われた.
著者
西廣 淳 川口 浩範 飯島 博 藤原 宣夫 鷲谷 いづみ
出版者
応用生態工学会
雑誌
応用生態工学 = Ecology and civil engineering (ISSN:13443755)
巻号頁・発行日
vol.4, no.1, pp.39-48, 2001-07-17
参考文献数
26
被引用文献数
7 16

アサザは絶滅危惧II類に分類される多年生の浮葉植物である.霞ケ浦は我が国におけるアサザの最大規模の自生地であった.しかし近年,霞ケ浦のアサザは急速に衰退していることがわかった.すなわち,1996年には34の局所個体群が確認され展葉範囲の総面積は99,497m<SUP>2</SUP>だったが,2000年には局所個体群数は14に,展葉範囲の総面積は10,081m<SUP>2</SUP>にまで減少していた.また1996年にみられた局所個体群のうち5つでは,異型花柱性植物としての健全な種子生産のために必要な複数の花型の開花が認められたが,2000年には複数の花型の開花が認められた局所個体群は1つのみになっており,この局所個体群以外ではほとんど種子が生産されていなかった.一方,1996年までは良好な種子生産がみられた局所個体群の近くの湖岸では,アサザの実生の出現が認められた.しかし,1999年にこれらの実生約2000個体に標識して生存を調査したところ,それら全てが死亡・消失しており,定着は認められなかった.アサザの幼株も見出されず,霞ケ浦のアサザ個体群では更新がまったく起こっていないことが示唆された.また2000年にも同じ場所で実生の調査を行ったところ,発芽量自体が激減していた.これは調査場所付近のアサザ局所個体群が1999年に消失し,種子が供給されなくなったためと考えられる.2000年に確認された実生は1998年以前に生産されて永続的土壌シードバンク中で生存していた種子が発芽したものと考えられ,同じことが毎年繰り返されれば,霞ケ浦のアサザの土壌シードバンクは無駄な発芽によって消費し尽くされることが予測された.
著者
長谷川 大祐 坂口 顕 山田 哲 日高 正巳 川口 浩太郎
出版者
JAPANESE PHYSICAL THERAPY ASSOCIATION
雑誌
日本理学療法学術大会
巻号頁・発行日
vol.2011, pp.Fb0796-Fb0796, 2012

【はじめに、目的】 理学療法士が、整形外科疾患やその他外科手術後の症例を担当することは非常に多い。術後に生じる術創部周辺の「硬い浮腫」は、疼痛の遷延や関節可動域制限の原因となることが多い。一方、微弱電流刺激(MCR)は、生体に1mA以下の微弱な電流を流す電気刺激療法である。近年、急性外傷後の疼痛軽減効果、腫脹軽減効果や組織修復促進を目的に、主にスポーツ現場などで使用されている。同様に外科的処置によって生ずる術創も、その部位に組織の損傷が起きており、MCRが効果を発揮できる病態であると考える。MCRがこのような術創部周囲の腫脹を軽減できれば、その後の修復過程を促進することができるのではないかと考える。そこで本実験では、創部硬度の観点から検証するとともに、MCRによって、創部がどのように変化するかを検証することを目的とした。【方法】 Wistar系雌性ラット(8匹、6週齢)を無作為にControl群、Sham群、MCR群に分けた。Sham群、MCR群は背側を剃毛し、背側皮膚をメスにて2cmの長さに縦切開し、6針縫合した。翌日より、Control群、Sham群は、1日1回の麻酔のみを行った。MCR群は麻酔下にて、1日20分のMCRを行った。刺激は、交流電流を、刺激強度を500μA、周波数0.3Hzに設定し、電極配置は、創傷中央から左右に配置した。実験期間は10日間とし、毎日行った。創部の硬度は介入5日目より10日目まで測定した。創部硬度の測定方法は、歪みゲージ(協和電業社製、LTS-1KA)と、デジタルノギスを用いて、創部に対する圧迫力と創部の厚さを測定することで算出した。算出方法は、創部圧迫力と創部の厚さから回帰直線y=‐ax+bの関数式を導き出し、その傾き(回帰係数a)をもって創部硬度とした。創部硬度の群間比較は統計解析ソフト(PASW Ver.18.0)を用い、Kruskal-Wallis検定にての一元配置分散分析(ANOVA)を行った。【倫理的配慮、説明と同意】 兵庫医療大学動物実験委員会の承認(承認番号2010-18-1)を得て行った。【結果】 創部硬度では,Control群は5日目から10日目まで変化がなかった。一方、Sham群とMCR群は5日目の硬度ならびに厚さが増加していた。これら2群については、それぞれの日数では統計学的な有意差は認められなかったものの、日数によって硬度が変化する様式が異なる傾向を示した。Sham群は5日目に一度硬度が上昇した後、10日目には硬度が低下する傾向を示した。一方MCR群では、5日目よりも10日目の方が、硬度が上昇する傾向を示した。【考察】 術後創部周囲の「硬い浮腫」は、炎症反応後の組織修復期に、ヒアルロン酸等のムコ多糖類が増加することに由来するといわれている。これらのムコ多糖類は、保水性に優れることから、水分を吸収し、そのため術創部の周囲に「硬い浮腫」が生じる。本研究においても、創を作成したSham群、MCR群の組織修復期にあたる5日目以降において、Control群に比べて硬度が上昇し、「硬い浮腫」が存在していた。介入5日目の回帰係数はMCR群よりもSham群が高値を示していることから創部硬度はSham群が高い傾向にあると考えられる。介入10日目の回帰係数はMCR群が高値を示す傾向となり、創部硬度がMCR群とSham群で逆転した。結果からMCR群は他群と比較して創部硬度増加率が高い。この理由として、組織修復には多くの過程がオーバーラップしていることを考慮しなければならない。ムコ多糖類の合成が落ち着いた後には、線維芽細胞分泌が上昇する。これによりMCR群では、5日目のムコ多糖類や水分の蓄積が抑えられ、10日目ではコラーゲン線維が増加したことで、Sham群とは異なる組織硬度の変化を呈したのではないかと考える。坂口らは、足関節周囲の術後早期からMCRを使用することで、足部周囲の腫脹軽減や足関節関節可動域制限の進行抑制に対して、効果があると報告している。本実験結果から得られる仮説として、MCRの早期からの使用は炎症反応と修復過程が早められ「硬い浮腫」を軽減するとともに、線維芽細胞の増殖過程が早期に起こす可能性を示唆するものである。今後、それぞれの組織回復期に準じた検証と、組織学的あるいは生化学的な検証が必要であるとともに、長期的な検証が必要である。【理学療法学研究としての意義】 本研究は、例数も少ないため、この結果を持って、MCRの効果を絶対的に論じることはできない。しかしながら、MCRを術後早期から使用することにより、「硬い浮腫」軽減に対して何らかの影響を及ぼすことが考えられる。これは組織修復の進行速度に対して影響を及ぼしている可能性が示唆され、術後早期の理学療法を行う時の、創部そのものへのアプローチを考えるきっかけとして意義あるものである。
著者
上田 優輔 廣瀬 雅哉 伊藤 拓馬 安本 晃司 川口 浩実 宗重 彰 中島 正敬
出版者
一般社団法人 日本超音波医学会
雑誌
超音波医学
巻号頁・発行日
vol.43, no.4, pp.593-597, 2016

妊娠中のuterine synechiaは,一般的に子宮腔を横切る索状構造物を同定することにより診断に至る.今回,妊娠中期に内子宮口付近に現れた嚢胞性病変を契機としてuterine synechiaと診断した症例を経験した.26歳の初産婦が,妊娠26週0日に初めて,経腟超音波検査上,68×44 mmの嚢胞性病変を内子宮口付近に認めた.妊娠30週5日のmagnetic resonance imagingで頭尾側が丸く中央がくびれた,ひょうたん型の羊水腔を認めた.上部の羊水腔に横位となった胎児を認め,子宮体部正中を前後に交通する索状構造物を認めた.上部の羊水腔から11×10×10 cmの球状の羊水腔が内子宮口に向かって膨隆していた.妊娠36週6日に臍帯が下部の羊水腔に下垂しているのが観察されたため,妊娠37週3日に選択的帝王切開術を施行し,3,062 gの女児をアプガースコア9/9(1分/5分)で娩出し,索状構造物も同時に摘出した.経腟超音波で内子宮口付近の嚢胞性病変を同定することは,uterine synechiaの診断の契機になり,これを正確に診断することにより妊娠中の合併症を防止することにつながるものと考えられた.
著者
永井 紀彦 川口 浩二 吉村 豊 鷲尾 朝昭 谷川 亮一 青木 功
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木学会論文集B3(海洋開発) (ISSN:21854688)
巻号頁・発行日
vol.68, no.2, pp.I_905-I_910, 2012

海洋構造物への外力条件として重要となる洋上風の乱れについて,大水深沖合観測点で波浪と洋上風の同時観測を実施しているGPS波浪計による観測データをとりまとめ,洋上風の乱れ強度の出現特性を検討した.すなわち,青森東岸沖、三重尾鷲沖、和歌山南西沖および高知西部沖の各GPS波浪計による観測データに関して,2008年における20分間単位の年間上位500観測の有義波高を記録した高波浪時を抽出し,洋上風の平均風速・乱れ強度および有義波高・周期との関係を整理した.各種波浪パラメータと洋上風の乱れ強度との相関性は必ずしも高くなかったが,強風時に乱れ強度が比較的大きな値を示す出現頻度は,北方向のフェッチが大きい観測点ほど,大きくなる傾向が見られた.
著者
上田 優輔 廣瀬 雅哉 伊藤 拓馬 安本 晃司 川口 浩実 宗重 彰 中島 正敬
出版者
公益社団法人 日本超音波医学会
雑誌
超音波医学 (ISSN:13461176)
巻号頁・発行日
vol.43, no.4, pp.593-597, 2016 (Released:2016-07-19)
参考文献数
24

妊娠中のuterine synechiaは,一般的に子宮腔を横切る索状構造物を同定することにより診断に至る.今回,妊娠中期に内子宮口付近に現れた嚢胞性病変を契機としてuterine synechiaと診断した症例を経験した.26歳の初産婦が,妊娠26週0日に初めて,経腟超音波検査上,68×44 mmの嚢胞性病変を内子宮口付近に認めた.妊娠30週5日のmagnetic resonance imagingで頭尾側が丸く中央がくびれた,ひょうたん型の羊水腔を認めた.上部の羊水腔に横位となった胎児を認め,子宮体部正中を前後に交通する索状構造物を認めた.上部の羊水腔から11×10×10 cmの球状の羊水腔が内子宮口に向かって膨隆していた.妊娠36週6日に臍帯が下部の羊水腔に下垂しているのが観察されたため,妊娠37週3日に選択的帝王切開術を施行し,3,062 gの女児をアプガースコア9/9(1分/5分)で娩出し,索状構造物も同時に摘出した.経腟超音波で内子宮口付近の嚢胞性病変を同定することは,uterine synechiaの診断の契機になり,これを正確に診断することにより妊娠中の合併症を防止することにつながるものと考えられた.
著者
川口 浩一
出版者
明治大学法律研究所
雑誌
法律論叢 (ISSN:03895947)
巻号頁・発行日
vol.93, no.4-5, pp.63-83, 2021-01-29
著者
橋本 典明 川口 浩二 河合 弘泰 松浦 邦明 市川 雅史
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
海岸工学論文集 (ISSN:09167897)
巻号頁・発行日
vol.50, pp.176-180, 2003-10-10 (Released:2010-03-17)
参考文献数
5
被引用文献数
1

1951~2000年の50年間に日本付近に来襲した台風データに基づいて確率台風モデルを改良した. 本研究では, 台風位置 (緯度, 経度) の時間変化量の偏差を2次元ARモデルにより季節別にモデル化した. 一方, 台風中心気圧・最大風速半径に関しては, 1次元ARモデルにより季節別にモデル化した. このモデルを用いて, モンテカルロシミュレーションを行った結果, 台風経路の再現性が改善され, 台風中心気圧の平面分布は概ね実データのそれと一致した. また, 過去50年間に伊勢湾に接近した台風の最大気圧降下量も, 実データは概ねシミュレーションの標偏差内に入っていることから, 本研究で改良・構築した確率台風モデルは妥当なモデルであると考えられる.
著者
森 信人 Janssen Peter A.E.M. 川口 浩二 永井 紀彦
出版者
日本流体力学会
雑誌
日本流体力学会年会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2007, 2007

Quasi-resonant four-wave interactions may influence the statistical properties of deep water surface gravity waves such as a freak wave. The freak wave prediction method developed by Mori and Janssen (2006) based on the quasiresonant wave theory is compared with Europian Centre for Meidum Range Weather Forecasts wave analysis data. Mori and Janssen (2006) model shows low correlation of kurtosis with the observed wave data, although the observeda data show the significant correlation between H_<max> and kurtosis.
著者
飯島 暢 川口 浩一 玄 守道
出版者
関西大学法学会
雑誌
關西大學法學論集 (ISSN:0437648X)
巻号頁・発行日
vol.71, no.4, pp.1108-1140, 2021-11-22

編訳:飯島暢・川口浩一、訳:玄守道
著者
川口 浩一
出版者
関西大学法学会
雑誌
關西大學法學論集 (ISSN:0437648X)
巻号頁・発行日
vol.58, no.6, pp.1136-1149, 2009-03-10
著者
長谷川 大祐 坂口 顕 山田 哲 日高 正巳 川口 浩太郎
出版者
日本理学療法士協会(現 一般社団法人日本理学療法学会連合)
雑誌
理学療法学Supplement Vol.39 Suppl. No.2 (第47回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.Fb0796, 2012 (Released:2012-08-10)

【はじめに、目的】 理学療法士が、整形外科疾患やその他外科手術後の症例を担当することは非常に多い。術後に生じる術創部周辺の「硬い浮腫」は、疼痛の遷延や関節可動域制限の原因となることが多い。一方、微弱電流刺激(MCR)は、生体に1mA以下の微弱な電流を流す電気刺激療法である。近年、急性外傷後の疼痛軽減効果、腫脹軽減効果や組織修復促進を目的に、主にスポーツ現場などで使用されている。同様に外科的処置によって生ずる術創も、その部位に組織の損傷が起きており、MCRが効果を発揮できる病態であると考える。MCRがこのような術創部周囲の腫脹を軽減できれば、その後の修復過程を促進することができるのではないかと考える。そこで本実験では、創部硬度の観点から検証するとともに、MCRによって、創部がどのように変化するかを検証することを目的とした。【方法】 Wistar系雌性ラット(8匹、6週齢)を無作為にControl群、Sham群、MCR群に分けた。Sham群、MCR群は背側を剃毛し、背側皮膚をメスにて2cmの長さに縦切開し、6針縫合した。翌日より、Control群、Sham群は、1日1回の麻酔のみを行った。MCR群は麻酔下にて、1日20分のMCRを行った。刺激は、交流電流を、刺激強度を500μA、周波数0.3Hzに設定し、電極配置は、創傷中央から左右に配置した。実験期間は10日間とし、毎日行った。創部の硬度は介入5日目より10日目まで測定した。創部硬度の測定方法は、歪みゲージ(協和電業社製、LTS-1KA)と、デジタルノギスを用いて、創部に対する圧迫力と創部の厚さを測定することで算出した。算出方法は、創部圧迫力と創部の厚さから回帰直線y=‐ax+bの関数式を導き出し、その傾き(回帰係数a)をもって創部硬度とした。創部硬度の群間比較は統計解析ソフト(PASW Ver.18.0)を用い、Kruskal-Wallis検定にての一元配置分散分析(ANOVA)を行った。【倫理的配慮、説明と同意】 兵庫医療大学動物実験委員会の承認(承認番号2010-18-1)を得て行った。【結果】 創部硬度では,Control群は5日目から10日目まで変化がなかった。一方、Sham群とMCR群は5日目の硬度ならびに厚さが増加していた。これら2群については、それぞれの日数では統計学的な有意差は認められなかったものの、日数によって硬度が変化する様式が異なる傾向を示した。Sham群は5日目に一度硬度が上昇した後、10日目には硬度が低下する傾向を示した。一方MCR群では、5日目よりも10日目の方が、硬度が上昇する傾向を示した。【考察】 術後創部周囲の「硬い浮腫」は、炎症反応後の組織修復期に、ヒアルロン酸等のムコ多糖類が増加することに由来するといわれている。これらのムコ多糖類は、保水性に優れることから、水分を吸収し、そのため術創部の周囲に「硬い浮腫」が生じる。本研究においても、創を作成したSham群、MCR群の組織修復期にあたる5日目以降において、Control群に比べて硬度が上昇し、「硬い浮腫」が存在していた。介入5日目の回帰係数はMCR群よりもSham群が高値を示していることから創部硬度はSham群が高い傾向にあると考えられる。介入10日目の回帰係数はMCR群が高値を示す傾向となり、創部硬度がMCR群とSham群で逆転した。結果からMCR群は他群と比較して創部硬度増加率が高い。この理由として、組織修復には多くの過程がオーバーラップしていることを考慮しなければならない。ムコ多糖類の合成が落ち着いた後には、線維芽細胞分泌が上昇する。これによりMCR群では、5日目のムコ多糖類や水分の蓄積が抑えられ、10日目ではコラーゲン線維が増加したことで、Sham群とは異なる組織硬度の変化を呈したのではないかと考える。坂口らは、足関節周囲の術後早期からMCRを使用することで、足部周囲の腫脹軽減や足関節関節可動域制限の進行抑制に対して、効果があると報告している。本実験結果から得られる仮説として、MCRの早期からの使用は炎症反応と修復過程が早められ「硬い浮腫」を軽減するとともに、線維芽細胞の増殖過程が早期に起こす可能性を示唆するものである。今後、それぞれの組織回復期に準じた検証と、組織学的あるいは生化学的な検証が必要であるとともに、長期的な検証が必要である。【理学療法学研究としての意義】 本研究は、例数も少ないため、この結果を持って、MCRの効果を絶対的に論じることはできない。しかしながら、MCRを術後早期から使用することにより、「硬い浮腫」軽減に対して何らかの影響を及ぼすことが考えられる。これは組織修復の進行速度に対して影響を及ぼしている可能性が示唆され、術後早期の理学療法を行う時の、創部そのものへのアプローチを考えるきっかけとして意義あるものである。
著者
吉岡 健 坂本 登 川口 浩二 永井 紀彦 仲井 圭二
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集B3(海洋開発) (ISSN:21854688)
巻号頁・発行日
vol.72, no.2, pp.I_808-I_813, 2016 (Released:2016-08-30)
参考文献数
5

北九州市沖海域では現在,洋上風力発電設備の合理的な計画・設計に資することを目的とした実証研究が進められている.本稿では特に他海域(ナウファス各地点)との比較に主眼を置き,洋上風車の維持管理に重要となるアクセス性すなわち静穏度について,太平洋側と日本海側で季節によって大きな違いがあることを示す.続いて,支持構造物の耐波・耐風設計に重要となる両作用の同時生起性について,擾乱毎の有義波高と10分平均風速の相関係数を調べるとともに,両作用の簡易な組合せ方法を提案する.