著者
藤井 義晴 古河 衛 早川 嘉彦 菅原 和夫 渋谷 知子
出版者
日本雑草学会
雑誌
雑草研究 (ISSN:0372798X)
巻号頁・発行日
vol.36, no.1, pp.36-42, 1991-04-08
被引用文献数
10

薬用植物、および香料植物の一部から、他感作用候補植物を、レタスに対する発芽・生育試験とフザリウムに対する抗菌性試験(胞子発芽と菌糸伸長試験)から検索した。その結果、作物や一般雑草よりも高い頻度で、活性の強い他感作用候補植物が得られた。 植物発芽・生育阻害活性も抗菌性もともに最も強かったのは、キンポウゲ科のオキナグサとセンニンソウであった。これらは著名た毒草としてすでに知られており、とくにセンニンソウは牧草地に侵入する有害雑草として良く知られている。 これに次ぐものとして、オオグルマ、フレンチタイム、アンミビスナーガ、ゲッケイジュがあった。ユリ科のニラとニンニクは、水抽出液の抗菌性が、カンゾウとクスリウコンはメタノール抽出液の抗菌性が強かったが、植物生育阻害作用は小さかった。逆にヨウシュヤマゴボウ、ニッケイ、ペパーミントは、抗菌性は小さかったが、植物の発芽・生育阻害が強かった。
著者
小早川 久美子
出版者
広島文教女子大学心理教育相談センター
雑誌
広島文教女子大学心理臨床研究 (ISSN:21853185)
巻号頁・発行日
no.1, pp.1-11, 2011-04-15

心理療法統合に関する研究は、海外では1980年以降盛んになった。日本の心理臨床実践では折衷派が半数以上であるが(日本臨床心理士会、2003)、その研究においてはかなり遅れている。そこで本論では、心理療法統合に関する海外、日本における研究動向を探り、今後の心理療法統合研究の方向性について、Norcross(2005)による心理療法統合分類のひとつである同化的統合の観点から展望した。同化的統合で、力動的心理療法を基盤とするStricker & Gold(2005)や彼らに影響を与えたWachtel(1997)、家族療法を基盤とした同化的統合から関係系志向アプローチを創案した中釜(2010)などを検討した。日本の現状では、心理療法統合の有用性や有効性を明らかにするために事例研究の蓄積が必要であり、その着眼点としては、心理療法統合の契機や理由、クライエントとセラピストの関係性、心理療法統合がなされる時期や場面の特定、セラピストが心理療法統合に至る経緯を明確にし、記述することが必要ではないかと示唆した。

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著者
早川孝太郎 著
出版者
文一路社
巻号頁・発行日
1942
著者
大島 久華 尾崎 由香 北窪 友佳 早川 茂
出版者
香川県産業技術センター
雑誌
研究報告 (ISSN:13465236)
巻号頁・発行日
no.14, pp.88-92, 2014-06

D-プシコースを用いた加工食品中の安定性を評価することを目的に,カラメル化反応およびメイラード反応に準じたモデル実験を実施するとともに,加工条件の異なる食品を試作し,各加熱条件におけるD-プシコースの濃度変化を調査した。D-プシコースは加工工程において低い温度,低いpHおよび短時間の加熱状態であった場合には安定であるが,高い温度,高いpHもしくは長時間の加熱を受けた場合には,着色を伴って減少することを明らかにした。
著者
結城 康夫 早川 洋司 平林 久和
出版者
The Society of Polymer Science, Japan
雑誌
高分子論文集 (ISSN:03862186)
巻号頁・発行日
vol.32, no.11, pp.641-644, 1975
被引用文献数
2

2-アミノ-4-<I>N</I>-メチルアニリノ-6-イソプロペニル-1,3,5-トリアジンの溶液重合を検討した. アゾビスイソブチロニトリルを開始剤として, 重合温度を変えてジメチルスルホキシド溶液重合を行った. その結果平衡モノマー濃度 ([M] <SUB>e</SUB>) は60℃では0.067mol/<I>l</I>, 70℃では0.114mol/<I>l</I>, 80℃では0.187mol/<I>l</I>となった. これより重合熱として-12.0kcal/mol, 重合のエントロピ-として-30.7cal/Kmolの値を得た. また解重合を仮定した重合速度式として,<BR><I>R</I><SUB>p</SUB>=2.5×10<SUP>7</SUP>exp (-15300/<I>RT</I>) [I] <SUP>0.5</SUP> ([M] - [M] <SUB>e</SUB>)<BR>を得た.
著者
早川 洋行
出版者
名古屋学院大学総合研究所
雑誌
名古屋学院大学論集. 社会科学篇 = Journal of Nagoya Gakuin University (ISSN:03850048)
巻号頁・発行日
vol.53, no.2, pp.65-88, 2016

本論文は,人気マンガを題材にして,戦後日本社会におけるジェンダーの変化を考察したものである。1では,ジェンダーの形式的次元と実質的次元を区別して,後者に注目することに重要性を論じる。2では,知識社会学からのアプローチを説明した後に家族を描いた人気マンガを紹介して,そこに描かれた家族像と時代との関連を考察する。3では,家族ではなく個人に注目して,人気マンガの主人公に表現されている男性ジェンダーと女性ジェンダーの特徴をまとめる。そして4では,これまで論じてきたことを振り返り,現代日本社会におけるジェンダーの歴史的位相を総括する。
著者
早川 健太郎
巻号頁・発行日
pp.1-110, 2015-03-25 (Released:2016-08-03)

近年、RNAはDNAに刻まれた遺伝情報をタンパク質に翻訳するための中間体としてだけでなく、転写や翻訳、物質輸送など様々な細胞機能の調節に重要な役割を果たしていることが明らかになってきた。一方、従来のRNA研究は主としてRNAをcDNAへと逆転写し、PCR法で増幅して塩基配列分析装置やDNAマイクロアレイ法で分析する間接的な方法を基礎にしているため、本来RNAの機能調節に重要な転写後修飾の解析ができないという問題点があった。生物化学研究室で進められているRNAのLC-MS法では、RNAを直接分析することができるため、RNAタンパク質複合体などを構成するRNA成分を同定すると同時に、転写後修飾を含めた詳細な化学構造を解析できる利点がある。この方法を利用して機能性RNAの代表ともいえるtransferRNA (tRNA)の修飾について研究を始めることとした。まずtRNAとはタンパク質を合成する際にコドンに対応するアミノ酸を運搬する分子である。対応するコドンに応じて、一種類の生物に重複した数百種類の遺伝子にコードされた数十種類のtRNAが存在し、例えば出芽酵母にはゲノム上にコードされている細胞質tRNA遺伝子が275種類知られている。tRNAの塩基配列は近年のゲノム研究によって明らかになったが、それぞれの遺伝子には発現しない偽遺伝子があったり、転写後に多様な修飾反応を受けたりするため、細胞内に実在するtRNA分子の塩基修飾の全貌は明らかにされていない。実際に酵母やマウスといったモデル生物であっても塩基修飾が解明されていないtRNA分子が多数存在し、全てのtRNAの塩基修飾が解明されている生物種は未だ存在しない。しかし既に機能がわかっているものだけでも修飾塩基はコドン-アンチコドン対合やフレームシフト、ARS(aminoacyl tRNA synthetase)の正確な認識など、生体内において重要な役割を果たしているものが多くみられる。本研究ではこのように重要だと分かっているが未だに解明されていないtRNA塩基修飾の全貌を明らかにするため、出芽全酵母tRNAの修飾塩基を解明することを最終目的と考え、まず全てのコドンに対応できるtRNAの最少単位をtRNAミニマムセットとしてその全修飾塩基解析に着手した。ミニマムセットで修飾塩基の解析がされていない13種類のtRNAを候補として以下の実験を行った。本研究ではまず東京大学の鈴木らのRNA-DNA聞の水素結合による塩基対形成能を利用したtRNAの分離方法を利用して粗精製tRNAを精製した。この粗精製tRNAを高速液体クロマトグラフィー(HPLC)でさらに純度の高い単一のtRNAにまで分離することでtRNAの修飾塩基解析の試料とした。この際tT(UGU), tT(CGU), tR(CCG), tR(CCU)の4種類については修飾塩基の違いによるピークの分離が起こることが解析を進めた結果わかった。しかし、この4種類についてはピークの分離が不十分なため修飾塩基の異なるピークを同ーのものとして分取し、分析時にその割合を求めることで、修飾塩基の解析を行った。実験としてはRNaseTl, RNaseAによるtRNAの断片化後LCMS分析を行い、同定した断片をそれぞれのtRNAのゲノム配列にマッピングすることで、修飾の解析を行った。その後、決定した修飾が正しいものかを判断するためにtRNA分子をそのままLCMSで分析し、決定した修飾を含むtRNAの理論値と測定値が一致することを確認した。しかしRNaseTl, RNaseAによるtRNAの断片化だけでは配列をマッピングした際に解析が行えない箇所が生じることがあった。そこで以下に示す別の断片化法(部分消化法)を開発した。部分消化法とは酵素の性質を利用して中間体や未切断箇所を意図的に作ることで断片化の配列を長くする方法である。本来RNaseTlはG塩基の3'側のリン酸時エステル結合を加水分解する酵素だが、反応時の酵素量を減らすことでG塩基の切断をランダムに未切断にすることができる。これにより2, 3塩基だったものをさらに長い配列にすることで解析の行えなかった箇所をカバーすることが可能となった。また質量値の変化しない擬ウリジンについては上記の方法では解析ができないため、擬ウリジン特異的に反応するシアノエチル化反応を行って質量値を変化させることでこの修飾の解析を行った。しかし、この方法ではGUGという塩基配列がいくつか存在するtRNAではどのUGに擬ウリジンが存在しているのかを解析することができなかった。これについては前処理をRNaseTlではなくRNaseAを使うといったことで解決できると考えられる。これについては条件の検討をしていく必要がある。上記の方法で13種類のtRNAについて修飾塩基の解析を行った結果、tA(UGC)は全76塩基のうち9塩基がメチル化やジヒドロウリジンなどの修飾塩基であり、アンチコドンのwobble nucleotideはncm5Uと決定することができた。他のtRNAも同様にして、tG(CCC)は全75塩基中9塩基が修飾されており,wobble nucleotideはCであった。tM(CAU)は全76塩基中9塩基が修飾されており,wobble nucleotideはCで、あった。tS(GCU)は全85塩基中13塩基が修飾されており,wobble nucleotideはGであった。tE(CUC)は全75塩基中4塩基が修飾されており,wobble nucleotideはCであった。tQ(UUG)は全75塩基中8塩基が修飾されており,wobble nucleotideはmcm5s2Uであった。tQ(CUG)は全75塩基中6塩基が修飾されており,wobble nucleotideはCであった。tT(UGU)は全75塩基中13塩基が修飾されており,wobble nucleotideはncm5Uであった。tT(CGU)は全75塩基中12塩基が修飾されており,wobble nucleotideはCであった。tR(CCG)は全75塩基中8塩基が修飾されており,wobble nucleotideはCであった。tR(CCU)は全75塩基中9塩基が修飾されており,wobble nucleotideはCであった。tl(UAU)は全76塩基中11塩基が修飾されており,wobble nucleotideはUであった。本研究ではミニマムセットの全修飾塩基の解析を行い、修飾部位や修飾の起こっている割合を明らかにした。これは、網羅的に修飾塩基の解析を行ったことで、新たに得られた知見であるといえる。LC-MS分析という高感度の分析技術を用いることでこの修飾の割合を明らかにすることが可能となった。今後、この解析結果によって新たなtRNA修飾酵素の発見やARSのtRNA認識に関する探究が深められることが期待される。
著者
伊東 哲也 早川 正士
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SANE, 宇宙・航行エレクトロニクス
巻号頁・発行日
vol.97, no.377, pp.33-36, 1997-11-17

地震前兆の電磯気現象のうち、最も有効と考えられるのが (1) VLF送信局電波の電離層・大地導波管伝搬波による伝搬異常と(2) ULF電磁放射 (震源からの自然放射) が挙げられる。本報告ではインドネシアのビアク地震 (1996年2月17日、Ms〜8.0、深さ20km) に対して、(1)、(2)の観測項目の結果を報告する。先ず、オーストラリア(メルボルン)のオメガ電波を受けている千葉県犬吠観測所での観測データにも顕著な伝搬異常が発見されている。夜間での位相変動に顕著な前兆が現われている。次に、震央から90kmの地点に名大STE研のビアク地磁気観測所があり、それでの磁界3成分観測データ(1秒サンプリング)を用いてた解析から、ULF電磁放射についても報告する。一つの地霞に対して多項目の観測に開する異常解析は極めて少ない。
著者
平井 重行 榊原 吉伸 早川 聖朋
雑誌
研究報告音楽情報科学(MUS)
巻号頁・発行日
vol.2011-MUS-90, no.2, pp.1-6, 2011-05-06

日常生活を送る場所で,音楽を自らが演奏して楽しめる環境組み込み型の楽器の研究を行っている.その一つとして入浴中に浴槽をこすると鳴る 「キュッ,キュッ」 という音を利用して,DJ スクラッチ演奏が行えるシステム Bathcratch を制作した.ここでは,浴槽こすり音の特徴であるピッチの存在に着目し,その検出によってこすり音とそれ以外の音とを区別し,浴槽をこすった場合にのみスクラッチ音が鳴る仕組みを実現した.本報告では,その浴槽こすり音の解析や,Bathcratch システムの演奏処理部分を中心とした機能について述べる.
著者
山本 晴彦 岩谷 潔 鈴木 賢士 早川 誠而 鈴木 義則
出版者
CROP SCIENCE SOCIETY OF JAPAN
雑誌
日本作物学会紀事 (ISSN:00111848)
巻号頁・発行日
vol.69, no.3, pp.424-430, 2000
被引用文献数
3

1999年9月24日早朝, 九州西岸に上陸した台風18号は, 九州を縦断し周防灘から山口県に再上陸し西中国地方を通過した後, 日本海に抜けた.台風の経路上および経路の東側に位置した気象官署では最大瞬間風速40m/s以上の強風が吹き, 最大風速も九州中南部を中心に20m/s以上を観測した.九州や西中国地方では台風の通過と満潮が重なり, 有明海沿岸や周防灘では高潮により堤防が決壊し, 農作物に塩害が発生した.台風に伴う九州7県の農作物および農業用施設の被害総額は914億円, 被害面積20万haにも及んだ.また, 山口県の小野田市や宇部市の消防本部では最大瞬間風速が52.0m/s, 58.9m/sの強風を観測した.宇部港では最高潮位が560cmを観測し, 推算満潮位351cmを209cmも上回る著しい高潮であった.このため, 周防灘に面した山口県内の市町では高潮災害が相次いで発生し, 農林水産被害は高潮に伴う農耕地の冠水と塩害, 強風に伴う農作物の倒伏, ビニールハウスや畜舎の損壊, 林地の倒木など約100億円に及んだ.山口市秋穂二島でも堤防の決壊により収穫直前の水稲や移植直後の野菜苗に約100haにわたり塩害が発生し, 収量が皆無となった.
著者
早川 智浩 富井 孝喜 青木 茂 古城 誠
出版者
Japan Concrete Institute
雑誌
コンクリート工学 = Concrete journal (ISSN:03871061)
巻号頁・発行日
vol.50, no.4, pp.338-344, 2012-04-01
参考文献数
13

上面増厚工法の増厚材に高流動高じん性モルタルを用いた新しい上面増厚工法(タフスラブ・ラピッド工法)を開発した。本工法は,従来工法である鋼繊維補強コンクリートの課題であった機械設備のコンパクト化,充てん性および一体性の確保,薄層施工,鋼繊維による防水層への影響を解決した。本稿では,新しく開発した増厚材の性質およびその増厚材を用いて実施した施工性能確認試験とその結果について述べる。