著者
丸地 康平 今井 健男 太田 暁率 片岡 欣夫
雑誌
研究報告ソフトウェア工学(SE)
巻号頁・発行日
vol.2009-SE-166, no.18, pp.1-8, 2009-10-29

派生開発では,既存のテスト資産を活用しテストケースを作成する.ゆえに,テスト工程の質を保証するには,テスト資産のテストケースの不足や冗長を見つけるテストケース評価技術が重要となる.ミューテーションテストはテスト評価技術であり,テスト削減に有効であることが知られる.しかし,時間コストを要する技術であり,システムテストへの適用は困難である.本稿では,派生開発のシステムテストに対し,ミューテーションテストの適用方法を提案する.適用実験により,提案方法がミューテーションテスト自体に要する時間の削減や,テストケース不足の発見に有用であることを示す.
著者
岩澤 美帆 別府 志海 玉置 えみ 釜野 さおり 金子 隆一 是川 夕 石井 太 余田 翔平 福田 節也 鎌田 健司 新谷 由里子 中村 真理子 西 文彦 工藤 豪 レイモ ジェームズ エカテリーナ ヘルトーグ 永瀬 伸子 加藤 彰彦 茂木 暁 佐藤 龍三郎 森田 理仁 茂木 良平
出版者
国立社会保障・人口問題研究所
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2013-04-01

結婚の形成と解消の変化を理解するために、(1)変化・差異の記述、(2)説明モデルの構築と検証、(3)変化の帰結の把握に取り組んだ。横断調査、縦断調査データの分析のほか、地方自治体に対するヒアリング調査を行った。若い世代ほど結婚が起こりにくく、離婚が起こりやすい背景には近代社会を生きる上で必要な親密性基盤と経済基盤という両要件が揃わない事情が明らかになった。要因には地域の生活圏における男女人口のアンバランスや縁組み制度の衰退、強すぎる関係、男女非対称なシステムと今日の社会経済状況とのミスマッチが指摘できる。一方で都市部や高学歴層におけるカップル形成のアドバンテージの強化も確認された。
著者
高橋 暁生
出版者
社会経済史学会
雑誌
社會經濟史學 (ISSN:00380113)
巻号頁・発行日
vol.68, no.2, pp.189-210, 2002-07-25

Rouen, the capital of Normandy, showed a firm and unchanging loyalty despite the fluctuating nature of the French Revolution and of its government in particular. The political leaders of Rouen found it necessary to observe the actions of the government and react to them with prudence. Claude MAZAURIC, one of the most famous specialists on the French Revolution, explains this loyalty by pointing to 'the national viewpoint' of the local leaders, and 'the union of the state' that they considered it vital to sustain. But why was it vital for them to sustain 'the union of the state'? This can only be understood through an examination of the regional background of Rouen. In this article, the author therefore investigates the problem of the supply of gain to th city. Rouen depended on government help for its supply of gain, especially in 1793 and 1794. This economic situation and dependence on the government had a great influence on the political stance and the choices open to Rouen, and was the reason behind its loyalty to the government.
著者
青柳 暁子
出版者
日本歯科大学
雑誌
若手研究(スタートアップ)
巻号頁・発行日
2008

小児歯科診療時の小児患者・保護者・歯科医師のストレス反応を同時に評価し、心理特性との関係を相互に検討することとした。非浸襲的な歯科治療において小児自身の歯科恐怖度、治療時間、来院回数は小児のストレスに影響を与えなかったが、特性不安が高い小児ほどストレスを感じていることが示唆された。また母親の歯科恐怖度、不安や歯科医師の不安は小児のストレスに影響しないことが示唆された。
著者
岡松 暁子
出版者
法政大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2011

北極海における船舶起因の海洋汚染問題については、沿岸国のうちカナダが、1970年に「北極海汚染防止法」を制定し、その適用範囲を200海里にまで拡大、通航の際の事前通告をvoluntaryからobligatoryに変更する等、自国法による規制強化を図る実行を重ねている。これに対して、アメリカは、当該水域を「国際海峡」であると主張し、国際海峡制度に関する規定を援用しながらカナダの一方的行為に抗議している。しかし、排他的経済水域内のうち他国により国際海峡との主張が行われていない水域においては、カナダ法は対抗力を獲得する状況に至っていると考えられる。
著者
今村 都南雄 金井 利之 光本 伸江 佐藤 学 原田 晃樹 嶋田 暁文
出版者
山梨学院大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2009

第1に、「自治の器」の縮小を「手段」として住民生活を維持し、地域社会の「看取り」を責任持って行うという、もう一つの「自治」のあり方"を提示することで、既存の「自治」観の問い直しを行った。第2に、複数の自治体を取り上げ、長期的なスパンで分析を行うことにより、「意図せざる結果」に満ちた「自治のダイナミクス」を描き出すことに成功した。第3に、そうした研究の蓄積は、「課題設定の次元」と「課題対応の次元」からなる公共サービス供給編制の多様性への着目を惹起し、新たな研究展開をもたらすことになった。
著者
千種 雄一 松本 淳 桐木 雅史 川合 覚 松田 肇 及川 暁 佐藤 孝
出版者
日本衛生動物学会
雑誌
衛生動物 (ISSN:04247086)
巻号頁・発行日
vol.49, no.2, pp.125-127, 1998
被引用文献数
4 16

アルコール症と痴呆症の60歳の女性患者が自宅で転倒しガラス窓に頭部を突っ込み同部に弁状創をおった。しかし患者は何ら創傷部の手当をしないで放置した。10日後に精神科を受診した折, 医師が創部に60匹余りのヒロズキンバエの3齢幼虫を見い出した。従来言われているハエ症を惹起しやすい状態, 病態にアルコール依存症と痴呆症を加えることを提唱する。
著者
小山 慎一 NORASAKKUNKIT Vinai CHEN Chun-hsien AHMAD Hafiz Aziz 由 振偉 張 暁帆 若松 くるみ 商 倩 成田 佳奈美 堀端 恵一 山田 桃子
出版者
千葉大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

研究課題の研究1~4の全てを実施し,その成果を学会および論文で報告した.研究 1では照明の第一印象に与える影響について検討し,研究2では選択肢の種類と数が消費者の選択時における満足度に与える影響について検討した.研究3・4では消費者がモノに対するこだわりと愛着を発達させるプロセスおよび飽きが生じるメカニズムについて検討した.以上の研究から,モノに対する長期的な愛着を発達させるためには「積極的に情報を収集し,複雑な評価を楽しむことによって対象物に対する愛着を発達させ,愛着が発達することによってさらに積極的に情報を収集するようになる循環的なプロセス」が重要な役割を演じていることが示唆された.
著者
恒藤 暁 坂口 幸弘
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2004

研究1:目的は、訪問看護師による遺族支援サービスの現状とニーズを明らかにすることである。結果として、遺族への支援を目的に「患者の死後、遺族を訪問している看護師」は74%であった。訪問看護師による遺族支援については、62%が「不十分である」と回答した。研究2:目的は、養護教諭による遺族支援サービスの現状とニーズを明らかにすることである。結果として、在学中の児童・生徒が亡くなった場合の保護者への対応に関しては、「どのように接したらいいのか分からない」が34%であった。他の児童・生徒への対応では、「思い出を語り合うこと」が47%と最も多かった。研究3:目的は、宗教者による遺族支援サービスの現状とニーズを明らかにすることである。結果として、僧侶が考える遺族のニーズに関しては、「葬儀や法事などの宗教行事を執り行うこと」だけでなく、「遺族の悲しみや悩みをしっかり聴くこと」も遺族から求められていると回答していた。僧侶として苦慮した点に関しては、「今までの学びでは目の前にいる遺族をサポートすることができないと感じた点」が最も多かった。研究4:目的は、葬儀社による遺族支援サービスの現状とニーズを明らかにすることである。結果として、「遺族が集まる定期的な会合」を行っている葬儀社は4%に過きなかったが、34%は「行っていないが関心はある」と回答していた。研究5:目的は、葬儀社が提供する遺族支援サービス「ひだまりの会」のニーズと効果を検討した。研究対象は、会に参加した経験のある153名である。結果として、最も多かった参加理由は、「同じような体験をした人の話を聞きたかったから」で61%であった。2)会に参加して良かったことは、「同じ思いの人がいるということが分かった」が最も多かった。今回の結果は、「ひだまりの会」の一定の活動意義を示唆するものである。
著者
酒井 美枝 増田 暁彦 木下 奈緒子 武藤 崇
出版者
日本感情心理学会
雑誌
感情心理学研究 (ISSN:18828817)
巻号頁・発行日
vol.21, no.2, pp.58-64, 2014-02-01 (Released:2014-06-04)
参考文献数
14
被引用文献数
1

Creative Hopelessness is intended to decrease the client’s motivation to control the unpleasant thoughts and emotion in Acceptance and Commitment Therapy. The main aim of this study is to investigate the effects of the Creative Hopelessness on the subjective measures of believability and motivation of Change Agenda. Change Agenda is the rules expressed in the following lines: if I could control undesirable thoughts and emotion, I could solve the problem. Undergraduate students (N=35) with high social avoidance tendency were randomly assigned to Creative Hopelessness group, Control group, or Placebo group. Creative Hopelessness group received a psychological education about the futility of making efforts to control unwanted thoughts and feelings. Control group received a psychological education to increase the motivation to control the unpleasant thoughts and emotion. Placebo group received a psychological education of the general clinical psychology about anxiety. The reduction of believability and motivation of Change Agenda following the intervention were found only in the Creative Hopelessness group.
著者
井上 暁子
出版者
東京大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2008

今年度は、博士論文の執筆に費やした。私の博士論文(題目『私の神話、私たちの神話』)は、1980年代にドイツ連邦共和国へ移住した3人のポーランド人作家の文学を、「神話とくわたし語り」」という観点から論じるものである。彼らは皆、1960年代にドイツ=ポーランド国境地帯に生まれた人々で、体制転換以後もドイツで暮らしている。ポーランド語作家ヤヌシュ・ルドニツキや、ドイツ語とポーランド語のバイリンガル作家ダリウシュ・ムッシャーは、国家、地域、歴史、民族的文化的アイデンティティをめぐる様々なディスクールを、移動する一人称語り手の視点から、鋭く脱神話化しつつ、個人とそれらのディスクールとの不安定な関係を描き出している。他方、ポーランド語作家のナタシャ・ゲルケは、ドイツやポーランドといった具体性を一切持ち込まない、寓話的なポストモダン小説を書くことによって、1990年代のポーランド国内で流行する脱神話化傾向と一線を画している(ゲルケの文学については、東京大学現代文芸論紀要『れにくさ』へ寄稿)。さらに、前年度末、ドイツのパッサウ大学で開かれた国際学会での報告内容を、報告集用に書き直した(20枚程度の論文)。国際的なイベントと言えば、2009年11月、名古屋市立大学で2日間にわたり、ドイツ語を執筆言語とする(ないし執筆言語の一つとする)作家5人を招いて、国際シンポジウム「アィデンティティ、移住、越境」(主催は土屋勝彦教授を代表者とする科研費研究グループ)が開催された。パネリストの中には、旧ソ連出身のユダヤ系作家が二人(ヴラディーミル・カミーナー氏、ヴラディーミル・ヴェルトリープ氏)が含まれており、私の研究対象であるポーランド人作家ムッシャーと比較することができた。また、多和田葉子氏や、その他のトルコ系の作家による報告も、「今日のドイツ語文学」について考察する上で、大変参考になった。名古屋市立大学訪問の後、ヴェルトリープ氏の講演について報告を頼まれ、そのテキストは東京大学文学部スラヴ語スラヴ文学研究室のHPにアップされた。さらに、2009年6月、北海道大学スラブ研究センターを訪問し、博士論文の一部を報告した。2010年3月には、再びスラブ研究センターを訪問し、私が論じている移民作家の文学と、ドイツ=ポーランド国境地帯の「地域文学」との共通点と差異について考察し、資料収集にあたった。「ドイツ・ポーランドにまたがる越境的文学研究」という私の専門分野は、日本で先行研究者のいない、未踏の沃野であるが、私の研究は、理論的な応用可能性と普遍性をもち、異文化接触や越境文化論に大きな貢献をする可能性を秘めている。この研究を一日も早く、形にしたい。
著者
佐竹 暁子 CHAVES L.F. LUISFERNANDO Chaves LUIS FERNANDO Chaves
出版者
北海道大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2010

防虫剤を練り込んだ合成樹脂を原料として糸を作りそれで織った蚊帳(insecticide treated net)の利用は、最近注目されマラリア感染を予防する目的で大きな効果を上げている。マラリアを媒介するハマダラカは主に夕方から夜にかけて活動するため、夜人々が蚊帳の中で寝ることができればハマダラカに刺されることもない。アフリカ西部におけるマラリア発症事例数が蚊帳導入後にどのように変化したかを示すデータをもとに、蚊帳利用における人々の意思決定に関するゲーム理論モデル「蚊帳ゲーム」を構築し分析した。蚊帳ゲームでは、各プレイヤーが「蚊帳をマラリア予防に用いる」戦略Tと「蚊帳を経済活動に転用する」戦略Fのいずれかを選択すると考え、戦略Tを選んだプレイヤーは自身のマラリア感染率を下げることができ(個人効果)、戦略Fを選んだプレイヤーは自身の労働生産性を上げることができる(転用効果)と仮定している。また、少なくとも一人のプレイヤーが戦略Tを選んでいるとき、蚊帳に塗布された殺虫剤の影響によりハマダラカの個体群密度が減少し、全プレイヤーのマラリア感染率が低下する(共同体効果)。共同体効果の強さは戦略Tを採るプレイヤーの人数に比例する。各プレイヤーの期待利得は、マラリア感染率と労働生産性から算出され、全プレイヤーめ戦略からなる組に応じて一意に定まるとした。蚊帳ゲームの解析から、自然状態におけるマラリア感染率が比較的低いとき、全プレイヤーが戦略FをとるAll-Fナッシュ均衡が成立し、比較的高いときには、全プレイヤーが戦略TをとるAll-Tナッシュ均衡が成立することが示された。また、自然状態におけるマラリア感染率が中程度のときには、戦略Tを採るプレイヤーと戦略Fを採るプレイヤーが混在するFree-riderナッシュ均衡が成立する。Free-riderナッシュ均衡では、戦略Fをもつプレイヤーが戦略Tをもつプレイヤーから供給される共同体効果に「ただ乗り」する関係Prasitologyに受理された。