著者
関 淳一 藤井 暁 大橋 誠 佐藤 利彦 山本 雅規 和田 正久
出版者
一般社団法人 日本糖尿病学会
雑誌
糖尿病 (ISSN:0021437X)
巻号頁・発行日
vol.27, no.4, pp.541-548, 1984-04-30 (Released:2011-08-10)
参考文献数
20

糖尿病患者にみられるMonckeberg型石灰化 (M型石灰化) の成因並びにその臨床的意義につき研究するために, 糖尿病患者におけるM型石灰化の頻度を性・年齢分布を一致させた非糖尿病対照例と比較するとともに糖尿病の各種臨床像との関連性について検討した.また, 一部の例については椀骨骨塩含量 (RMC) との関係についても検討を加えた.対象は糖尿病患者92例, 非糖尿病者48例の計140例であり, Xeroradiographyを用い下肢動脈石灰化の有無を判定し, その石灰化像よりM型石灰化とPatchy型石灰化 (P型石灰化) とに分類した, 成績は次のごとくである.1) 糖尿病例, 非糖尿病例のM型石灰化の頻度は22.8%2.1%であり, 糖尿病例で有意に高率であった (P<0.01).また, 女性に比し男性に高率でその比はほぼ1.7: 1であった.一方, P型石灰化は糖尿病例15.2%, 非糖尿病例6.2%で両者間に有意差なく性差も認めなかった.2) M型石灰化は年齢との間には一定の関係はなく, 糖尿病の罹病期間が長期に及ぶにしたがい高率となる傾向がみられた.これに対しP型石灰化は加齢とともに頻度は増加し, 糖尿病の罹病期間との関係は明らかてなかった.3) M型石灰化例には, 検査前1年間の空腹時血糖値の平均値が250mg/dl以上の箸しいコントロール不良例が高率にみられた (P<0.05).4) M型石灰化例ては, P型石灰化例, 非石灰化例に比し増殖性網膜症合併例が有意に高率であった (P<0.05).神経病変との間には一定の関係はなかった.5) 間欠性跛行, 壊疽合併率はM型, P型両石灰化例でほぼ同率にみられ, 両者とも非石灰化例に比し有意に高率であった.6) IDDM例では, 非石灰化例に比しM型石灰化例でRMCは有意に減少していた.NIDDM例ではそのような傾向は認められなかった.
著者
山下 暁美
出版者
明海大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2005

日系ブラジル人就労者日本語上級話者のインタビューの収録結果を、好井裕明ほか(1999)と、BTSJ(宇佐美まゆみ、2007)によって文字化した。ただし、BTSJについては現在まだ分析中である。1.あいづちを、(1)感声的(エー・ソウ)(2)概念的(ホント・ナルホド)(3)あいづち的(アー・ウン・エーソウデスネ)(4)繰り返し、言い換え(5)先取り(6)その他の6分類で分類してみると、日系ブラジル人上級日本語話者のあいづちは「感性的」なあいづちが、母語話者にくらべて倍近くに増える。ただし、あいづちの回数は母語話者にくらべて少ない。なかでもfハイ」「ソウ」「フーン」「エー」がよく用いられる。「あいづち的」は、「アー」系に集中する。「概念的」あいづちは用いられなかった。「言い換え、繰り返し」は、聞き取れないとき、用いられる傾向があり、母語話者と内容がやや異なる。以上から、談話中の聞き役としての役割が十分に機能せず、主張ばかりの話し手という印象が強くなる可能性があるといえる。2.敬語は「デス」「マス」以外の表現が用いられない。初対面で日本語能力があっても、「デス」「マス」なしの頻度が高い。3.特定の表現の頻度が高い。例えば、強調は「すごい」、思い返しのポーズは「やっぱり」、説明したい気持ちは「ですよ」、「ますよ」、あいづちは「ア」系、仲間語「〜ちゃうのね」「〜じゃないですか」、古めかしい言い方「商売(ビジネス)」、「やる(する)」「おやっさん」、崩した言い方「どっか」、「来てた」、「ちっちゃい」、付け加え「〜あと」、理由「どうしてかていうと」などで、表現が限定されパターン化している、などの特徴が認められるが、まだ分析は数値化されていない段階である。以上のような結果が明らかになり、目本語母語話者と日本で社会生活を営む上で、日系ブラジル人上級話者は、さらにコミュニケーション能力を高める必要があると考えられる。特に、聞き手の立場の表現、仲間語と公的な場面での表現の使い分け等に重点をおいて教材を開発する必要がある。
著者
武田 佐知子 池田 忍 脇田 晴子 太田 妙子 堤 一昭 井本 恭子 千葉 泉 福岡 まどか 三好 恵真子 宮原 暁 住村 欣範 深尾 葉子 生田 美智子 松村 耕光 藤元 優子 宮本 マラシー 竹村 景子 中本 香 藤原 克美 古谷 大輔 村澤 博人 鷲田 清一
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2006

本研究の成果は大きく分けて二つある。一つは、従来のカタログ的な着衣研究ではなく、個別地域の具体的な文脈から引き離さず、着衣、身体、女性の関係を読み解くための共通の枠組を構築し、ローカルな視点とグローバルな視点の接合によって開ける多様性のなかの着衣研究の可能性を提示したことである。男性身体の周縁に位置づけられた女性身体の可変性、着衣による身体のイコン化と増殖現象、共同体による着衣身体の共有と変換、ジェンダー秩序のなかで受容される女性身体の意味とその操作、そして既存の共同体の集合的に実践や意識/無意識が、視覚表象と深く関わり相互交渉がなされていることを明らかにした。二つめは、日本では「着衣する身体の政治学」と題し、タイでは「着衣する身体と異性装-日・タイの比較-」と題した国際シンポジウムを開催し、単に抽象的、モデル的に着衣研究の事例を理解するのではなく、現場に即した肌に触れる知を通して、実践知と暗黙知を提示したことである。
著者
植村 幸生 薩摩 雅登 小島 直文 尾高 暁子 松村 智郁子 久保 仁志 佐竹 悦子 塚原 康子
出版者
東京藝術大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2012-04-01

大学附設の民族音楽アーカイブを拠点とし、地域の邦楽器製作者や販売者らとの協働を前提に、邦楽専門家を擁する拠点大学の地の利を生かして、当該地域の児童生徒や学内学生むけ地域文化プログラムの開発と提案を行った。具体的には、下町の邦楽器製作業者/職人への取材をもとに、楽器製作や技の継承をめぐる今日的課題を明らかにし、これに関する問題意識を次代を担う若い世代に喚起すべく、展示と実演の場を設けた。同時に、邦楽を含む下町の伝統芸能や儀礼について、広義の担い手・上演場所・機会を項目とするデータベースを作成し、邦楽を育んだ土壌を通時的に俯瞰する手だてを、アーカイブから発信する準備を整えた。
著者
角田雅照 門田暁人 松本健一 大岩佐和子 押野智樹
雑誌
研究報告ソフトウェア工学(SE)
巻号頁・発行日
vol.2014-SE-186, no.12, pp.1-7, 2014-11-06

近年,情報システムの規模の増大や,システム運用の外部委託の進展に伴い,システム運用に関する注目が高まっている.システム運用費用が妥当であるかどうかは,システム運用の委託側企業にとって判断が難しい.本稿では,委託側企業がシステム運用費用の妥当性判断の参考となるような情報の提供を目指し,システム運用費用に影響を与える要因の分析を行った.受託側の作業時間と運用費用は非常に関連が強いため,受託側作業時間を把握することができれば,標準的な運用費用を推定することができる.ただし,受託側作業時間を委託側企業が把握することは一般に容易ではない.そこで本稿では,作業時間と技術者の単価から簡易的に価格を推定することを前提とし,作業時間と単価に影響する要因を個別に分析した.その結果,作業時間はプログラム本数と最大利用者数から決まることや,ネットワーク範囲が狭い場合,単価が低くなる傾向があることがわかった.
著者
小風 暁 木庭 新治
出版者
昭和大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2014-04-01

我々はこれまでに長寿関連ミトコンドリアDNA 5178C/A(Mt5178C/A)多型とコーヒー飲用との高血圧リスク、高LDLコレステロール血症リスク、貧血リスクおよび肝障害リスクへの交互作用について報告した。また、Mt5178C/A多型と血清電解質濃度との関連についても報告した。今年度はMt5178C/A多型とコーヒー飲用との血清電解質(ナトリウム、塩素、カリウム、カルシウム)濃度への交互作用について検討した。1999年から2000年にM市の某病院の人間ドックを受診した602名のうち、女性、糖尿病患者、データ欠損がある人を除く男性402名(53.9 ± 7.8歳)を解析の対象とした。Mt5178C/A遺伝子型の判別は制限酵素AluIを用いたPCR-RFLP法によった。コーヒー飲用については、1日1杯未満、1日1-3杯、1日4杯以上、の3群に分けた。また、血清塩素濃度低値が心血管系疾患の危険因子として報告されている(De Bacquer et al. J Cardiovasc Risk, 1998)ことから、血清塩素濃度100mEq/L未満を血清塩素濃度低値とした。Mt5178C型においてコーヒー飲用が増えるほど血清ナトリウム濃度および血清塩素濃度が上昇した(順にP for trend = 0.033, 0.001)。また、コーヒー飲用杯数が増えるほど血清塩素濃度低値のリスクは低下した(P for trend = 0.032)。なお、百寿者に多いとされるMt5178A型においてはコーヒー飲用と血清電解質濃度との関連は認められなかった。Mt5178C/A多型はコーヒー飲用による血清ナトリウム濃度および血清塩素濃度への影響を修飾する可能性が示唆された。
著者
栗原 麻子 桑山 由文 井上 文則 小林 功 山内 暁子 佐野 光宣 中尾 恭三 南雲 泰輔
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2006

ギリシア、ローマそしてビザンツにおける宗教・政治儀礼と政治体制との関係性を共通のテーマとして、個別・具体的な事例研究をおこなった。政治史的な事実と宗教儀礼とを結びつける際の危うさ踏まえたうえで、法と儀礼の相互関連性、パン・ヘレニックな祭祀拡大におけるポリス社会の関与、ビザンツ皇帝の即位における都市民衆の儀礼的関与といった具体的な個別事例について、シンポジウムで公開し、比較・検討をおこなった。
著者
阿部 敬由 豊浦 正広 茅 暁陽
出版者
一般社団法人映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会技術報告 (ISSN:13426893)
巻号頁・発行日
vol.36, no.16, pp.131-134, 2012-03-09

我々は,指定した画家のスタイルを写真に転写する手法を提案する.提案手法によって,その画家が描いたような絵画調画像を写真から生成できる.写真が入力として与えられると,まず,指定した画家のデータベースから,入力した写真と似た構造を持った絵画が探索される.探索には,人間がシーンの大まかな構造を知覚するのに利用しているとされるGIST特徴量を用いる.次に,探索された絵画の色遣いと筆使いを入力写真に転写することで,その画家のスタイルを反映した絵画調画像を生成する.この提案手法では,写真と画家を指定するだけで,画材や技法を意識することなく,自動的にその画家のスタイルの絵画調を生成することができる.
著者
窪田 暁
出版者
総合研究大学院大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2009

本研究の目的は、ドミニカ共和国(以下、ドミニカ)からアメリカに渡る野球選手を対象とし、彼らの移動経験とスポーツを介した国際移動の実態を民族誌的に記述することを通して、「野球移民」の背景にある近代スポーツ文化の「土着化」の過程を明らかにし、国際移民研究のなかに「野球移民」を位置づけることである。そこで、昨年度から継続中の(1)ドミニカ国内の野球システムについての実態調査(2)野球がどのように土着化しているのかを解明する(3)アメリカのドミニカ移民コミュニティにおける野球への関わりについての調査を実施した。(1)の調査では、昨年度に調査したベースボールアカデミーを退団した選手にインタビュー調査をおこない、アカデミー経験がどのような意味をもつのかについて聞き取りをおこなった。(2)に関しては、ひとつのコミュニティにおける参与観察から、野球が人々の日常生活や価値観を規制していることがあきらかとなった。また、(3)のアメリカでの移民コミュニティでおこなったインタビューならびに参与観察からは、移民社会において野球が祖国と移民をつなぐ役割をはたしている様相を観察することができた。これらの調査結果は、研究代表者が「野球移民」と呼ぶカテゴリーの実在性を、完成された選手送出システムとドミニカに根ざした野球の文化性の事例から実証可能であることを示している。先行研究が野球の伝播やスポーツ帝国主義の視点で論じてきたことで野球選手の移動とその背後にあるスポーツの文化性については見過ごされてきた。本研究がおこなった現地調査でのデータから、「野球移民」の背景にある野球文化があきらかになりつつある。これらの調査結果は、学会や研究フォーラムで随時発表をおこなっている。
著者
日野 正輝 富田 和暁 伊東 理 西原 純 村山 祐司 津川 康雄 山崎 健 伊藤 悟 藤井 正 松田 隆典 根田 克彦 千葉 昭彦 寺谷 亮司 山下 宗利 由井 義通 石丸 哲史 香川 貴志 大塚 俊幸 古賀 慎二 豊田 哲也 橋本 雄一 松井 圭介 山田 浩久 山下 博樹 藤塚 吉浩 山下 潤 芳賀 博文 杜 国慶 須田 昌弥 朴 チョン玄 堤 純 伊藤 健司 宮澤 仁 兼子 純 土屋 純 磯田 弦 山神 達也 稲垣 稜 小原 直人 矢部 直人 久保 倫子 小泉 諒 阿部 隆 阿部 和俊 谷 謙二
出版者
東北大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2012-04-01

1990年代後半が日本の都市化において時代を画する時期と位置づけられる。これを「ポスト成長都市」の到来と捉えて、持続可能な都市空間の形成に向けた都市地理学の課題を検討した。その結果、 大都市圏における人口の都心回帰、通勤圏の縮小、ライフサイクルからライフスタイルに対応した居住地移動へのシフト、空き家の増大と都心周辺部でのジェントリフィケーションの併進、中心市街地における住環境整備の在り方、市町村合併と地域自治の在り方、今後の都市研究の方向性などが取組むべき課題として特定された。
著者
陳 暁栄 時永 祥三
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. A, 基礎・境界 (ISSN:09135707)
巻号頁・発行日
vol.86, no.10, pp.1038-1048, 2003-10-01
被引用文献数
38 4

複雑な現象を解明する手段として,マルチエージェントシステムの構成が議論されている.本論文では,人工株式市場を対象として,共進化遺伝的プログラミング(GP)を基礎としてエージェントの多様性を考慮に入れたマルチエージェントシステム構成を提案するとともに,その性質を分析する.GP手法の応用については個々のエージェントが独自の目的関数について最適化を行う行動のモデル化する場合に用いることとし,GP手法により異種のエージェントの適応的な認知プロセスをモデリングすることを試みる.システム構成では五つのタイプのエージェントを仮定し,算術式あるいはプロダクションルールをもとにして取引の方法を改善するもの,及び非合理的な挙動をするものを前提としながら,これらの学習過程において,占有的な個体プールのほかに,共有的な個体プールをも用いるグループを仮定する.これにより共進化GPを実現する.シミュレーション実験の結果として得られる株価の挙動を統計解析すると,実際の株式市場で見られるパフォーマンスに類似していることが示され,本論文の手法の有効性を検証できる.
著者
[カク] 暁卿
出版者
福岡県立大学
雑誌
福岡県立大学人間社会学部紀要 (ISSN:13490230)
巻号頁・発行日
vol.17, no.1, pp.13-27, 2008-07-31
被引用文献数
1
著者
井上 暁子
出版者
現代文芸論研究室
雑誌
れにくさ
巻号頁・発行日
no.2, pp.40-61, 2010

論文After the collapse of communism and the end of the Cold War, a new generation of young writers born after 1960 emerged in Polish literature. Natasza Goerke (1962-), a Polish writer living in Hamburg since 1985, is regarded as one of the representative writers of this generation. Today, her literary works are considered a part of Polish postmodern literature. Her first work, a collection of short stories entitled Fractale (1994), has been referred to in various discussions on literary tendencies in the post-communist era. This paper aims to discuss this work from a historical perspective and demonstrate that it not only stimulated culture criticisms in the 1990s but also challenged such discourses. The following features of this work have been highlighted so far: absurdity, expanding images, emptiness, grotesque humor, non-epic language, allegory, the apparent luck of a point, parody of stereotypes, etc. These features playfully shake the structure of a linear narrative and create confusion in the readers'minds. The first important aspect in this regard is non-epic language, which characterizes Goerke's narrative. It expands images, interrupts a logical connection, and confuses the readers. Examining two stories written in an allegorical style, I highlighted the literary behavior of the language and clarified that the misleading suggestion of metaphysical themes like 'happiness'and 'dreams'plays a vital role in her work. Next, exploring a story in which two individuals with different cultural backgrounds sometimes openly exhibits stereotypical images of others. The language and behavior of these two individuals seem to be manifestations of their social and cultural norms, underscoring the differences between them. However, this is merely a mistaken interpretation. In this manner, Goerke engages in a parodic play through the recognition of differences. It is important to emphasize that Goerke's narrative technique has critical character regarding the trends of Polish literature in the 1990s. Against the background of iconoclastic tendency, the high popularity of meta-fictional literature and glorification of postmodern aesthetics such as difference, Goerke testified the overwhelming charm of allegory and established a new form of representing radical change in Polish literature after the end of communism.
著者
相馬 充 上田 暁俊 谷川 清隆
出版者
国立天文台
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

日本・中国・韓国・インド・越南に残る日食や星食の古記録を調査し,それらを用いて紀元1000年までの地球自転角パラメータの値ΔTと月潮汐加速項の決定を行った.また,日本で9世紀からの800年余にわたり使用された宣明暦について具体的な計算方法を調査し,問題点を明らかにした.日食や星食の予報を正確に計算するため,日本の月周回衛星「かぐや」とアメリカNASAの月周回衛星LROによる精密月地形データを使って月縁の凹凸の効果を計算する計算機プログラムを完成させ,実際の予報に役立てた.
著者
齊藤 康廣 門田 暁人 松本 健一
雑誌
研究報告ソフトウェア工学(SE)
巻号頁・発行日
vol.2013, no.5, pp.1-7, 2013-03-04

本稿では,自然言語で記述された提案依頼書 (Request For Proposal ;以下 RFP とする )に記載された非機能要件の記述の明確さを機械学習により評価する方法を提案する.提案方法では,まず,RFP から非機能要件に関するキーワード群を抽出し,個々の非機能要件の特性とマッピングさせる.次に,各キーワードの出現頻度と文脈ベクトルに着目して重み付けを行い,ランダムフォレストによって,非機能要件の記述の明確さをモデル化する.70 件の RFP を題材として,提案方法によって多数の非機能要件の記述の明確さを 3 段階で評価した結果,エキスパートによる評価に対する完全一致率の平均が 69.8 %となった.また,完全不一致率 (評価が 2 段階外れること) は極めて小さかった.このことから,エキスパートがいない状況においても,機械学習によって RFP の品質の自動評価をある程度行えることが分かった.This paper proposes a machine learning approach to evaluate the clarity of non-functional requirements (NFRs) described in a Request For Proposal (RFP) written in a natural language. In the proposed method, keywords related to NFRs are extracted from a RFP, and mapped to each NFR category. Then, the clarity of NFRs is modeled by the random forest with weight factors based on appearance frequency and context vectors. As a result of an experimental to evaluate the clarity (low, mid or high) of many NFR categories in 70 RFPs, the proposed method showed 69.8% match to the expert's decision. Also, there were few cases where the model concluded as clarity=high while expert concluded clarity=low, and vice versa. These results suggest that the proposed machine learning approach could be used to automatically evaluate the quality of RFP without experts.
著者
中林 暁生
出版者
東北大学法学会
雑誌
法学 (ISSN:03855082)
巻号頁・発行日
vol.73, no.4, pp.491-519, 2009-10