著者
黒崎 博雅 阿南 秀基 木村 栄一
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
日本化学会誌(化学と工業化学) (ISSN:03694577)
巻号頁・発行日
vol.1988, no.4, pp.691-697, 1988-04-10 (Released:2011-05-30)
参考文献数
18
被引用文献数
5

ブレオマイシン金属配位部位の新モデル配位子L1,L2を合成し,水溶液中におけるCu(II)およびFe(II)との錯生成および,それらの錯体の化学的性質についてブレオマイシンと比較検討した。カルバモイル基の存在が,鉄錯体生成には必須であることが,L1,L2の比較により明らかとなり,その理由について考察した。L2の鋼(II)錯体は,3モルのシステイン存在下で鉄(II)錯体と金属交換が起こること,および鉄錯体は分子状酸素を活性化し,DNAを切断することなど,L2はブレオマイシンの挙動によく類似する。そのDNA切断能は,EDTA-鉄錯体とほぼ同じであるが,ブレオマイシンよりは弱いことも明らかとなった。
著者
木村 栄宏 粕川 正光 小原 健史 山崎 勝哉
出版者
千葉科学大学
雑誌
千葉科学大学紀要 (ISSN:18823505)
巻号頁・発行日
vol.1, pp.51-56, 2008-02-29

最近の情報ネットワーク時代の進展を背景に、非公式な組織と個人間の結びつきを元に、大きな社会的流れが生じ、それらが企業再生に結びつき貢献する萌芽が見られている。例えば銚子鉄道における存続が社会的なニュースとなった際には、インターネットにおける公開掲示版や個々人のブログ、あるいはSNS内における議論の活発化により、個々人ができる支援の積み重ねにより、企業側も意図しない大きな動きで資金が集まり、安全更新投資が可能となった。本事例からの示唆として、今後の地方ローカル鉄道は、リアルの乗客に依存するのではなくバーチャルな乗客に依存することで新しい形に再生していくことも望まれること、また、組織の大小を問わず、企業再生には従業員個々人のシャドーワーク、あるいはシャドーワーク的な発想が今後ますます重要になるということの2点をあげることができる。
著者
木村 栄宏
出版者
総合危機管理学会
雑誌
総合危機管理 (ISSN:24328731)
巻号頁・発行日
vol.6, pp.13-24, 2022 (Released:2022-09-14)

危機(Crisis)の射程が広く、危機・リスクに関連する学問も多岐にわたる中、総合危機管理学の意義が問わ れている。弁証法での「肯定⇒否定⇒否定の否定」のプロセスにより、高次の思考段階に到達し、対立や矛盾 を包括しながら、高い段階の状態にとどまるというのが、「総合」・「統合」のイメージである。一つに特化す るスペシャリストとしてだけではなく、浅いが広い範囲に造形を持つジェネラリストの側面を持ちながら行う 危機管理研究が総合危機管理学ともいえる。危機管理学は学術分野としては未だ独立していないが、様々な角 度から学術的な視点を考察し、様々な利害関係がある関係者へ提案や提言を行い、強いナショナル・レジリ工 ンスを目指すのが総合危機管理学といえる。リスクマネジメントの手法に逆転発想のアプローチを加えること により、総合危機管理学をより発展させることができ、ひいては、対策の斬新さ等から、必ずや新型コロナウ イルス感染症の蔓延防止に役立つものと思われる。
著者
八角 憲男 木村 栄宏
出版者
日本国際情報学会
雑誌
国際情報研究 (ISSN:18842178)
巻号頁・発行日
vol.9, no.1, pp.22-32, 2012-12-20 (Released:2014-03-13)
参考文献数
18

In this paper we will consider the vital question of how the training of accountants ought to be. In the great changes of our society in recent years, accounts has spread to various fields of commercial activities much more quickly and extensively than people imagined.For people who teach accounting, and people who want to work as accountants, teaching methods and learning methods have become more and more important. Focusing on accounting education at universities, we will make clear what kind of problems we have now in the three groups of people in accounting education: general people in society, people who learn and people who teach. Then we will examine the results of investigations of accounting education in other organizations together with our own experiences as accounting instructors in order to show in what direction accounting education ought to be led.
著者
木村 栄宏 粕川 正光
出版者
日本国際情報学会
雑誌
国際情報研究 (ISSN:18842178)
巻号頁・発行日
vol.4, no.1, pp.25-36, 2007-09-28 (Released:2016-12-28)
参考文献数
5

Currently, career education is becoming very important for a university. The information literacy program occupies the very big position as the foundation of career education. In order to perform effective career education, the contents of information literacy education is important. In recent years,since “information” become a common core subject in Japanese High school, the contents of the information literacy education in a university are also changing. In this paper, we report an investigation of a university new student's information literacy capability, and discuss about change of information literacy capability before and after becoming “information” a common core subject. And from a viewpoint of career education, we propose about use of YES-Programs, and use of National Examination for Information Processing Technicians as a performance goal in an information literacy program.
著者
木村 栄宏
出版者
日本国際情報学会
雑誌
国際情報研究 (ISSN:18842178)
巻号頁・発行日
vol.3, no.1, pp.47-57, 2006-09-16 (Released:2016-12-31)
参考文献数
3

A term "EAP(Employee Assistance Program) " has been considerably perceived by Japanesecompanies in recent years. Most of the companies may see EAP as a tool for caring the mental healthof employees, but EAP, in essence, is a very important part of business strategy. The introduction ofEAP would fulfill a crucial role of promoting the human capital management, such as productivityimprovement, prevention of talent drain, and enhancement of recruitment. It is highly desirable thatEAP would come into wide use as a part of business strategy in Japanese companies.
著者
木村 栄一
出版者
日本評論新社
雑誌
一橋論叢 (ISSN:00182818)
巻号頁・発行日
vol.34, no.4, pp.372-383, 1955-10-01

論文タイプ||論説(一橋大学創立八十周年記念号 = Commemoration of the 80TH ANNIVERSARY of HITOTSUBASHI UNIVERSITY)
著者
木村 栄理子 深町 加津枝 古田 裕三 奥 敬一 柴田 昌三
出版者
社団法人 日本造園学会
雑誌
日本造園学会 全国大会 研究発表論文集 抄録
巻号頁・発行日
vol.2007, pp.51, 2007

本研究は、京都市嵯峨嵐山における竹林景観の管理状況の実態と、景観保全施策について明らかにし、景観保全施策が景観を良好に保つためにどのような役割を果たしているか検証した。対象地の竹林の管理状況と景観保全施策とを比較検討した結果、古都保存法による買取制度により、景観上重要な私有地の竹林を行政所有とになり、竹林の消失が抑制されていた。しかし、竹林景観を適正に管理する体制は確立しておらず、一部の地元住民の有志に頼った管理がなされているにすぎなかった。また、厳しい景観保全施策の対象外の地域において、竹材や筍生産林として管理が行なわれ、竹林景観として維持されていること等が明らかになった。
著者
鈴木 剛 仲山 慶 前川 文彦 Tue Nguyen Minh 木村 栄輝 道中 智恵子 松神 秀徳 橋本 俊次
出版者
一般社団法人 廃棄物資源循環学会
雑誌
廃棄物資源循環学会誌 (ISSN:18835864)
巻号頁・発行日
vol.29, no.6, pp.470-481, 2018-12-31 (Released:2019-12-05)
参考文献数
37

臭素系ダイオキシン類は,POPs 条約の規制対象物質ではないが,対象であるダイオキシン類と同様の特性を示すため,リスク管理の必要性が国際的に共有されている。国内では,環境省による臭素化ダイオキシン類の排出実態調査が実施され,臭素系難燃剤の decaBDE を使用する施設や含有製品を取り扱う施設で,ダイオキシン類の排出基準や作業環境基準を超過する値で検出されることが明らかにされた。臭素化ダイオキシン類の排出は,2017 年に decaBDE が POPs 条約上の廃絶対象物質となったことに伴い,動脈側で減少することが予測されるが,静脈側で含有製品の再資源化や廃棄を通じた排出が当面継続する見込みであり,引き続きその実態把握が必要である。DecaBDE の代替物使用の臭素系ダイオキシン類の排出への影響についても,今後の排出実態調査や関連研究で明らかにされることが期待される。また,臭素化ダイオキシン類の適切なリスク管理には,WHO と UNEP の専門家会合が指摘しているとおり,魚類・哺乳類毒性試験に基づく TEF を補完していく必要がある。
著者
木村 栄一 塩谷 光彦
出版者
Japan Oil Chemists' Society
雑誌
油化学 (ISSN:18842003)
巻号頁・発行日
vol.43, no.11, pp.906-913, 1994-11-20 (Released:2009-10-16)
参考文献数
19

A new breakthrough for zinc (II) enzyme models was achieved with the advent of macrocyclic polyamine zinc (II) complexes. These complexes serve as the best structural as well as functional model for the active centers of zinc (II) enzymes (e.g., carbonic anhydrase, alkaline phosphatase, and alcohol dehydrogenase) and have clearly answered mysteries surrounding the intrinsic properties of zinc (II) in the zinc (II) enzymes. The knowledge newly gained about the properties of zinc (II) has been developed into new supramolecular chemistry, where the zinc (II) enzyme model complexes can recognize thymine and its related derivatives among all the nucleobases in aqueous solution. Here new biochemical functions of the zinc complexes (i.e., inhibition of hybridization of polyribonucleic acids, inhibition of in vitro protein synthesis, inversion of DNA helicity, etc.) are also presented.
著者
木村 栄一 斧田 太公望 宮原 光夫 金沢 知博 新谷 博一 水野 康 早瀬 正二 高安 正夫 戸山 靖一 木村 登 奥村 英正
出版者
公益財団法人 日本心臓財団
雑誌
心臓 (ISSN:05864488)
巻号頁・発行日
vol.6, no.3, pp.347-358, 1974

新しく開発された抗不整脈薬prajmalium(propylajmaline)の経口投与による効果を,群問比較による二重盲検法を用いてajmalineおよびinactiveplacebo のそれと比較した.1分間数個以上の期外収縮を有する78例に上記薬剤を1週間投与し,来院時における期外収縮数の減少度を目標として,3薬間の比較を行なったが,有意の差はえられなかった.しかし分析の結果,1分間10個以上の期外収縮を有する例を対象とするならば,prajmaliumがajmalineおよびinactiveplaceboより有効だという成績がえられるであろうとの推定がなされた.一方,主治医の評価による総合判断を用いた時には,3群間に有意の差のあること,さらにprajごnaliumがi捻activeplac¢boより有意の差をもってすぐれていることが知られた.また多変量解析により分析を行なうに,期外収縮数の消艮,心拍不整感およびめまいが主治医の総合判断に強く影響していることが知られた.なお,本剤は発作性心頻拍や発作性心房細動の予防にも有効であることが期待されるが,症例数が少ないため参考データとするに止めた.本剤の副作用として最も重大なのは肝機能障害の発生であるが,分析の結果,心胸比の大きな例でS-GOTの上昇をきたしやすいことがわかった,したがって心臓の大きなもの,始めからS-GOTや3GPTの高いものには,投薬にさいし注意することが必要である.
著者
砂川 紘之 武士 甲一 亀山 邦男 木村 栄 白石 圭四郎 安藤 芳明
出版者
Japanese Society of Food Microbiology
雑誌
食品と微生物 (ISSN:09108637)
巻号頁・発行日
vol.3, no.2, pp.123-128, 1986-09-20 (Released:2010-07-12)
参考文献数
12

1984~1985年に北海道内で発生した3件のウェルシュ菌集団食中毒事件の概要と分離菌株の性状について述べた.事件1は, 1984年9月22日稚内市内の某療養所において発生した. 患者は23名 (発病率24.0%) で, 下痢, 腹痛を主徴とし, 原因食品は病院内給食が疑われたが確定できなかった. 患者8名中5名, 健康者18名中6名からエンテロトキシン産生, カリウム型発芽芽胞形成菌が検出された. これらの菌は, Hobbs血清型別不能であった.事件2は, 1984年9月28日札幌市内の某鉄工団地において発生した. 患者は769名 (発病率45.6%) で, 下痢, 腹痛が主症状であった. 原因食品は, 鉄工団地内の給食センターが供給した弁当中の「コンニャクのタラコあえ」であった. 患者19名中11名, 従業員6名中2名, 原因食品2検体中1検体よりHobbs血清型4型に型別されるエンテロトキシン産生, カリウム型発芽芽胞形成菌が検出された.事件3は, 1985年4月19日網走市内の小, 中学校各1校において発生した. 患者数は, 686名 (発病率51.9%) で, 下痢, 腹痛が主症状であった. 原因食品は, 同市内某食品会社が供給した「給食弁当 (ミルクファイバーライス) 」であった. 患者26名中16名からウェルシュ菌が検出され, そのうち試験した13名中9名からエンテロトキシン産生菌が検出された. また, 従業員4名中3名, 原因食品3検体中3検体からエンテロトキシン産生菌が検出された. これらのエンテロトキシン産生菌はHobbs血清型5型, カリウム型発芽芽胞形成菌であった.