著者
村田 一也
出版者
独立行政法人 石川工業高等専門学校
雑誌
石川工業高等専門学校紀要 (ISSN:02866110)
巻号頁・発行日
vol.46, pp.43-52, 2014 (Released:2017-10-01)

Generally speaking, “Minka” means an old Japanese (private) houses. Studies of Minka to date have focused on the associated life style and culture, as well as the environments and societies that they were located in. Minka have characteristic madori (floor plans) depending on the region in which they are situated. That is, there are regional types in its MADORI = PLAN. In this paper, I dealt with Minka-Types as a result of research studies for Minka, then I tried to analyze some Minka-Types in Ishikawa prefecture found by previous researches. I analyzed the contents and models regarding Minka types in Ishikawa prefecture of three previous studies. I then unified the classification of Minka Types in Ishikawa prefecture. This paper is fandamental study in that mean. Ishikawa prefecture is divided into the Kaga region and Noto region, which differ both geographically and culturally. A distinction was made between Kaga type and Noto type madori. Furthermore the Minkas of Ishikawa prefecture were classified into five types: which were Kaga I type, Kaga II type, Noto I type, Noto II type and Noto III type. I clarified the areas of distribution in Ishikawa prefecture and the characteristics of the five Minka Types. The relationship between the findings of the three previous studies is discussed. Unified diagrams and a distribution map will be shown in another paper.
著者
村田 一朗 小栗 優貴 白石 愛
出版者
日本教科教育学会
雑誌
日本教科教育学会誌 (ISSN:02880334)
巻号頁・発行日
vol.44, no.2, pp.15-27, 2021-09-28 (Released:2022-07-02)
参考文献数
34

本研究の目的は,性的マイノリティの包摂を目指した教科横断単元の構成原理を明らかにすることである。本研究の背景には,性的マイノリティの包摂にあたってはマジョリティ側への教育も必要であり,特に社会と個人の両面から性規範を問い直していく必要があるという公教育としての課題がある。そこで,社会科と保健体育科の研究者・実践者が協働し,教科教育学の抱える開発研究の方法論的課題を乗り越えながら,教科横断単元の開発・実践・検証を行った。本研究の成果は,以下2つである。1つ目は,クィア・ペタゴジーに基づいた「目標原理:社会と自己の2つの視点からの包摂」「内容選択原理:マジョリティが作り出す性規範」「学習過程原理:相対化・構築・脱構築の螺旋的過程」といった単元構成原理を提起できたことである。2つ目は,教科を横断した開発研究の手続きとその実際を事例として示したことで,教科教育学の新たな可能性を見出したことである。
著者
椿 宏治 大貫 裕康 藤井 明 村田 一彰
出版者
The Anthropological Society of Nippon
雑誌
人類學雜誌 (ISSN:00035505)
巻号頁・発行日
vol.76, no.4, pp.147-168, 1968-09-10 (Released:2008-02-26)

1.13の山村の住民,総人口5万6千程を調べて,その老人の性比を検討した。2.山村を2群に分けた。I群は典型的な山村。II群は山村といっても山中の盆地的な,割に平地の多い所か,又は地勢は嶮しくてもそこでは女が農労働に殆ど関係しない-しなかったといった方がよいかも知れぬ一所。3.I群の村々を地勢条件により更に A,B,C,D の4群に分けた。 A は最も条件の悪い所,山腹の斜面が急で,水田も月の田毎よりもひどいような棚田,隣にゆくにも段々で何十段といったような所。 D 群は平地が多く,商工業非農家の多い所。 B は A よりも斜面が緩かで, C は D に近いが,それよりも少し条件がきつい所。4.II群の村々では平地の農村並か小都会地並の老人の性比を示したし,90以上の女もかなりいた-予想された通りである。5.I群の山村では60才以上になると男に比べて女の割合が少くなるし,80才以上では男より少数になる。6.1群の山村では男が最高令者であるムラがそうでないムラより多いし,ムラの最高年令者の平均年令は男の方が多い。II群ではそれは全く逆で,女の長生きの所が多く,平均も女が高令である。7.I群の村々の A,B,C,D 4群の最高年令者に就いての統計は Table 8の下の方に示したが,A,B 群については男の方が約2年,C,D群では逆に女が1.0~0.6年程長生きであった。8.A,B,C,D 群だけで見ると生活条件の厳酷な山の中程男女共短命なようにも見えるが,これだけの資料ではいい切ろうとはまだ思わない。
著者
奥薗 美代子 能瀬 陽子 髙山 祐美 湯面 百希奈 鈴木 新 飯田 晃生 村田 一平 永井 成美
出版者
特定非営利活動法人 日本栄養改善学会
雑誌
栄養学雑誌 (ISSN:00215147)
巻号頁・発行日
vol.80, no.2, pp.139-148, 2022-04-01 (Released:2022-05-24)
参考文献数
25

【目的】交替制勤務者が勤務中に摂取する食事の実態は不明な点が多い。本研究では,24時間稼働の事業所の勤務者を対象として,社員食堂で選択されるメニューと社員の勤務形態・喫食時間の関連性を,全営業時間で同一メニューが提供される社員食堂の給食管理データを用いて明らかにすることを目的とした。【方法】A事業所には,事務系の通常勤務者(以下,日勤群)および製造現場の3交替制勤務者(以下,交替群)の4つの勤務形態があり,それぞれが固定された喫食時間に社員食堂を利用していた。各営業時間に提供された全メニュー(主菜,副菜,麺類,単品もの,デザートに分類)は,社員食堂の給食管理システムから13日分抽出された。各メニューの選択されやすさは,選択割合(提供実績数/実来客数)で算出し,勤務形態(日勤群と交替群),および喫食時間による違いを検討した。【結果】勤務形態別では,交替群は日勤群と比べて野菜を含む副菜の選択割合が有意に低く,主食・主菜・副菜が揃うセットより麺類,単品もの・副菜のセットの選択割合が有意に高かった。喫食時間別では,深夜は他の時間帯よりも麺類と甘いデザートの選択割合が有意に高かった。【結論】交替群,なかでも深夜の時間帯の社員食堂利用者におけるメニュー選択の問題点が明らかになった。交替制勤務者が利用する社員食堂において,健康的なメニューの利用をより容易にする取組みが求められる。
著者
中筋 一弘 中塚 正勝 村田 一郎
出版者
The Society of Synthetic Organic Chemistry, Japan
雑誌
有機合成化学協会誌 (ISSN:00379980)
巻号頁・発行日
vol.41, no.3, pp.204-220, 1983-03-01 (Released:2010-01-22)
参考文献数
136
被引用文献数
5 6

According to a system of classification for multi-stage redox systems proposed by Hünig, tetrathiafulvalene (TTF), bithiopyranylidene (BTP) are considered to be Weitz-type donors whereas tetracyanoquinodimethane (TCNQ) is regarded as Wurster-type acceptor. Recent efforts to explore new redox systems have provided various structural modifications, such as symmetrical, unsymmetrical, condensed, and inserted versions on TTF, BTP, and TCNE. In this review recent progress in design and synthesis of the modified TTF, BTP, and TCNE systems is described.
著者
溝上 雅史 杉山 真也 村田 一素 鈴木 善幸 伊藤 清顕
出版者
独立行政法人国立国際医療研究センター
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2011-04-01

IL28B遺伝子の転写蛋白インターフェロンλ3 (IFN-λ3)の測定法を新規開発し、患者末梢血単核球をex vivo刺激で得られた上清や血清のIFN-λ3が良好なPeg-IFN/RBV併用療法効果予測が可能で本法の臨床的有用性を証明した。また、BDCA3陽性樹状細胞はC型肝炎ウイルスを認識し、toll-like receptor 3を介してIFN-λ3を産生することを示した。
著者
高橋 康介 三橋 秀男 村田 一仁 則枝 真 渡邊 克巳
出版者
Japan Society of Kansei Engineering
雑誌
日本感性工学会論文誌 (ISSN:18845258)
巻号頁・発行日
vol.10, no.2, pp.261-268, 2011 (Released:2011-12-09)
参考文献数
15
被引用文献数
1

Nonverbal communications involving physical contact convey “Kansei” information that is difficult to express in verbal communications. In this study, we proposed a method to investigate “Kansei” information in nonverbal communications, and surveyed how people perceive nonverbal communication involving physical contact. In the psychological experiment using questionnaire, we presented various words describing tapping and patting actions with Japanese onomatopoeias and sound symbolic words expressing a concept or nuance that is difficult to verbalize explicitly. Participants first imaged the situation wherein they made communication with another person through the physical contact, and then evaluated the “Kansei” information of communications and rated them by adjectives. We found that onomatopoeias added a variety of impressions to communications with physical contact. We then applied factor analysis using adjective rating to extract a factor space of the communicative actions. For both tapping and patting motion, the first factor represented atmosphere of the behavior, and the second dimension represented activeness of the physical motions themselves. We then mapped the rating scores of desirability of the communication onto the factor spaces. The scores of the first and the second factors well predict in an additive way the desirability of communication for both actions, and the influence of the first factor was stronger than that of the second factor. These results suggest that the structure of factor space represents desirability of the communication regardless of actions. The proposed method may be useful and efficient to investigate the Kansei information, factor space, and their inter-relation, of nonverbal communications.
著者
和仁 皓明 村田 一 種谷 真一
出版者
Japanese Society for Food Science and Technology
雑誌
日本食品工業学会誌 (ISSN:00290394)
巻号頁・発行日
vol.29, no.5, pp.259-264, 1982-05-15 (Released:2010-01-20)
参考文献数
7
被引用文献数
6 2

ハンバーグのテクスチャーを客観的方法で判定する試みとして,貫入圧縮法を適用した。本法によるハンバーグの変形圧縮曲線は,スライダーを含む4要素力学模型で説明ができ,弾性率Kは(0.8~2.3)×106(dyne/cmcm2),粘性率ηは(14.6~4.5)×106(poise),最初の破壊力F1は(10.0~1.8)×105(dyne/cmcm2),最後の破壊力F2は(11.2~2.2)×105(dyne/cmcm2),破壊エネルギーwは(41.7~3.5)×104(erg/cmcm3)であった。これら力学的特性値の因子分析の結果,ηまたはF2のうち1つ,F1またはwのうち1つ,およびKの3特性でハンバーグのテクスチャーを表現しうることがわかった。また,ハンバーグ中に存在する肉粒の性質(肉粒の大きさ,分布など)が重要であり,これらの性質は,力学的特性のうち,粘性率ηまたは最終の破壊力F2と高い相関を示し,それぞれハンバーグのテクスチャーを表現する場合,最も重要な特性値と考えられた。
著者
村田 一也
出版者
独立行政法人 石川工業高等専門学校
雑誌
石川工業高等専門学校紀要 (ISSN:02866110)
巻号頁・発行日
vol.48, pp.53-60, 2016 (Released:2017-10-01)

This study was beginning to survey for listing of the cultural property the Residence of the Okuno Family. When we investigated the building of the Residence, we found the documents that were the evidence to the hearing survey. It has been proven to relocated from Doyama-district, Nanto-City and to buy the Residence from the Sugiura Family. In this study I considered the historical reasons of the place of Doyama-Gobo and the Sugiura-Manbei house. I was clearly the current and past state about the place of Doyama-Gobo, furthermore Sugiura-Manbei and Rennyo of relationship.
著者
萩原 幸男 村田 一郎 田島 広一 長沢 工 井筒屋 貞勝 大久保 修平
出版者
東京大学地震研究所
雑誌
東京大學地震研究所彙報 = Bulletin of the Earthquake Research Institute, University of Tokyo (ISSN:00408972)
巻号頁・発行日
vol.61, no.4, pp.563-586, 1987-03-31

埼玉県北西部の関東山地北東縁部には,深谷断層,櫛挽断層,江南断層,今市-菅谷断層等の活断層が密集している.この地帯に7回にわたって合計約630点の重力測定を実施した.得られたブーゲー異常から,地質地形調査ではかつて指摘されたことのない断層を児玉町に発見した.また櫛挽断層は従来考えられていた規模より遙かに大きく,北西にはこの児玉町の断層に,南東には荒川を越えて今市-菅谷断層に連続していることが判明した.1931年西埼玉地震(M7.0)の震源断層は恐らくこの一連の断層と関連があるものと思われる.
著者
高橋 雄介 三橋 秀男 村田 一仁 則枝 真 渡邊 克巳
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D, 情報・システム (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.95, no.4, pp.1048-1055, 2012-04-01
被引用文献数
1

他人とコミュニケーションするときや,動物や虫と接するとき,我々はそれらの存在に対して生物らしさを感じることがある.生物らしさに関する従来の研究では,非生物である視覚図形の相互作用的な動きに対して,あたかも生き物のような社会性や意図性を感じるという高次認知過程が示されている(アニマシー知覚).これに対し本研究では,心理物理学手法を用いた実験研究により,無意味な感覚刺激に対して触覚,視覚,聴覚で感じる低次の生物らしさについて検討した.周期的に変化する無意味な感覚刺激を0.5Hzから100Hzまでの様々な周波数で呈示し,被験者は刺激について感じる生物らしさの強さを評価した.その結果,全ての感覚に共通の傾向として,2Hz程度までの低周波刺激の方が高周波刺激に比べて強い生物性が感じられることが明らかとなった.ただし周波数依存性の詳細なパターンを検討した結果,特に触覚では刺激される身体部位により周波数依存性が異なること,視覚,聴覚における生物性では,視聴覚間の統合や相互作用が生じていることなどが示された.以上の結果から,ヒトは無意味な感覚刺激に対してでも周波数依存的に生物らしさを感じており,特に低周波刺激で強い生物性が生じることが示唆された.ヒトが感じる生物らしさには社会性や意図性を反映した高次認知に加え,刺激の統計構造を処理するような低次知覚過程も関与していると考えられる.
著者
萩原 幸男 村田 一郎 田島 広一 長沢 工 井筒屋 貞勝 大久保 修平
出版者
東京大学地震研究所
雑誌
東京大学地震研究所彙報 (ISSN:00408972)
巻号頁・発行日
vol.61, no.4, pp.563-586, 1987-03-31

埼玉県北西部の関東山地北東縁部には,深谷断層,櫛挽断層,江南断層,今市-菅谷断層等の活断層が密集している.この地帯に7回にわたって合計約630点の重力測定を実施した.得られたブーゲー異常から,地質地形調査ではかつて指摘されたことのない断層を児玉町に発見した.また櫛挽断層は従来考えられていた規模より遙かに大きく,北西にはこの児玉町の断層に,南東には荒川を越えて今市-菅谷断層に連続していることが判明した.1931年西埼玉地震(M7.0)の震源断層は恐らくこの一連の断層と関連があるものと思われる.
著者
原田 美道 柿沼 清一 村田 一郎
出版者
国立極地研究所
雑誌
南極資料 (ISSN:00857289)
巻号頁・発行日
vol.17, pp.1465-1480, 1963-01

1956年の南極会議及び国際重力会議の両会議において採択された決議により,第2次南極観測の際に計画された目黒(当時千葉)とMowbray・昭和基地の重力振子による接続のうち,当時氷状不良のために実施できなかったMowbray・昭和基地間の接続が,今回計画実施された.これは,再度採択された1960年の南極会議及び国際地球物理学・測地学連合総会の決議にも基づくものである.また,宗谷の往復航海を利用して目黒・Mowbray間の接続が再度行なわれた.今回は南極観測用として設計製作された装置と,特に重力振子は安全を期して2組使用された.各観測点における測定のうち,1組の振子の観測は昭和基地において時計の不調のために失敗したが,目黒・Mowbrayでは良い結果が得られた.他方の振子の組については順調に観測を終了できた.各測点の位置は次の通りである.目黒 ψ=35°38'.6 N λ=139°41'.3 E h=28.04m Mowbray ψ=33°57'.1 S λ=18°28'.1 E h= 38.4 m 昭和基地 ψ= 69°00'.3 S λ=39°35'.4 E h=14.0m 測定結果は次の通りである.g_<Megro>=979.7770 galを基準にした場合 g_<Mowbray>=979.6471±0.0005gal(振子セットAによる) g_<Mowbray>=979.6463±0.0004gal(振子セットDによる) g_<Syowa Base>=982.5394±0.0005gal(振子セットDによる) g_<Mowbray>の値は第2次観測の際の結果とも良く一致している.特に昭和基地重力点については,南極地域には振子による重力観測の例が少ないので,同点は重力基準点として充分利用し得る点であると考えられる.同点には金属標識を設置して今後の使用の便をはかった.なお,Worden重力計を使用して,オングル島内及び宗谷のSingapore停泊中,Singapore・Kuala Lumpur間の接続が行なわれた.
著者
村田 一郎 加藤 照之 柳沢 道夫 長沢 工 土屋 淳 石井 紘
出版者
東京大学
雑誌
一般研究(A)
巻号頁・発行日
1986

1.受信機の改良国産のGPS相対測位用受信機の開発が本研究の目的の一点であった。L1単波受信機としては、すでに昨年度完成していたが、測定精度向上のため、L1、L2の2波受信が可能となるよう改良を施した。L2波搬送波再生方式として、Pコード解読形を採用したので、好S/N比が得られた。この受信方式を採用した機種は米国に1機種あるだけで、特色ある国産受信機が製作されたことになる。ただし、受信チャンネルが8本と限定されたため、同時受信可能衛星数は4個ということになった。完成は今年度秋期であったが、データ解析処理ソフトウェアが未だ途中段階であること、さらに、GPS事情の激変のため、労力を外国製受信機の対応に取られ、現在までのところ、本確的な運用までには至らず、文京区地震研究所と三鷹国立天文台との間で試験観測を続けている。2.試作受信機による観測三浦・房総両半島を結ぶ基線網において、1987年06月と88年02月の2回試験観測を実行した。6月の観測については、昨年度報告済みであるが、2月の観測については、データ処理に時間的な余裕がなく、報告できなかったので、ここに結果の一部を記しておく。下表は基線長を前回の結果と比較したもので、10kmの距離を1cmの精度で計測するという研究当初の目的の一つを達成したものと判断できる。基 線 基線長(m) 前回との差(cm)間口ー野比 7813 2.9 1.0野比ー鋸山 12154 -1.2鋸山ー間口 13730 1.2また、対国立天文台基線(20km)を使い、外国製GPS受信機と並行観測を継続中で、この結果も含めた総合研究報告を現在作成中である。
著者
高橋 康介 三橋 秀男 則枝 真 仙洞田 充 村田 一仁 渡邊 克巳
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. HCS, ヒューマンコミュニケーション基礎 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.109, no.224, pp.11-16, 2009-10-01

非言語コミュニケーションは、言語による伝達が出来ないような情報を伝える。本研究ではオノマトペを用いて、接触行動を伴う非言語コミュニケーションがどのように感じられているのかを調べた。実験では二人の人物の接触行動を伴うコミュニケーションが描かれた写真を呈示し、適切なオノマトペなど、一連の質問項目に答えた。その結果、雰囲気を表すようなオノマトペで表現されたコミュニケーションは比較的望まれるものであったのに対し、動作の特性を表すようなオノマトペで表現されたコミュニケーションは「行いたい」と感じられなかった。またコミュニケーションに対する形容詞評定を用いて主成分分析を行った結果、第一主成分として場の雰囲気(暖かさ)を表す軸が、第二主成分として動作の特性を表す軸が現れた。以上の結果から、接触行動を伴うコミュニケーションにおいては動作の特性自体よりもそのコミュニケーションにより生じる雰囲気の方が優先的に受け取られ、また望ましさを決定することが示唆された。