著者
藤井 奏子 松村 豊大
出版者
徳島文理大学
雑誌
徳島文理大学研究紀要 (ISSN:02869829)
巻号頁・発行日
vol.90, pp.107-122, 2015-09

In this paper I describe the meaning of city marks, how their meaning and coloring are related, and points we should focus on when we express the color of marks according to the wording in statutes and regulations. For this study I created a database of all of the 1718 villages, towns and cities in Japan and included such information as the meanings of the marks, the colors of the marks, and the year they were created. By analyzing the information in the database, I discovered that different characters for the meanings of marks differ accordingly to the time of creation, that the design of the mark and the meaning of the mark have a strong correlation, and finally, the color and design of the marks are very similar. Thus, I propose that when villages, town or cities express the color of the marks through words in statutes and regulations, that the color should be expressed by using digital codes such as JIS-code or Munsell color system.
著者
橋本昌枝 松村敦 宇陀則彦
雑誌
第77回全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2015, no.1, pp.561-563, 2015-03-17

物語音楽には様々な解釈が存在し、それに対する議論は電子掲示板やTwitterを中心に行われている。しかしながら物語音楽は楽曲同士の関係を示す意見や、楽曲の一部分に対する意見などが多く存在し、既存のサービスではそれらの意見の把握が困難になるという問題が存在する。そこで本研究では、物語音楽の議論に存在する「繋がり」に着目し、その繋がりを提示できるシステム「Mapping of Horizon」を開発した。物語音楽として、Sound Horizonを題材として評価実験を行い、本システムによってユーザが意見を把握し、新しい発見や楽しみを得られたかを検証した。
著者
松村 真宏 市橋 歩実
出版者
Japan Society for Fuzzy Theory and Intelligent Informatics
雑誌
知能と情報 : 日本知能情報ファジィ学会誌 : journal of Japan Society for Fuzzy Theory and Intelligent Informatics (ISSN:13477986)
巻号頁・発行日
vol.22, no.6, pp.733-743, 2010-12-15
被引用文献数
3

本論文では,誰もが地域に関する情報を書き込み,他者と共有することができる「らくがきマップ」を呼ぶ地図型コミュニケーションツールを提案した.らくがきマップに対する住民の反応およびらくがきマップを介したコミュケーションや意識変化に関する示唆を得るために3つの実証実験を行った.らくがきマップの形跡調査,参加者の行動観察やインタビュー,アンケート調査の結果,らくがきマップは小学生から高齢者まで世代を超えた幅広い年代に利用され,住民の地域情報の発信・共有のニーズが十分にあることを明らかにした.また,住民の書き込みによってらくがきマップが作られるという住民主導型の参加スタイルが,住民に自らのまち情報を振り返るきっかけを与えたり,地域への愛着を高めることを示した.
著者
常川 真央 松村 敦 宇陀 則彦
出版者
Japan Society for Information and Media Studies
雑誌
情報メディア研究 (ISSN:13485857)
巻号頁・発行日
vol.12, no.1, pp.42-51, 2013

近年,ウェブ上で読書状況を公開し,他人と感想などを伝え合う読書支援ウェブサービスが盛んになっている.読書支援ウェブサービスでは,読者同士のコミュニケーションを支援するために,興味が類似したユーザとの出会いを支援する機能が不可欠である.そこで本研究では,類似の読書傾向を持つ読者を発見する手法として"NDC ツリープロファイリング"を提案する.NDC ツリープロファイリングは,日本十進分類法 (NDC) に基づいてユーザの読書傾向からツリー状のユーザプロファイルを作成する.そして,ユーザ同士のプロファイルを比較することにより,読書傾向の類似したユーザを発見する.評価実験を行った結果,ランダム推薦方式に対して本手法が統計的に有意に精度が向上した.一方,共通書籍冊数による手法と TF-IDF によるベクトル空間モデルを利用した手法に対しても精度は高かったものの,統計的に優位な差はなかった.十分な精度向上はできなかったものの,本研究で提案した NDC ツリープロファイリングは,階層構造を持ち,階層毎の重みを調節することでより繊細にユーザの関心を捉えられる可能性を持っている.さらなる調整を行なうことでより有効な類似読者発見を実現できる可能性がある.
著者
田中 僚 芦川 大樹 松村 敦 宇陀 則彦
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
研究報告人文科学とコンピュータ(CH)
巻号頁・発行日
vol.2014, no.3, pp.1-4, 2014-07-26

近年,「デジタルアーカイブ」 という言葉は一般に浸透しつつあり,様々なデジタルアーカイブが公開されている.しかし,現在デジタルアーカイブという言葉は,単なるデジタル資料を保管・提供するサービスの総称として利用されることが多く,ここには,本来の意味での 「アーカイブズ」 の姿は見られない.本稿では現状のデジタルアーカイブの問題点を指摘するとともに,本来の 「アーカイブズ」 を反映したデジタルアーカイブの構想を提案する.Recently, various digital archives have been constructed, and the word "digital archive" generally circulated. However, the word digital archive is often used as a generic name of the services that only keeps and provides digital documents, and there is not the feature of "the archives" in the original meaning. In this paper, we point out problems of the present digital archive, and propose a design of the digital archive which reflected original "archives".
著者
安蒜 孝政 市村 光広 佐藤 翔 寺井 仁 松村 敦 宇陀 則彦 逸村 裕
出版者
日本図書館情報学会
雑誌
2010年日本図書館情報学会春季研究集会発表要綱
巻号頁・発行日
pp.87-90, 2010-05

本研究の目的は電子情報環境下で育った世代に見られる情報探索行動の特徴を明らかにすることである。そのため、学生と図書館員を対象に課題実験を行い視線データ、パソコン操作ログなどを収集して両者の情報探索行動を比較した。実験結果から、学生と図書館員を比較すると学生はWikipedia を起点としたWeb 閲覧をおこなうこと、書架に出た際には視線を向ける場所が定まっていないこと、図書の選定時には請求記号ではなくタイトルを見ていること等が示された。
著者
松村 悦博
出版者
日本大学
雑誌
日本大学芸術学部紀要 (ISSN:03855910)
巻号頁・発行日
vol.41, pp.71-77, 2005

これまでの分析結果から,技術水準が高い選手達は,素振り練習時や掛かり稽古時において,ある一定レベルの心拍数値を保って練習したり,対戦したりしていた。これらのことを踏まえ,更に研究を進めるために,教士(7段)・6段・5段・初段の選手達に素振り練習や掛かり稽古,そして,紅白試合をしてもらいその時の心拍数を測定した。その結果,前回報告した時とほぼ同様に,素振り練習時に競技水準が高い選手は,ある一定レベルの数値を保って流れるような推移を示していた。そして,掛かり稽古時においても教士や5段の選手達は,常にある一定レベルの数値を保って対戦していることが確認できた。
著者
呉 書林 佐藤 雅美 遠藤 千顯 桜田 晃 董 博鳴 松村 輔二 半田 政志 近藤 丘
出版者
特定非営利活動法人日本呼吸器外科学会
雑誌
日本呼吸器外科学会雑誌 (ISSN:09190945)
巻号頁・発行日
vol.16, no.4, pp.542-547, 2002-05-15
被引用文献数
5 1

呼吸器外科領域のカルチノイドは肺原発と胸腺原発に分けられ比較的稀な疾患である.一般的に低悪性度腫癌と考えられているが,非定型カルチノイドには予後不良のものもある.今回,われわれは当施設で切除された肺原発と胸腺原発のカルチノイド各々28例と11例について,臨床的因子を比較検討した.肺原発カルチノイドは28例あり全肺癌切除例3371例の0.83%を占め, 11例の胸腺原発カルチノイドは全縦隔腫癌切除例662例の1.67%を占めていた.性差,年齢差はなく,発見動機としては大部分が実検で発見されていた.発生部位は,肺原発のものでは左右差はなく末梢発生が多く見られた.術前にカルチノイドと診断された正診率は肺原発(18/28,64.3%)胸腺原発(2/5,40%)であった.胸腺原発カルチノイドでは周囲臓器への浸潤が多かった(3/11,27.3%).組織亜型の頻度には差はなかった.胸腺原発カルチノイドの5年生存率は38.9%で,肺原発の5年生存率90.4%と比較して有意に予後不良であった.肺非定型カルチノイドではリンパ節転移がみられた(5/15,33.3%).再発死因の検討では胸腺原発カルチノイドで局所再発による死亡がみられ,充分な外科的切離縁の確保と系統的なリンパ節郭清が必要と考えられた.
著者
吉田 圭一 舟木 和紀 棚川 美佳 松村 英雄 田中 卓男 熱田 充
出版者
社団法人日本補綴歯科学会
雑誌
日本補綴歯科學會雜誌 (ISSN:03895386)
巻号頁・発行日
vol.39, no.1, pp.35-40, 1995-02-01
被引用文献数
32 13

歯冠修復の最終補綴処置として使用する合着用セメントは,100年以上にわたってリン酸亜鉛セメントが王座を占めてきた.その後,カルボキシレートセメントとグラスアイオノマーセメントが相次いで開発され,さらに歯質や金属と接着性を有するレジンセメントが登場して,接着ブリッジ以外にもキャスタプルセラミックスクラウンやラミネートベニアなどのポーセレンとの接着にも利用され,それらの用途が急速に広がりつつある.そこで本論文は,従来の合着用セメントとレジンセメントの機械的性質と吸水・溶解量,金銀パラジウム合金に対する接着強さを測定し,材料学的見地からこれらのセメントを比較検討したものである.
著者
今満 亨崇 松村 敦 宇陀 則彦
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.35, pp.109-112, 2011

本研究は,集団に対する読み聞かせ(お話会)のための絵本選択支援を目的とする.そのために,読み聞かせ時の子どもの様子を活用することの検討を行った.具体的にはまず,子どもの様子をお話会の記録から収集し,現在出版されている絵本リストと組み合わせることで,子どもの様子付き絵本リストを作成した.次に,被験者にお話会を想定した絵本選択を行ってもらい,子どもの様子がどのように参考にされるのかを見た.その結果,子どもの様子は絵本の内容と同程度に参考にされ,絵本選択支援に有効であることが分かった.さらに,絵本選択時に参考にする情報の傾向を記録することで,個人にあった絵本選択となる可能性が示された.
著者
加藤 駿一 井谷 修 松本 悠貴 大塚 雄一郎 兼板 佳孝 成田 岳 羽田 泰晃 根木 謙 稲葉 理 松村 穣 八坂 剛一 田口 茂正 清田 和也
出版者
日本大学医学会
雑誌
日大医学雑誌 (ISSN:00290424)
巻号頁・発行日
vol.82, no.3, pp.155-159, 2023-06-01 (Released:2023-08-23)
参考文献数
22

心停止蘇生後患者の中でも,目撃の無いものについて,その予後を規定する要因について行われた先行研究は極めて少ない.そこで,目撃の無い心停止蘇生後患者の予後を規定する要因について調査した.2015 年 1 月~2019 年 5 月に入院した病院外心停止蘇生後患者のうち目撃例のない症例の生命学的・神経学的予後を規定する予測要因について,後ろ向きに調査した.解析対象例は 857 例であった.解析の結果,目撃の無い院外心停止蘇生後患者の生命学的・神経学的予後を良好にする予測因子として,年齢が若いこと,搬送中の心拍再開があること,発見者による胸骨圧迫が行われていること,初期波形ショックの適応があることであった.以上の結果を考慮し,救命率向上のための方策を検討すべきと考える.
著者
山崎 泰助 松村 外志張 築山 節 常盤 孝義
出版者
日本組織培養学会
雑誌
組織培養研究 (ISSN:09123636)
巻号頁・発行日
vol.25, no.3-4, pp.137-145, 2006-12-31 (Released:2012-11-13)
参考文献数
18

エレウテロサイドEは、エゾウコギ(Acanthopanax senticosus)の主要活性成分であるリグナン系化合物であり、抗疲労、抗ストレス、胃潰瘍抑制ならびに免疫機能の向上などの作用を有する。しかし、抗炎症作用についてはこれまでほとんど検討されていない。本研究では、エレウテロサイドEの抗炎症作用について明らかにする目的で、ヒト滑膜肉腫細胞株SW982にIL-1β を添加した細胞培養系を用い、エレウテロサイドEの炎症性タンパクの遺伝子発現ならびに転写因子AP-1、N-κBのDNA結合活性におよぼす影響について検討した。エレウテロサイドEは、SW982細胞の増殖ならびに形態に対し、ほとんど影響を示さなかった。対照として用いたイソフラキシジンおよびエレウテロサイドBと比較して、エレウテロサイドEはIL-6、MMP-1、COX-2の遺伝子発現およびPGE2の産生をより低濃度で抑制した。加えてエレウテロサイドEは、MMP-1プロモーター活性、AP-1およびNF-κBのDNA結合活性を抑制した。イソフラキシジンではこれらの活性の抑制は認められなかった。以上の結果、エレウテロサイドEは、AP-1およびNF-κBのDNA結合活性を阻害することにより各種炎症性タンパクの遺伝子発現を抑制するものと考えられる。
著者
松村 純 加賀谷 斉
出版者
公益社団法人 日本リハビリテーション医学会
雑誌
The Japanese Journal of Rehabilitation Medicine (ISSN:18813526)
巻号頁・発行日
vol.59, no.7, pp.669-673, 2022-07-18 (Released:2022-09-05)
参考文献数
23

大腿骨近位部骨折受傷後には,できるだけ早期に手術を行うことが推奨されているが,さまざまな理由により術前待機期間が長くなってしまうことがある.術前リハビリテーション治療は周術期合併症の予防のために重要となる.術前では患部の疼痛のために行えることに限りがあるが,筋力の維持や適切なポジショニングによる総腓骨神経麻痺や肺炎,褥瘡の予防に努める必要がある.また,高齢者に多い本疾患では病前の歩行能力や日常生活活動,認知症の有無を把握することで適切なゴール設定を行い,術後リハビリテーション治療を円滑に進められるようにしたい.
著者
浅井 麻衣香 佐藤 宗範 草田 理恵子 松村 一
出版者
一般社団法人 日本熱傷学会
雑誌
熱傷 (ISSN:0285113X)
巻号頁・発行日
vol.47, no.3, pp.101-104, 2021-09-15 (Released:2021-09-15)
参考文献数
9

症例は24歳, 女性. 陰毛脱毛のために脱毛ワックスを電子レンジで加温直後,夫が塗布する際誤って下腹部にこぼし受傷した. 水で洗い流したが,自力では剝れず,当院時間外外来受診となった. 下腹部に2%の浅達性Ⅱ度熱傷を認め, 入院加療を行った. 保存的加療で第8病日に上皮化し, 退院となった. 本症例の熱傷誘因として, 1) 高温ワックスの塗布, 2) 脱毛ワックス加温後の攪拌不足,3)オイルなど皮膚を保護する保湿剤を塗布していない部位への脱毛ワックスの付着の3つがあげられる. 脱毛ワックスによる熱傷は適正な使用下ではまれである. 自宅使用が容易である脱毛ワックスの使用が増えている近年, 使用方法とともに熱傷リスクや適切な救急処置の記載 (冷却しワックス温度を下げる, 油性は水で落ちずオイルや油性成分を含むクリーム剤を用いて落とすなど), 使用者に対しての注意喚起が必要である. また, 医療者も脱毛ワックスの特徴を理解し治療にあたることが望まれる.
著者
松村 一男
出版者
和光大学表現学部
雑誌
表現学部紀要 = The bulletin of the Faculty of Representational Studies (ISSN:13463470)
巻号頁・発行日
vol.23, pp.71-91, 2023-03-17

Two themes are treated in this paper: The first is that we could perhaps obtain better insights by analyzing visual symbols more intensively in the myths and religions of areas and ages where and when there were no or scarce written records; The other consists of actual analyses of the myths and religions of goddesses of such areas and ages. I argue that there is a possibility that a type of Sun Goddess/Kingship-protecting Goddess existed in the Eastern Mediterranean area of the Neolithic and Bronze ages and in Japan during the Bronze/Iron age (i.e. From the Yayoi era to the Tumulus era).本稿では二つの課題を検討してみた。一つは文字資料が「ない」あるいは「少ない」地域や時代の神話と宗教を、図像を活用することでより知ることができるのではないかという考え方であり、第二に、そのための対象としてそうした地域や時代の女神について選択し、比較し、そしてある種のタイプとして確定する作業である。主な対象としたのは1.新石器時代から青銅器時代の東地中海世界と2.青銅器/鉄器時代(弥生時代から古墳時代)の日本である。そしてそれら地域では太陽女神/王権女神が共通して存在したのではないかと論じた。
著者
松村 一男
出版者
和光大学表現学部
雑誌
表現学部紀要 = The bulletin of the Faculty of Representational Studies (ISSN:13463470)
巻号頁・発行日
vol.19, pp.75-91, 2019-03-11

"Part One: In the Indian epics, the Mahābhārata and the Rāmāyana, the heroes (the Pāndavas and Rāma) represent two aspects of heroic elements (fighting and wandering) simultaneously, whereas these two aspects are represented separately in Greek epics by Achilleus and Odysseus. Nevertheless, the two Indian epics and two Greek epics show remarkable similarities, which can only be explained by a common origin. Further evidence of a common origin in the epic heritage can be provided by an episode in the Mahābhārata called the story of Nala (Nalopākyānam) that shows structural similarities to the Odyssey. Common origin of the Iliad and the Mahābhārata being generally accepted, similarities with Indian epics could be also detected in the case of the Odyssey, especially with the Nalopākyānam. Thus we can assume a common origin for the two Indian epics (and an episode in one of them) and two Greek epics. These epics (and an episode) developed further thereafter but still show traces of a common origin.Part Two: The concept of cyclical ages seems to be shared among the Indo-Europeans. The first is the Golden Age, then gradually the condition becomes worse, and finally the worst comes. In this last stage, the world perishes first by fire and then by water. Following this, the world is renewed and another cycle from the Golden Age resumes. This concept is definitely observable in Ancient India, Scandinavia, and Ancient Iran. Some traces of this also remain among the Greeks and the Romans. Perhaps the message of the myth is that although disasters caused by fire and water are unavoidable, still they are also the beginning of a new period of the Golden Age.The following two papers are Japanese translations of two papers in English concerning Indo-European comparative mythology. I do not claim that the ideas in them are original. They are rather my personal summaries of what I have learned and understood recently about the results of Indo-European comparative mythology established by such scholars as G. Dumézil, S. Wikander, C. Watkins, B. Lincoln, and many others.Part One, titled "Comparative Epic Literature" was presented at the 12th Annual International Conference on Comparative Mythology "Myths of the Earth and Humankind: Ecology and the End of the World" held at Tohoku University in Sendai on June 1-4, 2018, and Part Two, titled "How the End and the Renewal were envisioned among the Indo-Europeans" was presented at the Tohoku Forum for Creativity Thematic Programs, Geologic Stabilization and Adaptations in Northeast Asia, Workshop 1 Natural Disaster and Religion/Mythology, held on June 5, 2018.I would like to thank all the participants for their pertinent criticisms and encouraging suggestions.第一部:インドの叙事詩『マハーバーラタ』と『ラーマーヤナ』の英雄たち(パーンダヴァ五兄弟、ラーマ王)は英雄の二つの側面(戦士と放浪者)を同時に体現している。これに対して、ギリシアの叙事詩においては二つの側面はアキレウスとオデュッセウスという二人の英雄がそれぞれ担っている。しかしながら、インドとギリシアの叙事詩群には極めて細部に至るモチーフの一致が認められ、これは共通の叙事詩からの発展・分化の結果であると考えざるを得ない。さらにまた、『マハーバーラタ』中の一エピソードである「ナラ王物語」にも『オデュッセイア』との顕著な構造的対応が指摘されている。これまでも『マハーバーラタ』と『イーリアス』の共通起源については一般的に承認されてきているが、インド叙事詩との共通要素が『オデュッセイア』においても認められるとなれば、インドの『マハーバーラタ』、『ラーマーヤナ』、「ナラ王物語」とギリシアの『イーリアス』、『オデュッセイア』はすべてインド=ヨーロッパ語族が拡散する以前の時代に遡る原叙事詩型に由来すると考えるべきとなろう。第二部:時代の循環サイクルの概念はインド=ヨーロッパ語族に共有されていたらしい。第一の時代は黄金時代であり、その後は次第に悪い状態となり、最後が最も悪くなる。この最後の時代に世界はまず火災によって、ついで大水によって滅びる。しかしその後、世界は再生し、新たな時代の循環サイクルが黄金時代から始まる。こうした概念はインドとイランと北欧ゲルマンにおいて確実に認められる。またその痕跡はギリシアとローマにも認められる。おそらくこの神話のメッセージは、火災や大水による大災害は不可避であるけれども、それはまた新しい繁栄の時代の始まりでもあるというものだったのだろう。"