- 著者
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山之内 博
東儀 英夫
亀山 正邦
村上 元孝
松田 保
- 出版者
- 一般社団法人 日本老年医学会
- 雑誌
- 日本老年医学会雑誌 (ISSN:03009173)
- 巻号頁・発行日
- vol.13, no.4, pp.207-214, 1976
- 被引用文献数
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脳卒中発症前後のヘマトクリット (Hct) 値, ヘモグロビン (Hb) 値, 赤血球 (RBC) 数, 血清総蛋白 (TP) 値の変動について検討し, これらの値の変動と脳硬塞および頭蓋内出血発症との関係について考察することを目的に本研究を行なった.<br>対象は60歳以上の脳卒中例のうち, 急死あるいはこの研究の為の検査が不充分な症例を除外し, かつ剖検によって病変を確認しえた脳硬塞21例, 頭蓋内出血16例, 計37例である. Hct, Hb, RBC, TP値の測定は自動測定装置によった. 発症前値については発症4日以内 (直前値) と5日以上の値に分けて検討した.<br>結果; 1) 脳硬塞においては, Hct 値は発症前値 (37.2±3.3%) に比し, 発症日の値 (38.9±3.0%) は高かった. Hb, RBC, TP値についても同様の結果が得られた. しかし, 頭蓋内出血においては, 発症日における Hct, Hb, RBC, TP値は発症前値に比し, やや高い傾向がみられたが有意の差は認められなかった. 以上の結果より, 急激な Hct 値の上昇と脳硬塞の発症との間に何らかの関係が存在する可能性が推定された. 2) 脳硬塞では頭蓋内出血群に比し, Hct, Hb, RBC値が発症前, 発症日ともに有意の高値であった. しかし, TP値には両者で差が認められなかった. 脳硬塞発症前の Hct 値は同年代の対照群に比し有意の差が認められなかった. 3) 脳硬塞, 頭蓋内出血ともに Hct, Hb, RBC値は, 発症後数日間漸増する傾向がみられた. しかし,TP値は両者とも発症後急速に低下した.