著者
東海林 徹
出版者
日本静脈経腸栄養学会
雑誌
静脈経腸栄養 (ISSN:13444980)
巻号頁・発行日
vol.26, no.4, pp.1077-1083, 2011 (Released:2011-08-25)
参考文献数
35
被引用文献数
3

TPN輸液製剤の開発に伴い、格段に簡便性が上がった。その反面、新たな問題が提示されることになった。今回、微量元素製剤を組み込んだTPN製剤が発売されたが、はたして貧血予防に日常的な鉄の投与が必要かという疑問が生じてきた。そこで、体内での鉄の代謝を知るべくまとめた。体内での鉄は閉鎖系回路であり、排泄は1mg/dayとわずかである。静脈鉄製剤の投与は長期になると、鉄過剰症が引き起こることが報告されている。この原因にはコロイドの様式が問題ではあるが、いずれのコロイドでも起こる可能性がある。貧血のない患者への微量元素製剤は慎重に投与すべきである。コロイド鉄は水溶液で安定であるが多量の電解質あるいは総合ビタミン剤によって沈殿してくる。したがって、微量元素製剤の投与時にはフィルターの装着を推奨する。
著者
岡田 康志 松岡 里実 石島 秋彦 伊藤 創祐 川口 喬吾 池崎 圭吾 澤井 哲 佐々 真一 神原 丈敏 榎 佐和子 竹内 一将 猪股 秀彦 沙川 貴大 青木 一洋 小林 徹也 中島 昭彦 福岡 創
出版者
東京大学
雑誌
新学術領域研究(研究領域提案型)
巻号頁・発行日
2019-06-28

本領域は、生命現象を分子レベルから定量的に計測する技術の発展と、非平衡系の統計力学・情報熱力学理論の深化を背景とした、両者の融合領域である。生命現象の理解という具体的な課題に対して「情報を力、エネルギーと同列に物理的対象として議論する新しい物理学」を構築することで、生物学と物理学の間の新たな学際領域を開拓する。この目的を達成するために、本総括班は、領域内での生物系の実験研究と物理系の理論研究の学際融合研究を推進する
著者
小林 徹
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.95, no.10, pp.740-744, 2000-10-15 (Released:2011-09-20)
参考文献数
23

酒を飲んだとき人体には様々な影響が出てくるが, これはアルコールの効果による。アルコールによる神経伝達系への関与はその作用の標的となる膜タンパク質が調べられているが, 最近筆者らによって脳内に広く分布するGIRKチャネルがエタノ-ルの新たな作用部位であることが見いだされた。本稿においてそのメカニズムと意義について解説していただいた。
著者
鎌田 安久 浅井 武 栗林 徹
出版者
岩手大学
雑誌
岩手大学教育学部附属教育実践研究指導センター研究紀要 (ISSN:09172874)
巻号頁・発行日
vol.7, pp.107-118, 1997

現在の欧州のサッカー先進国におけるチーム戦術や技能について集約して分析することが可能な欧州サッカー選手権をイギリス現地で6試合視察分析し,そのうち,今回は準々決勝のドイツ代表(vsクロアチア戦)と準決勝のイングランド代表(vsドイツ戦)の2チームを対象としゲーム分析を行った.また,その際,前回のスウェーデン大会の分析から考えられた1.指導上のポイントや2.日本の問題点についての視点も含めてゲーム分析をおこなった。その結果,3-5-2システムを基調とする組織的で戦術的にもチームの構成選手の能力を活かしたチームのゲーム展開が攻守に渡り観られた。また,指導上の重要な要因と考えられるポイントや日本で問題点とされる技術面についても高いパフォーマンスが認められた。
著者
高林 徹 本間 康文 武田 拓哉
出版者
一般社団法人映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会技術報告 (ISSN:13426893)
巻号頁・発行日
vol.36, no.42, pp.7-10, 2012-10-11
被引用文献数
1

赤坂サカス広場(TBSテレビ放送センター前広場)で実施した夏サカスイベントにおいて、コンテンツマネージメントシステムからIP回線で受けたサイネージ用コンテンツを他のサイネージ端末ヘエリア放送として配信するシステムの実施成果を報告する。このシステムは、通信とエリア放送を組み合わせて効率的にサイネージ用コンテンツを配信することができる。
著者
元川 竜平 遠藤 仁 横山 信吾 西辻 祥太郎 矢板 毅 小林 徹 鈴木 伸一
出版者
一般社団法人日本地球化学会
雑誌
日本地球化学会年会要旨集 2015年度日本地球化学会第62回年会講演要旨集
巻号頁・発行日
pp.190, 2015 (Released:2015-09-03)

福島第一原子力発電所の事故により環境中へ放出された放射性セシウムが、福島県を中心に広範な地域に対して環境汚染をもたらした。放射性セシウムは、水を介して拡散し、土壌に吸着しているが、その中でも特に風化黒雲母・バーミキュライトといった特定の粘土鉱物に濃縮され、強くとり込まれることが明らかにされている。そこで我々は、X線小角散乱(SAXS)法を用いて、バーミキュライト・風化黒雲母/セシウム懸濁液の構造解析を行い、セシウムイオンの吸着に伴う粘土鉱物の構造変化を明らかにした。
著者
伊藤 一秀 八木 久晴 山口 一 西川 和男 林 徹夫
出版者
社団法人空気調和・衛生工学会
雑誌
空気調和・衛生工学会論文集 (ISSN:0385275X)
巻号頁・発行日
no.134, pp.21-29, 2008-05-05
被引用文献数
2

本研究は、気中に放出された負イオンならびに正イオンの移流・拡散性状、固体壁面に対する沈着現象、正負イオンの再結合現象等の物理化学現象に着目し、その工学的モデリングと支配パラメータの推定を行うと共に、実空間に適用可能なイオン濃度分布の予測法を開発することに主眼がある。本報(第1報)ではCFDをベースとしたイオン濃度予測モデルの概要を示すと共に、特に、イオンの不均一密度分布に起因する体積力の程度、壁面沈着モデル、再結合モデルといった各モデルの適用が負イオンの濃度分布予測結果に与える影響に関して、2次元居室モデルを対象として検討した結果を報告する。
著者
林 徹 木村 英樹 西村 義樹
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2007

中国語を中心に、日本語、日本手話、トルコ語、シベ語(中国)、ベトナム語、ラマホロット語(インドネシア)におけるダイクシス要素を詳細に検討した結果、ダイクシス要素の用法に影響する要因として、(1)話し手を基準とした距離や時間、(2)コンテクストの諸特徴(3)話し手のとる視点・態度、(4)地形に基づく空間軸、などを明らかした。また、ダイクシス要素の機能として発話を実際の場面に結びつけることが基本的であることを示した。
著者
内藤 善 竹林 徹郎 真名瀬 博人 平野 聡
出版者
日本腹部救急医学会
雑誌
日本腹部救急医学会雑誌 (ISSN:13402242)
巻号頁・発行日
vol.43, no.4, pp.781-784, 2023-05-31 (Released:2023-11-30)
参考文献数
13

症例は20歳台,男性。ライフル銃を発砲し当院に救急搬送となった。前胸部に銃弾の射入口を,左側腹部に出血を伴う射出口を認めた。CTでは,左第10肋骨骨折,脾臓下極に境界不明瞭な領域を認めた。外傷性脾損傷の診断で緊急手術を施行した。術中所見では脾臓下極に裂傷を認めるも出血量は多くなかったため腹腔鏡下に脾臓を一部切除し,焼灼止血で手術を終了した。術後6日目には射出口部創より便汁漏出あり腸管穿孔と診断し,再手術で下行結腸に穿孔を認め,結腸左半切除術を施行した。術後は創感染を併発したが他に合併症なく経過し,術後4週目に近医へ転院となった。高速で放たれた弾丸はshock waveを生み出し周囲に損傷を与えつつ移動することが知られている。本症例では弾丸によるshock waveとtemporary cavitationにより結腸壁に損傷が生じ,遅発性の腸管穿孔を発症したと考えられた。
著者
萩島 理 片山 忠久 林 徹夫 谷本 潤
出版者
日本建築学会
雑誌
日本建築学会計画系論文集 (ISSN:13404210)
巻号頁・発行日
vol.64, no.516, pp.79-85, 1999-02-28 (Released:2017-02-03)
参考文献数
12
被引用文献数
5 6

Surface temperature distributions of tree crowns were examined with thermo-couples and infrared thermal images in June and October. As to the temperature difference between the crown surface and the ambient air, thermo-couples show partially higher surface temperatures in the daytime by 8℃ at the highest. However the temperature difference obtained with the thermal images ranges from -2〜0℃ to -2〜2℃. Since the thermal images directly show the radiative temperature distribution, it is concluded the average radiative temperature on the tree crowns is almost as same as the ambient air temperature.
著者
小林 徹 Tohru KOBAYASHI
出版者
長崎国際大学
雑誌
長崎国際大学論叢 = Nagasaki International University Review (ISSN:13464094)
巻号頁・発行日
vol.2, pp.67-77, 2002-03

1994年9月下旬に岐阜県八尾津において、杉原千畝(1941年リトアニア日本外務省職員として勤務中、ユダヤ難民に日本通過ビザを発行して避難の手助けをした人物として知られる)の業績を讃える式典が挙行された。参加者の中には日系元米兵及び救出されたユダヤ人や子孫が含まれており、その式典に著者も参加する機会を得て、以来7年間にわたり日系米人(多くは二世の世代)との交流を通じて様々な歴史的知見を得ることができた。本論は小林がまとめた日系米人年表である。第2次大戦後の日米関係の改善にあたって、二世、三世を中心とする日系米人の果たした力の源泉をこの年表からくみとっていただけたら幸いである。若干のまとめは年表の末尾に記述する。
著者
石川 敦子 片岡 厚 松永 正弘 小林 正彦 神林 徹 川元 スミレ 木口 実
出版者
公益社団法人 日本木材保存協会
雑誌
木材保存 (ISSN:02879255)
巻号頁・発行日
vol.42, no.2, pp.72-80, 2016 (Released:2016-06-01)
参考文献数
11
被引用文献数
4 3

2009年に市販されていた木材保護塗料43種類(水性6種類:各2色,油性15種類:各2色,油性1種類:1色)をスギ(Cryptomeria japonica D. Don)心材に塗装し,屋外暴露試験(つくば市,南面45度傾斜)を4年間実施して,各塗料の耐候性能を比較した。その結果,撥水度については,暴露12ヶ月目までは全ての塗料が塗替え目安の80%を上回っていたが,24ヶ月目までに全43種類中19の塗料が80%を下回ること,また,含浸形と半造膜形塗料は撥水度の低下傾向や劣化の形態が比較的似ていることが明らかになった。屋外暴露期間中の変色について統計的に解析したところ,明色系(ライトカラー)の塗料の方が濃色系(ダークカラー)の塗料よりも変色が大きい傾向が示された。さらに,今回測定した2009年市販塗料は,2004年に購入した市販塗料よりも,屋外暴露による変色と撥水度の低下が少ない傾向があること等が明らかになった。
著者
林 徹
出版者
長崎大学経済学会
雑誌
経営と経済 = Journal of Business and Economics (ISSN:02869101)
巻号頁・発行日
vol.97, no.1-4, pp.117-138, 2018-01-25

Are managers more prone to raise pets than rank-and-file? Although there is much physiological, psychological, or psychosocialresearch on the effect of raising pets on individuals in general, patients, inpatients, younger people, elderly, etc., there seems to be little focus on managers who seem to have more stress in business than non-managers. After reviewing the literature relevant and surveys by Ministry of the Environment, we show the facts found in the interviews toward ten managers incumbent with original questionnaire (Kusubayashi, 2017). We found an intrigue fact through the interviews. On the one hand, the managers who used to have pets, i.e. do not have now, are likely to regard pets as his/her own child. On the other, the managers who have pets now are not likely.
著者
土屋 亮輔 栗栖 宏多 後藤 秀輔 小林 理奈 小泉 博靖 櫻井 寿郎 小林 徹 竹林 誠治 瀧澤 克己
出版者
一般社団法人日本脳神経外科コングレス
雑誌
脳神経外科ジャーナル (ISSN:0917950X)
巻号頁・発行日
vol.30, no.11, pp.796-803, 2021 (Released:2021-11-25)
参考文献数
19

解離性脳動脈瘤破裂に対し開頭術で治療した2症例を報告した. 症例1は血腫の局在と前大脳動脈 (A1部) のわずかな形態変化から, 同部の解離の破裂と診断した. 血腫除去, および直視下に穿通枝を温存した破裂点を含む母血管のtrappingを施行した. 症例2は右椎骨動脈解離の破裂で, 対側椎骨動脈はposterior inferior cerebellar artery (PICA) endであった. 破裂点を含んだ血管形成的なpartial clippingを行い, 椎骨動脈の血流温存を図った. 穿通枝や母血管の血流温存を図りながら急性期の再破裂予防を達成するという観点からの開頭手術の有効性が示唆された.
著者
林 徹
出版者
長崎大学経済学部
雑誌
長崎大学経済学部研究年報 = Annual review of economics (ISSN:09108602)
巻号頁・発行日
vol.38, pp.1-21, 2022-06-30

What if we apply V­shape recovery cases to so­called the theses of Al Chandler (1962), i.e., both the unique process of organizational innovation and the common traits of innovators? This research question is what we would like to answer theoretically. Despite the lowest in 2003, Boat Race Omura in Nagasaki has recorded the highest revenue of all 24 race sites in fiscal year 2020. During the long recession of government-­controlled gambling sports all over Japan especially since 2001, BR Omura has renewed both its operation and management systems. But its process of organizational innovation was not always logically planned. Instead, after the election of the Mayor of Omura City in 2002, a late senior officer Kenji Endo, who might have been promoted, had been unintentionally designated by late Mayor Matsumoto for the head of the BR Omura to renew itself. Based on the two V­-shaped recovery case studies, that is, BR Omura and Huis Ten Bosch in Sasebo, we have extracted two distinct points which are different from Al Chandler (1962): one is not to focus on natural persons who are often called heroes/heroines but on the interactions during the process among persons relevant; and the other is to include dead persons who seem to be some among innovators.
著者
小林 徹
出版者
日本メルロ=ポンティ・サークル
雑誌
メルロ=ポンティ研究 (ISSN:18845479)
巻号頁・発行日
vol.26, pp.73-90, 2022-09-17 (Released:2022-09-17)

Currently, anthropologists interpret Claude Lévi-Strauss’s 50-year-old conception of structure as a two-fold configuration: open or closed. Structure is extracted from the experience of other cultures; however, it represents a closed system that must be cast into the open ontological domain in which phenomena exist in distinctive ways without being ordered by cultural frameworks. Maurice Merleau-Ponty began this critical construal of the notion of structure, insisting on two types of universality. The fast imposes an external explanation of an experience, and the second is constituted within the encounter. Anthropologists should “regain possession of the region of savage” by attempting to constitute the latter structure without exiting “the dimension of coexis- tence”. Anthropological and philosophical discourse must jointly examine the idea of the region of the savage. Philippe Descola follows this direction and labels his anthropological attitude “relative universalism”. Tim Ingold severely criticizes this conception, alleging that Descola constructs an ontological museum and betrays the genuine multiplicity of experience. In fact, Ingold individually traces the same path as Descola, which Merleau- Ponty once indicated.