著者
小林 郁夫 土居 寿 高橋 正史 中野 毅 米山 隆之 浜中 人士
出版者
一般社団法人日本歯科理工学会
雑誌
歯科材料・器械 (ISSN:02865858)
巻号頁・発行日
vol.14, no.4, pp.406-413, 1995-07-25
被引用文献数
20

外科用インプラント材として知られているTi-6Al-7Nb合金の歯科領域での臨床応用をはかるため, この合金の試験片を歯科鋳造法によって作製し, その鋳造性ならびに鋳造体の力学的性質を評価した.その結果, マグネシア系埋没材と遠心鋳造機を使用したときにもっとも良好な鋳造体が得られた.また引張試験の結果, Ti-6Al-7Nb合金は0.2%耐力, 最大引張強さではTi-6Al-4V合金にやや劣るものの, 破断伸びでは勝っており, およそ1.4倍の伸びを示すことがみいだされた.このときのTi-6Al-7Nb合金の組織は, 旧β相粒内に針状α相が微細に析出した組織を呈しており, この微細な二相組織がこの合金の強さを支えているものと考察された.以上の結果から, Ti-6Al-7Nbを従来どおりの歯科鋳造法によって利用することができると結論した.
著者
秋山 美紀 的場 元弘 武林 亨 中目 千之 松原 要一
出版者
日本緩和医療学会
雑誌
Palliative Care Research (ISSN:18805302)
巻号頁・発行日
vol.4, no.2, pp.112-122, 2009 (Released:2009-10-29)
参考文献数
10
被引用文献数
2 1

【目的】診療所医師の在宅緩和ケアの実施状況および困難感を明らかにし, がん緩和ケアを地域で推進するための有効策を検討することを目的とした.【方法】緩和医療資源が十分でないと考えられる地域の全診療所69カ所の医師を対象に, 質問紙調査によって在宅緩和ケアの実施状況と今後の対応の意向を評価したうえで, 62カ所の診療所医師のインタビュー調査により在宅緩和ケア実施の阻害要因などを明らかにした.【結果】質問紙の回収率は81%で, 在宅緩和医療の実施率は, 比較的末期のがん患者の在宅診療27%, モルヒネ内服による疼痛管理29%, 精神面サポート12%などであった. インタビュー内容分析の結果, 緩和スキルの向上, 病院医師との関係構築, 患者・家族・一般市民の啓発などの必要性が示された. 【結語】在宅緩和ケア推進のためには, 地域で研修会などを開催し, 病院, 診療所間で良好な関係を築きながらスキルアップを行うとともに, 一般市民の在宅ケアへの理解を培うことが重要である. Palliat Care Res 2009; 4(2): 112-122
著者
小林 龍生
雑誌
研究報告デジタルドキュメント(DD)
巻号頁・発行日
vol.2011, no.9, pp.1-6, 2011-11-11

システムやソフトウェアの構築に当たっては,利用者側が要求する事項とそれを実現するために開発者側が提供する成果物との間に,程度の差こそあれ必ず差異が生じる.その多くは要求者側と開発者側の間の意思疎通の齟齬に起因する.また,要求者側が要求事項と混同して,自らの知見の範囲内でいわば場当たり的な解決策を提示した結果,開発者側が潜在的に提供しうる高い機能性が実現できないことや,開発者側が要求事項を字義通り鵜呑みにして実装を行った結果,要求者側の本来の意図が実現されないことが多発する.本稿では,主としてEPUBの最新仕様に日本語組み版に必要とされる縦組み機能やルビ機能を盛り込む過程を通して,要求事項の言語化とその要求事項に基づく実現方法のモデル化を試みると同時に,要求する側とそれを実現する側それぞれの留意点を手案する.In IT system development scene, gaps between requirements and solutions are frequently happens. The reasons are usually dis/mis-communication between requirement side and solution side. Especially, confusion between requirements and arbitrary solution in requirement side, and ad Hoc solution for requirements with "word by word solutions" in solution side, are very common and difficult issue. In this paper, a case study from the standardization of EPUB Japanese text layout functionality is reported and a hypothetical model for communication between requirement side and solution side is duscussed. With this duscussion model, some recommendations will be proposed.
著者
濱田 維子 小林 益江 佐藤 珠美 江島 仁子
出版者
日本赤十字九州国際看護大学
雑誌
日本赤十字九州国際看護大学intramural research report (ISSN:13478877)
巻号頁・発行日
vol.5, pp.10-16, 2006-12-22

ピアエデュケーションの特徴は、同世代の仲間意識の共感・支持による教育効果が高い点と、知識提供だけではなく個人の自信や自己評価を高めることを目標としている点にある。本学では、2004 年度より、大学生ピアエデュケーターの養成とともに、大学生による小学生への性教育活動を展開している。小学5 年次から6 年次にかけた2 年間の継続的な授業展開を通して、子どもたちへの質問紙や感想をもとに授業評価を行い、小学生へのピアアプローチの効果について明らかにした。その結果、(1)小学生と年齢差のある大学生とのコミュニケーションを重視した活動展開によって、両者の関係性を構築することができた。(2)複数の大学生が体験談を語るという共感的アプローチによって、授業内容の理解が促進された。(3)自己肯定感の向上を目的とした授業展開により「自分を好きだ」といえる子どもが増加した。以上のことより、小学生とのコミュニケーションを重視したプログラムと、年齢差のある対象者に対しても、関係性を重視したピアアプローチによる効果的な性教育が可能であることが示された。
著者
神保洋介 岡本秀輔 小林亮太
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2011, no.1, pp.361-363, 2011-03-02

近年、ソーシャルネットワーキングサービス (SNS) の中でも、Twitter は特に注目を集めている。我々は、Twitter のリアルタイム性の高さに着目し、Twitter に投稿されたメッセージの中から、文化祭を楽しむ上で有効な情報のみを抽出し、ユーザに提供するサーバを構築した。2010年度秋に行われた文化祭においてつぶやきを抽出して、出店、イベント内容で分類し、人気の単語と統計情報などを提供した。本発表ではこの結果を受けて、リアルタイム情報の収集と文化祭に有効な情報の提供において Twitter を使用することの有効性を考察する。
著者
伊東 明彦 小林 由美子 杉原 正泰
出版者
日本医療薬学会
雑誌
病院薬学 (ISSN:03899098)
巻号頁・発行日
vol.15, no.1, pp.5-10, 1989-02-20
被引用文献数
1

The significance of depth of score, the kinds of binders and granules for compression on dividing of scored tablets was investigated. Scored tablets with the rate of depth of score per thickness varying with 10, 20 and 30% were prepared using hydroxypropylcellulose (HPC), potato starch, acacia and gelatin as binder and sieved granules in three particle sizes and no sieved granules as granules for compression. Dividing strength of the scored tablets decreased with an increase in depth of score and was affected by the kinds of binders. Weight variation of the divided tablets was the smallest on the tablet of 30% depth of score prepared from sieved granules irrespective of the kinds of binders and physical characteristics of granules. However, when the rate of depth was lower than 20%, the weight variation of the divided tablets was affected by the kinds of binders and physical characteristics of the granules. With 20% depth of score, tablets using potato starch and gelatin as binder showed little weight variation. In case of the 10%, tablets using potato starch and granules of 16-32 mesh showed better results. Tablets prepared with non-sieved granules showed effect of particle size distribution of granules on weight variation of divided tablets even in the case of the 30% depth.
著者
江頭 満 小林 幹彦 今野 武志
出版者
社団法人 繊維学会
雑誌
繊維学会誌 (ISSN:00379875)
巻号頁・発行日
vol.65, no.6, pp.156-160, 2009 (Released:2009-08-12)

Electrospinning was carried out in an insulating liquid, Fluorinert FC-40 (Sumitomo 3M Ltd.), to judge whether "wet electrospinning" is practicable or not. Chloroform, N,N-dimethylformamide, and their mixture of 1 to 1 are used as a solvent of polystyrene. Among the three solvents of spinning solutions, only chloroform was fit for wet electrospinning in Fluorinert FC-40. Effect of polystyrene concentration was investigated using spinning solutions of chloroform solvent. Polystyrene particles and fibers were formed from the solutions of 5 to 15wt% polystyrene spinning solutions. From 20wt% solution, only fibers with many beads were formed, and from 25wt% solutions only fibers without beads were formed. The diameters of fibers formed were increasing with an increase in the concentration. The diameter was about 10um and 50um for fibers from 20wt% and 25wt% solutions, respectively. It is concluded that wet electrospinning is practicable. However, improvement of apparatus and process will be necessary to produce non-woven fabric of nanofibers.
著者
上土井 陽子 若林 真一 吉田 典可
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告. AL, アルゴリズム研究会報告 (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.48, pp.17-22, 1995-11-17
参考文献数
5

グラフの最小コストk分割問題は枝に正の重みを持つ無向グラフG=(V,E)の節点集合Vを互いに非連結なk個の節点集合に分割する最小コスト分割を求める問題である.この問題は巡回セールスマン問題やVLSI設計で用いられるクラスタリング問題等の組合せ問題の定式化において用いられる重要な組合せ問題の一つである.Goldschmidtらはグラフの最小コストk分割問題に対し,n=|V|とするとき,O(n^<k^2>の計算時間のアルゴリズムを提案している.本稿では最小コストk分割問題に対する多項式計算時間のアルゴリズムを提案する.提案アルゴリズムでは最大流-最小コストカットアルゴリズムをO(n^<k-1>)回適用する.

2 0 0 0 OA 入営の心得

著者
小林鶯里 著
出版者
東京出版通信社
巻号頁・発行日
1938
著者
神谷 健一 田原 憲和 柿原 武史 三浦 由香利 堂浦 律子 川口 陽子 井上 昭彦 黒田 恵梨子 金 善美 高木 美菜子 池谷 尚美 齊藤 公輔 有田 豊 寺尾 美登里 林 和子
出版者
大阪工業大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

本研究課題は9言語15名から成る共同研究プロジェクトであった。最終的に冊子版の研究成果報告書を作成し、主に大学で初習外国語教育に携わる関係者に配布した。PDF版は http://www.oit.ac.jp/ip/~kamiya/gk-fires/ からダウンロードできるようになっているので参照されたい。
著者
松原 正毅 庄司 博史 小長谷 有紀 林 俊雄 堀 直 濱田 正美
出版者
国立民族学博物館
雑誌
国際学術研究
巻号頁・発行日
1991

本研究の平成5年度における調査では、新彊とモンゴル国を主要な研究対象とした。新彊においては、アルタイ山脈と天山山脈にて調査を継続している。アルタイ山脈では、平成3年度から持続しているカザフ族、トゥワ族、トルグ-ト・モンゴル族の遊牧生活についての調査をおこなった。この調査にあたったのは、松原正毅と楊海英である。従来、この地域の遊牧生活についての調査資料はまったくなかったといってよい。その意味では、すべての研究実績が学術的な空白をうめるうえでたいへん有益な役割をはたしたといえる。アルタイ山脈のカザフ族については、移動の歴史、社会構造の変遷、遊牧生活の現状などにわたる多大な情報を収集することができた。とくに、1930年代から1980年代にいたる時代(中華人民共和国の成立前後をふくむ時代)に対応した社会組織の編成と再編成について克明な資料を入手した。この資料は、社会主義化のなかで従来のカザフ遊牧民の社会組織がどのような過程をへて崩壊し、1984年の生産請負制の導入にともなってあらたな形に再編成されたかを具体的にしめす重要なものといえる。同時に、この資料は、遊牧の起源と遊牧社会の特質についての考察に多大な寄与をもたらすものである。アルタイ山脈では、カザフ族だけでなく、トゥワ族やトルグ-ト・モンゴル族も調査対象になった。トゥワ族やトルグ-ト・モンゴル族についての調査資料は、地域社会における少数民族のありかたをかんがえるうえで貴重な情報をもたらしている。とくに、トゥワ族は、中国においても1980年代にはいってひとつの独自な集団と認定された民族で、新彊全域で2000人ほどの人口を保持するにすぎない。トルコ系の言語をはなしているが、宗教的にはモンゴル族とおなじ仏教徒である。そのため、外部からはモンゴル族と同一にあつかわれてきた。トゥワ族自身も一部は独自の民族意識をもっているが、一部はモンゴル族意識をもつというように、民族意識のうえにおいて分裂している。この事象は、民族形成においてみずからの意識が重要な役割をはたすことをしめす例といえる。トルグ-ト・モンゴル族は、現在カザフ族と密接な接触をたもちながら遊牧生活をおくっているため、カザフ語とのバイリンガル現象があらわれてきている。これがかれらの生活に相互的な影響をおよぼしている。トゥワ族やトルグ-ト・モンゴル族の事例は、民族形成論を構築するうえで貴重な手がかりを提示するものである。同時に、トゥワ族やトルグ-ト・モンゴル族の遊牧に関する歴史人類学的資料は、従来の学術的空白をうめるものといえる。トルグ-ト・モンゴル族の調査には、小長谷有紀もくわわった。新彊では、アルタイ山脈だけでなく天山山脈においても調査をおこなった。天山山脈では、山脈の中央に位置するユルドゥス渓谷を中心に調査を実施をしている。この調査には、松原、林俊雄、浜田正美、堀直、楊が参加した。ユルドゥズ渓谷は、非常にふるくから遊牧民の活動の舞台となった地域であるが、中華人民共和国の成立後軍事的な要地となったため外国人研究者のたちいりがまったく許可されない地域となっていた。今回、外国人研究者としてはじめて入城がゆるされたので、新発見にちかい多大な成果があった。いままで記録されていないおおくの古墳や石人、遺構を発見し調査をおこなっただけでなく、この渓谷で遊牧生活をおくるトルグ-ト・モンゴル族について多方面にわたる情報をうることができた。モンゴル国における調査は、西モンゴルを中心におこなった。この調査には、松原、林、浜田、堀、楊が参加した。西モンゴルも、従来外国人研究者のたちいりが厳重に制限されていた地域である。そのため、数おおくの遺跡や遺構をあらたに発見し、記載することができた。それだけでなく、モンゴル語化しながらもイスラム教の信仰を保持するトルコ系のホトン族の調査もおこなっている。ホトン族の資料も、民族形成論を構築するうえに重要な情報を提供するものといえる。いずれも遊牧の歴史人類学的研究にとって貴重な成果である。以上のほか、青海省において庄司博史が土族の調査を担当した。上記の調査の比較資料として重要といえる。