著者
小林 哲郎 一藤 裕 曽根原 登
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 D (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.J95-D, no.4, pp.834-845, 2012-04-01

提供されたライフログの管理や匿名化に関する情報セキュリティ的研究が進む一方,ライフログ提供者の心理的抵抗や提供を促進するインセンティブや制度に関する研究は不足している.そこで本研究は,ライフログ提供を促進する有効な制度設計のための基礎的な知見を提供することを目的に,ライフログ調査研究への参加依頼を実験刺激として,収集するライフログの種類,金銭的謝礼の金額,対価として提供されるライフログ活用サービスを要因操作した無作為配置被験者実験を行った.その結果,コミュニケーション履歴を提供することへの心理的抵抗が最も強く,GPS位置情報を提供することへの心理的抵抗は比較的弱いことが明らかになった.また,金銭的謝礼はライフログ提供を促進するがその効果は非線形であることが示唆された.一方で,レコメンデーションサービスやライフログ可視化サービスはライフログの提供を促進するインセンティブとしての効果が見られなかった.これらの知見を総合することで,できるだけ潜在的提供者の心理的抵抗を緩和しながらライフログの提供を促進する方法について考察を行った.
著者
小沢 修司 山森 亮 平野 寛弥 堅田 香緒里 鎮目 真人 久保田 裕之 亀山 俊朗 小林 勇人 村上 慎司 村上 慎司
出版者
京都府立大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2009-04-01

本研究は、研究者と市民のネットワーク形成から生み出された議論を通じて、ベーシック・インカムに関する三つの目的を総合的に検討した。第一に、生存権・シティズンシップ・互酬性・公共性・フェミニズム思想といったベーシック・インカムの要求根拠を明らかした。第二に、ベーシック・インカムに関する政治的・財政的実現可能性を考察した。第三に、現行の年金や生活保護のような所得保障制度の問題点とベーシック・インカムにむけた改良の方向性を議論した。
著者
内林 政夫
出版者
公益社団法人日本薬学会
雑誌
藥學雜誌 (ISSN:00316903)
巻号頁・発行日
vol.126, no.1, pp.27-36, 2006-01-01
被引用文献数
2

Bencao Pinhui Jingyao complied in 1505 shows a drawing of maize under the caption of Yiyi-ren (Job's Tear). Also, a Chinese poem written around 1368 contains a term yumi, which indicates maize. These new findings offer clear evidence that maize existed in China in the pre-Columbian era. Details of this evidence, together with probable routes of introduction of maize to China, are discussed here.
著者
内林 政夫
出版者
公益社団法人日本薬学会
雑誌
藥學雜誌 (ISSN:00316903)
巻号頁・発行日
vol.126, no.6, pp.423-427, 2006-06-01
被引用文献数
1 3

An overview is presented on the reports available so far on pre-Columbian maize covering the regions of India, Mideast, Africa and Iberia. Frequent observations of maize recorded in the past on the East and the West Coast of Africa and at the ports in the Mideast show that maize was one of the staples of the natives well before 1492. It is also evident that maize in the West Africa was disseminated to Iberia and Lombardy in the pre-Columbian time. An earlier contact between the Old and the New World is strongly suggested.
著者
小林定喜
雑誌
環境科学会誌
巻号頁・発行日
vol.6, no.4, pp.367-377, 1993
被引用文献数
2
著者
中村 本勝 市川 孝夫 小林 正憲
出版者
久留米工業大学
雑誌
久留米工業大学研究報告 (ISSN:03896897)
巻号頁・発行日
vol.22, pp.107-112, 1998-12-20

As a sport for people of advanced age, gateball is declining in popularity. The major causes are mental stress resulting from athletic competition and physical illness affecting the sport's elderly participants. Gateball's decline has intensified due to the growing popularity of sports like ground golf. This has led to the weakening of gateball teams because there are not enough players to take part in games. Furthermore, the lack of newcomers has resulted in an insufficient number of people engaged in team management. Regarding the causes of mental stress, gateball rules mandate severe penalties in the event of an "outside release" or "out-of-bounds" play. This peculiar rule produces high stress among beginning players. Among the elderly members of gateball clubs, in addition, qualified individuals are granted a high social position or ranking. This is a major source of stress, as it promotes resistance to scolding or pressure from a team coach or manager. Such factors produce a sense of incongruity for gateball and there are many cases in which low player participation has been caused. For these reasons, it is difficult for talented persons to become involved in gateball management. The writer thinks that the following things will be necessary for a comeback or revival in gateball's popularity. Demonstrations of activity and support for all team members will be needed to give returning participants a sense of vitality. Then if the gateball player population increases, team formation will become strengthened by degrees. For this to be accomplished, the cooperation of concerned persons in cities, towns and villages is indispensable. The writer considers gateball to be an important matter for the aging society.
著者
北村 英哉 佐藤 重隆 小林 麻衣
出版者
東洋大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

人は意識的に気をつけて行動する場合と、意識しないで自動的に行動を行う場合がある。これを2つのモードとすれば、そのときの感情状態によって、いずれのモードをとるかの選択に影響が現れる。さらに、本研究では、現在の感情に加え、将来感じられると予期される感情予期の影響を取り上げ、現在の感情と未来の感情の双方がモード選択に影響することを示した。これらを社会的に重要な3つの場面-感情制御、偏見、学習の自己制御-において検討し、特に自己制御では将来の感情予期の影響が大きいことを見出した。
著者
小林 信雄
出版者
関西学院大学
雑誌
神學研究 (ISSN:05598478)
巻号頁・発行日
vol.26, pp.109-144, 1978-03-20
著者
神山 かおる 畠山 英子 小林 知子 八城 正典 東 輝明 境 知子 鈴木 建夫
出版者
Japanese Society for Food Science and Technology
雑誌
日本食品科学工学会誌 : Nippon shokuhin kagaku kogaku kaishi = Journal of the Japanese Society for Food Science and Technology (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
vol.47, no.11, pp.822-827, 2000-11-15
被引用文献数
5 6

おやつ昆布の咀嚼機能食品としての特性を明らかにするために,引っ張り試験機による破断測定,官能評価,咀嚼筋筋電位ならびに咀嚼圧計測を行った.今回用いた4種の昆布では,破断応力は変化しないが,厚みが異なるため,破断荷重は異なった.官能評価では,破断に大きな力を要したものが噛みにくいと判断された.筋電位計測では,噛みにくいと判断された試料では,咀嚼時間や咀嚼回数,全咀嚼筋活動量が大きくなった.昆布のように咀嚼圧よりも高い破断応力をもつ試料の力学特性は,ヒトの嚥下までの咀嚼挙動に影響し,破断荷重の高い試料を,ヒトは咀嚼回数を多くし,長時間をかけて咀嚼し,噛みにくいと感じることが示唆された.一方,一回目の咀嚼に要する咀嚼圧や感圧面積等には,試料の力学特性の影響は観られなかった.
著者
小林 浩
出版者
社団法人日本産科婦人科学会
雑誌
日本産科婦人科學會雜誌 (ISSN:03009165)
巻号頁・発行日
vol.63, no.5, pp.1263-1267, 2011-05-01

子宮頸がんは本邦では年間15,000人が発症し3,500人が死亡する疾患であり,女性特有のがんの第2位を占める.発がん性のヒトパピローマウイルス(HPV 16型・18型)というウイルスの持続的な感染が原因となって発症する.このウイルスに感染すること自体は決してまれではなく,性交経験がある女性であればだれでも感染する可能性がある.最近10年間で特に20歳代や30歳代の若年層で罹患率が増加している.HPVに感染してもほとんどの場合,ウイルスは自然に排除されるが,排除されずに長期間感染が持続する場合があり,ごく一部の症例で数年〜十年かけて前がん病変の状態を経て子宮頸がんを発症する.この間に子宮頸がん検診を行えば前がん病変を早期発見し,治療することができる.女子中学生などへの子宮頸がん予防ワクチン,乳幼児へのヒブワクチンや小児用肺炎球菌ワクチン接種については,平成22年度の国の補正予算でその公費助成費用が措置された(子宮頸がん等ワクチン接種緊急促進事業)ことから,市町村では実施準備が整い次第,当該ワクチン接種の公費助成を開始している(一部市町村では既に公費助成を開始している).子宮頸がん予防ワクチンの公費負担が開始されたが,各市町村により接種対象者が異なるので十分把握する必要がある.ワクチン接種に関するガイドラインとその実務的な内容を記載した.
著者
増田 智恵 乾 滋 團野 哲也 川口 順子 村上 かおり 與倉 弘子 岡部 秀彦 岡部 秀彦 松平 光男 永島 秀彦 杉山 元胤 小林 昌史 古田 和義 後藤 大介
出版者
三重大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2007

男女年齢を問わず3次元人体計測から仮想的に衣服用人台の生成と立体裁断による個人対応の基本ドレスとパンツのパターンを作成し,仮想衣服製作によるバーチャル試着を可能にして自己的・他者的な着心地確認までをほぼ自動化できた。同時に衣服選択・試着の視覚的支援体制や管理機能用としての3次元ファッションシステム開発用の人体の相同モデル化,体形イメージ分類,動作機能,デザイン感性,素材の感性予測などの情報を構築した。
著者
加納 千恵子 衣川 隆生 小林 典子 酒井 たか子 小野 正樹
出版者
筑波大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2000

非漢字圏学習者の漢字語彙処理能力を字形識別力、意味理解力、読み処理能力、書き処理能力、用法処理能力、音声処理能力などの観点から測定するための標準テストを開発した。平成12年度は、筑波大学留学生センター及び米国カリフォルニア大学サンディエゴ校(UCSD)において予備テスト(第1版テスト)の実施・検討を行い、本テストに関する資料を準備し、次年度以降のテスト実施に協力してくれる機関、教育関係者に連絡を行った。平成13年度は、本テスト(第2版テスト)を完成し、筑波大及びUCSDにおいて実施、受験者のデータを収集した。また、テスト資料および実施マニュアルを作成し、本研究の協力校として米国ハワイ大学の日本語教育担当者に配布、3月に打合せと研究成果報告を行った。平成14年度は、第2版テストの結果の分析・考察を行って標準化を図り、その研究成果を米国カリフォルニア大学サンディエゴ校で7月11日〜14日に開催された第3回「日本語教育とコンピュータ」国際会議『CASTEL/J2002』において発表した。またその成果に基づいて、テスト問題の形式、内容を修正・改訂し、WEB上で受験可能な漢字語彙力測定テストのプロトタイプ版(第3版テスト)を完成した。そして筑波大の日本語コースにおいてこのWEB版テストを実施し、受験データを収集した。さらに、3月に韓国の慶熙大学校国際教育院を訪問し、現地の日本語教育関係者との意見交換および情報収集を行って、テスト受験者として想定している非漢字圏学習者の中に韓国人学習者を含めるかどうかを検討した。平成15年度は、WEB版テストの外部公開を目指し、筑波大においてさらに受験データを収集、テスト画面および内容の改善を行った。WEB版(プロトタイプ版)漢字語彙力測定テストは、海外の協力機関においては動作環境の確保が難しくまだ実施できていないが、最終年度に当たり、研究成果報告書および「受験のためのマニュアル」資料を作成して印刷した。
著者
平澤 由平 鈴木 正司 伊丹 儀友 大平 整爾 水野 紹夫 米良 健太郎 芳賀 良春 河合 弘進 真下 啓一 小原 功裕 黒澤 範夫 中本 安 沼澤 和夫 古橋 三義 丸山 行孝 三木 隆治 小池 茂文 勢納 八郎 川原 弘久 小林 裕之 小野 利彦 奥野 仙二 金 昌雄 宮崎 良一 雑賀 保至 本宮 善恢 谷合 一陽 碓井 公治 重本 憲一郎 水口 隆 川島 周 湯浅 健司 大田 和道 佐藤 隆 福成 健一 木村 祐三 高橋 尚 由宇 宏貴
出版者
The Japanese Society for Dialysis Therapy
雑誌
日本透析医学会雑誌 = Journal of Japanese Society for Dialysis Therapy (ISSN:13403451)
巻号頁・発行日
vol.36, no.7, pp.1265-1272, 2003-07-28
被引用文献数
2 12 4

遺伝子組換えヒトエリスロポエチン製剤 (rHuEPO) が6か月以上継続投与されている慢性維持血液透析患者 (血液透析導入後6か月以上経過例) 2,654例を対象に, 維持Ht値と生命予後との関係をretrospectiveに調査, 検討した. Cox回帰分析による1年死亡リスクは, 平均Ht値27%以上30%未満の群を対照 [Relative Risk (RR): 1.000] とした場合にHt 30%以上33%未満の群でRR: 0.447 [95%信頼区間 (95% CI): 0.290-0.689 p=0.0003] と有意に良好であったが, Ht 33%以上36%未満の群ではRR: 0.605 [95% CI: 0.320-1.146 p=0.1231] と有意差を認めなかった. 一方, Ht 27%未満の群ではRR: 1.657 [95% CI: 1.161-2.367 p=0.0054] と有意に予後不良であった. また, 3年死亡リスクも1年死亡リスクと同様, Ht 30%以上33%未満の群ではRR: 0.677 [95% CI: 0.537-0.855 p=0.0010] と有意に良好であったが, Ht 33%以上36%未満の群ではRR: 1.111 [95% CI: 0.816-1.514 p=0.5036] と有意差を認めず, Ht 27%未満の群ではRR: 1.604 [95% CI: 1.275-2.019 p<0.0001] と有意に不良であった.<br>これらの調査結果より, 1年および3年死亡リスクはともにHt値30%以上33%未満の群で有意に低値であり, 生命予後の観点からみた血液透析患者のrHuEPO治療における至適維持目標Ht値はこの範囲にあると考えられた. ただし, 1年死亡リスクは, 例数が少ないもののHt値33%以上の群についても低値であったことから, このレベルについては今後再検討の余地があると考えられた.
著者
林 隆志 村上 和雄 林 啓子 河合 徳枝
出版者
(財)国際科学振興財団
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2007

笑いやすい体質作りのためのトレーニング法を開発し、その効果を分子生物学的に検証した。トレーニング後のコミックビデオ鑑賞で脳波・α2帯域成分(生命維持中枢部の活性を反映)が増加する被験者の笑い体験後で発現が変化している遺伝子を抽出しオントロジー解析した結果、発現増加している遺伝子は免疫系に関連し、発現減少している遺伝子は癌に関連する遺伝子であった。また、これらの被験者では、α2帯域成分の増加を認めない被験者と比較して、平常時の同一カテゴリーに属する遺伝子の発現にも差を認めた。