著者
高林 久美子 沼崎 誠 小野 滋 石井 国雄
出版者
公益社団法人 日本心理学会
雑誌
心理学研究 (ISSN:00215236)
巻号頁・発行日
vol.79, no.4, pp.372-378, 2008 (Released:2011-08-26)
参考文献数
18
被引用文献数
3 1

This study investigated women's stereotyping and evaluation processes for other women related to their own activated self-representations for categories of homemaker and career women. We predicted that when self-representation as a traditional woman was activated, participants would evaluate traditional women more positively and nontraditional women more negatively than when self-representation as a nontraditional woman was activated. When self-representation as a traditional woman was activated, participants would regard traditional women as more feminine and nontraditional women as more masculine. Fifty-three female college students were asked to imagine their future selves as a career woman or a homemaker and rate their difficulty in imagining this. Next, they were presented with a fictitious profile of a career woman or a homemaker and asked to rate this woman. The results supported the hypotheses for those who imagined their future selves clealy. The importance of the relative perspectives of women's prejudice toward other women was discussed.
著者
木嶋 祥麿 小沢 潔 桜井 俊一朗 仲山 勲 東海林 隆男 笹岡 拓雄
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.73, no.7, pp.986-994, 1984

ビタミンKが欠乏すると,肝での血液凝固因子の活性化が阻害されるため出血症状が出てくるが,臨床的には新生児にしばしばみられる.成人においてはまれであるが,最近とくに乳児期にみられるビタミンK欠乏症が注目されている.一方,腎不全患者ではしばしば皮下や消化管などに出血がみられ,血小板機能・凝固困子活性の異常などが指摘されている.しかしビタミンK欠乏症の併発はあまり知られていない.最近われわれが経験した出血ないし凝固異常を呈した患者14例を検討したところ,慢性腎不全8例,急性腎不全(手術後4例,激症型皮膚筋炎・脳出血後感染症合併それぞれ1例)6例であり,このうち4例は検査結果から消耗性血管内凝固症候群(DIC)であつた.ほかの10例では肝機能異常はなく, DICの所見とも異つており,プロトロンビン時間・部分トロンボプラスチン時間の延長,第II, VII, IX, X因子活性の低下,異常な第II因子分子の出現などの所見が認められ,ビタミンK投与で改善を認めたことからビタミンK欠乏症と診断した.本症10例の臨床所見は高令の女性患者が多く,食事摂取は著しく不良で,重症感染症および手術後のため抗生物質が投与されており, DICの背景因子と共通点が多い.このような悪条件をもつ腎不全患者ではビタミンKが枯渇しやすいと考えられるので,非経口的に予防投与しておく必要がある.
著者
小林 毅 石井 正則 金田 健作 八代 利伸 森山 寛 須藤 正道 関口 千春 五十嵐 眞
出版者
Japan Society for Equilibrium Research
雑誌
Equilibrium Research (ISSN:03855716)
巻号頁・発行日
vol.53, no.4, pp.507-515, 1994 (Released:2009-10-13)
参考文献数
10

In an effort to determine the mechanism causing motion sickness, various studies have been conducted on the autonomic and central nervous systems. Recently, it was reported that the level of antidiuretic hormone (ADH) rises when motion sickness appears, and the possible involvement of hormones in the manifestation of motion sickness has become a focus of attention.We induced motion sickness by Colioris stimulation in healthy adult volunteers, and examined hypothalamus-pituitary-adrenal hormones and neuropeptides before and after stimulation and during the recovery process.In the high susceptibility group blood levels of ADH, ACTH, prolactin, cortisol, β-endorphin and MET-enkephalin and urinary levels of ADH immediately after stimulation were significantly higher than those in the low susceptibility group. These levels returned to normal after 30 minutes of rest. In the high susceptibility group the motion sickness score immediately after stimulation showed a significant correlations with the blood levels of ADH, ACTH and β-endorphin.These results indicate that ADH, ACTH, β-endorphin and MET-enkephalin are involved in the nausea and vomiting of motion sickness. Moreover, it seems that the mechanism and effects of these hormones may differ from each other. Since the urinary level of ADH is very closely correlated with its blood level, the use of urinary ADH testing is advocated as a simple method with no discomfort.
著者
林 佐智代 江口 采花 遠藤 眞美 野本 たかと
出版者
一般社団法人 日本障害者歯科学会
雑誌
日本障害者歯科学会雑誌 (ISSN:09131663)
巻号頁・発行日
vol.41, no.4, pp.332-339, 2020

<p>Stickler症候群(以下,STL)は,2型コラーゲン異常により進行性の眼疾患や耳疾患,骨・関節疾患,中顔面発育不良,口蓋裂,小顎症など多様な症状を認め,通常,知的能力障害を伴わない常染色体優性遺伝の疾患である.多くの合併症により摂食指導においても早期からの介入が必要と考えられるが,STLにおける摂食指導に関する報告はない.今回,偏食を認めるSTLに幼児期から摂食指導をしたので報告する.症例は,初診時年齢2歳9カ月の女児で,主訴は「食物が増えない」「固定した食物しか食べられない」であった.合併症としては口蓋裂,強度近視,滲出性中耳炎,脊椎骨端異形成,成長障害,過蓋咬合,狭口蓋であった.摂食場面では咀嚼運動を認めるものの,食事途中から疲労のため,緩慢な運動となることが観察された.摂取可能な食事はカレーライスや海苔佃煮ごはんなどであり,パリパリとした食感の食物には拒否を示した.以上のことから偏食がみられ,要因として,①視覚,聴覚の感覚障害,②小顎症,口蓋裂による摂食機能障害,③成長障害による食事中の疲労感とした.そこで,初診時の指導内容は主に感覚障害への対応を中心に行うこととし,視覚による食物へのこだわりの脱感作を目的に食内容指導を中心に行った.2歳11カ月から療育施設に通園するようになり,精神的,体力的負担により一時的に拒否は強くなった.指導として,児の好む食物を中心に食物を広げ,新しい食物に挑戦できたときは,褒めることで好ましい食行動を強化することとした.5歳10カ月まで食べむらはあるが徐々に自発的に新しい食物に挑戦する場面も増加した.摂食機能は,自食が多くなることで口唇閉鎖不全を認めるようになった.今後,成長期に関節炎など合併症を生じる場合もあるため,食事への影響を継続して観察し,支援する必要性が示唆された.</p>
著者
林 修 梅野 圭史
出版者
日本体育・スポーツ哲学会
雑誌
体育・スポーツ哲学研究 (ISSN:09155104)
巻号頁・発行日
vol.38, no.1, pp.9-21, 2016 (Released:2016-11-01)
参考文献数
38

This study discusses the meaning of learning particular art-form movements (in a Noh play) during the stages between infancy and adolescence in the “Flowering Spirits” written by Zeami (around 1400 A.D.). The attitude toward the practice in Zeami’s Noh play for the ages seven to approximately twenty-four correspond with the skill development of human movements (from maturational skills, to personal skills, to advanced skills) proposed by Landall (1979) in the U.S.A. Furthermore, Zeami did not regard the particular art-form movements in the Noh play as technical skills. Zeami had thought that a pleasure and satisfaction felt during exercise a Noh play influenced on performer’s body, strongly. Then, these affective factors made a performer understand the physical meaning of particular art-form movements. The above mention was perceived to have the meaning of ‘to mature’. It was concluded that the practice in Zeami Noh play at the period from infancy to adolescence indicates the influence of naturalism.
著者
水野 忠快 林 久允 杉山 雄一
出版者
金原一郎記念医学医療振興財団
巻号頁・発行日
pp.514-516, 2012-10-15

●細胞膜タンパク質の分解;ユビキチン化-リソソーム分解経路 生体内のタンパク質はたえず合成,分解を繰返し,動的に制御されている。その分解過程は分解を担うプロテアーゼの種類の違いや,また,それらが機能する細胞内小器官へ基質が到達するまでの系の違いなどにより分解経路として体系的に分類できる。細胞膜タンパク質に限っては,① カルパインによる分解経路,② ユビキチン(Ub)化をシグナルに開始されプロテアソームにより分解を受ける経路,③ 同じくUb化が引き金となりendosomal sorting complex required for transport(ESCRT)系を経てリソソームにて分解を受ける経路の三つの分解経路が挙げられる。本稿では,なかでも③の分解経路をUb化-リソソーム分解経路と称し,これを紹介したいと思う。 リソソームは1950年代半ばと比較的早い時期に同定されたものの,どのようにして分解されるべきタンパク質のみが選別されリソソームへと輸送されるのか,という疑問が長い間研究者の頭を悩ませていた。これに一つの明確な解答を与えたのがUb化-リソソーム分解経路の発見であり,今世紀幕開けにかけてのことである1)。本経路において細胞膜タンパク質はUb化を皮切りに内在化し,ESCRT系によって認識され,同系を経る過程で形成されるmulti-vesicular body(MVB)に取り込まれた後,MVBがリソソームに融合することで最終的にリソソーム内のプロテアーゼにより分解を受ける。このスキーム中で一点留意してほしいのがUb化と内在化の順序である。最もよく研究されているepidermal growth factor receptor(EGFR)などを除き,多くの場合どこでUb化を受けているのかは明らかとなっていない。そのため可能性は示されているものの,細胞膜上でUb化を受けた後に内在化するというスキームの普遍性については議論が続いている。しかしながら,ESCRT系が基質のUb化部位を認識し,これを皮切りに進行するという点は多くのエビデンスによって支えられており,本経路におけるUb化の重要性は明確である。
著者
韮澤 融司 伊藤 泰雄 薩摩林 恭子 田中 裕之 坪井 美香子 河野 修一
出版者
特定非営利活動法人 日本小児外科学会
雑誌
日本小児外科学会雑誌 (ISSN:0288609X)
巻号頁・発行日
vol.32, no.2, pp.285-289, 1996-04-20 (Released:2017-01-01)
参考文献数
12

肥満児では正常な大きさの陰茎が脂肪組織のため短小に見えることがあるが,この場合には外科治療の必要はない.一方,埋没陰茎は陰茎海綿体が埋没し,真性包茎を合併しているため正常な陰茎皮膚が形成されておらず外科治療の対象となる.過去6年間で45例の包茎手術を行い,そのうち10例か埋没陰茎を合併していた.これらの症例に対し包茎の手術後,陰茎の背側に Z字型切開,腹側に U字型切開を加え,陰茎と腹壁の間の線維性索状物を完全に切離した後,陰茎を体外に牽引しつつ背側は Z形成を行い,腹側の U字型切開部を Y字型に縫合することにより良好な結果を得た.埋没陰茎に対して包茎の手術のみを行ったのでは陰茎幹は形成されず将来に大きな障害を残すことになる.本法は手技も簡単であり,手術後は健常児とかわりのない外観を示し,勃起も正常となる.埋没陰茎を治療する際,包茎の手術のみにとどめず陰茎の形成も併せて行う必要がある.
著者
小林 哲生
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NLP, 非線形問題 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.102, no.625, pp.71-76, 2003-01-27
参考文献数
32
被引用文献数
1

両眼視野闘争とは、物理的には左右の網膜上に視覚刺激が与えられ続けているにも関わらず、競合する視覚刺激が交互に知覚され、一方の刺激が知覚されている時、他方の刺激が意識にのぼらないという視知覚現象であり、視覚的意識の脳内機構を実験的に調べる上で、主観的体験を定量的に観測できる稀少な現象であるとして重要性が再認識されるようになってきた。ここ数年、特に機能的MRIや脳磁図、事象関連電位といった脳機能イメージング研究により、その機構解明の手がかりとなる重要な結果が報告されるようになってきており、視野闘争には、一次視覚野のみでなく、高次視覚野、頭頂連合野、前頭連合野といった複数の部位が関わっており、相互に結合している機能領域間の情報統合プロセスの結果生ずるらしいことが明らかになってきている。
著者
林国興 岩井祐太 西山裕之
雑誌
第73回全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2011, no.1, pp.283-284, 2011-03-02

近年,携帯端末の高機能化,無線通信の向上などに伴い,これを用いた様々なサービスが普及しており,中でも,位置情報サービスにおいては,携帯電話へのGPS搭載義務化を受けより一層注目を集めている.しかしながら,屋内環境においてはGPSの取得が困難であるため,アクセスポイントや発信機といったインフラを利用した位置推定を行うシステムが多く提案されている一方,設置や初期設定などからユーザが容易に利用できるとは言い難い.本研究では,インフラを利用することなく,携帯端末によるアドホックネットワークを形成することにより相対的な位置を推定する手法を提案する.また,位置推定精度の評価実験を行い,システムの有効性を示す.
著者
小林 正秀 萩田 実
出版者
応用森林学会
雑誌
森林応用研究 (ISSN:13429493)
巻号頁・発行日
vol.9, no.1, pp.133-140, 2000-03-20 (Released:2018-01-16)
被引用文献数
13

京都府北部の5林分で,コナラとミズナラの枯損状況を調査したところ,コナラよりミズナラの枯損率が高く,枯損率は最初の被害が発生して3年目頃に最大となった。エタノールを用いた誘引トラップでカシノナガキクイムシを捕獲したところ,捕獲数も被害発生3年目頃に最大となった。しかし,本種はエタノールにはほとんど定位しないことが,α-ピネンや誘引剤なしのトラップ及び障壁トラップとの比較で判明した。ナラ樹に粘着トラップを巻き付けて捕獲したところ,飛翔は6月上旬〜10月下旬にみられ,飛翔時間は午前5時〜11時で,飛翔高度は0.5〜2.0mに多いことがわかった。さらに,前年に穿孔を受けたナラ樹に羽化トラップを被覆して調査したところ,羽化時期は6月上旬〜10月上旬であること,枯死木からの羽化は多いが,健全木からは少ないことがわかった。また,枯死木1m^3当りの羽化数は約3万頭で,1穿孔当りでは約20頭であった。割材調査では,枯死木1m^3当りの羽化数は約5万頭で,1穿孔当りでは約13頭であった。また,すべてのトラップ調査においで性比は雄に偏っていた。
著者
滝澤 恵美 鈴木 雄太 小林 育斗
出版者
茨城県立医療大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2015-04-01

抗重力動作における股関節内転筋の役割を検討するために、内転筋が発揮する股関節伸展筋トルクを大殿筋やハムストリングスと比較した。抗重力動作としてスクワット動作を選択した。三次元的に運動データと床反力データを収集し、筋骨格モデル(SIMM)を用いて各筋の伸展筋トルクを推定した。大殿筋と大内転筋は、ハムストリングスよりもより大きな伸展筋トルクを発揮した。大内転筋の抗重力機能はハムストリングスよりも大殿筋に類似するものであり、この筋は補助的ではなく主要な抗重力筋として機能するだろう。
著者
林 恭平 根来 圭一 岩本 和也
出版者
和歌山県農林水産総合技術センター
巻号頁・発行日
no.5, pp.67-73, 2004 (Released:2011-03-05)

本研究はウメ品種のS遺伝子型をPCR法により識別した。1.供試したウメ50品種から少なくとも10の遺伝子座を識別し、22以上の遺伝子型があることを認識した。2.和歌山県各地の‘南高’79樹のS遺伝子型はS1S7であったが、異なるS遺伝子型示す‘南高’が2系統あった。3.‘小粒南高’5系統のS遺伝子型はそれぞれが違う遺伝子型を示し、‘小粒南高’は遺伝的に様々な系統があると考えられた。4.‘南高’と自家和合性個体(‘地蔵’と‘剣先’)の交雑個体の中で、自家和合性個体をSf遺伝子の有無で識別することができたことから、S-RNase遺伝子は自家和合性個体判別の分子マーカーとして利用できることがわかった。
著者
林 恭平 根来 圭一 岩本 和也
出版者
和歌山県農林水産総合技術センター
雑誌
和歌山県農林水産総合技術センター研究報告 (ISSN:13455028)
巻号頁・発行日
no.5, pp.67-73, 2004-03
被引用文献数
1

本研究はウメ品種のS遺伝子型をPCR法により識別した。1.供試したウメ50品種から少なくとも10の遺伝子座を識別し、22以上の遺伝子型があることを認識した。2.和歌山県各地の'南高'79樹のS遺伝子型はS1S7であったが、異なるS遺伝子型示す'南高'が2系統あった。3.'小粒南高'5系統のS遺伝子型はそれぞれが違う遺伝子型を示し、'小粒南高'は遺伝的に様々な系統があると考えられた。4.'南高'と自家和合性個体('地蔵'と'剣先')の交雑個体の中で、自家和合性個体をSf遺伝子の有無で識別することができたことから、S-RNase遺伝子は自家和合性個体判別の分子マーカーとして利用できることがわかった。