著者
西河 美希 市山 高志 林 隆 古川 漸
出版者
一般社団法人 日本小児神経学会
雑誌
脳と発達 (ISSN:00290831)
巻号頁・発行日
vol.30, no.1, pp.15-19, 1998-01-01 (Released:2011-08-10)
参考文献数
9

山口県下の小中学校, 養護学校の養護教諭391名を対象とし, てんかん児の水泳を中心とした学校生活の対応について, アンケート調査を行った.対象人数391名中, 回答人数278名で, 回収率71%だった.82.7%の養護教諭がてんかん児を経験していたが, 学校行事の中で水泳を制限するという回答が全体の24.5%にみられた.また, 医師から制限不要の指示がでた場合でも, 20%以上の養護教諭が何らかの制限をするという回答だった.これらの結果より学校現場の中で医学的知識に詳しいと予測される養護教諭でも, てんかんに対する知識で不適切と思われる考え方が根強く残っていることがわかった.今後, 養護教諭に対するてんかんの正しい知識の普及が望まれる.
著者
木村 恵 中村 千賀 林部 直樹 小山 泰弘 津村 義彦
出版者
日本森林学会
雑誌
日本森林学会誌 (ISSN:13498509)
巻号頁・発行日
vol.95, no.3, pp.173-181, 2013-06-01 (Released:2013-07-25)
参考文献数
34
被引用文献数
6 4

多面的機能が注目される社叢林の保護と管理を行うには, その成立要因を理解する必要がある。本研究では長野県戸隠神社奥社参道のスギ並木を対象に林分構造と遺伝的多様性・特性を調べた。二山型を示す直径階分布から多くの個体は限られた時期の植林によって成立しており, 現在の樹高成長量は低く今後は補植が必要になると考えられた。核マイクロサテライトマーカー8遺伝子座での遺伝解析から多くのクローンが検出され, 挿し木による植林の可能性が示された。また奥社参道における遺伝的多様性の指数は天然林と同程度だが, 遺伝距離に基づく主座標分析では天然林とは異なる特異な遺伝的特性を示した。さらに周囲の社叢林のスギ, 在来挿し木品種クマスギを加えた解析では血縁関係 (親子, 兄弟) が検出された。天然林との特異な遺伝的関係も検出され, 限られた母樹からの苗木による創始者効果の可能性が示された。現在の遺伝的多様性・特性を維持するには, 挿し木や血縁関係にある幹の重複を避けて母樹を選定し, 苗木を生産することが有効である。また信仰的な理由で挿し木されたと考えられる個体もみられており, 戸隠神社の歴史を反映するこれらの遺伝子型の保存も重要である。
著者
若林 満 Gallagher Daniel G. Graen George B.
出版者
名古屋大学教育学部
雑誌
名古屋大學教育學部紀要 教育心理学科 (ISSN:03874796)
巻号頁・発行日
no.35, pp.p1-20, 1988

本論文においては, わが国産業組織における終身雇用制度を基調とした人材育成の問題点が, 客観的キャリアと主観的キャリアの2つの視点から問題とされた。客観的キャリアの視点は, 組織で働く人びとの職務・地位・部署など, 公式的な面での変化や異動を記述し説明することを目的としている。本論文ではこの客観的視点からの検討は, 大卒男子社員の管理職への昇進過程に関する13年間の縦断研究の資料に基づき行われた。そこでの問題は誰が, いつある地位に昇進していくか, またそれを規定する要因は何かという問題であったが, 分析の結果, 管理職へのキャリア発達は年功序列というよりは, かなり厳しいトーナメント型の競争過程であること。そして誰が, いつ昇進するかは, キャリア発達の初期段階(入社3年目ぐらいまで)の実績(業績評価と能力評定), およびそれまでの直属上司との対人関係(垂直的交換関係)のあり方によって規定されることが明らかとなった。この結果は, 管理職キャリア発達における早期分化の仮説を支持するものであった。次に, 主観的側面からのキャリア発達の研究として, 大卒および高卒者の仕事の満足感と組織へのコミットメントが分析された。筆者らの調査から得られた大量サンプルに基づく横断的研究の結果, 新入社員から中高年社員層の勤続年数グループ間での比較をみると, 満足度や組織との一体感は若年層と中高年層で高く, 中堅層(入社8∿10年前後)で最低となるU字型を呈していることが見出された。加えて, 他の研究をもとに, 日本の労働者と外国の労働者の仕事満足感を比較すると, 多くの研究がわが国労働者の満足感の低さを支持する結果を示していた。以上の分析から, 終身雇用制度のもとでのわが国従業員のキャリア発達は, 客観的側面では年功序列的というより競争的であり, 主観的側面では満足度が高く組織との一体感が高いという一般的予想とは, ほど遠い結果であることが明らかとなった。国立情報学研究所で電子化したコンテンツを使用している。
著者
芸林 民夫 Thomas Guerin
雑誌
比較文化論叢 : 札幌大学文化学部紀要
巻号頁・発行日
vol.13, pp.A1-A30, 2004-03-31

2003年11月のインドでの2週間の研究活動を通して、特に印象に残ったのはカジュラホの神殿を飾る性的な彫訓群だった。疑問は、このような彫刻がなぜ神殿という聖なる建築物を飾るのか。カジュラホだけではなく、インドのいたるところの神殿に西洋の目で見れば「汚い」性的な表現が多いので、性に対するインドと西洋の違いを探ることにした。結論として西洋とインドの大きな違いは、インドの宗教と神話には、当たり前のように、男女の神々が現在まで国民の宗教活動の対象になっている。それに対して、西洋の神は一人の「父神」であり、「母神」はいない。そのために、性は宗教の中からは排除され人間の社会でもタブー視されるようになってしまった。インドでは「男根」の意味の「リンガム」や女性の「外陰部」の意味の「ヨニ」は崇拝の中心になる。現在インドでは多くの神々の中で一番人気のあるシバ神の神殿の聖なる場所で神体として「リンガム」が拝められている、その近くには必ず女性の本源シャクテイの象徴「ヨニ」が一緒に信者の崇拝を受けている。西洋の世界では、「リンガム」や「ヨ二」のような物を神とすること、または、神と関係あることは、タブー以上に冒涜になる。シバ神と奥さんパルバティ神の性交は理想的な愛の表現であり、パルバティ神は若いインド人女性たちの憧れの的である。同じように、西洋でポルノとして見られている「カマ・スートラ」は、インドでは結婚前の女性に理想的な結婚生活の手引書として渡されることもある。「悟り」(ヒンズ教では「モクシャ」)への道として、ヒンズ教の中に在るタントラは性行為を含めて、人間のあらゆる欲を清めながら実行する。特にタントリック・ヨーガの中では、性行為の「アーサナ」(ヨーガの種々の姿勢)は悟りに導くとされている。西洋の世界では、人間の死んでからの世界は「天国」で、「悟り」や「涅槃」ではない。しかし、「天国」に達するために、罪のない人生を過ごすことが条件であり、「性行為」=「罪」という考えが多く、「天」に到達する一番の妨げになる。それに対してインド(また仏教を含めてインドから始まった宗教)では、輪廻から開放する「涅槃」が目的で、性欲を含めて人間のあらゆる欲をルールにのっとって清めることにより達する。要するに、父神しかいない西洋では、性行為はタブーとされ(自然の世界では当然行われているが、神に対する良心の呵責の原因となる。)、インドでは、父親の神もいるが当然母親の神もいるから、性行為はいとも自然なことであり、そこが世界の始まりとされている。
著者
梅垣 雄心 中村 雅俊 武野 陽平 小林 拓也 市橋 則明
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2012, pp.48101963, 2013

【はじめに、目的】臨床現場において、ハムストリングスのストレッチングは多くの場面で用いられている。近年、ストレッチングの効果に関して多く報告されているが、ストレッチング法について検討した報告は少なく、特に内外側ハムストリングスの選択的なストレッチング法について、科学的根拠は示されていない。理論的に筋のストレッチングは筋の作用と逆方向へ伸張すべきであり、ハムストリングスは股関節伸展・膝関節屈曲作用に加え、内側は股関節内旋、外側は外旋作用を有していることから、内側は股関節屈曲・外旋位から膝関節伸展、外側は股関節屈曲・内旋位から膝関節伸展の他動運動が効果的なストレッチングになると考えられる。その一方で股関節屈曲・膝関節伸展に股関節外旋を加えることで外側を、内旋を加えることで内側を選択的に伸張できるという報告もあり、統一された見解は得られていない。そこで、本研究では筋は伸張されると硬くなるという先行研究に基づき、超音波診断装置と弾力評価装置を用いて筋硬度を測定し、筋の伸張量の指標とした。本研究の目的は股関節屈曲・膝関節伸展に股関節の内旋と外旋を加えることが、内・外側ハムストリングスの伸張量に与える影響を明確にすることである。【方法】対象は下肢に神経学的及び整形外科的疾患を有さない健常男性17名(平均年齢24±3.4歳)の利き脚(ボールを蹴る)側の大腿二頭筋(以下:BF)及び半腱様筋(以下:ST)とした。ストレッチング肢位は、背臥位でベッド側方から非利き脚をたらし、ベルトで骨盤を固定した。試行は股関節90°屈曲、膝関節90°屈曲位(以下Rest)、股関節 90°屈曲・最大内旋からの膝関節伸展(以下IR)、股関節90°屈曲からの膝関節伸展(以下NOR)、股関節90°屈曲・最大外旋からの膝関節伸展(以下ER)の4試行とし,IR、NOR、ERでは痛みを訴えず、最大限伸張する角度まで他動的関節運動を行い、その時の膝関節伸展角度と筋硬度を測定した。 筋硬度の評価はテック技販製弾力評価装置(弾力計)と、SuperSonic Imagine社製超音波診断装置の剪断波エラストグラフィ機能 (以下:エラスト)を用いた。弾力計では圧力20NでRestのみ2回測定し、その平均値を算出した。IR、NOR、ERは1回の測定値を使用した。エラストでは全て1回の測定値を使用した。測定位置は,坐骨結節と外側上顆を結ぶ線の中点の位置でBFを、坐骨結節と内側上顆を結ぶ線の中点の位置でSTを触診しながら測定を行った。統計学的解析では、BFとSTにおける筋硬度値と膝関節伸展角度をそれぞれ各条件間でWilcoxon検定を用いて比較し、Bonferroni補正を行った。有意水準は5%未満とした。【倫理的配慮、説明と同意】対象者には研究の内容を説明し、研究に参加することの同意を得た。【結果】BFでは、弾力計の値はRestに比べ、IR,NOR,ERが有意に減少し、エラストの値はRestに比べ、IR、NOR、ERが有意に増加しが、両筋硬度ともIR、NOR、ERの間に有意な差は認められなかった。STでは、弾力計の値はRestに比べ、IR、NOR、ERが有意に減少し、ERに比べ、IR、 NORが有意に減少したが、IRとNORには有意な差は認められなかった。エラストの値はRestに比べ,IR,NOR,ERが有意に増加し、ERに比べIR、NORが有意に増加したが、IRとNORには有意な差は認められなかった。膝関節伸展角度は、NORで-21.5±12.2、IRは-31.5±7.2、ERは-36.5±8.8であり、NORはIR,ERに比べ有意に高値を示し、IRはERに比べ有意に高値を示した。【考察】本研究では、 BFはIR,NOR,ERの間で伸張量に変化がなかったことから、BFの伸張量を股関節内外旋の動きにより、コントロールすることは困難であることが示唆された。一方、STはERに比べIR、NORの方が有意に伸張されたことから、大きな外旋の動きを加えた場合より、股関節内外旋の動きを加えない場合や大きな内旋の動きを加えた場合の方が、STは伸張されやすいことが示唆された。この理由として、内側ハムストリングスの股関節内旋作用、外側ハムストリングスの外旋作用というのは解剖学的肢位での作用であり、股関節屈曲や最大内外旋することによって作用が変化している可能性が考えられる。また、ERにおいて、NORやIRと比較して膝関節伸展角度が有意に小さく、BFが伸張されていないことから、ERではハムストリングス以外の要素が優先的に膝関節伸展を妨害しており、その結果としてBFが伸張されなかった可能性も考えられる。【理学療法学研究としての意義】ハムストリングスのストレッチングにおいて、股関節内外旋の動きを加えることでより伸張することは難しいことが考えられ、ハムストリングスのストレッチングにおいては股関節内外旋の動きを大きく加える必要はないことが考えられる。
著者
澤 稜介 木林 威夫
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第35回全国大会(2021)
巻号頁・発行日
pp.1D2OS3a05, 2021 (Released:2021-06-14)

2020年日本では自動車業界を賑わせるニュースが多数報道された。2050年のカーボンニュートラルに向けた電動化政策など自動車業界に変革を迫る内容が多数を占める。ただし、自動車産業で働いていた当事者として見た自動車産業の従事者は、変革が必要だという自覚がない人で溢れているのが現実である。自覚できない原因は、ニュースで起こる事実を正しく理解できなくなる大衆のリテラシー低下やAIによってユーザーの嗜好に沿った情報、広告を表示するソーシャルメディアによるものであると推測する。自動車産業の従事者が事業変革の必要性を自覚することを目的に、昨今の自動車産業を取り囲む世界情勢を新聞記事から調査した結果、自動車産業が崩壊することは容易に推測することができ、崩壊の事実をソーシャルメディアを通じて伝える必要がある。
著者
上田 あかり 廣瀬 友靖 林 裕美 岩月 正人 穗苅 玲 石山 亜紀 砂塚 敏明
雑誌
日本薬学会第141年会(広島)
巻号頁・発行日
2021-02-01

【背景・目的】マラリアは世界三大感染症の一つであり、近年は薬剤耐性原虫の出現から、新たな作用機序を有する新規薬剤の開発が急務となっている。このような背景のもと、当大村智記念研究所において、糸状菌Paracamarosporium属FKI-7019株の培養液からKozupeptin A(1)が単離された。1は抗マラリア活性を有し、新たな抗マラリア薬のリード化合物として期待される。そこで我々は、1の効率的な全合成と構造活性相関の研究に着手した。【方法・結果】すでに報告している疎水性タグAJIPHASE®️を用いた1の全合成経路1)では、C末端のアルデヒド形成におけるエピメリ化が課題となった。そこで、我々は新たな疎水性アンカー分子(2)をデザインした。従来、タグとアミノ酸との結合はエステル結合によるものだったが、この結合をWeinrebアミドタイプにすることで、還元によるタグの除去とアルデヒドの形成を一挙に行うことができると考えた。さらに2を用いることで、ペプチド合成の際固相合成では困難であったC末端の還元を克服し、液相合成中でのアルデヒド形成を様々な基質で簡便に行うことができると考えられる。HO-TAGa2)から2を導き、晶析による簡便な手法でペプチド鎖を伸長したのち、還元条件を種々検討し3を合成したことで、形式的に1の全合成を達成した。さらに、新たにデザインした2を用い、様々な誘導体を合成し構造活性相関研究を行ったので報告する。【参考文献】1) Y. Hayashi, et al., Organic Letters. 2019, 21 (7), 2180.2) H. Tamiaki, et al., Bull. Chem. Soc. Jpn. 2001, 74, 733.
著者
大林 容二 太田 淳 新井 四郎
出版者
低温生物工学会
雑誌
凍結および乾燥研究会記録 (ISSN:02888289)
巻号頁・発行日
vol.3, pp.92-104, 1960-07-17 (Released:2017-08-01)

凍結乾燥された細菌の保存性,ことに高い温度における保存の成績から,乾燥条件や保存条件の適否を検討した。使用した菌は乳酸菌,BCGおよびYeast等である。成績の重要な点は以下のようであつた。1)媒質としてのグルタミン酸ソーダの至適濃度は菌の濃度によつて異なり菌濃度を下げれば,媒質の至適濃度も低下する。また以上の至適濃度は被乾燥体の保存期間によつても左右される。すなわち,短期間保存の場合の至適濃度は必ずしも長期間保存の際の至適濃度と同一ではない。2)高温度の保存に堪える媒質として,BCGの場合およびL. bifidusの場合にグルタミン酸ソーダの優秀性が報告されたが,今回L. bifidusについての実験で,グルタミン酸ソーダに可溶性澱粉を加えることにより保存性が著しく高められることを認めた。3)乾燥面を真空中に保存する方が空気中に保存するよりも生菌の低下が少ないことは,従来,凍結乾燥についての定説となつているが,L. bifidusやL. bulgaricus等の嫌気性菌については,常圧の空気中に保存する場合の生残率は真空保存の場合の生残率に劣らぬ成績が得られた。
著者
堀山 健治 田中 豊穂 中川 武夫 林 邦夫 伊保 清次
出版者
一般社団法人 日本体育学会
雑誌
体育学研究 (ISSN:04846710)
巻号頁・発行日
vol.33, no.3, pp.175-183, 1988
被引用文献数
2

This study was planned to to compare the hearing level of Kendo-Players with that of non-Kendo-Players to make clear whether or not long term practice of Kendo causes hearing loss. Pure-tone audiometry by air conduction was applied to 172 Kendo-Players and 76 non-Kendo-Players with an audiometer (Audiometer AA-69, Audiogram Recorder RE-05, Soundproof Room AT-45, Rion, Japan). Among them, the following cases were excluded from the analysis. 1) Cases who have had medication against tuberculosis. 2) Cases with perforation in the tympanic membranes. 3) Cases with occupational experience of more than a year in noise nuisance. 4) Cases with experience of head phone listening for more than one hour a day, twice a week for at least one year. The thresholds of hearing between 149 Kendo-Players (cases, age: 19-76) and 44 non Kendo-Players (controls' age: 20_78) were analysed to compare mean hearing thresholds between the age groups, and to examine covariance adjusted with age. The dose-response relationship was examined by the partial correlation coefficients controlled by age between the thresholds of hearing and the length of Kendo experience (year) or the total experience hours of Kendo (hour). The rusults showed that the hearing loss of Kendo-players was greater than non-Kendo players, especially at the frequency of 4000 and 8000 Hz in the age group of 30-59 years old. It is supposed that long term practice of Kendo may cause hearing loss. Further study, however, will be needed to re-examine the dose-response relactionship with more carefully selected samples for the epidemiological survey in the future.
著者
出口 睦樹 加藤 雅彦 小林 良太郎
雑誌
コンピュータセキュリティシンポジウム2020論文集
巻号頁・発行日
pp.404-409, 2020-10-19

通信機器に対するセキュリティ対策は、ソフトウェアが主流となっている。しかし、ハードウェア資源が少ないIoT機器ではソフトウェアでの対策は資源を圧迫し、現実的ではない。そこで我々はプロセッサ情報を用いたハードウェアによるマルウェア検知機構を提案し、シミュレーションによって有効性を確認している.本研究では提案機構をFPGA実装するための予備評価をおこなう.従来の提案機構で使用している割り算を用いた実装に加え、割り算を使用しない軽量で高精度な実装もおこなう.最後にFPGA上にRISC-Vコアと提案機構を搭載し、全体のリソース使用量を評価する.
著者
若林大晃 片山吉章 出口昌弘 毛利公一
雑誌
第74回全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2012, no.1, pp.133-134, 2012-03-06

一般に広く普及しているNon-ECCメモリには,メモリエラーの検出を行う機能がない.そのため,メモリエラーによりデータが破損すると,そのまま処理を継続することで,破損データの影響がほかに伝播することになる.そこで,アプリケーションの重要なデータ構造をメモリエラーから保護するための機能を加えることで,破損したデータを継続して用いること防止する.具体的には,アプリケーションのコンパイル時に,メモリエラーを検出するコードを加えることで,データの破損を検出・訂正することで実現する.