著者
林 良一
出版者
一般社団法人 日本オリエント学会
雑誌
オリエント (ISSN:00305219)
巻号頁・発行日
vol.16, no.1, pp.25-50_8,202, 1973-10-20 (Released:2010-03-12)

The Greek word “rhyton” does not essentially mean “a drinking-vessel in the shape of a horn.” “ρυτον” is the name of a vessel which is derived from a verb “ρεω”. “ρεω” means “to flow out.” Actually, in the Aegean world, the rhyton had the spout at the lower part, which permitted a stream of wine to flow out of the vessel, and probably which was opened and shut by a finger.The so-called rhyta from the ancient Iran are classified into the follow ing five classes by Ghirshman.1. Vessels in the form of an animal.2. Vessels in the form of an animal head.3. Vessels in the shape of a horn with the form of an animal head.4. Goblets with the form of an animal-protome.5. Amphorae.But these contain vessels that do not have the spout, through which stream of liquid can flow out, athough the “rhyton” had originally such a function. Therefore, according to function, we get the following classification:1. Vessels which have an original function of the rhyton.a. Those with the spout at the upper part.… The zoomorphic rhyton: the spout at the animal mouth.… The amphora-rhyton: the spout at the handle.b. Those with the spout at the lower part.… The zoomorphic rhyton: the spout at the breast.… The rhyton with the protome of an animal: the spout at the breast.… The amphora-rhyton: a few spouts at the base.2. Vessels which do not have an original function of the rhyton.… The cup with an animal head.… The cup in the shape of a horn with an animal head.… The goblet with the protome of an animal.So the writer think that the vessel which does not have an original function of the rhyton should not be called a “rhyton” but a “cup in the shape of a horn” and should be distinguished from the rhyton.In the Parthian period long horn rhyta were prevalent, mostly with the protome of an animal or the bust of a woman, though there were also the Greek rhyta with the form of a bull head. In the Sassanian period the form of the old traditional rhyton of the form of an animal or an animal head revived and was used as the real rhyton. There were also amphora-rhyta, and those with the mixed forms of jar and an animal head.The vessels in the form of an animal head which do not have an original function of the rhyton were probably used for drinking with from their circular brim like regular vessels, and seem to have been used at banquets and ceremonies, as is seen in the drinking scene on the relief from Assyria.On the other hand, of vessels which have the function of the rhyton, those in the form of an animal were used for the libation of the religious ceremony. and the same may be true of the amphora-rhyton with the spout at the handle. As for the rhyton with the form of an animal head, especially of a bull head, we should note the Bakchos scene on the silver plate from north-west India (the British Museum) and the silver cup in the Sasanian times (the Cleaveland Museum), in which the hero raises the rhyton high up and drinks from the spout at the bull mouth. Because Dionysos was identified with the spirit of Haoma, these vessels were probably used at the ceremony related to such a faith. It is surmised that the rhyton in the form of a bull head from Deilaman was used for the libation in the rites of Drvaspa, because it has the head of Drvaspa, guardian deity of cattle.The amphora-rhyton is not a drinking-vessel, but may be a pouring-vessel. The amphora-rhyton found in the ancient tomb at Tchertmlik in southern Russia has a sieve at the neck with which to filter dregs of wine, and three spouts through which to pour clear wine into cups. The amphora-rhyton found at Mazandaran shows Anahita, or her servant under the arcade of a grape vine. The Aban Ya

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著者
林鶴一 著
出版者
大倉書店
巻号頁・発行日
1909
著者
木下 真佐子 橋爪 圭司 渡邉 恵介 林 浩伸 古家 仁
出版者
一般社団法人 日本ペインクリニック学会
雑誌
日本ペインクリニック学会誌 (ISSN:13404903)
巻号頁・発行日
vol.19, no.4, pp.475-481, 2012 (Released:2012-11-16)
参考文献数
22
被引用文献数
1

【目的】髄液漏出の検出にRI脳槽造影やCT脊髄造影が用いられるが,両者の直接比較はない.国際頭痛分類基準を満たす特発性低髄液圧性頭痛18症例で両検査の所見を比較した.【方法】対象は男/女=8/10,平均年齢41.7歳,特に誘因なく典型的な起立性頭痛を発症し,造影脳MRIにて全周性硬膜増強を認め,硬膜外自家血パッチで治癒し,特発性低髄液圧性頭痛と診断された.RI脳槽造影は腰椎穿刺してインジウム111を投与し経時的にカウントし,CT脊髄造影はイオヘキソール10 mlを髄腔内注入し全脊椎CTを撮影した.【結果】RI脳槽造影で間接所見(早期膀胱集積,上行遅延)は全症例でみられたが,直接所見(傍脊椎集積)は12症例(検出率67%)であった.CT脊髄造影では,傍脊椎集積を認めなかった6症例を含め全症例で造影剤の硬膜外貯留を認め,その部位は主に頸・胸椎であった.RI脳槽造影は,腰・仙椎の正常神経根鞘を検出した場合があった.【結論】CT脊髄造影による硬膜外貯留の証明は,現に今,漏出している髄液瘻の存在を意味する.典型的な髄液漏出の診断には,RI脳槽造影よりもCT脊髄造影が鋭敏であった.
著者
中井 実 斎藤 省三 岡林 邦夫
出版者
公益社団法人 日本鋳造工学会
雑誌
鋳物 (ISSN:00214396)
巻号頁・発行日
vol.32, no.11, pp.765-772, 1960-11-25 (Released:2012-10-30)
参考文献数
8

Not a small amount is spent on the brake shoes in the expenditures of railway maintenance. And great efforts have been made to cut down this expense.   As a result of adapting High Phosphorus Cast Iron Brake Shoes, Kinki Nippon Railway Company has succeeded in cutting down much of the cost, by prolonging its life more than 45% in the year 1959 as compared with that of 1951. This reprot shows the following two points which prove the superiority of High Phosphorus Brake Shoes.   These results were obtained both by actual car tests and by laboratorial test. 1. It is possible to say that High Phosporus Cast Iron Brake Shoes of Kinki Nippon Railway Co. specification of about H.B.250 wear almost 20% less than most widely used Low Phosphorus Brake Shoes of about H.B.220. 2. When the effect on the wear of tire wheels is considered, it is also possible to say that when Low Phosphorus Cast Iron Brake Shoes are used, the degree of wear runs parallel with the hardness of the material. But when High Phosphorus Cast Iron Brake Shoes are used no tendency as mentioned above can be found, and it is also made clear that the use of High Phosphorus Cast Iron Brake Shoes is good for both wheels and Brake Shoes.
著者
林 紀代美
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
E-journal GEO (ISSN:18808107)
巻号頁・発行日
vol.14, no.1, pp.130-151, 2019 (Released:2019-04-13)
参考文献数
26

本研究は,岐阜県飛騨地域において,ブリ・サケの消費動向と,年末の伝統的風習「年取り」で用いられる年取魚としてのブリに関する人々の消費実態やそれへの認識について明らかにする.アンケート調査によると,日常の食事では,ブリよりもサケを食べる頻度が高い人が多い.しかし,ブリの摂食頻度は20年程前に比べても維持している人が多い.産地に対する人々の関心,認知も高い.年取魚としてのブリ消費の習慣を多くの人々が知っていて,かつそれを実行していた.多くの人が年末にブリを食べることが地域の食文化として重要と考え,年取魚ブリは日本海産であることを望み,伝統的形態からの変更(減塩での製造や切り身での販売)があっても「年取り」に用いる品として妥当と考えていた.
著者
松宮 美奈 向山 ゆう子 小林 寿絵 中村 大輔 髙木 寛奈 上杉 上 水落 和也
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.41 Suppl. No.2 (第49回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.0967, 2014 (Released:2014-05-09)

【はじめに】線維筋痛症は原因不明の全身疼痛が主症状で,うつ病など精神神経症状・過敏性腸症候群など自律神経症状を随伴する疾患である。2013年の線維筋痛症診療ガイドラインによれば,有病率は人口の1.7%(日本推計200万人)であり,80%が女性で40~50代に多く,10歳前後に多い若年性線維筋痛症(Juvenile Fibromyalgia:JFM)は4.8%のみである。発症要因として外因性と内因性のエピソードがあり,治療はプレガパリンを中心とする疼痛制御分子の標的療法が中心で,運動療法は,成人例に対して長期間に渡り有酸素運動を行い疼痛が軽減した報告がある(エビデンスIIa)が,JFMでは,いまだ確立した治療法がない。JFMでは患児と母親の相互依存性や,まじめ・完璧主義・潔癖主義・柔軟性欠如などコミュニケーション障害を伴う性格特性が特徴であるとも言われており,当院では,小児リウマチセンターにおいてJFMの集学的治療を実践している。その内容は,生活環境からの一時的な隔離を意図した短期入院による母子分離,臨床心理士による心理評価と小児精神科によるカウンセリング,ワクシニアウイルス接種家兎炎症皮膚抽出液(ノイロトロピン®)点滴静注を中心とした薬物療法,そしてリハビリテーション治療である。【目的】本研究の目的は,JFMに対する理学療法(PT)の実施状況と集学的治療による効果を明らかにし,JFMに対するPTの課題を明確にすることにある。【対象と方法】2007年4月から2012年12月までにJFMと診断され当院小児科に入院し,PTを行った症例を対象とし,患者属性,発症要因,入院期間,PT実施期間,PT内容,PT開始時及び退院時の運動機能と移動能力を診療録より抽出し後方視的に調査した。【倫理的配慮,説明と同意】当院では入院時に臨床研究と発表に対する同意を文書で得ている。【結果】調査期間に小児科に入院したJFM症例は33名であった。33名のうち6名は調査期間内に複数回の入院があり,これを別の入院例とみなして,対象を42例としたが,診療記録不十分のため調査項目の確認ができなかった3症例を除外し,39症例(30名)を対象とした。平均年齢は12.2歳(7~16歳),平均発症年齢12.1歳(7~15),性別は男児7例,女児32例であった。入院期間は中央値17日(7~164日),PT期間は中央値12日(1~149)だった。発症の誘因としては,内因性誘因では家族関係のストレス27例,学校関係のストレス22例であり,外因性誘因と内因性誘因の重複が11例にみられた。主症状は筋・関節痛39例,左上肢の慢性疼痛1例であり,ほぼ全例に睡眠障害や冷感,起立性調整障害など自律神経系合併症状を認めた。PT内容は,独歩可能な症例には歩行練習(屋外歩行やトレッドミル,水中歩行),自転車エルゴメーターなどを実施し,歩行困難な症例には下肢自動運動や座位・立位練習,車いす自走や歩行補助具を使用した段階的歩行練習を行っていた。また,キャッチボールやサッカーなどレクリエーショナルアクティビティも随時行われていた。PT中は疼痛が増強しない範囲で負荷を設定し,疼痛を意識させずに運動できるよう配慮し,受け入れのよい課題を選択し,目標を本人と相談しながら実施するなどの配慮がうかがえた。PT実施率は高く,疼痛や体調不良でPTを欠席したものは1症例,1日のみであった。入院中の疼痛の変化は改善28例,変化なし5例,悪化6例であり,移動能力は入院時に歩行(跛行なし)20例,歩行(跛行あり)9例,車いす移動10例が,退院時は歩行(跛行なし)28例,歩行(跛行あり)6例,車いす移動5例であった。【考察】成人の線維筋痛症では手術や感染などの外因が誘因となることがあるが,今回調査した小児では全例が内因性誘因を有していた。PTの介入は母子分離環境による心理社会的効果と薬物療法による疼痛軽減に合わせて,できる範囲の運動を導入することで,気晴らし的効果と身体機能維持改善の効果が期待できると思われた。PTの効果のメカニズムとして,JFMではセロトニン欠乏が睡眠障害や疼痛を引き起こすという知見が最近得られており,歩行などのリズム活動がセロトニン神経を賦活化し疼痛の悪循環を断ち切る可能性もある。疼痛で活動性が低下し,休学を余儀なくされている症例も多く,生活機能障害に対するPTの予防的・回復的・代償的な関わりはJFMの集学的治療に重要な役割を果たすと思われる。【理学療法学研究としての意義】線維筋痛症に対する運動療法の効果は成人では文献が散見されるが,小児では少ない。今回の調査は,JFMに対して症状の改善に運動療法が寄与した可能性を示唆している。
著者
小林 眞代
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.68, no.10, pp.506-510, 2018-10-01 (Released:2018-10-01)

シュプリンガー・ネイチャーは,オープンアクセス出版のパイオニアとして,ジャーナルや書籍でのオープンアクセス出版の促進,また研究データ共有を促進する新たな出版サービスの開発を進めているほか,オープンサイエンスの動向を把握するための研究調査を継続的に行っている。2016年には,データ・シェアリングのための共通指針である「標準データポリシー」を作成したほか,2017年にはデータ・シェアリングに関する研究者の意識調査に基づいたホワイトペーパーを公開した。本稿では,これらの活動を行う「オープンリサーチ部門」の最近の取り組みと,日本での活動について紹介する。
著者
秋池 篤 吉岡 (小林) 徹
出版者
特定非営利活動法人 グローバルビジネスリサーチセンター
雑誌
赤門マネジメント・レビュー (ISSN:13485504)
巻号頁・発行日
pp.0171112a, (Released:2018-07-24)
参考文献数
82

本稿は富士フイルムのFinePix700の事例をもとに、技術変化と既存のデザインの踏襲の関係性について探求し、大きな技術変化はときに優位性のある既存デザインの実現を困難にする場合があることを確認した上で、そのような場合にデザインと技術を高いレベルで達成するためのマネジメント方法について分析を行った。その結果、新奇性は高いものの、技術的な合理性に基づいたデザインを活用することで、技術とデザインの両立を達成し、競争力のある製品を生み出すことができたことを指摘した。これは、技術とデザインの関係性について、消費者行動論のみならず技術経営論の視点から両者を捉える必要性を示す点で大きな貢献を有する。
著者
塚田 武志 小林 直樹
雑誌
情報処理学会論文誌プログラミング(PRO) (ISSN:18827802)
巻号頁・発行日
vol.4, no.2, pp.31-47, 2011-03-25

言語の包含判定問題とは,与えられた言語 L1 と L2 について L1 ⊆ L2 が成立するか否かを判定する問題であり,理論的な興味の対象であるだけでなく,プログラム検証などへの広い応用を持つ重要な問題である.この問題に関する既知の最も強い結果の 1 つが文脈自由言語と超決定性言語の包含判定の決定可能性である.このオリジナルの証明は,Greibach と Friedman によって与えられている.我々はこの問題に対して,小林らによって提案されている型に基づく言語の包含判定の手法を適用し,決定可能性に対する別証明を与えた.この手法は以下のような利点を持つ.(1) 部分型関係やポンプの補題などのよく知られた概念で理論が展開できる.(2) 型推論を効率的に行う方法は多数提案されており,それらを利用することができる.また,提案する証明は小林らのアイデアを正規言語よりも広いクラスに適用したはじめての例であり,その他の非正規言語クラスへの応用も期待される.
著者
古川 福実 船坂 陽子 師井 洋一 山本 有紀 米井 希 松永 佳世子 秋田 浩孝 上田 説子 薄木 晶子 菊地 克子 幸野 健 田中 俊宏 林 伸和
出版者
公益社団法人 日本皮膚科学会
雑誌
日本皮膚科学会雑誌 (ISSN:0021499X)
巻号頁・発行日
vol.118, no.3, pp.347-356, 2008

Chemical peeling is one of dermatological treatments for certain cutaneous diseases or conditions or aesthetic improvement, which consists of the application of one or more chemical agents to the skin. Chemical peeling has been very popular in medical fields as well as aesthetic fields. Since scientific background and adequate approach is not completely understood or established, medical and social problems have been reported. This prompted us to establish and distribute standard guideline of care for chemical peeling. Previous guidelines such as 2001 version and 2004 version included the minimums for the indications, the chemicals used, their applications, associated precautions, and postpeeling care and findings. The principles were as follows :1) chemical peeling should be performed under the control and the responsibility of the physician. 2) the physician should have knowledge of the skin and subcutaneous tissue and understand the mechanism of wound-healing. 3) the physician should be board-certified in an appropriate specialty such as dermatology. 4) the ultimate judgment regarding the appropriateness of any specific chemical peeling procedure must be made by the physician in light of all standard therapeutic ways, which are presented by each individual patient. Keeping these concepts, this new version of guidelines includes more scientific and detailed approaches from the evidence-based medicine.
著者
河村 幹夫 林川 眞善 日高 幹生 竹本 吉広
出版者
多摩大学
雑誌
経営・情報研究 : 多摩大学研究紀要 (ISSN:13429507)
巻号頁・発行日
vol.5, pp.31-46, 2001

20 世紀型の総合商社は死んだ。言葉をかえれば従来どおりの発想、意思決定、行動を続けるかぎり、総合商社は21 世紀を生き抜いていくことはできない。なぜなら、そういう存在に対して21 世紀の世界の経済社会は価値を認めないからである。それでは総合商社に明日はないのか。もちろんある。それは一口でいえばみずからを「取引仲介業」から「情報仲介業」に根本的に変質させることである。そこでは事業も取引もすべて情報という価値基準に基づいて分類、整理され、評価される。総合商社は業法に縛られた規制業種ではなかった。それゆえに、国内的な規制の枠組みではなく、国際的なパースペクティブの中で持続的成長を少なくともバブル崩壊までは実現してきた。その意味では、ビッグバンの時代に入れば、当然のごとく総合商社の活動範囲が飛躍的に拡大し、21 世紀の日本のリーディング・インダストリーになることすら期待されたのであったが、現実の姿はそれとはほど遠く、未来への展望も十分に拓けていない状況にある。何故、総合商社は未来に向っての展望を拓き、新しいビジネス社会の創出に手間取っているのだろうか。
著者
若林 哲史 鶴岡 信治 木村 文隆 三宅 康二
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-II, 情報・システム, II-情報処理 (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.80, no.1, pp.73-80, 1997-01-25
参考文献数
19
被引用文献数
6

正準判別分析は分散比 (F比) を最大化する最も代表的な特徴選択手法であるが, クラス数以上の特徴が選択できないため,少クラスの分類問題に対する有効性に限界がある. この問題を解決するために, 新しい特徴選択手法 (FKL法) を提案し, 手書き数字認識実験によりその有効性を評価する. FKL法は, F比を最大化する正準判別分析と, 次元減少による平均2乗誤差を最小化する主成分分析 (K-L展開) を特殊な場合として含む, より一般的な特徴選択手法である. 正準判別分析, 主成分分析, 正規直交判別ベクトル法 (ODV法) などとの比較実験の結果, 少クラスの分類問題ではFKL法により選択された特徴量の識別力が最も高いことを示す.
著者
小林 卓也
出版者
京都産業大学
雑誌
京都産業大学論集. 人文科学系列 (ISSN:02879727)
巻号頁・発行日
no.46, pp.181-194, 2013-03

本稿の課題は,フランスの哲学者ジル・ドゥルーズと,精神分析を専門とするフェリックス・ガタリとの共著『千のプラトー』(1980)に見いだされる言語観の内実とその射程を明らかにすることである。彼らが端的に述べているように,「あらゆる言語(langue)は本質的に非等質的な,混合した現実である」。しかし,チョムスキーによる生成文法を念頭に置きながら,言語学はこうした言語現象の多様性に目を向けようとせず,文法規則や言語の等質的体系性を抽出することだけに終始しており,そこには,われわれの多様な言語活動を均質化し規格化することで,自らの科学性を担保する政治的関心しかないと彼らは批判する。ここには,言語を異質な要素からなる多様体とし,その多様性をいかに捉えるのかという彼らの企図が明瞭 に現れている。本稿は,こうした彼らの言語観がどのような問題意識と結びついているのかを 以下の手順で明らかにする。 まず,『千のプラトー』において彼らがジョン・L・オースティンの発話内行為に見出した論点を確認し(第一章),それが60年代のドゥルーズ哲学の延長上にあることを指摘する(第二章)。というのもドゥルーズこそ,言語の本質を,身体や行為といった物理的なものと,それによって表現される意味や出来事といった非物体的なものの二元性という論点から考察していたのであり,『千のプラトー』の主眼は,その言語の二元性の連接をいかに捉えるのかということにあるからだ。こうした論点からすると,注目されるべきは『千のプラトー』において ルイ・イェルムスレウが占める役割である。イェルムスレウ言語学における表現と内容の連帯性,および形式と実質という概念の導入は,言語における二元性への問いに一定の回答を与えている(第三章)。最後に,彼らの議論がいわゆる言語理論の枠内に留まることなく,とりわ け彼らがミシェル・フーコーと共有するある歴史認識と結びついていることを確認し,その理論的射程を特定したい。
著者
千葉 達朗 林 信太郎 小野田 敏 栗原 和弘 藤田 浩司 星野 実 浅井 健一
出版者
一般社団法人 日本地質学会
雑誌
地質学雑誌 (ISSN:00167630)
巻号頁・発行日
vol.103, no.6, pp.XXI-XXII, 1997 (Released:2010-12-14)
被引用文献数
1

5月11日午前8時, 秋田県鹿角市の澄川温泉で, 地すべりと石流が発生, 澄川温泉と赤川温泉の16棟が全壊, 国道341号も寸断された. 5月4日頃から水の濁りや道路の変状等が察知され, 適切な警戒避難が行われたため, この災害による死者・負傷者はなかった. なお, 地すべりの最中に末端付近で水蒸気爆発が発生した. ここでは, 5月12日にアジア航測(株)が撮影した空中写真, その後の現地の他, 秋田航空(株)が撮影した水蒸気爆発の瞬間の写真を紹介する.