著者
中瀧 理仁 大森 哲郎
出版者
日本生物学的精神医学会
雑誌
日本生物学的精神医学会誌 (ISSN:21866619)
巻号頁・発行日
vol.24, no.3, pp.145-152, 2013 (Released:2017-02-16)
参考文献数
37
被引用文献数
2

N-methyl-D-aspartic acid(NMDA)受容体遮断薬が統合失調症類似の症状を惹起することから,統合失調症の病因としてグルタミン酸機能低下仮説が提唱された。グルタミン酸系とgamma-amino butyric acid(GABA)系には機能的な関連があり,抑制系神経細胞(GABA作動性介在神経細胞)の機能低下がグルタミン酸系神経の脱抑制を起こし,神経毒性をもたらす可能性がある。統合失調症におけるグルタミン酸系やGABA系の動態を検討するために proton magnetic resonance spectroscopy(1H-MRS)が応用されている。1H-MRSは非侵襲的にGABAやグルタミン酸(Glu),グルタミン(Gln)を分離して定量することが可能である。これまでに行われたMRS研究からグルタミン酸仮説と関連する所見を略述した。
著者
森 哲也 岸野 かなえ 田原 麻衣子 守山 隆敏 和田 真太郎 伊藤 武
出版者
公益社団法人 日本食品衛生学会
雑誌
食品衛生学雑誌 (ISSN:00156426)
巻号頁・発行日
vol.62, no.4, pp.129-132, 2021-08-25 (Released:2021-09-01)
参考文献数
13

3MTM病原菌検出アッセイ2 STEC遺伝子スクリーニン-stx用キットを,食品からの腸管出血性大腸菌検査におけるVT遺伝子スクリーニングに使用することを目的に,検出感度を調べた.純培養菌での検出感度,食品として牛スライス肉やタンドリーペースト,きゅうりなどを供試して食品培養液を調製し検出感度を調べた.食品培養液中の検出感度は,BPW,mEC培地ともに3から4 Log CFU/mLレベルであった.3MTM病原菌自動検出システムを用いたVT遺伝子検出は,通知法が要求する検出下限値(4 Log CFU/mL)を満たしていた.本手法は食品からの迅速簡便なVT遺伝子スクリーニング法として有用であった.
著者
小森 哲夫
出版者
日本神経治療学会
雑誌
神経治療学 (ISSN:09168443)
巻号頁・発行日
vol.38, no.1, pp.33-38, 2021 (Released:2021-07-28)
参考文献数
9

Many patients with neuromuscular disease are involved in respiratory insufficiency. It becomes difficult problem especially in those patient with COVID–19. There are 7 important factors for the respiratory care in this condition. Those are risk of aerosol, care plan for non–invasive positive pressure ventilation and tracheostomy invasive positive pressure ventilation, tips of suction, oxygen therapy, mechanical clearance of tracheal air way and rehabilitation technique of respiratory care.The risk of aerosol might be the most important for every other 6 factors. I informed each factor precisely. It should be useful for daily clinical setting.
著者
大森 哲郎 井上 猛
出版者
北海道大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1993

視察法および赤外線センサー運動量測定装置を用いて移所運動や常同行動を観察し、覚醒剤反復投与による行動過敏性(逆耐性)形成のさいの、グルタミン酸の関与を行動学的に検討した。また覚醒剤大量投与時にみられるドーパミン(DA)やセロトニン神経変性のメカニズムを、DAとグルタミン酸の放出動態を指標に、脳内透析実験を用いて研究した。覚醒剤とNMDA受容体競合的拮抗薬の併用反復投与は、非競合的拮抗薬の場合と同様に、行動過敏性形成を阻止することを明らかにした。このことから行動過敏性形成におけるNMDA受容体の関与が一層明確になった。覚醒剤を大量投与すると、DA放出は線条体と側坐核の両部位で昂進するが、グルタミン酸放出は線条体のみで昂進することを示した。DA神経変性は線条体に限局するので、グルタミン酸放出の昂進はこれと関連する可能性がある。セロトニン神経変性は、両部位において等しく認められるので、グルタミン酸放出の昂進は直接には関連しないと思われる。NMDA受容体拮抗薬は、セロトニン神経変性もDA神経変性と同様に抑制するが、その作用点は今後の検討課題である。さらに、NMDA型グルタミン酸受容体刺激に引き続き細胞内では一酸化窒素(NO)の生成が促進され、これが生理的に重要な意味を有するという最新の知見に導かれて、一酸化窒素合成阻害薬が覚醒剤の急性行動効果や行動過敏性形成にどのような影響を及ぼすかについて検討した。その結果、急性行動効果については、移所運動促進作用および常同行動発現作用ともある程度抑制することを示した。また行動過敏性形成については、移所運動の過敏性には影響がないが、常同行動に関しては、いくぶん減弱させることを見い出した。以上の実験所見から、覚醒剤精神病の発現にグルタミン酸神経伝達が関与していることが示唆される。
著者
北野 晃祐 浅川 孝司 上出 直人 寄本 恵輔 米田 正樹 菊地 豊 澤田 誠 小森 哲夫
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.44 Suppl. No.2 (第52回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.0997, 2017 (Released:2017-04-24)

【目的】筋萎縮性側索硬化症(ALS)患者の運動療法として,筋力トレーニングや全身運動が機能低下を緩和することが示されているが,ホームエクササイズの有効性の検証は皆無である。本研究では,ALS患者に対するホームエクササイズの効果を前向き多施設共同研究により検証した。【方法】国内6施設にて,神経内科医によりALSの診断を受け,ALS機能評価尺度(ALSFRS-R)の総得点が30点以上の軽症ALS患者19例を介入群とした。さらに,ALSFRS-Rの総得点が30点以上で,年齢,性別,初発症状部位,罹病期間,球麻痺症状の有無,非侵襲的陽圧換気療法の有無,ALSFRS-Rの得点,を介入群と統計学的にマッチさせた軽症ALS患者76例を対照群とした。なお,比較対照群は,同じ国内6施設において理学療法を含む通常の診療行為がなされた症例である。介入群には,理学療法士が対象患者に対して通常理学療法に加えて,腕・体幹の筋力トレーニングとストレッチ,足・体幹の筋力トレーニング,日常生活動作運動で構成したホームエクササイズを指導した。追跡期間は6ヶ月間とし,記録用紙を用いて実施頻度を記録した。安全性を確保するため,理学療法士が対象者の状況を1ヶ月ごとに確認した。主要評価項目はALSFRS-Rの得点とし,両群ともにベースラインと6ヶ月後に評価した。さらに介入群には副次評価項目として,Cough peak flow(CPF),ALS Assessment Questionnaire40(ALSAQ40),Multidimensional Fatigue Inventory(MFI)を,ベースラインと6ヶ月後に評価した。両群におけるベースラインと6ヶ月後の主要評価項目および介入群の副次評価項目を統計学的に解析した。なお,統計学的有意水準は5%未満とした。【結果】介入群のうち13名(68%)が介入を完遂した。脱落例は,突然死や転倒に伴う骨折および急激な認知症状悪化によるもので,ホームエクササイズによる有害事象は認められなかった。介入完遂例は全例が週3回以上のホームエクササイズを実施することができた。効果評価として,6ヶ月経過後におけるALSFRS-R総得点には,介入群と対照群に有意差は認められなかった。一方,ALSFRS-Rの下位項目得点では,球機能と四肢機能には両群間で有意差を認めなかったが,呼吸機能では両群間に有意差が認められた(p<0.001)。すなわち,6ヶ月後の介入群の呼吸機能得点は対照群よりも有意に高く,呼吸機能が維持されていた。また,介入群におけるCPF,ALSAQ40,MFIは,介入前後で変化は認められず維持されていた。【結論】障害が軽度なALS患者に対するホームエクササイズの指導は,安全性および実行可能性があり,さらに呼吸機能の維持に有効であることが示された。
著者
森 哲也 金内 誠 進藤 斉 角田 潔和 吉澤 淑 小泉 武夫
出版者
日本食品保蔵科学会
雑誌
日本食品保蔵科学会誌 = Food preservation science (ISSN:13441213)
巻号頁・発行日
vol.30, no.1, pp.9-15, 2004-01-31
参考文献数
26
被引用文献数
1

金華火腿から分離された微生物309株より, 火腿脂質の不飽和化に関与する菌株のスクリーニングを行い, 糸状菌6株を選抜した。この中でA-59は脂質中の不飽和脂肪酸の割合が82.0%と選抜菌株の中で最も高く, 特にオレ・イン酸, リノレン酸含有率が高かった。A-59は各種形態試験の結果, <I>Aspergillas oryzae</I>と同定された。本菌株は, 培養温度25℃, 初発pH6.0, 0.5%コール酸ナトリウム, パルミチン酸とステアリン酸を炭素源として, その比率が60 : 40で最も高い不飽和脂肪酸量を示した。また, 本株はパルミチン酸, ステアリン酸を菌体内に取り込み, オレイン酸やリノール酸, リノレン酸を生産していると推察した。以上より, 火腿脂質の不飽和化は<I>A. oryzae</I> A-59を中心とする6株が作用していることが明らかとなった。
著者
森 哲彦
出版者
名古屋市立大学大学院人間文化研究科
雑誌
名古屋市立大学大学院人間文化研究科人間文化研究 (ISSN:13480308)
巻号頁・発行日
no.18, pp.167-192, 2012-12

ヨーロッパ哲学は、古代ギリシアに始まる。古代ギリシア哲学の3つの時期区分のうち、ホワトヘッドは「プラトン的」立場から、プラトンを含む第二期に注目し、第一期のソクラテス以前哲学者達を顧慮しない。これに対し、第一期ソクラテス以前哲学者達を高く評価する哲学者達が、数名挙げられる。本論では、西洋哲学の起源は、その哲学者達が指摘するように、第一期ソクラテス以前哲学者達に有ると考え、それらの第一期哲学者達の解明を、試みるものである。なお本論では、副題で示すように、ディールス-クランツ『断片』とカント批判哲学の論述を用いるものとする。本論文の構成について、哲学の兆候を示す哲学以前、前期自然哲学で自然の原理を問うミレトス学派、また別個にピュタゴラス学派、ヘラクレイトスを取り上げる。更に存在と静止のエレア学派、後期自然哲学の多元論と原子論、そして認識論のソフィスト思潮の特質をそれぞれ論述する。この試論は、「哲学的自己省察」の一つである。
著者
森 哲 竹内 寛彦 森 直樹 Savitzky Alan H. Tang Yezhong Li Ding Tsai Tein-shun Nguyen Tao Thien Das Indraneil Silva Anslem de Mahaulpatha Dharshani 城野 哲平
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2014-04-01

ヤマカガシは頸腺と呼ばれる特殊な防御器官を持ち、強い皮膚毒を持つヒキガエルを食べることによりその毒成分を取り込んでこの器官に溜める。また、特異的な防御ディスプレイを行って、その毒を効果的に捕食回避に利用する。本研究では、合計18種のユウダ亜科のヘビが同様の防御器官を持つことを確認し、それらの形態は多様化していることを明らかにした。また、分子系統解析の結果、頸腺システムは1回だけ進化してきたことを示した。さらに、ミミズ食に移行した一部のヘビでは、頸腺毒をヒキガエルではなくホタルから取り入れている可能性が示された。
著者
森 哲彦
雑誌
人間文化研究 (ISSN:13480308)
巻号頁・発行日
vol.18, pp.167-192, 2012-12-21

ヨーロッパ哲学は、古代ギリシアに始まる。古代ギリシア哲学の3つの時期区分のうち、ホワトヘッドは「プラトン的」立場から、プラトンを含む第二期に注目し、第一期のソクラテス以前哲学者達を顧慮しない。これに対し、第一期ソクラテス以前哲学者達を高く評価する哲学者達が、数名挙げられる。本論では、西洋哲学の起源は、その哲学者達が指摘するように、第一期ソクラテス以前哲学者達に有ると考え、それらの第一期哲学者達の解明を、試みるものである。なお本論では、副題で示すように、ディールス-クランツ『断片』とカント批判哲学の論述を用いるものとする。本論文の構成について、哲学の兆候を示す哲学以前、前期自然哲学で自然の原理を問うミレトス学派、また別個にピュタゴラス学派、ヘラクレイトスを取り上げる。更に存在と静止のエレア学派、後期自然哲学の多元論と原子論、そして認識論のソフィスト思潮の特質をそれぞれ論述する。この試論は、「哲学的自己省察」の一つである。
著者
森 哲 三津山 恭弘 平野 實 山岸 哲
出版者
公益財団法人 山階鳥類研究所
雑誌
山階鳥類学雑誌 (ISSN:13485032)
巻号頁・発行日
vol.42, no.2, pp.161-163, 2011-03-20 (Released:2013-03-20)
参考文献数
5

Predation by a wild Common Kingfisher Alcedo atthis on a colubrid snake, Amphiesma vibakari vibakari, was observed on 31 January 2010 in Tokyo. Total length of the snake was estimated as less than 20 cm. This is the first record of predation on a snake by the Common Kingfisher in Japan.